ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり 作:通りすがりのポケモントレーナー
ブライア先生に会うため、《てらす池》を目指していたシンヤたち。その途中、オトシドリの妨害にあったが、カヌチャンはナカヌチャンに進化し、オトシドリを撃退した。
てらす池
シンヤ「着いたぜ、ここがてらす池だ」
ピカチュウ「ピィカッ!」
リコ「わぁ〜、綺麗な場所」
ドット「ハァ、ハァ、疲れた」
シンヤの案内で、地獄谷を歩いて一時間後。リコたちはブライア先生がいる《てらす池》に到着し、フリードはてらす池の前に立っている看板の方に歩いて行った。
フリード「看板に何か書いてあるな。『てらす池は、大昔にどこかからもたらされた結晶石の成分が溶けており、その水は淡く発光していますが、飲用可能で村の水源でもあります』大昔の結晶か」
ドット「この池の中にある結晶石って、エリアゼロで見たのと似てる」
フリード「ああ。もしかしたら、テラスタルする野生のポケモンがパルデア以外に現れることと、何か関係あるのかもな」
リコ「『池の光を見ていると、亡くなった人に会えるという言い伝えがあります』って書いてある」
ロイ「えっ?シンヤ、本当なの?」
シンヤ「どうだろう?看板にそう書いてあるってことは、本当のことなんだと思うけど。それより、ブライア先生はどこにいるんだ?」
フリード「ここら辺にはいないみたいだな。よし、俺とキャップはブライア先生を探してくるから、お前たちはここで休んでてくれ」
目的地であるてらす池にやってきたシンヤたちだったが、ここにいるはずのブライア先生の姿がないため、フリードはキャップとブライア先生を探しに行き、シンヤたちは少し休むことにした。その間、リコたちはてらす池の近くまで歩いていき、池の中を覗いて見ていた。てらす池の水はすごく綺麗で、結晶石があるせいか、池の底まで見えるほどだった。
リコ「すごく神秘的な場所。亡くなった人に会えるって言い伝えが残るのも、分かる気がする」
ゴゴゴゴゴッ(地鳴りが起きる)
シンヤ「うわっ⁉︎」
ピカチュウ「ピィカッ⁉︎」
リコ「な、何⁉︎」
ニャローテ「ニャァッ!」
ビッ(てらす池の真ん中を指差す)
シンヤたちがてらす池の中を見ていると、突然地鳴りが起こり、ニャローテがてらす池の真ん中を指差した。すると、てらす池の真ん中から水飛沫が発生し、シンヤたちのいる方に向かって、何かがすごい勢いで水飛沫を飛ばしながら近づいてくると、水面の中から一体のポケモンが現れた。
ミロカロス「ミィーーロォッ‼︎」
ロイ「初めて見るポケモンだ!」
リコ「なんか、すごく怒ってる」
スッ(ドットがスマホロトムを取り出す)
ミロカロス いつくしみポケモン みずタイプ。
澄んだ湖の底に住む。戦争が起こった時に現れ、人々の心を癒やす。
ドット「心を癒やすって、全然そんな感じに見えないんだけど」
水飛沫の中から出てきたのは、ポケモンの中で最も美しいと言われている、いつくしみポケモンの《ミロカロス》だった。ドットはスマホロトムでミロカロスのことを調べるが、目の前にいるミロカロスは図鑑の説明と違って、人の心を癒やすという感じには見えなかった。
ニャローテ「ニャァッ!」
アチゲータ「アチゲェ!」
ウェルカモ「ウェール!」
シンヤ「ニャローテ、アチゲータ、ウェルカモ、ストップ!」
ニャローテ「ニャァッ?」
アチゲータ「アチゲェ?」
ウェルカモ「ウェール?」
ドット「えっ?」
リコ「シンヤ?」
シンヤ「大丈夫、問題ない」
目の前に現れたミロカロスがリコたちを睨みながら見ていると、ニャローテ、アチゲータ、ウェルカモの3人は、リコたちを守るようにミロカロスの前に移動した。そして、そのままニャローテたちとミロカロスがバトルするかと思われた時、シンヤがニャローテたちにストップと言うと、ミロカロスの目の前に歩いて行った。
シンヤ「久しぶりだな、ミロカロス」
ピカチュウ「ピィカッ、ピカチュウ!」
ミロカロス「ミロッ?……ミィーーロッ!」
ナデナデ(シンヤがミロカロスの頭を撫でる)
シンヤがミロカロスに久しぶりと声をかけると、ミロカロスは頭にクエスチョンマークが浮かんだが、しばらくすると、ミロカロスはシンヤとピカチュウのことを思い出し、ミロカロスが頭を下げてきたので、シンヤはミロカロスの頭を優しく撫で始めた。
ロイ「え?」
ドット「ミロカロスが、シンヤに甘えてる」
リコ「シンヤ、このミロカロスのこと知ってるの?」
シンヤ「ああ、ここでコイツとバトルしたことあるからな。以前ブルーベリー学園の生徒がオレンジアカデミーに留学してきた時、俺がスグリやゼイユ、オーガポンと出会った時のことをお前に話したことがあったよな?」
リコ「うん、覚えてるよ。確か、オーガポンが仮面を落とした時に、額の宝石部分が少し欠けちゃったから、シンヤはゼイユと一緒に、このてらす池にある、《けっしょうのかけら》っていうのを取りにきたんだよね?」
シンヤ「そう。その時に、俺とゼイユはタッグを組んで、池の中から飛び出してきたこのミロカロスとバトルしたんだ。俺とゼイユが勝ったら、ミロカロスは池の中に姿を消したんだけど、オレンジアカデミーに戻る前に、俺とピカチュウは最後にこのてらす池に寄ったんだ。そしたら、またこのミロカロスが現れて、ピカチュウがミロカロスに、何故いきなり襲ってきたのかを聞いたら、ミロカロスが俺たちを襲ってきた理由は、俺たちがここを汚そうとしていると誤解してるんだってピカチュウが説明してくれて、その誤解を解いたら、このミロカロスと仲良くなってさ」
リコ「そうだったんだ」
リコは、ブルーベリー学園のスグリとゼイユがオレンジアカデミーに留学してきた後、シンヤがこのキタカミの里で、スグリやゼイユ、オーガポンとどう出会ったかを聞き、シンヤがこのてらす池にきた理由を聞いたことがあった。まさかその話に、このミロカロスが関わっているとは思っていなかったので、リコは少し驚いていた。
リコ「じゃあ、さっきミロカロスが私たちの前に現れたのは…」
シンヤ「リコたちが池を汚そうと勘違いしてたんだろうな。ミロカロス、コイツらは俺の友達だから大丈夫だ」
ミロカロス「ミィーーロッ!」
シンヤがミロカロスにここにきた理由を説明すると、ミロカロスはリコたちが池を汚そうとしないことを分かってくれると、てらす池の中に潜っていった。
シンヤ「…リコ、ロイ、ドット」
ロイ「ん?」
リコ「何?」
ドット「どうした?」
シンヤ「フリードとブライア先生が来るまで、俺と3対1のポケモンバトルをしないか?」
ロイ・ドット「「えっ⁉︎」」
リコ「私達3人で、シンヤとポケモンバトル⁉︎」
シンヤ「俺は《ゲッコウガ》で相手をするから、リコはニャローテ、ロイはアチゲータ、ドットはウェルカモで相手をしてくれ。俺はテラスタルオーブを使わないけど、そっちは使っていいぜ」
フリードとブライア先生が来るまで、リコ達にポケモンバトルをやろうと言い出したシンヤは、自分はゲッコウガで相手をするからと、リコ達3人には、ニャローテとアチゲータ、ウェルカモで相手をしてくれと言ってきた。しかも、自分はテラスタルオーブを使わないが、リコ達は使ってもいいという条件で。
ドット「いや、ちょっと待って!」
シンヤ「ん?何?」
リコ「どうして私達が、シンヤとポケモンバトルをする必要があるの?」
シンヤ「それは、お前らの3人の実力がどれだけ上がったのかを確かめるためだ」
ロイ「僕たちの成長を確かめる?」
シンヤ「ああ。俺と出会ってから今日まで、たくさんバトルしてきたお前たちは、いろんな経験を積み重ねて強くなった。それは、この前の六英雄とのバトルで見てればよく分かる。そのお前ら3人が、本気になった俺とどこまでやれるのか、俺もそれを見てみたい」
リコ・ロイ・ドット「「「…」」」
シンヤ「どうする?」
シンヤは今まで、リコたちとのバトルで本気を出したことはなかった。それは、リコたちが本気を出すのに値しないからだった。しかし、今のリコ達は自分と出会った頃と違って、六英雄を相手に互角に戦えるほど成長した。そんなリコたち三人が、本気になった自分とどこまで戦えるのか、シンヤはそれを見たいと思っていた。シンヤにバトルしないかと言われたリコたちは、最初はシンヤとバトルするかを迷っていたが、互いに顔を見合わせると、決意を込めた目をしてシンヤの方を向いた。
ドット「やるよ、シンヤとのポケモンバトル!」
ロイ「出会った頃は、全然シンヤに敵わなかったけど」
リコ「今の私達なら、シンヤとだって互角に戦えるはずだもん!」
シンヤ「フッ、言うようになったな」
ピカチュウ「ピィカッチュ!」
こうして、リコ、ロイ、ドットの3人がシンヤとポケモンバトルをすることに決めたので、シンヤたちはてらす池から少し離れた所に移動してバトルをすることにした。そして、シンヤはゲッコウガをモンスターボールから出すと、ゲッコウガとキズナ現象を起こし、ゲッコウガはキズナゲッコウガに姿を変えた。
シンヤ「リコ!ロイ!ドット!俺も本気でバトルするから、お前らも本気でバトルしろ。キズナゲッコウガとシンクロしている俺がダメージを受けても、そんなことは気にしなくていい」
キズナゲッコウガ「コォォォウガッ!」
リコ・ロイ・ドット「「「分かった!」」」
ニャローテ「ニャァッ!」
アチゲータ「アチゲェ!」
ウェルカモ「ウェール!」
今までバトルの練習を何度もシンヤにしてもらったリコたちだったが、シンヤと本気でバトルするのは初めてのため、リコ、ロイ、ドットの3人は、いつも以上に気合が入っていた。
シンヤ「先攻はこっちがもらうぜ。ゲッコウガ、「みずしゅりけん!」」
キズナゲッコウガ「コォォォウガッ‼︎」
リコ「ニャローテ!「マジカルリーフ!」」
ニャローテ「ニャァァァロォォーッ‼︎」
バァァァァン!
シンヤ「かげぶんしん!」
キズナゲッコウガ「コウガッ、コウガッ、コウガッ」
バトルが始まると、ゲッコウガは両手で水の手裏剣を三つ作り、それをニャローテたちに投げ飛ばした。水の手裏剣が飛んでくると、ニャローテは「マジカルリーフ」を発動して三つの「みずしゅりけん」を粉々にした。すると、ゲッコウガは「かげぶんしん」を発動し、周りに自分の分身を作った。
リコ「ニャローテ!「マジカルリーフ」、いっぱい!」
ニャローテ「ニャァァーーロォォォーーッ‼︎」
バァァァァン!
シンヤ「やるな」…(ウイングデッキで初めてキャップとバトルした時は、この「かげぶんしん」に翻弄されていたのに。本当に強くなったな、リコ)
ロイ「ドット、僕たちも」
ドット「うん。ウェルカモ、「みずでっぽう!」」
ロイ「アチゲータ!「ニトロチャージ!」」
ウェルカモ「ウェーールゥッ‼︎」
アチゲータ「アチアチアチアチ、アチゲェーーーッ‼︎」
ゲッコウガが「かげぶんしん」を発動して分身を作ると、ニャローテは「マジカルリーフ」を発動し、ゲッコウガの分身を全て吹き飛ばした。すると、ウェルカモは「みずでっぽう」を口から放って攻撃し、アチゲータは走りながら体に炎を纏うと、そのままゲッコウガに突っ込んできた。
シンヤ「ゲッコウガ!足下に「れいとうビーム!」」
キズナゲッコウガ「コォォォウガッ!」
バァァァァン!
アチゲータ「アチゲェーーーッ⁉︎」
ドット「アチゲータ!」
アチゲータとウェルカモの攻撃が直撃しそうになった瞬間、ゲッコウガは足下に「れいとうビーム」を放ち、目の前に巨大な氷の壁を作り上げた。氷の壁がウェルカモの「みずでっぽう」をガードすると、「ニトロチャージ」を発動したアチゲータは氷の壁に激突してダメージを受けてしまう。
シンヤ「どうした?この程度で終わるお前らじゃないだろ?」
ドット「やっぱり、シンヤは強い」
ロイ「うん。僕たちの上をいくバトルをしてくる」
リコ「…ロイ、ドット、バラバラに攻撃しても、簡単にゲッコウガに攻撃をかわされちゃう。だから、力を合わせて戦おう」
ロイ・ドット「「分かった!」」
リコ「ニャローテ!つぼみでゲッコウガを捕まえて!」
ニャローテ「ニャァァッ!」
シュッ(つぼみを投げる)
パシッ(ゲッコウガ体につぼみが巻きつく)
キズナゲッコウガ「コウガッ!」
バラバラに攻撃してゲッコウガに攻撃しても、シンヤに勝てないと判断したリコは、ロイとドットに、3人の力を合わせて戦おうとロイとドットに言うと、ロイとドットは分かったと言ってくれた。そして、ニャローテがゲッコウガにつぼみを投げつけると、ゲッコウガはニャローテの投げたつぼみで体を縛られ、身動きが取れなくなってしまう。
リコ「今だよ!」
ロイ「アチゲータ!「ニトロチャージ!」」
アチゲータ「アチアチアチアチ、アチゲェーーーッ‼︎」
シンヤ「ゲッコウガ!「あくのはどう!」」
キズナゲッコウガ「コォォォウ…」
ドット「ウェルカモ!「けたぐり!」」
ウェルカモ「ウェーーールッ‼︎」
ドォーーーン!
キズナゲッコウガ「コウガッ⁉︎」
ニャローテがゲッコウガの体をつぼみで縛っているうちに、アチゲータは「ニトロチャージ」を発動し、さっきと同じようにゲッコウガに突っ込んできた。すると、ゲッコウガが口から「あくのはどう」をアチゲータに放とうした時、ゲッコウガの後ろに回り込んでいたウェルカモは「けたぐり」を発動すると、ゲッコウガを蹴り飛ばしてダメージを与え、ゲッコウガはそのままアチゲータの攻撃を受けてしまう。
ドット「やった!」
ロイ「ゲッコウガにダメージを与えられた!」
リコ「うん!」
シンヤ「いい連携攻撃だ。それに、今のキックと頭突きは流石に効いたぜ」
キズナゲッコウガ「コウガッ!」
ニャローテがつぼみでゲッコウガを抑えているうちに、アチゲータがゲッコウガの気を逸らし、その隙にウェルカモが、ゲッコウガに効果抜群の「けたぐり」を命中させ、更に、アチゲータの「ニトロチャージ」で、ゲッコウガにダメージを与えた。今のはなかなか良い連携攻撃と言えるだろう。
シンヤ「ゲッコウガ!ニャローテに「ヘドロウェーブ!」」
キズナゲッコウガ「コォォォウ、ガーーーッ!」
ロイ「アチゲータ!「かえんほうしゃ!」」
アチゲータ「アァァチッゲェーーッ!」
バァァァァン!
ロイ「リコ!」
リコ「うん!ニャローテ!「アクロバット!」」
ニャローテ「ニャァァァ、ロォォッ‼︎」
バァァァァン!
キズナゲッコウガ「コウガッ⁉︎」
ゲッコウガがニャローテに「ヘドロウェーブ」を放つと、アチゲータは「かえんほうしゃ」を「ヘドロウェーブ」にぶつけてニャローテを守ると、ニャローテはその隙に「アクロバット」を発動し、ゲッコウガにダメージを与えた。与えたダメージは決して高くはないが、ニャローテたちの与えたダメージはゲッコウガに少しずつ蓄積されているし、ニャローテたちの連携の良さがよく分かる攻撃と言えるだろう。
ドット「いいぞ二人とも!」
リコ「うん!」
ロイ「僕たち、シンヤと互角に戦えてる!」
スッ(3人がテラスタルオーブを取り出す)
ドット「ここで決める!」
リコ・ロイ「「うん!」」
リコ「ニャローテ、満開に輝いて!」
ロイ「輝け、夢の結晶!」
ドット「映えてバズって、輝いちゃえ!」
一気に勝負をつけるため、リコ、ロイ、ドットの3人は、テラスタルオーブを取り出して同時に構えた。すると、テラスタルオーブにエネルギーがチャージされていき、リコたちはテラスタルオーブをニャローテたちに向かって投げ飛ばした。テラスタルオーブはニャローテたちの頭上でエネルギーを解放すると、ニャローテ、アチゲータ、ウェルカモは、無数の結晶石に身を包み込んだ。結晶石が弾け飛ぶと、全身がクリスタル化し、頭に花束を模した王冠を被るニャローテと、シャンデリアを模した王冠を被るアチゲータ、噴水を模した王冠を被るウェルカモが現れた。
(くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャァァーーロォォーーッ‼︎」
(ほのおテラスタイプ)アチゲータ「アァーーチィーーゲェーーーッ‼︎」
(みずテラスタイプ)ウェルカモ「ウェーーーールゥーーッ‼︎」
シンヤ「ここでテラスタルか!なら、こっちも全力でいくぜ!飛べゲッコウガ!「かげぶんしん!」」
キズナゲッコウガ「コォォォウガッ!」
ニャローテたちがテラスタルすると、ゲッコウガは空に高く飛び上がって「かげぶんしん」を発動し、空中で大量の分身を作り出した。そして、ゲッコウガが背中の水の手裏剣を掴むと、ゲッコウガが「かげぶんしん」で作った分身が水の手裏剣に吸収されていき、巨大な水の手裏剣が完成した。
シンヤ「いくぜゲッコウガ!「超巨大みずしゅりけん!」」
キズナゲッコウガ「コォォォォウガアアッ‼︎」
リコ「ニャローテ!「マジカルリーフ!」」
(くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャァァーーーロォォッ‼︎」
ロイ「アチゲータ!「かえんほうしゃ!」」
(ほのおテラスタイプ)アチゲータ「アァァァチッ、ゲェーーッ!」
ドット「ウェルカモ!「アクアブレイク!」」
(みずテラスタイプ)ウェルカモ「ウェェェーールゥゥーーッ‼︎」
ドカァァァァァァーーーーン!
ゲッコウガが巨大な水の手裏剣を投げると、テラスタルしたニャローテたちはフルパワーで技を放った。互いの大技がそれぞれにぶつかり合うと、その場で大爆発を起こし、周りには爆発によって発生した煙が舞い、両者の視界を遮る。
シンヤ「ッ!」
リコ「ううっ⁉︎」
ロイ「どうなったんだろ?」
ドット「見えてきた」
ゲッコウガ「コォォ…ガァァ…」(目がぐるぐる)
ニャローテ「ニャァッ…ロォォ…」(目がぐるぐる)
アチゲータ「アァチッ…ゲェー…」(目がぐるぐる)
ウェルカモ「ウェェ…ルゥゥ…」(目がぐるぐる)
爆発によって発生した煙が晴れると、自分たちの前にいるゲッコウガやニャローテたちが見えてきたが、ゲッコウガやニャローテたちは目を回して倒れていて、ゲッコウガは元の姿に戻り、ニャローテたちのテラスタル化も解除されていた。
ドット「ゲッコウガやウェルカモたちが倒れてる」
ロイ「じゃあ…」
リコ「このバトル…」
シンヤ「ああ。このバトルは引き分けだな」
3対1のバトルの結果は、まさかの引き分けで終わってしまった。もちろん、シンヤは手加減などしていなかったが、まさかキズナゲッコウガを倒されるとは思っていなかったので、流石のシンヤも動揺を隠せなかった。ポケモンバトルが終わったので、シンヤはリュックの中から4つのオボンの実を取り出すと、それをゲッコウガたちに食べさせて体力を回復させた。
シンヤ「まさか、キズナゲッコウガと引き分けるとはな。本当に強くなったな、3人とも」
リコ「ありがとう。シンヤにそう言ってもらえて嬉しい」
ロイ「でも、素直に喜んでいいのかな?ゲッコウガがテラスタルしてれば、僕たちが負けてただろうし」
ドット「それに、僕たちは3人で戦ってた訳だし、結構ハンデがあったような…」
シンヤ「確かに、ゲッコウガはテラスタルしていかったし、3対1というルールのバトルだったけど、ちゃんとルールを決めてバトルして、お前らはキズナゲッコウガと互角にバトルをして引き分けたんだ。だから、素直に喜べ」
リコ・ロイ・ドット「「「…うん!」」」
パチパチ(手を叩く音)
「なかなか素晴らしいバトルだったよ」
ゲッコウガはテラスタルしなかったし、3対1というルールでキズナゲッコウガと引き分けたことに、リコたちはあまり喜べなかったようだが、ちゃんとルールを決めたバトルでキズナゲッコウガと引き分けたんだから、素直に喜んでいいとシンヤに言われると、リコたちはシンヤと互角に戦えたことを喜んだ。するとどこからか、誰かが手を叩いて拍手をする音が聞こえてきて、後ろから誰かが声をかけてきたので、シンヤたちは声が聞こえてきた方に顔を向けた。そこにいたのは、両耳にテラスタルのマークを象ったピアスをつけている、金髪のショートヘアをした綺麗な女性だった。その女性の隣には、フリードとキャップがいた。
シンヤ「《ブライア先生》!」
ピカチュウ「ピィーカチュ!」
ブライア先生「久しぶりだね、シンヤ君、ピカチュウ」
ドット「えっ⁉︎」
ロイ「この人が⁉︎」
リコ「ブライア先生⁉︎」
シンヤ「何で驚く?写真でブライア先生の顔は見てるだろ?」
フリード「遅くなって悪い」
キャップ「ピカッ」
シンヤ「フリード、キャップ」
フリード「見てたぜ、お前たちのバトル。シンヤと引き分けるなんて、すごいバトルだったじゃないか」
フリードと一緒に現れた金髪の女性。この女性こそ、以前シンヤがガラルの古城で話していた、ブルーベリー学園の教師の《ブライア》だ。
ブライア先生「レホール先生から話は聞いている。君たちがライジングボルテッカーズの…」
リコ「リコです。この子はパートナーのニャローテ」
ニャローテ「ニャァッ」
ロイ「ロイです。こっちは相棒のアチゲータ」
アチゲータ「アァチッ」
ドット「ドット。こっちは僕のウェルカモです」
ウェルカモ「ウェール」
ブライア先生「みんなよろしく。改めて自己紹介しよう。ブルーベリー学園で教師をしているブライアだ。それで、私に聞きたいことがあるから、このキタカミの里まで来たと、さっきフリード博士から聞いたのだが」
シンヤ「リコ」
リコ「うん。実は、この子のことを聞きたくて」
ヒョコッ(テラパゴスがカバンから顔を出す)
テラパゴス「パァ〜ゴ」
スッ(テラパゴスを抱っこする)
ブライア先生「ッ!」
シンヤ「俺と初めて会った時に、ブライア先生はテラパゴスのことを話してくれましたよね?だから、テラパゴスのことについて何か知ってるかと思って、俺たちはブライア先生に会いにきたんです」
ブライア先生「…テ…テ…」
シンヤ「…ブライア先生?」
リコ「どうしたんですか?」
ブライア先生「テラパゴスではないか!✨」
キラキラ(ブライア先生が目を輝かせている)
ブライア先生「よく見せてくれ」
リコ「は…はい」
鞄から顔を出したテラパゴスをリコが抱っこしてブライア先生に見せると、ブライア先生は武者震いし、目を輝かせて子供のようにはしゃぎ出し、ペンとメモ帳を取り出してテラパゴスのことを観察すると、メモ帳にテラパゴスのことを書き始めた。しかし、テラパゴスは観察されるのが嫌なのか、リコの腕から飛び降りると、全速力でブライア先生から逃げてしまい、ブライア先生はメモ帳を持ったままテラパゴスを追いかけ始めた。
ブライア先生「待ってくれ〜、頼む〜」
テラパゴス「パーゴォ!」
フリード「面白い先生だな」
ロイ「うん」
ドット「見た感じ、クールな人って思ったけど」
リコ「うん。それに、逃げるテラパゴスなんて初めて見たかも」
シンヤ「なんかブライア先生って、フリードとそっくりだな」
フリード「えっ⁉︎いや、俺はあんなにはしゃいだりしないぞ」
シンヤ「よく言うよ。エリアゼロから帰ってきた時、ディアルガとパルキアを観察したいから、しばらく貸してくれって俺に頼んできたくせに」
フリード「うっ(・_・٥)」
シンヤ「それに、キタカミの里に着くまでの間、リュウガからはギラティナやイベルタル、ミコからはクレセリアを見せてほしいって頼んだりしてたし。昨日だって、ゼイユのヤバソチャを見てはしゃいでたじゃん。あれのどこがはしゃいだりしないって言うんだ?」
フリード「それは、その〜(-_-)…」
テラパゴスを見た瞬間、子供みたいにはしゃぎ出したブライア先生と似てるとシンヤから言われたフリードは、自分はあんなにはしゃいだりしないと言うが、昨日ゼイユのヤバソチャを見た反応が今のブライア先生と似ているため、シンヤのど正論に反論でぎずに黙り込んだ。そして、逃げるテラパゴスと、それを追いかけるブライア先生。端から見ている分には面白いが、テラパゴスがニャローテの後ろに隠れ、ニャローテが通せんぼをしたことで、テラパゴスとブライア先生の追いかけっこは終わったようだ。
ニャローテ「ニャァッ!」
ブライア先生「ッ、すまない。テラパゴスを見てつい興奮してしまった。レホール先生から、テラパゴスを連れているとは聞いていなかったかものだから」
シンヤ「ブライア先生は、テラパゴスを見たことがあるんですか?」
ブライア先生「あぁ、同じように目覚めた個体を見たことがある」
リコ「そうなんですか⁉︎」
ブライア先生「ああ。現在は、これまでの研究をまとめて本を作っているところでね。出版を目指して、大詰めというところなんだ」
シンヤ「そうだったんですか。しかし、何故ブライア先生はキタカミの里に?」
ブライア先生「このてらす池にある結晶を調べるためさ。その結果、てらす池にある結晶は、パルデア地方にある結晶と似た成分だと分かったんだ。それに、テラスタルの研究は、テラパゴスを調べるうえで欠かせないことだからね」
シンヤ「なるほど」
ブライア先生「さて、もっといろいろ話したいことはあるが、近くに私のテントがあるから、そこで話をしよう。良ければ、君たちのテラパゴスのことも聞かせてほしい」
リコ「はい!」
一旦話を終えると、シンヤたちはブライア先生の野営テントに移動し、テーブルや椅子などを準備して並べると、夕食を作り始めた。そして、夕食を食べ終えると、シンヤたちはブライア先生に、テラパゴスがペンダントの時、リコの祖母であるダイアナから、お守りとしてリコに託されたことを話し、テラパゴスがペンダントから目覚めてから、どういう冒険をしてきたかを話した。
ブライア先生「なるほど。元々このテラパゴスは、リコ君のお祖母様の持っていたペンダントだったのか。やはり私の調べた通り、テラパゴスは宝石の姿となって眠りにつくことがあるのだな。実に興味深い。そして君たちは、六英雄と呼ばれるポケモンたちと旅をした、古の冒険者《ルシアス》の足跡を探していると」
リコ「ルシアスたちは、《ラクア》と呼ばれるポケモンたちの楽園と呼ばれる場所を目指していたみたいなんです」
ブライア先生「ラクアか…」
シンヤ「ブライア先生は、テラパゴスのことに詳しいですよね?だったら、ラクアについても何か知ってるんじゃ?」
ブライア先生「いや、私も古い歴史書で読んだことある程度で、ラクアという名を知ってるだけだ」
フリード「やはりそうですか」
どうやら、テラパゴスに詳しいブライア先生でも、ラクアのことは歴史書で読んだことがあるだけで、詳しくは知らないようだ。
ブライア先生「力になれなくてすまない。ただ、そのルシアスという冒険者は、どこかでテラパゴスと出会ったのだろうな。《ヘザー》と同じように」
ロイ「ヘザーって…」
フリード「あれ?その名前、どっかでシンヤから聞いたよな?」
ドット「……思い出した!確か、ブライア先生の先祖だった人だって、オレンジアカデミーでシンヤが言ってた!」
ブライア先生の口から《ヘザー》という人物の名が出ると、リコたちは、以前その言葉をどこかでシンヤから聞いたことを思い出し、その人がブライア先生の先祖だということを思い出した。
ブライア先生「その通り。ヘザーは私の先祖であり、テラパゴスという名を最初に書き記した研究者だ」
リコ「じゃあ、テラパゴスを最初に見つけたのは、ブライア先生の先祖ってことですか!」
ブライア先生「ああ。私の夢は、テラパゴスをめぐる謎を解き明かし、ヘザーの正しさを証明することなんだ!」
パチパチ(拍手の音)
ロイ「おぉ〜!」
自分たちの目の前にいるブライア先生の先祖であるヘザーが、最初にテラパゴスを発見した人物だと知ると、このことを最初から知っていたシンヤ以外の全員は驚いていた。そして、ブライア先生の夢が、テラパゴスの謎を解き明かし、自分の先祖のヘザーの正しさを証明するということだとシンヤたちに伝えると、リコ、ロイ、ドットの3人は、ブライア先生に拍手をした。
ブライア先生「そうだ。君たちにとっておきのものをお見せしよう」
ブライア先生はそう言うと、鞄の中からコライドンの絵が描かれている赤い本と、ミライドンの絵が描かれている紫の本を取り出した。
ブライア先生「これが、ヘザーの書き記した2冊の本、《スカーレットブック》と、《バイオレットブック》だ!」
ドット「紫の方は初めて見るけど。その赤い本、オレンジアカデミーのエントランスホールに置いてあった本と同じだ」
ブライア先生「これは、オレンジアカデミーに置いてあるスカーレットブックのオリジナル本なんだ。バイオレットブックも、スカーレットブックと書いてあることはほとんど同じでね」
リコ「前にシンヤから聞きました。ブライア先生はヘザーさんの子孫だから、オリジナルのスカーレットブックと、バイオレットブックを持っているって」
ロイ「それに、オレンジアカデミーに置いてあるスカーレットブックとは違って、文字のところは黒く塗りつぶされてなかったって聞きました」
ブライア先生「知ってるなら話が早いな。見たまえ。君たちがオレンジアカデミー見た本と違うだろ?」
ロイ「ホントだ。黒く塗りつぶされてるところがないから全部読める」
スッ(ページを捲る)
ドット「あっ、この絵は」
ブライア先生がスカーレットブックとバイオレットブックを取り出すと、シンヤたちはバイオレットブックをブライア先生から貸してもらい、本をテーブルの真ん中で開いた。そこには、未来から来たパラドックスポケモンのことが書いてあり、それ以外のほとんどは、スカーレットブックと同じことが書いてあった。そして、ドットがバイオレットブックのページを捲っていくと、テラパゴスのことが描かれているページで手を止めた。
シンヤ「テラパゴスの絵だな」
ブライア先生「その絵は、ヘザーが最初にテラパゴスに出会った時のことを記録したページなんだ」
スッ(ページを捲る)
ロイ「このメガネをかけてる人って?」
ブライア先生「これがヘザーだ」
リコ「この人が…」
ブライア先生がテラパゴスの絵が描かれているページを捲ると、次のページには、メガネをかけているお爺さんが、相棒のモトトカゲと一緒に写っている写真が出てきた。この人物こそ、ブライア先生の先祖のヘザーなのだ。ブライア先生の話では、ヘザーは作家であり、博物学の研究者だったそうだ。当時ヘザーは、パルデア地方の中央に存在する大穴を探索する、エリアゼロ観測隊のメンバーに選出され、他のエリアゼロ観測隊のメンバーと共にエリアゼロの中を探索し、長い長い道のりのすえ、ヘザーを含むエリアゼロ観測隊は無事に最深部に辿り着いた。そこには光り輝く宝石の洞窟があり、後に自分がテラパゴスと命名する不思議なポケモンと出会ったようだ。エリアゼロにはテラパゴスだけではなく、他にも不思議なポケモンがたくさん生息していたので、ヘザーはそのポケモンたちを本に書き記したのだ。エリアゼロの最深部は、テラスタルの波動に満ちている。テラパゴスやエリアゼロに生息するポケモンたちは、その波動に導かれて現れたのだと、ヘザーはそう考えた。エリアゼロからの帰還後、ヘザーはエリアゼロでの体験したことを書き記した本、スカーレットブックとバイオレットブックを執筆した。しかし、ヘザーの書き記した2冊の本ははオカルトだと思われ、世間からは信じられなかったようだ。
ブライア先生「だからこそ、私はテラパゴスをめぐる謎を解き明かし、先祖であるヘザーの正しさを証明したいんだ」
シンヤ「そうだったんですか」
フリード「ブライア先生の話を聞くと、恐らく、ルシアスも俺たちと同じように、どこかでスカーレットブックを読んだんだろうな。そして、テラパゴスの存在を知った」
ドット「だから、ルシアスの手記にも、テラパゴスの名が記されていたんだ」
シンヤ「!リコ、ルシアスの手記を貸してくれ」
リコ「えっ?う、うん」
ルシアスがスカーレットブックを読んだことがあるとフリードが言ったあと、ルシアスの手記にテラパゴスの名前が書かれていたとドットが言うと、シンヤは何か思いついた顔をし、リコからルシアスの手記を借りた。
シンヤ「ありがとう。ブライア先生、見てほしい絵があるんですけど」
ブライア先生「え?」
リコからルシアスの手記を借りたシンヤは、ルシアスの手記を開き、あるページが出るまでページを捲り続けた。そのページとは、以前ダイアナが見せてくれた、大きな甲羅の姿をしたテラパゴスの絵が描かれているページだった。
ブライア先生「これは、《テラスタルフォルム》のテラパゴスだ!」
ロイ「テラスタルフォルム?」
シンヤ「テラパゴスの甲羅が大きくなったあの姿は、テラスタルフォルムって言うのか」
ブライア先生「ん?君たちは、テラパゴスのテラスタルフォルムを見たことがあるのかい?」
ロイ「一瞬だったけど」
シンヤ「この姿になったテラパゴスを見たことがあります」
ブライア先生「ノーマルフォルムのテラパゴスが、テラスタルフォルムになるには、何か特別なきっかけや力が必要なのではないか、私はそう推測しているんだ」
ロイ「特別……そうか。黒いレックウザだ!初めてテラパゴスがテラスタルフォルムになった時、六英雄の黒いレックウザが現れた時だった!」
シンヤ(もしかして、レックウザがあの時テラパゴスを試したのは、テラパゴスがテラスタルフォルムになれるかを確認するためだったのか?)
ブライア先生「なるほど。六英雄とそのテラパゴスの間には、私たちの知らない特別な関係が秘められているのかもしれないな」
フリード「…先生、一つ聞いても構いませんか?」
ブライア先生「ん?何かな?」
フリード「先生は、《ラクリウム》と呼ばれる物質をご存知ですか?」
ブライア先生「ラクリウム?」
フリード「ポケモンたちに、不思議な影響を与える物質なんだと思われるんですが。俺も詳しくは知らなくて」
ブライア先生「そんな物質があるのか。興味深い。だが、私もラクリウムのことは初めて聞くな」
フリード「そうですか」
どうやらブライア先生にも、ラクリウムが何なのかは知らないようだ。しかし、テラパゴスが大きな甲羅になった姿が、テラスタルフォルムと呼ばれる姿だと分かっただけでも収穫だろう。
ブライア先生「まだまだ知らないことだらけだな。だが、君たちと話をして、ますますテラパゴスやテラスタルに興味が湧いた。今日は素晴らしい日だ!」
シンヤ「ブライア先生。俺からも聞きたいことがあるんですけど」
ブライア先生「ん?」
シンヤ「ブライア先生は、リュウセイや七竜のことをご存知ですか?」
ブライア先生「リュウセイに七竜か。これも初めて聞くな」
シンヤ「そうですか」
ブライア先生「もし、ラクリウムやリュウセイや七竜の事についてなにか分かったら、すぐに君たちに連絡しよう」
フリード「ありがとうございます」
ブライア先生「うん。さて、色々と分かったことがあるが、それは後でまとめるとしよう。みんな。夜になったら、もう一度てらす池に行かないか?」
リコ「てらす池に?」
ブライア先生「うむ。夜のてらす池はとても神秘的でな。そのテラパゴスには、ルシアスの記憶が残っている。もし、てらす池に伝わる言い伝えが本当なら…」
シンヤ「既に亡くなっている、ルシアスやリュウセイに会えるかも知れないと?」
ブライア先生「ああ」
てらす池の看板には、亡くなった人に会えると書いてあるが、それが本当のことなのかどうかを確かめるため、シンヤたちは夜になったあと、もう一度てらす池に向かった。夜になったてらす池は、昼間の時と違って、池の底に沈んでいる結晶石の光がてらす池の水を輝かせ、とても神秘的で綺麗だった。そしてシンヤたちは、リュウセイやルシアスに会いたいと願ったが、何も起こらなかった。ただ、夜に輝くてらす池と、テラパゴスの姿を見たリコは、改めて六英雄を探し、ルシアスが辿り着いたラクアに、テラパゴスを連れて行きたいと思うのだった。
キタカミの里・森の中
「バサッ」
「彼らに会いたいんだね」
「ギリッ」
「分かった。明日彼らをここに連れてこよう。僕もシンヤに会いたいからね」
それから次の日の朝。てらす池で一晩明かしたシンヤたちは、てらす池で研究を続けるブライア先生と再会の約束をしたあと、ブレイブアサギ号に戻って行った。
ブレイブアサギ号・ミーティングルーム
モリー「なんの手がかりもなしか」
リコ「でも、ブライア先生やヘザーさんみたいに、ポケモンの謎を求める人の話が聞けて良かった。私たちやおばあちゃんと一緒なんだって、嬉しかった」
モリー「そっか」
オリオ「で、ライジングボルテッカーズはこれからどうするの?」
フリード「もちろん、残り三体の六英雄を探す。それに、ミコの話が本当なら、このキタカミの里のどこかにバサギリがいるはずだ。そのバサギリが六英雄のバサギリなのか、まずはそれを確かめないとな。ミコ、バサギリは見つかったか?」
ミコ「それが、以前バサギリを見た場所に行ったんですけど、どこにもバサギリの姿がなくて」
フリード「そうか」
モリー「前途多難だね」
マードック「そう言えば、ドットとシンヤとリュウガは?」
ミコ「リュウガは、ナナカマド博士から頼まれたポケモンの調査を続けてて、今はスイリョクタウンにいます」
オリオ「ドットは、動画用にスイリョクタウンの撮影をしたいからって、シンヤに案内を頼んで、一緒にスイリョクタウンに行ったよ」
マードック「そうか」
リコ「…私、スイリョクタウンに行ってくる」ダッ
オリオ「えっ?」
キタカミの里・スイリョクタウン
チリーン「チリィーーンッ!」
ドット「ここにも野生のチリーンがいるんだ」
ウェルカモ「ウェール」
シンヤ「ドットのやつ、山を登ってた時と違って随分元気だな」
ピカチュウ「ピーカビーカッ」
ドット「ありがとうシンヤ。おかげでいろいろ撮影できたよ」
シンヤ「そりゃあよかったな」
リュウガ「よっ、二人とも」
シンヤ「リュウガ!」
シンヤに案内を頼み、スイリョクタウンにやってきたドットは、ぐるみんの動画用に、スイリョクタウンの看板や素材の撮影をしていた。そして、動画用の撮影が終わったタイミングで、シンヤとドットはリュウガと出会った。
シンヤ「ナナカマド博士から頼まれたポケモンは調査は終わったのか?」
リュウガ「全然。少し疲れたから、船に戻ろうとしてたところだ」
シンヤ「…そう言えば、ずっと気になってたんだけどさ。ナナカマド博士から頼まれたポケモンの名前って、いったいなんて言うんだ?」
リュウガ「ああ、そう言えば言ってなかったか?ポケモンの名前はモモ…」
シンヤ「ん?モモ、何だって?」
ピカチュウ「ピィカッ?」
スイリョクタウンで出会ったリュウガに、ナナカマド博士から調査するよう頼まれたポケモンの名前をシンヤが聞いてきたので、リュウガはそのポケモンの名前をシンヤに教えようとした。すると、モモと言ったところでリュウガは急に黙ってしまい、急にあるところを指差したので、シンヤはリュウガが指を差した方向に目を向けた。そこには、ガーディと姿が似ているポケモンがスイリョクタウンの道を歩いていたのだが、ガーディと違って、目元が丸みを帯びた白毛で覆い尽くされているポケモンだった。
ガーディ(ヒスイの姿)「ガウゥ」
リュウガ「…あれって、ヒスイガーディ…だよな?」
ドット「ええっ⁉︎ヒスイ地方って、確か…」
リュウガ「ああ。俺たちの故郷である、大昔のシンオウ地方のことだ。でも、何でここにヒスイガーディが?」
ダッ!(シンヤがヒスイガーディを追う)
リュウガ「おい!シンヤ!」
ガーディに似ているポケモンの正体は、大昔のシンオウ地方に存在していたガーディ、ヒスイの姿と呼ばれるガーディだった。そのヒスイガーディが歩いているのを見たリュウガとドットは驚いていたが、シンヤとピカチュウは慌てることなく、走ってヒスイガーディの後を追って行った。
ガーディ(ヒスイの姿)「ガウゥ」
「やぁ、久しぶりだね。シンヤ君、ピカチュウ」
ゆっくり道を歩いていたヒスイガーディが、白いスニーカーを履いている人物の足元に止まると、スニーカーを履いている人物は、シンヤとピカチュウに久しぶりと声をかけた。
ピカチュウ「ピィカッピカッ!」
シンヤ「やっぱり。そのガーディはあなたのでしたか。《サザレ》さん」
シンヤがサザレと呼んだ人物は、髪の根本から毛先にかけて三色に髪色が分かれた不思議なショートヘアが特徴的な人で、一眼カメラを携帯しており、上はセパレートのタンクトップを着てヘソを出していて、下はダメージジーンズを穿いていて、かなり露出の多い恰好をしている、とても美人な女性だった。
サザレ「まさか、またここで君と会えるとはね。私が託したガーディはどう?」
シンヤ「今はシンオウ地方にいますけど、元気にしていますよ」
サザレ「そっか。ガーディは対になってるポケモン。私が君に託したガーディ大切にしてくれてるから、また君と出会えたんだろうね」
シンヤ「ハハッ、そうかもしれませんね」
リュウガ「お〜い!俺たちを置いていくな!」
ドット「ハァ、ハァ、やっと追いついた」
サザレ「?シンヤ君の知り合い?」
シンヤ「ええ。紹介します。男の方は、幼馴染のリュウガ」
リュウガ「どうも、リュウガです」
シンヤ「っで。こっちが、今一緒に旅をしている」
ドット「ドット」
サザレ「私はサザレ。ちょっぴりカメラ好きの、旅の者さ」
シンヤがサザレと話をしていると、そこにリュウガとドットがやってきて、リュウガとドットがサザレに自己紹介をすると、サザレもリュウガとドットに自己紹介をした。
サザレ「シンヤ君。久しぶりに出会ったばかりで悪いんだけど、これから時間あるかな?」
シンヤ「えっ?どうしてですか?」
サザレ「実は、どうしても撮りたいポケモンに出会ってね。また君の力を借りたいんだ」
リュウガ「ん?また?」
ドット「どういうこと?」
シンヤ「前に話したろ?《赫月のガチグマ》をゲットするキッカケを作ってくれたカメラマンと、このキタカミの里で出会ったって」
リュウガ「あ〜、そう言えばそんなこと言ってたな」
ドット「そのカメラマンって、サザレさんのことだったんだ」
シンヤ「そっ」
リュウガ(……この人……ヒスイ地方で出会った、あの人に似てるな)
以前、シンヤはリュウガとバトルをした時、赫月のガチグマというポケモンをバトルで使ったことがある。その赫月のガチグマをゲットするキッカケを作ってくれたのが、このサザレなのだ。
サザレ「どうかな?」
シンヤ「サザレさんの頼みなら、俺は構いませんけど」
久しぶりにシンヤに会ったサザレは、カメラで撮りたいポケモンがいるから、シンヤにそのポケモンを撮れるように協力を頼んだ。本当なら、六英雄のバサギリを探す方を優先した方がいいのだが、以前サザレには、赫月のガチグマをゲットするキッカケをもらったので、シンヤは快くサザレの頼みを引き受けた。
シンヤ「あっ、そうだ。サザレさん、一つ聞きたいことがあるんですけど」
サザレ「何?」
シンヤ「実は俺たち、バサギリを探してて」
サザレ「バサギリ」
シンヤ「サザレさんは、俺やリュウガと同じで、シンオウ地方の生まれですよね。実は友達から、バサギリをこのキタカミの里で見たって聞いたんです。だから、バサギリのことで何か知ってるなら、なんでもいいから教えてほしいんです」
サザレ「…知ってるよ」
リュウガ・ミコ「「ッ⁉︎」」
シンヤ「本当ですか!」
ピカチュウ「ピィカッ!」
サザレ「うん。写真を撮ってる時に、偶然バサギリを見てね」
キタカミの里でサザレと再会したシンヤは、同じシンオウ地方の生まれであるサザレなら、ミコが見たと言っていたバサギリのことを何か知っているかと思い、バサギリのことをサザレに聞いてみたが、なんとサザレは、キタカミの里で写真を撮っている時に、偶然バサギリを見たと言うのだ。
シンヤ「ッ!教えてください!バサギリをどこで見たんですか!」
サザレ「…以前シンヤ君にはお世話になったから、教えてあげてもいいんだけど。…これを教えたら、シンヤ君、すぐその場所に行っちゃいそうだな」
シンヤ「えっ?」
リュウガ(今、聞き流してはいけないワードが出たような…)
サザレ「じゃあさ、バサギリのことを教えてあげる代わりに、私のお願いを聞いてくれる?」
シンヤ「お願い?」
サザレ「私とポケモンバトルをしてほしいんだ」
シンヤ「ポケモンバトルですか?」
サザレ「うん。私はそんなにポケモンバトルが強くないけど、久しぶりに君のバトルしている姿を撮りたいんだ。バトルが終わったら、ちゃんとバサギリのことを教えるから。それでどう?」
シンヤ「…分かりました。バトルしましょう」
サザレ「決まりだね!」
こうして、バサギリを見た場所を教えてもらうかわりに、シンヤはサザレとバトルをすることになった。
スイリョクタウン・公民館の前
シンヤ「こっちは準備OKですよ!」
ピカチュウ「ピーカビカッ!」
サザレ「私はこの子でいくよ、リーフィア!」
ポーーン
リーフィア「フィィーァッ!」
シンヤ「やっぱりリーフィアか!」
ピカチュウ「ピィカッ!」
ドット「草タイプか。ピカチュウとは相性が悪いな」
リュウガ「リーフィアか」…(やっぱりサザレさんって、あの人の…)
シンヤ「レディーファーストってことで、先攻はサザレさんからどうぞ」
サザレ「それじゃあ遠慮なく。リーフィア!「はっぱカッター!」」
リーフィア「フィィアーーッ‼︎」
シンヤ「ピカチュウ!「アイアンテール!」」
ピカチュウ「チューーウ、ピッカッ‼︎」
バァァァァン!
シンヤはピカチュウ、サザレがリーフィアを繰り出すと、シンヤとサザレのポケモンバトルが始まった。リーフィアが「はっぱカッター」を放つと、ピカチュウは「アイアンテール」を発動し、飛んできた「はっぱカッター」を全て打ち落とした。すると、リーフィアは「リーフブレード」を発動し、尻尾をピカチュウに振り下ろしてきたが、ピカチュウは再び「アイアンテール」を発動し、リーフィアの「リーフブレード」をガードした。
サザレ「いいね!やっぱり君とのバトルは最高だよ!」
シンヤ「ありがとうございます。サザレさんこそ、前にバトルした時より強くなってますよ!」
サザレ「ありがとう!リーフィア!「つるぎのまい」だよ!」
リーフィア「リィィィッ‼︎」
シンヤ「リーフィアの攻撃力を上げてきたか」
サザレ「リーフィア!「はっぱカッター!」」
リーフィア「フィィィアーーッ!」
シンヤ「ピカチュウ!回りながら「10まんボルト!」」
ピカチュウ「ピカッ!ピー、カー、チューーッ!」
バァァァァン!
リーフィア「フィァァッ⁉︎」
「つるぎのまい」を使って攻撃力を上げた後、リーフィアは「はっぱカッター」で攻撃してきた。すると、ピカチュウは背中を地面につけて回転を始めると、そのまま「10まんボルト」を発動し、リーフィアが放った「はっぱカッター」を防ぎ、そのままリーフィアにダメージを与えた。
サザレ「何それ⁉︎」
シンヤ「《カウンターシールド》。相手の攻撃を防御しながら、相手に攻撃してダメージを与える戦法です」
サザレ「カウンターシールド…」
パシャパシャ(カメラのシャッターの音)
サザレ「いいねいいね!やっぱり君はすごいよ!リーフィア!「リーフブレード!」」
リーフィア「フィィィァァーッ‼︎」ダッ
シンヤ「ピカチュウ!「ボルテッカー!」」
ピカチュウ「ピッカッ!ピカピカピカピカー、ピカピッカーーッ‼︎」
ドォォォォォン!
リーフィアが「リーフブレード」を、ピカチュウが「ボルテッカー」を発動すると、互いに正面から相手にぶつかって行った。そして、「リーフブレード」を発動したリーフィアの尻尾がピカチュウに直撃したが、ピカチュウはリーフィアの攻撃を押し返し、そのままリーフィアを吹き飛ばした。「ボルテッカー」を食らったリーフィアはサザレの元まで吹き飛ばされると、サザレはリーフィアの様子を確認したが、リーフィアは目を回して倒れていたので、リーフィアをボールに戻して休ませた。
サザレ「ありがとうリーフィア。ゆっくり休んでね」
シンヤ「やったな、ピカチュウ」
ピカチュウ「ピッカァッ!」
リュウガ「良いバトルだったな」
ドット「うん。すごいバトルだったよ」
シンヤ「サンキュー」
シンヤとサザレのポケモンバトルが終わった後、リュウガとドットはシンヤに近づき、良いバトルだったとシンヤとピカチュウを褒めてくれた。
サザレ「やっぱり君は強いね」
シンヤ「サザレさんだって強いじゃないですか」
サザレ「フフッ。ありがとう」
ゾクッ(背中に悪寒が走る)
シンヤ「うっ!( ・_・lll)」
サザレ「ん?どうしたの?」
シンヤ「いえ……なんか、後ろから殺気を感じて……いいっ!?」
サザレと楽しく話をしていると、シンヤは背中に悪寒が走るのを感じ、邪気のようなものを感じ取ったので、ゆっくりと首を後ろに回して振り向いた。
リコ「(T_T)」
シンヤ「リ、リコ…Σ(゚д゚lll)」
予想通りとでも言うべきか、少し離れた後ろの所にジト目で自分を見つめているリコが立っていた。シンヤが後ろにいた自分の存在に気づくと、リコはシンヤの目の前に歩いてきた。どうやらリコは、シンヤの女性関係に関してだけ並はずれた直感でそれを察知できるようになってしまったようだ。だからこそ、それを感じ取ったリコは急いでスイリョクタウンにやってきたのだ。そして案の定、シンヤはサザレという美人な女性と話していて、それを見たリコが嫉妬してシンヤに怒っていたのだ。
リコ「…随分と楽しそうだったね」
シンヤ「リコ、何でここに?ていうか、いつから居たんだ?」
リコ「…シンヤがバトルを始めた時から」
シンヤ(最初からじゃん!)
とても冷たいリコの声を聞いたシンヤは、リコがめちゃくちゃ怒っていると理解し、リコが怒っている理由は、サザレが原因なのだと瞬時に把握した。それは、今までリコがシンヤに怒る理由が、女性関係のことしかなかったからだ。ここまでリコが怒っている以上、下手な誤魔化しは余計にリコを怒らせ、命の危機に関わると感じ取ったシンヤは、リコにサザレとバトルすることになった理由を説明しようとしたのだが、シンヤが説明するより早く、ドットが口を開いてシンヤをフォローし始めた。
ドット「リコ、この人はサザレさんっていって、バサギリの情報を提供してくれた人なんだ」
リコ「えっ⁉︎それって、六英雄のバサギリ⁉︎」
ドット「それは分からないけど。シンヤがサザレさんとバトルしてたのは、バサギリの情報をゲットするためだったんだ!」
リコ「…そうなの?」
シンヤ「そ、そうそう」コクッコクッ
リコ「そう…だったんだ。ごめんね、シンヤ。私、シンヤがバトルしてる理由も聞いてないのに、勝手に1人で怒っちゃって…」
シンヤ「き、気にすんな」
バサギリの名が出ると、リコの体から嫉妬のオーラが消えていき、シンヤがバサギリの情報を得るためにサザレとバトルしていたことを知ると、リコはシンヤに謝罪した。
ボソッ(小声でドットに話す)
シンヤ『サンキュードット。フォローしてくれて助かった」
ドット『前にビクティニを撮らせてもらったからな。それより、あんまりリコを怒らせるようなことをするなよ』
シンヤ『しょうがないだろ。サザレさんとは、お前らと出会う前に知り合ったんだから』
リコ「シンヤ、ドット、どうしたの?」
ドット「い、いや」
シンヤ「何でもない!それでサザレさん、バサギリの情報のことですけど」
サザレ「そうだった。バサギリのことを教える約束だったね。はい」
スッ(写真をシンヤたちに見せる)
シンヤ「ッ!」
リュウガ「マジかよ⁉︎」
ドット「こ、これって!」
サザレがシンヤたちに見せた一枚の写真。それは、バサギリがこのキタカミの里にいると確証させる写真だった。
To be continued
次回予告
バサギリを見たと言うサザレに案内され、シンヤたちは"天狗山"と呼ばれる場所を目指していた。その途中にトラブルが起き、メンバーはバラバラになってしまったが、シンヤとリコはバサギリの手がかりを探しながら進んでいた。その途中、シンヤとリコはNと出会い、Nに道を案内されたのだが、シンヤたちの目の前にダークトリニティが現れた。
次回「Nとの再会!バサギリを探せ!」
投稿が遅れて申し訳ありません。土日が忙しかったのと、サザレを登場させたあと、嫉妬しているリコをどう出すか迷っていたので。