ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 ゼイユからの情報で、ブルーベリー学園の教師であるブライアが《てらす池》にいることがわかったので、お祭りを楽しんだ次の日、シンヤたちはブライアに会うために、鬼が山の《地獄谷》という所を登ろうとしていた。


第75話『カヌチャンの新たなハンマー!』

 

 キタカミの里・地獄谷の入り口

 

 シンヤ「この地獄谷を登った頂上にあるのが、ブライア先生がいる《てらす池》だ」

 

 ピカチュウ「ピッカァッ!」

 

 ドット「こ、これを登らなきゃいけないのか⁉︎」

 

 シンヤ「ナッペ山やパルデア最高峰を登ったときに比べれば、そんなに歩かなくて済むよ」

 

 ドット「なんのフォローにもなってないよ!そういえば、マードックたちは?」

 

 フリード「マードックたちは、キタカミの里の人たちとの交流会に参加するって言ってたぞ」

 

 シンヤ「リュウガはナナカマド博士から探すように頼まれたポケモンの情報をスイリョクタウンで集めてるし、ミコはバサギリを探しに行ったからな」

 

 ガッシャーーーンッ‼︎

 

 全員「「「うわぁぁっ⁉︎」」」

 

 リコ「ビックリした!」

 

 ドット「なんだ⁉︎」

 

 てらす池に向かうため、シンヤたちは地獄谷を歩いて進んでいた。すると突然、後ろから何か大きな音がしたので、シンヤたちは後ろを振り向いた。

 

 ロイ「これって、タライだよね?」

 

 シンヤ「……まさか!」

 

 バッ(シンヤが上を見る)

 

 大きな音の正体は、三つのタライが空から落ちてきた音だった。何故タライが空から落ちてきたのか、リコたちにはその理由がわからなかったようだが、シンヤはタライが落ちてきた理由に気づくと、ふと空を見上げた。すると空の上空には、シンヤの思っていた通りの鳥ポケモンが空を飛んでいて、空の上からシンヤたちを嘲笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オトシドリ「オォーードドドドw!」

 

 シンヤ「やっぱり《オトシドリ》だったか…」

 

 ピカチュウ「ピィカッ…」

 

 リコ「オトシドリ?」

 

 スッ(スマホロトムを取り出す)

 

 オトシドリ おとしものポケモン ひこう・あくタイプ。

 

 胸元の袋で餌を包み、巣に持ち帰る。大きな音のするものを落とし、人間やポケモンのビックリした姿を見て楽しむ。

 

 ロイ「うわっ…」

 

 リコ「ロトムの説明と同じだ…」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 オトシドリ「オォードド!」ビュン!

 

 ドット「あっ、逃げた」

 

 シンヤ「恐らく、ピカチュウを警戒してるんだろ。以前ここに来た時、俺もピカチュウも、あのオトシドリにビックリさせられたことがあって、怒ったピカチュウがアイツに電撃を食らわせたからな」

 

 リコ「そうなんだ」

 

 シンヤ「さぁ、先を急ごう」

 

 地獄谷・崖の上

 

 オトシドリ「…」ニヤッ

 

 

 

 オトシドリが落としたタライをハンマーにしようとしたカヌチャンだったが、何度タライを叩いても自分が思うような形にならなかったので、シンヤたちはてらす池を目指して地獄谷を登り始めた。

 

 

 地獄谷・道中

 

 ロイ・アチゲータ「「ア、ア、アゲゲ、アゲ、アゲ、アゲゲ」」

 

 ドット「ハァ、ハァ…」

 

 ロイとアチゲータが元気よく歌って先頭を歩き、シンヤたちはその後ろを歩いていたが、ドットは息を切らしながら歩いていた。

 

 リィーーンッ!

 

 ドット「ん?」

 

 リコ「何だろう?この声?」

 

 シンヤたちが山道を歩いていると、岩場の方から何かの鳴き声が聞こえてきたので、シンヤたちは岩場の隙間を覗き、鳴き声の正体を確認した。

 

 ピッピ「ピッピ!」

 

 チリーン「チリィーーンッ!」

 

 ドット「ピッピとチリーンだ」

 

 ロイ「ピッピに鳴き声を聞かせてあげてるのかな?」

 

 リコ「こういうのって、街では絶対に見られないよね」

 

 シンヤ「ああ」

 

 フリード「自然の中を歩くことでしか見られない、ポケモンたちの風景もあるからな」

 

 ピイチュ!

 

 シンヤ「ん?」

 

 ピチューx3「「「ピィーチュ!」」」

 

 岩場の奥にいるピッピとチリーンをシンヤたちが観察していると、そこに3匹のピチューが現れ、シンヤとフリードの方に乗っているピカチュウとキャップに飛びかかり、ピカチュウとキャップにじゃれつき始めた。

 

 ピカチュウ「ピィカッ?」

 

 キャップ「ピカ?」

 

 ピチューx3「「「ピィーチュ!」」」

 

 リコ「わぁ〜、かわいい」

 

 キャプテンピカチュウ「ピッカチュ!」(キャップのクシャミ)

 

 リコ「あっ、ごめん。キャップが《かわいいアレルギー》だったのを忘れてた」

 

 ドット「えっ、何それ?」

 

 シンヤ「キャップはかわいいって言われると、くしゃみをしちゃう体質らしい」

 

 ドット「それで、かわいいアレルギーなんだ」

 

 フリード「それにしても、ピカチュウもキャップもモテモテだな」

 

 シンヤ「というより、自分たちの進化形のピカチュウたちに懐いてるだけかも」

 

 3匹のピチューたちに甘えられているピカチュウとキャップは、顔を引っ張られたり、手を引っ張られたりして困った顔をしていたが、シンヤたちはそれを笑って見ていた。すると、カヌチャンが勝手に1人で前の方に走って行ってしまった。

 

 (道端に落ちてる鉄板)

 

 カヌチャン「ヌ〜、ヌッ!ヌッ!」

 

 ドン、ドン(カヌチャンが鉄板を叩く音)

 

 先に進んだカヌチャンは、道端に落ちてる鉄板を見つけると、手に持っていたハンマーを使って鉄板を叩いた。すると、カヌチャンはその鉄板を気に入ったようで、その鉄板を叩く作業を始めた。

 

 ドット「気に入った鉄を見つけたみたいだ」

 

 シンヤ「…なんか、カヌチャンが持ってるハンマー、前より大きくなってないか?」

 

 リコ「私もそう思ってた。前はマイクぐらいの大きさだったのに、いつの間にかハンマーが大きくなってるから」

 

 ドット「そうかな?それより、カヌチャンこうなると長いんだよなぁ。夢中になると、周りが見えなくなるみたいだし」

 

 リコ「動画を編集してる時のドットみたい」

 

 シンヤ「ゲットされたポケモンはトレーナーに似るって言うからな。リコとニャローテがヤキモチ焼きみたいに(^_^)」

 

 リコ「なんでそこで私とニャローテを出すの⁉︎」

 

 シンヤ「いい見本が近くにいるからな」

 

 リコ「も〜〜う!」

 

 フリード「おいおい、こんなところでイチャつくなよ。…ところでシンヤ、てらす池まであとどれくらいだ?」

 

 シンヤ「あと半分ってとこかな?1時間も歩けばてらす池に着くと思う」

 

 フリード「じゃあ、ここで少し休憩していくか?」

 

 リコ・ロイ「「うん」」

 

 鉄板を叩く作業を始めたカヌチャンがしばらく動きそうにないので、シンヤたちはここで少し休憩していく事にした。シンヤたちが休憩しても、カヌチャンは鉄板を叩く作業を続けていたが、そんなカヌチャンの姿を崖の上から見ている一体のポケモンがいた。

 

 オトシドリ「オォード」

 

 崖の上からカヌチャンを見ているポケモンの正体は、さっき空の上からタライを落とし、ビックリしたシンヤたちを見て楽しんでいたオトシドリだった。オトシドリは崖の上から鉄板を叩き続けているカヌチャンを見続けていると、袋の中に入っている水風船を落とし、鉄板を叩いているカヌチャンの作業を邪魔してきた。しかし、鉄板を叩いているカヌチャンは、水風船が落ちてきたことに気づかず鉄板を叩き続けた。すると、オトシドリは再び水風船を落としたが、カヌチャンはそれに気づくことなく、鉄板を叩く作業を続けた。

 

 オトシドリ「オッ?」

 

 チラッ(カヌチャンが叩いている鉄板を見る)

 

 オトシドリ「オド〜」

 

 自分のいたずらでカヌチャンがビックリしないので、どうすればカヌチャンがビックリするのかオトシドリは考えていた。すると、カヌチャンが叩いている鉄板を見たオトシドリはあることを思いつく。

 

 カヌチャン「チャ〜…」

 

 コツンッ(何かが頭にぶつかる)

 

 カヌチャンは何回か鉄板を叩くと、手を止めて鉄板を確認した。すると、カヌチャンの頭に何かがぶつかり地面に落ちた。

 

 カヌチャン「キャ?」

 

 カタカタカタカタ(入れ歯のおもちゃが動く)

 

 カヌチャン「キャーキャ⁉︎キャ、キャ、キャ!」

 

 オトシドリ「オーーッ‼︎」

 

 ガシッ!(鉄板を両足で掴む)

 

 

 カヌチャンの頭にぶつかったのは、オトシドリが投げた入れ歯のおもちゃだった。入れ歯のおもちゃが動き出すと、カヌチャンはパニックになって慌ててしまい、オトシドリはカヌチャンがパニクってる隙に、カヌチャンが叩いていた鉄板を両足で掴むと空に飛び上がった。奪われた鉄板を取り戻すため、カヌチャンはオトシドリを追いかけたが、オトシドリは太陽の出てる方向に飛んで行ったため、カヌチャンは太陽の眩しさで目をやられてしまい、手で目を隠した。すると、空を飛んでいたオトシドリの姿が消えてしまう。

 

 カヌチャン「チャ?チャ?」

 

 ドォーーーンッ!

 

 突然消えたオトシドリを探していると、カヌチャンの後ろから大きな音が聞こえてきた。その音の正体は、オトシドリがカヌチャンから奪った鉄板を落とした音だった。カヌチャンがその鉄板を取ろうとすると、オトシドリは再びカヌチャンの鉄板を奪い取った。

 

 カヌチャン「チャァッ〜〜!」

 

 オトシドリ「オートトトトトト!」

 

 シンヤ「ピカチュウ!「アイアンテール!」」

 

 ピカチュウ「チューーーウッ、ピッカァッ‼︎」

 

 バァァァァン!

 

 オトシドリ「オーート⁉︎」

 

 オトシドリはカヌチャンから鉄板を奪うと、再び空を飛んで逃げようとした。しかしその時、オトシドリが落とした鉄板の音を聞きつけたシンヤたちがやってきて、ピカチュウは「アイアンテール」を発動すると、オトシドリの頭に尻尾を叩きつけ、ピカチュウの攻撃を喰らったオトシドリは、両足で掴んでいた鉄板を落としてしまう。

 

 シンヤ「ほれ」

 

 スッ(鉄板を差し出す)

 

 カヌチャン「チャァッ!」

 

 ドット「シンヤ、ピカチュウ、ありがとう」

 

 シンヤ「気にするな」

 

 ピカチュウ「ピィカッピカッ」

 

 ピクッ!

 

 ピカチュウ・キャップ「「ピッ?ピィカッ!」」

 

 オトシドリが落とした鉄板が地面に落ちると、シンヤはそれを拾ってカヌチャンに渡した。するとその直後に、ピカチュウとキャップが何かの気配を察知し空を見上げた。そこには、さっきピカチュウの「アイアンテール」を喰らったオトシドリが、袋に何かを入れて持ってきていた。オトシドリが咥えている袋に何が入っているのか、ピカチュウとキャップが警戒していると、袋の中に入っているものがチラッと見えた。

 

 ヌッ(少し顔を見せる)

 

 クヌギダマ「ヌッ」

 

 ピカチュウ・キャップ「「ピカァッ!」

 

 シンヤ「ん?……!おい、オトシドリが袋に入れてるあれって、《クヌギダマ》だぞ!」

 

 リコ「ク、クヌギダマ⁉︎」

 

 ロイ「ってことは!」

 

 ドット「嫌な予感が…」

 

 パッ(クヌギダマを放す)

 

 ドンッ(クヌギダマが落ちる)

 

 ドカァァァァーーーン‼︎

 

 オトシドリが袋に入れて持ってきたのは、少しでも刺激を与えると爆発してしまう、みのむしポケモンのクヌギダマだった。以前シンヤたちはパルデア地方を冒険をしている時、クヌギダマに遭遇して爆発に巻き込まれたことがあるため、何か嫌な予感がしていた。すると案の定、オトシドリは袋の中に入っているクヌギダマを、自分の真下にいるシンヤたちに向かって落とし、地面に落ちたクヌギダマが爆発すると、爆発した時に発生した砂埃や煙でシンヤたちは咳き込んでしまう。

 

 全員「「「げほっ、げほっ、げほっ、げほっ」」」

 

 フリード「みんな、無事か⁉︎」

 

 リコ「テラパゴス!ニャローテ!大丈夫?」

 

 ヒョコ(リュックの中からテラパゴスが顔を出す)

 

 テラパゴス「パーゴ!」

 

 ニャローテ「ニャァッ!」

 

 シンヤ「ピカチュウも無事だ」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 ロイ「アチゲータも無事だよ」

 

 アチゲータ「ゲアゲェ」

 

 ドット「ウェルカモも無事…あれ?カヌチャンがいない!それに、カヌチャンが叩いてた鉄板もなくなってる!」

 

 どうやら、シンヤたちが咳き込んでいる間に、オトシドリはカヌチャンが叩いていた鉄板を奪い、カヌチャンはオトシドリの後を追っていったようだ。

 

 リコ・ロイ「「カヌチャ〜ン!」」

 

 シンヤ「ここら辺にはいないみたいだな」

 

 フリード「まだそんなに遠くには行ってないはずだ。手分けをしてカヌチャンを捜そう」

 

 リコ「うん!」

 

 シンヤ「分かった」

 

 シンヤたちがいなくなったカヌチャンを捜している頃、カヌチャンは山道を登ってオトシドリの後を追っていた。

 

 カヌチャン「ヌッ、ヌッ、ヌッ?」

 

 モルペコx3「モルペッ」

 

 カヌチャン「ヌッ、ヌッヌッ?」

 

 ウソハチ「ウソーハッ」

 

 カヌチャン「ヌッ!ヌッ、ヌッ、ヌッ?」

 

 ヤンヤンマ「ヤンヤン」

 

 オトシドリを追って山道を登っている途中、モルペコやウソハチ、ヤンヤンマに出会ったカヌチャンは、彼らからオトシドリを見たかどうか聞いたが、モルペコたちはオトシドリを見ていないようだ。

 

 ガッシャーーーンッ‼︎

 

 カヌチャン「カヌッ!」

 

 カヌチャンが山道を歩いていると、高い所から固い物を落としたような大きな音が前方から聞こえてきたので、カヌチャンは前方を走って行き、火山性のガスが噴出している場所にやってきた。そこには、カヌチャンから鉄板を奪ったオトシドリがいて、その近くには野生のマグカルゴが眠っていたのだが、オトシドリは鉄板をマグカルゴの近くに落とし、マグカルゴがビックリした様子を見て楽しんでいた。するとそこに、オトシドリが落とした鉄板の音を聞きつけたカヌチャンがやってきて、カヌチャンは鉄板を拾おうとした。しかし、またしても鉄板をオトシドリに奪われてしまい、カヌチャンはオトシドリの後を追いかけた。

 

 シンヤの視点

 

 シンヤ「カヌチャ〜ン!どこだ〜!」

 

 ピカチュウ「ピィカッピカ!」

 

 いなくなったカヌチャンを捜すため、フリードたちと別れたシンヤは、大きな声を出してカヌチャンを呼んだが、カヌチャンから返事は返ってこなかった。

 

 シンヤ「ハァ〜、どこに行ったんだ?カヌチャン」

 

 バッ(岩場から何かが出てくる)

 

 シンヤ「ん?」

 

 ピカチュウ「ピカッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 ゾロアーク「アークッ!」

 ゾロア「ゾロッ!」

 

 シンヤ「ゾロアにゾロアーク!」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 カヌチャンを捜しながら、シンヤとピカチュウが山道を登っていると、2人の目の前にゾロアとゾロアークが現れた。しかし、本来キタカミの里にはゾロアもゾロアークも生息していないが、シンヤには、自分の目の前にいるゾロアとゾロアークに見覚えがあった。

 

 シンヤ(このゾロアとゾロアーク、まさか!)

 

 ゾロアーク「アウアウ!」

 

 シンヤ「ん?ついてこいってことか?」

 

 ピカチュウ「ピィカッ?」

 

 目の前に現れたゾロアークに手招きをされると、シンヤとピカチュウはゾロアークの後についていき、山道を登り始めた。そして、しばらく山道を歩くと、カヌチャンがオトシドリを追っている場面に出会した。

 

 カヌチャン「チャァッ〜〜!」

 

 オトシドリ「オートトトト!」

 

 シンヤ「あっ、カヌチャン!」

 

 ピカチュウ「ピッカッ!」

 

 カヌチャンを見つけると、シンヤとピカチュウ、ゾロアとゾロアークは、急いでカヌチャンの後を追った。カヌチャンの後を追ってしばらく走り続けると、シンヤたちは山道の上にある岩場にやってきた。岩場の上には、オトシドリが集めたと思われる物ばかりが置かれていて、そこでオトシドリが何かしていたので、カヌチャンやシンヤたちは岩陰に隠れ、オトシドリの様子を窺うことにした。

 

 ゴクッゴクッ(オトシドリが川の水を飲む)

 

 オトシドリは岩場の上から飛ぶと、川の水が流れている場所に降り立ち、シンヤたちがいる場所の反対側の所で川の水を飲み始めた。

 

 シンヤ「なるほど。ここがオトシドリの住処ってことか」

 

 カヌチャン「チャッ〜!」

 

 シンヤ「おい!どこに行くんだ⁉︎」

 

 オトシドリが川の水を飲んでいると、カヌチャンは岩場の上の方に登っていき、頂上に辿り着くと、オトシドリが集めてきた物を漁り始めた。すると、そこにドットとウェルカモがやってきた。

 

 ドット「シンヤ、ピカチュウ」

 

 ウェルカモ「ウェール」

 

 シンヤ「おっ、ドット、ウェルカモ。…あれ?ゾロアとゾロアークが消えてる」

 

 ピカチュウ「ピッカッ?」

 

 ドットとクワッスが自分たちのいるところにやってくると、さっきまで岩陰に隠れていたゾロアとゾロアークがいなくなっていることにシンヤは気づいた。

 

 ドット「カヌチャンは?」

 

 シンヤ「あそこだ」

 

 スッ(上を指差す)

 

 カヌチャン「チャ、チャ、チャ」

 

 ガサゴソ(オトシドリが集めてきたものを漁る)

 

 シンヤからカヌチャンの居場所を聞いたドットは、カヌチャンが岩場の上で何をしているのか最初は分からなかったが、川の水を飲んでいるオトシドリを見て、カヌチャンが何をしているか理解したようだ。

 

 オトシドリ「オッ……オーッ!」

 

 ドット「みずでっぽう!」

 

 ウェルカモ「ウェーーールッ!」

 

 オトシドリ「オーートッ⁉︎」

 

 川の水を飲んでいたオトシドリが自分の住処を見ると、自分が集めてきた物を漁っているカヌチャンの姿を発見した。すると、オトシドリがカヌチャンの元に飛んで行こうとしたので、ドットはウェルカモに「みずでっぽう」の指示を出し、オトシドリの行く手を阻む。その直後に、カヌチャンはオトシドリに奪われた鉄板を見つけ出し、岩場から少し降りた場所で鉄板を打つ作業を始めた。

 

 カヌチャン「ヌッ!ヌッ!ヌッ!」

 

 ドン、ドン(カヌチャンが鉄板を叩く音)

 

 ドット「ホント、所かまわず夢中になるんだから」

 

 シンヤ「夢中になるのは結構なんだが、場所は選んでほしいな」

 

 ガーーーンッ!

 

 シンヤ「ガッ⁉︎(>_<)」

 

 ピカチュウ「ピィカチュッ⁉︎(>_<)」

 

 カヌチャンが鉄板を叩く作業をしていると、シンヤたちは黙ってカヌチャンの仕事を見ていた。すると、シンヤとピカチュウの頭の上にタライが落ちてきて、シンヤとピカチュウはその場に倒れて気絶してしまう。

 

 シンヤ「う〜ん(@_@)」

 

 ピカチュウ「ピィ〜カッ(@_@)」

 

 オトシドリ「オーッオッオッオッw!」

 

 シンヤとピカチュウの頭の上にタライを落とした犯人は、言うまでもなく、カヌチャンから鉄板を奪ったオトシドリだった。

 

 ドット「シンヤ、ピカチュウ、大丈夫か⁉︎」

 

 オトシドリ「オーーーッ!」

 

 シンヤとピカチュウが気絶すると、突然オトシドリが大声で叫び始めた。すると、突然オトシドリの体が光り輝き、オトシドリの足元から結晶石が出現すると、オトシドリは結晶石に身を包み込まれた。そして、結晶石が弾け飛ぶと、そこには全身がクリスタル化し、笑みを浮かべる悪魔をステンドガラスに描いた王冠を被っているオトシドリがいた。

 

 オトシドリ(あくテラスタイプ)「オォーーーーードッ‼︎」

 

 ドット「嘘だろ⁉︎野生のポケモンがテラスタルするなんて⁉︎」

 

 ウェルカモ「ウェール!」

 

 

 本来、ポケモンがテラスタルするにはテラスタルオーブが必要だが、ドットたちの目の前にいた野生のオトシドリは、テラスタルオーブを使わずにテラスタル化したので、ドットはそのことに驚きを隠せなかった。

 

 ドット「野生のポケモンがテラスタルしたのは驚いたけど、テラスタルできるのは僕たちも同じだ」

 

 スッ(テラスタルオーブを取り出す)

 

 ウェルカモ「ウェール!」

 

 ドット「映えてバズって…」

 

 ドォォォォォン‼︎

 

 ドット「うわっ⁉︎」

 

 ウェルカモ「ウェー⁉︎」

 

 野生のオトシドリがあくテラスタイプになると、ドットはウェルカモをテラスタルさせようとテラスタルオーブを構えた。するとその瞬間、ドットとウェルカモの真後ろに巨大な岩が落ちてきた。ドットとウェルカモは岩が落ちてきた衝撃で前に吹き飛ばされ、空の上にいる何かが2人の目の前に飛んできた。

 

 オトシドリ「オーッオッオッオッオッ!」

 

 ドット「オトシドリ!もう一体いたのか⁉︎」

 

 ドットとウェルカモの前に現れたのは、テラスタル化したオトシドリの仲間である、もう1匹のオトシドリだった。さっきドットとウェルカモの後ろに岩を落としたのも、このオトシドリだったようだ。

 

 ドット「つがいなんて聞いてないんだけど…あれ?テラスタルオーブがない!どこに行ったんだ⁉︎あれ?あれ?」

 

 オトシドリ「オーーッ!ドーー、ドォォリッ‼︎」

 

 (あくテラスタイプ)オトシドリ「オーーーーッ‼︎」

 

 どうやらドットは、さっきオトシドリが落とした岩の衝撃で吹っ飛ばされた時、テラスタルオーブをどこかに落としてしまったようだ。テラスタルオーブがなければウェルカモをテラスタルできないので、ドットはテラスタルオーブを探し始めた。すると、テラスタルしてないオトシドリは「いわおとし」を発動し、テラスタルしたオトシドリは「はたきおとす」を使って、仲間の発動させた「いわおとし」の岩を打ってきた。

 

 ドット「ウェルカモ、もう一度「みずでっぽう!」」

 

 ウェルカモ「ウェーーールッ‼︎」

 

 オトシドリ「オーーーーッ!」

 

 バァァァァンッ!

 

 ウェルカモ「ウェェーールッ⁉︎」

 

 ドット「ウェルカモ!」

 

 2体のオトシドリの連携攻撃をかわしたウェルカモは、「みずでっぽう」を使って反撃するが、2体のオトシドリの息の合った連携攻撃に苦戦を強いられてしまい、ウェルカモは追い詰められていく。

 

 カヌチャン「チャッァァーーーッ!」

 

 ウェルカモが2体のオトシドリとバトルをしている頃、カヌチャンは鉄板を打ち終え、自分の納得いく物を作り終えていた。鉄板を打ち終えたカヌチャンのハンマーをよく見てみると、ハンマーに新しい部分が追加されているのがよく分かる。

 

 ドット「ウェルカモ、もう一度「みずでっぽう!」」

 

 ウェルカモ「ウェ、ウェーーールッ‼︎」

 

 (あくテラスタイプ)オトシドリ「オーーーードッ‼︎」

 

 オトシドリ「オーーーーッ!」

 

 バァァァァンッ!

 

 ウェルカモ「ウェェーーッ⁉︎」

 

 カヌチャン「チャァッー!」

 

 2体のオトシドリが「はたきおとす」や「いわおとし」を使ってウェルカモを追い詰めていくと、カヌチャンはその様子を今いる場所で見ていた。カヌチャンはウェルカモの元に行こうとするが、カヌチャンが持っていたハンマーは、新しい部分が追加されて重くなったため、カヌチャンはハンマーを地面に引きずってウェルカモの元に行こうとした。

 

 (あくテラスタイプ)オトシドリ「オォーーッ、ドッ‼︎」

 

 オトシドリ「オーーッ、オッ‼︎」

 

 バァァァァンッ!

 

 ウェルカモ「ウェェーーッ⁉︎」

 

 カヌチャンがウェルカモのいる所に向かっている間も、ウェルカモと2体のオトシドリのバトルは続いていて、ウェルカモは2体のオトシドリの攻撃に手も足も出ず防戦一方だった。そして、2体のオトシドリがウェルカモにトドメをさそうとしたその時、カヌチャンの歩いていた足場が崩れ、カヌチャンがハンマーを握ったまま地面に落ちてきたのだ。

 

 カヌチャン「チャァッーー!」

 

 ドット「カヌチャン!」

 

 (あくテラスタイプ)オトシドリ「オォーーードッ‼︎」

 

 カヌチャン「キャキャーーーァッ‼︎」

 

 ピカァァァン!(カヌチャンの体が光り輝く)

 

 カヌチャンが地面に落ちてくると、テラスタルしているオトシドリは、ウェルカモからカヌチャンに狙いを変えると、「いわおとし」を発動してカヌチャンを攻撃しようとした。ドットはカヌチャンに逃げるように伝えるが、カヌチャンは逃げようとせず、力を振り絞ってハンマーを持ち上げた。すると、カヌチャンの体が青く光り始め、カヌチャンは新たな姿に進化を始めた。

 

 ナカヌチャン「チャーーッ!」

 

 ドット「カヌチャンが《ナカヌチャン》に進化した!」

 

 ウェルカモ「ウェーールゥ!」

 

 オトシドリ「オーーードッ‼︎」

 

 カヌチャンがナカヌチャンに進化すると、ドットとウェルカモはとても喜んだ。しかし、まだバトルは続いているので、オトシドリは「いわおとし」を発動すると、ウェルカモとナカヌチャンを攻撃してきた。

 

 ナカヌチャン「ナーーーッカァッ‼︎」

 

 ナカヌチャンに進化したことで、カヌチャンの時に持てなかったハンマーを軽々しく持ち上げたナカヌチャンは、「たたきつける」を発動すると、オトシドリが飛ばしてきた岩を全て粉砕し、「ぶんまわす」を発動すると、テラスタルしていないオトシドリにダメージを与えてぶっ飛ばした。

 

 ドット「いいぞ、ナカヌチャン!」

 

 ナカヌチャン「ナッカッ!」

 

 (あくテラスタイプ)オトシドリ「オォーーードッ‼︎」

 

 ドット「ウェルカモ!「けたぐり!」」

 

 ウェルカモ「ウェーーールッ‼︎」

 

 バァァァァン!

 

 ナカヌチャン「ヌゥゥーーーッ‼︎」

 

 ボカポコボカポコ!

 

 ナカヌチャン「ナッ、カァァーーーッ!」

 

 ダァァァァァァン‼︎

 

 (あくテラスタイプ)オトシドリ「オォーーーーッ⁉︎」

 

 仲間のオトシドリが、カヌチャンの「ぶんまわす」によってぶっ飛ばされると、テラスタルしているオトシドリは「いわおとし」を発動し、ウェルカモとナカヌチャンを攻撃してきた。その攻撃をウェルカモが「けたぐり」を使って防ぐと、カヌチャンは新たに覚えた「じゃれつく」を発動し、テラスタルしているオトシドリを攻撃した。そして、最後にハンマーを思いっきり振り回してオトシドリを地面に殴り飛ばすと、地面に激突したオトシドリのテラスタル化が解除され、2体のオトシドリは空に飛んで逃げて行った。

 

 ドット「すごいよナカヌチャン!新しい技、「じゃれつく」を覚えたんだ」

 

 ナカヌチャン「チャァッ!」

 

 シンヤ「なかなかいいバトルだったじゃん」

 

 シンヤ「ピィカッピカ!」

 

 ドット「シンヤ!ピカチュウ!」

 

 シンヤ「イテテテ、まだ頭がガンガンする」

 

 ピカチュウ「ピィカッ…」

 

 オトシドリを倒したことをドットたちが喜んでいると、後ろからドットたちのバトルを見ていたシンヤとピカチュウが、右手で頭を押さえながら声をかけてきた。

 

 ドット「いつから起きてたんだ?」

 

 シンヤ「カヌチャンが進化するところから。ホントは加勢しようと思ったんだが、俺もピカチュウも頭がクラクラしてたからな」

 

 ドット「まぁ、頭にタライを落とされて気絶してたんだもんな」

 

 シンヤ「ああ。…おい、そこに何か落ちてるぞ」

 

 ドット「えっ?」

 

 (テラスタルオーブ)

 

 ドット「テラスタルオーブ!よかった〜、無くしたかと思ったよ」

 

 タライが頭に直撃して気絶したシンヤとピカチュウだったが、幸いにも、シンヤとピカチュウは大きな怪我をせずに済んだようだ。そして、ドットはシンヤが見つけてくれたテラスタルオーブを拾うと、スマホロトムでリコたちに連絡し、リコたちと合流し、野生のオトシドリがテラスタルしたことを説明した。

 

 ナカヌチャン「ナカヌッ!」

 

 リコ「ドット。もしかして、このナカヌチャン」

 

 ドット「うん、カヌチャンが進化したんだ」

 

 リコ「そっか」

 

 フリード「しかし、パルデア地方以外で野生のポケモンがテラスタルするなんて、聞いたことないな」

 

 ドット「でも、僕の見ている前で、オトシドリはテラスタルしたんだ」

 

 シンヤ「あれ?言ってなかったけ?このキタカミの里にいる野生のポケモンのほとんどは、パルデア地方にいる野生のポケモンたちと同じように、テラスタルするってことを?」

 

 ドット・フリード「「聞いてない‼︎」」

 

 シンヤ「あぁ〜、こりゃあ失敬」

 

 オトシドリの妨害にあい、時間を食ったシンヤたちだったが、カヌチャンはナカヌチャンに進化し、新しい技、「じゃれつく」を覚えることができた。そしてシンヤたちは、てらす池にいるブライア先生に会うため、山道を登り始めた。

 

 シンヤ(…あのゾロアとゾロアーク。やっぱり、アイツのポケモンなのか?)

 

 地獄谷・崖の上

 

 ゾロア「ゾロッ!」

 

 ゾロアーク「アークッ!」

 

 シンヤたちが山道を登り始めると、さっきシンヤをカヌチャンのところに案内したゾロアとゾロアークが、岩場の上に立っている、白黒の帽子を被った長い緑髪の青年の元にやってきた。

 

 「ありがとう、ゾロア、ゾロアーク。ポケモンに優しいところは、出会った時から変わってないな。シンヤ」

 

 To be continued

 

 次回予告

 

 地獄谷を登り歩き、遂にシンヤたちは、鬼が山の頂上にある《てらす池》に到着した。しかし、どこにもブライア先生がいないため、フリードはキャップと一緒にブライア先生を捜しに行った。するとシンヤが、待っているだけでは退屈なので、リコ、ロイ、ドットの3人に、ポケモンバトルをしようと言い出す。

 

 次回「てらす池でのバトル!シンヤVSリコ・ロイ・ドット!」

 





 
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