ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

79 / 115

 ムゲンダイナを操るハデス。そして、トルネロス、ボルトロス、ランドロスを操るダークトリニティとバトルすることになったシンヤとリュウガは、六英雄のバサギリとNの力を借りて、ハデスとダークトリニティを退けることができた。そして、キタカミの里に戻ってきたリコは、ラクアに行くために力を貸してほしいとバサギリに頼むが、バサギリは力を自分の貸すに相応しいか試したいと、シンヤとリコとバトルをしたいと言い出したので、シンヤとリコは、明日バサギリとポケモンバトルをすることにして、Nを連れてブレイブアサギ号に戻ったのだった。



第79話『シンヤ・リコVS六英雄のバサギリ!』

 

 ブレイブアサギ号・甲板

 

 フリード「今戻った」

 

 オリオ「おかえり」

 

 リュウガ「はぁ〜、疲れた」

 

 ミコ「疲れたのはこっちよ!アンタ達がやられちゃったんじゃないかって、めちゃくちゃ心配したんだからね!」

 

 リュウガ「うっせぇな。怒ってばかりいると、シワが増えるぞ」

 

 ミコ「何ですって‼︎」

 

 シンヤ「あんなことがあった後なのに。元気だな、2人とも」

 

 リコ「アハハ…」

 

 ロイ「シンヤ、リコ」

 

 リコ「あっ、ロイ、ドット」

 

 ドット「怪我とかしてないか?」

 

 シンヤ「ああ。みんな無事だ」

 

 ロイ「よかった」

 

 サザレ「あんなすごいポケモンが出てきたから、一時はどうなるかと思ったよ」

 

 ハデスたちを撃退し、シンヤ達がNと一緒にブレイブアサギに戻ると、ライジングボルテッカーズのみんなとサザレが出迎えてくれて、シンヤ達が無事だったことを喜んでいた。

 

 モリー「っで、アンタがシンヤの言ってた、レシラムのトレーナーの…」

 

 N「ええ。初めまして、Nです」

 

 サッ(円を作る)

 

 ボソッ(小声で話す)

 

 オリオ『ちょっとちょっと、想像してた人物と全然違うんだけど!』

 

 マードック『俺もだ。前にシンヤから話を聞いた時に、もっとおっかないヤツだと思ってたぞ』

 

 モリー『どう見ても、リコやシンヤよりちょっと年が上ぐらいで、真面目な青年って感じだよね?』

 

 マードック『フリード。本当にコイツが、前にシンヤが言ってた、ポケモンの言葉が分かるNってヤツなのか?』

 

 フリード『ああ。レシラムをモンスターボールから出したのを見たし、六英雄のバサギリから、ルシアスと一緒に冒険して、ラクアを目指したことを聞いたと言っていたからな』

 

 フリード達は、シンヤのゼクロムがダークストーンから目覚めた後、イッシュ地方でゼクロムとどう出会ったかをシンヤに聞いたことがあった。その時にシンヤから、イッシュ地方で暗躍していた《プラズマ団》という組織と戦ったことや、ポケモンの言葉が分かる《N》という人物のことを聞いたことがあった。ポケモンの言葉が分かるNのことをシンヤから聞いたフリード達は、シンヤの言っていたことを信じなかった訳ではないが、ポケモンの言葉が分かる人間を見た事がないので、そんな人間が本当にいるのかと疑問を持っていたが、ルシアスやラクアの事がNの口から出てきたのをフリードは聞いていたので、疑問はすぐに解決した。

 

 N「…シンヤ、彼らは何をしているんだい?」

 

 シンヤ「多分、前に俺からお前のことを聞いた時、お前がどういう人間かを勝手に想像してて、想像してた人物像と違うから、みんな驚いてるんだと思う」

 

 N「?前に君から僕のことを聞いたと言うのは、どう言うこと?」

 

 シンヤ「あぁ〜、ゼクロムがダークストーンから目覚めた時、ゼクロムとどうやって出会ったかをフリード達に聞かれて、俺がイッシュ地方でどんな冒険をしたかを話したんだ。お前がポケモンと話せることとか、プラズマ団の城でフルバトルをしたこと。後、ゲーチスの野望のことなんかを細かく全部」

 

 Nがポケモンと話せるということをフリード達に勝手に話すのは、シンヤとしても気が引けたが、シンヤがゼクロムと出会うことになったキッカケは、Nとプラズマ団が大きく関わっているため、きちんと話しておかなければならなかっただろう。

 

 ランドウ「これこれお前たち。向こうからきちんと挨拶してくれたのに、コソコソと話すのは失礼じゃろ。こっちもちゃんと挨拶をせんと」

 

 マードック「ぁっ…」

 オリオ「そうだね」

 

 ランドウにそう諭されると、Nの前に移動したマードック達は、Nに自己紹介をした。

 

 マードック「俺はマードック。この船のコックだ。よろしくな」

 

 オリオ「私はオリオ。この船でメカニックをしてるんだ」

 

 モリー「私はモリー。この船で船医をやってる」

 

 ランドウ「ワシはランドウじゃ」

 

 フリード「さっき挨拶したが、改めて自己紹介するよ。俺はフリード。ポケモン博士で、ライジングボルテッカーズのリーダーをやってる」

 

 N「ライジングボルテッカーズ?」

 

 シンヤ「ポケモンの謎、世界の謎を解き明かす冒険をしている冒険家集団。それがフリード達、ライジングボルテッカーズなんだ」

 

 N「そうなんだ」

 

 フリード「って、今はお前もその1人だろう?」

 

 シンヤ「あっ、そうだったな」

 

 グゥゥゥゥ~〜(腹の虫が鳴る)

 

 シンヤ「ん?」

 

 ロイ「…ごめん」

 

 リュウガ「俺とロイの腹の虫だ」

 

 マードック「よし、みんな無事に帰ってきたことだし、飯にするか!」

 

 ロイ「やった!」

 

 マードック「よかったら、Nとサザレも食べていくといい」

 

 N「えっ?」

 

 サザレ「私達までいいんですか?」

 

 マードック「ああ。いっぱい作ったからな」

 

 フリード「2人が良ければ、今日はこのままブレイブアサギ号に泊まればいい。部屋は余ってるし、どうせ明日は、一緒にバサギリの所にいくんだからな」

 

 サザレ「じゃあ、お言葉に甘えて、今日はこの船で泊まろうかな。N君は?」

 

 

 N「迷惑でなければ」

 

 フリード「じゃ、決まりだな」

 

 こうして、Nとサザレはブレイブアサギ号に泊まることになり、リュウガが ギラティナの手当てをした後、シンヤ達はミーティングルームに移動し、マードックが作ってくれた夕食をみんなで食べ始めた。

 

 ブレイブアサギ・ミーティングルーム

 

 パクッ…モグモグッ(料理を食べる)

 

 マードック「どうだ?2人の口に合うか?」

 

 N「ええ」

 

 サザレ「とても美味しいです」

 

 マードック「そりゃあよかった。おかわりもあるから、たくさん食べてくれ」

 

 ロイ「おかわり!」

 

 リュウガ「俺も!」

 

 マードック「はいよ〜!」

 

 マードックの作った料理はサザレとNにも高評価だったようで、さっきまでの戦いのことなど忘れて、みんな美味しそうにマードックが作った料理を食べていた。

 

 フリード「なぁ、N。お前に聞きたいことがあるんだが?」

 

 N「何ですか?」

 

 フリード「お前はポケモンの言葉が分かるって言ってたけど、どんなポケモンの言葉でも分かるのか?例えば、伝説のポケモンの言葉とか?」

 

 N「ええ。分かりますけど」

 

 マードック「マジか!」

 

 モリー「凄いね」

 

 オリオ「伝説のポケモンとも話せるなんて、羨ましい」

 

 N「…あなたたちは、ポケモンの言葉が分かる僕の事を、気持ち悪いとは思わないんですか?」

 

 フリード「気持ち悪い?」

 

 マードック「なんで気持ち悪いなんて思うんだ?」

 

 オリオ「ポケモンと話せるなんて凄いじゃん」

 

 モリー「うん。どんなポケモンの言葉でも分かって、話せるってことは、そのポケモンが今どんな気持ちなのかを、知ることができるって事でしょ?」

 

 N「…」

 

 ドット「あの〜、Nさんは、いつからポケモンと話せるようになったんですか?」

 

 N「物心がついた時からだったけど」

 

 ロイ「僕もポケモンの言葉が分かるようになりたいな。そしたら、どんなポケモンとだって話せるし、アチゲータや黒いレックウザとだって話せるようになるのに」

 

 リコ「確かに。ポケモンの言葉が分かれば、どんなポケモンとだって話せるんだもんね」

 

 N「…」

 

 ポケモンと話せる人間を初めて見るため、フリードたちはNに興味津々になり、Nが伝説のポケモンとも話せると知ると、みんなはさらにNに興味が湧いたようだ。

 

 

 ブレイブアサギ号・甲板

 

 シンヤ「はぁ〜、食った食った」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 N「…シンヤ。彼らは、いつもあんな感じなのかい?」

 

 シンヤ「いつもって訳じゃないけど。賑やかな人達っていうのは確かだと思う」

 

 N「…そうなんだ」

 

 マードックが作った夕食を食べた後、シンヤはNと話をするため、一緒に船の甲板に来ていた。

 

 シンヤ「…ああいう賑やかなのが初めてだったから、どうすればいいのか分からなかったって顔だな」

 

 N「…僕がポケモンと話せるって知った後、大抵の人は、僕の事を気持ち悪いって言う人が多かったけど。君やリュウガや、彼らライジングボルテッカーズのように、僕がポケモンと話せることを凄いとか、羨ましいなんて言う人は初めてだったからね」

 

 シンヤ「そうか。……そう言えばさ、《バーベナ》さんと《ヘレナ》さんは元気にしてるのか?」

 

 N「うん。2人とも、今は《ホドモエシティ》に住んでいて、元プラズマ団である彼らと共に、傷ついたポケモン達の面倒を見ていてね。ポケモン達を元の持ち主であるトレーナーの所に帰したり、環境に帰す手伝いをしてるんだ」

 

 シンヤ「そうか」

 

 かつてシンヤは、プラズマ団の城でNとフルバトルをする前に、愛の女神《バーベナ》、平和の女神《ヘレナ》という、Nの幼少の頃を知る2人の女性と知り合い、2人からNの過去を聞いたことがあった。

 

 Nは幼少の頃からポケモンの言葉を理解することができる特殊能力を持っており、それを知ったNの両親が、それだけの理由でNを気味悪がり、Nを森に捨てたことを聞いたことがあった。だからこそNは、さっきフリードたちに、ポケモンと話せる自分が気持ち悪くないのかと聞いたのだ。

 

 Nは実の親に捨てられたが、ポケモンと話せる能力があったため、ポケモン達と森で楽しく暮らしていた。そんな生活が何日か続いていた時、幼かったNは、偶然森にやってきたゲーチスと出会い、そのままゲーチスに拾われると、プラズマ団の城でバーベナとヘレナの2人に面倒を見られながら、ゲーチスに教育されて育ったのだ。バーベナとヘレナも、元々はNと同じ孤児であり、Nの世話のためにゲーチスに集められ、幼いNの面倒を見ていたからこそ、Nの過去を知っていたのだ。

 

 …しかし、ゲーチスがNを拾って育てていたのには、ある理由があった。それは、自分の目的である、全ての人々からポケモンを奪い、自分達プラズマ団だけがポケモンを使えるようにするという野望で、Nはその野望を実現するために、ゲーチスに利用されていただけだったのだ。

 

 N「僕はずっと、人間とポケモンは共にいるべきではないと、そう父さんに教えられてきて、人間に傷つけられてきたポケモン達をたくさん見てきた。だから、ポケモンを人間から解放しようとした。…けど、それは間違いだったって、君のおかげで気づいたんだ」

 

 シンヤ「…」

 

 N「シンヤ。僕は君のおかげで、世界の広さを知ることができたよ」

 

 シンヤ「世界の広さ…」

 

 N「うん。君と父さんのバトルを見届けた後、僕はレシラム達と一緒に世界を冒険したんだ。世界はとても美しかったよ。いろんな考え方を持ってる人やたくさんのポケモン。それらが交差した、とても美しい世界だった」

 

 シンヤ「そうか。……なんか、雰囲気変わったな」

 

 N「えっ?」

 

 シンヤ「前はさ、ポケモンを閉じ込めるからって、モンスターボールを嫌ってたけど。さっきは、お前も普通にモンスターボールを使ってたから」

 

 N「フッ、確かに前の僕は、モンスターボールが嫌いだった。だけどモンスターボールは、ポケモンのように力のない僕達人間でも、ポケモンを便利に運べるアイテムだと分かったんだ」

 

 シンヤ「そうか」

 

 バーベナとヘレナに面倒を見られながら、幼少時代をプラズマ団の城で過ごしていたNは、人間に酷い目に合わされたポケモンと共同生活していたことで、ポケモンと人間は相いれない存在だとゲーチスに教えられてきた。もちろん、ゲーチスは自分の目的のためにNの能力を利用しようとしていただけだが、Nにとって、育ての親でもあるゲーチスの教えや言葉は絶対だった。だが、最後のシンヤとの戦いで自分が間違っていたことに気づいたNは、これから自分がどうしたいのかを考えるため、初めて故郷であるイッシュ地方を離れ、自分の手持ちポケモンのレシラム達と一緒に旅立って行った。その後のことはNにしか分からないが、ポケモンを閉じ込めるモンスターボールを素晴らしい物だと、Nがそう思えるようになったのは、旅の途中で出会った人間やポケモンの中に、そう思わせてくれる人やポケモンがいたのではないかと、シンヤはそう思っていた。

 

 シンヤ「…話は変わるけど、《ゲーチス》が脱獄したことをどこで知ったんだ?」

 

 N「ニュースで知ったんだ。父さんがどうやって脱獄したのかを調べているうちに、父さんの脱獄には、《エクスプローラーズ》という組織が関わっていることも知った」

 

 シンヤ「エクスプローラーズのことを知ってるのか?」

 

 N「一応、僕も元プラズマ団だからね。裏の世界のことを調べるのには慣れてるから」

 

 シンヤ「そうか」

 

 N「フフッ。さっきからそうかばかりだね」

 

 シンヤ「そうか。あっ、そうだな」

 

 N「フフッ」

 

 シンヤ「…あっ、そう言えばさ。俺達が地獄谷を登ってる時、ゾロアとゾロアークがオトシドリのいる所に道案内してくれたけど、あれはお前の指示だったのか?」

 

 N「ああ。崖の上にいた時、何か大きな音が下の方から聞こえてきたから、何かなと思って崖の下を覗いたら、地獄谷を登っている君たちを見つけて、カヌチャンが鉄板をオトシドリに奪われたところから見てたんだ」

 

 シンヤ「それでゾロアとゾロアークに、オトシドリがいる所まで案内を頼んだのか」

 

 N「ああ。…ところで、ダークストーンから目覚めたゼクロムは、元気にしてるのかい?」

 

 シンヤ「…ダークストーンから目覚めた後、俺と一緒に来ることになって、一度はゲットしたんだけど。その後、ゲーチスが操ってるキュレムに吸収されちまった」

 

 N「ぁ……すまない」

 

 シンヤ「別にお前が謝る必要はないだろ。ゼクロムを奪われたのは、俺がヘマしたからだし」

 

 シンヤはヘマしたからだと言うが、ゼクロムがキュレムに吸収されたのは、ゲーチスがキュレムにリコ達を攻撃するよう指示し、ゼクロムがキュレムの攻撃からリコ達を庇って隙を突かれたからなので、あの場合は仕方ないと言えるだろう。

 

 シンヤ「この旅を続けていれば、いずれまたゲーチスと出会うだろうし、その時にゼクロムを取り返すさ」

 

 N「そうか。……シンヤ、ピカチュウ」

 

 シンヤ「ん?」

 

 ピカチュウ「ピッ?」

 

 N「また君達に会えてよかったよ」

 

 シンヤ「…ああ。俺達もだ」

 

 ピカチュウ「ピィカッピカ!」

 

 ブレイブアサギ号・廊下

 

 シンヤ「Nと話し込んでたら、すっかり遅くなっちまったな」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 サザレ「あっ、シンヤ君、ピカチュウ」

 

 シンヤ「あっ、サザレさん」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 Nと1時間も甲板で話をしたシンヤは、明日のバサギリとのバトルのため、部屋に戻って休もうと廊下を歩いて進んでいると、廊下でサザレとバッタリ出会った。

 

 サザレ「シンヤ君、今日はお疲れ様」

 

 シンヤ「いえ。お疲れというほどでは」

 

 サザレ「ねぇ、シンヤ君。明日、ディアルガの写真を撮らせてもらってもいいかな?」

 

 シンヤ「ディアルガの写真を?」

 

 サザレ「うん。ディアルガを撮るなんて滅多にできないから。お願い!」

 

 シンヤ「いいですよ。サザレさんには、バサギリの情報を提供してもらいましたからね」

 

 サザレ「ホント?ありがとうシンヤ君!」

 

 シンヤ「そんなに喜ぶほどのことですか?」

 

 サザレ「だって、ディアルガはシンオウ地方で神と呼ばれてるポケモンだよ。出会うことなんて、一生に一度あるかないかだし」

 

 シンヤ「まあ、それはそうですけど」

 

 サザレの言う通り、ディアルガはシンオウ地方で神と呼ばれているポケモンであり、シンヤ達のいる世界とは異なる異次元の世界を行き来しているため、出会うことなど滅多にない。そのディアルガをゲットしているトレーナーが自分の目の前にいるのだから、ポケモンカメラマンとして、サザレはそのチャンスを逃したくないのだろう。

 

 サザレ「じゃあ、約束だよ」

 

 シンヤ「分かりました」

 

 サザレ「あっ、そうだ。良ければさ、どうやってディアルガと出会ったのか、その話を聞かせてよ」

 

 シンヤ「今からですか?」

 

 サザレ「うん」

 

 シンヤ「でも、サザレさんと2人っきりになるのは、まずいと思うんですけど」

 

 サザレ「どうして?私とシンヤ君、同じテントで一夜を明かしたことあるでしょ?」

 

 シンヤ「ッ⁉︎サザレさん!それ以上はちょっと!」

 

 サザレ「?」

 

 以前シンヤは、キタカミの里でサザレと出会った時、赫月のガチグマの写真を撮りたいからとサザレに頼まれて協力した時、夕方から真夜中になるまで、一緒のテントに入って休んでいた。そのうえ、サザレが赫月のガチグマの写真を撮ることに成功した後、一緒のテントで朝まで寝たことがあった。シンヤは外で寝るからとサザレに気を使ったが、写真を撮る協力を頼んだ相手にそれはできないと言われたので、結局シンヤはサザレと同じテントで一緒に寝たのだ。もちろん、それはサザレも了承したのだから悪いことではない。しかし、今シンヤはリコと付き合っている。サザレはシンヤとリコが付き合ってることを知らないが。もし、サザレと同じテントで一夜を明かしたことがリコの耳に入れば、リコの怒りをどれほど買うか容易に想像できてしまうため、シンヤとしては、あまり大事にしたくないのだ。

 

 シンヤ「…分かりました。そんな長話にもならないし、ディアルガと出会った話だけなら」

 

 サザレ「じゃ、私の部屋に行こっか」

 

 そう言うと、サザレはフリードから与えられた部屋に、シンヤとピカチュウを連れて行ったのだった。

 

 

 廊下の曲がり角

 

 ???「……」

 

 

 その後、サザレにディアルガと出会うことになった理由を話したシンヤは、ピカチュウと一緒に部屋に戻ると、明日のバサギリとのバトルのために早く休んだのだった。

 

 

 道中

 

 ドット「ハァ、ハァ」

 

 ミコ「ドット、大丈夫?」

 

 リュウガ「たまにはランニングでもしたらどうだ?自然と体力がつくぞ」

 

 ドット「僕は頭脳派だから、ランニングなんて必要ない」

 

 シンヤ(いや、頭脳派でも体力は必要だろ)

 

 ハデス達と戦かった次の日の昼頃。シンヤ達はバサギリに会うため、天狗山の滝のある場所を目指して進んでいた。以前はNが案内してくれなければ辿り着くことができなかったが、前にNが案内してくれた道をリコたちは覚えていたため、今回はすぐに滝のある場所に辿り着いた。

 

 天狗山・滝がある場所

 

 シンヤ「やっと着いたな」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 ミコ「でも、バサギリがいないみたいだけど」

 

 

 ザバァァン(滝の中から出てくる)

 

 ドンッ(岩の上に着地する)

 

 バサギリ「ギィィィリッ」

 

 

 リコ「バサギリ!」

 

 フリード「どうやら、俺たちが来るのを待っててくれたみたいだな」

 

 バサギリ「ギィィィリッ!」

 

 N「分かった」

 

 バサギリ「ギリッ」

 

 ザバァァン!(滝の中に入っていく)

 

 ロイ「えっ!?」

 

 シンヤたちが滝のある場所にやってくると、そこにバサギリの姿はなかったが、しばらくすると、滝の中からバサギリが現れた。しかし、バサギリはNに何かを言い残すと、滝の中に入って行ってしまった。

 

 リュウガ「また滝の中に行っちまったぞ…」

 

 N「彼は、ついてこいって言ったんだ」

 

 リュウガ「ついてこいって言ったって、滝の中に入ったらずぶ濡れになるぞ」

 

 N「滝の奥を見れば分かるよ」

 

 Nにそう言われると、リュウガは滝の近くに歩いていき、滝の奥の方を覗いて見た。すると、滝の奥に大きな鍾乳洞があるのを見つけたので、シンヤたちはバサギリの後を追って鍾乳洞を進み始めた。鍾乳洞を進んで行くと、バサギリが両手の斧でつけたと思われる傷痕が、あっちこっちにある岩につけられていた。

 

 

 鍾乳洞

 

 シンヤ「どの岩も傷だらけだな」

 

 N「それは、彼の頑張った証だよ」

 

 リュウガ「頑張った証?」

 

 N「彼は僕と出会う前からここにいて、ずっとここで自分を鍛えていたんだ。そんな時、偶然この里にやってきた僕と出会って、レシラムや他のポケモン達と何度もバトルをして、ドンドン強くなっていったんだ」

 

 リュウガ「お前のレシラムが、以前シンヤのゼクロムと戦った時より強くなってたのは、そういうことだったのか」

 

 サザレ「え!?ゼクロムって、レシラムと同じで、イッシュ地方の伝説のポケモンだよね?シンヤ君、ディアルガの他にも、そんなすごいポケモンを持ってたの?」

 

 シンヤ「ええ。けど、ゼクロムは今、俺の手元にいなくて」

 

 サザレ「そうなんだ」

 

 ミコ「あっ、そろそろ出口じゃない?」

 

 鍾乳洞の中を歩き続けてしばらくすると、出口と思われる光が見えてきた。その光に向かってまっすぐ歩いていくと、シンヤたちは外に出てきた。しかし、いきなり明るいところに出てきたため、日差しが眩しく、シンヤとリコは目を瞑ってしまう。少しずつ目を開けると、出てきた場所は竹林だった。

 

 

 竹林

 

 シンヤ「ここは、竹林か…」

 

 ピカチュウ「ピィカッ…」

 

 N「ああ。僕とバサギリが出会った場所だ。そして、ここは彼の修行する場所でもある」

 

 リュウガ「ここが!?」

 

 ロイ「バサギリの修行する場所…」

 

 鍾乳洞の出口を進んでシンヤたちがやってきた場所は竹林だった。Nが言うには、バサギリとはここで出会い、よくバトルの特訓をしていたようだ。

 

 バサギリ「ギィィィィリッ!」

 

 ザァァァァァン!

 

 リコ「バサギリ!」

 

 テラパゴス「パ〜ゴ!」

 

 シンヤたちが竹林にやってくると、バサギリはちょうど修行をしているようで、両手の斧で竹を切っていた。それにバサギリの足元をよく見てみると、バサギリが切った竹がたくさん転がっていた。

 

 バサギリ「ギリッ?」

 

 シンヤ「よっ。約束通り、バトルをしに来たぜ」

 

 バサギリ「バサッ!」

 

 竹を切って修行していたバサギリは、シンヤたちが来たことに気づくと、両手の斧を構えて、シンヤとリコの2人とバトルを始めようとした。

 

 リコ「ニャローテ」

 

 ニャローテ「ニャァッ!」

 

 シンヤ「俺はコイツだ。頼むぜ相棒!」

 

 ポーーン

 

 エンペルト「エンペェェェーールッ‼︎」

 

 ミコ「エンペルトで戦うんだ」

 

 リュウガ「なるほど。エンペルトはみず・はがねタイプ。むし・くさタイプのバサギリとは相性がいい」

 

 サザレ「なるほど!セオリーどおりってことか」

 

 

 シンヤ「リコ」

 

 リコ「うん。大丈夫だよ」

 

 昨日ブレイブアサギ号に戻ってきたすぐ後、シンヤとリコは、今日のバサギリとのバトルに備えていくつか作戦を立てていた。シンヤはヒスイ地方でバサギリと出会ったことがあるため、バサギリが使う技のいくつかは知っている。それを元に、シンヤとリコは自分がバサギリとのバトルで使うポケモンを決めた後、バサギリを攻略する戦略を練っていた。

 

 エンペルト「ペェェーールッ!」

 

 ニャローテ「ニャァーーッ!」

 

 リコ「……」

 

 エンペルトとニャローテがバトルをする体勢に入ると、いよいよバサギリとのバトルが始まろうとしていた。リコは前に一度だけ、シンヤとタッグを組んでバトルしたことがあるが、六英雄のような格上を相手にシンヤとタッグを組むのは初めてだったため、上手くバトルができるか不安なようだ。

 

 シンヤ「リコ、大丈夫だ」

 

 リコ「えっ?」

 

 シンヤ「いつも通り、お前のバトルをすればいいんだ」

 

 リコ「ぁ……うん!」

 

 

 観客席・リュウガたちの視点

 

 フリード「いよいよ始まるな」

 

 ドット「うん」

 

 ロイ「シンヤ!リコ!頑張れ!」

 

 アチゲータ「アゲアゲッ!」

 

 サザレ「バッチリ撮らせてもらうよ」

 

 リュウガ「N、いいのか?」

 

 N「なにがだい?」

 

 リュウガ「お前、ポケモンが傷つくからって、ポケモンバトルが嫌いだったじゃねぇか」

 

 N「…そうだね。確かに、僕はポケモンバトルが嫌いだった。けど、ポケモンバトルをすることで分かり合えることもあるって、君やシンヤから教わったから」

 

 リュウガ「…そうか」

 

 

 シンヤ「リコ、早速バトルを始めるぜ」

 

 リコ「うん!」

 

 シンヤ「エンペルト「ハイドロポンプ!」」

 

 リコ「ニャローテ!「マジカルリーフ!」」

 

 エンペルト「エェェーーーン、ペェーーーッ‼︎」

 

 ニャローテ「ニャァァロォォーーッ‼︎」

 

 バトルを始める準備ができると、エンペルトとニャローテが先に攻撃を仕掛けた。エンペルトが口から大量の水を発射すると、ニャローテは蕾からマジカルリーフを放った。エンペルトの発射した「ハイドロポンプ」と、ニャローテが放った「マジカルリーフ」が一つになると、木の葉を纏った大量の水がバサギリに向かっていくが、バサギリが両手の斧を振り上げて地面に叩きつけると、バサギリの目の前に岩の塊が出現し、エンペルトとニャローテの合体攻撃を防いだのだ。

 

 

 リコ「防がれた⁉︎」

 

 シンヤ「次だ!エンペルト!「ラスターカノン!」」

 

 リコ「ニャローテ!「でんこうせっか」から「アクロバット!」」

 

 エンペルト「ペェェェーーールゥゥッ‼︎」

 

 ニャローテ「ニャァロォッ‼︎」

 

 「ハイドロポンプ」と「マジカルリーフ」の合体攻撃が防がれると、エンペルトは「ラスターカノン」を放ち、ニャローテは「でんこうせっか」を使ってスピードを上げた後、「アクロバット」を発動し、「ラスターカノン」をサッカーボールのように蹴り飛ばした。ニャローテが蹴り飛ばしてスピードと威力の上がった「ラスターカノン」がそのままバサギリに直撃するかと思われたが、バサギリは「ラスターカノン」が自分に命中する瞬間に斧を振り下ろし、「ラスターカノン」を粉砕して粉々にした。

 

 

 観客席・リュウガたちの視点

 

 ミコ「あのバサギリ、すごい」

 

 リュウガ「ああ。パワーもスピードも桁違いだ」

 

 

 

 シンヤ「遠距離攻撃じゃ、大きなダメージを与えられないみたいだな」

 

 リコ「シンヤ、接近戦で戦おう」

 

 シンヤ「ああ。エンペルト!「アクアジェット!」」

 

 リコ「ニャローテ!「アクロバット!」」

 

 エンペルト「ペルッ!ペェェェーーールゥゥッ‼︎」

 

 ニャローテ「ニャァァーーロォッ‼︎」

 

 ダァァァァン!

 

 バサギリ「ギィィィリッ!?」

 

 遠距離からの攻撃を何度も防がれたシンヤとリコは、至近距離でバサギリと戦う作戦に変更し、技を発動したエンペルトとニャローテは、バサギリに同時に攻撃を仕掛けた。エンペルトとニャローテが突っ込んでくると、バサギリはエンペルトとニャローテが自分の間合いに入るタイミングを見極め、2人の攻撃が当たる瞬間に斧を振り下ろして反撃してきた、しかし、その攻撃が当たる瞬間、エンペルトが両手のエッジでバサギリの振り下ろした斧をブロックし、ニャローテが「アクロバット」を発動してバサギリを攻撃すると、初めてバサギリにダメージを与えることができた。

 

 バサギリ「ギリッ…」

 

 シンヤ「リコ!畳み掛けるぞ!」

 

 リコ「うん!」

 

 シンヤ「エンペルト!「アクアジェット!」」

 

 リコ「ニャローテ!「マジカルリーフ!」」

 

 エンペルト「ペルッ!ペェェェーーールゥゥッ‼︎」

 

 ニャローテ「ニャァァーーロォッ‼︎」

 

 バァァァァン!

 

 バサギリ「ギリィィィィッ!?」

 

 バサギリが体勢を崩すと、シンヤとリコは一気に勝負を決めに掛かり、「アクアジェット」を発動したエンペルトにニャローテが「マジカルリーフ」を放ち、体に水と木の葉を纏ったエンペルトがバサギリに突っ込むと、その攻撃がバサギリに直撃し、大きなダメージを与えることができた。

 

 リコ「やったぁ!」

 

 シンヤ「みずタイプの技はバサギリに効果抜群。今のはかなりのダメージのはずだ!」

 

 

 観客席・リュウガたちの視点

 

 ミコ「シンヤとリコ、息ピッタリね」

 

 リュウガ「ああ。シンヤに合わせてバトルするなんて、普通のヤツには出来っこないからな」

 

 フリード「ブレイブアサギ号に乗ってから、シンヤにバトルの特訓を何度もしてもらってたからな」

 

 ミコ「なるほど」

 

 リュウガ「それでかw」

 

 ロイ「リコ、凄い」

 

 ドット「うん。僕たちよりバトルが上手くなってるよ」

 

 最初はシンヤに合わせてバトルできるか不安だったリコだが、バサギリとのバトルが始まると、うまい具合にシンヤと連携が取れていて、バサギリと互角に戦えていた。それはエンペルトとニャローテも同じだった。ニャローテがバサギリに接近し、ギリギリのところでバサギリの攻撃を避けると、エンペルトが特殊攻撃でバサギリにダメージを与えていた。俊敏性の高いニャローテがバサギリを翻弄してエンペルトをアシストし、バサギリの隙をついたエンペルトが効果抜群の技を決めているので、2人がうまく連携してバトルしていることがよく分かる。

 

 シンヤ「リコ、その調子だ!」

 

 リコ「うん!」

 

 バサギリ「ッ…」

 

 

 

 

 

 

 バサギリの回想…

 

 

 リュウセイ「いくぞ!ルシアス!」

 

 ルシアス「ああ!」

 

 

 バサギリの回想が終わる。

 

 

 バサギリ「…」

 

 

 スチャ(シンヤがテラスタルオーブを構える)

 

 シンヤ「リコ!」

 

 リコ「うん!」

 

 スチャ(リコがテラスタルオーブを構える)

 

 シンヤ「エンペルト!限界を超越しろ!」

 

 リコ「ニャローテ!満開に輝いて!」

 

 シュッ‼︎(テラスタルオーブを同時に投げる)

 

 シンヤとリコは、バサギリとのバトルに決着をつけるため、テラスタルオーブを構えた。すると、テラスタルオーブにエネルギーがチャージされていき、エネルギーが満タンになると、エンペルトとニャローテに向かってテラスタルオーブを投げ飛ばした。2つのテラスタルオーブがエンペルトとニャローテの頭上でエネルギーを解放すると、六角形の角に棘がついた内部が空洞のクリスタルが現れ、エンペルトとニャローテの足場から無数の結晶石が出てくると、エンペルトとニャローテの身を包み込んだ。そして結晶石が弾け飛ぶと、全身がクリスタル化し、頭に噴水の王冠を被るエンペルトと、花束を模した王冠を被るニャローテがいた。

 

 (みずテラスタイプ)エンペルト「エェェーーーン、ペェェーーーッ‼︎」

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャァァァーーー、ロォォォーーーッ‼︎」

 

 ロイ「きた!」

 

 ドット「シンヤとリコのテラスタル!」

 

 リュウガ「だが、まだ問題は残ってる」

 

 ミコ「うん。バサギリは、まだあの技を使ってないからね」

 

 サザレ「あの技?」

 

 フリード「ああ。バサギリだけが使うことのできる大技だ」

 

 リュウガ「あれを使ってないってことは、バサギリもまだ本気じゃないってことだからな」

 

 

 シンヤとリコの視点

 

 リコ「シンヤ、ここからどうする?」

 

 シンヤ「普通なら、一気に攻めるって判断が正しい。でもバサギリには、ランドロス達を倒した、あの技がある。ただ正面から普通に突っ込んで、あの技を食らったりでもしたら、エンペルトもニャローテもかなりのダメージになる。そうなったら、恐らくバサギリに勝つのは不可能だろう」

 

 リコ「じゃあ、バサギリの隙をついて、後ろから大技で攻撃した方がいいね」

 

 シンヤ「いけるか?」

 

 リコ「もちろん!何度もシンヤに特訓してもらってるんだもん!私を信じて!」

 

 シンヤ「リコ……フッ、本当に強くなったな。じゃ、頼むぜ!」

 

 リコ「うん!」

 

 バサギリ「バギィィ‼︎」

 

 シンヤ「エンペルト!回転しながら「アクアジェット!」」

 

 リコ「ニャローテ!「マジカルリーフ!」」

 

 (みずテラスタイプ)エンペルト「ペェェェーーー、ルーーーゥゥッ‼︎」

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャァァァーーー、ロォォーーッ‼︎」

 

 エンペルトとニャローテがテラスタルすると、今まで動かなかったバサギリは両手の斧を構えると、エンペルトとニャローテに向かって走ってきた。それに対し、エンペルトは「アクアジェット」を発動し、ニャローテが発動した「マジカルリーフ」の木の葉を纏うと、回転しながらバサギリに突っ込んだ。普通ならさっきと同じで、「アクアジェット」と「マジカルリーフ」を合体させて攻撃しただけだが、この攻撃にはエンペルトの回転が合わさっているため、エンペルトが回転しながらバサギリに突っ込んでいくと、エンペルトが纏ったニャローテの「マジカルリーフ」の木の葉が吹き荒び、バサギリの視界を遮ると、エンペルトの攻撃がバサギリの腹に直撃し、バサギリがバランスを崩したタイミングを狙ったニャローテは、バサギリの後ろに回り込んで「マジカルリーフ」を放ち、ダメージを与えた。

 

 シンヤ「よし!今のはかなり大きなダメージだったはずだ!」

 

 リコ「うん!ニャローテ!その調子だよ!」

 

 

 カッ(目を鋭くする)

 

 

 バサギリ「ギィィィィ!バァァァァァァッ‼︎」

 

 

 ドォォォォォォン‼︎

 

 

 (みずテラスタイプ)エンペルト「ペェェェルッ!?」

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャァァッ!?」

 

 シンヤ「エンペルト!」

 

 リコ「ニャローテ!」

 

 エンペルトとニャローテが畳み掛けるようにバサギリに追撃したその時、バサギリは両手の斧を振り上げて力を溜め始めると、両手の斧を一気に振り下ろして地面に叩きつけた。すると、突然バサギリの周りに岩の塊が出現し、そこから小さな岩の塊がマシンガンのようにエンペルトとニャローテに放たれ、2人は大きなダメージを負ってしまった。

 

 リコ「今の技って⁉︎昨日バサギリが使った技だよね!?」

 

 シンヤ「ああ。今のは《がんせきアックス》っていう、バサギリの専用技だ」

 

 バサギリ「ギッリィィッ‼︎」

 

 シンヤ「また「がんせきアックス」か!」

 

 リコ「…ニャローテ!」

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャァァーーッ!」

 

 リコ「シンヤ、試したいことがあるの。手を貸して!」

 

 シンヤ「えっ?どうするつもりだ?」

 

 リコ「バサギリが「がんせきアックス」を使ったら、回転しながら「アクアジェット」を使って!」

 

 シンヤ「えっ!?…わ、分かった!」

 

 リコ「ニャローテ!エンペルトの横に移動して」

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャァァッ!」

 

 バサギリが使った「がんせきアックス」によって、エンペルトとニャローテは大きなダメージを受けてしまう。そして、バサギリは両手の斧を振り上げると、再びがんせきアックスを発動しようとした。すると、リコが試したいことがあると言い出したので、シンヤはリコの作戦に乗ることにして、バサギリが「がんせきアックス」を発動したら、エンペルトに「アクアジェット」を指示できるように準備した。

 

 

 観客席・リュウガたちの視点

 

 ミコ「エンペルトとニャローテが横に並んだ?」

 

 ロイ「リコ、どうするつもりなんだろ?」

 

 

 

 

 

 バサギリ「ギィィィィ!バァァァァァァッ‼︎」

 

 

 ドォォォォォォン‼︎

 

 

 ドット「「がんせきアックス」がきた!

 

 

 

 リコ「シンヤ!」

 

 シンヤ「ああ!エンペルト!回転しながら「アクアジェット!」」

 

 リコ「ニャローテも回転しながら「マジカルリーフ!」」

 

 (みずテラスタイプ)エンペルト「ペェェェーーー、ルーーーゥゥッ‼︎」

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャァァァーーー、ロォォォーーッ‼︎」

 

 

 ドガガガガガガッ‼︎

 

 

 バサギリ「ギリィィッ!?」

 

 観客席・リュウガたちの視点

 

 フリード「なっ!?」

 

 サザレ「がんせきアックス」を…」

 

 ロイ・ドット「「防いだ!?」」

 

 リュウガ「つか、今のって…」

 

 ミコ「うん。《カウンターシールド》だね」

 

 

 バサギリが「がんせきアックス」を発動し、再び小さな岩の塊が飛んでくると、エンペルトとニャローテは同時に回転し、「アクアジェット」と「マジカルリーフ」を発動した。すると、エンペルトは水の竜巻を、ニャローテは木の葉の竜巻を作り出し、水と木の葉の竜巻が一つになると、それが壁となって「がんせきアックス」を防いだのだ。

 

 

 シンヤ「リコ。お前、いつの間にカウンターシールドを?」

 

 リコ「えへへ。サンゴとのバトルでピカチュウのカウンターシールドを見た時、シンヤをビックリさせてたくて、ニャローテと特訓して覚えたんだ」

 

 リコが《カウンターシールド》を使うと、シンヤはとても驚いたが、以前サンゴとのバトルでピカチュウがカウンターシールドを使ったのを見たリコは、ニャローテの「マジカルリーフ」でも同じことができるのではないかと思い、テラスタル研修を受けている時、ニャローテと密かに特訓していたのだ。

 

 

 観客席・リュウガたちの視点

 

 ドット「すごい…」

 

 サザレ「うん。シンヤ君とリコ君、いいバトルしてるよ」

 

 フリード「ああ。まさか、「がんせきアックス」を防ぐとはな…」

 

 ロイ「うん。すごいよ、リコ」

 

 

 バサギリ「バサァァァ‼︎」

 

 シンヤ「フッ、そうこなくちゃな!」

 

 リコ「うん、まだバトルは終わってない!」

 

 バサギリ「ギィィィリッ!」ダッ

 

 (みずテラスタイプ)エンペルト「ペェェーールッ!」

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャァァッ‼︎」

 

 バッ(間に入る)

 

 バサギリ「ギリッ!?」

 

 (みずテラスタイプ)エンペルト「ペルッ⁉︎」

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャァッ⁉︎」

 

 N「…」

 

 シンヤ「お、おい…」

 

 リコ「N、さん…?」

 

 

 「がんせきアックス」を防がれて驚いたバサギリだったが、すぐに両手の斧を構えると、まだバトルは終わっていないという顔をして、エンペルトとニャローテに突っ込んできたので、エンペルトとニャローテはバサギリを迎撃しようとした。しかしその時、エンペルトたちのバトルを見ていたNが突然飛び出してきて、エンペルトたちの間に入ってきたのだ。Nが間に入ってくると、バトルをしていたエンペルト達は動きを止め、シンヤたちは黙ってNを見ていた。

 

 N「君たちのバトル、十分に見せてもらった。これ以上バトルをする必要はない。…バサギリ」

 

 バサギリ「ギリッ?」

 

 N「もう君にも分かってるはずだ。彼らが、自分の力を貸すに値する人間たちだということを」

 

 バサギリ「…」

 

 チラッ(シンヤとリコを見る)

 

 リコ「ぁ…」

 

 シンヤ「…」

 

 スッ(バサギリが目を閉じる)

 

 パチッ(閉じていた目を開ける)

 

 バサギリ「ギィィィリィ…」

 

 リコ「えっ?」

 

 シンヤ「ついて来いって言ってるんだろ」

 

 N「うん」

 

 ポケモンバトルが中断すると、シンヤたちはバサギリの後に続き、竹林の中を歩き始めた。しばらく竹林の中を歩き続けると、シンヤたちは見晴らしのいい場所にやってきた。そこは、キタカミの里の景色を一望できる場所で、目の前には、以前登ったことがある鬼ヶ山が見えていた。

 

 リコ「わぁ〜、すごくいい景色!」

 

 ミコ「うん!」

 

 サザレ「風景写真は専門外なんだけど、記念に撮っておこうかな」

 

 シンヤ「ここって、こんな場所があったのか」

 

 ピカチュウ「ピィカッァッ!」

 

 リュウガ「シンヤ、ここに来たのは初めてなのか?」

 

 シンヤ「ああ。前にキタカミの里に来た時、いろんなところを見て回ったけど、ここに来るのは初めてだな」

 

 N「…バサギリ」

 

 バサギリ「…ギリッ」コクッ

 

 N「シンヤ」

 

 シンヤ「んっ?」

 

 スッ(古のモンスターボール)

 

 シンヤ「あっ!」

 

 リコ「古のモンスターボール!」

 

 テラパゴス「パァーゴ!」

 

 バサギリ「バァァァァァァッ‼︎」

 

 テラパゴス「パゴォォォォォォッ‼︎」

 

 ピカァァァァン‼︎

 

 

 シンヤたちがキタカミの里の景色を見て楽しんでいると、Nがある物をシンヤたちに見せた。それは、バサギリが入っていたと思われる、古のモンスターボールだった。すると、急にバサギリが雄叫びを上げ、口からエネルギーを凝縮させた球体を作り上げてシンヤたちを包み込むと、周りの景色の空間が変わり、どこかの村の光景に変わっていた。そこには、縄で体を縛られて動けないバサギリと、鎌や鍬を手に持っている村人たちがいて、バサギリと村人の間には、3人の男女が立っていた。

 

 村人1『そこをどけ!』

 

 リュウセイ『これだけやれば、アンタらの気も済んだろ?』

 

 村人2『そいつがそんな目に合ってるのは、そいつのせいだろ!』

 

 ルシアス『悪いのは、バサギリだけじゃないだろ』

 

 リュウセイ『《アリア》、バサギリを自由にしてやれ』

 

 アリア『うん』

 

 スッ(ナイフで縄を切る)

 

 バサギリ『ギリィィィ…』

 

 アリア『はい、これであなたは自由よ』

 

 

 シンヤ「あ、あれって…」

 

 リコ「ルシアスと、リュウセイ…だよね?」

 

 フリード「ああ。だが、あの金髪の女性は、俺たちも初めて見るな」

 

 ロイ「うん」

 

 

 サザレ「えっ?えっ?」

 

 ミコ「何、コレ!?」

 

 リュウガ「いったい、どうなってんだ!?」

 

 ドット「もしかしてこれって、バサギリの過去の記憶!?」

 

 N「ぁ…」

 

 シンヤたちが目にしている光景。それは、バサギリの過去の記憶であり、ラクアを目指して旅をしているリュウセイやルシアスが、バサギリと出会った頃のものだった。どうしてバサギリが拘束されているのか、その理由までは分からないが、村人が鎌や鍬でバサギリを傷つけようとしてるのを、リュウセイやルシアスが止めていて、《アリア》という金髪の髪をしている女性が、リュウセイから渡されたナイフを使って、バサギリの体を拘束している縄を解いたのだ。

 

 

 ルシアス『これからは好きに生きろ。だが、もう悪さはするなよ?』

 

 スッ(斧を構える)

 

 バサギリ『ギゥリィィィッ‼︎』

 

 アリア『ッ!』

 

 リュウセイ『アリア‼︎』

 

 

 ポーーン

 

 

 ザァァァン(斧で切られる)

 

 ラプラス『プラァァ…!』

 

 ルシアス『ラプラス!』

 

 Nとサザレとリュウガとミコ以外の全員「「「あああっ!!!」」」

 

 N・サザレ・リュウガ・ミコ「「「「えっ?」」」」

 

 シンヤ「ラプラスの体についてた、あの傷痕。どうやってついたのか、ずっと気になってたけど…」

 

 リコ「あの傷!バサギリがつけた傷だったんだ!」

 

 体の自由を縛っていた縄が解かれると、突然バサギリが斧を振り上げてアリアを襲ってきたので、リュウセイは身を挺してアリアを守ろうとした。その時、ルシアスのベルトのケースに入っている古のモンスターボールからラプラスが飛び出し、アリアを庇ってバサギリの攻撃を受けたのだ。それを見たシンヤたちは、六英雄のラプラスの体についている傷痕が、バサギリにつけられたものだと分かった。

 

 

 アリア『ラプラス、大丈夫?』

 

 ラプラス『プラァァァ…』

 

 リュウセイ『お前!助けてくれたアリアを攻撃するなんて、いったいどういうつもりだ!』

 

 ルシアス『リュウセイ!バサギリを攻撃してはダメだ!』

 

 リュウセイ『ッ⁉︎けどルシアス、こいつは!』

 

 ルシアス『バサギリは、さっきまで体を縛られ、村の人たちに傷つけられていたんだ』

 

 リュウセイ『ッ…けどよ!』

 

 アリア『リュウセイ』

 

 リュウセイ『アリア』

 

 アリア『ルシアスの言う通りよ。あなただって、今のバサギリの気持ちが分かるはずでしょ?』

 

 リュウセイ『ぁ……』

 

 アリア『私は大丈夫だから』

 

 リュウセイ『…分かったよ。お前らがいいなら』

 

 ルシアス『ありがとう、リュウセイ……バサギリ』

 

 バサギリ『…』

 

 ルシアス『お前さえ良ければ、俺たちと来ないか?』

 

 バサギリ『ギリッ!?』

 

 ルシアス『俺たちは、ポケモンたちの楽園と言われている、《ラクア》という場所を目指して旅をしている。そこがどんな所で、どこにあるのかも分からない。だから、俺たちがラクアに辿り着くために、お前の力を貸してくれないか?」

 

 バサギリ『…』

 

 ルシアス『お前のその力を、今度は誰かを傷つけるためじゃなく、俺たち仲間のために使ってほしい』

 

 スチャ(古のモンスターボールを前に出す)

 

 バサギリ『…』

 

 チラッ(リュウセイたちを見る)

 

 アリア『うん』

 

 ラプラス『ホーーッ』

 

 リュウセイ『…俺たちと一緒に行くのか、それを決めるのはお前だ』

 

 バサギリ『…』

 

 村の人たちに傷つけられたバサギリは、人間を信用できずにいたが、目の前にいるルシアス。そして、リュウセイやアリアを見て、彼らなら信じられると思い、ルシアスの目の前にやってくると、ルシアスが出した古のモンスターボールにタッチし、自分からボールの中に入ると、ルシアスのポケモンとなった。

 

 ルシアス『バサギリ、俺たちと共に、ラクアに行こう』

 

 アリア『おめでとう、ルシアス』

 

 リュウセイ『新しい仲間が増えたな』

 

 ルシアス『ああ。さぁ、ラクアを目指す冒険を始めよう。行こう、リスタル!』

 

 シュン(景色が元に戻る)

 

 テラパゴス「パーゴ!パァーゴ!」

 

 サザレ「今のって、いったい、何だったの?」

 

 シンヤ「何度か同じものを見たことあるんですけど。多分さっきのは、バサギリの過去の映像だと思います」

 

 ロイ「あれって、バサギリがルシアスのポケモンになった時の記憶なのかな?」

 

 リコ「うん。きっとそうだよ」

 

 ドット「ルシアス。最後に誰かの名前を呼んでたよね?確か、リスタルって」

 

 リコ「うん。誰なんだろう?」

 

 シンヤ「リスタルって人のことも気になるけど、さっきリュウセイやルシアスと一緒にいた、アリアっていう人も気になる」

 

 フリード「ああ。リュウセイやルシアスのことはダイアナさんから聞いたが、アリアやリスタルの名は、俺たちも初めて聞くからな」

 

 ミコ「…ねぇ、一つ、気になったことがあるんだけど…」

 

 ロイ「どうしたの?ミコ」

 

 ミコ「さっきの、リュウセイとルシアスって人、シンヤとリコに似てなかった?」

 

 リコ「え?」

 

 シンヤ「俺とリコに?」

 

 リュウガ「俺もそう思った。リュウセイはシンヤに、ルシアスはリコに似てたぞ」

 

 ミコ「うん。髪の色とか雰囲気とか、顔がちょっと似てたよ」

 

 シンヤ「他人の空似ってだけだろ?…それより。何でNが古のモンスターボールを持ってるんだ?」

 

 N「このボールは、バサギリから預かったんだ」

 

 シンヤ「バサギリから?」

 

 N「初めてバサギリとここで出会った時は、警戒されていたけど、何度もバトルをしているうちに、彼と仲良くなってね。それで、僕なら信じられるからって、時が来るまで、ずっと僕がこれを預かってたんだ。彼がずっとここで自分を鍛えて修行していたのも、ルシアスのように、自分が信じることのできる仲間と出会った時、その仲間のために力を使うって、そう言っていたからね」

 

 シンヤ「そうだったのか」

 

 リュウガ「それでお前は、バサギリのその思いを叶えるために、ここでバサギリとバトルの特訓をしてたんだな?」

 

 N「ああ。…シンヤ」

 

 シンヤ「ん?」

 

 スッ(古のモンスターボールをシンヤの前に出す)

 

 N「バサギリは君たちを認めた。だから、これは君たちが持つべきだ」

 

 リコ「ッ!それって!」

 

 シンヤ「バサギリは、俺たちと一緒に来てくれるってことか?」

 

 N「うん。バサギリ、これを彼らに託していいんだよね?」

 

 バサギリ「ギィィリィッ」コクッ

 

 N「彼も納得してくれたようだ」

 

 リコ「でも、いいんですか?Nさんとバサギリは友達なのに?」

 

 N「バサギリが君たちと一緒に行くことを決めたなら、僕はバサギリの気持ちを大切にしたい。それに、たとえどんなに離れていても、僕とバサギリは友達だ」

 

 バサギリ「ギィィリッ」コクッ

 

 リコ「ぁ……分かりました。Nさん、ありがとうございます!」

 

 N「うん。バサギリを、僕の友達をよろしく」

 

 リコ「はい!」

 

 パシャ(カメラのシャッターの音)

 

 シンヤ・リコ「「えっ?」」

 

 サザレ「記念に一枚撮らせてもらったよ」

 

 こうして、六英雄のバサギリはシンヤたちと一緒にラクアを目指す冒険に行くことになり、Nがずっと大事に持っていた古のモンスターボールは、リコに託された。

 

 シンヤ「ところでN、お前はこれからどうするんだ?」

 

 N「僕は……父さんを探すよ」

 

 シンヤ「ゲーチスを?」

 

 N「うん」

 

 リコ・ロイ・ドット・フリード「「「「えっ!?」」」」

 

 フリード「Nの父親って、ゲーチスなのか?」

 

 N「ええ。義理の父ですけど…」

 

 フリード「ッ…そうか」

 

 Nの父親がゲーチスだと知ると、リコたちは驚いていたが、Nにゲーチスが義理の父親だと言われると、Nには深い事情があるのだと悟ったフリードは何も聞かないことにした。

 

 シンヤ「…なぁN。お前さえ良ければ、俺たちと一緒に来ないか?」

 

 N「えっ?」

 

 リコ「シンヤ?」

 

 シンヤ「ゲーチスは、今エクスプローラーズにいるんだから、俺たちと一緒に旅をすれば、奴に会う確率は高い。それに、奴らはお前のレシラムを狙ってるんだ。1人で戦うより、俺たちと一緒に戦った方がいいだろ?」

 

 N「…」

 

 シンヤ「…フリード」

 

 フリード「ん?」

 

 シンヤ「Nをブレイブアサギ号に乗せちゃダメか?」

 

 フリード「Nが良いなら、俺は構わないぞ。モリーたちも文句はないだろうし」

 

 シンヤ「どうする?N」

 

 N「……本当にいいんですか?僕も船に乗って?」

 

 フリード「ああ。歓迎するぜ。ポケモンと話せるお前には興味があるしな」

 

 シンヤ(そっちが本音か…)

 

 リュウガ(正直だな〜、おい)

 

 ゲーチスを探すまでの間だけ、ブレイブアサギ号の新たなメンバーにNが加わることになり、シンヤたちはブレイブアサギ号に戻るため、一度スイリョクタウンを目指すのだった。

 

 

 キタカミの里・スイリョクタウン

 

 シンヤ「えっ?もう行くんですか?」

 

 サザレ「うん。バサギリの写真を撮るって目的は果たせたから」

 

 ブレイブアサギ号に戻るため、スイリョクタウンにやってきたシンヤたちだったが、サザレは目的だったバサギリの写真を撮れたからと、次の冒険に向けて旅立とうとしていた。

 

 サザレ「みんな、今日は本当にありがとう。おかげでいろんな写真も撮れたし、今まで経験したことのない、すごい冒険をさせてもらったよ。君たちのおかげで、もっといろんな人やポケモンと出会って、たくさんの写真を撮りたいって気持ちが湧いてきたんだ。思い立ったら吉日、タイムイズマネー、それが私の冒険なんだ!」

 

 ドット「あの、サザレさん!」

 

 シンヤ「ディアルガやバサギリの写真なんですけど…」

 

 サザレ「分かってる。ディアルガやバサギリ、それに、テラパゴスの写真はネットに公開しないから安心して」

 

 シンヤ「ありがとうございます」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 サザレ「ううん。お礼を言うのは私の方。シンヤ君、君には本当にお世話になったよ。ありがとね」

 

 シンヤ「あっ、いえ」

 

 チュッ(頬にキスする音)

 

 リュウガ・ミコ・フリード・ロイ・ドット「「「「「あっ」」」」」

 

 シンヤ「……へっ!?」

 

 サザレ「フフッ///昨日のシンヤ君、とってもかっこよかったよ///」

 

 シンヤ「ぁ…ぁ…///」

 

 夕日のせいなのか分からないが、シンヤの頬にキスをしたサザレの頬は赤く染まっており、シンヤの頬も赤く染まっていた。

 

 サザレ「じゃあシンヤ君、みんな、またね!」

 

 ガーディ(ヒスイの姿)「ガウッ!」

 

 そう言い残すと、サザレはガーディと一緒に、まだ撮ったことのないポケモンの写真を撮るため、スイリョクタウンを走って旅立って行った。

 

 シンヤ「ぁ…ぁ…」

 

 リュウガ「シンヤ、ちゃんと意識あるか?」

 

 シンヤ「ぉ、ぉぅ…」

 

 リュウガ「それにしても、あんな美人と一晩明かすなんて、やるなお前」

 

 シンヤ「ッ!?お前、なんでそれを!?」

 

 リュウガ「昨日、廊下でお前とサザレさんが話してたのを偶然聞いたんだよ。それに、去り際にキスされるなんて。いやぁ〜、モテモテだね、シンヤ君」

 

 シンヤ「そ、そんなんじゃねぇ!///」

 

 ドカッ!

 

 シンヤ「痛っ!?」

 

 リュウガがシンヤを冷やかしていると、突然背中に強い痛みが走ったのを感じたシンヤは、自分の背中を殴った相手を確認するため、後ろを振り向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミコ「…」

 

 シンヤ「ミコ、お前!いきなり何すん…」

 

 スッ(ある方向に指を向ける)

 

 シンヤ「ん?………ハッ‼︎∑(゚Д゚)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 リコ「…」

 

 フリード・ロイ・ドット「「「(´﹏`)………」」」

 

 N「?」

 

 シンヤの背中を殴った犯人はミコだった。しかし、ミコはなにやら険しい顔をしていて、ある方向に指を向けたので、シンヤはミコが指を差した方を確認した。ミコが指を差した方向には、体からドス黒いをオーラを発生させているリコがいて、そのリコの隣には、顔が青ざめて震えているフリードとロイとドットがいた。

 

 ちなみに、Nは状況を理解しておらず、何故リコが怒っているのだろうと思っていた。

 

 

 シンヤ「リ、リコ…(゚д゚lll)」

 

 リコ「……サザレさんと一晩明かしたってどういう事?」

 

 シンヤに女性の知り合いが多いのはリコも知っているが、自分の恋人でもあるシンヤがサザレのような美女にキスをされ、同じテントで一晩明かしたとことを知ったのだから、今のリコの心中は穏やかではないだろう。

 

 シンヤ「い、いや、い、あの、あ、その…」

 

 体からドス黒いオーラを放っているリコを見たシンヤは、こんなに怖いものを見るのは、子供の頃にお化け屋敷で見た、お化け以来だと考えていた。しかし、今のリコの姿は、お化け屋敷で見たお化け以上に恐ろしく、シンヤはうまく声を絞り出すことができなくなっていて、ピカチュウはシンヤの肩から飛び降りると、ミコの足元に避難していた。

 

 リコ「……シンヤ」

 

 シンヤ「は、はい!」

 

 口から声を絞り出せなくなっていたシンヤだったが、リコの冷たい声を聞くと、さっきまで声を絞り出せなかったのが嘘のように、大きな声を出すことができた。

 

 シンヤ「え、えっと。前に、赫月のガチグマの写真を撮りたいからって、サザレさんに頼まれたことは話したよな?それで、赫月のガチグマが活動する真夜中になるまで、一緒のテントで休んでて、真夜中に赫月のガチグマの写真を撮ることに成功した後、一緒のテントで朝まで寝たことがあったんだ。俺は外で寝袋に入って寝るからって断ったけど、写真を撮る協力を頼んだのは自分だからってサザレさんが言うから、一緒のテントで寝ただけ…だ」

 

 

 リコ「……そう」

 

 シンヤからそう説明されると、リコは1人でスイリョクタウンの道を歩いていき、先にブレイブアサギ号に戻っていった。

 

 シンヤ「……はぁ〜〜〜」

 

 リコが先に歩いて行くと、緊張が解けたシンヤはその場で腰を下ろし、大きなため息をついた。

 

 リュウガ「あれは完全に怒ってるな…」

 

 シンヤ「お前のせいだろ!」

 

 リュウガ「えっ?俺のせいなのか?」

 

 シンヤ「当たり前だ‼︎お前が火に油を注ぐようなことをしたんだろうが‼︎あ〜〜〜、どうすんだよ!こうなったリコを宥めるのは大変なんだぞ!」

 

 リュウガ「お前がリコに刺されたら、俺が骨は拾ってやる。だから安心して、あの世に逝ってこい」

 

 シンヤ「なんで俺がリコに刺される前提なんだ!?Σ(゚д゚)」

 

 ミコ「…シンヤ」

 

 シンヤ「ん?」

 

 ミコ「さっきのはリュウガが悪いけど、リコを裏切っちゃダメだよ。あんないい子、滅多に出会える訳じゃないんだから」

 

 シンヤ「…分かってるよ」

 

 リュウガ「しかし、リコって清楚で可憐ってイメージだったけど、怒るとあんなにも怖くなるんだな」

 

 ミコ「恋する女は怖いのよ」

 

 N「?」

 

 ブレイブアサギ号・シンヤの部屋

 

 シンヤ「はぁ〜〜、疲れたぁ〜〜」

 

 ブレイブアサギ号に戻ってきた後、六英雄のバサギリが一緒に来ることになったことと、Nが一緒に冒険することを伝えると、オリオたちはとても喜び、マードックはご馳走を作ると張り切っていた。しかし、シンヤはそんな楽しい気分になれそうもなく、ベッドで横になっていた。

 

 ロトン!

 

 シンヤ「ん?メールか」

 

 ベッドで横になっていると、シンヤのスマホロトムにリコからメールが届いた。内容は、『今から私の部屋に来て』書かれていたので、そのメールを見たシンヤはベッドから飛び降りると、 ピカチュウを残してすぐにリコの部屋に向かった。

 

 リコの部屋の前

 

 シンヤ「フゥーー、ハァ〜〜」

 

 コンコンコン

 

 リコの部屋の前にやってくると、シンヤは深呼吸し、リコの部屋の扉を叩いてノックした。

 

 リコ『誰?』

 

 シンヤ「俺だ」

 

 リコ『…開いてるから入って』

 

 ガチャ(扉を開ける)

 

 シンヤ「失礼しま…!」

 

 バタンッ(急いで扉を閉める音)

 

 リコ「えっ!?Σ(゚д゚)」

 

 部屋に入っていいというリコの許可を得ると、シンヤは扉を開けてリコの部屋に入ろうとした。すると、何故かシンヤは扉を急いで閉めてしまう。シンヤがいきなり扉を閉めたので、リコは理由が分からず困惑していた。

 

 リコ『ちょっ!?何で入らないの?』

 

 シンヤ「……リコ、シャツなんかの洗濯物を部屋に干すのはいいんだが。できれば《下着》は片付けといてくれないかな…」

 

 リコ「…えっ?」

 

 チラッ(部屋に干してある洗濯物を見る)

 

 リコ「……わぁ〜〜〜〜〜〜〜っ!?//////」

 

 テラパゴス「パゴッ!?」

 

 シンヤにそう言われたリコは、自分の部屋に干してある洗濯物を見ると、そこにバスタオルやパジャマ。そして、ブラやパンツなどの下着が干してあるのが分かると大声で奇声を上げてしまい、部屋で眠っていたテラパゴスはビックリして飛び起きてしまった。

 

 リコ「ご、ごめん‼︎///すぐに片付けるから!ちょっと待ってて!」

 

 シンヤ「……///」

 

 …そして数分後、リコは部屋に干してあった洗濯物を片付けると、改めてシンヤを部屋に招き入れ、自分が腰かけているベッドの隣をぽんぽん叩いたので、シンヤは拳一個分の間を空けてリコの隣に座った。ちなみに、リコの奇声で飛び起きたテラパゴスは、再びリコの部屋で眠っていた。

 

 リコ「あの、その、ごめんなさい///」

 

 リコは羞恥心から顔を真っ赤にしていて、さっきまで怒っていたことなどすっかり忘れており、シンヤが隣に座るとすぐに謝った。

 

 シンヤ「あ、いや」

 

 いつもならここで、可愛い下着を入ってるんだなと、冗談混じりにリコを揶揄うとこだが、さっきのサザレの件があるため、シンヤはリコを揶揄うことはしなかった。

 

 シンヤ「…サザレさんとは、何もないから」

 

 リコ「えっ?」

 

 シンヤ「その、同じテントで一晩明かしたのは本当だけど、別々の寝袋で朝まで寝て、その後スイリョクタウンに戻ってお別れしたってだけで、それだけだから。ピカチュウも一緒だったし」

 

 リコ「そ、そっか。…なら、いいの」

 

 シンヤ「その、不安にさせて、悪かった」

 

 リコ「えっ?」

 

 シンヤ「だって、さっきリコが怒ってたのは、俺がサザレさんと同じテントで一晩明かしたことについてなんだろ?」

 

 リコ「…それもあるけど、その…私とキスしても…サザレさんにほっぺたをキスされた時みたいに、シンヤが顔を赤くしたことないから、ただ…サザレさんに嫉妬してた…だけ」

 

 シンヤ「し……プッε-(^_^)」

 

 リコ「ッ!笑うなんてひどいよ!」

 

 シンヤ「わりぃ、嫉妬するリコが可愛くてさ」

 

 リコ「う〜〜っ、シンヤが色んな人にモテるのが悪いんだもん…」

 

 シンヤ「俺から見れば、リコだってたくさんの男にモテる美少女だぞ」

 

 リコ「ふぇ⁉︎////」

 

 シンヤ「まずは、アクアマリンのような綺麗な瞳だろ。光が反射すると、宝石みたいにすごく綺麗だし」

 

 リコ「ほ、宝石⁉︎///」

 

 シンヤ「それに、キスしたくなるような薄桃色の唇に、誰にでも優しいとこだろ。顔は美少女だから普通に可愛いし。肌はシミが一つもない色白で、雪みたいに白くて綺麗だし。バランスのとれた体型をしてるだろ。そんなリコが街を歩けば、リコの美しさに振り返らない男はいないと思う。えーと、あと、それから…」

 

 リコ「も、もういいよ!///」(うぅ〜〜っ、聞いてるこっちが恥ずかしくなる///)

 

 シンヤが自分を揶揄うためにそう言うことを言ってるのだとリコは思っているようだが、シンヤにはどれも本当のことだった。自覚がないようだが、リコは年頃の女の子にしては、容姿がよく、内面も優しいので男にはかなりモテる方だろう。しかもここだけの話、リコはオレンジアカデミーとブルーベリー学園の一部の男子生徒から人気があり、シンヤと付き合ってるということを彼らが知らなければ、彼らから告白されていた可能性もあるだろう。

 

 シンヤ「…リコ、ありがとな」

 

 リコ「えっ?急にどうしたの?」

 

 シンヤ「いや、リコは、俺には勿体無いくらい、優しくて可愛い女の子だなって思ってさ」

 

 リコ「えっ!?///」

 

 シンヤ「前に海に行った後、モリーやオリオから、俺の視線が2人に向かないようにって、リコが水着を選んだことを聞いたんだ」

 

 リコ「ぁ…」

 

 シンヤ「それと、自分で作ったケーキを俺に食べてほしいからって、マードックにケーキの作り方を教えてもらったことも聞いた」

 

 リコ「そ、そうなんだ…」

 

 シンヤ「それに、リコは俺が体調の悪い時に、よく膝枕をしてくれるだろ。だから、リコって俺に結構尽くしてくれてるんだよなって」

 

 リコ「それは…シンヤが好きだから///シンヤが私にしてほしいことで、私に出来ることなら…なんだってしてあげたいから///」

 

 シンヤ「フッ、ありがとな。でも、俺も自分に出来ることでリコに喜んでもらえることなら、リコになんでもしたいかな」

 

 リコ「…じゃあ、今日の夜、シンヤの部屋で一緒に寝てもいい?」

 

 シンヤ「ああ、いいよ」

 

 シンヤがそう言ってリコの頭を優しく撫でると、リコはとても喜んでいて、後ろ髪のはねているところがイワンコの尻尾のようにぶんぶん揺れていた。その後、2人はマードックから夕食ができたと連絡が来るまで、何気ない普段の会話を続けており、2人が一緒にミーティングルームに入ってきたの見たフリード達は、シンヤとリコの様子を見て大丈夫だと悟り、マードックが作ったご馳走を楽しく食べたのだった。そしてその夜、シンヤはリコと約束した通り、今日は自分の部屋でリコと一緒に寝たのだった。

 

 ブレイブアサギ号・シンヤの部屋

 

 シンヤ「う〜ん」

 

 パチッ(目を開ける)

 

 スッ(スマホロトムを取る)

 

 シンヤ「8時か…」

 

 昨日のバサギリとのバトルから翌朝、自分の部屋にあるベッドでリコと一緒に寝ていたシンヤは先に目を覚ますと、自分のスマホロトムを手に取り、今の時間を確認した。

 

 リコ「う〜ん。zzz〜。zzz〜(ー ー;)」

 

 シンヤ「フフッ」

 

 自分の隣で寝息を立てているリコを見ると、シンヤは優しくリコの頭を撫で、リコとピカチュウを起こさないようにベッドを出ると、顔を洗うために洗面所に向かった。

 

 ワーワー!

 

 シンヤ「ん?」

 

 廊下を歩いて洗面所に向かっていると、キッチンから賑やかな声が聞こえてきたので、気になったシンヤはキッチンに向かった。

 

 ブレイブアサギ号・キッチン

 

 ガチャ(キッチンの扉を開ける)

 

 マードック「おっ、シンヤ。おはよう」

 

 シンヤ「おはよう。朝から賑やかだな」

 

 マードック「奥の方を見てみろよ。賑やか理由が分かるぞ」

 

 シンヤ「えっ?……あっ!」

 

 フリード「おっ、シンヤ。起きたのか?」

 

 マードックにそう言われると、シンヤはキッチンの奥の方を見た。そこには、2人の男女がフリードと一緒に座っており、コーヒーを飲みながら楽しく話していたのだが、女性は前に見たことのある服装をしていたので、正体がすぐに分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダイアナ「久しぶりだね、シンヤ」

 

 シンヤ「ダイアナさん!」

 

 女性の正体は、リコの祖母のダイアナだった。そして、ダイアナがシンヤの名を呼ぶと、ダイアナの目の前に座っている黒い上着を着ている男は静かに立ち上がると、ゆっくりシンヤの方に振り向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンイチ「よっ、久しぶりだな」

 

 シンヤ「と、父さん!?な、なんでここに!?」

 

 

 To be continued

 

 

 次回予告

 

 久しぶりに自分の父親であるシンイチと、祖母であるダイアナと再会すると、シンヤとリコは喜んでいた。どうやら、シンイチとダイアナは昔からの知り合いのようで、パルデア地方で偶然出会い、このキタカミの里にやってきたようだ。そして、エクスプローラーズの動向を探っていたダイアナが、ルシアスに関する情報を掴んだのが、それを話す前に、リコとポケモンバトルがしたいと言い出したので、リコはダイアナとバトルをするとこになった。

 

 次回「100年前の真実、エクスプローラーズ誕生の秘密!」

 





 日曜日か月曜日に投稿するつもりだったのですが、思った以上に長くなってしまったため、投稿が遅れてしまいました。誠に申し訳ありません!
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。