ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 亡くなった人に会えるという言い伝えがあるてらす池にやってきたシンヤたちは、かつてリュウセイやルシアスと一緒に旅をしたリスタルに会いたいと強く願った。すると、てらす池から赤ちゃんを抱いているリスタルが現れた。そしてその後、シンヤがシンオウ地方でゲットしたディアルガがテレパシーを使えることやリスタルの知り合いであったことが判明した。そして、シンヤがゲットしたディアルガは、かつてリュウセイのポケモンだったことがディアルガの口から語られ、リュウセイはシンヤの、ルシアスはリコの曽祖父であることが明らかになった。


第81話『託された未来、この世界の輝き(前編)』

 

 キタカミの里・てらす池

 

 

 シンヤ「リュウセイが…」

 

 リコ「ルシアスが…」

 

 シンヤ「俺の…」

 

 リコ「私の…」

 

 シンヤ・リコ「「ひいひいお爺ちゃん…」」

 

 リスタル「ええ」

 

 モリー「確かに、リスタルさんの言ってることは筋が通ってる。前にリコが首にかけてたペンダントは、今リスタルさんが首にかけてるペンダントと同じ物だった。それだけでも、リコとダイアナさんがルシアスの子孫だって確かな証拠になると思う」

 

 オリオ「うん。リスタルさんがダイアナさんのお母さんを産んで、ダイアナさんが結婚してリコのお母さんを産んで、リコのお母さんが結婚してリコを産んだんだから。ルシアスとリスタルさんは、リコの先祖ってことだもんね」

 

 リュウガ「そして、リュウセイとアリアの子どものソラさんが結婚して産まれたのがシンイチさんの親ってことだから、リュウセイとアリアの2人がシンヤとシンイチさんの先祖ってことになる」

 

 ミコ「バサギリの過去の記憶を見た時、シンヤはリュウセイと、リコはルシアスと似てるとは思ってたけど。まさか、シンヤとリコが2人の子孫だったなんてね」

 

 シンヤ「…みんな、リュウセイやルシアスが俺とリコの先祖だって聞いて驚くのは分かるけど、一度落ち着いてくれ」

 

 リュウセイとルシアスがシンヤとリコの先祖だと分かると、その事に薄々勘づいていたリュウガとミコを除いた全員は、その意外すぎる事実に驚いていた。それはシンヤとリコも同じだったが、このままでは話が先に進まないと思ったシンヤは、一旦みんなに落ち着くように言い出した。すると、フリードたちはこのてらす池に来た目的を思い出し、すぐに冷静さを取り戻した。

 

 シンヤ「リコ」

 

 リコ「うん。リスタルさん、教えてください。リュウセイやルシアス、エクスプローラーズやテラパゴス。そして、あなたたちが目指したラクアのことを」

 

 リスタル「ッ!」

 

 ディアルガ『話してやったらどうだ?』

 

 リスタル「ディアルガ」

 

 ディアルガ『少なくとも、リュウセイやルシアスの子孫であるシンヤとリコには、私たちの知ってる全てを知る権利がある。そうだろ?』

 

 リスタル「……そうね」

 

 シンヤ・リコ「「ッ!」」

 

 リスタル「でも、まずは順を追って説明していくわ」

 

 シンヤ「順?」

 

 ディアルガ『そうだ。…リュウセイとルシアス。この2人の出会いから、全てが始まったと言ってもいい。だからまずは、2人がどうやって出会う事になったのか、何故アリアたちと一緒に冒険することになったのか、エクスプローラーズはどうやって生まれたのか、まずはそこまでの流れを私とリスタルから説明する。そうしなければ、話のあらすじが分からんだろ?』

 

 ディアルガの言ってることは正論だった。物語や小説や漫画など書いてある本もそうだが、物語の始まる1巻を飛ばして2巻や3巻を読んでも話のあらすじなど全く分かるわけがない。

 

 リスタル「…リュウセイとルシアス」

 

 シンヤ「ッ…」

 

 リコ「ぁ…」

 

 リスタル「この2人が出会ったからこそ、私たちのラクアを目指す冒険が始まった。そして、今から私とディアルガがあなた達に話すことは、リュウセイがルシアスと出会う前の話よ」

 

 

 今まで全てが謎に包まれていた、リュウセイ、ルシアス、テラパゴス、エクスプローラーズ。そして、ルシアスたちが目指した、ポケモンたちの楽園と呼ばれる《ラクア》。その全ての謎が、今ディアルガとリスタルから語られ始めた。

 

 

 時は遡ること100年前…

 

 

 バトルフィールド

 

 

 リュウセイ「ゲッコウガ!「みずしゅりけん!」」

 

 ゲッコウガ「コォォォウガッ!」

 

 

 バァァァァン!

 

 

 バクガメス「ガァァァメッ⁉︎」

 

 バタンッ

 

 バグガメス「ガァァ…メッ…」目がぐるぐる

 

 リュウセイ「よっしゃ!俺たちの勝ちだ!」

 

 ゲッコウガ「コォォウガッ!」

 

 ここは、竜の民と呼ばれている民族が、多くのドラゴンタイプのポケモン達と交流している町。しかし、町にはドラゴンタイプ以外のポケモンも多くいた。そして、町のバトルフィールドでバトルしているのが、時の英雄と呼ばれている《リュウセイ》。そして、リュウセイのポケモンのゲッコウガだ。

 

 バグガメスのトレーナー「クソッ、また俺の負けか」

 

 観客席

 

 竜の民の子供「やっぱり、リュウセイとゲッコウガ強いや」

 

 竜の民の子供2「うん」

 

 スッ(観客席の中から出てくる)

 

 ???「あっ、兄さん!リュウセイがいたよ!」

 

 ???「やっぱりここでバトルしてたか!」

 

 リュウセイ「ん?」

 

 ゲッコウガとバグガメスのバトルが終わると、バトルを見ていた観客の後ろから茶髪の2人の男女がリュウセイに声をかけてきた。

 

 リュウセイ「《ギンガ》!《フィアナ》!」

 

 フィアナ「も〜う!今日の昼には《神殿》に来てくれって、お爺様から言われてたでしょ!」

 

 リュウセイ「あぁ〜、そう言えば昨日、長老からそんなことを言われたな。…けど、俺は竜の民じゃないから神殿に入れないし」

 

 リュウセイに声をかけてきた2人の人物は、ギンガとフィアナという兄妹で、長老と呼ばれている、竜の民の中で1番偉い人を祖父に持つ人物だ。そして、フィアナの言う神殿とは、町の1番奥に建てられている大きな建物で、長老が入っていいと言われた竜の民の者だけが入ることを許されている神聖な場所なのだ。

 

 ギンガ「爺ちゃんが入っていいと言ってるんだから、お前も入っていいんだ。ほら、さっさと行くぞ」

 

 リュウセイ「分かったよ。じゃあみんな、またな」

 ゲッコウガ「コウガッ」

 

 竜の民の子供たち「「「またね!」」」

 

 リュウセイは子供たちにまたなと言い残すと、ギンガとフィアナとゲッコウガと一緒に長老がいる神殿に向かった。

 

 

 神殿の中

 

 リュウセイ「長老、遅くなってすいません」

 

 長老「おっ、やっと来たか」

 

 町の中を走って数分後、リュウセイはギンガたちと一緒に神殿にやってきた。リュウセイたちが神殿の中に入ると、手に杖を持って立っている白髪のお爺さんがいた。この人物こそ、ギンガとフィアナの祖父なのだ。

 

 リュウセイ「それで、長老。俺をここに呼んだ理由は?」

 

 長老「うむ。実は明日、隣の国に住んでいる《ハルモニア》という貴族がやってくることになってな」

 

 リュウセイ「ハルモニア?」

 

 長老「ああ」

 

 リュウセイが長老から詳しい話を聞くと、どうやら長老は、隣の国に住んでいる《ハルモニア》という貴族の王と昔からの知り合いのようで、そのハルモニアの王が病で一月前に倒れ、5日前に亡くなったという連絡を聞いたらしい。そして、亡くなった王の息子が王位継承を受けて新たなハルモニアの王になったから、是非挨拶をしたいと言ってきたらしく、明日この町にハルモニアの民が来ることになったらしい。

 

 長老「いつもはこの神殿の外に見張りが3人ほどいるのじゃが、ハルモニアの民がこの町に滞在している明日だけ、お前にも神殿の警護を頼みたくてな」

 

 リュウセイ「何故、神殿の警護をする必要があるのですか?ここはただの建物でしょう?」

 

 長老「…そろそろお前には話しておいた方がよさそうだな。付いてきなさい」

 

 リュウセイ「?」

 

 長老にそう言われると、リュウセイは長老の後を付いていき、ギンガとフィアナも一緒に神殿の奥に歩いて行った。

 

 神殿の奥

 

 長老「ここじゃ」

 

 リュウセイ「え?……あっ!」

 

 長老に案内されて神殿の奥に辿り着くと、そこには2つの台座が置いてあり、一つの台座の上には、ダイヤモンドの塊のような藍色の光り輝く大きな珠と、大きな真珠のようなピンク色の光り輝く大きな珠が置いてあった。そしてもう一つの台座の上には、同じ形をした黒い石と白い石が置いてあり、それぞれの石には同じところに3つの凹みがあった。

 

 リュウセイ「長老、これは何ですか?」

 

 長老「右の台座の上に置いてあるのが、“だいこんごうだま”と“だいしらたま”という宝玉。そして、左の台座の上に置いてあるのが、イッシュ地方の伝説のドラゴンポケモンでもある、ゼクロムとレシラムの肉体が滅びて変化した姿と言われている、“ダークストーン”と“ライトストーン”という石じゃ」

 

 リュウセイ「ッ!じゃあこの石が、ゼクロムとレシラムそのものってことですか⁉︎」

 

 長老「ああ」

 

 リュウセイ「…そうか、長老から神殿に入る許可が必要な理由は、この4つが神殿にあるからか」

 

 長老「そうじゃ。この2つの宝玉と2つの石があることを知った人間たちは、これを手に入れようと何度もこの町に足を踏み入れてきた。そのたびに、竜の民たちはポケモンたちの力を借りて、これを奪おうとしてきた者たちを追い返してきた」

 

 リュウセイ「そんなことが…あの、長老と先代のハルモニアの王は知り合いだったんでしょう?だったら、先代の息子にも会ったことがあるんじゃないですか?」

 

 長老「無論、息子に会ったことはある」

 

 リュウセイ「だったら、神殿の警護はいらないんじゃないですか?先代の王の息子が来るだけなのに」

 

 長老「いや、神殿の警護は必要じゃ」

 

 リュウセイ「何故?」

 

 長老「問題は先代の息子が来るからなんじゃよ。先代のハルモニアの王は優しいヤツでな、民からも好かれて、争いをこのまない穏健派だった。しかし、息子の方は…なんというか…」

 

 ギンガ「とんでもない奴なんだよ」

 

 フィアナ「うん。王の息子ってだけで威張りちらして、なにをしても許されるって思ってるの」

 

 リュウセイ「そ、そうか」

 

 ギンガたちからそう言われると、先代のハルモニアの王の息子がどんな人物なのか察したリュウセイは、先代のハルモニアの王の息子がこの町にいる間、神殿の警護は絶対必要なことだと理解したようだ。

 

 リュウセイ「でも、どうしてダークストーンやライトストーン、だいこんごうだまやだいしらたまがこの町にあるんですか?」

 

 長老「この町には、ある昔話があってな」

 

 シンヤ「昔話?」

 

 長老「ああ。ワシたち竜の民に語り継がれてきた話で、どこまでが本当の話なのか、それは誰にも分からんがな」

 

 長老はそう言うと、リュウセイにこの町の昔話を話し始めた。

 

 はるか昔、緑豊かなこの町に住んでいた人間たちが、自分たちを竜の民と名乗るずっと大昔、この町でポケモンたちと仲良く共存して暮らしていると、突然この町に邪悪な力を持つ魔物が現れた。町は魔物によって滅びかけ、空は闇に包まれようとしていた。命運がここに尽きたかと思われたその時、闇に包まれた空から光が差し込むと同時に、ディアルガとパルキア、ゼクロムとレシラムを従えている1人の旅人がどこからともなく現れ、この町を守るために魔物と戦い始めた。魔物との戦いの中でゼクロムとレシラムは倒れ、2体はそれぞれ黒い石と白い石になってしまった。すると、旅人は2つの宝玉の力を使ってディアルガとパルキアを真の姿に覚醒させ、覚醒したディアルガとパルキアの力によって邪悪な魔物は消え去り、町は平和を取り戻した。そして、この町を救ってくれた旅人は勇者として称えられ、いつしか《時の英雄》と呼ばれるようになり、この町で平和に暮らすようになった。

 

 長老「そして、助けられた町の人間たちは、時の英雄やディアルガたちが魔物と戦ってくれたことを忘れないように、感謝の気持ちを込めて、町にこの神殿を作ったと言われていて、自分たちを竜の民だと名乗り始めたのじゃ」

 

 リュウセイ「へぇ〜、この町にそんな話があったのか」

 

 ギンガ「本当かどうかは分からないけどな」

 

 フィアナ「でも、ここに神殿が建てられてて、ダークストーンやライトストーンがあるってことは、その昔話は本当のことだったんじゃないかな?」

 

 リュウセイ「じゃあ、このダークストーンやライトストーンは、時の英雄って呼ばれてた人の物ってことか?」

 

 長老「ああ。そう言われておる。彼が亡くなった後、彼のポケモンだったディアルガとパルキアはこの町を去ったが、2つの石と宝玉はこの神殿に保管することに決まってな。ゼクロムとレシラムが目覚めるその時まで、ワシら竜の民たちは、この4つを守っていこうと決めたらしい」

 

 リュウセイ「なるほど」

 

 長老「おっ、そろそろ夜じゃな。じゃあリュウセイよ。明日、神殿の警護をよろしくな」

 

 リュウセイ「分かりました」

 

 長老たちからこの町の昔話を聞いたリュウセイは、先ほど長老から頼まれた神殿の警護を快く引き受けると、ゲッコウガと一緒に長老から与えられた家に帰って行った。

 

 フィアナ「ねぇ、リュウセイがこの町にやってきて、もうどれくらい経つ?」

 

 ギンガ「半年は経つな」

 

 長老「そうか。あれから半年も経つか…」

 

 

 半年前、リュウセイがこの町に来た日…

 

 

 森の中

 

 リュウセイ「う〜ん、こりゃあ…完っ壁に、道に迷ったな(・_・٥)」

 

 ゲッコウガ「コウガッ(-_-٥)」

 

 竜の民が住んでいる町に来る前、リュウセイはゲッコウガと一緒に世界を歩いて冒険していた。その旅の途中、リュウセイはどこかの森の中で道に迷っていた。

 

 リュウセイ「仕方ない、コイツに乗って森から…」

 

 「お母さん!お母さん!」

 

 リュウセイ「えっ?」

 

 森の中で迷ってしまったリュウセイは、一つのモンスターボールを取り出して手に取ると、そのポケモンに乗って森から脱出しようとした。すると、どこからか女の子の泣き声が聞こえてきたので、リュウセイとゲッコウガは女の子の泣き声が聞こえてきた方に向かって走って行った。

 

 リュウセイ「ッ!あれは!」

 

 ゲッコウガ「コウガッ!」

 

 グラエナx3「「「グゥゥゥラエナーッ!」」」

 

 倒れている女の人「ううっ…」

 

 女の子「お母さん!しっかりして!(涙)」

 

 

 リュウセイとゲッコウガが女の子の鳴き声が聞こえてきた場所にやってくると、そこには3匹のグラエナと2人の親子がいて、3匹のグラエナは親子を逃さないように周りを囲んでいた。

 

 

 母親「あなただけでも逃げて!」

 

 女の子「やだ!お母さんと一緒にいる!(涙)」

 

 グラエナx3「「「ガァァァッ!」」」

 

 母親・女の子「「ッ!」」

 

 リュウセイ「ゲッコウガ!」

 

 ゲッコウガ「コウガッ!コォォォウガッ‼︎」

 

 バァァァァン‼︎

 

 グラエナx3「「「グララララァッ!?」」」

 

 3匹のグラエナが親子に襲いかかった瞬間、ゲッコウガは「みずしゅりけん」を発動し、三つの水の手裏剣を3匹のグラエナに向かって投げつけた。

 

 ゲッコウガ「コォォウガッ‼︎」

 

 ゲッコウガの攻撃を喰らったグラエナたちは地面に倒れたが、すぐに立ち上がると、目の前に現れたゲッコウガに勝てないことを悟り、逃げるようにその場を去って行った。

 

 リュウセイ「大丈夫ですか?」

 

 母親「え…ええ。おかけで助かりました」

 

 女の子「あ、ありがとう。助けてくれて」

 

 リュウセイ「どういたしまして」

 

 ゲッコウガ「コウガッ」

 

 リュウセイ「ところで、どうしてグラエナに襲われてたんですか?」

 

 母親「それが、この子と一緒に薬草を探しに森にやってきたら、さっきのグラエナたちに襲われてしまって」

 

 リュウセイ「そうでしたか……あの〜、この森の出口とかご存知ですか?俺たち、道に迷ってしまって…」

 

 母親「でしたら、私たちが住んでいる町がこの近くにあるので、そこまで一緒に行きませんか?助けてもらったお礼がしたいので」

 

 リュウセイ「いや、別にお礼とかは…」

 

 グウウウウッ〜(リュウセイの腹の虫の音)

 

 リュウセイ「あっ…」

 

 女の子「お兄ちゃん、お腹空いてるの?」

 

 リュウセイ「…実は、昨日からなにも食べてないんだ。どこかの町で食料を調達しようと思ったんだけど、気づいたらこの森の中に入ってて、道に迷っちゃってさ」

 

 女の子「だったら、一緒に私たちのお家に行こうよ!お母さんの料理、すごく美味しいんだよ!」

 

 リュウセイ「ぁ…」

 

 母親「この子もこう言ってますし、一緒に行きませんか?ちゃんと助けてもらったお礼がしたいので」

 

 お礼が目当てという訳ではないが、さっきグラエナたちに襲われたことを考えると、町に行くまでは自分がこの親子を守った方がいいだろうとリュウセイは考えていた。なにより、さすがにこれ以上空腹を我慢できそうにないので、リュウセイは親子の誘いを受けることにした。

 

 リュウセイ「じゃあ、折角だからお願いします」

 

 母親「では、行きま…」

 

 ズキッ!

 

 母親「ッ⁉︎」

 

 女の子「お母さん!」

 

 母親「大丈夫だよ…」

 

 リュウセイが食事の誘いを受けると、母親はリュウセイを町に案内しようと立ち上がろうとした。するとその時、母親は足に強い痛みが流れてきたのを感じたので、思わず両手で右足を押さえると、そのまま地面に座り込んでしまう。

 

 リュウセイ「すいません、ちょっと失礼します」

 

 グラエナたちに襲われた時に右足を怪我をしたのだろうと思ったリュウセイは、母親の履いている靴と靴下を脱がして右足を確認した。よく調べて見てみると、グラエナの攻撃を受けた形跡や傷跡などはなかったが、右足首が青くなっていた。

 

 母親「さっきのグラエナたちからこの子を守ろうとしたら、足首を捻ってしまって」

 

 リュウセイ「……」

 

 スッ(右手を翳す)

 

 母親「え?」

 

 リュウセイ「今からあなたの足を治しますので、動かずにジッとしててください」

 

 大きな傷はしてないようだが、このまま森でジッとしていれば、さっきのグラエナや森にいるポケモンたちに襲われる可能性があるため、リュウセイは母親の足を治すために自分の右手を母親の右足首に翳した。

 

 リュウセイ「逆巻け時よ、我が想いのままに」

 

 ピカァァァン!

 

 リュウセイが右手を翳しながらそう言うと、母親の右足首が突然光り出した。その光景に母親と女の子は驚いていて、数秒後に光が消えると、さっきまで青くなっていた母親の右足首が真っ白になっていた。

 

 リュウセイ「もう足は治ってるはずですから、一回立ってみてください」

 

 母親「え?…は、はい」

 

 スッ(立ち上がる)

 

 母親「あれ?痛みがなくなってる」

 

 女の子「すごーーい!お兄ちゃん魔法使いみたい!」

 

 母親「重ね重ねありがとうございます。でも、今のはいったい?」

 

 リュウセイ「あっ、え〜っと、今のは、俺の家に代々伝わってきた、《時を操る》力と呼ばれているものらしいんですが、俺も母から使い方を教わっただけで、詳しいことは知らなくて」

 

 母親「そう…なんですか」…(もしかして、今のは…)

 

 リュウセイが起こした不思議な現象を見ると、母親はなにか思い当たることがあったようだが、それは後で考えることにして、先にリュウセイを町に案内した。そして、森の中を歩いて数分後、町に通じる大きな門を通ると、リュウセイは周りが山や緑に囲まれている大きな町に辿り着いた。

 

 母親「ここが、私たち《竜の民》が住んでいる町です」

 

 リュウセイ「竜の民?」

 

 母親「はい」

 

 バッ(屋根の上に現れる)

 

 ???「おい貴様、何者だ?」

 

 リュウセイ「ん?」

 

 森で助けた母親に案内されてリュウセイがやってきた町は、竜の民という民族が暮らしている町だった。町の中には人やポケモンがたくさんいて、みんな楽しそうな顔をしていた。そして、母親がリュウセイに手料理をご馳走しようと家に案内しようとした時、町の屋根の上に1人の男が現れてリュウセイに声をかけてきた。

 

 ???「竜の民の者ではないな。まさか貴様、神殿の宝を狙ってる《ラセツ》の手の者か!」

 

 リュウセイ「?」

 

 ラセツというのが誰かは分からないが、目の前の男の話を聞いていたリュウセイは、自分が神殿の宝を狙っているラセツっていうヤツの仲間だと勘違いされているということをすぐに理解した。

 

 リュウセイ「違う違う。俺はただの旅人で、偶然この町に寄っただけだ」

 

 ???「くだらない嘘をつくな!」

 

 リュウセイ「いや、嘘ではないんだが…」

 

 リュウセイはこの町に来た理由を話したが、目の前にいる男は自分の話を信じようとしないので、リュウセイはどうすればいいか悩んでいた。すると…

 

 女の子「あっ、お兄ちゃん!」

 

 ???「えっ?……ナナ!母さんまで!」

 

 リュウセイ「ん?母さん?」

 

 ゲッコウガ「コォウガ?」

 

 リュウセイと一緒に町にやってきた女の子が屋根の上にいる男をお兄ちゃんと呼ぶと、リュウセイを睨んでいた男は、リュウセイから少し離れた所に2人の親子がいることに気づくと、女の子のことをナナと呼び、女の子の母親を母さんと呼ぶと、屋根から降りて2人の目の前に駆け寄った。

 

 ???「母さん、ナナ。いつ戻ってきたんだ?」

 

 ナナ「さっきだよ」

 

 ???「そうか。森で人間やポケモンに襲われなかったか?」

 

 母親「薬草を探してる途中にグラエナに襲われたけど、この人とゲッコウガが助けてくれたから大丈夫」

 

 ???「……えっ?どういうことだ?」

 

 母親「実は…」

 

 数分後…

 

 ???「すまなかった‼︎」

 

 リュウセイを睨んでいた男は、母親と妹から森でグラエナに襲われていたところをリュウセイに助けてもらったということを教えてもらうと、自分が勘違いをしていたことに気づき、土下座をして何度もリュウセイに謝っていた。

 

 リュウセイ「もういいから、頭を上げてくれ」

 

 ???「いや、それでは俺の気が済まん!母さんと妹を救ってくれた恩人を、よりにもよって《ラセツ》の手の者などと」

 

 リュウセイ「もういいって、それより、ラセツって誰…」

 

 グウウウウッ〜(リュウセイの腹の虫の音)

 

 リュウセイ「あっ…」

 

 母親「フフフ。とりあえず、先に私たちの家に来てください。約束通り、手料理をご馳走します」

 

 いろいろ気になることがあるが、この町に来た目的を思い出したリュウセイは、もう空腹を我慢できそうにないので、先に手料理をご馳走してもらうことにした。そして、ギンガたちが住んでいる家に到着すると、ギンガとナナの母親がたくさんの料理を作ってテーブルに運んできてくれたので、リュウセイとゲッコウガはテーブルに運ばれてきた料理を残すことなく全て完食した。

 

 

 ギンガの家の中

 

 リュウセイ「はぁ、食った食った。腹一杯」

 

 ゲッコウガ「コウガッ」

 

 ???「すげぇ食いっぷりだな」

 

 リュウセイ「昨日から何も食べてないからな」

 

 ナナ「お母さんの料理、すごく美味しかったでしょ?」

 

 リュウセイ「ああ。とても美味しかったです」

 

 母親「ご満足していただけましたか?」

 

 リュウセイ「ええ」

 

 ギンガ「そういや、まだちゃんと自己紹介してなかったな。俺は《ギンガ》。そっちは妹のナナ」

 

 ティア「私はギンガとナナの母親で、ティアと言います」

 

 リュウセイ「俺はリュウセイと言います。…ところで、ラセツってヤツのことを聞きたい…」

 

 

 ドォォォォォン!

 

 

 リュウセイ・ティア「「⁉︎」」

 

 ナナ「うわっ⁉︎」

 

 ギンガ「な、何だ⁉︎」

 

 リュウセイがギンガにラセツという人物のことを聞こうとすると、外から謎の爆発音が聞こえてきたので、リュウセイたちは扉を開けて外に飛び出した。そこでリュウセイたちが見たのは、青い鎧を着ている人たちが町の人やポケモン達を誘導している姿だった。

 

 鎧を着ている人「こっちだ!」

 

 鎧を着てる人2「早く逃げろ!」

 

 リュウセイ「これは…」

 

 ギンガ「いったい、何があったんだ?」

 

 リュウセイ「おい、向こうから煙が上がってるぞ!」

 

 ギンガ「ッ⁉︎あそこは、神殿のある場所だ!」

 

 鎧を着ている人3「あっ、ギンガ様!」

 

 鎧を着ている人2「大変です!ラセツが神殿の中にある宝を奪おうと、群勢で攻めてきました!」

 

 ギンガ「何⁉︎」

 

 鎧を着ている人1「今、長老とフィアナ様が宝を守ろうと、ラセツたちと戦っています!」

 

 ギンガ「ッ!フィアナも一緒に戦ってるのか⁉︎」

 

 鎧を着ている人3「はい!自分と長老がラセツたちを足止めするから、私たちには町の人を守ってほしいと」

 

 鎧を着ている人たちが切羽詰まった様子でギンガにそう説明すると、ギンガは血相を変えて神殿の方に走って行った。

 

 リュウセイ「しょうがねぇ。ゲッコウガ、俺たちも行くぞ」

 

 ゲッコウガ「コォォウガッ!」

 

 ラセツがどういう奴なのかは知らないが、こんな大きな町に群勢で攻めてきたということは余程やばい奴なのだろうと思ったリュウセイは、ゲッコウガと一緒にギンガの後を追いかけて行った。

 

 

 神殿の目の前

 

 フィアナ「ううっ…」

 

 ドレディア「ディ…ア…」

 

 長老「クッ…」

 

 ジジーロン「ジィ…ロ…」

 

 ラセツ「さっさと宝を渡せば、こんな目にあわずに済んだものを」

 

 ギャラドス「ギャアァァァァァァッ‼︎」

 

 サザンドラ「サザァァーッ‼︎」

 

 リュウセイたちが急いで神殿に向かっている頃、神殿の目の前では、長老とフィアナが神殿の中にある宝を守ろうとラセツと戦っていたのだが、フィアナの手持ちポケモンのドレディアと長老の手持ちポケモンのジジーロンは、ラセツの手持ちポケモンのギャラドスとサザンドラに苦戦していた。

 

 ラセツの部下「ラセツ様!早くやっちゃってください!」

 

 長老「ハァ、ハァ…」

 

 ラセツ「テメェら、これが最後のチャンスだ。そこをどけ」

 

 長老「ハァ、ハァ…断る!」

 

 ラセツ「ッ!」

 

 フィアナ「アンタたちなんかに、神殿の宝は絶対に渡さない!」

 

 ラセツ「…そうか…やれ」

 

 ギャラドス「ギャアァァァァァァッ‼︎」

 

 サザンドラ「サザァァーーーッ‼︎」

 

 フィアナ「うっ!」

 

 長老「クッ!」

 

 バッ(突然現れる)

 

 ゲッコウガ「コォォウガッ‼︎」

 

 長老・フィアナ・ラセツ「「「ッ!」」」

 

 ギャラドスとサザンドラが「かえんほうしゃ」で攻撃してくると、2人の目の前にリュウセイのゲッコウガが現れた。そして、ゲッコウガは「みずしゅりけん」を発動すると、ギャラドスとサザンドラが放った「かえんほうしゃ」に「みずしゅりけん」を投げ飛ばして相殺した。

 

 ゲッコウガ「コォォウガッ」

 

 ラセツ「ほぅ、俺のサザンドラとギャラドスの攻撃を防ぐとはな」

 

 フィアナ「…お爺様、このポケモンは?」

 

 長老「ゲッコウガじゃ」…(しかし、このゲッコウガは?)

 

 リュウセイのゲッコウガによって助けられた長老は、本来この町にいないはずのゲッコウガがいる事に驚き、誰のポケモンなのかと考えていた。すると、町の屋根の上からゲッコウガのトレーナーであるリュウセイと、長老の孫であるギンガが長老とフィアナの前に飛び降りてきた。

 

 ギンガ「フィアナ!爺ちゃん!」

 

 フィアナ「兄さん!」

 

 長老「ん?…お主は?」

 

 リュウセイ「ああ、リュウセイと言います」

 

 長老「…もしかして、そのゲッコウガ、お主のポケモンなのか?」

 

 リュウセイ「はい」

 

 長老「そうか、おかげで助かった」

 

 フィアナ「ありがとう」

 

 長老とフィアナにお礼を言われると、リュウセイはいえいえと返事を返して後ろに振り向いた。するとそこには、白い鎧を着ている20人の男たちと、黒い鎧を着ている赤髪の男がいた。

 

 リュウセイ「お前か、神殿の宝を狙ってる、ラセツって悪党は?」

 

 ラセツ「だとしたら?」

 

 リュウセイ「さっきギンガから聞いたんだけど。お前、珍しい宝やポケモンに目がなく、それが誰の物であっても関係なしに強引に奪い取り、奪った物やポケモンを高値で相手に売っているらしいな」

 

 ラセツ「だから何なんだ?テメェには関係ない話だろう?痛い目に合いたくなかったら引っ込んでろ」

 

 リュウセイ「…」

 

 スッ(旧式のモンスターボールを取り出す)

 

 リュウセイ「一応聞くが、神殿の宝を諦めるつもりは?」

 

 ラセツ「はっ?目の前に宝があるのに諦める訳ねぇだろ?」

 

 リュウセイ「……そうか」

 

 ブンッ(空中にモンスターボールを投げる)

 

 ポーーン

 

 ディアルガ「ディアァァァァァッ‼︎」

 

 リュウセイ以外の全員「「「ッ⁉︎」」」

 

 リュウセイはポケットから一つのボールを取り出すと、ラセツに宝を諦めるつもりがあるのかと聞いた。しかし、ラセツが宝を諦める気はないと言うと、リュウセイはボールを空中に投げた。そのボールから出てきたのは、ヒスイ地方で時を司る神と呼ばれている《ディアルガ》だった。

 

 ラセツ「…ハ…ハハハ…まさか、こんな大物に出会えるとはな!俺たちはついてるぜ!野郎ども!神殿の宝もディアルガも両方いただくぞ!」

 

 ラセツの部下たち「「「おぉぉぉぉっ‼︎」」」

 

 ディアルガ「ディアァァァァッ‼︎」

 

 バァァァァン

 

 ラセツ・ラセツの部下たち「「「うわぁぁぁぁぁ〜〜〜っ⁉︎」」」

 

 ギャラドス「ギャァァァァッ⁉︎」

 サザンドラ「サザァァァッ⁉︎」

 

 ディアルガが現れると、長老とギンガとフィアナの3人は、リュウセイがディアルガをゲットしていることに驚き、ディアルガの神々しい姿に目を奪われていた。しかし、ラセツとラセツの部下たちはディアルガを金儲けの道具としか見ておらず、リュウセイのディアルガを手に入れようと全員で突っ込んできた。すると、ディアルガは「りゅうのはどう」を使ってラセツたちを攻撃した。

 

 ラセツ「…ぅ…ぅ…」

 

 ラセツの部下たち「「「ぁ…ぁ……」」」

 

 ギャラドス「ギャァァ…ァァ…」(目がぐるぐる)

 

 サザンドラ「サ…ザァ…」(目がぐるぐる)

 

 リュウセイ「…ディアルガ、少しやりすぎだ」

 

 ディアルガ「…」

 

 リュウセイ「まあいいか。それより、先にこの人たちの手当てと、町の修復をしないとな。俺がこの人たちの手当てをするから、お前は町の修復を頼む」

 

 ディアルガ「ディアァァァァッ!」

 

 スッ(右手を翳す)

 

 リュウセイ「逆巻け時よ、我が想いのままに」

 

 ピカァァァン!

 

 ディアルガの「りゅうのはどう」を至近距離から喰らったラセツたちは、凄い勢いで後ろに吹き飛ばされてしまい、全員意識を失って倒れていた。あれならしばらく起き上がってこないだろうと思ったリュウセイは、長老やポケモンたちの手当てと町の修復を先にする事にして、フィアナたちの目の前にやってきた。そして、森でティアの足を直したように右手を翳しながら言葉をつぶやくと、長老とフィアナ、ドレディアとジジーロンの傷があるところが光り始めた。光が収まると、長老やフィアナたちの傷が綺麗に治っていた。長老たちの治療が終わると、ディアルガの胸部の中心にある青いダイヤモンドのような宝珠が光り始め、尾の付け根から広がる扇状の甲殻が大きくなると、ディアルガは大きな声で雄叫びを上げた。すると、ラセツたちによって壊された家や町が壊される前の状態に戻り始めた。その不思議な光景を見た長老たちは、あまりの出来事に開いた口が塞がらず、ただ驚いていた。

 

 長老「ぉ……」

 

 フィアナ「ぁ…ぁぁ…」

 

 ギンガ「お、お前……いったい、何者なんだ?」

 

 リュウセイ「何者って、ただの旅人だけど」

 

 長老「…もしかして…《時の英雄》…か?」

 

 リュウセイ「ん?時の英雄?」

 

 長老「…お主、旅人と言ったな?」

 

 リュウセイ「ええ」

 

 長老「ディアルガを従えているほどのトレーナーが、何故この町にいる?」

 

 リュウセイ「あっ、それは…」

 

 ギンガ「爺ちゃん、それは俺が説明するよ」

 

 (カクカクメブキジカ(事情を説明する)

 

 長老「そうか。ワシ達や町だけではなく、森で娘と孫まで救ってくれたのか」

 

 フィアナ「あの、ありがとうございました!危ないところを助けてくれて!私はギンガ兄さんの妹で、フィアナと言います」

 

 リュウセイ「ああ、よろしくな」

 

 家の中

 

 長老「いやぁ、お主には本当に世話になった」

 

 あの後、リュウセイたちは意識を失っていたラセツたちが身動きできないように縄で拘束すると、町にやってきた警察にラセツたちを引き渡した。そしてその後、長老が助けてくれたお礼をしたいとリュウセイに言い出したので、リュウセイは再びギンガの家に行くことになった。

 

 長老「しかし、お主がディアルガを持っていることには本当に驚いた。それに、ワシたちの傷を治した、あの不思議な力にもな」

 

 リュウセイ「いえ、そんな大した力では…あの、ラセツが狙っていた神殿にある宝って、いったん何なんですか?」

 

 長老「あ〜、この町に古くから伝わる物でな。竜の民の者でしか知ることを許されず、竜の民じゃないものは神殿に入れないことになっておるのじゃ」

 

 リュウセイ「あっ、そうなんですか。なら、無理には聞きません」

 

 長老「すまんの、お主が悪者ではないことは分かっておるのじゃが」

 

 リュウセイ「いえ、誰にでも話せないことはありますから」

 

 長老「そう言ってくれると助かる。…ところで、お主はこれからどうするのじゃ?」

 

 リュウセイ「食料を分けてもらうためにこの町に寄っただけですから、明日には町を出発しようと思ってます」

 

 ナナ「えぇ〜〜、お兄ちゃん、もう行っちゃうの?」

 

 リュウセイ「俺は旅人だからな」

 

 ギンガ「なんか目的とかあって旅をしてるのか?」

 

 リュウセイ「いや、ただ風の吹くままに冒険をしてるだけだ」

 

 元々リュウセイがこの町に立ち寄ったのは、ティアから食事をご馳走になるのと、数日分の食料を調達するためだった。それがひょんなことから、ギンガやフィアナや長老と知り合い、ラセツたちからこの町を守るために戦うことになってしまった。……まぁ、戦ったと言うよりも、ディアルガが一撃でラセツたちを倒してしまったのだが。

 

 長老「…なぁ、お主さえ良ければ、しばらくこの町にいてくれんか?もちろん、食事や寝床はこちらが提供しよう」

 

 リュウセイ「えっ?」

 

 長老「お主も知っての通り、この町の神殿には宝があるから、それを狙ってくる奴も多くてな。だから、この町はあまり旅人を歓迎しないんじゃ。しかし、お主はこの町を救ってくれた。それは、町の皆も見ておったから知っとるじゃろうから、皆もお主をすぐに気にいると思う」

 

 リュウセイ「…」

 

 長老「無論、無理強いはせん。自分で決めてくれ」

 

 リュウセイ「……分かりました、食事と寝床を提供してもらえるなら、しばらくお世話になります」

 

 リュウセイはしばらくこの町に残るか旅をするか迷ったが、別に急ぐ旅でもないので、しばらくここに残ることにした。それから数日もしないうちに、リュウセイが長老たちを救ってくれた事や、時を操る力で長老たちの傷を治してくれたことが広がり、ディアルガを従えているリュウセイを、町の人たちは時の英雄と呼ぶようになったのだ。

 

 

 長老「できればリュウセイには、ずっとここに残っていてほしいんじゃがの」

 

 ギンガ「そうだな」

 

 フィアナ「うん」

 

 

 家の中

 

 リュウセイ「まさか、この町にあんな昔話があって、ゼクロムとレシラムの成れの果てまであるとはな」

 

 スッ(旧式のモンスターボールを手に取る)

 

 リュウセイ「まさかと思うけど、長老の言ってた昔話に出てきたディアルガって、お前のことじゃないよな?…って、答える訳ねぇか。この町に来て半年も経ったけど、神殿の警護が終わったら、ここを出て、また旅の続きを始めるか」

 

 リュウセイが半年もこの町に残ったのは、長老から頼まれたということもあったが、ラセツみたいな奴が神殿の宝を狙ってやってくるかを心配していたからだった。しかし、半年間この町は平和だったし、神殿の宝がどんな物かも分かったので、リュウセイはそろそろここを出ようとしていた。

 

 ゲッコウガ「コウガッ」

 

 リュウセイ「ああ、分かってる。ちゃんとみんなに挨拶して出ていくさ」

 

 この町に来たのは偶然だったが、半年間過ごす間に、リュウセイはこの町に住んでいる人たちにすっかりお世話になっていた。だから、神殿の警護を終えた次の日に、ちゃんとみんなにお別れしてここを出て行こうと決めたのだった。

 

 

 ……しかし、明日の夜に、まさかあんな悲劇が起きるとは、この時のリュウセイは知る由もなかった。

 

 

 ハルモニアの城

 

 ???「いよいよ明日だ」

 

 ???「やっと計画が実行できるな」

 

 ???「そのために、父さんにはいなくなってもらったんだよ。竜の民が守ってきた宝を手に入れるという、その計画を実行するためにね」

 

 ???「どういうことだ?」

 

 ???「前に父さんから、竜の民が守ってきた宝のことを聞いて、それを手に入れようと言ったら反対されてね。いつか父さんが邪魔になると思ってたんだ。

 

  ???「フッ、そのために親殺しとは、惨いことをするな」

 

 ???「いいんだよ。苦しまないように薬で安楽死させてあげたんだ。それに、宝を手に入れるために父さんを殺した以上、君と僕は一蓮托生なんだよ、《ハデス》」

 

 

 

 

 

 

 

 ハデス「フッw。ああ、分かっている。だが、約束を忘れていないだろうな?」

 

 ???「ああ。約束通り、ダークストーンとライトストーンは君にあげるよ。けど…」

 

 ハデス「ああ。2つの宝玉はお前にくれてやる」

 

 ???「フフッw、明日が楽しみだね」

 

 次の日の昼

 

 リュウセイ「ふわぁぁ〜〜(-o-)」

 ギンガ「そろそろ来る時間だな」

 フィアナ「あっ、来た!」

 

 次の日の昼頃。リュウセイと町に住んでいる竜の民たち全員は、隣の国からやってくる《ハルモニア》という貴族を出迎えるため、大きな門の目の前で待っていた。すると、門の向こう側から高そうな服を着ているハルモニアの民たちが歩いてきて、町に通じる大きな門を通って町の中に入ってきた。

 

 リュウセイ「あれが、《ハルモニア》っていう隣の国に住んでる貴族か?」

 

 フィアナ「うん」

 

 リュウセイ「誰が王様なんだ?」

 

 ギンガ「アイツだよ。ほら、黄緑色の髪をして王冠を被ってるやつ」

 

 リュウセイ「ああ、アイツか…」

 

 ギンガが前の方を指差すと、リュウセイは王冠を被っている人物を確認した。すると、王冠を被っている人物が長老に挨拶するために前の方に歩いて行った。

 

 町の中

 

 ???「久しぶりですね、長老」

 

 長老「ああ。久しぶりじゃな、ゼオン。…いや、ゼオン・ハルモニア・グロピウス」

 

 ゼオン「ええ」

 

 長老「ところで、お前の後ろにいる男は誰なんじゃ?初めて見るな?」

 

 ???「これは失礼しました」

 

 スッ(跪く)

 

 ハデス「この度、ゼオン様に仕えることになりました、ハデスと申します」

 

 長老「ぉ、そうか」

 

 ハデス(……フッ)

 

 ニヤッ(笑みを浮かべる)

 

 リュウセイ「ッ⁉︎」

 

 ハデスが不敵な笑みを浮かべると、リュウセイはハデスから邪気のようなものを感じ取ったが、気のせいだろうと自分に言い聞かせた。そして、長老とゼオンの話が終わると、一旦それぞれバラバラになり、リュウセイは長老に頼まれた神殿の警護に向かった。

 

 

 神殿の前・夜

 

 リュウセイ「……はぁ、ずっと立ってるのも疲れるな」

 

 見張り1「座っても構いませんよ」

 

 リュウセイ「えっ?座っていいのか?」

 

 見張り2「ええ。ずっと立ちっぱなしだと、足が痛いでしょう?」

 

 見張り1「我々も足が痛い時は座ってますから」

 

 見張り3「誰か来た時に立てばいいんですよ」

 

 リュウセイ「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 ドンッ(地面に座る)

 

 スッ(空を見上げる)

 

 ボソッ(誰にもきこえないように小声で話す)

 

 リュウセイ『……明後日には町を出るから、この町から星を眺めるのも明日で最後だな』

 

 本音を言えば、リュウセイはずっとこの町に居たいと思っていた。しかし、自分が冒険に出たのは、まだ見たことのないポケモンや、自分の知らない世界を見てみたいと思ったからなので、リュウセイは名残惜しい気持ちになりながら、明後日この町を出る決意を固めていた。

 

 スタッスタッ(誰かが歩いてくる)

 

 リュウセイ「ん?」

 

 長老「皆、神殿の警護、ご苦労」

 

 見張り1「長老!」

 

 見張り2「何故ここに?」

 

 長老「お主らが腹を空かしておるだろうと思ってな。ティアが作った弁当を差し入れに来たのじゃ」

 

 スッ(弁当が入ってる袋)

 

 見張り3「ありがとうございます!」

 

 見張り1「やったぁ!」

 

 見張り2「ティアさんの手作り弁当だ!」

 

 長老「皆、昼からずっと警護をしてくれておるからな。少し休憩しな…」

 

 「グォォォォォォォーーッ!」

 

 リュウセイ・長老・見張り1・2・3「「「ッ⁉︎」」」

 

 長老が持ってきてくれた弁当を受け取ろうとした瞬間、空の上から何かの大きな咆哮が聞こえてきたので、リュウセイたちは顔を上にあげた。すると、リュウセイたちのいる空の上空を、禍々しい姿をした一体のポケモンが飛んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 赤いムゲンダイナ「グォォォォォォォォォッ‼︎」

 

 長老「なっ⁉︎」

 

 見張り1「な、何だ、アレ⁉︎」

 

 見張り2「ポケモン…なのか⁉︎」

 

 見張り3「あんなポケモンいるのか⁉︎」

 

 リュウセイ「ッ…」

 

 

 町の中

 

 竜の民たち「「「ぁぁっ…」」」

 

 

 町の上空

 

 赤いムゲンダイナ「グォォォォォォォーーッ‼︎」

 

 ヒューーーン‼︎

 

 ドォォォォォォォン‼︎

 

 リュウセイ「ッ⁉︎」

 

 ムゲンダイナが町の上空を飛んでくると、リュウセイや長老、町に住んでる竜の民たちは、初めて見るムゲンダイナを見て言葉をなくし、ただそこに立ち尽くしていた。すると、ムゲンダイナは雄叫びを上げると同時に胸部にエネルギーを集め始めた。そして、ムゲンダイナはエネルギーを集め終わると、町の中心部に向かって光線を発射した。その瞬間、町の中心部で大爆発が起こり、建物が崩れ、町の人たちは悲鳴を上げて逃げ回り始めた。

 

 長老「な、なんということを⁉︎」

 

 見張り3「あっちの方って、長老の家がある方じゃ?」

 

 長老「ッ!お前たち、町の方に急ぐぞ!」

 

 リュウセイ・見張り1・2・3「「「「はい!」」」」ダッ!

 

 神殿の近く

 

 ゼオン「フッw、神殿を警護してるヤツらがいなくなったな」

 

 ハデス「ああ、今がチャンスだ」

 

 ダッ(神殿の中に入る)

 

 町の中心部

 

 リュウセイ「ぁ…」

 

 見張り2「これは…」

 

 見張り3「酷い」

 

 見張り1「なんて惨いことを!」

 

 ムゲンダイナが攻撃した町の中心部にやってきたリュウセイたちは、そこで目も当てられない光景を目にした。その光景とは、ムゲンダイナの攻撃で倒れた瓦礫の下敷きになっている人たちや、飛んできた木などの破片が体に刺さって血を流している人たち。そして、すでに息を引き取っている人たちが血を流して倒れている、まさに地獄絵図のような光景だった。

 

 長老「まだ生きている者がいるかもしれん!1人でも多くの人たちを助けるんじゃ!」

 

 見張り1・2・3「「「はい!」」」

 

 長老「リュウセイ、お前とディアルガの力も貸してくれ!」

 

 リュウセイ「はい!」

 

 長老は、リュウセイとディアルガの力があれば、まだ生きている何人かを助けることができると信じ、瓦礫の下敷きになっている人たちや倒れている人たちの近くに駆け寄ると、その人たちが生きているかを確認した。そして、瓦礫の下敷きになっている人たちを見張りの3人と一緒に助け出し、怪我をしている人たちを担いでリュウセイとディアルガの元に運んでくると、リュウセイとディアルガは時を操る力を使ってこの場にいる人たちを治療していった。しかし、傷が酷く、すでに手遅れな人たちも何人かいて、80人中、たった10人しか助けることができなかった。

 

 リュウセイ「すいません。俺の力が及ばないばっかりに…」

 

 長老「いや、お前とディアルガのおかげでこの子たちは助かった。本当によくやってくれた。ワシたちはこの子たちを安全な所に運ぶから、お前はティアたちを頼む」

 

 リュウセイ「はい!」

 

 リュウセイは長老たちと一旦バラバラになると、ティアたちが住んでる家に向かった。…しかし、そこでリュウセイは残酷な現場を目にすることになる。

 

 長老の住んでる家の前

 

 

 リュウセイ「ぁ…嘘…だろ…こんなのって…」

 

 長老の家の前にたどり着くと、リュウセイは、今自分が見ているものが現実なのか分からなくなっていた。何故なら、今リュウセイが見ているものは、さっきまであった長老の家がぐちゃぐちゃに倒れている現場で、そこからティアが血を流して倒れている姿だったからだ。リュウセイはティアが生きているか確認したが、やはりティアは息絶えていた。

 

 「リュウ…セイ…」

 

 リュウセイ「えっ?……ッ!」

 

 ギンガ「ぁ…ぁ…」

 

 フィアナ「ぅ……ぅ……」

 

 リュウセイ「ギンガ!フィアナ!」

 

 リュウセイがティアの生死を確認すると、燃え盛る町のどこかからうめき声のようなものが聞こえてきたので、リュウセイは声が聞こえてきた方に目を向けた。そこには、瓦礫の下敷きになっているギンガとフィアナの姿があった。

 

 ダッ(2人の前に駆け寄る)

 

 リュウセイ「2人とも、大丈夫か!」

 

 フィアナ「…町で……買い物……して…たら……いきな…り、建物が……崩れ…てきて…」

 

 ギンガ「リュウ…セイ…いったい…何が……あった?」

 

 リュウセイ「それが、突然、空の上を巨大なポケモンが飛んできて、そのポケモンが町を攻撃したら…」

 

 ギンガ「そう…か。それで、俺……たちは…こうなった……訳か…」

 

 フィアナ「リュウ…セイ、母……さんと、ナナ…は?」

 

 リュウセイ「ナナは分からないけど…ティアさんは…」

 

 フィアナ「そっ…か…(涙)」

 

 ギンガ「母さん……(涙)」

 

 リュウセイ「ッ、2人とも、待ってろ!今助け…」

 

 ギンガ「無駄だ」

 

 リュウセイ「えっ?」

 

 ギンガ「俺と……フィア……ゔおっ(血を吐く)」

 

 リュウセイ「おい!しっかりしろ!」

 

 ギンガ「…ハ…ァ…俺と…フィア…ナの心臓に…は…ハァ…さっき…崩れて…きた…ハァ…瓦礫の……破片が…ハァ……刺さって…る…から…俺…たち…は、もう…だめだ」

 

 リュウセイ「ッ!」

 

 さっき町の中心部で倒れていた人たちを助けた時もそうだが、リュウセイとディアルガの時を操る力で治せるのは生きている者だけで、すでに手遅れな者は助けることができないため、今のリュウセイが2人にできることは何もなかった。

 

 赤いムゲンダイナ「グォォォォォォォーーッ!」

 

 リュウセイ「ギンガ!フィアナ!しっかりしろ!」

 

 ギンガ「リュウセイ……お前だけでも…逃げろ…」

 

 リュウセイ「馬鹿を言うな!お前達を置いて逃げられるか!」

 

 フィアナ「お願い…あなただけでも…逃げて……あなたは……竜の民の…私達の…最後の希望なの…(涙)」

 

 リュウセイ「クッ(涙)」

 

 ギンガ「リュウ…セイ……少しの間だった……けど、楽し…かった…ぜ」

 

 フィアナ「うん……ありが……とう…リュウ…セ……イ(涙)」

 

 トンッ(手が地面に落ちる)

 

 リュウセイ「ァ……くぅぅぅぅ………うぁぁぁぁぁぁ‼︎(涙)」

 

 リュウセイはギンガとフィアナの最後を看取ると、2人を助けられなかった無力感に苛まれ、空に向かって大声を上げた。そんなことをしても意味のないことだと分かっていたが、今のリュウセイにはそうすることしかできなかった。

 

 リュウセイ「何でこんなことに⁉︎誰がこんな…ッ!」

 

 ハデス(……フッ)

 

 リュウセイ「まさか!」ダッ!

 

 リュウセイは涙を拭うと、この騒ぎの原因はハデスかもしれないと思い、町の中を走り回ってハデスを捜し回った。しかし、どこを捜してもハデスの姿はなかった。

 

 町の中

 

 リュウセイ「どこにいる?奴はどこに?」

 

 「ゔわぁぁぁ‼︎」

 

 リュウセイ「今の声は!」

 

 ハデスを捜して走り回っていると、神殿の方から長老の叫び声が聞こえてきたので、リュウセイは急いで神殿の方に走って行った。

 

 神殿の目の前

 

 リュウセイ「ぁ!長老!ナナ!」

 

 長老「リュウ…セイ…」

 

 ナナ「…」

 

 リュウセイが神殿の目の前にやってくると、そこには長老が倒れていて、長老の近くには孫のナナが目を瞑って横たわっていた。それを見たリュウセイは、ナナが無事だったことにホッとした。

 

 リュウセイ「ッ!ゼオン!ハデス!」

 

 ハデス「ん?」

 

 ゼオン「誰だお前?」

 

 長老の目の前にゼオンとハデスが立っていることに気づくと、リュウセイは2人の方に目を向けた。2人の手をよくて見てみると、ハデスは両手にダークストーンとライトストーンを持っていて、ゼオンは両手にだいこんごうだまとだいしらたまを持っていた。それを見た時、リュウセイは嫌な予感が的中したと思った。

 

 リュウセイ「やはり、あの赤いポケモンに指示を出していたのは…」

 

 ハデス「フッ、ああ。お前の推理通り、空を飛んでいる《ムゲンダイナ》に町を攻撃するよう指示を出したのは、この俺だ。竜の民が守ってきた、この4つの宝を手に入れるためにな」

 

 リュウセイ「ッ‼︎ムゲンダイナの攻撃で、どれだけの死者が出てると思ってる‼︎それに、この町にはハルモニアの民だっているんだぞ‼︎お前、自分の国の民が死んでも何とも思わないのか‼︎」

 

 ゼオン「……別に」

 

 リュウセイ「何⁉︎」

 

 ゼオン「俺の目的は、ダークストーンとライトストーンを手に入れること。その目的が達成されるなら、民が何人死のうが関係ないね」

 

 リュウセイ「テメェ‼︎」

 

 ハデス「そう熱くならずに…それに、お前は何か誤解しているようだが、ハルモニアの民は誰1人死んでないぞ」

 

 リュウセイ「何⁉︎」

 

 ムゲンダイナが町を攻撃したせいで、町に住んでいる多くの竜の民たちと、長老の家族でもあるギンガとフィアナとティアが亡くなり、ハルモニアの民の何人かが犠牲になった可能性があるのに、ハデスはハルモニアの民は誰1人死んでいないと言い出した。すると、突然リュウセイの目の前に一体のポケモンが姿を現し、リュウセイはすぐにハデスの言葉の意味を理解することになった。

 

 バッ(姿を現す)

 

 色違いゾロアーク「アークッ!」

 

 リュウセイ「ゾロアーク!……まさか!」

 

 ハデス「お前のご明察通り、今日この町に来たハルモニアの民たちは、俺のゾロアークのイリュージョンで作った幻覚だ。だから、今回亡くなった人たちは竜の民の人たちだけなんだよ!」

 

 リュウセイ「ッ‼︎ディアルガ!ゲッコウガ!」

 

 ポーーン‼︎

 

 ディアルガ「ディアァァァァッ!」

 

 ゲッコウガ「コォォォウガッ!」

 

 ハデス「ほぅ〜、ディアルガか…」

 

 ゼオン「いいポケモンを持っているな。どうだ?ディアルガを俺に渡すと言うなら、お前だけは特別に助けてやってもいいぞ」

 

 リュウセイ「ふざけるな!貴様らだけは絶対にゆるさねぇ‼︎」

 

 ゲッコウガ「コォォォウガッ‼︎」

 

 目の前にいるゼオンとハデスが竜の民の人たちを殺めたことを何とも思ってないことに怒ったリュウセイは、ディアルガとゲッコウガを繰り出した。そして、リュウセイが怒りを露わにすると、ゲッコウガもハデスとゼオンに怒り出した。

 

 リュウセイ・ゲッコウガ「「うぉぉぉぉぉぉ‼︎」」

 

 ゴゴゴゴゴゴゴッ!(激流が発生する)

 

 バッシャーーーーーン!(激流が弾け飛ぶ)

 

 リュウセイとゲッコウガの動きがシンクロし、2人が同時に雄叫びを上げた瞬間、突然ゲッコウガの足元から激流が発生して、ゲッコウガは身を包み込んだ。そして、激流に身を包み込んだゲッコウガはその中で姿を変え始め、激流の水が弾け飛ぶと、弾けた激流の水はゲッコウガの背中に集まって巨大な水の手裏剣を形成し、ゲッコウガは背中に巨大な水の手裏剣を身につけていた。

 

 キズナゲッコウガ「コォォォォウガッ‼︎」

 

 ハデス「ッ⁉︎」

 

 ゼオン「な、何だ⁉︎そのポケモンは⁉︎」

 

 リュウセイ「これは…」

 

 キズナゲッコウガ「コォォォォウガッ!」

 

 リュウセイ「…いや、そんなことはどうでもいい。俺たちはこの町を守るために、お前たちを倒す!」

 

 キズナゲッコウガ「コォォォォウガッ!」

 

 突然ゲッコウガが不思議な姿に変わると、ハデスやゼオン。そして、ゲッコウガのトレーナーのリュウセイまでもが驚いていた。だが次の瞬間、更に驚くべきことが起きた。

 

 フワッ(ダークストーンが浮かぶ)

 

 ハデス「ん?」

 

 バァーーン!(ダークストーンから電気が放出する音)

 

 ハデス「クッ⁉︎」

 

 ゼオン「うわっ⁉︎」

 

 パッ(手に持っている物を落とす)

 

 ハデスが右手に持っていたダークストーンが青い電気をバチバチさせながら浮かび上がると、回転しながら電気を放出していった。すると、突然ダークストーンから強い電気が放たれ、ハデスは左手に持っているライトストーンを、ゼオンは両手に持っているだいこんごうだまとだいしらたまを落としてしまい、それらがリュウセイの足元に転がってきた。そして、ダークストーンから青い球体が出現すると、中から体の全身が黒い大きな体をしたポケモンが姿を現した。

 

 

 ゼクロム「グオオオオオッ‼︎」

 

 リュウセイ・ハデス・ゼオン「「「ッ⁉︎」」」

 

 長老「ゼク…ロム」

 

 リュウセイ「これが、ゼクロム」

 

 ゼクロム「グオオオオオオッ‼︎」

 

 何故ゲッコウガが不思議な姿になり、ゼクロムがダークストーンから目覚めたのかは分からないが、ダークストーンから目覚めたゼクロムは、リュウセイを守るように地面に降り立った。

 

 リュウセイ「ゼクロム」

 

 ハデス「なるほど。これは、ゼクロムがお前を認めたってことか」

 

 リュウセイ「何?」

 

 ハデス「ゼクロムは、理想を求める者に力を貸すと言われてるからな」

 

 リュウセイ「理想…そうか。俺がこいつら倒して、この町を救いたいという理想のために、お前の力を貸してくれるんだな?」

 

 ゼクロム「グオオオオオオッ‼︎」

 

 この町を守りたいというリュウセイの思いを聞いたゼクロムは、リュウセイをパートナーと認め、一緒にハデスやゼオンと戦おうとしてくれた。

 

 赤いムゲンダイナ「グォォォォォォォーーッ!」

 

 ゼオン「ムゲンダイナが来たか…ダークストーンから目覚めたのならちょうどいい。ゼクロムも、ライトストーンも、2つの宝玉も、全て俺たちがいただく!ハデス、やるぞ」

 

 ハデス「…ここまでだな」

 

 ゼオン「えっ?」

 

 ハデス「今の俺のムゲンダイナでは、ディアルガとゼクロムを相手にするのは不可能だ。今日は引くとしよう」

 

 ゼオン「ふざけるな!宝が目の前にあるのに引くだと!そんなことは、この俺が許さ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドスッ(ナイフを体に刺す)

 

 ゼオン「ガッ(血を吐く)」

 

 リュウセイ・長老「「ッ!」」

 

 ゼオン「お前、何を…」

 

 ハデス「……フッ」

 

 ゼクロムがリュウセイの味方になると、リュウセイたちのいる場所にハデスのムゲンダイナがやってきた。しかし、ムゲンダイナ一体でディアルガとゼクロムの2体を相手にするのはさすがにキツイと判断したハデスは、ゼオンに撤退するべきだと伝えた。しかし、ゼオンはハデスの言うことを聞こうとしなかった。すると次の瞬間、ハデスは懐からナイフを取り出し、それをゼオンの心臓に向かって突き刺した。

 

 ハデス「悪いが、お前とはここまでだ」

 

 ゼオン「な、何…」

 

 ハデス「俺がお前に仕えたのは、ここにダークストーンとライトストーンがあるかを確認したかったからだ。宝があると分かった以上、お前はもう用済みだ」

 

 ゼオン「⁉︎」

 

 ハデス「言うことを聞いていれば、まだ生かしておくつもりだったが、俺より弱いお前の我儘に付き合うのも疲れたんでな」

 

 ゼオン「ぅ…」

 

 ハデス「お前が死んでも、この先の時代には何の変化もない。だから、ここで大人しく死んでおけ」

 

 ゼオン「ク…ソォォ…」

 

 バタッ(地面に倒れる)

 

 ハデス「フン、口ばかりで使えん奴だった」

 

 リュウセイ「お前、自分の仲間を!」

 

 ハデス「仲間?勘違いするな。俺がコイツと組んでいたのは、ダークストーンとライトストーンを手に入れるためだ。戻れ、ムゲンダイナ」

 

 シュルルーン

 

 スッ(モンスターボールを取り出す)

 

 ゼオンがその場で息絶えると、ハデスはムゲンダイナをボールに戻し、この場を撤退するために新たな繰り出した。

 

 ポーーン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダークライ「ダァァァッ!」

 

 リュウセイ「ダークライ!」

 

 ハデス「お前とは、いずれまたどこかで出会うことになるだろう。その時までに、少しでも力をつけておくことだな」

 

 ハデスがリュウセイにそう言い残すと、ダークライの足元にある影が大きな円を描くように広がっていき、ハデスとダークライとゾロアークの3人はその影の中に沈んでいくとそのまま姿を消した。そして、その場に残されたリュウセイはすぐに長老とナナの治療を始めた。幸いにも、長老の傷は深くなく、ナナも気を失っていただけなので、リュウセイは2人の命を無事に繋ぐことができた。

 

 ハデスたちとの戦いが終わった次の日。リュウセイや町の人たちは、ポケモンたちの力を借りて、ムゲンダイナの攻撃で亡くなった人たちやポケモンたちの亡骸を墓に運んだ。その中には、長老とナナの家族でもある、ティアとギンガとフィアナも入っており、亡骸を墓に埋葬する時、ナナと長老は涙を流していた。それが終わった後、ディアルガの力で破壊された町はすぐに元に戻った。しかし、町が元通りになっても、亡くなった人がいるという事実は変わらないので、全てが元通りとまでにはならなかった。

 

 それから1週間後、町の修復が終わり、竜の民のみんなが前と同じ生活を始めた頃、リュウセイは旅を再開しようとしていた。

 

 門の前

 

 長老「リュウセイ、どうしても行くのか?」

 

 リュウセイ「ええ」

 

 荷物をまとめたリュウセイが門の前にやってくると、長老とナナがリュウセイを見送るためにやってきて、リュウセイと最後の挨拶を交わしていた。

 

 長老「本当なら、全員で見送るつもりだったのじゃが…」

 

 リュウセイ「いえ、あんなことがあったあとですから。長老、お元気で」

 

 長老「お主もな」

 

 ナナ「ぅ…ぅぅ(涙)」

 

 リュウセイ「ナナ、元気でな」

 

 ナナ「ぅ…うん…お兄ちゃんも…(涙)」

 

 リュウセイ「ああ。長老、今日まで本当にお世話になりました」

 

 長老「リュウセイ、ゼクロムを頼んだぞ」

 

 リュウセイ「はい!…すいません、ダークストーンはこの町の宝なのに、恩を仇で返す形になってしまって」

 

 長老「何を言っとる。お主は町を救うために戦ってくれて、ゼクロムがお主をパートナーとして認めた。それだけじゃよ」

 

 リュウセイ「ッ、はい!」

 

 長老「うん。それと、これを持っていきなさい」

 

 スッ(ライトストーンとだいこんごうだまとだいしらたまが入ってる袋)

 

 リュウセイ「ッ⁉︎こんな大切な物、貰えません!これは、この町の宝でしょう!」

 

 長老「いいんじゃ。ゼクロムはお主を認めた。なら、これはお主が持つに相応しい物じゃ」

 

 リュウセイ「ぁ……あ、ありがとうございます」

 

 スッ(袋を受け取る)

 

 長老「またいつか、ここに来てくれ」

 

 リュウセイ「はい。それじゃあ」

 

 ナナ「またね、お兄ちゃん!(涙)」

 

 リュウセイ「ああ!」

 

 こうして、町を出発したリュウセイは、ギンガたちの仇のハデスを追うため、再び長い冒険の旅に出発したのだった。

 

 

 てらす池

 

 

 ディアルガ『これが、リュウセイが時の英雄と呼ばれるようになった、ヤツの過去の話だ』

 

 シンヤ「…そうか」

 

 リコ「シンヤ…」

 

 リスタル「私がこの話をリュウセイから聞いたのは、彼と冒険することになった後だった。この話を聞いた時、最初はそれが真実かどうか分からなかったけど、この話をしてくれたリュウセイとディアルガの顔を見た時、それが本当のことだってすぐに分かったわ」

 

 

 ディアルガからリュウセイの過去の話を聞いたシンヤたちは、まさかリュウセイがそんな壮大な過去を背負っていたとは思っていなかったので、リュウセイの子孫でもあるシンヤとシンイチになんて声をかければいいのか分からず、みんな静まり返っていた。

 

 

 オリオ「……なんか、酷い話だね」

 

 マードック「ああ。ハデスってやつ、とんでもない悪党だな」

 

 モリー「ちょっと2人とも、シンヤとシンイチさんが聞いているんだよ」

 

 オリオ・マードック「「ぁ…」」

 

 シンイチ「モリーさん、別にいいですよ」

 

 モリー「えっ?」

 

 シンヤ「俺と父さんに気を使ってくれてるんだろう?けど、俺も父さんも大丈夫。…それに、俺から話を聞きたいと言い出したんだ。だから、たとえどんな結末になっても、俺は最後まで話を聞くよ」

 

 シンイチのような大人ならまだしも、まだ10歳のシンヤには、こんな重い話を受け止めきれないとモリーは思ったのだろう。しかし、シンヤは数々の場数を経験し、リュウセイと似たようなことを経験をしてきたので、多少の重い話なら受け止めきれる自信があった。

 

 シンヤ「リュウセイがゼクロムと出会ったとことか、だいこんごうだまやだいしらたまを手に入れた理由にはびっくりしたけど、ハルモニアの名前が出てきたことが1番驚いたな」

 

 リコ「シンヤは、ハルモニアについて何か知ってるの?」

 

 シンヤ「知ってるもなにも、ハルモニアはゲーチスの性だぞ」

 

 ・・・・・

 

 シンヤ・リュウガ・リスタル・シンイチ・N以外の全員「「「「えぇぇ〜〜〜っ⁉︎」」」

 

 そう。ディアルガとリスタルが話してくれた、リュウセイの過去に登場した《ハルモニア》という貴族の名はゲーチスの性なのだ。つまり、ゲーチスはゼオンの子孫ということになり、ゲーチスは自分の先祖を殺した男と一緒にいるということだ。

 

 フリード「N、シンヤの言ってることは本当なのか?」

 

 N「ええ。父さんの名前は、ゲーチス・ハルモニア・グロピウスですから」

 

 マードック「マジかよ…」

 

 リュウガ「シンヤ」

 

 シンヤ「ん?」

 

 リュウガ「お前、生まれる前からゲーチスと因縁があったんだな」

 

 シンヤ「かもな。…それで、ハデスを追ったリュウセイは、その後どうしたんだ?」

 

 ディアルガ『ああ。…ハデスを見つけるために旅に出たリュウセイは、その後2人の男女と出会ったんだ』

 

 シンヤ「その男女って…」

 

 リコ「もしかして!」

 

 リスタル「ええ。《ルシアス》と《アリア》よ」

 

 リコ「やっぱり!」

 

 ディアルガ『さっきも言ったが、リュウセイとルシアスが出会ったからこそ、ラクアを目指す冒険が始まったんだ。2人の出会いから、アリア、リスタル、ギベオンとの出会いに繋がり、エクスプローラーズが結成された』

 

 シンヤ「それが、全ての始まりであり…」

 

 リコ「エクスプローラーズ、誕生の秘密…」

 

 

 To be continued

 

 

 次回予告

 

 ハデスを見つけるために旅をしていたリュウセイは、後に唯一無二の親友になる《ルシアス》と出会い、自分の将来のパートナーになる《アリア》と出会った。そして、ルシアスからラクアを目指して旅をしていると聞いたリュウセイは、ルシアスとアリアと一緒に、ラクアを目指して冒険する事になった。

 

 次回「託された未来、この世界の輝き(中編)」

 





 長らくお待たせしました!
 
 竜の民が住んでる場所は、ラクアがあるクムリタウンと同じような場所だと思ってください。

 話の都合により、番外編の話は、エンテイが出てくる話の後に投稿します。

 番外編1話は、シンヤとリュウガとミコの出会いから始まり、シンオウ地方を冒険した話を書きます。

 番外編2はどういう話を書くか迷っているので、良ければリクエストをお願いします。リクエストがなければ2話で完結にします。

 リクエストはジョウト地方でエンテイが出てくる話まで受け付けます。書くのが無理な話もあるので、そこはご了承ください。

 最後にもう一つ。

 80話を投稿した後、この小説を読んでいる方から変なケチをつけられたので書いておきますが、非難コメントを送られると書く気がなくなるのでやめてください。

 最初の方は正論でしたが、後に書いてあったのはただの悪口だったので。
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