ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 スピネルの策略によって洞窟に閉じ込められたシンヤとリコは、アメジオと力を合わせて洞窟から脱出した後、自分たちを捜しにきたロイたちと合流し、パルデア最高峰に向かった。そして、パルデア最高峰から見える景色を眺めて楽しんだ後、記念にみんなが写った写真を撮り、シンヤたちはオレンジアカデミーに戻った。


第70話『オレンジアカデミーの危機‼︎シンヤ・スグリVSゲーチス!友情のバトル!』

 

 オレンジアカデミー・グラウンド

 

 クラベル「テラスタル研修を受けた皆さん、本当にお疲れ様でした。応用テストに合格した方には、後ほど正式に、テラスタルオーブを授与します」

 

 ライ「よっしゃ!」

 ルカ「やった!」

 

 テラスタル研修を受けている全員がグラウンドに集まると、オレンジアカデミー校長のクラベルから、応用テストを合格した全員にテラスタルオーブを授与されると伝えられると、応用テストに合格した研修生たちは喜んでいた。

 

 ボッコ「…」

 ライ「あっ…」

 ルカ「…ごめん」

 

 ボッコ「…不合格した人のは回収か」

 

 ドット「…」

 

 チラッ(リコを見る)

 

 リコ「…」

 

 応用テストに合格した研修生たちは、後でテラスタルオーブを授与されるが、応用テストが不合格になった研修生は、テラスタル研修を受けるときに預けられたテラスタルオーブを返さなければならない。もちろんそれは、応用テストに不合格になったリコも例外ではない。

 

 クラベル「研修生の皆さんが一緒に過ごすのも、今日で最後になりますが、せっかくなので、研修生の皆さんで1対1のポケモンバトルをして、親睦を深めてもらいたいと思います。その名も、“研修生バトル大会”」

 

 研修生たち「「「お〜〜っ!」」」

 

 ボッコ「…あの、そのバトル大会では、テラスタルを使ってもいいんですか?不合格になった人も?」

 

 クラベル「えぇ。大会中は構いませんよ」

 

 リコ「…ニャローテ。最後のテラスタル、思いっきりやろうね!」

 

 ニャローテ「ニャァーッ!」

 

 クラベルから研修生同士のバトル大会があると発表されると、研修生のみんなはポケモンバトルをやれるのが楽しみなようで、大会が始まる前から盛り上がっていた。そして、担当ジムリーダーとのバトルでしか使うことが許されなかったテラスタルオーブが、大会中は使っていいとクラベルから伝えられると、応用テストに落ちた研修生たちは笑顔になり、リコはニャローテに最後のテラスタルを思いっきりやろうと伝えた。

 

 オレンジアカデミー・廊下

 

 リコ「シンヤ、どこに行ったんだろ?」

 

 ニャローテ「ニャァッ…」

 

 リコたちがグラウンドに向かう前、シンヤはゼイユから話があるとメールで呼ばれたので、リコたちとは別行動をとっていた。グラウンドでクラベルの話が終わったあと、リコはシンヤに、研修生同士のバトルがグラウンドで始まるというメールを送ったのだが、送ったメールに既読がつかず未読のままだったので、リコはシンヤが心配になり、自分の試合が始まるのが後半ということもあり、オレンジアカデミーの中を歩き回りながらシンヤを捜していた。

 

 オレンジアカデミー・エントランスホール1階

 

 リコ「あと見てないのは、ここだけだけど…」

 

 ニャローテ「ニャー」

 

 シンヤ『本当にいいんですか?こんな貴重な物を貰っちゃって?』

 

 リコ「っ!今の声って、シンヤの声だよね?」

 

 ニャローテ「ニャァ」

 

 リコがニャローテとエントランスホールにやってくると、どこからか、シンヤが誰かと話している声が聞こえてきたので、リコとニャローテは、シンヤの声が聞こえてきた所に向かった。

 

 カキツバタ「ああ。それはブルーベリー学園でいくらでも手に入るから、キョーダイにやるよ」

 

 シンヤ「ありがとうございます!」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 リコ(あの人たちって、確か、ブルーベリー学園のブルベリーグ四天王って呼ばれてる人たち。それに、ゼイユとスグリまでいる)

 

 シンヤの声が聞こえてきた場所は、以前ドットがスカーレットブックという本を本棚に入れた場所だった。スカーレットブックが置いてある近くには、シンヤとピカチュウ、スグリとゼイユの兄弟と、ブルーベリー学園のブルベリーグ四天王と呼ばれている、カキツバタ、タロ、ネリネ、アカマツの4人がいて、シンヤと話をしていた。

 

 …何故、ゼイユに呼ばれたはずのシンヤが、ゼイユの弟であるスグリと、カキツバタたち、ブルベリーグ四天王と一緒にいるのか、それは、シンヤがゼイユにメールで呼び出される数分前に遡る。

 

 

 数分前……

 

 

 オレンジアカデミー・エントランスホール1階

 

 シンヤ「エントランスホールに来いって言われたけど、いったいどこにいるんだ。ゼイユは?」

 

 ピカチュウ「ピィカッ?」

 

 ゼイユ「おーい、シンヤ!こっちこっち!」

 

 シンヤ「あっ、ゼイユ」

 

 スタッスタッ(ゼイユのいる所に歩く)

 

 シンヤ「ん?」

 

 ピカチュウ「ピィカッ?」

 

 スグリ「あっ、シンヤ」

 

 カキツバタ「よお」

 

 タロ「こんにちは」

 

 ネリネ「…」ペコッ(頭を下げる)

 

 アカマツ「どうも」

 

 シンヤ「あっ、こんにちは」

 

 ピカチュウ「ピィカ」

 

 シンヤがゼイユのいる所に歩いて行くと、そこにいたのはゼイユだけではなく、ゼイユの弟であるスグリと、ブルーベリー学園のブルベリーグ四天王の4人、カキツバタ、タロ、ネリネ、アカマツが、ゼイユと一緒にいたのだ。

 

 シンヤ「なんでスグリたちが一緒なんだ?」

 

 ゼイユ「ごめん。実は、アンタに話があるのは私じゃなくて、カキツバタたちなんだ」

 

 シンヤ「えっ?どういうこと?」

 

 ゼイユ「アンタたちがテラスタル研修の応用テストを受けに行った後、スグ、リーグ部の部員のみんなに謝ったの」

 

 シンヤ「そっか。ちゃんと部員のみんなに謝ったんだな」

 

 スグリ「うん。ちゃんと謝ったら、みんなにも許してもらえた」

 

 ゼイユ「そのおかげで、スグ、部員のみんなといい感じになって、部活の雰囲気も前と同じになったの」

 

 タロ「でも、どうしてスグリ君がいきなり変わったのか、私たち気になってしまって」

 

 カキツバタ「それで、スグリの姉ちゃんでもあるゼイユに理由を聞いたら、アンタのおかげだってゼイユが言ってたから、オイラたちから礼を言いたくてな」

 

 ゼイユ「ほら、私はアンタの連絡先を知ってるけど、スグたちは知らないでしょ。だから、私がアンタに電話して、アンタをここに呼んだの」

 

 シンヤ「そうだったのか」…(ゼイユは俺のおかげって言うけど、俺、何もしてないんだけどな。ただエリアゼロでバトルしただけだし)

 

 ドットが応用テストを受けるため、シンヤたちがチャンプルタウンに向かった後、スグリはリーグ部のみんなに、今まで高圧的な態度をとってしまったことや、酷いことを言ってしまったことなどをちゃんと謝り、みんなに許してもらったようだ。そしてどうやら、ゼイユがシンヤに話がある訳ではなく、カキツバタたちがシンヤに話があるから、シンヤの連絡先を知っているゼイユに、シンヤと会う算段をつけてもらったようだ。

 

 シンヤ「ああ〜、スグリがリーグ部のみんなに謝った件ですけど、俺は別に何もしてないので、気にしないでもらっていいですよ」

 

 カキツバタ「ハハッ、ジジイから聞いてた通りだ。アンタ、遠慮しがちなタイプだな」

 

 シンヤ「?ジジイから聞いてた?…あっ、そう言えば。カキツバタさんって、お爺さんがジムリーダーなんでしたっけ?」

 

 カキツバタ「ああ。前に爺さんからアンタの話を聞いてて、会えるのを楽しみにしてたんだ。タロもな」

 

 タロ「えっ?…うん。一応ね」

 

 シンヤ「そう言えば、初めて会った時、パパから俺の話を聞いてたって」

 

 タロ「はい。パパがシンヤさんの話をよくしてたので、私もシンヤさんに会うのを楽しみにしてたんです」

 

 シンヤ「あの〜、俺、イッシュ地方を旅してた時にジムバッジを集めてたから、ほとんどのジムリーダーと面識があるんですけど、カキツバタさんのお爺さんと、タロさんのお父さんって、いったい誰なんですか?」

 

 カキツバタ「オイラの爺さんは“シャガ”だぜ」

 

 シンヤ「えっ⁉︎カキツバタさんって、シャガさんのお孫さんだったんですか⁉︎」

 

 カキツバタ「ああ。それと、カキツバタじゃなくて、ツバタでいいぜい」

 

 カキツバタの祖父である『シャガ』という人物は、昔シンヤが冒険した、イッシュ地方の《ソウリュウシティ》という所で市長をしている人物で、シンヤが最後に挑んだ、ドラゴンタイプを扱う《ソウリュウジム》のジムリーダーでもある人物だ、そして、まだダークストーンだったゼクロムをシンヤが手に入れる事になった切っ掛けを作った人物でもあり、自分がプラズマ団の本拠地でもあるNの城に乗り込んだ時、《七賢人》と呼ばれるプラズマ団の最高幹部の6人が自分の目の前に立ちはだかり、そのまま七賢人とポケモンバトルをする流れになった時、自分の代わりに七賢人とバトルしてくれた人でもあったから、シンヤの印象に強く残っていた。まさかそのシャガに孫がいて、その孫が、自分の目の前にいるカキツバタだとは思っていなかったので、2人の意外な関係に、シンヤは驚きを隠せなかった。

 

 タロ「私の父は、“ヤーコン”といいます」

 

 シンヤ「ヤーコンさん⁉︎タロさんのお父さんって、ヤーコンさんなんですか⁉︎」

 

 タロ「はい」

 

 タロの父親の『ヤーコン』という人物は、カキツバタの祖父のシャガと同じイッシュ地方のジムリーダーで、《ホドモエシティ》という《ホドモエジム》でじめんタイプを扱っている人物だ。さらにヤーコンは副業として、イッシュ地方の北東部にある《ネジ山》を保有する鉱山企業の社長を務めており、『鉱山王』という呼び名が付いていることで、ホドモエシティでは有名な人物だった。そしてシャガと同じように、自分の代わりに七賢人と戦ってくれた人物なため、シンヤにとっても忘れることができない人物でもあった。

 

 シンヤ(…シャガさんもそうだけど、ヤーコンさんも結婚してたんだ)

 

 あのごっつい父親から、どうやったらこんな可愛い人が生まれるんだとシンヤは言いかけたが、流石にそれはヤーコンとタロに失礼だから、タロはお母さん似なのだろうと自分の心にそう言い聞かせたシンヤは、心の中で納得したのだった。

 

 ネリネ「…シンヤさん」

 

 シンヤ「はい?」

 

 ネリネ「…できれば、ネリネがスグリを救いたかったのですが」

 

 シンヤ「えっ?」

 

 ネリネ「スグリを思う気持ちは…ネリネより…シンヤさんの方が強いのですね」

 

 シンヤ「いや、人を思う気持ちに優劣なんてないから、そんなことないと思いますよ」

 

 ネリネ「そうですか。…あなたのおかげでスグリは救われ、リーグ部は前のように戻りました。ありがとうございます」

 

 シンヤ「あ、いえ」チラッ(スグリを見る)

 

 スグリ「ん?」

 

 ネリネの言葉を聞いたシンヤは、ネリネのスグリに対する言葉の真の意味を理解したが、そこから先はネリネとスグリの為に、敢えて何も言わなかった。

 

 アカマツ「俺は細かいことを考えるのは苦手で、アンタとスグリの関係もよく知らないけど、スグリはアンタのおかげだって言ってたから、一応礼を言っとくぜ。ありがとう」

 

 シンヤ「…あっ、いや、ホントに気にしないでもらっていいので。…それと、ネリネさんとアカマツさんは、多分、俺と年が同じだと思うから、タメ口でいいですよ」

 

 アカマツ「だったら、俺たちもタメ口でいいし、敬語もなしでいい。なっ、ネリネ」

 

 ネリネ「はい。ネリネもそれで構いません」

 

 シンヤ「じゃあ改めて。アカマツ、ネリネ、よろしく」

 

 アカマツ「おう」

 

 ネリネ「はい」

 

 ゼイユ「流石シンヤ。誰とでもすぐ仲良くなるわね」

 

 シンヤ「そ、そうかな?」

 

 スグリ「うん。俺たちの時も、鬼様の時だって、シンヤ、すぐに仲良くなった」

 

 スグリやゼイユ曰く、シンヤは、初めて出会った人やポケモンとすぐに仲良くなるらしい。シンヤからすれば、人やポケモンに普通に接して、自分がその時に思う本当のことを言ってるだけで、それが結果的に、誰とでもすぐに仲良くなることに繋がっているだけなのだ。

 

 カキツバタ「おいおい。オイラやタロはタメ口じゃないのかい?」

 

 シンヤ「ああ…2人は俺より年上だから、流石に敬語になります」

 

 カキツバタ「だったらゼイユだって敬語だろ?」

 

 シンヤ「ゼイユは…年上って感じがしなくて」

 

 ゼイユ「ちょっと!それどう言う意味よ!」

 

 シンヤ「そういう所だって…」

 

 タロ「まあまあ。…それよりカキツバタ、シンヤさんに渡したい物があるんでしょ?」

 

 シンヤ「?渡したい物?」

 

 タロ「ああ。ブルーベリー学園のチャンピオンになったやつには、学園からお祝い品が貰えんだ。シンヤはスグリに勝っただろ。だから、オイラからシンヤに、その祝い品を渡そうと思ってな」

 

 シンヤ「せっかくのご好意ですけど、俺はブルーベリー学園の生徒じゃないから、そういう物を貰う訳には…」

 

 カキツバタ「まあそう言うなって。ほら」

 

 スッ(シンヤの前に差し出す)

 

 シンヤ「ん?」

 

 ブルーベリー学園のチャンピオンでもあるスグリに勝ったお祝いに、シンヤにお祝い品をくれるとカキツバタは言うが、自分はブルーベリー学園の生徒ではないからと、シンヤはお祝い品を受け取るのを拒否した。しかし、カキツバタはシンヤの言葉を遮ると、ジャージのポケットから、いくつもの層が重なっている不思議な金属を取り出し、それをシンヤの前に差し出した。

 

 シンヤ「ッ!これって……もしかして、“ふくごうきんぞく”ですか?」

 

 カキツバタ「なんだ、知ってたのか?」

 

 シンヤ「前にネットに載ってたのを見たんです。確かこれって、《ジュラルドン》を進化させるために必要な道具ですよね?」

 

 カキツバタ「ああ」

 

 カキツバタがポケットから出した不思議な金属は、ガラル地方に生息する、ジュラルドンというポケモンを進化させるために必要な、ふくごうきんぞくという道具だった。シンヤも本物を見るのは初めてだが、前に偶然、ネットでジュラルドンの進化形が発見されたという事が書いてある記事を見つけた時、このふくごうきんぞくの写真が写っていて、ジュラルドンの進化に、ふくごうきんぞくが必要だったと書いてあるのを見たのを覚えていた。

 

 ゼイユ「でもさ、シンヤがジュラルドンを持ってないなら、シンヤにふくごうきんぞくをあげても意味がないんじゃないの?」

 

 シンヤ「いや、前にガラル地方を冒険した時、ジュラルドンをゲットしてる」

 

 ゼイユ「あっ、そうなんだ」

 

 カキツバタ「ならちょうどいいじゃねえか。コレでジュラルドンを進化させてやれよ」

 

 シンヤ「…本当にいいんですか?こんな貴重な物を貰っちゃって?」

 

 カキツバタ「ああ。それはブルーベリー学園でいくらでも手に入るから、キョーダイにやるよ」

 

 シンヤ「ありがとうございます!」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 …とここまでが、リコがここに来るまでに、シンヤがゼイユたちと話していた話の内容だ。

 

 …そして、シンヤがカキツバタからふくごうきんぞくを貰ったところから、時間は現実に戻る。

 

 

 

 カキツバタ「シンヤとスグリのフルバトル、オイラたちも見てたけど、ジジイや《アイリス》の言う通り、シンヤ強いんだな」

 

 シンヤ「えっ?ツバサさん、アイリスを知ってるんですか?」

 

 カキツバタ「ああ。ジジイとアイリスが知り合いっていうのもあるけど、偶に竜の里からアイリスが来た時に、一緒に遊んでんだ」

 

 シンヤ「へぇ〜」

 

 タロ「それにシンヤさんは、プラズマ団を倒した人ですから、イッシュ地方では有名ですからね」

 

 シンヤ「えっ?そうなんですか?」

 

 タロ「はい。シンヤさんと一緒にプラズマ団と戦った、《カミツレ》さんや《フウロ》さんも、シンヤさんのことをとても褒めてましたよ」

 

 シンヤ「?タロさんは、カミツレさんやフウロさんを知ってるんですか?」

 

 タロ「はい。パパがお二人と知り合いですから。それに、よくパパの付き添いでパーティーに行った時にお二人とお会いするので、その時にカミツレさんとフウロさん、よくシンヤさんのことを話すんです」

 

 シンヤ「ああ、そうなんですか…」

 

 自分には縁のない、ボンボンコミュニティの人間関係はすごいなと思いつつ、パーティーのなどの祝いの席で、ジムリーダーが自分の話題で盛り上がっているのを聞いたシンヤは、少し恥ずかしくなってしまう。

 

 シンヤ(あっ、そうだ。応用テストが終わった時、リュウガに連絡しろって言われてたのを忘れてた)

 

 スッ(スマホロトムを取り出す)

 

 タロたちと楽しく話をしていたシンヤは、リコたちの応用テストが終わったあと、リュウガに連絡しろと言われてたのを思い出すと、スマホロトムを取り出してリュウガにメールを送ろうとした。

 

 シンヤ「あっ…」

 

 自分のスマホロトムを取り出した時、スマホロトムの通知センターを見たシンヤは、リコから何度も電話とメールが来ているのを確認した。

 

 ゴゴゴゴッ

 

 ビクッ!

 

 シンヤ「ッ!」

 

 リコから送られてきた電話とメールの通知を確認すると、シンヤは突然、背後から自分に向けられている殺気を感じ取り、「にらみつける」を食らって防御を下げられたあとに、「にぎりつぶす」を食らって体を潰されるような感覚を味わったので、恐る恐る、顔をゆっくりと後ろに向けた。

 

 リコ「(ꐦ`^´)…」

 

 ニャローテ「(´﹏`)ニャァ…」

 

 シンヤ(リコ!めちゃくちゃ怒ってる‼︎…∑∑(゚Д゚))

 

 後ろに振り向いたシンヤが見たのは、本棚から顔だけ出して、「こわいかお」で自分を見ているリコと、リコの発している不機嫌なオーラに少し怖がっている、リコの相棒であるニャローテの姿だった。

 

 シンヤ(…(・_・lll)…リコ、いつからあそこに居たんだろ?…いや、あの怖い顔から察すると、さっきの話、全部聞かれてたのかな?)…「…ああ、すいません。俺、そろそろ行かないと」

 

 ゼイユたち「「「えっ?」」」

 

 シンヤ「今からグラウンドで、研修生バトル大会っていう、テラスタル研修を受けている生徒同士のポケモンバトルの大会があるから、そっちを見に行きたくて。じゃあツバタさん、ふくごうきんぞく、後でジュラルドンの進化に使わせてもらいます」

 

 カキツバタ「え?…お、おう」

 シンヤ「じゃあまた!」

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 シンヤが自分に気づき、『そろそろ行かないと』とスグリたちに言ったあと、リコはグラウンドに歩いて行った。シンヤの方は、リコが怖い顔をして自分を見ているということもあり、カキツバタにふくごうきんぞくを貰ったお礼を言ったあと、スグリたちに挨拶をしてグラウンドに向かった。

 

 スタッスタッ(廊下を歩く音)

 

 シンヤ「あっ…(゚o゚)」

 

 リコ「ジーーッ(T_T)」

 

 シンヤ「(-_-lll)……」

 

 ニャローテ「ニャー…」

 ピカチュウ「ピィカッ…」

 

 シンヤが廊下を歩いていると、その途中、廊下で自分が来るのを待っていたリコと会うと、リコはシンヤをジト目で見ていた。その目は、「アイリスさんやカミツレさん、フウロさんとの関係は?」と聞いているような目だと、シンヤにはそう言っているように感じた。

 

 シンヤ「…アイリスはイッシュ地方のチャンピオンで、カミツレさんやフウロさんは、イッシュ地方のジムリーダーだよ」

 

 リコ「…シンヤがここに来る前に、3人の名前をネットで調べてたら、3人のことが詳しく載ってた。…カミツレさんとフウロさん、美人で綺麗だね。服装も大胆だし」

 

 シンヤ(アイリスのことより、2人のことで怒ってるぽいな)

 

 とても冷たい声でリコにそう言われたシンヤは、チャンピオンのアイリスより、ジムリーダーのカミツレやフウロ……というより多分、モリーやオリオのように、スタイルが良くて美人な2人が自分とどんな関係か気になっているのだろうとシンヤは思った。

 

 シンヤ「一応言っとくけど、2人とは何もないからな。一緒にプラズマ団と戦っただけで、少しお世話になったぐらいで…」 

 

 リコ「…」

 シンヤ「…」

 

 シンヤはリコに、フウロとカミツレの関係を説明するが、リコはシンヤがここに来る前に、アイリスとカミツレとフウロのことをネットで調べ、シンヤがイッシュ地方で彼女たちと一緒にプラズマ団と戦った記事を見つけると、プラズマ団との戦いが終わったあと、記者から取材を受けているカミツレとフウロがシンヤにくっ付いている写真を見つけたので、すっかり御機嫌斜めになっていた。

 

 シンヤ「(◞‸◟)……」

 

 リコ「(T_T)……(・_・)」

 

 ぎゅっ(シンヤに抱きつく)

 

 シンヤ「えっ?」

 

 リコ「…」

 

 チュッ(唇にキスをする)

 

 自分の態度でシンヤを追い詰めているということに気づいたリコは、少し罪悪感に苛まれると、これ以上シンヤを追い詰めれば嫌われると思い、シンヤに抱きつくと、そのままシンヤの唇にキスをした。

 

 リコ「…私が自分に自信がないから、勝手にシンヤに嫉妬してるのは分かってる。…けど、カミツレさんもフウロさんも…」

 

 シンヤ「モリーやオリオのように、スタイルが良くて、美人だから…だろう?」

 

 リコ「う、うん」

 

 シンヤと出会わなければ、リコは自分のスタイルについて何も気にしなかっただろう。しかし、リコは前にシンヤと海に行った時から、自分のスタイルについて気にしていた。恐らくそのキッカケになったのは、海でオリオとモリーの水着姿を見た時からだろう。しかし、リコは年頃の女の子だから、これから体が成長することを考えれば、モリーやオリオのようにスタイルが良くなるし、元々のビジュアルの良さを見れば、母親であるルッカと同じくらい美人になるだろうとシンヤは思った。

 

 シンヤ「リコ…俺はさ、リコが大人になれば、2人に負けないくらい、すごい美人になると思うぞ」

 

 リコ「ひょえっ⁉︎///」

 

 シンヤ「それに、2人の服装を大胆って言うけど、俺から見れば、リコの服装だって、結構大胆だと思うぞ」

 

 リコ「えっ?私の服装が、大…胆?」

 

 シンヤ「リコってさ、冒険してる時の服装もそうだけど、寝巻きだって薄着だろ」

 

 リコ「う、うん。そうだね」

 

 シンヤ「だから、いつもリコの白くて綺麗な素肌を見てるから分かるんだけど…」

 

 リコ「い、いつも見て⁉︎///」

 

 シンヤ「そりゃあ彼女が綺麗な素肌をあれだけ晒してれば、彼氏としては目がいくだろ。目の保養になるし」

 

 リコ「ッ!シンヤは、私を見てれば目の保養になるの?」

 

 シンヤ「まあな。ほら、ナッペ山を登る時、ブティックに寄って防寒着を買ったろ?」

 

 リコ「うん」

 

 シンヤ「そこでリコがスキニーを穿いた時、当分リコの綺麗な生足が見れなくて残念だなって、少し思ってたからな」

 

 リコ「…………」

 

 ボンッ(リコの頭が爆発する)

 

 リコ「⁉︎//////////」

 

 リコは一瞬、シンヤが何を言ったのか理解できず、それを理解するまでに数秒かかった。そして、シンヤの言葉の意味を理解すると、容量を超えたリコの頭は爆発し、顔はオクタンのように真っ赤になってしまうと、その場に蹲ってしまう。

 

 リコ「うぅ〜〜っ⁉︎///シンヤのエッチ!///私のこと、そんな風に見てたの!///」

 

 シンヤ「見ちゃダメなのか?どんな風に見られても、俺に見られるのは嫌じゃないくせに」

 

 リコ「うぅ〜〜っ///シンヤの意地悪///」

 

 シンヤ「ヘヘっ、さっきの仕返しだ。……リコはさ、自分のスタイルについて気にしてるみたいだけど、これから大人になるに連れて成長するだろうし、もし仮に、自分の望むような体になれなくても、俺はどんなリコでも好きだから」

 

 リコ「はうっ⁉︎///」

 

 シンヤ「俺は、胸の大きさやスタイルの良さで女性を図る訳じゃないし、リコから告白されて付き合ったのだって、俺が今まで出会ってきた女性の中で、リコが1番優しくて、心の綺麗な女性で、とても魅力的に思えたからで…」

 

 リコ「も、もういいから~~~~‼︎///」

 

 綺麗な素肌、目の保養、優しい、心が綺麗、魅力的、止まることのない誉め言葉を口にするシンヤの言葉を聞いたリコは、流石にこれ以上は限界なのか、両手でシンヤの口を塞いだ。

 

 シンヤ「…ぷはっ。だってさ、リコがフウロとカミツレさんに嫉妬してるから、これぐらいは言っといた方がいいかなって」

 

 リコ「そ、それはそうだけど……///」

 

 シンヤ「心配しなくても、俺がリコ意外の女性に靡くことなんてないから」

 

 リコ「はうぅ⁉︎///」

 

 シンヤ「だから、リコはずっと、俺のお姫様でいてくれるんだろ?」

 

 リコ「うぅ〜〜///シンヤのバカ王子///」

 

 シンヤに褒めちぎられたリコは、さっきまでの不機嫌な顔が嘘のように変わっており、いつもシンヤに揶揄われた時のような顔に変わっていた。まあ、勝手にリコがシンヤたちの話を盗み聞きしていたから、こうなったのはリコの自業自得と言えるが。

 

 ピカチュウ「ピィカッ…(-_-)」

 

 ニャローテ「ニャァァ…(-_-)」

 

 シンヤとリコがイチャつくと、シンヤとリコの周りに甘い雰囲気が漂い始め、それを見ていたピカチュウとニャローテは、またかのような顔をして、呆れた様子でシンヤとリコを見ていた。

 

 ロトン(メールが届く)

 

 シンヤ「ん?誰だよ。せっかくリコとイチャイチャしてるって時に」

 

 リコ「ッ!///」

 

 シンヤ「ったく、少しは空気読め…」

 

 リコ「…ん?シンヤ、どうしたの?」

 

 リコとイチャついている時に、自分のスマホロトムにメールが送られてくると、シンヤは不満の声を漏らしながら、メールを送ってきた相手を確認した。すると、シンヤの顔はだんだん険しくなっていった。

 

 シンヤ「……リコ。俺は後でグラウンドに行くから、先にグラウンドに行っててくれ」

 

 リコ「…ゲーチスって人から?」

 

 シンヤ「ッ⁉︎」

 

 前にペンダントだったテラパゴスを奪われる前に、同じことがあったのをリコは覚えていたので、送られてきたメールを確認したシンヤの顔を見た時、シンヤにメールを送ってきた相手がゲーチスだと、リコにはすぐ分かった。そして、リコの言葉にシンヤは図星を突かれた顔をしたので、それは当たりだと言ってるようなものだ。

 

 

 リコ「…無事に帰ってきてね」

 

 シンヤ「…ああ、ゲーチスを倒したら、すぐにお前の所に戻る」

 

 リコ「うん!(⌒▽⌒)」

 

 本当なら、リコはシンヤに付いて行きたかったが、今シンヤに付いていっても、ゼクロムが自分たちを庇ってキュレムに吸収された時のように、自分がシンヤの足を引っ張ると考えたリコは、ここでシンヤの帰りを待つことにした。

 

 

 パルデア地方・1番エリア上空

 

 シンヤ「…」

 

 リザードン「リザァァァ!」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 シンヤ「…居たか」

 

 オレンジアカデミーでリコと別れたシンヤは、ゲーチスから送られてきたメールの中身を確認し、1番エリアに来るようにと書いてあるを見たので、ピカチュウと一緒にリザードンに乗って1番エリアに向かっていた。そして、リザードンがオレンジアカデミーを飛んでから数分後、1番エリアの上空にやってくると、見覚えのある顔の男が、1番エリアの地上に立っているのが見えた。

 

 

 

 パルデア地方・1番エリア地上

 

 ゲーチス「…フッ」

 

 

 ドンッ(リザードンが地面に下りる)

 

 シンヤ「ありがとうリザードン。戻ってくれ」

 

 シュルルーン

 

 ゲーチス「フフフッ、来ましたね。理想の英雄よ」

 

 シンヤ「ああ。メールの最後の所に、『あなたが1番エリアに来なければ、ブラックキュレムの力を使って、オレンジアカデミーを氷漬けにする』。なんて脅迫の言葉が書いてなければ、ここに来なかっただろうな」

 

 

 ゲーチス「フッ。そう言えば、あなたとナッペ山で会った時、私がエリアゼロやテツノイワオの事を知っていることに、あなたは随分驚いていましたね」

 

 シンヤ「ッ!」

 

 ゲーチス「その理由を教えて差し上げましょう。なあに、簡単なことですよ。あなたがエリアゼロに行く前、学園に潜入しているアゲートさんが、小型カメラが付いている鞄をオレンジアカデミーの校長に渡し、あなたたちがエリアゼロから帰ってきたあと、校長から返してもらった鞄に付いている小型カメラをアゲートさんが回収し、小型カメラで撮った動画を全て我々に送ってもらっただけですよ」

 

 シンヤ「なるほど。校長がエクスプローラーズの女から鞄を受け取ったと聞いた時から、何かあると思っていたが、そういうカラクリだったとはな。だが、アメジオはエリアゼロでのことを知らなかったようだが?」

 

 ゲーチス「当然でしょう。この事を知っているのは、私とスピネルさんとアゲートさん、そしてダークトリニティを除いて、マツブサとアオギリ、フラダリとハンベル、あとはギベオンだけですからね」

 

 シンヤ「ってことは、サンゴとオニキスとアメジオは、エリアゼロでの出来事を知らないって事か?」

 

 ゲーチス「その通りです。…しかし驚きましたよ。あなたが神と呼ばれているポケモンを2体も捕まえていて、その力を使い、フトゥー博士とオーリム博士を救うとは。…まぁそのおかげで、我々も良い物が手に入りましたが」

 

 シンヤ「良い物、だと?」

 

 ゲーチス「…フッ。さぁ、お喋りはここまでにして、そろそろバトルを始めましょうか!」

 

 カツンッ(杖を地面に突く)

 

 ビュウウウウーーー(猛吹雪が吹き荒れる)

 

 シンヤ「うっ⁉︎」

 

 ピカチュウ「ピィカッ⁉︎」

 

 ゲーチスが手に持っている杖を地面に突くと、1番エリアの周りに猛吹雪が吹き荒れた。そして、猛吹雪がおさまると、シンヤたちの目の前にブラックキュレムが現れた。

 

 ブラックキュレム「キューーーレーーームッ‼︎」

 

 シンヤ「ブラックキュレム!」

 ピカチュウ「ピィィィカッァッ!」

 

 ゲーチス「フフッ。ナッペ山にいた時は、あなたとバトルする訳にはいきませんでしたが、今はあなたを全力で叩き潰すことができるのでね」

 

 スッ(スーパーボールを取り出す)

 

 シンヤ「なら、こっちも容赦なく叩き潰してやる!」

 

 ポーーン

 

 ディアルガ「ディアァァーーーーーッ‼︎」

 

 ゲーチス「ほう、これが神と呼ばれしポケモン、ディアルガですか」

 

 シンヤ「ブラックキュレムを相手にするなら、こっちも全力で戦う必要があるからな。それにタイプの相性を考えれば、ディアルガを出すのは当然だ」

 

 ディアルガはドラゴン・はがねタイプ。キュレムはドラゴン・こおりタイプ。どちらもドラゴンタイプを持っているが、はがねタイプはこおりタイプに強いため、ディアルガをチョイスするのは当然と言えるだろう。しかし、ポケモンバトルは相性の有利で決まるものではなく、なにより相手が相手なため、シンヤは油断していなかった。

 

 ブラックキュレム「グオオオオオオッ‼︎」

 

 ディアルガ「グオオオオオオッ‼︎」

 

 ディアルガが場に現れると、ブラックキュレムはディアルガに雄叫びを上げて威嚇し、ディアルガもブラックキュレムに雄叫びを上げて威嚇していた。

 

 カイリュー「バゥゥーーン!」

 

 シンヤ・ゲーチス「「ん?」」

 

 シンヤがディアルガを出すと、突然1番エリアの上空から、カイリューの鳴き声が聞こえてきたので、シンヤとゲーチスは上を向いた。2人がカイリューをよく見ると、上空を飛んでいるカイリューの背に誰か乗っていたのだ。

 

 スグリ「シンヤ〜〜!」

 

 シンヤ「スグリ⁉︎何でここに⁉︎」

 

 ゲーチス「…」

 

 スッ(モンスターボールを取り出す)

 

 ポーーン

 

 サザンドラ「サザァァーーッ!」

 

 ゲーチス「サザンドラ!「りゅうのはどう!」」

 

 サザンドラ「サッ、ザァァーーッ!」

 

 バァァァァン!

 

 カイリュー「バゥゥーー⁉︎」

 

 スグリ「うわぁぁぁ⁉︎」

 

 ドォォォォン!

 

 カイリューの背に乗っていた人物は、カイリューのトレーナーのスグリだった。しかし、何故スグリがここ来たのかシンヤに分からず混乱していると、ゲーチスはモンスターボールを一つ取り出し、それを宙に投げてサザンドラを出すと、「りゅうのはどう」を指示した。サザンドラがゲーチスの指示で、口から衝撃波を放ってカイリューを攻撃すると、「りゅうのはどう」が直撃したカイリューはバランスを崩して地面に墜落してしまう。

 

 シンヤ「スグリ!カイリュー!大丈夫か!」

 

 ピカチュウ「ピィカ?」

 

 スグリ「だ、大丈夫…」

 

 カイリュー「バゥゥ…」

 

 シンヤ「お前、何でここに?」

 

 スグリ「シンヤがグラウンドに向かったあと、俺も姉ちゃんたちと一緒にグラウンドに向かったんだ。けどその途中に、俺、トイレに行きたくなって、姉ちゃんたちに先にグラウンドに行ってもらったんだ。っで、トイレを出てグラウンドに行く途中に、廊下でシンヤとリコさんが話をしているのを聞いて、リコさんが、『ゲーチスって人から?』ってシンヤに言ってたから、もしかしたらそのゲーチスっていうのは、タロさんやカキツバタが言ってた、イッシュ地方で悪さをしてた、プラズマ団の親玉なんじゃないかって思って」

 

 シンヤ「ああ、ゲーチスはそのプラズマ団の親……ん?…スグリ、お前、今、俺とリコの話を廊下で聞いてたって言ったよな?」

 

 スグリ「えっ?……あっ、うん」

 

 シンヤ「…その話、どこから聞いてた?」

 

 スグリ「え?…どこからって……シンヤがリコさんに、先にグラウンドに行けって行った時からだけど」

 

 シンヤ「ホッε-(-。-)。よかった」

 

 スグリ「(・_・)?」

 

 幸いにも、廊下でリコとイチャついてる所からスグリに見られていなかったため、シンヤは胸を撫で下ろしてホッとしていたが、シンヤの様子を見ていたスグリの頭には、クエスチョンマークが浮かんだ」

 

 ゲーチス「友達とお喋りとは、随分と余裕ですね」

 

 シンヤ「おっと、そうだった。スグリ。悪いんだけど、俺は今からゲーチスとバトルするから、手を出さないでくれ」

 

 スグリ「えっ?…うん。分かった」

 

 ディアルガとキュレムは伝説のポケモン。伝説のポケモン同士が戦えば、街の一つなど簡単に消し飛ぶ。流石にそんなバトルにスグリを巻き込む訳にはいかないので、シンヤはスグリに手を出さないように頼んだ。そしてスグリも、エリアゼロでシンヤのバトルを見ているから、シンヤに言われた通り、ディアルガとキュレムのバトルに手を出さないようした。

 

 シンヤ「ディアルガ!「ラスターカノン!」」

 

 ディアルガ「ディアァァーーッ‼︎」

 

 ゲーチス「キュレム!「ドラゴンクロー!」」

 

 ブラックキュレム「グオオオオッ‼︎」

 

 遂に始まった、シンヤとゲーチスのバトル。ディアルガがエネルギーを口に集めて「ラスターカノン」を発射すると、ブラックキュレムは両手で「ドラゴンクロー」を発動し、そのまま「ラスターカノン」を粉砕した。2匹の技のぶつかり合いによって、1番エリアの周りには強い衝撃波が発生し、周りの草木は揺れ、波は大きく荒れ始めた。

 

 ゲーチス「クロスサンダー!」

 

 ブラックキュレム「グオオオオオオッ‼︎」

 

 ブラックキュレムは「ラスターカノン」を粉々にして防ぐと、雄叫びを上げながら「クロスサンダー」を発動し、体を青い電気の球体に包み込むと、ディアルガに向かって突撃してきた。

 

 シンヤ「クッ、ディアルガ!「ラスターカノン!」」

 

 ディアルガ「ディアァァーー…」

 

 ドォォォォォォン!

 

 ディアルガ「ディアァァーーーッ⁉︎」

 

 シンヤ「ディアルガ!」

 

 ブラックキュレムが突っ込んでくると、ディアルガは「ラスターカノン」を放って迎撃しようとするが、ディアルガが「ラスターカノン」を放つ前に、ブラックキュレムの攻撃がディアルガに命中し、ディアルガはダメージを受けてしまう。

 

 シンヤ「チッ、ディアルガ!「りゅうせいぐん!」」

 

 ディアルガ「ディアァァーーーッ‼︎」

 

 ゲーチス「キュレム!「ドラゴンクロー」で粉砕しろ!」

 

 ブラックキュレム「グオオオオーーッ‼︎」

 

 ドォォォォン!

 

 ブラックキュレム「グオオオオッ⁉︎」

 

 ディアルガは口元にエネルギーを集めると、溜めたエネルギーを空へ向けて解放した。解放されたエネルギーは空で分散すると、ブラックキュレムに降り注いだ。ブラックキュレムは「ドラゴンクロー」を発動すると、自分に向かって飛んできた流星を粉々に打ち砕くが、降ってきた流星の数が多すぎて捌ききれず、「りゅうせいぐん」をガードしきれずに大ダメージを受けてしまう。

 

 ゲーチス「クッ!キュレム!「ドラゴンクロー!」」

 

 ブラックキュレム「グオオオオッ‼︎」

 

 バァァァァン!

 

 ディアルガ「ディアァーーッ!」

 

 ディアルガの「りゅうせいぐん」をまともに食らったブラックキュレムは大ダメージを受けたが、すぐに態勢を立て直して「ドラゴンクロー」を発動すると、右手を振り下ろしてディアルガを攻撃してきた。

 

 シンヤ「ディアルガ、大丈夫か?」

 

 ディアルガ「…」コクッ

 

 ゲーチス「流石は神と呼ばれしポケモン。あなたから奪ったゼクロムのパワーを足してあるとはいえ、そう簡単には倒れませんか」

 

 シンヤ「当たり前だ。ディアルガは俺のゲットした伝説のポケモンの中で間違いなく最強だからな。そう易々とやられはしない」

 

 ディアルガ「ディアァァーーッ‼︎」

 

 ゲーチス「なるほど。では、私も少しだけ本気を出すとしましょう」

 

 シンヤ「なに?」

 

 シンヤのゼクロムを取り込んでパワーが上がっているキュレムの攻撃を受けても、ディアルガが顔色ひとつ変えずに雄叫びを上げた。すると、ゲーチスは懐に手を入れて何かを取り出した。それは、テラスタルオーブにそっくりな形をしていたが、色はテラスタルオーブと違い、左側が白、右側が黒というツートンカラーだった。

 

 シンヤ「なんだそれは⁉︎…まさか、テラスタルオーブか⁉︎」

 

 ゲーチス「形はテラスタルオーブと似ていますが、少し違いますね。これは、ダークトリニティがエリアゼロから持ってきてくれた《結晶石のカケラ》を使い、エリアゼロに残っていた、オーリム博士とフトゥー博士が作り出したテラスタルオーブの設計図を見て、我々が新たに作り出した物ですから」

 

 シンヤ「ッ!テラスタルオーブの設計図を見ただと⁉︎」

  

 ゲーチス「ええ。以前あなたがナッペ山でダークトリニティと会った時、1人欠けていたでしょう?その欠けていた1人がエリアゼロに向かい、エリアゼロにある、テラスタルオーブを作り出すために必要な結晶石のカケラと、オリーム博士とフトゥー博士がエリアゼロで作り出した、テラスタルオーブの設計図を持ってきてくれたのですよ、エリアゼロに置いてあるパソコンの中に入っていたテラスタルオーブの設計図のデータを、このディスクの中に移してね」

 

 シンヤ「ッ!馬鹿な!テラスタルオーブは、オリーム博士とフトゥー博士が長い時間をかけて完成させた物だ。それに、仮に結晶石のカケラとテラスタルオーブの設計図があっても、それを作り出す程の資金が…」

 

 ゲーチス「確かに。テラスタルオーブを作り出したオーリム博士とフトゥー博士は天才だと言っていいでしょう。しかし、 我々には2人に負けない程の知能を持つ何人もの科学者と、それを作り出す程の資金だってあるのです。それを考えれば、テラスタルオーブと同じ物などいくらでも作れます」

 

 シンヤ「っ!」

 

 ゲーチス「そうそう、名前がないと不便ですね。これに名前をつけるとしたら……そうですね。《カオスオーブ》とでも名付けましょうか」

 

 シンヤ「カオスオーブだと…」

 

 マツブサ、 アオギリ、フラダリ、そして、シンヤの目の前にいるゲーチスは、各地方の悪の組織の首領だった人物だ。技術力や資金力はそれぞれ異なるが、ゲーチスのプラズマ団、そして、フラダリのフレア団の技術力や資金力は、エクスプローラーズと同等と言ってもいいだろう。オリーム博士とフトゥー博士は長い時間をかけて、2人でようやくテラスタルオーブを作り出した。だが、さっきゲーチスが言っていたことを踏まえると、今ゲーチスが手に持っているカオスオーブは、以前シンヤがナッペ山でダークトリニティと戦った後に作り出したということになる。あれからまだそんなに日は経っていないはずなのに、こんなに短い期間でテラスタルオーブと同質のカオスオーブという物を作り出すとなると、奴らの技術力は侮れないと思い知らされる。

 

 ゲーチス「では、特別に見せてさしあげましょう。このカオスオーブの力を!」

 

 シンヤ「ッ!」

 

 ゲーチスがカオスオーブを構えると、カオスオーブにエネルギーが蓄積されていき、チャージが満タンになると、ゲーチスはブラックキュレムに向かってカオスオーブを投げた。カオスオーブはブラックキュレムの頭上でエネルギーを解放すると、ブラックキュレムの頭上に、六角形の角に棘がついた内部が空洞のクリスタルが現れ、ブラックキュレムの足場から無数の結晶石が出てきて、ブラックキュレムは結晶石に身を包み込んだ。そして、結晶石が砕け散ると、そこには全身がクリスタル化して、頭に拳の王冠を被るブラックキュレムがいた。

 

 (かくとうテラスタイプ)ブラックキュレム「キューーーーレーーームッ‼︎」

 

 シンヤ「なんだよ、普通のテラスタルと同じじゃねぇか」

 

 ゲーチス「フッ。このカオスオーブは、あなたたちの持っているテラスタルオーブと違い、ポケモンを好きなテラスタイプにすることができるのですよ」

 

 シンヤ「なっ!ポケモンを好きなテラスタイプに変えられるだと⁉︎」

 

 ゲーチス「それだけではありません。キュレム!「フリーズボルト!」」

 

 (かくとうテラスタイプ)ブラックキュレム「グオオオオオオッ‼︎」

 

 ブラックキュレムは「フリーズボルト」を発動しようと、羽部下から4つのチューブ状のようなものを出すと、それを小さい穴が開いている尻尾に接続した。すると、ブラックキュレムの体は光り輝き、両手にエネルギーを集めていた。それは以前、ゼクロムが吸収されたあとにシンヤも見たことのある光景だったが、シンヤはすぐに違和感に気づいた。…それは、ブラックキュレムのパワーが上がっていることだった。

 

 シンヤ「そのカオスオーブには、ポケモンのテラスタイプを好きに変えられる他に、何かもう一つありそうだな」

 

 ゲーチス「フッ。相変わらず察しがいい。…その通りです。本来テラスタルオーブは、テラスタルオーブを使ったポケモンのタイプを変えるのと同時に、テラスタルしているポケモンが技を放った時、技がテラスタイプと同じタイプの技なら、その技をパワーアップするのはご存じですよね。しかし、このカオスオーブ使えば、テラスタイプになった違うタイプの技を使っても、技をパワーアップさせることができるのです」

 

 シンヤ「何⁉︎テラスタイプと違うタイプの技を使っても、技の威力が上がるだと!」

 

 ゲーチス「その証拠をお見せしましょう。…さぁ、やれキュレム!」

 

 (かくとうテラスタイプ)ブラックキュレム「グオオオオオーーーッ‼︎」

 

 カオスオーブの力でパワーアップしたブラックキュレムは、両手にエネルギーを溜め終えると、両手に集めたエネルギーで作った電気を纏った氷の塊をディアルガに向けて投げ飛ばしてきた。ディアルガに放たれた「フリーズボルト」は、前に見たものより遥かに威力が上がっていて、もし直撃すれば、確実にディアルガはやられるとシンヤは見抜いた。

 

 シンヤ「クッ、ディアルガ!「ときのほうこう!」

 

 ディアルガ「ディアァァァァーーーーッ‼︎」

 

 ドォォォォォォン!

 

 「フリーズボルト」を防ぐため、ディアルガは「ときのほうこう」を発動しようとした。すると、ディアルガの胸部の中心にある青いダイヤモンドのような宝珠が光り始め、尾の付け根から広がる扇状の甲殻が大きくなると、ディアルガは大きな声で雄叫びを上げた。そして、ディアルガは自身の最強専用技である「ときのほうこう」を「フリーズボルト」に放ち、氷の塊を粉砕しようとした。しかし、「フリーズボルト」はカオスオーブの力でパワーが上がっているうえに、ディアルガはさっき「りゅうせいぐん」を使って特攻が下がっているため、「ときのほうこう」の威力が下がっていた。

 

 ポーーン

 

 カミツオロチ「カァァミィィツッ!」

 

 シンヤ「えっ?」

 

 スグリ「カミツオロチ!きまぐレーザー!」

 

 カミツオロチ「カァァミィーーツッ‼︎」

 

 バァァァァン!

 

 「ときのほうこう」と「フリーズボルト」の鍔迫り合いが続いていたが、「フリーズボルト」が「ときのほうこう」を破りそうになった時、突然スグリがモンスターボールからカミツオロチを出すと、カミツオロチに「きまぐレーザー」を指示した。すると、蜜飴で作ったりんごの中から4匹のオロチュが出てきて、 4匹のオロチュたちはリーダーのオロチュと一緒に口元にエネルギーをチャージすると、口からドラゴンエネルギーを発射した。そして、「きまぐレーザー」が氷の塊にぶつかると、氷の塊は粉々に砕け散った。

 

 シンヤ「スグリ。…何で?」

 

 スグリ「シンヤ……俺も一緒に戦わせて!」

 

 シンヤ「えっ?」

 

 スグリ「俺、エリアゼロに行った時、何もできなかった。今の俺じゃあ、シンヤの力になれるかも分かんねぇ。…けど!俺、シンヤの役に立ちたいんだ!」

 

 シンヤ「……フッ。なら、一緒に戦ってくれるか?」

 

 スグリ「ッ!…うん!」

 

 ゲーチス「フッ、弱い味方が1人増えたところで、あなたたちの不利な状況は変わりませんよ」

 

 スッ(テラスタルオーブを取り出す)

 

 スグリ(勝つのは俺たちだ!」

 

 スグリがポケットから取り出したテラスタルオーブを構えると、テラスタルオーブにエネルギーが集まっていき、テラスタルオーブのエネルギーが満タンになると、スグリはカミツオロチの頭上に向かって、テラスタルオーブを投げ飛ばした。テラスタルオーブはカミツオロチの頭上でエネルギーを解放すると、カミツオロチは結晶石に身を包み込んだ。そして結晶石が弾けると、そこには全身をクリスタル化させ、頭部に拳の王冠を被るカミツオロチがいた。

 

 (かくとうテラスタイプ)カミツオロチ「カァァミィーーツッ‼︎」

 

 スッ(だいこんごうだま取り出す)

 

 シンヤ「カオスオーブの力を体験させてくれた礼に、俺もお前に体験させてやるよ。ディアルガの持つ本来の力を!」

 

 ビュン‼︎(だいこんごうだまを投げる)

 

 ピカァァァァン(ディアルガの体が光る)

 

 シンヤは、エリアゼロから戻ってきた後にオーリム博士から貰った《だいこんごうだま》を取り出すと、それをディアルガに向かって投げた。すると、ディアルガの体が光り輝き、ディアルガは光の中で姿を変え始めた。

 

 

 

 

 

 

 ディアルガ(オリジンフォルム)「ディアァァーーーーーッ‼︎」

 

 スグリ「ディアルガの姿が変わった…!」

 

 ゲーチス「何だ…?ディアルガのその姿は?」

 

 シンヤ「オリジンフォルム、ディアルガの本来の姿だ!」

 

 ディアルガがオリジンフォルムにフォルムチェンジすると、全身が真っ青になり、胸部のダイヤモンドの核は首部分に移動していた。更に、口にはマウスガードの様な部位が追加され、開閉するごとに上下に動くほか、背部の装甲がせり上がって時計盤を思わせる形状に変化し、腹部には、アルセウスの腹部のリングを思わせる時計の針を模した水色のリングが存在していた。これは、ディアルガがアルセウスの分身である事がより強調されたフォルムと言えるだろう。

 

 シンヤ「いくぜ、スグリ!」

 

 スグリ「うん!カミツオロチ!「みずあめボム!」」

 

 (かくとうテラスタイプ)カミツオロチ「カァァミィィーツッ‼︎」

 

 ドォーーン!

 

 (かくとうテラスタイプ)ブラックキュレム「グオオオッ⁉︎」

 

 ゲーチス「なんだ!この技は⁉︎」

 

 7匹のオロチュが一斉に水飴を吹き出してブラックキュレムを攻撃すると、ブラックキュレムの体に水飴が定着した。ブラックキュレムは、体を振り払って水飴を取ろうとするが、水飴が体にまとわりついているため、思うように体を動かせないようだ。

 

 シンヤ「それは「みずあめボム」って技だ。この技を食らったポケモンは、あめまみれ状態になって、しばらくの間は素早さが下がるんだ」

 

 ゲーチス「何⁉︎」

 

 シンヤ「スグリ!一気に決めるぞ!」

 

 スグリ「うん!」

 

 ゲーチス「クッ!」

 

 シンヤ「ディアルガ!「ときのほうこう!」」

 

 スグリ「カミツオロチ!「テラバースト!」」

 

 ディアルガ(オリジンフォルム)「ディァァァァーーーーーーッ‼︎」

 

 (かくとうテラスタイプ)カミツオロチ「カァァミィィーーーツッ‼︎」

 

 ドォォォォォォーーン!

 

 (かくとうテラスタイプ)ブラックキュレム「グオオオッ⁉︎」

 

 ドボーーーーン

 

 「みずあめボム」を食らったブラックキュレムの素早さが下がると、ディアルガは「ときのほうこう」を、カミツオロチは「テラバースト」を放ち、ブラックキュレムを攻撃した。すると、ブラックキュレムは体から冷気を放出し、体にまとわりついている水飴を粉々にすると、両手をクロスしてディアルガとカミツオロチの攻撃をガードしたが、オリジンフォルムになったディアルガと、テラスタルしたカミツオロチの予想以上のパワーに押され、そのまま後ろに吹き飛ばされて海に落ちていった。

 

 スグリ「やったぁ!」

 

 シンヤ「どうだゲーチス!」

 

 ゲーチス「…フッ。フフッ、見事です。オリジンフォルムになったディアルガの力は素晴らしい。……ですが。まさか、これで勝った、なんて思っていませんよね?」

 

 シンヤ「何!」

 

 ピキッピキッ(海が凍る)

 

 ドォーーーーーン!

 

 ブラックキュレム「グオオオオーーッ‼︎」

 

 シンヤ「なっ!」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 スグリ「ぁ…」

 

 ブラックキュレムが海に落ちてからしばらくすると、突然、海の水が凍り始めた。すると、凍った海の中からブラックキュレムが飛び出し、ゲーチスの目の前に降りてきた。

 

 シンヤ「やはり、そう簡単には倒れないか…」

 

 ゲーチス「フッ。本当にそうですか?」

 

 シンヤ「ッ」

 

 ゲーチス「確かにディアルガは、オリジンフォルムになったことでパワーが上がっています。しかし、今ブラックキュレムを倒せなかったのは、ディアルガが自分自身の力を完全に使いこなしていないのが原因のはずですよ」

 

 スグリ「えっ?…シンヤ、そうなのか?」

 

 シンヤ「……ああ」

 

 ディアルガは今回、初めてオリジンフォルムになった。オリジンフォルムになったことで、確かにディアルガの力は遥かに上がっている。しかし、オリジンフォルムになったディアルガは、自身の強大過ぎる力に振り回されており、まだオリジンフォルムの力を完全にものにしていないため、ブラックキュレムを倒すまでに至らなかったのだ。

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ

 

 ゲーチス「アゲートさんですか?」

 

 アゲート『任務は完了した。引き上げろ』

 

 ゲーチス「…分かりました」

 

 ピッ(通話を切る)

 

 ゲーチス「私としては、もう少しバトルをしていても構わないのですが、アゲートさんから撤退するよう言われたので、今日はこれで失礼します」

 

 シンヤ「待てよ!」

 

 ゲーチス「んっ?」

 

 シンヤ「お前には帰る理由があっても、俺にはお前を帰す訳にいかない理由がある。ゼクロムを返してもらうっていう理由があるからな!」

 

 ゲーチス「…いいんですか?今オレンジアカデミーに行かないと、あなたの大切な少女がどうなるか分かりませんよ」

 

 シンヤ「何!それはどういう意味だ!」

 

 ゲーチス「…なぜ私が、あなたをここに呼んだと思います?」

 

 シンヤ「?作ったばかりのカオスオーブの力を試すためだろう?」

 

 ゲーチス「もちろんそれも理由の一つですが、本当の目的はそうじゃないのですよ」

 

 シンヤ「ッ!」

 

 ゲーチス「エリアゼロに行く前日に、あなたたちはオレンジアカデミーの校長室で、テラパゴスに関する情報を見せてもらいましたよね?」

 

 シンヤ「何でそのことを!…ッ!まさか!」

 

 ゲーチス「フッ」ニヤリッ

 

 シンヤたちは、エリアゼロに行く前日に、オレンジアカデミー校長のクラベルと、理事長のオモダカから、校長室でテラパゴスのことが描いてある文献を見せてもらったことがある。そして、さっきゲーチスは、オレンジアカデミーに教師として潜入しているアゲートが、小型カメラが付いている鞄をクラベルに渡したと言っていた。ゲーチスから聞いた、話の一つ一つの伏線を繋げていくと、シンヤにはおおよその検討がついた。

 

 シンヤ「アゲートという女が、廊下で俺たちの会話を盗み聞きしてたって訳か…」

 

 ゲーチス「そう。そして今、あなたたちが見たテラパゴスに関するデータを手に入れるため、オニキスさん、サンゴさん、そしてアゲートさんは、オレンジアカデミーで行動を開始しているはずですよ」

 

 シンヤ「なっ!」

 

 ゲーチス「本当は、あなたとリコさんを監視するために、3人はオレンジアカデミーに潜入していたのですが、テラパゴスのデータを手に入れた後では学園に居られなくなりますし、なにより、もうオレンジアカデミーに潜入する理由もないですからね」

 

 シンヤ「テラパゴスのデータを手に入れるために、俺をここに呼び寄せたってことか!」

 

 ゲーチス「ええ。あなたさえ止めておけば、残りの連中はどうとでもなりますからね」

 

 ゲーチスの言っていることが本当なら、今オレンジアカデミーでは、リコたちがサンゴたちと戦っているはず。このままゲーチスと戦い、ゼクロムを取り返すという選択肢もあるが、リコたちの安全を考えると、今はオレンジアカデミーに向かう方が先決だとシンヤは考えた。

 

 ゲーチス「いずれ近いうちに、あなたとは決着をつけることになるでしょう。…では」

 

 ブラックキュレム「グオオオオッ‼︎」

 

 ビュウウウウーーー(猛吹雪が吹き荒れる)

 

 シンヤ「うっ⁉︎」

 

 ピカチュウ「ピィカッ⁉︎」

 

 ディアルガ(オリジンフォルム)「ディアァァーーッ⁉︎」

 

 スグリ「うわっ⁉︎」

 

 カミツオロチ「カァァミィ⁉︎」

 

 ブラックキュレムが雄叫びを上げると、1番エリアに猛吹雪が吹き荒れた。猛吹雪はシンヤたちの視界を遮った数秒後に収まったが、ゲーチスとブラックキュレムはシンヤたちの目の前から消えていた。

 

 ポーーン

 

 リザードン「リザァァァ!」

 

 シンヤ「スグリ、リザードンに乗れ」

 

 スグリ「えっ?」

 

 シンヤ「ゲーチスの話が本当なら、リコたちが危ない!」

 

 スグリ「わ、分かった」

 

 ゲーチスが目の前から消えると、シンヤはディアルガをボールに戻してリザードンをボールから出し、ピカチュウとスグリと一緒にリザードンに乗ると、急いでオレンジアカデミーに向かった。

 

 

 オレンジアカデミー・上空

 

 シンヤ「ん?…あれは!」

 

 

 渡り廊下

 

 オニキス「キョジオーン!「しおづけ!」」

 

 キョジオーン「キョォォジォォーーン‼︎」

 

 リコ「ニャローテ!「でんこうせっか!」」

 

 ニャローテ「ニャ、ニャ、ニャ!」

 

 リコ「アクロバット!」

 ニャローテ「ニャァァーーロォォッ‼︎」

 

 ドォーーン!

 

 キョジオーン「ジィィオッ⁉︎」

 

 リザードンに乗って、オレンジアカデミーが建っている上空にやってきたシンヤたちは、リコとオニキスが渡り廊下でポケモンバトルをしている所を目撃した。キョジオーンが「しおづけ」を発射すると、ニャローテは「でんこうせっか」で「しおづけ」をかわしながらキョジオーンに接近した。すると、キョジオーンは接近してきたニャローテを捕まえようとするが、ニャローテはつぼみをキョジオーンの頭の角のようなものに投げつけて引っ掛けると、そのままキョジオーンの攻撃をかわし、キョジオーンを蹴り飛ばしてダメージを与えた。

 

 リコ「やった!」

 

 シンヤ「へぇ〜、なかなかいい攻撃だったじゃないか」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 リコ「あっ、シンヤ」

 

 シンヤ「よっ、無事に帰ってきたぜ」

 

 リコ「うん!」

 

 スグリ「…どうも」

 

 リコ「あっ、スグリも一緒だったんだ」

 

 オニキス「ッ!…キョジオーン!「じこさいせい!」」

 

 ピカァァァン(キョジオーンの体が光る)

 

 キョジオーン「ジォォーーン!」

 

 ニャローテがキョジオーンにダメージを与えると、リザードンはリコたちのいる渡り廊下に着地し、シンヤはリコに声をかけた。シンヤが無事に帰ってきたことにリコがホッとしていると、キョジオーンは「じこさいせい」を発動し、ニャローテから食らったダメージを回復した。

 

 オニキス「ライジングボルテッカーズのシンヤか。お前がここに居るということは…」

 

 シンヤ「ああ、ゲーチスとのバトルは終わった」

 

 オニキス「そうか」

 

 スチャ(テラスタルオーブを構える)

 

 オニキス「ならば、あまりのんびりしている時間はなさそうだな」

 

 リコ「あっ!」

 

 シンヤ「テラスタルオーブ!…そうだ、アイツも一応テラスタル研修を受けてたから、テラスタルオーブを持ってるんだ!」

 

 オニキス「そびえたて、キョジオーン!」

 

 シンヤからゲーチスとのバトルが終わったことを聞いたオニキスは、リコとのポケモンバトルの決着をつけるため、テラスタルオーブを構えた。すると、テラスタルオーブにエネルギーに蓄積されていき、オニキスはエネルギーが満タンになったテラスタルオーブをキョジオーンに向かって投げると、テラスタルオーブはキョジオーンの頭上でエネルギーを解放し、キョジオーンは無数の結晶石に身を包み込まれた。キョジオーンを包み込んだ結晶石が弾け飛んだ時、そこには全身がクリスタルの体になり、頭に神殿を模した王冠が飾られているキョジオーンがいた。

 

 (いわテラスタイプ)キョジオーン「キョォジォォーーン‼︎」

 

 リコ「テラスタル!」

 

 オニキス「キョジオーン!「しおづけ!」」

 

 キョジオーン「キョォォォ、ジォォォーーン‼︎」

 

 リコ「ニャローテ避けて!」

 

 ニャローテ「ニャッ!」

 

 バァァァァン!

 

 キョジオーンはテラスタルすると、両手にエネルギーを集め始め、「しおづけ」をニャローテに発射してきた。ニャローテはジャンプして攻撃をかわそうとしたが、キョジオーンがいわテラスタイプになったことで、「しおづけ」の威力と範囲が格段に上がっているため、ニャローテの足に「しおづけ」が掠ってしまい、塩の結晶がニャローテの体を徐々に侵攻していくように広がり始めた。

 

 シンヤ「まずいな。「しおづけ」は徐々に体力を奪っていく技。今のニャローテの体力を考えると、あと少ししか保たないはずだ」

 

 スグリ「そんな!」

 

 オニキス「勝負あったな。さぁ、テラパゴスを渡せ」

 

 シンヤ「そうはさせ…」(モンスターボールを取り出す)

 

 スッ(リコが手を横に伸ばす)

 

 シンヤ「えっ?リコ?」

 

 リコ「…シンヤ。このバトル、最後まで私に戦わせて!」

 

 シンヤ「…」

 

 リコ「このバトル、絶対に私たちが勝つから!」

 

 ニャローテ「ニャァッ‼︎」

 

 シンヤ「…フッ、分かったよ」

 

 ピカチュウ「ピッカァ!」

 

 キョジオーンの「しおづけ」を食らってピンチになったニャローテをシンヤが助けようとすると、リコは手を横に伸ばしてシンヤを制止し、自分たちが勝つから、最後までオニキスと戦わせてほしいと言ってきた。リコの言葉を聞き、決意のこもった瞳を見たシンヤは、取り出したモンスターボールをしまうと、リコの戦いを最後まで見届けることにした。

 

 リコ「テラパゴスは渡さない!」

 

 オニキス「ッ!」

 

 リコ「テラパゴスを守るために、学校を守るために、絶対に、負けられない!」

 

 スチャ(テラスタルオーブを構える)

 

 ニャローテ「ニャァァァッ‼︎」

 

 リコ「お願いテラスタル、満開に輝いて!」

 

 テラパゴスを守るため、そして、学校を守るために、リコはテラスタルオーブを構えた。すると、テラスタルオーブにエネルギーが蓄積されていき、エネルギーが満タンになると、リコはニャローテに向かってテラスタルオーブを投げ飛ばした。テラスタルオーブはニャローテの頭上でエネルギーを解放すると、ニャローテは無数の結晶石に身を包み込んだ。そして、結晶石が弾け飛んだ時、そこには全身がクリスタル化し、頭に花束を模した王冠を被るニャローテがいた。

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャァァァーーーーッッ!」

 

 オニキス「キョジオーン!「ストーンエッジ!」」

 

 (いわテラスタイプ)キョジオーン「ジィィィォォォーーン‼︎」

 

 ニャローテがテラスタルすると、キョジオーンは「ストーンエッジ」を発動し、ニャローテに攻撃を仕掛けた。地面から刃のように尖った岩がニャローテに向かって迫っていくと、ニャローテは岩の柱とぶつかる前に空に飛び上がり、上空から「マジカルリーフ」を放ってキョジオーンに攻撃した。

 

 リコ「ニャローテ!「マジカルリーフ!」」

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャァァーーーッ!」

 

 オニキス「しおづけ!」

 

 (いわテラスタイプ)キョジオーン「ジィィィォォォーーン‼︎」

 

 バァァァァァァン!

 

 テラスタルしたニャローテの「マジカルリーフ」とキョジオーンの「しおづけ」が正面からぶつかり合うと、両者の力は互いに互角だったので、互いの技はすぐに相殺されてしまった。その後すぐに、ニャローテは追撃の「マジカルリーフ」を放ってキョジオーンを攻撃し、大ダメージを与えることに成功した。すると、キョジオーンのテラスタル化は解除され、後ろに倒れたのだった。

 

 リコ「はぁ、はぁ、はぁ…」

 

 スグリ「わやじゃ…」

 

 シンヤ「フッ、お見事」

 

 ピカチュウ「ピィーピカッチュゥッ‼︎」

 

 オニキス「戻れキョジオーン」

 

 シュルルーン

 

 オニキス「…ライジングボルテッカーズのリコ、そしてシンヤ」

 

 リコ「っ!」

 

 シンヤ「ん?」

 

 オニキス「今回は俺の負けだ。だが、次は俺が勝つ」

 

 ポーーン

 

 プテラ「プテーーッ!」

 

 ニャローテとキョジオーンのテラスタルバトルに勝ったのは、リコとニャローテだった。オニキスはキョジオーンをモンスターボールに戻した後、潔く自分の負けを認め、次は俺が勝つと言い残すと、モンスターボールからプテラを出し、プテラの背に乗って去っていった。

 

 リコ「…」

 

 シンヤ「…リコ、なにボーッとしてるんだよ?」

 

 リコ「えっ?」

 

 シンヤ「あのオニキスに、アメジオと同じエクスプローラーズの幹部に勝ったんだぜ。もっと喜べよ」

 

 ピカチュウ「ピィカッチュ!」

 

 リコ「あっ、そっか。私とニャローテ、バトルに勝ったんだ」

 

 ニャローテ「ニャァ!」

 

 シンヤ「ああ、本当に強くなったな。リコ」

 

 リコ「うん。…けど、私がここまで強くなれたのは、ライジングボルテッカーズのみんなや、シンヤが居てくれたからだよ」

 

 オニキスに勝ったことをシンヤに褒められると、リコは凄く喜んでいた。シンヤと出会った頃のリコは、まだ新米トレーナーだった。しかし、ライジングボルテッカーズやシンヤと一緒に数々の冒険をしてきて、リコは立派なポケモントレーナーに成長し、オニキスのキョジオーンを倒すまでになった。これは、リコにとって大きな一歩と言えるだろう。

 

 

 ガチャ(扉を開ける音)

 

 テブリム「テブリッ」

 

 リコ「あっ、テブリム」

 

 アルクジラ「ア〜」

 

 リコ「アルクジラ?」

 

 オニキスがプテラに乗って去っていくと、渡り廊下に繋がるドアが開き、校舎内からリコのテブリムと、テブリムを頭に乗せているアルクジラが出てきた。

 

 シンヤ「このアルクジラって、もしかして?」

 

 グルーシャ「うん。僕のアルクジラ」

 

 リコ「グルーシャさん⁉︎」

 

 シンヤの予想通り、リコのテブリムを頭に乗せているアルクジラは、グルーシャのアルクジラだったようだ。

 

 シンヤ「どうして、グルーシャさんがオレンジアカデミーに?」

 

 グルーシャ「応用テストの結果を理事長に伝えに来たんだ。…さっきのバトル、見させてもらった」

 

 リコ「えっ?」

 

 グルーシャ「あとで校長室にきて」

 

 リコ「…」

 

 グルーシャはリコに、あとで校長室にくるよう言うと、アルクジラと一緒に校舎内に戻っていった。

 

 リコ「…」

 

 チラッ(手に持っているテラスタルオーブを見る)

 

 シンヤ「ちゃんと事情を説明すれば、グルーシャさんも分かってくれるさ」

 

 リコ「…うん」

 

 グルーシャが校長室にくるよう自分に言ったのは、自分がオニキスとのバトルでテラスタルオーブを使ったことだろうと、リコはそう思っていた。リコはテラスタル研修を受ける前に、オレンジアカデミーの教師のキハダから、テラスタル研修を受けている研修生は、預けられたテラスタルオーブを担当ジムリーダーとのバトル以外で使ってはいけないと説明を受けている。しかし、リコはテラパゴスや学園を守るため、その規則を破り、オニキスとのバトルでテラスタルオーブを使ってしまい、そのバトルをグルーシャは見ていたと言っていた。もちろん規則を守るのは大切だが、リコがテラスタルオーブを使ったのは、テラパゴスと学園を守ためだとシンヤも分かっているので、シンヤはリコと一緒に校長室に行き、クラベルやオモダカにちゃんと事情を話そうとした。そして、スグリと別れたシンヤは、リコと一緒に校長室にやってきた。校長室の中には、クラベルとグルーシャ、理事長のオモダカ、ロイとドット、そしてボタンがいた。

 

 校長室

 

 クラベル「テラスタルを使って、ポケモンバトルをしたそうですね」

 

 リコ「…はい」

 

 2人の思った通り、リコが校長室に呼ばれたのは、リコがテラスタルを使ったことだった。

 

 シンヤ「クラベル校長。確かにリコは規則を破り、テラスタルオーブを使ってしまいましたが、あの場合、やむを得ない状況でしたから」

 

 グルーシャ「だったら、代わりにアンタがバトルすればよかったんじゃない?」

 

 シンヤ「ウッΣ(゚д゚lll)…そ、それは…」

 

 リコを庇おうとしたシンヤだったが、グルーシャにど正論を言い返されて何も言えなくなってしまった。確かにグルーシャの言う通り、リコに手を出さないよう言われたとはいえ、代わりにシンヤがオニキスと戦っていれば、リコはテラスタルを使うことはなかっただろう。それも分かっているから、シンヤはこれ以上何も言えなくなってしまう。

 

 グルーシャ「…けど、意外だった。アンタがあんな戦い方をするなんて」

 

 リコ「す、すいません」

 

 グルーシャ「謝るのは僕の方。アンタの力を見誤ってた」

 

 リコ「えっ?」

 

 グルーシャ「僕とバトルした時は、あれがアンタの全力だと思ってた。…けど、そうじゃなかった。アンタは、自分以外の誰かのために戦う時、本当の力を発揮するって分かったからね」

 

 リコ「…えっと」

 

 シンヤ「…グルーシャさん。その言葉の意味は、リコが応用テストに合格ってことですか?」

 

 リコ「えっ?」

 

 グルーシャに言われたことの意味が分からず、リコは困惑していたが、シンヤには、グルーシャの言っていることの意味が分かっていた。リコは、自分のために戦う時は力を発揮できないタイプだが、自分以外の誰かの為に戦う時、自分の持っている本当の力を発揮するタイプの人間だということを。

 

 グルーシャ「うん。アンタは結果を出した。合格だよ」

 

 リコ「合格?…合格⁉︎そ、それって…」

 

 クラベル「はい。応用テストに合格ということです」

 

 リコ「いいんですか?」

 

 クラベル「グルーシャさんが認めたのですから、何も問題はありません」

 

 オモダカ「えぇ。それに、学園の危機を救ったリコさんの実力、テラスタルオーブを持つにふさわしいです」

 

 リコ「あ、ありがとうございます!」

 

 ロイ「これで全員合格だね!」

 

 ドット「みんなでテラスタルできるな!」

 

 リコ「うん!」

 

 シンヤ「良かったな、リコ」

 

 リコ「うん。シンヤの言う通り、最後まで諦めなくて良かった」

 

 ナッペ山ジムで、応用テストの結果を不合格とグルーシャに言い渡されたリコだったが、オニキスを倒し、学園を救ったという結果を出したことをグルーシャに認められたことで、リコは改めて、テラスタル研修の応用テストに合格し、テラスタルオーブを貰えることになった。

 

 オモダカ「それと、シンヤさん」

 

 シンヤ「はい?」

 

 オモダカ「学園の危機を救っていただき、ありがとうございます」

 

 シンヤ「ああ、いえ。俺は今回、何もできませんでした。テラパゴスのデータを、エクスプローラーズに奪われてしまいましたし」

 

 オモダカ「いえ、あなたがいなければ、テラパゴスのデータを奪われるだけじゃなく、学園の被害がもっと大きくなっていたでしょう」

 

 シンヤ「学園を救ったお礼なら、俺じゃなくて、リコたちに言ってあげてください。リコたちが動いていなければ、学園は救えませんでしたから」

 

 テラパゴスのデータはエクスプローラーズに奪われてしまったが、学園の被害は最小限に抑えられた。それはシンヤのおかげだと、オモダカはそう言うが、今回、自分はゲーチスとバトルをしただけなので、学園の危機を救った賞賛を受けるのは自分ではなく、リコたちの方が正しいだろうとシンヤは思い、お礼ならリコたちに言ってくれと、オモダカにそう言うのだった。

 

 オモダカ「フッ、そうですか。リコさん、ロイさん、ドットさん。詳しいことは、先程ボタンさんから聞きました。学園の危機を救っていただき、ありがとうございます」

 

 リコ「あ、いえ!そんな⁉︎」

 

 ロイ「僕たちはただ、エクスプローラーズとバトルしただけで!」

 

 ドット「そ、そうです」

 

 シンヤ「なに照れてんだよ。今回はお前たちが活躍したのに」

 

 ピカチュウ「ピィカッチュ」

 

 オモダカに学園の危機を救ったお礼を言われたリコたちは、普段偉い人にお礼を言われることなどないので、オモダカからお礼を言われてテンパっていて、シンヤのピカチュウは、3人のその様子を笑いながら見ていた。

 

 ロイ「…ねぇシンヤ、ずっと聞くのを忘れてたんだけど。シンヤはこのパルデア地方で、3つのことをやりながら冒険してたって言ってたけど、残りの1つは何なの?」

 

 シンヤ「え?」

 

 ドット「僕もそれを聞きたいと思ってた。ジム巡りと、秘伝スパイス集め、もう1つは何をしてたの?」

 

 シンヤ「えっと…それは…“スターダスト大作戦”っていう…やつをやってて」

 

 リコ「スターダスト…大作戦?」

 

 ドット「何それ?」

 

 ロイ「詳しく教えてよ。エリアゼロから戻ってきたら教えるって、シンヤそう言ってたんだし」

 

 シンヤ「ああ…それはそうなんだが…」

 

 『スターダスト大作戦』。それは、ジム巡り、秘伝スパイス集めと同じように、シンヤがこのパルデア地方を冒険している時にしていたことだ。しかし、シンヤはスターダスト大作戦のことを話したくないのか、さっきから口籠っていた。

 

 ボタン「…いいよ、スターダスト大作戦のことを話しても」

 

 シンヤ「えっ?…いいのか、ボタン?」

 

 ボタン「うん。ドットには色々と助けてもらったし」

 

 ドット「えっ?」

 

 シンヤ「…校長は、いいんですか?」

 

 クラベル「ええ。ボタンさんが良ければ。グルーシャさん、理事長、すいませんが、少し席を外してもらえませんか」

 

 オモダカ「分かりました。では、私とグルーシャさんはグラウンドに行きますので、リコさんたちも、後でグラウンドに来てください」

 

 リコ「えっ?…はい」

 

 ドット「シンヤ、なんで校長とボタンに許可を取るんだ?」

 

 シンヤ「それは…スターダスト大作戦に、校長とボタンが深く関わってるからだ」

 

 ドット「ええっ⁉︎」

 

 どうやら、シンヤがパルデア地方でやった、「スターダスト大作戦」というのは、ボタンとクラベルが深く関わっているようだ。クラベルはオモダカとグルーシャに席を外してもらい、オモダカとグルーシャが校長室を出てグラウンドに向かうと、シンヤはスターダスト大作戦の内容を、リコとロイとドットに話し始めた。

 

 スターダスト大作戦。それは、ここにいるボタンが、オレンジアカデミーの問題児集団である、《スター団》という不良グループを解散させるために考えた作戦だった。しかし、そのスター団を作り出したのも、このボタンなのだ。

 

 何故ボタンがスター団を結成し、自分で作ったスター団を解散させる作戦を考えたのか、それは、クラベルがオレンジアカデミーの校長になる前に遡り、ボタンがシンヤに会う前に遡る。

 

 スター団の創設者は《マジボス》と呼ばれる正体不明の人物。その正体はボタンであるが、今はマジボスとしておく。そのマジボスには、配下と思われる5人のボスがおり、彼らはそれぞれ得意とするタイプの名を冠した組を持ち、パルデア地方の各地にアジトを構え、大勢のしたっぱを従えていた。それこそがスター団のなのだ。しかし、マジボスを含めた5人のボス達は、全員オレンジアカデミーでいじめを受けていたのだ。そして、そのいじめに対抗するための手段として結成したのが、マジボスが結成したスター団だったのだ。

 

 しかし、シンヤがパルデア地方に来る前、スター団のみんなは、周りの人々への嫌がらせや強引な勧誘、授業にまともに参加しないなど、オレンジアカデミーの風紀を乱していて、制服はサスペンダーを下ろし、星型のサングラスとヘルメットを被っていて、メンバー及びボスらは、いわゆる改造制服をそれぞれ独自にアレンジして着用していた。ボス達は一年半以上もの間、登校拒否を続けており、オレンジアカデミーでは、生徒であるスター団を退学させるべきとも考えていたのだ。

 

 …しかし、それは今は関係ない話なので、マジボスがスター団を結成した時の話しに戻ろう。

 

 マジボスはいじめっ子に対抗する為にスター団を結成し、「スター大作戦」という、いじめっ子との全面対決を計画し、スター大作戦を決行しようとしたが、当のいじめっ子たちはスター団に恐れをなして全面降伏すると、全員残らずオレンジアカデミーを退学してしまったのだ。それがキッカケとなり、事態が大きくなり過ぎたことを重んじたマジボスは、自分1人だけが全責任を負うと決め、ボスたちにスター団の解散を伝えて姿を消したのだ。しかし、スター団の5人のボスたちは、いつかマジボスが帰って来ると信じてスター団を解散せずにいたのだ。そして、強引な勧誘活動などが原因で、いつの間にかスター団は悪印象を植え付けられ、ただの不良集団に成り下がってしまったのである。

 

 リコ・ロイ・ドット「「「…」」」

 

 ボタン「最初はいじめっ子に仕返しするのが目的だった。…けど、スター団を結成したのもうちだし、スター大作戦も、うちがやろうって言い出しから、うちが責任をとって、スター団は解散させた方がいいって思ったんだ」

 

 ドット「なるほど。…でも、どうしてこれだけの出来事が、なんで今まで公にならなかったんだ」

 

 クラベル「それはですね」

 

 クラベルがオレンジアカデミーの校長になる前、当時のオレンジアカデミーの校長である《イヌガヤ》という人物によると、なんと、当時の教頭が責任逃れのために、スター大作戦のデータを抹消して隠蔽したのだ。当然、事実を隠蔽しようとしたことで、教頭には然るべき処分が下ったが、いじめを防げなかった自分も責任を取り、全教員にも無理を言ってやめてもらったのだ。今のアカデミーの教師は、校長であるクラベルを含め、全員が一年半前に総入れ替えで赴任してきたメンバーだったので、かつてオレンジアカデミーでいじめがあった事実も、スター団結成の経緯も全く知らされていなかったのだ。だからこそ、事情を知らないクラベルや教師たちは、スター団の全員を退学させようと考えていた。そして、そんな日々が何日も経った1年後、この事態を収束した1人の人物が現れた。

 

 リコ「それがシンヤですか?」

 

 クラベル「ええ」

 

 シンヤ「前に、俺がパルデア地方にやってきて、コライドンとミライドンに会って、ペパーにコライドンとミライドンのモンスターボールを貰って、オレンジアカデミーに行った話をしたよな?」

 

 リコ「うん」

 

 シンヤ「実はオレンジアカデミーに来た時、俺、スター団のしたっぱに絡まれて、ポケモンバトルをしたんだよね」

 

 ロイ「そうなんだ。…でも」

 

 シンヤ「ああ、バトルは俺が勝った」

 

 リコ(やっぱりそうなんだ)

 

 シンヤ「けど、そのスター団とのバトルが、俺がスターダスト大作戦をやる理由になったんだよな」

 

 ドット「えっ?」

 

 シンヤがスターダスト大作戦をやることになった理由…それは、シンヤがオレンジアカデミーの前で、スター団のしたっぱを倒すところを見ていたボタンが、スターダスト大作戦を思いつき、シンヤにスター団を解散させる手伝いをお願いしたからだった。何故シンヤにお願いする必要があるのか…それは、スター団に、ある掟があるからだった。その掟というのは、ボスは売られたケンカ、つまり、挑まれたポケモンバトルを必ず受けなければならないということ。そして、挑まれたポケモンバトルに負ければ、必ずボスを引退しなければならないというものだった。

 

 ボタン「ボスがいなくなれば、チームは統率を失って自然消滅する。5人のボスを倒せば、みんなスター団から脱退するしかないし、不登校をやめて、みんなオレンジアカデミーに戻ると思った」

 

 ドット「…あのさ、シンヤにスターダスト大作戦をやってもらわなくても、ボタンがスター団のみんなに、解散してって強く言えば、みんな解散したんじゃないのか?」

 

 ボタン「解散してって何度も言ったけど、みんな解散しなかったから。それに、お願いはしても、命令はしないのがスター団だから。だから、バトルに負けたら引退するって掟を守ってもらうために、シンヤに頼んだ」

 

 実際、スター団のみんなは、各所にバリケードを作って通行の妨げを行ったり、他の生徒を無理やり入団させようとしていたため、迷惑行為を行っていたのも事実だった。それに加えて、スター団を結成していじめっ子たちを共にくだしたマジボスへの義理もあったため、不登校状態になってでもアジトを守り続けてようとするボス達を下ろすのは、そう簡単なことではなかったのだ。

 

 …だが、このままスター団を放置すれば、学校問題どころか警察沙汰にまで発展してしまう可能性があり、最悪の場合は、本当に『悪の組織』と化す危険性があった為、マジボスであるボタンは、スター団を解散させる為に動く決意をしたのである。

 

 シンヤ「っで、俺がオレンジアカデミーを出て、パルデア地方を冒険する時に、ボタンが俺のスマホロトムに連絡してきて、《カシオペア》っていう人物に成り済まして、スター団のみんなにオレンジアカデミーに行ってもらう為に、俺にボスたちを倒す依頼をしてきたんだよな」

 

 ボタン「うん。ボスを1人倒すたびに、その報酬として、シンヤのスマホロトムにLPをチャージしたんだよね」

 

 ロイ「LP?」

 

 クラベル「通称リーグペイ。このパルデア地方で、円とともに流通している電子マネーの通貨単位です。場所やお店にもよりますが、ほとんどの販売施設では、円の代わりに使用できるものです」

 

 シンヤ「まぁ簡単に言えば、ポイントカードみたいなものだな」

 

 ロイ「へぇ〜」

 

 ドット「…それで、話の続きは?」

 

 シンヤ「え?…ああ。話の続きね」

 

 シンヤは、ジム巡り、秘伝スパイス集めをしながら、パルデア地方の各地にアジトを構えているボスの所に向かい、ボスを1人ずつ倒したあと、その一人一人から、スター団を結成した理由や、いじめを受けていたこと、スター団を解散しなかった理由を聞き、シンヤが5人のボスを倒したあと、カシオペアと名乗っていたボタンは最後の仕上げとして、オレンジアカデミーにシンヤを呼んだあと、自分がスター団を結成したマジボスであることや、スターダスト大作戦の全貌をシンヤに話したのだ。

 

 ドット「…」

 

 リコ「そんなことが…」

 

 ロイ「シンヤ、ジムを巡って秘伝スパイス集めをしながら、そんなことまでしてたんだ…」

 

 シンヤ「全部バトル関連だから、そんな大したことじゃない」

 

 リコ「そんなことないよ!」

 

 ロイ「そうだよ!」

 

 シンヤ「なんでお前らが興奮してるんだ?」

 

 ドット「…つ気になったんだけど」

 

 シンヤ「ん?」

 

 ドット「スターダスト大作戦の内容を聞いて、ボタンが深く関わってることは分かったけど。この話のどこに、校長が関わってるんだ?」

 

 シンヤ「ああ、そのことか。…実はクラベル校長は、カシオペアと名乗ってたボタンがスマホロトムで俺に電話してきた時、近くにいたみたいで、俺たちの話を聞いてたんだ」

 

 クラベル「盗み聞きするつもりはなかったのですが、お二人の話し声が聞こえてしまったもので。それに、私はスター団の皆さんときちんと話がしたいと思ってましたから、変装した後、シンヤさんとスター団の皆さんとの戦いを見守っていたのです」

 

 ドット「えっ?変装?」

 

 クラベル「はい。私は教師であり、スター団の皆さんは生徒。まして校長の私が相手では、スター団の皆さんの本音が聞けないと思い、アジトを構えているボスのいる所にシンヤさんが乗り込んで行った時、シンヤさんと5人のボスの皆さんのバトルが終わるまで見守る立場を選び、バトルが終わった後に、ボスの皆さんの一人一人から話を聞いたという訳です」

 

 そして最後に、オレンジアカデミーでボタンから話を聞き、全ての真実を知ったクラベルは、今のいじめのないオレンジアカデミーがあるのは、スター団のおかげということを理解し、スター団への解散通告を取り下げ、スター団の全員は退学せずに済んだのだ。

 

 …しかし、今までスター団のみんなが起こした、『長期間の無断欠席』『制服の改造』『オレンジアカデミーの備品の勝手な持ち出し』『ライドポケモンの改造及び暴走行為』などの、学則違反のもろもろは、流石にクラベルも見過ごすことができなかった。

 

 …故にクラベルは、ボタンたちに罰則として、奉仕活動をしてもらうことにした。それは…STC。Sはスター、Tはトレーニング・Cはセンターを意味していることから、通称《スター・トレーニング・センター》の運営を任せたのだ

 

 リコ「スター・トレーニング・センター?」

 

 クラベル「はい。オレンジアカデミーとポケモンリーグで新設する、トレーナーを育成するための施設です。これは、シンヤさんがボスのいるアジトにカチコんでいるのを見て思いつきました。ボスである皆さんのバトルの戦法や、作ったアジトはユニークかつ、独創的でした。ですので、せっかく作ったアジトはトレーニング施設として、スター団の皆さんはSTCのスタッフとして、活動を継続してもらっているのです」

 

 シンヤ「っで、ボタンやスター団のみんなはそれを快く引き受けて、オレンジアカデミーに戻ったってことだ」

 

 リコ「そう…だったんだ…」

 

 ロイ「…僕たちが来る前に、オレンジアカデミーでそんなことがあったんだ」

 

 ドット「…あれ?ちょっと待って。確かボタンって、ポケモンリーグのエンジニアをしてて、オレンジアカデミーのシステムを見てるし、テラスタル研修の登録システムもメンテしてるって言ってたよな?」

 

 ボタン「そうだけど」

 

 ドット「ボタンがスター団を結成して、シンヤがスターダスト大作戦をやったのはこれで分かったけど、なんでボタンがそんなすごいことをしてるんだ?」

 

 ボタン「それは…」

 

 シンヤ「…実はな…」

 

 ボタンがスターダスト大作戦の報酬としてシンヤに配っていたLPは、なんと、ポケモンリーグのLP管理システムをハッキングして、不正発行したLPだったのだ。

 

 リコ・ロイ・ドット「「「ええっ⁉︎」」」

 

 ボタン「それで、スター団のみんなより、処分が重くなるって思ってたんだけど。ポケモンリーグで、エンジニアとして奉仕作業をすれば、それでチャラになるって。…それに、オレンジアカデミーを卒業しても、リーグで働くように誘われて」

 

 クラベル「ええ。ポケモンリーグのシステムにハッキングなど、そうそう出来るものではありませんからね。流石にこの件は私の範疇を超えてましたし。だから、ポケモンリーグのトップでもあるオモダカさんに相談し、ボタンさんがポケモンリーグのエンジニアとして奉仕作業をすれば、それでいいということになり、ボタンさんさえ良ければ、オレンジアカデミーを卒業しても、リーグで働かないかと誘ったんです」

 

 ドット「そっか、それでボタンは…」

 

 シンヤ「ああ。以前ドットに話したように、これが、ボタンがポケモンリーグのエンジニアで働いている理由だ。ちなみに、ボタンが俺に報酬として配ったLPは、俺がカントー地方に行ってリコと出会う前に、ポケモンリーグに返してある」

 

 ドット「そうだったんだ。…っで、この後に、ボタンもシンヤと一緒に、エリアゼロに行ったんだよね?」

 

 シンヤ「ああ」

 

 ボタン「シンヤがスターダスト大作戦をやってくれなかったら、スター団のみんなは退学になってた。うち一人だけ退学になるなら別に良かったけど、シンヤには借りができたし、シンヤの役に立ちたかったから」

 

 シンヤ「それからエリアゼロであったことは、リコたちも知っての通りだ」

 

 リコ・ロイ・ドット「「「…」」」

 

 クラベル「シンヤさんがいなければ、私はスター団の皆さんに、誤った処分をしてしまうところでした。シンヤさん、本当にありがとうございました」

 

 シンヤ「ああ、いえ」

 

 クラベル「オレンジアカデミーの件、そしてエリアゼロでのこと。あなたには本当に、言葉では感謝しきれないほどです」

 

 シンヤ「もう済んだことですから。それに、俺もスター団のみんなとのポケモンバトル、とっても楽しかったし」

 

 クラベル「そう言っていただけると…」

 

 スターダスト大作戦。その話の内容を最後まで黙って聞いていた、リコ、ロイ、ドットの3人は、自分たちが来る前に、オレンジアカデミーでそんな大変なことがあったのかと驚いていて、パルデア地方を救ったばかりか、ペパーたち家族を救い、オレンジアカデミーの抱えていた問題を解決したシンヤをすごいと思っていた。

 

 シンヤ「あっ、そうだ。もう一つ肝心なことを言い忘れてた。前にルッカ先生が、ある書類をオレンジアカデミーに届けに来た時に、俺たちがエリアゼロに行く話を聞いてて、同行してくれた話をしたよな?」

 

 リコ「うん、覚えてるよ。でも、どうしてお母さんが出てくるの?」

 

 シンヤ「ルッカ先生が持ってきたその書類っていうのが、昔ボタンたちをいじめていたいじめっ子が、ルッカ先生のいる学校に入学したっていう報告の書類だったんだよ」

 

 リコ「……ええ〜〜っ⁉︎お母さんのいる学校に⁉︎」

 

 シンヤ「どっかから、昔オレンジアカデミーでいじめがあったことを知られて、ボタンたちをいじめていたいじめっ子たちが、ルッカ先生の働いている学校に入学したのが知られたのか、その理由は誰にも分からないけど、クラベル校長はそう言ってたぞ」

 

 クラベル「ええ。どこから情報が漏れたのかは分かりませんが、ボタンさんたちにいじめをしていた人たちが、ルッカ先生が働いている学校に入学したのは確かです」

 

 リコ「そう…なんですか…」

 

 ドット「けど、またそのいじめっ子たちがいじめをやってたら…」

 

 シンヤ「ああ、それは大丈夫。今じゃソイツら、おとなしくしてるらしいから」

 

 ロイ「そうなんだ。なら安心だね」

 

 クラベル「さて、話が長くなってしまいましたが。これから研修生バトル大会の後半が始まりますし、リコさんたちも直に呼ばれるでしょうから、グラウンドに向かいましょうか」

 

 リコ・ロイ・ドット「「「はい!」」」

 

 こうして、シンヤがパルデア地方でやっていた、スターダスト大作戦のことをクラベルとボタンから聞いたリコたちは、研修生バトル大会に出るため、クラベルたちと一緒にグラウンドに向かった。グラウンドにはスグリやミコもいたので、シンヤたちはさっきの近況のことを話し合った。

 

 オレンジアカデミー・グラウンド

 

 ドット「…ボタンから、オレンジアカデミーのシステムがハッキングされてる話を聞いた後、シンヤにも連絡したんだけど、連絡が通じなくて、そしたらリコから、シンヤはゲーチスと戦ってるって言ってたから、僕たちだけで解決した方がいいかなって思ったんだ」

 

 シンヤ「ああ、今回はちょっとヤバかったけど、スグリのおかげでなんとかゲーチスを撃退できた。本当にありがとな、スグリ」

 

 スグリ「あっ、うん。シンヤの役に立てて、俺、嬉しい」

 

 ロイ「…」

 

 シンヤ「ん?どうしたロイ?」

 

 ロイ「いや、なんか別人に見えるから」

 

 シンヤ「別人って、スグリがか?」

 

 ロイ「うん。シンヤとフルバトルしてた時は、もっと怖い感じだったけど。今はなんか、別人に見えるっていうか…」

 

 スグリ「あっ、えっと、それは…」

 

 シンヤ「まぁ、いいじゃねえか。力を貸してくれたんだし。…っていうか、ミコ、ロイと一緒だったのか?」

 

 ミコ「うん。学校のどこかにいるヴィヴィアンさんを捜してたら、ナッペ山でオニゴーリを連れてたピンク色の髪の毛の女の子が、ロイとポケモンバトルしてるのを見つけちゃってね。ヤバくなったら助けるつもりだったけど、ホゲータがオニゴーリを倒しちゃったから、その必要もなくなちゃったし」

 

 シンヤ「ほぅ、サンゴのオニゴーリに勝ったのか。ロイとホゲータも強くなってるな。これなら、黒いレックウザをゲットする日も近いかもな」

 

 ロイ「えへへっ」

 

 キハダ「押忍!」

 

 シンヤ「あっ、キハダ先生」

 

 シンヤたちがグラウンドで、オレンジアカデミーで起きた近況のことで話をしていると、オレンジアカデミーでバトル学を担当しているキハダが、自分の手持ちポケモンのハリテヤマと一緒にシンヤたちのいる所にやってきた。

 

 キハダ「シンヤ、エリアゼロでのことは聞いたぞ」

 

 シンヤ「…やっぱり、先生たちには伝わってるんですね」

 

 キハダ「ああ。エリアゼロであったこと全て、校長から全部聞いた」

 

 シンヤ「( ̄▽ ̄)ハハッ……それを俺に言うために、わざわざここに?」

 

 キハダ「それもあるが、バトルの組み合わせに変更があったことを伝えにきたんだ」

 

 シンヤ「バトルの組み合わせ?それって、テラスタル研修を受けている、研修生同士のバトルのことですよね?」

 

 キハダ「ああ。応用テストの合格者同士が当たるようになっているから、リコ、ロイ、2人がバトルする組み合わせになったと伝えにきたんだ」

 

 リコ「ええっ⁉︎」

 

 ロイ「僕とリコで、バトル⁉︎」

 

 ミコ「へぇ〜」

 

 シンヤ「面白そうじゃん」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 

 To be continued

 

 次回予告

 

 研修生バトル大会、その最後のバトルは、リコとロイの対決となった。エクスプローラーズから学園を救ったという噂が広まったこともあり、リコとロイのポケモンバトルは、オレンジアカデミーとブルーベリー学園の生徒や教師、研修で2人を見守ってきたジムリーダーや四天王たちも注目していた。そして、リコとロイのポケモンバトルが始まると、2人はこれまで冒険をして得てきた全てを、お互いにぶつけ合う!

 

 次回「テラスタルバトル!リコVSロイ!」

 





 これで残る話は、リコとロイのバトル、シンヤとリュウガのフルバトルの話だけですが、年末で忙しいということもあり、テラスタルデビュー編が年越しまでに書き終わらない可能性があるので、一応報告しときます。
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