ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 クラベルからの発表で、四天王と交流戦があることと、ブルーベリー学園から留学生が来ることを聞いたシンヤたち。その後シンヤから、スグリとゼイユ、オーガポンに関する話を聞いたリコは、少し元気をなくしてしまう。だが、シンヤに目の前のバトルに集中しろと言われたので、リコはニャローテやカエデたちと一緒に、全力でチリにぶつかることに決めたようだ。


第56話『リコVSチリ!バトルの先にある思い!』

 

 オレンジアカデミー・グラウンドのバトルフィールド

 

 ニャローテ「……」

 エクスレッグ「……」

 

 ドオー「……」

 ダグトリオ「……」

 

 リコ「……」

 カエデ「……」

 

 チリ「…フッ」

 

 いよいよ、最後の交流戦をやるリコの順番に回ってきた。リコのポケモンはニャローテ。カエデのポケモンはエクスレッグ。そして、リコとカエデの戦う四天王チリのポケモンは、とげうおポケモンの《ドオー》と、もぐらポケモンの《ダグトリオ》だ。そして、ニャローテとエクスレッグの2人がバトルフィールドの中に歩いていくと、リコたちはバトルが始まる時を待っていた。

 

 グラウンド・観戦場所

 

 シンヤ「まるで、嵐の前の静けさだな」

 

 ピカチュウ「ピィーカ…」

 

 アン「ねぇシンヤ。相手のポケモンはどっちもじめんタイプだから、相性ではリコが有利だよね」

 

 ???「そうとも限らないよ」

 

 シンヤ「ネモ!」

 

 ピカチュウ「ピィーカ!」

 

 ネモ「久しぶりだね!シンヤ!ピカチュウ!」

 

 アン「ネモ、そうとは限らないってどういう意味?」

 

 ネモ「ドオーはじめんタイプでもあるけど、くさタイプに有利などくタイプでもあるから、リコが有利とはいえないんだよ」

 

 アン「そうなんだ」

 

 シンヤ「あれ?アンとネモって、今初めて会ったよな?なんでそんな気さくに話してるんだ?」

 

 アン「私とネモは、さっきシンヤとリコがグラウンドに来る前に知り合ったの。その後ネモから、交流戦がタッグバトルで、基礎テストを受けてくれたジムリーダーの人とタッグを組んで、四天王とバトルすることを教えてもらったんだ」

 

 シンヤ「へぇ〜、ネモも交流戦を見に来てたのか?」

 

 ネモ「うん。ロイたちのバトルが見たくてね。それに、シンヤも後でバトルをするんでしょ?」

 

 シンヤ「流れでそうなっちまったからな」

 

 ネモ「じゃあそのバトルが終わったら、私とバトルしようよ!オリーヴァの森に行った時、バトルする約束をしたんだからさ!」

 

 シンヤ「分かってるよ。リコたちが研修を受けている間に、どこかでバトルをする予定を作るから、その時バトルをやろうぜ」

 

 ネモ「やったぁ!」

 

 ヒョコ(鞄からテラパゴスが顔を出す)

 

 テラパゴス「……」

 

 スタッスタッ

 

 クワッス「クワックワックワッ!」

  

 ドット「あっ!」

 

 シンヤ「ん?……あっ!」

 

 スタッスタッ(テラパゴスがどこかに歩いて行く)

 

 ドット「テラパゴスが!」

 

 シンヤ「ほんとに好奇心旺盛だな」ダッ!

 

 ピカチュウ「ピィーカ…」

 

 どうやら、さっきシンヤとリコがグラウンドに来る前に、アンとネモは出会っていたらしい。そこでネモから、交流戦の詳しいルールなんかも聞いたようだ。そしてシンヤたちが、リコたちのバトルが始まるのを待っていると、テラパゴスが鞄から顔を出した。するとテラパゴスは、鞄の下の4つの空いている穴から手足を出すと、どこかに向かって歩いて行った。それに気づいたクワッスは、声を出してドットに知らせた。そして、ドットの驚いた声で、テラパゴスがどこかに歩いて行くのを見たシンヤは、ドットと一緒にテラパゴスの後を追って行った。

 

 ロイ「リコ!ニャローテ!頑張れ!」

 

 アン「ファイトだよ!」

 

 ホゲータ「ホゲッホンゲェ!」

 

 フタチマル「フーチッフーチッ!」

 

 バトルフィールド

 

 ニャローテ「ニャァァッロッ!」

 

 エクスレッグ「エクス!」

 

 

 カエデ「ウフフ、エクスレッグちゃんも燃えてるわ〜。四天王のチリさんとバトルができるんですもの。私だって燃えちゃうわ〜」

 

 リコ「…はい…私も頑張ります」

 

 カエデ「リコさん、バトルを楽しむこと、忘れないでくださいね」

 

 リコ「は、はい!(そうだった。基礎テストの成果を、このバトルで活かさないと。それから…それから…」

 

 キハダ「押忍!双方準備はいいな?」

 

 チリ「ちょい待ち!」

 

 キハダ「えっ?どうした?」

 

 スタッスタッ(チリが歩いてくる)

 

 シンヤとドットがテラパゴスを追っている頃、いよいよリコたちのバトルが始まろうとしていた。バトルフィールドの中にいるニャローテとエクスレッグは、四天王のチリと戦えるのが余程嬉しいのか、2人とも気合いが充分に入っていた。それは、リコのパートナーのカエデも同じだった。ジムリーダーと四天王が戦うことなど、本来なら滅多にないことだ。だからこそ、カエデもチリとバトルするのが楽しみなのだ。しかし、リコはカエデたちと違って、チリとバトルをすることに緊張しているようで、頭の中で色々なことを考えていた。そして、ジャッジを務めているキハダの合図で、いよいよリコたちのバトルが始まるかと思われたその時、チリが待ったをかけると、そのままリコの目の前に歩いてきた。

 

 チリ「……」

 

 リコ「えっ、えっ、えっ⁉︎何ですか?」

 

 チリ「自分…ガッチガッチやん。これじゃバトルどころじゃないで。まっ、チリちゃん美人さんやから、緊張するのも分かるけどな」

 

 カエデ「…自分で美人って言っちゃってるわ」

 

 チリ「おっ!カエデさん、ツッコミおおきに。…ほんでどうしたん?自分、うわの空やで?」

 

 リコ「す、すいません!」

 

 チリが自分の目の前に歩いてくると、リコは慌てていた。そして、チリはリコが緊張していることを見抜くと、リコの両肩を掴み、いつもの飄々とした態度や発言をした。すると、チリが何をやろうとしているのかを見抜いたカエデは、チリの発言に対してツッコミをした。しかし、リコは今だに緊張していた。

 

 チリ「かったいな〜。せや、うちのドオーでも揉んで、リラックスするか?」

 

 ドオー「ドオーッ」

 

 チリ「おぉ、よしよし!もっちもちやな〜。やっぱドオーを揉んどると、落ち着くわ。ほら、自分も揉んでみい」

 

 リコ「は、はい」スッ

 

 チリ「あっ!ドオーはどくタイプやから、素手で触ったらアカンわ」

 

 リコ「えっ!」

 

 チリ「ほら、チリちゃんは手袋しとるやろ。だからドオーに触れるんや」

 

 リコ「揶揄わないでください!」

 

 チリは緊張しているリコに、自分のポケモンであるドオーを揉んで、リラックスするかと聞いた。そして、ドオーが自分たちの目の前に歩いてくると、チリはドオーの頭を撫で始めた。チリがドオーの頭を撫でて感想を言うと、リコはドオーの触り心地が気になったのか、右手をゆっくり伸ばし、ドオーに触れようとした。すると、ドオーはどくタイプをだから、素手で触ったらアカンとチリに言われた。リコはチリに揶揄われていたことに気づくと、チリに揶揄わないでほしいと注意した。

 

 チリ「フッ、どや?少しは肩の力が抜けたんちゃうか?」

 

 リコ「えっ?……あっ、なんか…大丈夫になりました」

 

 カエデ「…(^_^)」ペコッ(頭を下げる)

 

 チリ「(−_^)…ほな、早速バトルを始めよか!」

 

 リコ「はい!」

 

 どうやら、さっきのチリの飄々とした態度や発言は、リコをリラックスさせるためだったようだ。カエデがチリにツッコミをしたのも、チリの意図が分かっていたからだった。そして、カエデがリコに気づかれないようにチリに頭を下げると、チリはカエデにウインクをした。チリが自分の位置に戻って行き、キハダが双方の準備ができたことを確認すると、ついに最後の交流戦が始まった。

 

 キハダ「バトル、スタート!」

 

 チリ「先行はもらうで〜!ダグトリオ!「あなをほる!」ドオーは「ヘドロウェーブ!」」

 

 ダグトリオ「ダグッ!」

 

 ドオー「ドオォォーーッ!」

 

 

 ニャローテ「ニャッァ!」

 

 エクスレッグ「エクスッ!」

 

 ドォン!(ダグトリオが地面から飛び出してくる)

 

 ダグドリオ「ダァァグッ!」

 

 ドォォォン!

 

 ニャローテ「ニャッァ⁉︎」

 

 ロイ「ニャローテのジャンプした先に、ダグトリオが待ち構えていたんだ」

 

 ネモ「それだけじゃないよ。「ヘドロウェーブ」は強力な技だけど、味方まで巻き込む技だからね」

 

 アン「だから、ダグトリオに「あなをほる」を指示したんだ!」

 

 バトルが始まると、チリはダグトリオに「あなをほる」を指示し、ドオーに「ヘドロウェーブ」を指示した。ダグトリオが地面の中に潜ると、ドオーはヘドロの波を発生させ、ニャローテとエクスレッグを攻撃してきた。だが、「ヘドロウェーブ」が命中する瞬間、ニャローテとエクスレッグはジャンプして「ヘドロウェーブ」をかわした。しかし、ニャローテがジャンプした先にはダグトリオが待ち構えていて、ニャローテはダグトリオの攻撃を受けてしまう。

 

 チリ「ダグトリオ!「あなをほる!」ドオー、もう一回「ヘドロウェーブ」や!」

 

 ダグトリオ「ダグッ!」

 

 ドオー「ドオォォーーッ!」

 

 リコ「ニャローテ!「マジカルリーフ!」」

 

 ニャローテ「ニャーーッァ!」

 

 バァァァァン!

 

 ニャローテがダメージを受けると、チリはさっきと同じように、ダグトリオに「あなをほる」を指示し、ドオーに「ヘドロウェーブ」を指示した。そして、ダグトリオが地面の中に潜ると、ドオーはヘドロの波を発生させて、ニャローテを攻撃してきた。すると、リコはニャローテに「マジカルリーフ」の指示を出し、ニャローテは「ヘドロウェーブ」に向かって「マジカルリーフ」を放った。しばらくは「ヘドロウェーブ」と「マジカルリーフ」のぶつかり合いが続いたが、「ヘドロウェーブ」は「マジカルリーフ」を飲み込むと、そのままニャローテに向かって迫ってきた。

 

 リコ「ニャローテ、ジャンプして避けて!」

 

 ニャローテ「ニャッ!」

 

 ドォン!(ダグトリオが地面から飛び出してくる)

 

 ダグドリオ「ダァァグッ!」

 

 ニャローテ「ニャッァ⁉︎」

 

 リコ「しまった!これじゃさっきと同じ!」

 

 ニャローテ「ニャッァァ!」

 

 「ヘドロウェーブ」がニャローテに命中する瞬間、リコはニャローテにジャンプしてかわすように指示を出した。そして、ニャローテがジャンプして「ヘドロウェーブ」をかわすと、ニャローテがジャンプした先には、またダグトリオが待ち構えていた。するとニャローテは、胸のつぼみをダグトリオに向かって投げ飛ばし、ダグトリオの3つの頭の1つにつぼみを巻き付けた。つぼみを巻き付けられたダグトリオは驚き、つぼみを振り払おうとして頭を回し始めた。つぼみを掴んでいるニャローテが空中で振り回されてしばらくすると、ダグトリオは巻き付けられたつぼみからなんとか脱出した。そして、ダグトリオがつぼみから脱出したことで空中に放り出されたニャローテは、空中で1回転してバトルフィールドに着地した。ただ、その時足を痛めてしまったのか、ニャローテは少し涙を流していた。

 

 リコ「すごいよニャローテ!」

 

 ニャローテ「ニャッァ…」

 

 チリ「やるやん!でも、まだまだこれからやで!ダグトリオ「いわなだれ!」」

 

 ダグトリオ「ダァーーグッ!」

 

 ニャローテ「ニャッ…」

 

 ズキッ!

 

 ニャローテ「ニャッァ⁉︎」

 

 リコ「ニャローテ!」

 

 カエデ「エクスレッグちゃん!「じごくづき!」」

 

 エクスレッグ「スゥゥレェイ!」

 

 バァァァン!

 

 ニャローテ「ニャッァ…」

 

 エクスレッグ「スレッ…」

 

 ダグトリオが「いわなだれ」で攻撃してくると、ニャローテはジャンプして攻撃をかわそうとした。しかし、急に足に痛みが走ってしまい、ニャローテは足を止めてしまった。やはり、さっき空中から着地した時に、ニャローテは足を少し痛めてしまったのだろう。そして、そのまま「いわなだれ」がニャローテに命中するかと思われた時、カエデがエクスレッグに「じごくづき」の指示を出すと、エクスレッグは強烈な突きを「いわなだれ」に打ち込み、ダグトリオが放った岩を粉砕した。

 

 チリ「そうやすやすとは倒れへんか」

 

 リコ「…ふぅ。カエデさん、おかげで助かりました」

 

 カエデ「お互いに協力してバトルできるのが、タッグバトルのいいところ。リコさん、ドオーちゃんだけに気を取られていてはダメですよ。周りをよく見てください」

 

 リコ「…周りを見る」

 

 ニャローテ「…」

 エクスレッグ「…」

 

 ドオー「…」

 ダグトリオ「…」

 

 リコ「……」チラッ、チラッ

 

 チリ「自分、めっちゃ素直すぎるやろ」

 

 リコ「えっ⁉︎」

 

 カエデのサポートのおかげで、なんとか危機を脱したリコとニャローテ。リコはカエデに助けてもらったお礼を言うと、カエデはリコに、ドオーだけに気を取られず、周りをよく見るように言った。すると、リコはカエデに言われた通り、周りをよく見た。バトルフィールドのニャローテとエクスレッグ、その次はドオーとダグトリオ。そして、バトルフィールドの外を見た。そんなリコを見たチリは、リコにめっちゃ素直やなと言った。確かに、カエデはリコに周りを見るように言ったが、リコが関係のないバトルフィールドの外を見たことで、チリは思わずツッコミをした。

 

 カエデ「そこがリコさんのいいところなんですよ」

 

 チリ「なるほどな。もしかして自分、あれこれも余計なことばっか考える癖があるから、いつも頭ん中がぐちゃぐちゃと違うか?」

 

 リコ「それは…」

 

 真面目なところはリコの長所でもあるが、チリの言う通り、リコは頭の中で色々なことを考えてしまうことがあるため、それでよくパニックになることが多かった。そして、リコはチリに図星を突かれたことで、口ごもってしまう。

 

 チリ「ポケモンバトルの最中は余計なことを考えなくてええ。トレーナーもポケモンも、勝つために全力を出してぶつかり合う。それがポケモンバトルや!」

 

 リコ「……」

 

 チリ「そんなこと言われんでも、とっくに分かっとるわって顔やなぁ。…ポケモンバトルの目的が勝つことなら、うちらはなんでポケモンバトルをするんやと思う?」

 

 リコ「えっ?…か…勝つためです!」

 

 チリ「やっぱり自分、素直やなぁ…確かにそうなんやけど、そうやないんや」

 

 リコ「えっ?それってどういう意味ですか?」

 

 カエデ「きっとその答えは、バトルの先に見えてくることだと思いますよ」

 

 チリの言った言葉の意味が分からず、リコは少し混乱していた。確かにポケモンバトルをやろうとする者は皆、勝つためにポケモンバトルをしている。だから、勝つためにバトルをするというリコの答えは間違ってはいない。だがチリは、ポケモンバトルは勝つためだけではでないと言った。そしてその答えは、バトルの先に見えてくるとカエデはリコに伝える。

 

 チリ「まぁぐだぐだ言うたけど、今は勝つことだけ考えて、かかってこい!ちゅうことや」

 

 カエデ「チリさんもああ言ってますし。お言葉に甘えて、私たちも本気でバトルをしましょう」

 

 ニャローテ「ニャッァ!」

 

 リコ「ニャローテ」

 

 ニャローテ「ニャッァ…」

 

 リコ(ニャローテの気持ちが伝わってくる!)…「よし!今は勝つことだけ考える」

 

 チリ「ええ顔するやん。ほな、バトルを続けよか」

 

 チリやカエデにいろいろ言われたが、ニャローテがやる気になっているのが伝わってきたリコは、さっきチリに言われた通り、今は勝つことだけを考えることにしたようだ。そして、リコたちがバトルをしている頃、テラパゴスを追って行ったシンヤたちは…

 

 オレンジアカデミー・エントランスホール

 

 ドット「ハァ、ハァ、ハァ」

 

 シンヤ「たくっ、テラパゴスはどこに行ったんだ?」

 

 ピカチュウ「ピカッ?」

 クワッス「クワッ?」

 

 スタッスタッ(テラパゴスが歩いている)

 

 ピカチュウ「ピカッ!」

 クワッス「クワッス!」

 

 シンヤ「あっ、おい!」

 ドット「ちょっと待って!」

 

 テラパゴスを追いかけてきたシンヤとドットたちは、オレンジアカデミーのエントランスホールにやってきた。そして、シンヤたちがエントランスホールのどこかにいるテラパゴスを捜していると、ピカチュウとクワッスがテラパゴスを見つけた。どうやら、テラパゴスは鞄から顔を出しておらず、鞄の下の穴から手足を出して歩いているだけで、どこに向かって歩いているかは自分でも分かっていないようだ。テラパゴスが道を曲がって歩いて行くので、シンヤとピカチュウとクワッスは後を追って行った。ドットはあまり体力がないため、既に息切れをしていた。そのため、ドットはシンヤたちに追いつくのがやっとだった。

 

 シンヤ「歩いて冒険をしてるから、自然に体力がついたと思ってたんだがな。ドット、全然体力がついてないな」

 

 ドット「ハァ、ハァ、ちょっと休憩させて……んっ?マジか!『月刊オーカルチャー』めっちゃ揃ってる!これは、『特集!太古のポケモンたち!』これ読みたかったんだよな〜」

 

 シンヤ「……めっちゃ元気じゃないすか( ̄▽ ̄)」

 

 ピカチュウ「ピィーカ(ー ー;)」

 

 クワッス「クワッス!」

 

 ドット「おっと、そうだった。後で借りにこよう」

 

 テラパゴス「パーゴ!」

 

 ドット「えっ?」

 

 シンヤ「2階か…」

 

 ドットがエントランスホールの本棚にある、月刊オーカルチャーという本に夢中になっていると、2階からテラパゴスの鳴き声が聞こえてきたので、シンヤたちが階段を登って2階に行くと、イーブイを模したもふもふのバッグを背負っている人物がテラパゴスの入っている鞄を手に持っていた。その人物は、シンヤがよく知っている人物だった。

 

 シンヤ「《ボタン》!」

 

 ピカチュウ「ピィーカ!」

 

 ボタン「あっ、シンヤ、ピカチュウ。それと…」

 

 ドット「…ドット」

 

 ボタン「ああ、そうだった。…どうも」

 

 シンヤ「ボタン、その手に持っている鞄を渡してくれないか」

 

 ボタン「?この青い鞄のこと?」

 

 シンヤ「そうそう」

 

 ドット「その鞄、友達の鞄なんだ」

 

 ヒョコ(鞄からテラパゴスが顔を出す)

 

 テラパゴス「パーゴ!」

 

 ドット「あっ!」

 

 ボタン「…ポケモンが入ってたんだ」

 

 ドット「えっと…できればソイツのこと、ナイショにしてくれ」

 

 シンヤ「ボタン、俺からも頼む。ソイツを見たことは黙っててくれ」

 

 ボタン「なにかわけありなん?まぁ、シンヤの頼みならいいけど…あっ」

 

 テラパゴスの入っている鞄を持っていたのは、以前《ペパー》という少年と校長室に入ってきた、《ボタン》という少女だった。そして、シンヤがボタンにリコの鞄を返してくれるように頼むと、鞄の中からテラパゴスが顔を出した。すると、ボタンが何かに気づき、エントランスホールの1階を覗くと、ボタンはテラパゴスの入っている鞄を持ったまま、どこかに行こうとした。

 

 ドット「ちょっと、鞄を返してくれ!」

 

 ボタン「シッ!大きな声を出すなよ。…2人とも、こっちに来て」

 

 シンヤ「えっ?…ああ、分かった」

 

 ドット「あぁっ、もう…なんなんだよ!」

 

 ボタンがテラパゴスの入っている鞄をどこかに持って行こうとすると、ドットが大きな声を出して鞄を返すように言った。すると、ボタンはドットに大きな声を出さないように言うと、シンヤとドットにこっちに来るように言った。シンヤたちがボタンの後についていってる頃、リコたちはバトルを続けていた。

 

 グラウンドのバトルフィールド

 

 チリ「ドオー!「ヘドロウェーブ!」ダグトリオ!「あなをほる!」」

 

 ダグトリオ「ダグッ!」

 

 ドオー「ドオォォーーッ!」

 

 リコ「ニャローテ!鋭く「マジカルリーフ!」」

 

 ニャローテ「ニャアーーーッ!」

 

 バァァァン!

 

 リコ「やった!」

 

 チリ「やるやん!でも、これで終わりとちゃうで!」

 

 ドォン!(ダグトリオが地面から飛び出してくる)

 

 ダグトリオ「ダァァグッ!」

 

 リコ「ニャローテ!ジャンプしてかわして!」

 

 ニャローテ「ニャァッ!」

 

 ダァァァンッ‼︎

 

 ダグトリオ「ダグッ⁉︎」

 

 チリ「なっ!」

 

 リコ「マジカルリーフ!」

 

 ニャローテ「ニャアーーッ!」

 

 バァァァン

 

 ダグトリオ「ダァァグ⁉︎」

 

 チリがドオーに「ヘドロウェーブ」を、ダグトリオに「あなをほる」を指示すると、最初の時と同じ流れになっていた。しかし、リコがニャローテに鋭く「マジカルリーフ」と指示を出すと、ニャローテの放った「マジカルリーフ」はヘドロの波を真っ二つにした。すると今度は、ダグトリオがニャローテの足元から飛び出てきて攻撃してくるが、ニャローテはダグトリオを踏み台にして空中にジャンプすると、「マジカルリーフ」を放ってダグトリオを攻撃した。

 

 ロイ「やったぁ!攻撃が当たった!」

 

 アン「くさタイプの技は、ダグトリオには効果抜群!」

 

 ???「ふ〜ん。そういうふうに技を使うんだ」

 

 オモダカ「《グルーシャ》さんが誰かに興味持つとは、珍しいですね」

 

 グルーシャ「そう?」

 

 ニャローテの攻撃がダグトリオに命中すると、ロイたちは喜んでいた。そして、ロイたちとは違う席でリコたちのバトルを見ている1人の人物が、リコのバトルを興味深そうに見ていた。その人物はオモダカの隣に座っていて、《グルーシャ》と呼ばれていた。そのグルーシャという人物は、髪型は長髪で、水色のハーフアップに黄色のグラデーションをかけていた。肩の部分が特徴的な黄色のセーターを着こみ、モンスタボールがあしらわれたマフラーを口元まで上げて着用していた。その正体は、パルデア地方《ナッペ山》のジムリーダーで、こおりタイプの使い手である、パルデア地方最強のジムリーダーのグルーシャだった。

 

 カエデ「いい感じです!リコさん、チリさんと互角に戦えてますよ!」

 

 リコ「はい!」

 

 チリ「やるなぁ!じゃあチリちゃんも、少し本気出すで!ドオー!「マッドショット!」ダグトリオ!「いわなだれ!」」

 

 ダグトリオ「ダァァグッ!」

 

 ドオー「ドオォォーーーッ!」

 

 バァァァン!

 

 ニャローテ「ニャッァ⁉︎」

 

 バトルが始まった時は、ドオーとダグトリオの連携に苦戦したリコだったが、この数分間のバトルの間に、リコはチリといい勝負ができるまで成長していた。しかし、チリはまだ本気を出していないようだった。そして、チリがドオーに「マッドショット」を、ダグトリオに「いわなだれ」を指示すると、ニャローテは胸のつぼみを回して「マッドショット」を防いでいた。すると、ニャローテの上空から、ダグトリオが放った「いわなだれ」の岩が落ちてきて、ニャローテはダメージを受けてしまう。

 

 ニャローテ「ニャッァ!」

 

 リコ「すごい攻撃の数!このままじゃニャローテが!」

 

 カエデ「私が隙を作ります。エクスレッグちゃん!「とびかかる!」」

 

 エクスレッグ「スゥゥレーッ!」

 

 チリ「ドオー!ダグトリオ!エクスレッグを撃ち落としたれ!」

 

 ダグトリオ「ダグッ!ダグッ!ダグッ!」

 

 ドオー「ドオォォーーッ!」

 

 カエデ「今ですリコさん!」

 

 リコ「はい!ニャローテ!「でんこうせっか!」」

 

 ニャローテ「ニャッ、ニャッ、ニャッァ!」

 

 ニャローテがドオーとダグトリオの攻撃に苦戦していると、カエデは自分が隙を作ると言って、エクスレッグに「とびかかる」を指示した。そして、エクスレッグがドオーとダグトリオに飛びかかると、ドオーとダグトリオは、ニャローテからエクスレッグに狙いを変えた。すると、リコはカエデが作った隙を見逃さず、ニャローテに「でんこうせっか」の指示を出し、ニャローテはフィールドを走ってドオーに接近すると、ジャンプしてドオーに飛びかかった。

 

 ニッ(笑みを浮かべる)

 

 チリ「そうくると思ってたで!ドオー!「どくづき」や!」

 

 ドオー「ドオォォォーーッ!」

 

 ニャローテ「ニャッ⁉︎」

 

 リコ「ニャローテ!」

 

 カエデ「エクスレッグちゃん!」

 

 エクスレッグ「スゥゥレッ!」コクッ

 

 ダァァン!

 

 

 バァァンッ!

 

 エクスレッグ「スゥゥレッ⁉︎」

 

 ニャローテ「ニャッァ!」

 

 ニャローテが飛んでドオーに接近してくると、チリは一瞬笑みを浮かべた。そして、まるでこの展開を予想していかのような発言をすると、ドオーに「どくづき」の指示を出した。すると、ドオーの背中の白い模様が紫色に変わり、そこから紫色の突起物が出てきた。そして、そのままドオーの「どくづき」がニャローテに命中するかと思われた時、カエデがエクスレッグの名前を呼んだ。するとエクスレッグは頷き、カエデが何をしてほしいのか分かったのか、畳まれている3つめの後脚を伸ばして地面に下ろすと、その場からニャローテがいるところにまで飛んでいき、ニャローテを庇って「どくづき」の攻撃を受けた。

 

 グラウンド・観戦場所

 

 アン「ニャローテはダメージを受けずに済んだけど、エクスレッグが毒状態になっちゃった」

 

 ネモ「…わざと毒状態になったのかもね」

 

 ロイ「えっ?わざと?」

 

 ネモ「うん。もしかしたら、カエデさんのあれが見られるかもしれない」

 

 ゴゴゴゴッ(黄緑色のオーラが溢れる)

 

 エクスレッグ「スゥゥレッ‼︎」

 

 アン「えっ?何あれ?」

 

 ネモ「エクスレッグの特性《むしのしらせ》!自分の体力が少なくなると、むしタイプの技の威力が上がるんだ」

 

 ロイ「すごい!」

 

 ニャローテを庇ってドオーの「どくづき」を受けたエクスレッグは、毒状態になってしまった。そして、エクスレッグの体力は少しずつ減っていった。しかしその瞬間、エクスレッグの体から黄緑色のオーラが出てくると、エクスレッグの特性《むしのしらせ》が発動した。

 

 カエデ「リコさん、ごめんなさいね」

 

 リコ「えっ?」

 

 カエデ「私…もう我慢できそうにありません!」

 

 リコ「えぇっ⁉︎」

 

 カエデ「ここからは、私らしくバトルをさせてもらいます!エクスレッグちゃん!「むしのていこう!」」

 

 エクスレッグ「スレッグ!スゥゥレェェ!」

 

 チリ「カエデさんの本気、どれほどか見せてもらうで!ドオー!「マッドショット!」ダグトリオ!「いわなだれ!」」

 

 ダグトリオ「ダァァグッ!」

 

 ドオー「ドオォォーーーッ!」

 

 エクスレッグの特性が発動すると、カエデはさっきと別人のような顔つきに変わり、エクスレッグに「むしのていこう」を指示した。カエデが本気になると、チリはカエデの本気がどれほどのものかを確かめるために、ドオーに「マッドショット」を、ダグトリオに「いわなだれ」を指示した。そして、ダグトリオとドオーが技を放つと、エクスレッグはドオーとダグトリオの攻撃をかわしながら「むしのていこう」を放ち、ドオーとダグトリオにダメージを与えた。そして、「むしのていこう」の追加効果で、ドオーとダグトリオの特攻は1段階下がった。

 

 リコ「すごい…」

 

 ニャローテ「ニャアッ…」

 

 チリ「ドオー!ダグトリオ!耐えるんや!」

 

 カエデ「小さな虫の大きな力で、完膚なきまでに叩き潰してさしあげて!エクスレッグちゃん!「とびかかる!」」

 

 エクスレッグ「スゥゥゥーーレッ!」

 

 ダァァァン!

 

 ドォォォォン!

 

 ダグトリオ「ダァァァグ⁉︎」

 

 ドオー「ドオーーッ⁉︎」

 

 エクスレッグがたった1人でドオーとダグトリオに突っ込んで攻撃していると、リコとニャローテはその様子を静かに見ていた。そして、ドオーとダグトリオが「むしのていこう」に耐えていると、カエデは「とびかかる」の指示を出した。すると、エクスレッグは思い切りジャンプをして、ダグトリオとドオーにとびかかると、ドオーとダグトリオに蹴りを入れた。

 

 カエデ「そして!「とびはねる!」」

 

 エクスレッグ「スゥゥゥーーレッ!」

  

 ドォン!(ダグトリオが地面から飛び出してくる)

 

 ダグトリオ「ダァァァグ!」

 

 バァァァン!

 

 ダグトリオ「ダァァァグッ⁉︎」

 

 エクスレッグ「スレッ…スレッ…」

 

 バタンッ(エクスレッグが倒れる)

 

 キハダ「エクスレッグ、戦闘不能!」

 

 エクスレッグがドオーとダグトリオに蹴りを入れてダメージを与えると、カエデは「とびはねる」の指示を出した。エクスレッグは最後の力を振り絞って思いっきりジャンプをすると、ドオーに「とびはねる」攻撃をした。しかし、ドオーに攻撃が当たる瞬間、ダグトリオがドオーの目の前から飛び出し、代わりに「とびはねる」攻撃を受けた。そして、エクスレッグがダグトリオを弾き飛ばしたタイミングで、エクスレッグの体に毒がまわってしまい、エクスレッグの目が点滅すると、エクスレッグは戦闘不能になってしまった。

 

 カエデ「「どくづき」の毒がまわってきましたか。どうやら、ここまでのようですね」

 

 チリ「ドオー、ダグトリオ、よう耐えたで。…あっ」

 

 ダグトリオ「ダァァグッ…」

 

 シュルルーン

 

 カエデ「あ〜っ!全力でバトルするって気持ちいい!」

 

 リコ「カエデさん、すごいバトルでした!」

 

 カエデ「リコさん。ダグトリオは、エクスレッグちゃんの「とびはねる」攻撃を受けてまひ状態になっているから、しばらくは動けないでしょう。後はお願いします」

 

 リコ「はい!私もカエデさんみたいに、チリさんに思いっきりぶつかります!行くよニャローテ!」

 

 ニャローテ「ニャッァ!」

 

 リコ(不思議…今はニャローテの気持ちがよく分かる。エクスレッグみたいに、思いっきり戦いたいって気持ちが)

 

 「とびはねる」の追加効果で、ダグトリオはまひ状態になっているため、しばらく動けそうになかった。しかし、エクスレッグも戦闘不能になってしまったため、リコはカエデのサポートも受けられなくなってしまった。ここからは、リコ1人でチリと戦わなければならない。リコのバトルの実力も上がってきてはいるが、相手は四天王の1人、そう簡単に勝てる相手ではなかった。更に言えば、ドオーはどくタイプ、ニャローテはくさタイプだから、相性でも有利とは言えなかった。そしてその頃、テラパゴスを見つけたシンヤたちは…

 

 

 エントランスホール・2階

 

 シンヤ「そう言えば、あれからボタンはどうしてたんだ?」

 

 ボタン「あれからって?」

 

 シンヤ「俺がパルデア地方を出発した後だよ。キタカミの里から帰ってきた後、俺、カントー地方に旅立ったろ」

 

 ボタン「ああ、そのこと。シンヤがカントーに行った後、校長と理事長と約束した通り、うちはポケモンリーグのエンジニアしてて、学校のシステムを見てる。それに、テラスタル研修の登録システムも、うちがメンテしてるんだ」

 

 シンヤ「すごいな。テラスタル研修の登録システムまで管理してるのか」

 

 ドット「えっ?何?どういうこと?」

 

 シンヤ「ボタンはドットと同じように機械に強くて、ハッキングでは一流の腕前なんだ。そして、それがクラベル校長とオモダカさんに認められて、ポケモンリーグのエンジニアをやってほしいと頼まれているんだよ」

 

 ドット「えっ!すごいな!」

 

 ボタン「シーッ!」

 

 ドット「あっ、ごめん。…僕も色んなアプリを作ってるから、そういうの興味があって」

 

 ボタン「そうなん?」

 

 ピクッ

 

 ピカチュウ「ピィーカ!」

 

 シンヤ「どうしたピカチュウ?」…(あっ!アイツはあの時の!)

 

 ドット「どうしたんだ?」

 

 ボタンがポケモンリーグのエンジニアをしていると知ったドットは、自分が船のアプリを作ったりしているため、ボタンのやっていることに興味を持ち始め、ボタンからいろいろ話を聞きたいと思った。すると、シンヤの肩に乗っていたピカチュウが何かの気配を感じ取ったので、シンヤたちは手すり壁に顔を隠し、顔を静かに出して下を覗くと、1階には1人の黒人の女性がいて、その女性は一冊の本を読んでいた。

 

 ボタン「よかった。《アゲセン》、うちらがいることに気づいてない」

 

 シンヤ「アゲセン?そういう名前なのか?」

 

 ボタン「これ見て」

 

 スッ(ボタンのスマホロトム)

 

 シンヤはボタンからスマホロトムを見せてもらうと、そこには名前がアゲパンという、オレンジアカデミーの教師のプロフィールが載っていた。

 

 シンヤ「アゲパン先生って名前なんだ」…(そうか。オニキスとサンゴがオレンジアカデミーに入り込んだように、あの女もオレンジアカデミーに入り込んだのか)

 

 ボタン「アゲセンのデータだけ、うちの知らない間に登録されてた」

 

 シンヤ(…恐らく、サンゴたちをオレンジアカデミーの生徒に登録したのは、スピネルの仕業だろうな。ボタンがオレンジアカデミーのシステムを見ているというのに、スピネルの腕も侮れんな)

 

 ドット「気になるなら、本人に聞けばいいじゃん」

 

 ボタン「うち…そういうの無理だし…」チラッ(ドットを見る)

 

 ドット「…えぇ〜っ⁉︎僕だってそういうの無理だよ!」

 

 シンヤ(ドット、サンゴやオニキスの変装は見破ったのに、アイツの変装には気づいてないのか?)

 

 クワッス「クワッス!」

 

 エントランスホールの1階で本を読んでいる黒人の女性の正体は、以前エクスプローラーズがレックウザを捕獲する時にシンヤたちが遭遇した、エクスプローラーズの幹部の1人の《アゲート》だった。どうやら、アゲートはサンゴやオニキスと違って、教師としてオレンジアカデミーに潜入していて、アゲパンという偽名を使っているようだ。シンヤはアゲパンがアゲートの変装した姿だと気づいていたが、ドットはそのことに気づいていないようだ。すると、突然クワッスが大声を出した。シンヤたちがクワッスの隣を見ると、テラパゴスの入っている鞄がないことに気づいた。

 

 テラパゴス『パーゴ!』

 

 ドット「あっ、あんなところに!」

 

 シンヤ「まずい!」ダッ!

 

 シンヤたちがテラパゴスの入った鞄を探していると、テラパゴスの鳴き声が1階から聞こえてきた。そして、シンヤとドットが下を見てみると、テラパゴスが鞄に入っている状態で歩いているのを見つけた。しかし、テラパゴスのすぐ近くには、エクスプローラーズのアゲートがいる。もし今テラパゴスがアゲートに見つかれば、テラパゴスはアゲートに捕まるだろうとシンヤは考えた。そうはさせまいと、シンヤは急いで1階に降りていき、ドットもシンヤの後を追って1階に行った。

 

 エントランスホール・1階

 

 ヒョイ(鞄を拾う)

 

 シンヤ「あっぶねぇ!アイツに見つかったらアウトだった!」

 

 ピカチュウ「ピィーカ!」

 

 ドット「ハァ、ハァ、勝手にどっかに行くなよ」

 

 クワッス「クワッス…」

 

 アゲパン「あら?あなたたちは…」

 

 ドット「ど、どうも…」

 

 バッ(鞄を後ろに隠す)

 

 シンヤ「こ、こんにちは…」

 

 ピカチュウ「ピ、ピィーカ…」

 

 アゲパン「どうしたの?そんなに慌てて…」

 

 シンヤ「いえ、別に…」

 

 シンヤとドットは1階に降りてくると、鞄に入ったテラパゴスを回収した。すると、テラパゴスを回収したシンヤたちの目の前に、アゲートが歩いてきた。シンヤはテラパゴスの入った鞄を後ろに隠すと、アゲートに挨拶をして誤魔化そうとした。

 

 ドット「…先生は、『オーカルチャー』は好きですか?」

 

 アゲパン「…よみがえった太古の《ウルガモス》に、10億年前の《プリン》のウワサが書いてある本。…どれも、荒唐無稽な話ね」

 

 ドット「…確かにそうだけど。根も葉もないところにウワサ話は立たない。もしかしたら、本物の謎に繋がってる話があるかもしれない」

 

 アゲパン「それは同感ね。でも、世の中には知らないほうがいいことや、知られていけない謎もある…」

 

 ビクッ

 

 ドット「ッ!」

 

 クワッス「クワッ!」

 

 アゲパン「…かもしれないわね」

 

 アゲートがドットとクワッスを威圧するように見ると、ドットとクワッスはアゲートの威圧に怯んでしまう。

 

 スッ(本を本棚に戻す)

 

 アゲパン「またね」

 

 スタッスタッ

 

 ドット「どっかで見たことある気がするんだよな…」

 

 クワッス「クワッ?」

 

 シンヤ「アイツはエクスプローラーズの1人だよ。ほら、灯台で《チャーレム》を使ってたろ」

 

 ドット「あっ!アイツか!そういえば似てる!」

 

 シンヤ「ホントにアイツの正体に気づいてなかったのか…」

 

 アゲートはさっきまで読んでいた本を本棚に戻すと、どこかに歩いて行った。そして、ドットがアゲパンをどこかで見たことある気がすると言うと、アゲパンの正体は、以前チャーレムを使っていた、エクスプローラーズのトレーナーだとシンヤは言った。すると、ドットは灯台でアゲートと遭遇したことを思い出し、アゲパンとアゲートの顔が似ていることに気づいた。

 

 スッ(本棚から本を取る)

 

 シンヤ「《スカーレットブック》」…(あっ!そう言えば前に、《ブライア》さんがオリジナルのスカーレットブックを見せてくれて、塗りつぶされていなかったところを見せてもらったっけ。確かそこに、テラパゴスのことが書かれているはずだ)……「あった!このページだ!」

 

 テラパゴス「パーゴ!」

 

 ドット「テラパゴス、この絵が気になるのか?」

 

 テラパゴス「パーゴ!」

 

 アゲートがさっき読んでいた本は、《スカーレットブック》という本だった。シンヤはスカーレットブックを手に取ると、以前キタカミの里に行く時に知り合った、《ブライア》というブルーベリー学園の教師に見せてもらった、オリジナルのスカーレットブックのことを思い出した。そして、ブライアにスカーレットブックのあるページを見せてもらい、そのページにテラパゴスの絵が描かれていることを思い出すと、シンヤはスカーレットブックをめくっていき、あるページで手を止めた。そのページの右側に書いてある文字は黒く塗りつぶされていて、ところどころ読めなかったが、左側にはテラパゴスに似ているような、円盤の絵が描いてあった。

 

 ドット「これ、なんの絵だろう?」

 

 シンヤ「テラパゴスだ」

 

 ドット「これが!」

 

 ボタン「その本、《ヘザー》って博物学者が書いた本」

 

 

 わぁぁぁぁ!(盛り上がる声)

 

 

 シンヤ「あっ、やべ!リコの試合が終わっちまう!」

 

 ドット「そうだった!…あっ、ボタン…良ければその…連絡先を教えてくれないかな。今度会った時、色々話したいことがあるんだ」

 

 ボタン「別にいいけど…」

 

 ピッ(お互いの連絡先を交換する)

 

 シンヤ「ボタン、エリアゼロに行く時は、またよろしく頼む」

 

 ピカチュウ「ピッカッ!」

 

 ドット「じゃあ、またね!」

 

 ボタン「うん。じゃあまた」

 

 シンヤたちがスカーレットブックを読んでいると、交流戦を見て盛り上がっている人たちの声が、エントランスホールにまで聞こえてきた。そして、シンヤとドットはグラウンドに向かうとしたのだが、ドットはグラウンドに行く前に、ボタンに連絡先を教えてほしいと頼んだ。そして、ドットとボタンが連絡先を交換すると、シンヤとドットはリコのバトルを見るために、グラウンドに急いで向かった。

 

 

 シンヤ「あっ、そうだ!」ピッ

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ

 

 ???『おおっ、シンヤか』

 

 

 グラウンド・バトルフィールド

 

 リコ「ニャローテ!鋭く「マジカルリーフ!」」

 

 ニャローテ「ニャァーーッ!」

 

 チリ「ドオー!「マッドショット!」」

 

 ドオー「ドオォォーーッ!」

 

 ドォォォォン!

 

 リコ「でんこうせっか!」

 

 ニャローテ「ニャッ、ニャッ、ニャッ!」

 

 チリ「ドオー!「どくづき!」」

 

 ドオー「ドォォーーッ!」

 

 リコ「ニャローテ、つぼみを使ってかわして!」

 

 ニャローテ「ニャッァ!」

 

 バシッ!

 

 ドオー「ドオー⁉︎」

 

 ダァァァン!

 

 ドオー「ドオーーッ⁉︎」

 

 リコ「今のって…」

 

 カエデ「「アクロバット」です」

 

 リコ「すごいよニャローテ!「アクロバット」を覚えたんだね!」

 

 ニャローテ「ニャッァ!」

 

 シンヤたちがテラパゴスを見つけてグラウンドに戻っている頃、リコはチリといい勝負をしていた。というのも、エクスレッグの「むしのていこう」の追加効果でドオーの特攻が下がっていて、ニャローテの「マジカルリーフ」と同じ威力になっているからだった。そして、ニャローテは新技の「アクロバット」を覚えたことで、ドオーの「どくづき」をかわし、そのままドオーに蹴りを入れてダメージを与えることができた。

 

 シンヤ「ほぉ、ニャローテは「アクロバット」を覚えたのか」

 

 ロイ「あっ、シンヤ、ドット」

 

 アン「2人ともどこ行ってたの?」

 

 ドット「いなくなったテラパゴスを捜しに行ってて」

 

 

 

 チリ「くぅ〜っ!たまらんな!これじゃあ、もう「どくづき」は使えんな。ドオー!「マッドショット!」」

 

 ドオー「ドオォォーーーッ!」

 

 バンッ!

 

 ニャローテ「ニャッァ⁉︎」

 

 リコ「ニャローテ、大丈夫?」

 

 ニャローテ「ニャッァ!」

 

 リコ(やっぱり、チリさんは強い。こんなに強い人が、私と本気でバトルしてくれてるんだ)

 

 ニャローテが「アクロバット」を覚えたタイミングで、テラパゴスを捜しに行っていたシンヤたちがグラウンドに戻ってきた。そして、チリは「どくづき」を使っても、「アクロバット」でかわされると考え、ドオーに「マッドショット」を指示した。「マッドショット」はニャローテに命中したが、少し威力が下がっていたおかげで、ニャローテは少しのダメージを受けるだけで済んだ。

 

 チリ「…さっき、うちらはなんでポケモンバトルをするんやって聞いたやん?…その答えを言うてみい!リコ!」

 

 リコ「…夢中になれるからです!ポケモンバトルをやってると、ニャローテの気持ちが伝わってきます。ニャローテと一つになれる。それが楽しいからです!」

 

 ニャローテ「ニャッァーーッ!」

 

 リコ「ニャローテは、いつも本気でバトルをしてる。ニャオハの時から。…だから…私も本気で戦います!」

 

 チリ「そうや!夢中になれるから、相手と本気でポケモンバトルをする。それがポケモンバトルや!だから、本気でかかってきいや!」

 

 リコ「はい!」

 

 スッ(テラスタルオーブを取り出す)

 

 チリはリコに、うちらはなんでポケモンバトルをするんやと今一度聞くと、リコはポケモンバトルに夢中になれるからと答えた。そして、リコはチリと本気でバトルをするために、テラスタルオーブを取り出した。

 

 リコ「ニャローテ!満開に輝いて!」

 

 リコがテラスタルオーブを構えると、テラスタルオーブにエネルギーが蓄積されていき、チャージが満タンになると、リコはニャローテに向かってテラスタルオーブを投げ飛ばした。テラスタルオーブはニャローテの頭上でエネルギーを解放すると、ニャローテは結晶石に身を包み込んだ。そして、結晶石が弾け飛んだ時、そこには全身がクリスタル化し、頭に花の王冠を被るニャローテがいた。

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャッァァーーーッ!」

 

 スッ(テラスタルオーブを取り出す)

 

 チリ「ドオー!隆起せえ!」

 

 リコがニャローテをテラスタルさせると、チリはテラスタルオーブを取り出した。そして、チリがテラスタルオーブを構えると、テラスタルオーブにエネルギーが蓄積されていき、チャージが満タンになると、チリはドオーに向かってテラスタルオーブを投げ飛ばした。テラスタルオーブはドオーの頭上でエネルギーを解放すると、ドオーは結晶石に身を包み込んだ。そして、結晶石が弾け飛ぶと、そこには全身がクリスタル化し、頭に地球の断面の王冠を被るドオーがいた。

 

 

 (じめんテラスタイプ)ドオー「ドーーオーーーッ!」

 

 リコ「ニャローテ!「マジカルリーフ!」」

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャッァァーーーッ‼︎」

 

 チリ「ドオー!「だいちのちから!」」

 

 (じめんテラスタイプ)ドオー「ドオォォォーーーッ‼︎」

 

 バァァァァン!

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャッァ⁉︎」

 

 ドォォォォン!

 

 ニャローテ「ニャッァ…」

 

 バタッ(ニャローテが倒れる)

 

 リコはニャローテをテラスタルさせると、「マジカルリーフ」を指示した。すると、チリはドオーに「だいちのちから」を指示した。お互いテラスタルしたことで、くさタイプとじめんタイプの技の威力が上がっていたが、ドオーの「だいちのちから」はニャローテの「マジカルリーフ」を粉砕すると、そのままニャローテにダメージを与えた。そして、「だいちのちから」を喰らったニャローテは膝をつき、テラスタル化が解除されると、その場で倒れてしまう。

 

 キハダ「ニャローテ、戦闘不能!勝者チリ!」

 

 チリ「チリちゃんの勝ちや!」

 

 ドオー「ドオーーッ!」

 

 わぁぁぁぁ!

 

 シュルルーン

 

 リコ「ニャローテ…ありがとう」

 

 ポタッ、ポタッ

 

 リコ「あれ?…私…なんで?(涙)」

 

 最後の交流戦は、リコとカエデの負けで終わってしまった。そして、リコがニャローテをボールに戻すと、リコは自分の目から涙が流れていることに気づいた。今までバトルに負けても涙を流すことなどなかったので、リコはどうして自分が涙を流しているのか分からなかった。

 

 カエデ「本気でバトルをしたんですもの。ビターな涙は、宝物ですよ」

 

 カエデが涙を流して泣いているリコに近づくと、カエデはリコに寄り添って優しい言葉をかけた。そして、リコの近くにシンヤたちが歩いてきた。

 

 アン「リコ、いいバトルだったよ!」

 ネモ「実りある勝負だったよ!」

 ロイ「すごいバトルだったよ!」

 

 リコ「うん!私たちすごかった!」

 ロイ「リコがそう言うなんて…」

 ドット「珍しい…」

 リコ「フフッ…」

 

 シンヤ「目元が赤い」

 リコ「えっ?」

 

 シンヤ「それだけ涙が出たってことだ。そして、今回リコが流した涙は、チリさんにバトルに負けて悔しかったっていう、悔し涙だな」

 

 リコ「うん。私、今までバトルに負けても、悔しいなんて思ったことなかった。でも、さっきチリさんに負けて…すごく悔しかった」

 

 シンヤ「リコは目覚めてるのかもしれないな。ポケモンバトルに勝ちたいって気持ちが」

 

 ピカチュウ「ピィーカ!」

 

 リコ「勝ちたいって気持ち…」

 

 シンヤ「ああ。ポケモンバトルで相手に勝ちたいって気持ちだ」

 

 ポケモンバトルに負けて悔しい思いする。それは、ポケモンバトルをする者なら、誰でも一度は経験するものだ。リコは今まで何度もバトルに負けたことはあったが、悔しいと感じたことは一度もなかった。だからこそ、今日チリに負けて悔しいと感じたリコは、もっと強くなるとシンヤは思った。

 

 チリ「まあ、チリちゃんの方が、一枚上手やったてことやな」

 

 リコ「チリさん、ありがとうございました!私、今日初めて悔しいって気持ちになりました。それに、前よりポケモンバトルがずっと好きになりました」

 

 チリ「そっか。リコ、またバトルをする日を楽しみにしてるで」

 

 リコ「はい!」

 

 チリ「さて、次は自分の番やな。シンヤ」

 

 シンヤ「ええ、分かってます」

 

 リコ「シンヤ、頑張ってね!」

 

 アン「生で見るシンヤのバトル、楽しみにしてるからね!」

 

 ドット「シンヤのフルバトル、しっかり見せてもらうよ」

 

 ロイ「絶対シンヤが勝つって信じてるよ!」

 

 ネモ「熱いバトルを期待してるよ!」

 

 シンヤ「ああ。みんなありがとな。さあ、行こうぜピカチュウ!」

 

 ピカチュウ「ピィーカ!」

 

 リコたちに応援されたシンヤは、スグリとバトルをする準備を終えると、バトルフィールドの中央の左右の位置へと移動し、スグリもバトルフィールドの中央の左右の位置に歩いてきた。

 

 シンヤ「……」

 

 スグリ「……」

 

 

 To be continued

 

 

 次回予告

 

 

 遂に始まったシンヤとスグリのフルバトル。シンヤもスグリもお互いに全力でぶつかり合い、ポケモンたちも激しくぶつかり合う。果たして、シンヤとスグリのバトルの先に、一体何があるのだろうか?

 

 次回「シンヤVSスグリ!」

 





 いよいよ次の話は、シンヤとスグリがフルバトルをするオリジナルの話になります。
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