ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり 作:通りすがりのポケモントレーナー
応用テストを受けるため、再びパルデア地方を巡る冒険をするシンヤたち。最初に応答テストを受けるのはドットなので、シンヤたちはドットの担当ジムリーダーの《アオキ》がいるチャンプルタウンにやってきた。
チャンプルタウン・街中
シンヤ「ようやく《チャンプルタウン》に着いたな」
ピカチュウ「ピッカッ!」
リコ「……」
シンヤ「ん?リコ、どうしたんだ?俺の顔をジッと見て」
リコ「えっ⁉︎///…ううん、何でもないよ!」
シンヤ「?」
ロイ「エリアゼロに行く時に来たけど、前はゆっくり見てる暇がなかったもんな」
ドット「ここは、パルデア地方の交通の要なんだ」
リコ「それに、食文化も発展してるから、おいしいお店がたくさんあるよ」
ロイ「へぇ〜、そうなんだ。ホゲータ、何食べたい?」
ホゲータ「ホゲ!ホゲ!」
ドット「ご飯もいいけど、僕、応用テストを受けに行きたいんだけど」
女の声「ほら、こことここの汚れが全然落ちてないじゃない!」
男の声「うるせえな!」
シンヤ・リコ・ロイ・ドット「「「「ん?」」」」
ピカチュウ「ピッ?」
テラスタル研修の応用テストを受けるため、チャンプルタウンにやってきたシンヤたち。最初に応用テストを受けるのがドットなので、シンヤたちはチャンプルジムに向かっていた。そして、シンヤたちがチャンプルジムに向かってまっすぐ歩いていると、腰にエプロンを巻き、頭に和帽子をかぶっている1人の男が店の外で大きな鉄板を洗っていた。その男の隣には、頭に三角巾を巻き、腰にエプロンを巻いている女の人がいて、鉄板が綺麗に洗えていないと男に注意していた。
カヌチャン「チャチャ、チャーッ!✨」ダッ!
クワッス「クワースッ!」
ドット「あっ、カヌチャン!」
男が洗っている鉄板を見ると、カヌチャンは急に目をキラキラさせ、2人の男女がいる近くに走って行った。
カヌチャン「チャチャ」
男「ん?なんだおめえは?」
ズッ(後ろから現れる)
カヌチャン「ヌッ?」
カヌチャンは2人の近くにやってくると、男が洗っていた鉄板をジッと見ていた。すると、何かの影がカヌチャンに重なると、カヌチャンは後ろを振り向いた。そこにいたのは、日本刀のような巨大化したものが頭部から伸びており、口元から大きく横に伸びた髭のような黒い刃が特徴なポケモンが、空に浮かびながらカヌチャンを見下ろしていた。
ドドゲザン「ドッゲェェーーッ‼︎」
ロイ「何⁉︎この声が大きいポケモン⁉︎」
シンヤ「コイツは《ドドゲザン》だ」
リコ「ドドゲザン?」スッ(スマホロトムを取り出す)
ドドゲザン だいとうポケモン あく・はがねタイプ。
大軍勢を率いて戦うが、難しい作戦は苦手なので、力で押して押しまくるだけ。
女「あらあら、うちのドドゲザンがびっくりさせちゃったわね」
男「すまねぇな。コイツは客の呼び込みをしてるだけなんだ」
シンヤ「呼び込み?何の呼び込みですか?」
男「俺たちのやってる、《ナンデモ食堂》っていう店の呼び込みだ」
ドドゲザン「…」
リコ「す、すごい迫力」
シンヤ「ドドゲザンはそういう顔をしたポケモンだぞ」
リコ「そ、そうなんだ」
カヌチャンの後ろから現れたのは、だいとうポケモンの《ドドゲザン》だった。ドドゲザンはカヌチャンの後ろから現れると、いきなり大きな声を出したので、シンヤたちは両手で耳を塞いだ。どうやら、このドドゲザンは2人のポケモンのようで、2人の男女は《ナンデモ食堂》という食堂をやっているようだ。そして、いきなり現れたドドゲザンの顔を見たリコは、ドドゲザンの迫力のある顔にたじろいでいた。
男「うちのドドゲザンが怖がらせちまったお詫びに、うちのナンデモ食堂で飯でも食っていってくれや」
ロイ「えっ?いいんですか?」
男「おう!」
女「是非そうして。ね、ドドゲザン」
ドドゲザン「ドッゲェェーーッ‼︎」
バタンッ(ドドゲザンが戸を開ける音)
ドドゲザン「ドォォォッゲッ‼︎」
シンヤ・リコ・ロイ・ドット「「「「ぁ……」」」」
女「あらあら、またドドゲザンがびっくりさせちゃったわね」
男「すまねぇな。コイツに悪気はバチュルの爪先ほどもねえんだ」
シンヤ・リコ・ロイ・ドット「「「「……」」」」
ひょんなことから、ナンデモ食堂という食堂をやってる2人と知り合ったシンヤたちは、2人に勧められて、ナンデモ食堂でご飯を食べることになった。そして、ナンデモ食堂をやっている男性が《モキチ》といって、女性は《ナンディ》というらしい。どうやら2人は夫婦のようで、ドドゲザンを入れた3人で、ナンデモ食堂をやっているらしい。
ナンデモ食堂・店内
リコ「休憩中にすいません」
ナンディ「アハハハッ、何言ってんだい。今は営業中だよ」
リコ「えっ?」
シンヤ「営業…中…」
リコが休憩中だと思うのも当然だった。ナンデモ食堂の中には、厨房で料理を作っているモキチと、テーブルに水を運んでいるナンディ。そして、椅子に座っているシンヤたち以外、誰も人がいないのだから。
ドドゲザン「ドォォゲェェーーッ‼︎」
モキチ「ドドゲザン、気をつけろよ」
シンヤ「気をつけろ?」
ドンッ(料理が入っている皿をテーブルに置く)
パリンッ(皿が割れる)
シンヤ・リコ・ロイ・ドット「「「「あっ」」」」」
料理が入っている皿を両手で持ってきたドドゲザンは、シンヤたちのいるテーブルにまで運ぶと、両手をプルプルさせながら、運んできた皿をテーブルの上に置いた。すると、ドドゲザンの運んできた皿が割れてしまい、料理がぐちゃぐちゃになってしまう。
ナンディ「惜しい。ちょっと力みすぎたね」
ドドゲザン「ド、ドゲッ!」
ドンッ!(ドドゲザンが土下座をする)
シンヤ・リコ・ロイ・ドット「「「「おおっ…」」」」
ナンディ「ドドゲザン、アンタは外で呼び込みをしてきて」
ドドゲザン「ドゲッ」コクッ
ドンッ!(戸を開ける音)
シンヤ「あのドドゲザン、パワーを持て余してるな」
ピカチュウ「ピィカッ」コクッ
モキチ「いっちょあがり!」
ナンディ「はいよ!」
ドドゲザンが戸を開けて外に呼び込みに行くと、厨房にいるモキチが料理を作り終わったようだ。そして、モキチが作った料理をナンディがテーブルに運んできた。
ドンッ(どんぶりに入っている料理)
リコ「え〜と、これは…」
シンヤ「…いったい、何の料理なんですか?」
ナンディ「《ナンデモ飯》だよ」
リコ「ナンデモ飯…」
シンヤ(リコの声、いつもより小さくなってたな)
ナンディがテーブルに運んできた《ナンデモ飯》というどんぶりに入っている料理を見ると、シンヤたちはポカンとした顔をしていた。何故なら、どんぶりの中にはおでんやちいさなキノコ、ヤドンのしっぽなど、色々な料理がごちゃ混ぜに盛り付けられていたからだ。
モグモグッ(ナンデモ飯を食べる)
シンヤ「これは…」
ロイ「う〜ん、なんて言えばいいんだろう」
ドット「色んな味がする」
リコ「中に何が入ってるんだろ?」
ナンディ「モキチ、子供たちがああ言ってるけど」
モキチ「ん?んなの覚えてねえよ。うまいもん適当にだ」
ナンディ「アンタね、料理は適当に作るもんじゃないよ」
モキチ「なんだ!なんか文句があんのか!」
ナンディ「ちゃんと料理を作れって言ってるんだよ!」
モキチ「なんだと〜!」
運ばれてきたナンデモ飯を食べたシンヤたちだが、色んな料理の味が口に広がって何を食べているか分からず、味の感想をどう表現すればいいか分からなかった。すると、モキチとナンディが些細なことで口喧嘩を始めてしまう。
リコ「あっ、このかまぼこ、ドドゲザンに似てる」
ロイ「ほんとだ」
パクッ(かまぼこを食べる)
リコ「うん。おいしい…けど…」
ロイ「…なんか、あまり食べた気がしないね」
リコ「……うん」
シンヤ(2人の夫婦喧嘩を見てると、フリードが言ってたことを思い出すな)…「…ん?どんぶりの下に何かあるな。…うどんか」
モキチとナンディが口喧嘩を始めると、リコは場の空気を変えようとするが、モキチとナンディの口喧嘩は止まらず、それどころかヒートアップしていた。2人の夫婦喧嘩を見ていると、初めてリコのミブリムに会った時に、フリードが言っていた『食堂で飯を食ってたら、厨房で旦那さんと奥さんの夫婦喧嘩が始まって、飯の味が分かんなくなっちゃったんだよな』という言葉をシンヤは思い出し、あの時わからなかったフリードの言葉の意味を理解した。するとシンヤは、どんぶりに盛り付けられている料理の下にうどんが入っていることに気づいた。
ズッズッ(うどんをすする音)
モグモグッ(うどんを食べる)
シンヤ「ぉっ!このうどん、美味い!」
モキチ・ナンディ「「だろう!」」
シンヤ「えっ?」
モキチ「そのうどんはな、ドドゲザンがこねた生地を使って作ったうどんなんだ」
シンヤ「ドドゲザンがこねた生地?」
ナンディ「あの子、力で押すのが得意でね。それで、前に生地をこねてもらったことがあって、その生地を使ってうどんを作ったの」
モキチ「そのうどんがめちゃくちゃ美味くてな。だから、ドドゲザンにうどんを打ってもらってるんだ」
リコ「へぇ〜」
シンヤがうどんを食べて美味いと言うと、モキチとナンディは言葉をハモらせ、そのどんぶりに入っているうどんは、ドドゲザンが打ったうどんだとシンヤたちに説明してくれた。
シンヤ「…あの、なんでこんなに色々な料理をどんぶりに入れてるんですか?」
ナンディ「《宝食堂》に負けないためだよ」
リコ「宝食堂?」
シンヤ「このチャンプルタウンで、1番大きい食堂だよ」
ナンディ「人気もすごいからね。前までうちに食べにきていた客たちも、宝食堂に通うようになっちゃったから、毎日こんな状態なの」
シンヤは以前チャンプルタウンにジム戦をしにきた後、宝食堂でご飯を食べたことがあったから、宝食堂の料理が美味しかったのを覚えている。ナンディの言う通り、宝食堂はすごい人気で、チャンプルタウンにある飲食店の中で、文句なしに1位と言っていいだろう。
シンヤ「…じゃあ、誰もこの店に来ないんですか?」
ナンディ「唯一来てくれるのが、サラリーマンの格好をした人だけでね。昔このお店によく来てくれてた冒険家の兄ちゃんも、最近パッタリ見なくなったし」
シンヤ(それってもしかして、《アオキさん》と《フリード》のことかな?)
モキチ「んで、宝食堂に負けないメニューを目指して作ったのが、ナンデモ飯ってわけなんだ」
ナンディ「ドドゲザンがうまく皿を運べるように、一つのどんぶりに色々な料理を入れたら、ごちゃ混ぜ丼になっちゃったけどね」
モキチ・ナンディ「「アハハハッ!」」
シンヤ(いやいや、笑いごとじゃないでしょ)
宝食堂に負けないメニューを目指すのはいいが、はっきり言って、ナンデモ飯は宝食堂の料理に味で負けてるとシンヤは思った。その理由は、宝食堂の料理を食べた時は美味しいと思ったが、ナンデモ飯を食べた時は美味しいとすら思えなかったからだ。
モキチ「おっ、そうだ。次はこの俺の自慢の鉄板で……あれ?ここに置いてあった鉄板はどこだ?」
ドット「鉄板?…まさか!」
バッ(カヌちゃんを見る)
ドット「カヌチャンがいない!」
カンカンッ!(何かを叩く音)
モキチが鉄板を使って料理を作ろうとすると、厨房に置いてあったはずの鉄板がいつの間にかなくなっていたので、モキチは慌てて鉄板を探し始めた。そして、鉄板という言葉を聞いたドットは自分の隣にいるカヌチャンを見たが、そこにカヌチャンの姿はなかった。すると、外からカンカンッという音が聞こえてきたので、ドット戸を開けて外に出た。
ドット「あっ!」
カヌチャン「チャ、チャー!」スッ(鉄板だったハンマー)
ドット「これは、お詫びに店の手伝いをしなきゃだな」
ドットの予想通り、厨房に置いてあった鉄板はカヌチャンが持ち出したようで、持ち出した鉄板をハンマーにしてしまったようだ。シンヤたちはそのお詫びに今日1日だけナンデモ食堂で働くことにして、ナンデモ食堂の制服に着替えた。
ドット「ゴメン、リコたちを巻き込んじゃって」
リコ「全然。食堂内ピカピカに掃除しちゃうよ」
ロイ「うん」
カシャ(スマホロトムでリコを撮る)
リコ「えっ?」
シンヤ「フッ」
自分のポケモンであるカヌチャンのやったことでリコたちを巻き込んだと思うと、ドットは罪悪感に陥ったが、リコもロイも気にしていない様子だった。そんな中、シンヤはスマホロトムを手に取ると、ナンデモ食堂の制服を着ているリコの姿を写真に収めた。
リコ「ちょ、シンヤ!?何で写真を撮ったの!?///」
シンヤ「いやぁ〜、せっかくいつもと違う姿のリコが見れたんだから、記念に一枚撮っておこうと思って」
リコ「撮らなくていい!」
シンヤ「まぁそう言うなって」
今日一日ナンデモ食堂を手伝うことになったが、普段滅多に見られないリコの写真が撮れたので、これで一日働くのは安いだろうとシンヤは思った。もちろんそのあと、リコは撮られた写真を消そうとシンヤのスマホロトムを奪おうとしたが、それができなかったのは言うまでもない。
シンヤ「じゃあ、俺とリコは店内を掃除するから、ロイは外で呼び込みをしてきてくれ」
ロイ「うん!行こうホゲータ」
ホゲータ「ホンゲェ!」
ドドゲザン「…」
シンヤ・リコ・ロイ・ドット「「「「ぁっ…」」」」
ナンデモ食堂で働くことになったシンヤたちは、モキチとナンディが貸してくれた三角巾とエプロンを巻くと、早速それぞれの仕事をしようとした。そして、ロイがホゲータと一緒に外で呼び込みをしようとすると、ドドゲザンが戸の前に立っていて、顔を半分だけ出してシンヤたちを見ていた。
モキチ「なぁ、ドドゲザンも一緒に連れてってやってくれ」
ロイ「分かった。ドドゲザン、一緒に呼び込みをしよう」
ドドゲザン「ドゲッ!」
ドット「僕たちは、新しい鉄板を買ってくるよ」
シンヤ「僕たちって、カヌチャンも連れて行くのか?」
ドット「うん」
シンヤ「おいおい、カヌチャンを連れってて大丈夫か?売ってる鉄板に飛びついて、すぐにハンマーにする可能性があるぞ」
ドット「でも、カヌチャンが飛びつく鉄板は、いい鉄板だと思うんだ。カヌチャンの鉄を見る目は確かだし」
シンヤ「なるほど」
リコ(カヌチャンに振り回されてばかりだと思ってたけど。ドット、カヌチャンをそんなふうに見てたんだ)
ナンディ「じゃあみんな、今日1日だけ頼むよ」
シンヤ・リコ・ロイ・ドット「「「「はい!」」」」
それぞれのやることが決まると、シンヤは地面を箒で掃いて店内のゴミをちりとりに集め、リコは雑巾でテーブルを拭いていた。シンヤとリコが掃除をしている途中に、またモキチとナンディが口喧嘩をしてしまったので、シンヤとリコは喧嘩をしている2人をなんとか止めた。
シンヤ「ふぅ、大方終わったな」
リコ「うん」
ナンディ「ごくろうさま」
モキチ「なあ、2人とも掃除が終わったんなら、厨房に入って食材を切ってくれねえか?」
シンヤ「分かりました」
店内の掃除が終わると、モキチに食材を切るように頼まれたシンヤとリコは、厨房に移動して食材を切っていた。
ナンデモ食堂・厨房
サクッサクッ(食材を切る音)
シンヤ「…」
リコ「…」
シンヤ「リコ、そこの皿を取ってくれ」
リコ「う、うん」
スッ(皿を渡す)
シンヤ「…リコ、一体どうした?」
リコ「えっ?」
シンヤ「いや、チャンプルタウンに着いた時から、なんか、リコの態度がよそよそしい感じがするし。さっきから俺のことチラチラと見てるよな?」
リコ「き、気のせいだよ」
シンヤ「…ならいいけど」
リコ「///」
実を言うと、シンヤはリコの態度がよそよそしい理由に気づいていた。その理由は、恐らくエリアゼロでしたことや、エリアゼロから帰ってきたあとに、リコにしたことが原因だろうと。まぁ、今更過ぎたことを気にしても仕方ないので、シンヤはあまり気にしないようにして食材を切っていた。すると…
サクッ
リコ「痛ッ⁉︎」
シンヤ「えっ」
リコ「うぅ…」
ニャローテ「ニャッァ…」
リコ「大丈夫だよ、ニャローテ」
シンヤ「どうした?」
ピカチュウ「ピィカァ?」
リコ「左手の人差し指を、包丁で少し切っちゃって…」
シンヤ「えっ…」
リコが左手の人差し指を包丁で切ったと言うので、シンヤはリコが怪我をした指をよく見た。そこまで指を深く切ってはいないようだが、リコの人差し指から血が少しずつ滲み出てきていた。
シンヤ「…」
スッ(リコの指を口にくわえる)
リコ「ぁ///」
シンヤはリコの左手をとると、血が出ている人差し指を自分の口にくわえた。シンヤの予想外の行動に、リコは思わず顔を真っ赤にしてしまう。そして、シンヤは怪我をしたリコの左手の人差し指を水道の水で洗うと、そこに絆創膏を貼って止血した。
シンヤ「はい、これでオッケー」
リコ「あ、ありがとう///」
シンヤ「包丁を使ってる時に、俺を見ながら食材を切ってれば、指を切って怪我するもの当然だぞ」
リコ「ッ⁉︎…気づいてたの?」
シンヤ「当たり前だ。彼女の熱い視線に気づかない彼氏がいるか?」
リコ「ッ⁉︎///」
シンヤ「リコは肌が綺麗なんだから、傷が残ったら勿体ないだろ。ちゃんと自分を大事にしろよ」
リコ「う、うん///あ、ありがとう…///」…(今、肌が綺麗って///)
ガラガラッ(戸を開ける音)
ドット「ただいま」
ロイ「お客さん来たよ!」
クワッス「クワァスッ!」
ホゲータ「ホンゲェ!」
シンヤ「おっ、呼び込みがうまくいったのか?」
ロイ「…いや」
ドット「……それが」
シンヤ「?」
リコの手当てが終わり、シンヤの言葉にリコが顔を赤くしていると、鉄板を買いに行ったドットたちと、外で呼び込みをしていたロイたちが、たくさんのお客さんたちを連れてナンデモ食堂に帰ってきた。
ナンディ「カウンターのお客さんにはナンデモ飯を3つ、テーブル席には4つお願いね!」
リコ「は〜い」
シンヤ「リコ、手は大丈夫なのか?」
リコ「うん。少し切っただけだから、もう大丈夫だよ」
シンヤ「ならいいけど」
ドット「おっとと」
ロイ「お待たせしました」
ナンデモ食堂の席が、ロイたちが連れてきたお客さんで満席になると、ナンデモ食堂の外には行列ができていた。そして、席に座ったお客さんたちがナンデモ飯を注文すると、シンヤたちはテーブルやカウンターの席に座っているお客さんにナンデモ飯を運んだ。
ドドゲザン「…」
ロイ「あっ、ドドゲザン、僕が運ぶよ」
ドドゲザン「ドゲッ…」
シンヤ「…」
リコ「シンヤ、これをそっちのテーブル席に運んでもらってもいい?」
シンヤ「えっ?…ああ、分かった」
ナンディ「モキチ、手が止まってるよ」
モキチ「お、おう…」
シンヤたちがせっせと働くなか、ドドゲザンは1人でポツンと店の奥に座っていた。しかし、それにはある理由があった。さっきロイたちから聞いた話によれば、ドドゲザンが大きな声を出して呼び込みをしていると、通行人の人たちはドドゲザンの大きな声にびっくりして、そのままロイたちの前を通り過ぎて行ってしまったらしい。そしてその後、呼び込みをしていたロイたちは、鉄板を買い終わったドットと合流したようだ。するとそこに、母親と一緒に歩いている子供がやってきて、その子供がドドゲザンを見てかっこいいと言い出すと、ドドゲザンの目の前にやってきた。すると、ドドゲザンは呼び込みをしようと子供の目の前で大きな声を出してしまい、その子供はドドゲザンの大きな声にびっくりして泣いてしまったようだ。その時、クワッスが泣いている子供の目の前に飛んで行って子供に挨拶をすると、その子供は笑顔になってクワッスと仲良く遊んでいた。そして、チャンプルタウンを歩いている通行人がそんな2人の姿を見て足を止めているうちに、ロイがナンデモ食堂のナンデモ飯を宣伝し、お客さんたちと一緒に帰ってきたということをシンヤはロイから聞いたのだ。
シンヤ「…あれ?ドットとモキチさんは?」
ナンディ「ああ、2人なら外に行ったよ」
シンヤ「外に?」
厨房にいたモキチと、店内で仕事をしているドットがいなくなっていることに気づいたシンヤは、2人がどこにいるかを聞くと、2人なら外にいるとナンディが教えてくれたので、シンヤは戸を開けて外に出た。
ナンデモ食堂・外の休憩場所
シンヤ「あっ、ホントにいた」
ドット「あ、シンヤ」
クワッス「クワッス」
ドドゲザン「…」
モキチ「おっ、どうしたんだ?」
シンヤ「2人がここにいるって、ナンディさんが教えてくれたんです」
モキチ「ん?俺たちに何か用か?」
シンヤ「あっ、いや。2人が急に居なくなってたから、何してるのかなと」
ドット「ああ、ゴメン。少し疲れたから、僕はクワッスとここで休憩してて。そしたら、モキチさんとドドゲザンが来て、少し話をしてたんだ」
シンヤ「話?」
モキチ「ああ、俺とドドゲザンが出会って、ナンデモ食堂を始めたことや、ナンディと一緒になる切っ掛けの話をしてたんだ」
シンヤ「えっ?モキチさんは、ナンディさんと一緒にナンデモ食堂を始めたんじゃないんですか?」
モキチ「ハハハッ!」
シンヤ「えっ?俺、何か変なことを言いましたか?」
モキチ「違う違う。今と同じことを、さっきこの子に言われたからな」
シンヤ「?」
どうやら、モキチはナンディとナンデモ食堂を始めたのではなく、ドドゲザンと一緒にナンデモ食堂を始めたらしい。そして、さっきシンヤがモキチに聞いた、『ナンディと一緒にナンデモ食堂を始めたんじゃないのか』という質問をドットもしたようだ。すると、モキチはドドゲザンと出会ってナンデモ食堂を始めたことや、ナンディと一緒になる切っ掛けの話をシンヤにもしてくれた。
シンヤ「へぇ〜、モキチさんはドドゲザンの大きな声を気に入って、ナンデモ食堂を始めたんですか」
モキチ「ああ。っで、呼び込みの練習をしてるドドゲザンの大きな声に腰を抜かしたナンディに、お詫びとして飯を食わせたのが、アイツと一緒になる切っ掛けだったんだ」
シンヤ「そうだったんだ」
モキチ「俺もナンディも、ドドゲザンから元気をもらってるんだ。だから、ドドゲザンが元気ねえと、俺もナンディも調子が狂っちまってな」
シンヤ「…」チラッ(ドドゲザンを見る)
ドドゲザン「…」
シンヤ(う〜ん。元気があるのかないのか、ドドゲザンの表情は分かりにくいな)
ドット「…もしかしたら、僕たちがドドゲザンの元気をなくさせてしまったのかも」
モキチ「ん?それはどういう意味だ?」
ドット「カヌチャンが鉄板をハンマーにしちゃったお詫びに、店を手伝うとか、店を繁盛をさせるとか、それが余計なお世話だったのかも…」
モキチ「いやいや、そんなこたあねえって」
ドット「でも、ドドゲザンにとっての大事な場所を変えちゃった気がして」
モキチ「変わるもんもありゃ、変わらねえもんもある」
ドット「えっ?」
モキチ「店なんていくら変わってもいいんだよ。ただ、ドドゲザンが変わらず、毎日どでかい声を出してくれるにはどうしたらいいのか、それが俺には分からなくてな」
カヌチャンが鉄板をハンマーにしてしまったお詫びに、ナンデモ食堂を手伝って繁盛さようと考えていたドットだったが、それが原因でドドゲザンは元気をなくし、ドドゲザンの大事な場所を変えてしまったのではないと、ドットはそう思っていた。しかし、どうやらそれは杞憂だったらしく、モキチはドドゲザンが毎日どでかい声を出してくれればそれでいいと言ってくれた。
ガラガラッ(戸の開く音)
リコ「ありがとうございました」
ロイ「また来てください」
お客1「あ〜、うん」
お客2「機会があったら」
シンヤとドットがモキチの話を聞いていると、店の戸が開き、中からリコとロイと、ナンデモ食堂にご飯を食べにやってきた、2人の男性のお客が出てきた。そして、店を出た2人にロイがまた来てくださいと言うと、2人はお茶を濁すような言い方をして、前の道を歩いて行った。
ロイ「あれ…」
リコ「なんか…」
お客1「お前、あの飯どう思った?」
お客2「う〜ん、分かんねえ」
モキチ「…」
シンヤ(やはり、ナンデモ飯は不評だったか)
店を出た2人組の男たちは、小声でヒソヒソ話しながら前の道を歩いて行ったが、2人が話してる会話の内容は、シンヤとドットとモキチにバッチリ聞こえていた。だが、やはりシンヤの思っていた通り、ナンデモ飯は不評だったようだ。そして、ナンデモ食堂の店内にいたお客さんたちがいなくなると、ドットから話があると言われたので、シンヤたちはナンデモの食堂の店内に集まった。
ナンデモ食堂・店内
ドット「恐らくなんだけど、さっきナンデモ飯を食べに来たお客さんたちは、もう多分こないと思う」
モキチ「えっ?何でだ?」
シンヤ「それは、ナンデモ飯に問題があるからです」
ナンディ「あんなにどんぶりに入ってるのにかい?」
シンヤ「それが問題なんです。たくさんの料理がどんぶりに入ってるから、料理の味がごちゃ混ぜになってしまって、何を食べてるのか分からないんです」
モキチ「えっ?そうだったのか…」
ナンディ「なるほどね」
宝食堂に負けないメニューとして、ナンデモ飯を作ったモキチとナンディだったが、シンヤたちにナンデモ飯の問題があるところを指摘されると、その理由に納得してくれた。
シンヤ「…多分だけどさ、ドットは俺と同じことを考えてるんだろ?」
ドット「うん。クワッスのおかげで、ナンデモ食堂の存在はみんなに伝わったはず。次に考えなきゃいけないのは、ナンデモ飯に代わる、新しいメニューだ」
リコ・ロイ・モキチ・ナンディ「「「「新しいメニュー⁉︎」」」」
ドット「うん。ナンデモ食堂の存在が伝わっても、もう一回食べたくなるような料理を考えなきゃ、いずれお客さんは来なくなるからね」
モキチ「おめえさんすげえな。なんでそんなことが分かるんだ?」
ドット「僕、動画の配信をしてて。動画の配信をしてる時に、どうやったら動画を見てもらえるか、コメントを書いてもらえるかを考えてるんです」
モキチ「なるほど。それでか」
ナンディ「動画を作ってるなんてすごいわ」
ドット「いや、そんな」
モキチ「けど、もう一回食べたくなるような料理か。んなの、一体を何を作ればいいんだ?」
クワッスのおかげでナンデモ食堂の存在は伝わったが、いくらお客さんが来ても、また来たくなるような料理を考えなければ、いずれお客さんはここに来なくなる。そのために、ナンデモ飯に変わる新メニューを考える必要がある。しかし、いきなり新メニューと言われても、モキチは何も思いつかないようだ。
シンヤ「さっき、モキチさんはこう言いましたよね?『店なんていくら変わってもいい。ただ、ドドゲザンが変わらず、毎日どでかい声を出してくれればって』」
モキチ「ああ、確かにそう言ったけどよ。それがどうしたんだ?」
シンヤ「あるんですよ。ドドゲザンが毎日どでかい声を出して、お客さんがまた食べに来たくなる料理が」
モキチ「ホントか!」
シンヤ「ええ」
リコ「ねぇシンヤ、お客さんがまた食べたくなる料理って、いったいどんな料理なの?」
シンヤ「それは、ドドゲザンの打った《うどん》だ!」
ドドゲザン「ドゲッ⁉︎」
リコ・ロイ・モキチ・ナンディ「「「「ドドゲザンの打ったうどん?」」」」
ピカチュウ「ピィカァ?」
シンヤとドットが提案した、ナンデモ食堂のナンデモ飯に代わる、またお客さんが食べたいと思う新メニュー。それは、ドドゲザンの打った《うどん》だった。
シンヤ「リコ、ロイ、2人とも、ナンデモ飯の下に入ってたうどんは食べたか?」
リコ「もちろん」
ロイ「すごく美味しかったよ」
シンヤ「だろうな。それに、ナンデモ飯を食べたのは俺たちだけじゃない。さっきナンデモ食堂に来たお客さんたちもナンデモ飯を食べたから、当然うどんも食べたはずだ。だが、うどんの上に色んな料理がのっちゃってたから、うどんの美味しさが残らなかったんだ」
ドット「だから、ドドゲザンの打ったうどんの上にはなにも乗せずに、ドドゲザンの打ったうどんだけで勝負した方がいいんだ」
ドドゲザン「ドゲッ⁉︎」
シンヤ「それに、ドドゲザンが皿を運べば割れちゃうし、呼び込みをすれば怖がられる。だからこそ、ドドゲザンは厨房でうどんを打つ仕事をしているのが1番いい。厨房でドドゲザンが大きな声を出しても、誰も気にしないだろうからな」
モキチ「なるほど。それなら、ドドゲザンは毎日どでかい声を出せるし、客がまた食べに来たくなる料理も作れるってわけか!」
シンヤ「そういうことです」
ドドゲザン「ドォォゲッ…」
ガラガラッ(戸を開ける音)
「おわっ!」
ドドゲザン「ドゲッ?」
リコ・ロイ・ドット「「「あっ!」」」
シンヤ「お前は!」
シンヤとドットの話を店の入り口の近くで聞いていたドドゲザンは、まさか自分の作ったうどんが新メニューになるとは思っていなかったようで、目を見開いて驚いていた。すると、誰かがナンデモ食堂の戸を開けて中に入ろうとした。だが、戸の近くにドドゲザンが座っていたので、食堂の中に入ろうとした人物はドドゲザンを見て驚いていた。しかし、その人物はシンヤたちがよく知っている人物だった。
オニギリ「ッ!お前たちは!」
ドドゲザン「ド、ドゲェェッ!」
ゴンッ(ドドゲザンが土下座をする)
オニギリ「うおっ⁉︎いきなり何をする!」
ナンデモ食堂の戸を開けて中に入ろうとした人物は、オレンジアカデミーに潜入して《オニギリ》と名乗っている、エクスプローラーズの幹部の《オニキス》だった。何故ここにオニキスが来たのかは分からないが、いきなりオニキスが現れると、リコとロイとドットは身構え、シンヤは腰にあるモンスターボールに手を回すと、ポケモンバトルをする準備をした。すると、ドドゲザンはさっきオニキスにぶつかりそうになったのを気にしていたのか、頭を強く地面に叩きつけてオニキスに土下座をした。しかし、どうやらオニキスはドドゲザンに攻撃されたと思っているようだ。
クワッス「クワァァスッ!」ダッ!
ドンッ!(クワッスが足にぶつかる)
オニギリ「グッ⁉︎グゥゥ…」
ドット「お、おい。大丈夫か?」
オニギリ「…なるほど、分かった」
ドット「えっ?」
オニギリ「これは、俺への挑戦状!ポケモンバトルの申し込みということだな!」
リコ・ロイ「「えっ?」」
オニギリ「受けて立とう!」
リコ「…なんか、勘違いさせちゃったかな?」
シンヤ「それに、やる気も出させちゃったみたいだ」
ドドゲザンがオニキスに土下座をすると、いきなりクワッスがオニキスに向かって走って行った。しかし、その途中にクワッスは足を滑らせてしまい、オニキスの右足にぶつかってしまう。すると、オニキスはドドゲザンとクワッスの行動が、自分へのポケモンバトルの申し込みだという勘違いをしてしまう。
ドット「…いや、これはチャンスだ」
シンヤ・リコ・ロイ「「「えっ?」」」
ドット「ドドゲザン!」
ドドゲザン「ドゲ?」
ドット「君には、午後からの開店時間になる前に、うどんを打っておいてほしい。ナンデモ食堂の未来は、君の打つうどんにかかってるんだ」
ドドゲザン「……ドゲッ!」コクッ
ドットが何を考えているかは分からないが、ドドゲザンはドットにうどんを打っておいてほしいと頼まれると、すぐに厨房に向かってうどんを打ち始めた。そして、ドットとオニキスは店を出ると、店の外でポケモンバトルを始めた。
ナンデモ食堂・店の前
オニギリ「キョジオーン!「しおづけ!」」
キョジオーン「ジオーン!」
ドット「クワッス、かわして「アクアブレイク!」」
クワッス「クワッ、クワァァスッ!」
オニギリ「「てっぺき」だ!」
キョジオーン「ジオオーン!」
ドーーン!
ポケモンバトルが始まると、オニキスはキョジオーンに「しおづけ」を指示した。しかし、クワッスは「しおづけ」をかわすと、「アクアブレイク」を発動してキョジオーンを攻撃した。だが、クワッスの攻撃が当たる前にキョジオーンは「てっぺき」を発動し、「アクアブレイク」のダメージを減らした。すると、チャンプルタウンの街中を歩いている人たちが、クワッスとキョジオーンのバトルを見ようとナンデモ食堂の近くに集まってきた。
ドット(よし、人が集まってきた。このままもっと人を集めれば、ナンデモ食堂にお客さんを呼び込める。そのためには、もっと派手にする必要がある!)
オニギリ「キョジオーン!もう一度「しおづけ」だ!」
キョジオーン「ジオーン!」
ドット「クワッス!「けたぐり」を使って、できるだけ派手に塩をばら撒くんだ!」
クワッス「クワッ!クワァァァスッ!」
ドオーーン!
「うわぁ、綺麗」
どうやらドットの言っていたチャンスというのは、オニキスとのバトルを利用して、ナンデモ食堂に人を呼び込むことだったようだ。そして、クワッスが「けたぐり」でキョジオーンの「しおづけ」を粉砕すると、辺りには派手に塩がばら撒かれた。
ドット「いい感じだ。オニギリさん、もう一回「しおづけ」よろしく!」
オニギリ「なっ!…随分舐められたものだな。…ならば望み通りにしてやる。キョジオーン!「しおづけ!」」
キョジオーン「ジオーン!」
ドット「クワッス!もう一回「けたぐり」だ!」
クワッス「クワッ!クワァァァスッ!」
オニギリ「また正面からだと⁉︎」
ドオーーン!
「何コレ?」
「…塩か?」
ドット「よし、これだけ人が集まれば。…ドドゲザン!」
ドドゲザン『ドゲ?…ドッゲェェェェェッ‼︎」
ドット「シンヤ、戸を開けて」
シンヤ「えっ、ああ」
ガラガラッ(戸を開ける)
再びクワッスが「けたぐり」でキョジオーンの「しおづけ」を粉砕すると、辺りには塩が派手にばら撒かれた。そして、ドットは自分たちの周りに人がたくさん集まったことを確認すると、店内にいるドドゲザンに合図を送った。すると、店の中からドドゲザンの大きな声が聞こえてきたので、ドットはシンヤにナンデモ食堂の店の戸を開けるように頼んだ。そして、シンヤが店の戸を開けると、店の中からいい匂いが漂ってきた。
「いい匂い」
「これ何の匂いだ?」
シンヤ「ドット、今のうちに宣伝しろ」
ドット「う、うん。…きょ、今日の午後からは、ナンデモ食堂の新目玉メニュー、ドドゲザンの打ったうどん…《ドゲザンうどん》が食べられま〜す!皆さん、良ければ《ドゲザンうどん》を食べていってください!」
「ドゲザンうどん⁉︎」
「食べて行くか!」
クワッスとキョジオーンのバトルを見ていた周りの人たちは、ナンデモ食堂の店内から漂ってきたいい匂いを嗅ぐと、匂いの正体が気になっていた。そして、ドットがドドゲザンの打ったうどんを、ナンデモ食堂の新目玉メニューである《ドゲザンうどん》と宣伝すると、ナンデモ食堂の周りにいた人たちは店の中に入って行った。
オニギリ「…なんだ?どういうことだ?俺たちとのポケモンバトルは…」
グウウウウ~〜(オニキスの腹が鳴る音)
キョジオーン「ジオ?」
オニギリ「うっ…」
シンヤ「…なぁ、今日はお互い休戦にしねぇか?」
オニギリ「何?」
シンヤ「お前はここに昼飯を食べに来ただけなんだろう?だったら、エクスプローラーズとしてじゃなく、お客として中に入ってくれ。それに、今ここで騒ぎを起こせば、お前だって困るんじゃないのか?」
オニギリ「……分かった。今日は休戦ということにしよう」
シンヤ「フッ、中へどうぞ」
オニキスの腹の音を聞いたシンヤは、オニキスがナンデモ食堂にやってきたのは、ただ昼飯を食べようとしていただけで、そこで偶然ナンデモ食堂で働いている自分たちと会っただけだと分かると、今日は休戦しようとオニキスに伝える。すると、オニキスはシンヤの提案に乗り、今日は休戦することにした。しかし、あくまでオニキスがシンヤの提案に乗ったのは、さっきシンヤの言った通り、昼飯を食べにここに寄っただけで、今ここで騒ぎを起こせば、後々面倒なことになるからだ。そして、ナンデモ食堂にお客さんたちが入ってくると、モキチたちは《ドゲザンうどん》を作り始めた。厨房にはドドゲザンもいて、ドドゲザンは生地からこねたうどんを打つと、頭部からのびている日本刀の刀で生地を切っていき、その切ったうどんをモキチが鍋の中に入れて茹でると、茹で上がったうどんをどんぶりの中に入れ、どんぶりの中につゆを入れたあと、上に昆布と油揚げ、ネギとカボスを2つ、最後にドドゲザンの模様が書いてあるかまぼこを入れると、ドドゲザンを模したうどん、《ドゲザンうどん》が完成した。
モキチ「ドゲザンうどんの出来上がりだ!」
ナンディ「うちの自慢の子、ドドゲザンの打ったうどんだよ」
お客「ドゲザンうどん、うまっ!」
お客2「ドゲザンうどんおかわり!」
ズッズッ(うどんをすする音)
モグモグッ(うどんを食べる)
オニギリ「ッ!確かにうまい」
リコ「ありがとうございました」
ナンディ「またいらしてください」
お客3「ご馳走様」
お客4「今度は家族と一緒に来るよ」
ドドゲザン「ドォォォォゲッドゲッ!」
シンヤ「また来てくださいって言ってるのかな」
モキチ「おっ、分かるか」
ドット「よかった、ドドゲザンが元気になって」
モキチ「おめえさんらのおかげだ。ありがとうな」
ナンディ「ドゲザンうどん1つ!」
モキチ「はいよ!よっしゃ、どんどんうどんを作るぞ!」
シンヤとドットの狙い通り、ドドゲザンの打ったうどん、《ドゲザンうどん》は高評価で、おかわりをするお客さんも多かったようだ。そして、さっきまで元気がなかったドドゲザンも元気を取り戻し、大きな声を出してうどんを打っていた。
ナンデモ食堂・店内・夕方
ロイ「いただきま〜す!」
ズッズッ(うどんをすする音)
モグモグッ(うどんを食べる)
ロイ「すっごくモチモチ!」
ズッズッ(うどんをすする音)
モグモグッ(うどんを食べる)
リコ「美味しい!」
シンヤ「うん。コシがあって美味い!」
ピカチュウ「ピッピカチュウ!」
ナンデモ食堂に来ていたお客さんたちがいなくなり、ナンデモ食堂が営業終了時間になると、シンヤたちは皿を洗ったり掃除をしたして、後片付けを始めた。そして、モキチとナンディがテーブルにドゲザンうどんを運んできてくれたので、シンヤたちはドゲザンうどんをご馳走になった。
モキチ「みんな、今日は本当にありがとうな」
シンヤ「この分なら、今日ドゲザンうどんを食べた人の口コミで、明日からお客さんがたくさん来ますね」
モキチ「ああ、おめえさんらのおかげだ」
ドット「いや、そんなに大したことしてないし。僕は、自分のできることをしただけだから」
モキチ「その、できることをするってのが難しいんでぇ。それに、ドドゲザンも元気にどでかい声を出してくれるようになったしな。…本当にありがとうな」スッ(頭を下げる)
ドット「…うん」
ナンディ「アンタ!いつまで油売ってんだい!早くこっちに来て夜の仕込みをしな!」
モキチ「うるせえな!礼を言ってからやろうと思ったんだよ」
ズッズッ(うどんをすする音)
モグモグッ(うどんを食べる)
リコ「ん〜、ホントに美味しい///」
カシャ(スマホロトムで写真を撮る)
リコ「んっ⁉︎」
シンヤ「今のリコの笑顔、すっごく可愛いかったぜ」
リコ「ッ⁉︎///消して!今すぐ消して!」
シンヤ「ダメダメ。せっかくこんなにいい顔をしたリコが撮れたんだ。消すなんてダ〜メ」
リコ「シンヤの意地悪///」
シンヤ「どうとでも言ってくれ」
ドット(…バカップル)
厨房ではモキチとナンディが喧嘩していて、テーブルではシンヤとリコが少しイチャついてるというカオスな雰囲気になっていた。しかし、ドドゲザンが喧嘩を辞めろと言っているような大きな声を出すと、モキチとナンディは喧嘩を辞め、笑いながらドゲザンうどんを作り始めた。そして、さっきまでシンヤに対してよそよそしい態度だったリコは、シンヤに揶揄われたことで、いつの間にかシンヤと普通に話せるようになっていて、いつもと同じように、普通にシンヤに接することが出来ていた。
シンヤたちは気づいていないようだが、シンヤたちの座っている近くのカウンター席では、ある男性がドゲザンうどんを食べていた。
アオキ「美味しかった。ご馳走さまでした」
ナンディ「まいど!」
アオキ「やはり、シンプルが1番。初心忘るべからずですね」
ガラガラッ(戸を開ける音)
シンヤ「あれ?今のって、もしかして…」
リコ「どうしたの?」
シンヤ「…いや、何でもない」
To be continued
次回予告
ドットが応用テストを受けるため、シンヤたちはチャンプルジムを訪れた。しかし、ジムリーダーのアオキは外出しており、シンヤたちはアオキを捜すためにチャンプルタウンを歩き回った。すると、チャンプルタウンの道端でダンスを踊っているディバというトレーナーと、めらめらスタイルのオドリドリにクワッスが興味を示し、彼女たちとダンスをすることになった。するとクワッスは、オドリドリのダンスを取り入れ即興で独自の踊りを編み出した。そして、ディバからアオキが宝食堂にいると教えてもらったシンヤたちは宝食堂に向かった。そして、シンヤたちが宝食堂に到着すると、ドットの応用テストが始まった。
次回「ドットVSアオキ!クワッスの新たなステップ!」