ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり 作:通りすがりのポケモントレーナー
オーリムAIとフトゥーAIに案内され、ゼロラボの最下層にやってきたシンヤたちは、カプセルの中で冷凍保存状態になっている、オーリム博士とフトゥー博士を見つけた。その後、突然オーリムAIとフトゥーAIが暴走すると、パラドックスポケモンたちを繰り出してシンヤたちに襲いかかってきた。しかし、シンヤは幼馴染であるリュウガと一緒にオーリムAIとフトゥーAIと戦い、リコから借りたテラスタルオーブを使ってパルキアをテラスタルさせると、激闘の末、暴走したオーリムAIとフトゥーAIに勝利した。その後、ディアルガの時を操る力によって、オーリム博士とフトゥー博士は一命を取り留め、ペパーたちは親子は家族の絆を取り戻した。そして、シンヤがウガツホムラとタケルライコをゲットした後、オーリム博士とフトゥー博士を連れたシンヤたちは、全員でオレンジアカデミーに戻ってきた。
オレンジアカデミー・エントランスホール
チラッ(オレンジアカデミーの教師たちがシンヤたちを見る)
リコ「なんか、オレンジアカデミーの先生たち、みんなこっちを見てるね」
シンヤ「ああ」…(今まで行方不明だったオーリム博士とフトゥー博士がここにいるんだから、みんなびっくりするはずだよな」
シンヤたちがオレンジアカデミーに到着し、エントランスホールを歩いて校長室に向かっていると、エントランスホールにいるオレンジアカデミーの教師たちがシンヤたちを見ていた。…いや、シンヤたちを見ていると言うより、正確には、オーリム博士とフトゥー博士を見ていると言う方が正しい言い方だろう。
ジニア「校長!」
クラベル「あっ、ジニア先生」
ジニア「どうして行方不明のオーリム博士とフトゥー博士が、校長たちと一緒にいるんですか?」
クラベル「そのことについては、後で私から、皆さんに詳しく説明します」
クラベルにそう言われると、ジニアは分かりましたと言ってその場を後にした。その後、校長室にやってきてシンヤは、ディアルガとパルキアが自分がゲットしたポケモンであることと、リコの鞄の中にテラパゴスが入っていた理由をオーリム博士とフトゥー博士に説明し、リュウガとミコには、リコと出会ってから今日までしてきた冒険の話をした。
オーリム博士「なるほど。リコ君のおばあさんが持っていたペンダントがテラパゴスにね」
フトゥー博士「それで、テラパゴスはリコ君の鞄の中にいたのか」
リコ「はい」
テラパゴス「パーゴ!」
リュウガ「シンヤ、お前リコと出会ってからそんな冒険をしてたのか」
シンヤ「まあな」
ミコ「にしても、マツブサたちが脱獄してたなんてね」
シンヤ「ああ、俺も奴らに再会した時はびっくりしたよ。…そうだ。オーリム博士、フトゥー博士、体調の方はどうですか?」
オーリム博士「ああ、問題ないよ」
フトゥー博士「君のビクティニが、僕たちにエネルギーを分けてくれたおかげだ」
シンヤ「それはよかった。…あの、2人に聞きたいことがあるんですけど」
オーリム博士「ん?」
フトゥー博士「何かな?」
シンヤ「博士たちが作ったタイムマシンは完全に機能を停止したから、もうこれで、古代と未来の世界からパラドックスポケモンたちが来なくなりましたけど、エリアゼロに残ったパラドックスポケモンたちが、エリアゼロに張り巡らせているバリアを突破して、このパルデア地方にはびこることも考えられます。だから、それをどうするのか2人に聞いておきたくて」
オーリム博士「その事なら大丈夫。これから私とフトゥーは、エリアゼロにいるパラドックスポケモンたちがパルデア地方にはびこることがないように、より強いバリアを作るつもりだ」
フトゥー博士「今回の件で、古代と未来の世界のポケモンがどれだけ危険か、そのことがよく分かったからね」
シンヤ「…そうですか」
オーリム博士とフトゥー博士は、自分たちが作ったタイムマシンが原因で命を落としかけたのだ。…いや、そればかりか、2人が作ったタイムマシンが原因で、このパルデア地方は壊滅し、パルデアに住んでる多くの人間やポケモンたちの命が失われる可能性あった。そう痛感した2人は深く反省すると、もう2度とこんな事が起きないように、古代と未来のポケモンをこの世界に連れてくるのは止めようと、そう固く決意するのだった。
シンヤ「…でも、ちょっと残念だな」
ピカチュウ「ピカッ?」
全員「「「えっ?」」」
シンヤ「だってさ、古代と未来の世界には、まだまだ俺たちの知らないたくさんのパラドックスポケモンたちがいることが分かったんだ。タイムマシンが機能停止したから、もうパラドックスポケモンたちが増えることはないけど、まだ見たことのないパラドックスポケモンたちが見られなくなったと思うと、ちょっと残念だなぁって」
シンヤがそう言うと、校長室にいた全員は、シンヤの発言にポカンとしていた。
オーリム博士「ぁ…」
フトゥー博士「ぁぁ…」
リコ「シンヤァァ…」
ヴィヴィアン「あのねぇ…」
ミコ「…バカ」
リュウガ「ほんと、お前はポケモンバカだな」
オーリム博士「…そうだ。シンヤ君。私とフトゥーから、君に渡したいものがある」
シンヤ「えっ?」
フトゥー博士「スマホロトムを出してくれ」
シンヤ「あっ、はい」
スッ(スマホロトムを取り出す)
ピッピッ(フトゥー博士が自分のスマホロトムをタッチする)
ピロロ〜ン(フトゥー博士からデータが送られてくる)
シンヤ「何ですか、これ?」
フトゥー博士「君のスマホロトムに、私とオーリムが今まで集めた、全てのパラドックスポケモンの情報が入っているデータを送ったんだ」
オーリム博士「そのデータには、パラドックスポケモンたちが覚える技や、パラドックスポケモンたちの詳しいことが細かく書いてある。もちろん、コライドンやミライドン。それに、ウガツホムラとタケルライコのデータもある」
シンヤ「えっ!本当ですか⁉︎」
オーリム博士「あとそれから、これを受け取ってくれ」
スッ(大きな袋を前に差し出す)
シンヤ「袋?」
ピカチュウ「ピカ?」
オーリム博士「袋に入っている中の物を見てくれ。恐らく君に必要な物だと思う」
シンヤ「えっ?」
フトゥー博士からパラドックスポケモンの情報が入っているデータを受け取ると、シンヤはオーリム博士から大きな袋を受け取り、袋の中に入っている物を確認した。
シンヤ「こ、これは!」
オーリム博士から渡された袋の中に入っていたのは、ダイヤモンドの塊のような藍色の光り輝く大きな珠と、大きな真珠のようなピンク色の光り輝く大きな珠だった。
シンヤ「これは!“だいこんごうだま”と“だいしらたま”!」
リコ「シンヤ、それが何か知ってるの?」
シンヤ「ああ。これは、ディアルガとパルキアの本来の姿である《オリジンフォルム》になるために必要な道具なんだ。…でも、どうして2人がこれを?」
フトゥー博士「見つけたのさ、偶然にね」
シンヤ「見つけた?」
オーリム博士「ゼロラボよりさらに下にある《ゼロの大空洞》という場所でね。…そして、その大空洞の奥で、私とフトゥーは見たんだ」
シンヤ「見たって、何をですか?」
フトゥー博士「テラパゴスをさ」
シンヤ「えっ!?」
リコ「テラパゴスを⁉︎」
テラパゴス「パーゴ?」
フリード「本当にテラパゴスを見たんですか!」
オーリム博士「ああ。恐らく、リコ君の鞄の中に入っているテラパゴスとは違う、別の固体のテラパゴスだと思うが」
フトゥー博士「しかも、僕たちがその大空洞内を探索していると、見たことのないテラスタル現象が起きていてね」
シンヤ「見たことのないテラスタル現象?」
フトゥー博士「ああ、大空洞にいるテラパゴスの影響なのか。あれはまるで、全てのタイプを宿したようなテラスタルだった。僕とオーリムは、そのテラスタイプを《ステラタイプ》と呼ぶことにしたんだ」
シンヤ「ステラタイプ…」
オーリム博士から渡された袋の中に入っていたのは、ディアルガとパルキアを本来の姿である《オリジンフォルム》にするために必要な道具である、《だいこんごうだま》と《だいしらたま》という物だった。さらに、オーリム博士とフトゥー博士がこれを見つけた場所は、かつてテラパゴスが目撃されたいう、《ゼロの大空洞》と呼ばれる場所だった。しかも、オーリム博士とフトゥー博士はゼロの大空洞の奥の方で、リコの鞄の中に入っているテラパゴスとは別の固体である、野生のテラパゴスを目撃したという。そして、ゼロの大空洞では、《ステラタイプ》というテラスタル現象が見られるらしい。
シンヤ「あの、オーリム博士とフトゥー博士は、テラパゴスのことや、ステラタイプのことをどこまで知っているんですか?なにか他にも知っていることがあれば、色々と教えてほしいんですけど」
フトゥー博士「残念ながら、僕とオーリムも、ステラやテラパゴスのことは詳しく知らないんだ」
オーリム博士「私とフトゥーは、ゼロの大空洞の奥で偶然テラパゴスを発見し、そのテラパゴスを元にテラスタルオーブを作り出しただけだからね。ステラタイプのことに関しても、私たちが勝手にそう呼んでいるだけだから」
どうやら、オーリム博士とフトゥー博士は、ゼロの大空洞の奥で野生のテラパゴスを目撃し、そのテラパゴスを元にテラスタルオーブを作り出しただけなので、テラパゴスやステラタイプのことはあまり詳しく知らないようだ。
シンヤ「そうですか…」
オーリム博士「すまない。あまり力になれなくて」
シンヤ「いえ、いいんです。パラドックスポケモンたちの情報が入っているデータと、だいこんごうだまとだいしらたまが手に入っただけでも、俺にはラッキーでしたから」
フトゥー博士「またなにか分かったら、君のスマホロトムに情報を送るよ」
シンヤ「ありがとうございます」
オーリム博士「礼を言わなければならないのは、私とフトゥーの方だ」
フトゥー博士「私たちが作り出したタイムマシンが原因で、多くの人に迷惑をかけるところだったからね」
オーリム博士「それに、私とフトゥーはこんなことで、君が私たちを救ってくれたことや、ペパーとマフィティフまで救ってくれたことに対して報いきれるとは思っていない」
シンヤ「…いいですよ、そういうのは。全部俺がやりたいようにやっただけだし。2人がくれたパラドックスポケモンの情報と、このだいこんごうだまとだいしらたまは、今後の冒険のために、有り難く使わせてもらいますけどね」
オーリム博士「ぁ…」
フトゥー博士「……フッ」
リュウガ(…フッ)
ミコ・リコ((フフッ))
シンヤがそう言うと、みんな最初はポカンとした顔をしていたが、次第に笑みを浮かべていた。
オモダカ「オーリム博士、フトゥー博士、私からも、お二人に聞きたいことがあるのですが」
オーリム博士「はい?」
フトゥー博士「何でしょうか?」
オモダカ「お二人は、バリアを作り終えたあとのことはお決まりなんでしょうか?」
オーリム博士「いえ、まだそこまでは」
フトゥー博士「決まってませんね」
オモダカ「でしたら、バリアを作り終えたあと、もしお二人がよろしければ、お二人の力を借していただけませんか?」
オーリム博士「私たちの力を?」
オモダカ「ええ。オーリム博士とフトゥー博士は、テラスタルオーブを作り出せる程の人物です。まだ我々は、テラスタルについて分からないことが多すぎます。ですから、テラスタルのことについて詳しいお二人に、ぜひ、テラスタルの研究を手伝ってもらいたいのです。パルデアの未来のために」
オーリム博士とフトゥー博士は、テラパゴスを元にテラスタルオーブを作り出した程の人物たちだ。テラスタルに1番詳しい人物も、博士たちを措いて他にはいないだろう。それに、テラスタルの研究を進めるなら、これほど頼りになる人物はいないと言える。だからこそ、オモダカはパルデアの未来のために、テラスタルの研究を手伝ってほしいと2人に頼んだのだ。
フトゥー博士「大変ありがたいお話しなのですが、しばらく時間をもらっても構いませんか?」
オモダカ「と言いますと?」
オーリム博士「ここにいる皆さんはご存知かと思いますが、私とフトゥーは研究ばかりに夢中になり、幼いペパーを残し、エリアゼロで研究を続けていました」
フトゥー博士「ですから。私とオーリムはバリアを作り終えたあと、ペパーと一緒に、失った家族の時間を取り戻していきたいのです」
ペパー「母ちゃん、父ちゃん」
オーリム博士「もし、ペパーが私たちを許してくれるなら、私たちはそうしたいのです」
ペパー「母ちゃん、父ちゃん…」チラッ(シンヤを見る)
シンヤ「ん?……フッ、ペパー、決めるのはお前だ」
ペパー「シンヤ……うん。俺も、母ちゃんと父ちゃんと一緒に、失った時間を取り戻したい」
オモダカ「…フッ、分かりました」
クラベル「シンヤさん、今日は本当にありがとうございました。やはり、あなたに同行をお願いしてよかった」
シンヤ「いえ、今回はリュウガの力も借りましたし」
クラベル「そうでしたね。リュウガさん、今日はありがとうございました」
リュウガ「いえ、2人を助けたのは、シンヤのディアルガですから」
クラベル「…できれば、あなたたち2人に、なにかお礼がしたいのですが」
シンヤ「ああ、そういうのは別にいいですよ。俺たちはお礼が目的で戦った訳じゃないし。…なっ」
リュウガ「ええ。別に気にしないでください」
クラベル「しかし、こちらからシンヤさんに同行をお願いし、リュウガさんにも助けていただきましたから、なにかお礼がしたいのですが」
シンヤ「…だったら、リコたちの応用テストが終わったら、ポケモンリーグのバトルフィールドと、テラスタルオーブを1つ貸してくれませんか?」
クラベル「ポケモンリーグのバトルフィールドと、テラスタルオーブをですか?」
シンヤ「ええ。広いバトルフィールドでリュウガとフルバトルをしたいから、ポケモンリーグのバトルフィールドを貸してほしいんです。それで、俺がリュウガとフルバトルをする時に、リュウガにテラスタルオーブを貸してほしいんですけど」
リュウガ「ぉ…」
クラベル「…理事長、構いませんか?」
オモダカ「ええ、もちろん構いません。ただ、シンヤさんとリュウガさんのそのフルバトル、我々にも観戦させていただけませんか?」
シンヤ「俺はいいですけど、リュウガは?」
リュウガ「バトルを観戦するのが、ここにいる人たちだけというなら俺は構いませんけど」
オモダカ「分かりました。では、テラスタル研修が終わった次の日に、ポケモンリーグの会場で、シンヤさんとリュウガさんのフルバトルを観戦させていただきます」
クラベル「テラスタルオーブも、その時にリュウガさんにお渡しします」
リュウガ「ありがとうございます」
クラベル「それとシンヤさん、今日のエリアゼロでの出来事なんですが」
シンヤ「ディアルガがオーリム博士とフトゥー博士を救ったことですか?」
クラベル「はい。シンヤさんとの約束通り、その事は誰にも言わないことは約束します。ただ、オレンジアカデミーの教師である皆さんには、今日のことを話しておきたいのです。オレンジアカデミーの教師である皆さんは、以前シンヤさんがエリアゼロに行ったことや、ゼロラボにあるタイムマシンの存在もご存知ですから」
シンヤ「…分かりました。オレンジアカデミーの先生たちに話すだけなら」
クラベル「ありがとうございます。…ここにいる皆さんも、今日の出来事は他言無用でお願いします」
全員「「「はい」」」
クラベル「それと、スグリさん、ゼイユさん、今日はご迷惑をおかけしました」
ゼイユ「あっ、いえ。私たちなにもしてないし。ねっ、スグ」
スグリ「……うん」
クラベル「…さて、本当はまだ話したいことがあるのですが、それはまた今度にしましょう。皆さんも、今日のことでお疲れでしょうし。2日後には、リコさんたちも応用テストを受けなければなりませんからね」
リコ「あっ」
ロイ「そうだった」
クラベルはこのあと、今日ゼロラボであったこと全てをオレンジアカデミーの教師に知らせなければないため、校長室にいたメンバー全員は解散し、全員エントランスホールに向かった。そして、テラスタル研修が終わった後、シンヤとリュウガは、ポケモンリーグのバトルフィールドでフルバトルをすることに決まり、その試合の間だけ、リュウガはテラスタルオーブを借りられることになった。
クラベル「しかし、今日は本当に驚くことばかりでした」
オモダカ「ええ。オーリム博士やフトゥー博士が生きていたことも、神と呼ばれしポケモン、ディアルガの持つ力や、はかいポケモンのイベルタルの力。そして、シンヤさんのキズナゲッコウガ。とても興味深いことばかりでした」
クラベル「そうですね」
コンコンッ(扉を叩く音)
クラベル「どなたですか?」
アゲパン『アゲパンです。入っても構いませんか?』
クラベル「ああ、アゲパン先生ですか。どうぞお入りください」
ガチャ(扉を開ける音)
アゲパン「失礼します」
クラベル「どうしました?」
アゲパン「クラベル校長にお渡しした、私の鞄を取りに来たのですが」
クラベル「ああ、これのことですね」
スッ(アゲパンの鞄を渡す)
アゲパン「…鞄が軽いですね」
クラベル「実は、エリアゼロに行った時にトラブルが起きてしまって、鞄の中に入っていた傷薬を全て使ってしまったのですが…」
アゲパン「そうでしたか」
クラベル「申し訳ございません」
アゲパン「構いません。…では、私はこれで」
バタンッ(扉を閉める)
アゲパン「………フッ」
オレンジアカデミー・エントランスホール
オーリム博士「ではシンヤ君、コライドンとミライドンのことをよろしく頼む」
シンヤ「はい」
ペパー「シンヤ、今日は本当にありがとうな。この借りは、いつか必ず返すぜ」
シンヤ「初めて出会った時に、コライドンとミライドンのモンスターボールを貰ったから、それでチャラってことでいい」
ペパー「いや、それじゃあ俺の気が済まない。いつかちゃんとした形で借りを返す」
シンヤ「……フッ、分かった。貸しにしておくぜ」
ペパー「おう!」
ネモ「シンヤ、今度会った時はバトルをやろうね!」
シンヤ「ああ、分かった」
ボタン「シンヤ、またね」
シンヤ「ああ、またな」
シンヤたちがエントランスホールにやってくると、オーリム博士はシンヤに、今まで一緒に暮らしてきたコライドンとミライドンのことをよろしくと頼んだ。これで正式に、コライドンとミライドンはシンヤのポケモンということになった。そして、ペパーたち家族とネモとボタンは、それぞれシンヤに言いたいことを伝えると解散した。
フリード「…ところでシンヤ、お前にはいくつか聞きたいことがあるんだが」
シンヤ「…俺のディアルガとパルキアの事だろ?」
フリード「もちろんそれも聞きたいが。さっき、リュウガはゼロラボでこう言ってたよな。『俺たちがヒスイ地方に行った時か』って、あれってどういう意味なんだ?あれじゃあ聞き方によっては、お前とリュウガが、ヒスイ地方に行ったことがあるような言い方に聞こえるぞ」
シンヤ「…分かった、詳しく話すよ。…けど、その話をする前に、どこかで飯にしようぜ」
グウウウウ〜(シンヤの腹の虫の音)
シンヤ「もう19時だし、そろそろ飯を食いたい」
ピカチュウ「ピッカピカ…」
リュウガ「そういや、俺たちも昼からなにも食べてなかったな」
ミコ「そうだね。どこかでご飯を食べたいな」
フリード「だったら、この前のレストランで夜飯にするか」
シンヤ「じゃあ、話は飯は食いながらってことで」
ルッカ「フリード君、私たちも一緒に行っていい?」
フリード「もちろん、構いませんよ」
アレックス「ありがとうございます。実は、シンヤ君と話したいことあって」
シンヤ「えっ?」
アレックス「芸術祭の時は、忙しくて君と話せる時間が無かったからね。それに、明日は仕事があるから、できればこのあと、君と話しがしたいんだ」
シンヤ「はい、別にいいですけど」
フリード「…えっと、スグリとゼイユだったな。お前たちはこの後どうするんだ?」
ゼイユ「私とスグは、他のブルーベリー学園の生徒と一緒にご飯を食べるから、ここに残ります」
フリード「そうか。じゃあ、早速レストランに行…」
スグリ「シンヤ!」
シンヤ「ん?どうした、スグリ?」
スグリ「あの……2人で話したいことがある」
シンヤ「……分かった」
ゼイユ「スグ…」
リコ「…」
シンヤたちがレストランに向かおうとすると、スグリがシンヤと2人で話したいことがあると言い出したので、シンヤはリコたちに先にレストランに行っててくれと言った。そして、リコたちがレストランに向かうと、シンヤとスグリはオレンジアカデミーのグラウンドにやってきた。
オレンジアカデミー・グラウンド
シンヤ「…」
スグリ「…」
グラウンドの物陰
リコ「…」
ゼイユ「リコ」
リコ「わっ⁉︎」
ゼイユ「シーーッ!」
リコ「ゼイユ、何でここに?」
ゼイユ「シンヤとスグのことが気になって。…そっちは?」
リコ「…私も、2人のことが気になって。だから、後でシンヤと一緒にレストランに行くからって、お母さんたちに先にレストランに行ってもらったの」
リコはゼイユに初めて出会った時に、シンヤとスグリの関係を聞いていたので、スグリがシンヤに2人で話したいことがあると言い出した時から2人のことが気になっていたので、シンヤとスグリの後を追ってグラウンドにやってくると、物陰からシンヤとスグリの様子を見ていた。しかし、シンヤとスグリのことが気になっていたのはゼイユも同じだったため、ゼイユもリコと同じように、シンヤとスグリの後を追ってきたのだ。そして、リコとゼイユは目的が同じなため、グラウンドの物陰に隠れてシンヤとスグリの様子を黙って見ていた。
シンヤ「でっ、お前の話ってなんだ?」
スグリ「あの、その……シンヤ、今まで……ゴメン!」
シンヤ「えっ?」
リコ・ゼイユ「「ぁ…」」
スグリ「俺が今までしてきた態度…よくなかった。…俺、ずっとシンヤに憧れてて……主人公みたいなシンヤみたいになりたくて…それで……焦ってたんだ。…でも、今日のエリアゼロでの出来事を見たら……俺にはやっぱり……シンヤみたいにはなれないって思ったんだ」
シンヤ「スグリ…」
リコ「…」
ゼイユ「…ったく!本当にバカな……バカな弟なんだから……やっと…素直になれたじゃん。(涙)」
リコ「フフッ、よかったね」
ゼイユ「うん。ありがとう」
シンヤと一緒にグラウンドにやってきたスグリは、今まで自分がしてきた態度のことをシンヤに謝り、主人公みたいなシンヤに憧れていて、ずっとシンヤみたいになりたかったという、自分の嘘偽りのない素直な気持ちをシンヤに伝えた。そして、そんなシンヤとスグリの様子を見ていたゼイユは涙を流し始め、リコはゼイユによかったねと言ったのだった。
スグリ「俺、リーグ部のみんなとか、今まで迷惑かけた人たちに、ちゃんと……ちゃんと謝りたい。…シンヤにも…本当に今までゴメン‼︎」ペコッ(頭を下げる)
シンヤ「…」
スグリ「自分勝手なことを言ってるってのは、自分でも分かってる。だけど……ええっと……その……俺、やり直したいんだ」
シンヤ「…」
スグリ「だから…もし…もし…シンヤが、俺のことを許してくれるなら。…また……俺と……俺と友達になってほしい!」
シンヤ「ぉ…」
自分の素直な気持ちをシンヤに伝えたスグリは、リーグ部のみんなや、今まで迷惑をかけた人たちにちゃんと謝りたいとシンヤに伝えると、今まで自分がしてきたことをシンヤに謝り、もしシンヤが許してくれるなら、もう一度シンヤに友達になってほしいと伝えた。今まであんなひどい態度を取ってきて、虫のいいことを言ってるというのはスグリも分かっている。そして、スグリの本心を聞いたシンヤは…
シンヤ「……フッ、何言ってんだよ。俺とスグリはもう友達だろ」
スグリ「えっ?」
シンヤ「キタカミの里で別れてからも、俺たちが友達なのは変わってない」
ピカチュウ「ピッカチュウ!」
スグリ「………う、うわあああああああん‼︎(涙)」
シンヤ「えっ⁉︎なんで泣くんだよ⁉︎」
ピカチュウ「ピカァ⁉︎」
ゼイユ「うわあああああん‼︎(涙)」
シンヤ「えっ?…あっ!リコ!ゼイユ!」
リコ「あっ、シンヤ」
シンヤ「なんでお前らがここに⁉︎」
リコ「ゴメン。シンヤとスグリさんのことが気になっちゃって、2人の後を追ってきたの。そしたら、ゼイユとここで偶然会って。それで、2人でシンヤとスグリさんの様子を見てたら、ゼイユが急に泣き出しちゃって」
シンヤ「ええっ⁉︎」
ピカチュウ「ピカァ⁉︎」
スグリ・ゼイユ「「うわあああああん‼︎(涙)」」
シンヤがスグリに、俺たちが友達なのは変わっていないと言うと、スグリは突然大きな声で泣き出してしまう。すると、物陰からシンヤたちの様子を見ていたゼイユが、突然スグリと同じように大きな声で泣き出すと、シンヤはリコとゼイユが物陰に居ることに気づいた。そして、スグリとゼイユは数分間泣き続けると、涙を全て出し切ったのか、泣くのを辞めたのだった。
スグリ「姉ちゃん、あの…」
ゼイユ「もういいよ。オーガポンと会ったことを黙ってた私も悪かったし」
スグリ「うん」
ゼイユ「…シンヤ、本当にありがとう。これで、リーグ部も昔みたいに戻ると思う」
シンヤ「ああ」
スグリ「…シンヤ…あの」
シンヤ「もういいよ。俺に謝るより、他に謝る人たちがいるだろ?」
スグリ「……うん。…明日、リーグ部のみんなにちゃんと謝って、ブルーベリー学園に戻ったら、リーグ部を辞めた人たちにも謝る。…みんなに許してもらえるかは分かんないけど、みんなに……ちゃんと謝りたいから」
シンヤ「…フッ、そっか」
スグリ「それと、もしよかったら、シンヤのフルバトル、俺たちも見ていいかな?」
シンヤ「ああ、もちろん」
スグリ「そっか。よかった」
リコ「フフッ」
ゼイユ「…あっ、シンヤ、リコ、アンタたち、お母さんたちとレストランに行くんでしょ?もうそろそろ行ったら?」
リコ「あっ、そうだね。シンヤ、そろそろ行こう」
シンヤ「そうだな。じゃあ、俺たち行くわ」
ゼイユ「うん」
スグリ「シンヤ、リコさん、じゃあまた」
リコ「うん。じゃあまたね」
シンヤ「またな」
ピカチュウ「ピカピィーカ!」
こうして、シンヤとスグリが和解すると、シンヤとリコは、フリードたちが向かったレストランに向かい、スグリとゼイユは、オレンジアカデミーの食堂に向かうのだった。
テーブルシティ・レストラン
ロイ「遅いよ2人とも!」
ドット「何してたんだ?」
シンヤ「ああ、ちょっと色々とな。なっ、リコ」
リコ「うん。ちょっと色々ね」
全員「「「ん?」」」
シンヤとリコがレストランにやってくると、ドットが2人に何をしてたんだと聞いたので、シンヤとリコは、ちょっと色々と答えた。すると、シンヤとリコのその言葉にフリードたちは首を傾げたが、ちょうどその時、フリードたちが頼んだ料理がテーブルに運ばれてきたので、シンヤとリコがテーブル席に座ると、シンヤたちは料理を食べ始めた。
パクッ…モグモグ( 料理を食べる)
リコ「おいしい〜!」
ミコ「うん。美味しいね」
リュウガ「ああ」
シンヤ「ふわぁぁ〜〜(-o-)」
ヴィヴィアン「シンちゃん、眠いの?」
シンヤ「いや、ただあくびが出ただけ」
リュウガ「眠いからあくびが出るんだろ」
シンヤ「大丈夫だ。あと3時間は起きてられる」
リュウガ「ああ、さいですか」
フリード「…なぁシンヤ」
シンヤ「分かってるよ。俺がディアルガとパルキアをゲットしている理由と、さっきのリュウガの言葉の意味だろ?」
フリード「ああ…」
シンヤ「…OK。じゃあまずは、俺が故郷であるシンオウ地方を旅して、ディアルガとパルキアに会うことになった話からするよ」
シンヤはフリードから、ディアルガとパルキアをゲットしている理由と、さっきリュウガが言っていた、『俺たちがヒスイ地方に行った時か』の言葉の意味を聞かれたので、自分がポケモントレーナーになってから、ディアルガとパルキアに会うことになった話から始めた。
…シンオウ地方、シンヤが生まれ育った地方であり、神話が多く存在している地方だ。その中で特に有名なのが、ディアルガとパルキアの時空伝説の話だった。更に、ディアルガとパルキアをコントロールすることができる唯一の存在である、感情の神エムリット、意思の神アグノム、知識の神ユクシーの神話も存在する。一方では、あまり語り継がれていない神話もある。
シンオウ地方のこの神話では、ポケモンの起源や、世界の核心に迫ると思われる内容が随所あり。人とポケモンの結婚や、アルセウスによる万物創造などの本が、シンオウ地方の《ミオシティ》という街に建てられている図書館に置いてあるため、結構有名な話だった。
リコ「へぇ〜、シンオウ地方って、そんなに多くの神話があるんだ」
フリード「俺も何度か聞いた事がある。シンオウ地方に語り継がれている神話が、《シンオウ時空伝説》という、シンオウ地方で語り継がれている神話の総称だと」
ロイ「シンオウ時空伝説!」
ドット「神秘的で興味深い」
リコ「でも、それがディアルガとパルキアに会う事になった話と関係があるの?」
シンヤ「ああ、もちろん大アリだ」
シンヤからシンオウ地方の神話の話を聞いているリコたちは、とても興味深そうにシンヤの話を聞いていた。するとシンヤは、自分がディアルガとパルキアに会う切っ掛けを作った、ある人物たちの話をした。それは、シンオウ地方で暗躍していた《ギンガ団》という組織のことだった。表向きは宇宙エネルギーの開発を謳っているが会社だが、その裏の顔が、ギンガ団という悪の組織の顔なのだ。そして、そのギンガ団のボスの名前が《アカギ》という男で、ディアルガとパルキアの力を使って現在の世界を消し、争いのない新たな世界を作り出すという考えを持っている人物だった。しかし、自分の目的を達成するためなら平気で争いごとを起こし、どれだけの者を犠牲にしても構わないという身勝手な考え方を持つところがあった。
シンヤとリュウガとミコは、3人で一緒にシンオウ地方を冒険している時に何度もギンガ団と戦ったことがあり、ギンガ団によって、多くの傷ついたポケモンたちや多くの人たちを見てきた。そのためシンヤたちは、アカギの言う『現在の世界を消し、争いのない新たな世界を作り出すという』身勝手な考え方が納得できず、アカギやギンガ団と何度も激戦を続けてきた。しかし、それでもアカギの野望は止まることはなく、アカギは自分の野望を叶えるため、シンオウ地方の伝説のポケモン、感情の神エムリット、意思の神アグノム、知識の神ユクシーを捕らえ、その3体をギンガ団のアジトにある《トバリシティ》まで運んだあと、その3体を材料に、《あかいくさり》という道具を作り出した。このあかいくさりには、異次元にいるディアルガとパルキアを呼び出し、制御することができる程の力があり、アカギはこれを使って、異次元にいるディアルガとパルキアを呼び出して支配すると同時に、その力を自らのものにすることで、新世界を創造しようとしたのだ。そして、捕えられた3体を助けようと、シンヤはギンガ団のアジトに乗り込んだが、時すでに遅く、アカギはあかいくさりを作り出していて、《テンガン山》というシンオウ地方の中心に位置する最高峰の雪山に向かうと、ディアルガとパルキアを呼び出せる唯一の場所である《やりのはしら》という場所に向かった。その後、シンヤは捕らわれていたエムリットたちを助け出し、アカギの向かったやりのはしらに行き、そこでアカギがあかいくさりを使い、ディアルガとパルキアを呼び出すところを目撃した。そして、アカギはディアルガとパルキアを異次元から呼び出すと、支配したディアルガとパルキアの力を使い、争いのない世界を一から作るために、現在の世界を消そうとしたのだ。しかし、シンヤがギンガ団のアジトで助け出した、ユクシー・エムリット・アグノムの3体が、あかいくさりを消滅させたことで、ディアルガとパルキアはアカギの支配から逃れ、アカギの新世界を創造するという野望は潰えたのだった。
シンヤ「とまあここまでが、俺がディアルガとパルキアに会うことになった話だ」
リコ「…シンヤがシンオウ地方を冒険している時に、そんなことがあったんだ。…それで、そのアカギって人はどうなったの?それに、残りのギンガ団の人は?」
シンヤ「アカギなら消えたよ」
リコ「えっ⁉︎消えたって?」
シンヤ「ディアルガとパルキアに新たな宇宙を作らせ、そのままシンオウ地方を消滅させようとしたけど、ディアルガとパルキアがアカギの支配から逃れたことで、ディアルガとパルキアが作り出そうとした宇宙は消滅しそうになったんだ。けど、争いのない新世界への強い思いから、アカギは自ら新たな宇宙の世界に入って行った。だから、今アカギが生きてるのか死んでるのか、それは誰にも分からない」
リコ「…そうなんだ」
シンヤ「争いごとのない世界に夢を見るのはいいが、自分が争いごとを起こしてるんだから、そんなことを言える立場にいないと、俺はそう思うけどな」
リュウガ「同感だな」
ミコ「うん」
シンヤ「アカギが消えたことで、ギンガ団は事実上の解散になった。そのあと、残ったギンガ団の連中は全員逮捕されて、全員刑務所に送られたよ」
リコ「そっか」
フリード「…それでそのあと、お前はディアルガとパルキアをゲットしたのか?」
シンヤ「ああ。アカギの支配から逃れたディアルガとパルキアが俺にバトルを挑んできたから、ちゃんとポケモンバトルをして、ポケモンを捕まえやすいスーパーボールでゲットしたんだ」
フリード「ハイパーボールはなかったのか?」
シンヤ「ハイパーボールは高いだろ?あの頃は買う余裕がなかったから。だから、スーパーボールでゲットしたんだ」
フリード「なるほどな」
リコ「それが、ディアルガとパルキアの出会いだったんだ」
シンヤ「驚いたか?」
リコ「…うん」
ディアルガとパルキアと出会った話をシンヤから聞いたリコたちは、シンヤが故郷であるシンオウ地方で、そんなに大変な旅をしていたとは思わず、ディアルガとパルキアとの出会いが、そんな途方もない話だとは思っていなかったため、シンヤの話に驚いていた。しかも、シンヤはポケモントレーナーになってからすぐに、エクスプローラーズのような犯罪者組織と戦っていたことを知ると、リコたちは驚いていた。
シンヤ「…じゃあ、次はリュウガが言っていた、『俺たちがヒスイ地方に行った時か』の言葉の意味を教えるよ。…さっきフリードが言ってたように、俺とリュウガはヒスイ地方に行ったことがあるんだ」
リコ・ロイ・ドット「「「ええっ⁉︎」」」
フリード「ちょっと待て!ヒスイ地方に行ったって、どういう意味だ⁉︎」
シンヤはリコたちに、ディアルガとパルキアに会うことになった経緯を話すと、今度はヒスイ地方の話をした。その内容とは、以前自分とリュウガがヒスイ地方に行ったというものだった。いきなりヒスイ地方に行ったことがあるとシンヤの口から聞かされると、リコたちは驚きの声を上げた。
シンヤ「焦るなって。ちゃんと説明するから」
…ヒスイ地方、それは数百年前のシンオウ地方の名で、ルシアスの六英雄の一体でもある《バサギリ》が生息していた地方でもある。今シンヤたちが生きている時代と違って、ポケモンと共存している者も少なく、ポケモンのことを自然に棲む恐ろしいものという考えを持つ者が多い時代だった。また、モンスターボールの製造もこの頃から始まったばかりで、ポケモンの捕獲自体が珍しいこととして見られる時代でもあった。しかも、シンヤとリュウガはそのヒスイ地方に行ったことがあるらしい。しかし、ヒスイ地方は数百年前のシンオウ地方で、シンヤとリュウガが生まれるずっと前の時代の世界だ。常識的に考えれば、そんな場所に行ける訳がない。しかし、リコたちはシンヤが嘘を言ってるとも思っていなかった。一体どうやって、シンヤとリュウガはヒスイ地方に行ったのか、リコたちはとても興味深そうにシンヤの話を聞いていた。
シンヤ「俺とリュウガがヒスイ地方に行ったのは、《アルセウス》が俺の願いを叶えてくれたからなんだ」
フリード「アルセウスだと⁉︎」
ロイ「何?そのアルセウスって?」
リコ「ポケモンの名前なの?」
シンヤ「ああ。言い伝えでは、全てを生み出したと言われている幻のポケモンなんだ」
リコ「全てを生み出した?」
シンヤ「俺たちの住んでるこの世界を創造したと言われてるんだ。さらにアルセウスは、自分の3匹の分身である、ディアルガとパルキア。そして、《ギラティナ》を造り出したと言われているんだ」
リコ「ギラティナ?」
リュウガ「ディアルガとパルキアと同じ、シンオウ地方の伝説のポケモンだ」
ミコ「ディアルガとパルキアと違って、神話には語り継がれていないポケモンだけど、たった一体で、ディアルガとパルキアに匹敵する程の伝説のポケモンなの」
リコ「そんなにすごいポケモンなんだ」
ロイ「アルセウスか。…会ってみたいな」
フリード「なぁシンヤ、アルセウスがお前の願いを叶えてくれたってどういうことなんだ?それに、いつアルセウスと会ったんだ?」
シンヤ「ちゃんと順を追って話すよ。俺がアルセウスに会ったのは、俺がガラル地方での冒険を終えてシンオウ地方に戻ってからで、ポケモンWCSに参加して冒険をしている時だった。その冒険の途中に偶然リュウガと会って、しばらくリュウガと一緒に旅をしてたんだ。そして何日か経ったある日に、偶然アルセウスと出会った。だけど、出会ったアルセウスは何故か弱ってたんだ。っでそのあと、俺とリュウガがアルセウスを治療して、俺とリュウガはアルセウスと仲良くなったんだ。それで、偶にアルセウスが俺たちの頭の中に話しかけてきて、俺とリュウガはちょくちょくアルセウスに会ってたんだ」
ドット「なんか、すごい話だね」
フリード「それが、お前たちとアルセウスの出会いか。…だけど、ヒスイ地方にはどうやって行ったんだ」
シンヤ「アルセウスと出会ったあと、ナナカマド博士からマサゴタウンでシンオウフェスが開催するって聞いて、俺とリュウガはマサゴタウンに行ったんだ。その時にヒスイ地方の存在を知って、ヒスイ地方に行ってみたいなって思ってたら、その晩の夜、俺とリュウガの夢の中にアルセウスが出てきて、ヒスイ地方に行ってみるかと聞いてきたんだ。それで、もしヒスイ地方に行きたいなら、明日やりのはしらに来いって」
リコ「えっ!2人の夢の中にアルセウスが出てきたの?」
シンヤ「ああ。それで次の日に2人でやりのはしらに行ったら、そこにアルセウスがいたんだ」
フリード「それでアルセウスは、お前たちをヒスイ地方に連れて行ってくれたのか?」
シンヤ「ああ。たった3週間だけだったけど、ヒスイ地方での冒険は楽しかったよ。なっ、ピカチュウ」
ピカチュウ「ピッカッ!」
リュウガ「ああ、かつてのシンオウ地方を旅できるなんて、滅多にない経験だったからな」
シンヤ「だよな。それに、色んな人の先祖に会ったり、ヒスイ地方のポケモンをたくさんゲットしたり、ヒスイ地方にしかない、“ピートブロック”と“くろのきせき”を手に入れることもできたし」
リコ「ピートブロック?くろのきせき?何それ?」
シンヤ「ピートブロックは、リングマが《ガチグマ》っていうポケモンに進化するために必要な道具で、くろのきせきは、ストライクがバサギリに進化するために必要な道具なんだ」
リコ「えっ⁉︎」
ロイ「バサギリって、ストライクの進化形だったの⁉︎」
ドット「本当なのか!」
シンヤとリュウガとピカチュウは、以前アルセウスが連れて行ってくれたヒスイ地方のことを思い出し、そのヒスイ地方を旅したことを思い出していると、その思い出に浸っていた。そして、バサギリがストライクの進化形だとシンヤから聞かされると、リコたちは驚きの声を上げた。
シンヤ「ああ。俺とリュウガはヒスイ地方に行った時に、ストライクがバサギリに進化するところを見たことあるからな」
フリード「なんでそのことを教えてくれなかった!」
シンヤ「いや、だって聞いてこないから」
フリード「あのな!常識的に考えれば、お前がヒスイ地方に行ったことあるんて誰も思わないし、バサギリがストライクの進化形ってことを俺たちが知るわけないだろ!」
シンヤ「まぁ、そうだよな…とにかく、これが俺とリュウガがヒスイ地方に行った時の話だ」
フリード「なるほどな」
ドット「あのさ、シンヤが嘘を言ってるとは思ってないけど。2人が本当にヒスイ地方に行った証拠みたいなものはないの?」
ピッピッ(リュウガがスマホロトムをタッチする音)
リュウガ「これじゃダメか?」スッ(自分のスマホロトムを前に出す)
スッ(ラベン博士と一緒にシンヤとリュウガが写ってる写真)
フリード「この人は、ラベン博士!」
ドット「ラベン博士?」
リコ「誰なの?」
フリード「ラベン博士は、ヒスイ地方のポケモン博士なんだ」
リュウガ「これが、俺とシンヤがヒスイ地方に行った時の証拠だ」
シンヤ「もちろんトリック写真でもないぜ」
ドット「確かに、背景がリアルすぎる。とてもトリック写真とも思えない」
シンヤ「こっちの世界に帰ってくる時に、ヒスイ地方に行った思い出として、3人で写ってる写真を撮っておいたんだ」
ミコ「あのね。アンタたちは3週間もヒスイ地方を旅して随分と楽しんだようだけど、アンタたちが急に居なくなって、私やヴィヴィアンさん、ナナカマド博士たちがどれだけ心配したと思ってるの!」
シンヤ「ああ…それは」
リュウガ「急にヒスイ地方に行くことになったんだ。仕方ないだろ」
ミコ「行く前に私にメールぐらい送っておきなさいよ!みんな必死になってアンタたちを捜してくれてたんだよ!分かってる!アンタたち2人とも、行方不明扱いになってたんだからね!」
シンヤ「分かった分かった!それは何回も聞いたから、もう耳にオクタンだ」
リコ(…シンヤがヒスイ地方に行ったのって、本当の話なんだ)
リコたちは、シンヤとリュウガの言っていたことを疑っていたわけではないが、ラベン博士というヒスイ地方のポケモン博士が、シンヤとリュウガと一緒に写っている写真を見た後、ミコの口からシンヤたちが2週間もいなくなっていことを聞くと、シンヤとリュウガがヒスイ地方に行っていたという話は、本当のことなんだと納得した。
ミコ「あっ、バサギリで思い出した。私、パルデア地方に来る前にキタカミの里にいたんだけど、そこでバサギリを見たよ」
シンヤ「えっ!それってまさか、六英雄のバサギリか!」
ミコ「どうだろう?チラッと見たぐらいだったから」
ロイ「ねぇミコ、そのバサギリって、こんなボールを体に付けてなかった?」
スッ(古のモンスターボール)
ミコ「う〜ん、ゴメン、分かんないや」
ロイ「そっか…」
ドット「ねぇ、フリード」
フリード「ああ、ミコが見たバサギリが、六英雄のバサギリという可能性がある。お前たちの応用テストが終わったら、キタカミの里に行ってみるか」
シンヤ「あっ、ならちょうどいいや。俺とリュウガ、ナナカマド博士に頼まれて、キタカミの里に向かってほしいって言われてたんだよね」
フリード「ナナカマド博士から?」
シンヤ「ああ、この前リュウガと会った時に、キタカミの里で新種のポケモンが見つかったから、そのポケモンのことを調べてほしいって、ナナカマド博士が言ってたってリュウガに聞いたんだけど」
フリード「そうだったのか。…だったら、リュウガも一緒にキタカミの里に行くか?」
リュウガ「えっ?」
フリード「もちろんミコも一緒に」
ミコ「私もですか?」
フリード「ミコには、バサギリを見た場所まで案内してほしいんだ。それに、どの道シンヤとリュウガはキタカミの里に行って、ナナカマド博士が言ってた新種のポケモンのことを調べるんだろ?だったら、俺たちと一緒に行った方がいいだろ。もちろん、2人が良ければだが」
ミコ「私は別にいいですけど…」
リュウガ「俺もいいですよ。キタカミの里に行くのは決まってますから」
フリード「よし、じゃあ決まりだな」
ミコの口から、バサギリをキタカミの里で見たと聞いたシンヤたちは、それが六英雄のバサギリである可能性を考え、テラスタル研修が終わったら、キタカミの里に行くことを決める。そして、フリードがリュウガとミコに、2人が良ければ一緒にキタカミの里に行くかと聞くと、2人も一緒にキタカミの里に行くことに決めたようだ。
ルッカ「…シンヤ君、ありがとう」
シンヤ「えっ?何がですか?」
ルッカ「2度もパルデアを救ってくれたこと。今私たちが普通に生活できてるのは、シンヤ君のおかげだから」
シンヤ「それは大げさだと思いますけど」
アレックス「いや、君がパルデアを救ったのは、私たちが今日ゼロラボで見た出来事が物語っているよ。君には本当に感謝している」
シンヤ「あっ、いえ」
アレックス「…シンヤ君、君は本当に10歳なのかい?」
シンヤ「そうですけど、どうしてですか?」
アレックス「いや、ゼロラボでポケモンバトルしている時は、まるで別人のようだったし。オーリム博士とフトゥー博士を救った時だって、大人びた感じがあったからね。本当にリコと同い年なのかなと」
シンヤ「はい。リコと同じ10歳ですけど」
アレックスがシンヤを10歳と疑うのも当然だった。自分の子供と同じ年齢の子供が、自分の目の前で2人の人間の命を救い、さらに、1つの地方のピンチを2度救ったのだ。とても10歳の子供1人に出来ることではない。
ルッカ「それと、リュウガ君も」
リュウガ「はい?」
ルッカ「君にもお礼を言っておくわ。さっきはありがとう」
リュウガ「いえ、俺はシンヤに貸しを作りたかっただけですから。それに、俺が戦わなくても、ディアルガとパルキアがいれば、最初からシンヤの勝ちでしたからね」
シンヤ「そう思うなら、貸しを作ろうとしないでほしいね」
リュウガ「別にいいじゃねえか」
フリード「…リュウガ、ミコ、お前たちは最初から、シンヤがディアルガの不思議な力で、オーリム博士とフトゥー博士を助けるって分かってたのか?」
ミコ「はい。何回もああいう場面を見たことあるから」
フリード「何回も⁉︎」
リュウガ「ええ。俺とミコは、シンヤがディアルガの時を操る力で、今まで多くの人やポケモンたちを救ったり、崩壊した街を直したりするところを何回も見たことありますから」
シンヤ「おい、余計なことを言うなよ!」
リュウガ「みんなの見てる前でオーリム博士とフトゥー博士を助けたんだし、もうバレてるんだからいいだろ」
シンヤ「だからって、俺の過去のことまで話すことないだろ」
リュウガ「お前は自分のやっていることも、自分の価値さえ分かってないから教えてやってるんだ。……さて、俺はもう行くぜ」
スッ(リュウガが伝票に手を伸ばす)
シンヤ「おっと」
スッ(シンヤが伝票を取る)
シンヤ「お前とミコが食った分を奢るのと、お前からのフルバトルを受けることで、今日の貸しはチャラな」
リュウガ「…俺とフルバトルをする時は、スグリっていうヤツとバトルした時と違う手持ちにしろよ」
シンヤ「分かってるよ」
リュウガ「ならいい。あと、応用テストっていうのが終わったら連絡しろよ」
シンヤ「ああ」
リュウガ「…じゃあまたな」
ミコ「あっ、ちょっと待ってよ。シンヤ、ヴィヴィアンさん、皆さん、それじゃあまた」ペコッ(頭を下げる)
ガチャ(扉を開ける音)
ロイ「行っちゃった」
シンヤ「ったく、アイツは余計なことを」
リコ「……シンヤは、オーリム博士やフトゥー博士以外にも、たくさんの人やポケモンたちを助けてきたんだね」
シンヤ「俺が救ったんじゃなくて、ディアルガが救ったんだよ」
リコ「かもしれないけど……やっぱりシンヤはすごいよ」
フリード「…なぁシンヤ、今日あったこと全部、オリオたちには話してもいいか?」
シンヤ「オリオたちに?」
フリード「ああ、オリオたちもタイムマシンの存在を知ってるからな」
シンヤ「う〜〜ん、まぁ、オリオたちだけに話すなら…」
フリード「悪い」
シンヤがディアルガの時を操る力で、今まで多くの人やポケモンたちを救ったり、崩壊した街を直したりしていることをリュウガから聞き、自分たちと出会うずっと前からシンヤがそんなことをしていたと知ると、フリードたちはシンヤに感心していた。そして、レストランで料理を食べ終えて支払いをすると、シンヤたちはレストランの外に出た。
ルッカ「じゃあ、私たちは家に戻るわ」
アレックス「…シンヤ君」
シンヤ「はい?」
アレックス「どうして君が世界チャンピオンになれたのか、さっき君が戦うところを実際に見て、そのことがよく分かったよ」
シンヤ「ハハッ、ありがとうございます」
ルッカ「シンヤ君、夫もこう言ってくれてるし、これからもリコをよろしくね。私と夫も、君が義理の息子になるのは大歓迎だから」
リコ「///」
シンヤ「はい。ありがとうございます」
ヴィヴィアン「フフッ、リコちゃん。私もリコちゃんが義理の娘になってくれるのは大歓迎だから、安心してね」
リコ「は、はい!ありがとうございます!///」
ルッカ「フフッ、それで、リコはどうする?応用テストは2日後だから、私たちと一緒に家に帰る?」
リコ「……私、シンヤと少し話がしたい」
シンヤ「俺と?」
リコ「うん。…ダメかな?」
シンヤ「俺は別にいいけど。でも、もう20時だぜ」
ヴィヴィアン「だったら、リコちゃん、私の家に泊まる?」
リコ「えっ?」
シンヤ「母さん、パルデアに家があるの?」
ヴィヴィアン「あれ?言ってなかった?私パルデアの出身なんだけど」
シンヤ「えっ⁉︎母さんって、パルデアの出身だったのか⁉︎」
ヴィヴィアン「ええ、シンオウ地方を冒険している時にお父さんと出会って、結婚をする時にシンオウ地方に家を建てたの」
シンヤ「じゃあなんで今までホテルに泊まってたんだよ⁉︎パルデアに家があるならホテルに泊まる必要ないじゃん!」
ヴィヴィアン「ちょうどパルデアに来た時に、管理人さんが旅行に行っててね、それでホテルに泊まってたの。だけど、もう管理人さんは帰ってきてるから、家に入れるよ」
シンヤ「そうなんだ」
フリード「じゃあ、ロイとドットは俺と一緒にくるか?今日のことをマードックたちに話さなきゃならないからな」
ロイ「うん」
ドット「じゃあ、明後日オレンジアカデミーに集合にしよう」
シンヤ「分かった」
リコ「うん」
ピカチュウ「ピカビカッ!」
こうして、リコとシンヤはヴィヴィアンの家に泊まることになり、2日後にオレンジアカデミーに合流しようと約束すると、フリードはロイとドットを連れてハッコウシティに行き、ルッカとアレックスは途中までシンヤたちと一緒に歩くと、別れ道に曲がって自分の家に帰って行った。そしてシンヤとリコは、パルデア地方のコサジタウンにある、ヴィヴィアンの家に向かった。
コサジタウン・ヴィヴィアンの家の前
(※イメージとしては、スカーレットとバイオレットの主人公の家だと思ってください)
シンヤ「へぇ〜、ここが母さんの家か」
ピカチュウ「ピカッ…」
ヴィヴィアン「そっ」
リコ「ヴィヴィアンさんの家って、私の家と近い距離にあったんですね」
ヴィヴィアン「そうみたいね。さぁ、2人とも中に入って」
テーブルシティから歩いてしばらくすると、シンヤたちはようやく、ヴィヴィアンの実家に辿り着いた。ヴィヴィアンの家はリコの家と少し似ており、家の周りには花がたくさん咲いていて、家の裏側には野菜畑や花壇があって、オレンジの果実の実った木が数本立ち並んでいた。
ヴィヴィアンの家・玄関
リコ「おじゃまします…」
シンヤ「へぇ〜、意外と綺麗だな」
ヴィヴィアン「ちょっと、それどういう意味!」
シンヤ「いや、そういう意味じゃなくて。ずっとほったらかしだったのに、家の中が綺麗だなって」
ヴィヴィアン「管理人さんがチラチーノを持ってるから、そのチラチーノが家の中を掃除してくれてるの」
シンヤ「ああ、そういうことね。…っで、リコの話したいことって何?」
リコ「えっ?…えっと、その…」
ヴィヴィアン「その前に、2人とも随分と汚れてるから、先にお風呂に入ったら?服なら洗濯してあげるから」
シンヤ「そうだな。リコ、話は風呂に入ってからにしようぜ」
リコ「う、うん」
ヴィヴィアン「……!なんだったら、一緒にお風呂に入れば?」ニヤッ
シンヤ・リコ「「ッ⁉︎///」」
シンヤ「急に何言ってんだ⁉︎」
ヴィヴィアン「冗談よ。じょ・う・だ・ん」
シンヤ「ったくよ!」
リコ「///」
シンヤ「リコ、先に風呂に入ってきていいぞ」
リコ「えっ?…でも」
シンヤ「俺は後でいいから」
リコ「あ、ありがとう///」
シンヤがリコから話を聞こうとすると、先に風呂に入るようヴィヴィアンに言われたので、シンヤとリコは話をする前に、先に風呂に入ることにした。そして、ヴィヴィアンがシンヤとリコを揶揄うと、シンヤとリコは顔を真っ赤にし、最初に風呂に入っていいとシンヤに言われたリコは、シンヤの好意に甘えて先に風呂に入った。
ヴィヴィアンの家・リビング
リコ「フー、さっぱりした。お風呂も広かったな」
ヴィヴィアン「あっ、リコちゃん」
リコ「あっ、ヴィヴィアンさん。お風呂いただきました。…シンヤは?」
ヴィヴィアン「あー、あの子なら、階段を上がって2階に行っちゃったよ」
リコ「分かりました。ありがとうございます」
シンヤがリビングに居なかったので、ヴィヴィアンにシンヤがどこにいるかと聞いたリコは、階段を登ってシンヤのいる2階に向かった。
ヴィヴィアンの家・別の部屋
シンヤ「フトゥーAIの言ってた、最下層にまで流れてきた強い電気って、結局なんのことだったんだろ?」
コンコンッ(扉を叩く音)
シンヤ「ん?誰?」
リコ『私、リコだよ』
シンヤ「ああ、リコか。入っていいぞ」
ガチャ(扉を開ける音)
リコ「失礼します」
フトゥーAIの言っていた、最下層にまで流れてきた強い電気の正体をシンヤが考えていると、お風呂から出てきたリコがシンヤのいる部屋の前にやってきた。すると、リコは扉を叩いてシンヤが部屋の中にいるかを確認し、シンヤは返事をすると、リコを部屋の中に入れた。リコが部屋の中に入ると、シンヤはベッドの上で寝転がっていて、ピカチュウはベッドの上で眠っていた。そして、シンヤは着替えを持って脱衣所に行って風呂に入ると、リコのいる部屋に戻ってきた。
シンヤ「っで、リコの話したいことって何?」
リコ「えっと、あの…その…///」
シンヤ「?」
リコ「あの……その…///」
脱衣所から戻ってきたシンヤは、リコと向かい合うようにして座ると、リコの話を聞こうとした。しかし、リコはさっきからシンヤの顔を見ようとせず、顔を真っ赤にしていて、恥ずかしそうに体をもじもじさせていた。
リコ「……シンヤ……ありがとう…それから、ごめんなさい」
シンヤ「えっ?…なんで、ありがとうとごめんなさい?俺、リコに何かお礼を言われることと、謝られることをされたか?」
リコ「…ありがとうの意味は、2回もパルデア地方を救ってくれたこと。…ごめんなさいは、ドットの基礎テストが終わった時に、校長先生から、シンヤがテラスタルオーブを貰ったことと、パルデアの大穴に入る許可を貰ってることを勝手に聞いたこと。…私、どうせシンヤが教えてくれないと思って、勝手に校長先生に、大穴に入る許可を貰ってることや、テラスタルオーブを貰ったことを聞いちゃったから」
シンヤ「ああ、その件はいいよ。話さなかった俺も悪いし」
リコ「違うの!どうしてシンヤが、今までエリアゼロに行ったことを話してくれなかったのか、その理由が今日のことでよく分かったから。…シンヤ、本当にごめ…」
ピトッ(右手の人差し指でリコの唇を抑える)
リコ「ッ⁉︎///」
シンヤ「リコ、その件はもういいんだ」
リコ「…」
シンヤ「もう済んだことだ。俺も別に怒ってないから」
リコ「……うん」
リコはドットの応用テストが終わった時に、オレンジアカデミーの校長であるクラベルから、シンヤがエリアゼロに入ることを許されている理由と、クラベルからテラスタルオーブを貰った理由を聞いたことがあった。そしてその理由は、シンヤが以前パルデア地方を救ったからだとクラベルは答えた。その時は、まだクラベルの言っていた言葉の意味がリコには分からなかったが、今回のエリアゼロでの出来事を目の当たりにしたことで、クラベルの言っていた言葉の意味や、どうしてシンヤが、今までエリアゼロに行った時のことを話してくれなかったのか、その理由がやっと分かった。リコがシンヤにそのことを謝ると、シンヤはもう済んだことだからと言ってリコを納得させた。
リコ「ねぇシンヤ…」
シンヤ「ん?」
リコ「…シンヤは、私と付き合ったことや、私と一緒に旅をしてることを後悔してない?」
シンヤ「はっ⁉︎…いきなりどうした?」
リコ「だって、さっきリュウガさんが、シンヤがディアルガの時を操る力で、今まで多くの人やポケモンたちを救ったり、崩壊した街を直したりするところを何回も見たって言ってたから。…そんなすごい人なら、私よりもっといい人だっているかもしれないし。私がシンヤを旅に誘ったせいで、シンヤのやりたいことをジャマしちゃったのかもしれないから」
シンヤ「……フッ。いや、そんなことはない。俺はリコと付き合えて嬉しいし、なにより、リコに感謝してるよ」
リコ「えっ?どうしてシンヤが私に感謝するの?感謝しなきゃいけないのは私の方なのに…」
シンヤ「リコが俺をこの旅に誘ってくれなきゃ、俺はリュウセイやルシアス、テラパゴスやラクアのことを知ることもなかった。なにより、スグリと和解することも出来なかったはずだ。…リコが俺をこの旅に誘ってくれたから、俺は今、とても楽しい冒険ができてる。…それに、こんなに優しくて可愛い彼女が出来たからな」
リコ「ッ⁉︎///」
シンヤがリコと一緒に旅をすることになったのは、リコをエクスプローラーズから守りながら、ペンダントの謎を調べるためだったが、それがいつの間にか、マツブサたちと決着をつけることや、リュウセイの謎を調べることにも繋がってしまい、シンヤはここまで来た。だがそのおかげで、シンヤはスグリと和解することができたし、六英雄や七竜という存在を知ることができた。だからこそ、シンヤはリコと一緒にここまで来たことや、リコと付き合ったことを後悔する筈もなかった。
リコ「…後で、私と別れてくれなんて言わない?」
シンヤ「絶対にそんなこと言わねぇよ。つか、もう互いの親に挨拶を済ませてるのに、別れるなんて選択肢が出るわけないだろ」
リコ「…」
スッ(シンヤの右手を掴む)
シンヤ「ぉ…」
スッ(シンヤの右手を自分の心臓のある場所に当てる)
シンヤ「ッ⁉︎」
リコはシンヤの右手を掴むと、自分の心臓のある場所に、シンヤの右手の手のひらを当てる。すると、シンヤの右手にリコの心臓の鼓動が伝わってきた。
ドクンッ!ドクンッ!(リコの心臓の音)
リコ「分かる?私の心臓、さっきからこんなにドキドキしてるんだよ///」
シンヤ「ッ⁉︎///」
ドクンッ!ドクンッ!(リコの心臓の音)
シンヤ「…リコ、お前の心臓がすごくドキドキしてるのは分かったけど、心臓のある場所は胸の中央だから……お前、今俺に、自分の胸を触らせてるって自覚ある?」
リコ「…………えっ?」
チラッ(シンヤの手を掴んでいる自分の手を見る)
リコ「………きゃああああっ‼︎///」
パッ(シンヤの手を離す)
シンヤ(…意外と…柔らかかった…な……いやいや!何考えてるんだ俺は!///)
自分の胸を触らせていることをシンヤから指摘されると、リコは今、自分がどれだけ大胆なことをしているのかを自覚し、顔を真っ赤にすると、シンヤの掴んでいる右手を離し、大きな叫び声を上げた。
リコ「うぅ〜〜っ///」
シンヤ「自分で胸を触らせておいて、なに勝手に自爆してるんだ?」
リコ「ち、違うの!そんなつもりじゃなくて!…シンヤがオーリム博士とフトゥー博士を救った時から、心臓がすごくドキドキしてたの。それに、さっきからシンヤに言われたことに、すごくドキドキしてて。それで…///」
シンヤ「……フッ、リコ、目をつぶって口を少し開けて」
リコ「えっ?」
シンヤ「いいから早く」
リコ「う、うん…」
スッ(目をつぶって、口を少し開ける)
シンヤ「フッ…」
スッ(リコの唇に、シンヤが自分の唇を重ねる)
リコ「ッ⁉︎///」
目をつぶって口を少し開けてほしいとシンヤに言われたリコは、シンヤに言われた通り、目をつぶって口を少し開けた。すると、シンヤは右手をリコの頭の後ろに回し、左手をリコの背中に回すと、シンヤはリコに、いつもしている唇が触れるキスではなく、リコの唇に自分の唇を重ねて舌を入れるキス、所謂、大人のキスであるディープキスをした。リコはシンヤにいつもと違うキスをされ、自分の口の中に舌を入れられていることに気づくと、顔を赤くして目を開いた。そして数秒後に、シンヤが重ねていた唇をリコの唇から離すと、シンヤがリコと舌を絡ませた時に出来た銀色の唾液の糸が伸びていき、シンヤがリコとある程度離れると、唾液の糸は自然と切れた。
リコ「ぁ…ぁ///」
シンヤ「何驚いてんだ?キスなら何回もしてるだろ?」
リコ「あんなキスされたら驚くよ!///いきなりシンヤが舌を入れてきたからびっくりしたの!///」
シンヤ「いやぁ〜、リコが物欲しそうな顔をしてたからさ」
リコ「ッ⁉︎///……シンヤのエッチ〜〜!///」
シンヤ「そんなエッチな男を好きになって、告白してきた女の子は一体どこの誰だっけ?俺の記憶が確かなら、その子は、今俺の目の前にいる、とても可愛い女の子だと思うんだが?」
リコ「ッ⁉︎///……シンヤの意地悪!///」
シンヤ「俺に口で勝ちたいなら、ルッカ先生やダイアナさんみたいに、もっと口が上手くならなきゃな」
リコ(うぅ〜〜っ、いつも私がシンヤに照れさせられてるから、シンヤに反撃したい。でも、甘い言葉じゃまだシンヤに敵わないし……そうだ!行動ならいける!)
スッ(リコの唇に、シンヤが自分の唇を重ねる)
リコ「ッ⁉︎///」
シンヤ「口で敵わないなら行動でいけると思ったんだろうが、行動でも俺にはまだ敵わないよ」
リコ(よ、読まれてた///)
シンヤ「まぁ、さっき胸を触らせた行動だけは、俺は負けたけどな」
リコ(………やっぱり、まだシンヤには敵いません///)
口ではシンヤに勝てないからと、行動でシンヤに勝とうとしたリコだったが、リコはシンヤに再びキスをされると、口でも行動でもシンヤにはまだ勝てないと悟ったようだ。
リコ「……シンヤ!」
シンヤ「うん?」
ぎゅう(シンヤを抱きしめる)
リコ「私の故郷を、パルデア地方を救ってくれてありがとう!///」
シンヤ「ぉ…」
リコ「それと、私がシンヤが好きって思いは、この先何があっても絶対に変わらないよ!」
シンヤ「……フッ。ああ。俺もリコの故郷を、パルデア地方を守れてよかった」
リコ「ぁ…」
シンヤ「俺も好きだぜ、リコ。俺がリコを好きだって思いは、これからも絶対に変わらない」
リコ「ッ⁉︎///」…(やっぱり、まだシンヤには敵いません///)
部屋のドアの隙間
ヴィヴィアン(あらあら、熱いわね2人とも)
ニャローテ「ニャァァッ」
テラパゴス「パーゴ!」
リコはシンヤに、自分の故郷であるパルデア地方を救ってくれたことに対して、改めてお礼の言葉を伝えた。すると、シンヤはリコのその言葉に、パルデア地方を守れてよかったと言った。そして、シンヤを好きだという思いは絶対に変わらないとリコがシンヤに誓うと、シンヤもリコに、自分がリコを好きだという思いはこれからも絶対に変わらないとリコに誓った。そして、シンヤとリコがイチャついてる時間と同時刻、エクスプローラーズのアジトでは、エクスプローラーズの幹部であるスピネルが、マツブサ、アオギリ、ゲーチス、フラダリと一緒に、オレンジアカデミーに潜入しているアゲートから送られてきた、シンヤたちのエリアゼロでの冒険を撮った動画を見ていた。
エクスプローラーズのアジト
フラダリ「ほぅ…」
マツブサ「これは…」
アオギリ「フンッ」
スピネル「まさか、神と呼ばれしポケモンを2体もゲットしているとは」
ハンベル「ゲーチス様、どこでこの映像を手に入れたのですか?」
ゲーチス「彼らがエリアゼロに行くという連絡をアゲートさんからもらったので、アゲートさんに策を授けたんですよ」
数日前、アゲートがスピネルに連絡するところに遡る…
アゲパン(明日奴らは、パルデアの大穴の中に行くのか。…エリアゼロか)
ピッ(スマホロトムで連絡を取る)
ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ
スピネル『アゲートさん。どうしました?』
アゲート「明日奴らが、エリアゼロに行くという情報を手に入れた」
スピネル『彼らがエリアゼロに?』
アゲート「ああ、奴らがエリアゼロに行く理由は分からなかったが、テラパゴスがエリアゼロで発見されたという話を聞いた」
スピネル『ほう、それは興味深いですね』
ゲーチス『まさかとは思いますが、あなたも彼らと一緒に、そのエリアゼロという場所に行くつもりですか?』
アゲート「ゲーチスか…もちろんそのつもりだ。テラパゴスの情報を手に入れられるなら、これほど好都合なことはないからな」
ゲーチス『それはやめた方がいい。恐らく、あなたの正体はシンヤにバレているでしょうからね』
アゲート「私の正体がバレているだと?」
ゲーチス『恐らくは』
アゲート「それは考えにくい。以前奴と学校で会ったが、私の正体に気づいている様子はなかった」
ゲーチス『それは、彼が学校にいる関係のない者たちを巻き込まないように、あなたの正体に気づいていないフリをしたのです。しかし、もしあなたが一緒にエリアゼロに行こうとすれば、間違いなくあなたは彼にやられてしまいますよ』
アゲート「ならばどうする?テラパゴスの情報を手に入れることが出来る、この絶好のチャンスを見逃せというのか?」
ゲーチス『いえ、テラパゴスの情報は手に入れればいい。ただ、あなたがエリアゼロに行く必要はありません』
アゲート「…どういうことだ?」
ゲーチス『フッ、策は考えてありますよ…』
アゲート「?」
ここまでが、アゲートがスピネルに連絡して終わるまでの流れだ。
ゲーチス「シンヤたちと一緒にエリアゼロに行く者の中に、小型カメラを付けた荷物を渡したのです。こうすれば、アゲートさんがエリアゼロに行かなくても、エリアゼロに何があるのか分かりますからね。その結果、彼らがエリアゼロに行き、何をしてきたのか知ることができた」
ハンベル「なるほど」
スピネル「しかし、テラパゴスの情報より、よりいい情報が手に入りましたね。テラスタルオーブを開発した天才博士、オリーム博士とフトゥー博士が作り出した、AIで動くロボット。古代と未来の世界から来た、パラドックスポケモンと呼ばれる存在。そして、シンヤさんの持つ神と呼ばれしポケモン、ディアルガとパルキアの力」
『その通りだ。スピネル、ゲーチス、いい情報を手に入れてくれた』
ハンベル「ッ!ギベオン様!」
シンヤたちがエリアゼロに向かい、アゲートがクラベルから小型カメラを取り付けている鞄を渡してもらうまでの、一部始終が映っている動画を作戦室で見ていると、作戦室の部屋の壁の一部が紫色に光りだし、模様の様な形を形成すると、エクスプローラーズのボスである《ギベオン》の声が聞こえてきた。
ギベオン(シンヤの手に渡った《だいこんごうだま》と《だいしらたま》は、恐らくリュウセイが持っていた物で間違いないな)…『マツブサ、フラダリ、必要な物を手に入ったか?』
マツブサ「もちろんだ」
スッ(べにいろのたま)
フラダリ「フッ」
スッ(ジガルデの入っているモンスターボール)
ギベオン『そうか』
ハンベル「ギベオン様、いかがいたしますか?」
ギベオン『…我らの目的は、あくまでテラパゴスと六英雄だ。その他のことを捨て置け』
ハンベル「かしこまりました」
ギベオン『…シンヤの実力はこれでハッキリ分かった。マツブサ、アオギリ、ゲーチス、フラダリ、彼を倒す役目はお前たちに任せる』
アオギリ「ほぅ、どういう風の吹き回しだ?」
ギベオン『彼は伝説のポケモンを手にしている程の実力がある。だからこそ、彼と同じように伝説のポケモンをゲットしているお前たち4人に、世界チャンピオンである彼の相手を任せる』
どうやら、マツブサはホウエン地方で《べにいろのたま》を手に入れ、フラダリはカロス地方で《ジガルデ》をゲットしたようだ。そして、ギベオンがシンヤの相手をマツブサたちに任せると言い残すと、作戦室の壁の模様が消えていき、スピネルとゲーチス以外の立体映像は消え、ゲーチスとスピネルだけがその場に残った。
スピネル「よかったのですか?エリアゼロでの出来事を撮った動画を彼らに見せてしまって?」
ゲーチス「構いませんよ。あれは切り札にはなりませんからね。それに、あの動画を見せたおかげで、私も随分と動きやすくなりました」
スピネル「なるほど」
…そして2日後、リコたちが応用テストを受ける当日の日
オレンジアカデミー・門前
クラベル「では、リコさん、ロイさん、ドットさん。応用テスト、頑張ってください」
リコ・ロイ・ドット「「「はい!」」」
オーリム博士「ではシンヤ君」
フトゥー博士「いずれまた」
シンヤ「はい」
ペパー「また会おうぜ」
シンヤ「ああ、また会えるのを楽しみにしてる」
ヴィヴィアン「リコちゃん、シンちゃんをよろしくね」
リコ「はい!」
こうして、シンヤたちはクラベルたちに見送られ、テラスタル研修の応用テストを受けるために、再びパルデア地方を冒険するのだった。そして、シンヤたちが最初に向かうのは、ドットの担当ジムリーダーである、《アオキ》がいるチャンプルタウンだ。
To be continued
次回予告
テラスタル研修の応用テストを受けるため、再びパルデア地方を冒険することになったシンヤたち。最初はドットが応用テストを受けるため、シンヤたちはチャンプルタウンにある、チャンプルジムを目指して歩いていた。しかしその途中、シンヤたちは《ドドゲザン》が看板ポケモンのナンデモ食堂という食堂に立ち寄ることになった。
次回「新メニューはうどん⁉︎ドドゲザンとナンデモ食堂!」