ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 キタカミの里にあるてらす池にやってきたシンヤたちは、てらす池から現れたリスタルと、シンヤがシンオウ地方でゲットしたディアルガが知り合いであったことを知った後、リスタルとディアルガから、シンヤがリュウセイとアリアの、リコがルシアスとリスタルの血を引いている子孫だということや、テラパゴスがリスタルのポケモンだったこと、100年前にルシアスやリュウセイたちとどういう冒険をしてきたのかを教えてもらった。そして、リスタルは別れ際に、自分の子孫のリコにテラパゴスを託し、リコがテラパゴスをゲットしたことで、テラパゴスは正式にリコのポケモンとなった。それから翌日、シンヤがミーティングルームで朝食を食べていると、シンヤのスマホロトムにゼイユから着信が入ったのだが、電話に出た相手はゼイユの弟のスグリだった。



第84話『モモワロウ登場‼︎毒餅でキビキビパニック⁉︎』

 

 ブレイブアサギ号・ミーティングルーム

 

 シンヤ「ゼイユが変?」

 スグリ『うん!』

 

 シンヤ「それって、一体どういうことだ?」

 

 スグリ『詳しいことは後で説明するから、とりあえず俺のうちに来て!』

 

 ピッ

 

 シンヤ「あ、切れた」

 ピカチュウ「ピィカッ?」

 

 リコ「シンヤ、ゼイユがどうかしたの?」

 

 シンヤ「なんか、ゼイユが変だって、スグリがそう言ってたけど…」

 

 リコ「ゼイユが変って…それだけ?」

 シンヤ「ああ」

 

 スグリが電話で言っていた、ゼイユが変というのは意味がよくわからなかったが、電話越しに話していたスグリの慌てようから、ゼイユに何かあったということを読み取ったシンヤは、ゼイユの様子を確認するため、スグリとゼイユの家に向かおうとした。

 

 モリー「ゼイユって…」

 

 オリオ「収穫祭のお祭りに行った時、フリードがナンパしてた子だね」

 

 フリード「オリオ!誤解を招くようなことを言うな!俺はヤバソチャを見せてもらおうとしただけだ!」

 

 モリー「どっちでもいいでしょ。そんなこと」

 フリード「よくないだろ!」

 

 フリードはゼイユをナンパしてたわけではないが、見方を変えればフリードがゼイユをナンパしてるように見えていたので、オリオがそう言いたくなるのも当然だった。

 

 シンヤ「とにかく、俺はこれからスグリの家に行ってくるから」

 

 リコ「シンヤ、私も行く!」

 

 シンヤ「リコ、俺は遊びに行くわけじゃないぞ」

 

 ミコ「馬鹿ねぇ、アンタとゼイユを合わせるのが心配なのよ」

 

 シンヤ「えっ?」

 

 チラッ(リコを見る)

 

 リコ「////」

 

 シンヤ「おいおい、俺とゼイユはそういう関係じゃないって前に言ったろ」

 

 ミコ「リコが疑いたくなるのも当然よ。アンタこの前サザレさんと別れる時に、自分がサザレさんになにされたか…」

 

 シンヤ「だぁーーー⁉︎その先は絶対に言うな‼︎」

 

 そこから先を言えば、ダイアナに根掘り葉掘り聞かれた後、話がどんどんややこしくなることが簡単に予想できるため、シンヤは大きな声を出してミコの言葉を遮る。

 

 ミコ「アレックスさんに言っちゃおうかな〜」

 

 シンヤ「お前、そろそろマジで怒るぞ!」

 

 ミコ「冗談よw」

 

 シンヤ「おま…ホントいつか覚えてろよ!」

 

 シンイチ「おいシンヤ、さっき連絡をくれた友達の所に行かなくていいのか?」

 

 シンヤ「あっ、そうだった!リコ、行くぞ!」

 

 リコ「えっ?」

 

 シンヤ「一緒に行きたいんだろ?」

 

 リコ「ぁ…うん!w」

 

 本当なら1人で行こうと思っていたシンヤだったが、今ゼイユと会えば変な誤解を生む可能性があり、リコが不機嫌になることが簡単に想像がつくので、そうならないようリコを連れてスグリの家に向かうことにした。

 

 ロイ「シンヤ、僕も行きたい!」

 ドット「僕も!」

 

 リュウガ「じゃあ俺も行こうかな」

 ミコ「私も」

 

 シンヤ「ロイとドットはいいとして、お前らも来るのかよ…」

 

 ミコ「別にいいでしょ」

 リュウガ「これも付き合いだ」

 

 いきなり大人数で押しかければ迷惑になると思ったが、連れて行かないと後で何をされるかわかったものではないので、リュウガとミコも連れて行くことにしたシンヤは、リコたちと一緒に公民館の北にあるスグリの家に向かった。

 

 

 門の前

 

 スグリ「シンヤ、まだかな?」

 

 

 

 シンヤ「おーーい!スグリィィ!」

 ピカチュウ「ピィカッピカ!」

 

 スグリ「あっ!シンヤ!ピカチュウ!」

 

 スグリが家の門の前でシンヤが来るのを待っていると、そこにリコたちを連れたシンヤがやってきた。

 

 スグリ「シンヤ、ピカチュウ。久しぶり!」

 シンヤ「ああ、久しぶりだな」

 ピカチュウ「ピッカァッ!」

 

 シンヤとスグリがこうして会うのは、シンヤがパルデア地方でリュウガとバトルした時以来なので、久しぶりに再会できたことをシンヤとスグリはとても喜んでいた。

 

 シンヤ「遅くなって悪かった。…それと、リコたちも一緒に来たんだけど…」

 

 リコ「こ、こんにちは」

 ロイ「お邪魔します!」

 ドット「どうも…」

 

 リュウガ「よっ!」

 ミコ「久しぶり」

 

 スグリ「リコ!ロイ君!ドットさん!リュウガ君!ミコさん!」

 

 シンヤ「悪い。大勢で来ちまった」

 

 スグリ「ううん、全然大丈夫。シンヤの友達なら大歓迎だよ!」

 

 シンヤ「そう言ってくれると助かる。…それで、さっきお前が電話で言ってた、ゼイユが変ってのは?」

 

 スグリ「ぁ…ねーちゃんを見ればわかると思う」

 シンヤ「?」

 

 スグリはそう言うと、シンヤたちを門の中にある自分の家に案内し、中庭にいるゼイユの元にシンヤたちを連れてきた。

 

 スグリとゼイユの家・中庭

 

 シンヤ「ぉ」

 ピカチュウ「ピカッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼイユ「…」

 

 ロイ「あっ」

 リコ「ゼイユ!」

 

 ゼイユ「…」

 

 リコ「えっ?…」

 ドット「無反応…」

 

 スグリに案内されて中庭にやってきたシンヤたちは、そこでブルーベリー学園の制服を着ているゼイユと再会した。しかし、何故かゼイユは後ろを向いており、リコの声にも反応しなかった。

 

 ミコ「ゼイユって、こんな子だったけ?」

 

 リュウガ「いや、どっちかって言うと、真逆だと思うけど…」

 

 シンヤ「ああ。……ゼイユ!」

 

 ゼイユ「…」

 

 シンヤ「えっ?」

 ロイ「シンヤの声にも反応しないね」

 

 ゼイユ「…キ…キ…ビ…」

 シンヤ「ん?」

 

 クルッ(シンヤたちの方を向く)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼイユ「キビキビーー‼︎」

 

 シンヤ「はっ⁉︎」

 リコ「えっ⁉︎」

 ロイ「ええっ⁉︎」

 

 ドット「な、何⁉︎」

 リュウガ「おいおい…」

 ミコ「何やってんの⁉︎」

 

 シンヤに声をかけられても反応がなかったゼイユだったが、しばらくすると、何やら小声でブツブツと言い出し始め、急にシンヤたちの方に振り向いた。すると、ゼイユは突然キビキビーと言い出し、両手を上下に上げ下げしながら奇妙な踊りを踊り始めた。

 

 ゼイユ「キィビキビィーー‼︎」

 

 シンヤ「まさか、お前が電話で言ってた、ゼイユが変ってのは?」

 

 スグリ「…うん」

 

 シンヤ「…マジかよ。(・_・٥)」

 

 ゼイユ「キビキビーー‼︎」

 

 スグリ「シンヤ、リュウガ君、ねーちゃんを家の中に運ぶのを手伝って!」

 

 シンヤ「えっ?…あ、ああ、わかった」

 

 リュウガ「運ぶのはいいけどよ…踊ってる状態のコイツを運ぶのか?(・_・lll)」

 

 ゼイユ「キビキビーー‼︎」

 

 全員「「「…(・_・٥)」」」

 

 

 スイリョクタウン・公民館の前

 

 

 スグリ「…」

 リコ「スグリ、ゼイユのそばにいなくていいの?」

 

 スグリ「うん。昼は、じーちゃんとばーちゃんがねーちゃんを見ててくれてるから。…さっきは、2人が目を離した隙に抜け出したみたいで…」

 

 リコ「そっか…」

 

 シンヤ「ハァ、ハァ」

 リュウガ「疲れた…」

 

 ドット「2人とも、大丈夫?」

 

 リュウガ「いや、しばらく動けそうにない」

 

 シンヤ「踊ってる人間を運ぶなんて、生まれて初めてやったよ」

 

 あの後、シンヤとリュウガとスグリの3人は、どうにかゼイユを家の中に運ぶことに成功し、スグリとゼイユの祖父と祖母にゼイユのことを任せて公民館の前にやってきた。しかし、踊っている状態のゼイユを運ぶのは思いのほか大変だったようで、シンヤとリュウガはその場に座り込んで休んでいた。

 

 シンヤ「そういえば、何でスグリがキタカミの里にいるんだ?お前、俺たちとパルデア地方で別れた後、ブルーベリー学園に行ったんじゃ?」

 

 スグリ「この前、ねーちゃんから学校に連絡が来て、シンヤがキタカミの里にいるって聞いたんだ。それで、またシンヤに会えると思って、学校を休んでスイリョクタウンに戻ってきたんだ」

 

 シンヤ「そうだったのか」

 

 リュウガ「よかったな。わざわざ友達が会いにきてくれてw」

 

 シンヤ「うるせぇよ」

 

 スグリ「…シンヤたちと別れた後、俺、ブルーベリー学園に戻って、今まで迷惑かけたみんなにちゃんと謝ったんだ。みんな、最初は動揺してたけど、俺が謝ったら許してくれて、今はみんなと楽しくやれてる」

 

 シンヤ「そっか、よかったな」

 スグリ「うん。シンヤのお陰だよ」

 

 シンヤ「俺は何もしてないよ」

 

 スグリがブルーベリー学園に戻った後のことは、収穫祭が終わった時にゼイユから聞いてはいたが、今のスグリの様子を見ると、ブルーベリー学園のみんなと仲良くやれているようなので、シンヤはホッとした。

 

 ドット「あ、あの…」

 スグリ「なに?ドットさん」

 

 ドット「ドットでいい。さんはいらないよ」

 ロイ「僕もロイでいいよ」

 

 リュウガ「俺も呼び捨てでいい」

 

 ミコ「私も。同い年なんだから、さんはつけなくていいよ」

 

 スグリ「あ…じゃあ、俺もスグリでいいよ」

 

 ドット「じゃあ改めて。スグリ、君の姉さんは、いつから…その…」

 

 リュウガ「あんなふうになったんだ、だろ?」

 ドット「う、うん…」

 

 スグリ「昨日の夜までは普通だったけど。今日、俺が起きてきた時には、もうああなってて……ねーちゃんがなんでああなったのか、原因はわかんね。…村のみんなは……呪いだって言ってるけど」

 

 リコ・ロイ・ドット「「「呪い!?」」」

 

 ドット「の、呪いなんて…」

 ロイ「そ、そんなの、あるわけないよ…」

 リコ「そ、そうだよね…」

 

 そう言っているわりには、リコとロイとドットはどこかビクついている様子だった。そんな3人の姿を見ていると、シンヤは何か閃いたようで、一瞬だけ悪い顔をした。そして、シンヤは声を低くすると、おどろおどろしい雰囲気を出しながら喋り始めた。

 

 シンヤ「…いや、あり得るぜ」

 

 リコ・ロイ・ドット・スグリ「「「えっ?」」」

 

 シンヤ「この世の中には、不可解な現象がたくさんあるからな。呪いがあっても不思議じゃない。村の人たちの言うように、ゼイユが呪われてああなったんだとしたら、呪いは連鎖していくだろうな」

 

 ロイ「れ、連鎖って…?(・_・٥)」

 

 シンヤ「結びついてるってことだよ。つまり、他の人もゼイユと同じように呪われていき、だんだん同じことをしていく人間が増えるのさ。そしてしまいには、キタカミの里の全員が同じことをやり出し、ここにいる俺たちも、いずれ同じことをするようになるだろうな。…それに、耳をちゃんとすまして聞いていれば、だんだんと聞こえてくるだろう?ゼイユが言っていた、あのキビキビって声がさ」

 

 ドット「そ、そんな声…」

 ロイ「聞こえてくるわけ…」

 

 『キビキビーー‼︎』

 

 ビクッ

 

 リコ・ロイ・ドット・スグリ「「「「(・_・lll)!?」」」」

 

 シンヤが小声で喋りながらそう言うと、リコ、ロイ、ドット、スグリの4人は体に震えが走り、だんだん背筋が凍っていくのを感じた。すると、シンヤの言う通り、どこかからキビキビーーという声が聞こえきて、その声を聞き取った4人は恐怖で震え上がった。

 

 シンヤ「それにほら、もう俺たちの後ろにいるじゃねぇか。ゼイユと同じようなことをしている人たちがさ」

 

 ビクッ

 

 リコ・ロイ・ドット・スグリ「「「「(・_・lll)!!?」」」」

 

 ゴクッ(4人が唾を飲む音)

 

 リコ「ぁ……ぁ…」

 ロイ「ぅ…ぅ…」

 ドット「ぁ…ぁぁ…」

 スグリ「ぅ…ぅぅ…」

 

 シンヤの言葉を聞いたリコたちは、震えながら顔をゆっくりと後ろに向けて、後ろに誰がいるのかを確認した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (誰もいない)

 

 リコ「…えっ?」

 ロイ「誰も…」

 ドット「いない…」

 スグリ「うん…」

 

 パンッ‼︎(シンヤが手を思いっきり叩く)

 

 リコ・ロイ・ドット・スグリ「「「「わぁっ!?(>_<)」」」」

 

 シンヤ「ハハハッw、お前らビビリすぎだろw」

 

 リコ・ロイ・ドット「「「シンヤァァァァ‼︎ (╬ `^´)」」」

 

 リュウガ「子供か…」

 ミコ「…馬鹿」

 

 リコとロイとドットは、自分たちがシンヤに揶揄われていた事に気づくと怒ってしまい、リコはシンヤに詰め寄った。ちなみに、さっきリコたちが聞いたキビキビーーと言っている声の正体は、シンヤがスマホロトムの動画で録音したゼイユの声に、音声を変えるアプリを使ったものだった。

 

 リコ「も〜〜う‼︎本当にびっくりしたんだから‼︎」

 

 シンヤ「だって、呪いなんてないって言ってるわりには、あからさまにビビってる様子だったからさw」

 

 リコ「だからって嘘をつかなくてもいいでしょ‼︎」

 

 リコはそう言いながらシンヤの胸をぽかぽかと叩いた。しかし、あまり大きなダメージになっていないようで、シンヤはどこか楽しそうにしているような感じに見えていた。

 

 シンヤ「悪かったよ。まさか、あんなにビビってくれるとは思ってなかったからさ。けど、せっかくだから動画に撮っておけばよかったな」

 

 リコ「シンヤ‼︎私、本気で怒るよ‼︎」

 シンヤ「…」

 

 リコ「な、何?」

 

 シンヤ「いや、ヤキモチを焼いたリコの顔は何度も見たけど、本気で怒った顔をしたリコは見たことないと思ってさ」

 

 リコ「えっ?」

 

 シンヤ「そういえば、昨日リスタルさんに怒鳴られた時、怒ったリスタルさんの顔が、ダイアナさんとルッカ先生に似てるって、リコは言ってたな?ってことは、リコも怒ったら、怒った時のリスタルさんと同じになるってことだよな?」

 

 リコ「え?」

 

 シンヤ「あ〜、でも、リコが怒ったところは想像しにくいな」

 

 リコ「ちょっ…」

 

 シンヤ「もしリコが怒ったとしても、可愛くて怖くないかもな」

 

 リコ「もうっシンヤ‼︎こんな時に揶揄わないで‼︎///」

 

 シンヤ(こういうところなんだよな。やっぱり、俺の彼女は怒っても可愛いわw)

 

 嫉妬して怒ったリコの顔なら何度も見たことはあるが、リコが本気で怒ったところをシンヤは一度も見たことがない。それに、リコの祖母のダイアナとリコの母親であるルッカは、いつものほほんとしているイメージがシンヤの中では強いため、2人が怒った時の顔が上手く想像できなかった。だからこそ、2人の血を引いているリコが怒ってもあまり怖くないだろうと思っていた。…嫉妬したリコの顔がめちゃくちゃ怖かったのは覚えているが、そんなことは口が裂けてもリコに言えなかった。

 

 リュウガ「おい、こんな時に夫婦喧嘩しながらイチャついてんじゃねぇよ」

 

 リコ「夫婦喧嘩じゃありません!」

 シンヤ「つか、イチャついてもねぇし!」

 

 ボソッ(小声で話す)

 

 ミコ『ねぇ、シンヤとリコっていつもこんな感じなの?』

 

 ロイ『いつもってわけじゃないけど』

 ドット『大体こんな感じだよ』

 

 ミコ「ふぅ〜ん」

 

 ミコは小さい頃からシンヤと一緒にいるから、シンヤの性格は大体知り尽くしているが、こんなふうに女の子と楽しそうにしているシンヤを見たことがなかったため、新鮮なものを見ている気持ちになった。

 

 ロイ「って、それより、なんでスグリのお姉さんがああなったのか、その理由を考えないと!」

 

 リュウガ「何言ってんだ?ゼイユがああなった理由なんて至極単純なことだろ?シンヤもミコもとっくにその理由に気づいてるぞ」

 

 リコ・ロイ・ドット・スグリ「「「「えっ?」」」」

 

 リコ「ゼイユがどうしてあんなふうになったのか、シンヤたちにはわかるの?」

 

 シンヤ「当然」

 

 ミコ「ゼイユがああなった理由なんて、たった一つしかないでしょ?」

 

 スグリ「えっ?」

 ドット「一つしかないって…」

 ロイ「どんな理由なの?」

 

 シンヤ「そんなの、ポケモンの仕業に決まってるだろ」

 

 リコ・ロイ・ドット・スグリ「「「「ポケモンの仕業!?」」」」

 

 シンヤ「それしか考えられないだろ」

 

 リュウガ「前にエリアゼロに行った時、シンヤがディアルガで何をした?」

 

 リコ「エリアゼロに…」

 ロイ「行った時…」

 ドット「シンヤがディアルガで…」

 スグリ「したこと?」

 

 ・・・・・

 

 リコ・ロイ・ドット・スグリ「「「「あっ!」」」」

 

 リュウガにそう言われると、リコたちはエリアゼロに行った時のことを思い出し、そこでシンヤがディアルガの力を使い、オーリム博士とフトゥー博士を助けたことを思い出した。

 

 リコ「そっか!」

 ロイ「ポケモンの力なら!」

 ドット「不可能なことだって起こすことができる!」

 

 シンヤ「そういうことだ」

 

 リュウガ「ポケモンの持つ力は、俺たち人間の想像を簡単に超えるからな」

 

 ポケモンの持つ力は、人間の常識を遥かに凌駕する程の力がある。ポケモンが不思議な生き物と言われるのは、それが所以でもある。だからこそ、ゼイユがああなったのには、何か大きな力を待つポケモンが絡んでいるかもしれないと、シンヤとリュウガとミコはそう思っていた。

 

 シンヤ「ゼイユはキタカミの里でああなった。ということは、このキタカミの里のどこかに、ゼイユをあんなふうにしたヤツがいるということだ」

 

 スグリ「えっ?どうしてそう思うの?」

 シンヤ「これを見ろ」

 

 スッ(スマホロトムを見せる)

 

 リコ「これって…」

 

 ゼイユ『キビキビーー‼︎』

 

 シンヤはスマホロトムを取り出すと、ある映像が映ってる動画をリコたちに見せた。その動画に映っているのは、キビキビーーと言いながら踊っているゼイユの姿だった。

 

 ミコ「…盗撮?」

 シンヤ「違う!」

 リコ「シンヤ(T_T)」

 

 ミコが盗撮と口に出すと、リコから冷たい視線がシンヤに向けられた。しかし、リコがそういう目でシンヤを見るのも仕方なかった。自分の恋人が他の女の子の動画を撮っているのだから、リコの立場で考えれば嫌な気持ちになるだろう。…がしかし、シンヤがこの動画を撮っていたのは、ある理由があったからだった。

 

 シンヤ「リコ、そんな目で俺を見ないでくれ。俺がこの動画を撮ったのは、ちょっと気になることがあったからだ」

 

 リコ「気になること?」

 

 シンヤ「この動画に映ってるゼイユの体から、紫の靄みたいなものが出てるだろ?」

 

 シンヤにそう言われると、リコたちは動画に映ってるゼイユの姿をよく確認した。確かにシンヤの言う通り、ゼイユの体から紫の靄が発生しているのが分かる。

 

 リコ「ホントだ…」

 ミコ「よく気づいたわね」

 

 シンヤ「普通はすぐに気づくぞ。お前ら、踊ってるゼイユしか見てなかったろ?」

 

 リュウガ「そりゃあ、あんな変な踊りをしてれば、そっちに意識がいっちまうだろ」

 

 シンヤ「まあ、そうだけど。…とにかく、俺が踊ってるゼイユを見て最初に思ったのは、ゼイユは誰かに操られている可能性があるってことだよ」

 

 スグリ「…もしかして、ともっこの仕業かな?」

 

 ロイ・ドット「「ともっこ?」」

 

 シンヤ「いや、犯人はアイツらじゃない」

 スグリ「どうしてそう思うの?」

 

 シンヤ「人を操ることができるポケモンの特徴は、超能力や催眠術を使うエスパータイプが多いからな。《マシマシラ》はエスパータイプを持ってるけど、アイツらはどくタイプがメインのポケモンだ。それに、あのマシマシラのエスパータイプの技は、人を操れるほど強くなかった。恐らくゼイユを操ってるのは、マシマシラを遥かに凌ぐ程のヤツだ」

 

 エスパータイプのポケモンが使う超能力や催眠術は、人やポケモンを巧みに操ることができるため、もしゼイユが何者かに操られている可能性を考えるなら、エスパータイプのポケモンが強いとシンヤは思っていた。…しかし、ただ操られているだけなら、体から靄みたいなものは出ないはずなので、ゼイユは何か特殊な力に操られているのではないかと、シンヤはそう感じ取っていた。

 

 ロイ「ねぇ、さっきからシンヤが言ってるともっことかマシマシラって、一体何のこと?」

 

 シンヤ「ああ、そっか。リコには話したけど、お前らには、俺がこのキタカミの里でどういう冒険をしてきたのか話したことがなかったな」

 

 ドット「えっ?リコは、シンヤがキタカミの里で冒険した話を知ってるの?」

 

 リコ「うん。オレンジアカデミーで交流戦をする前に、シンヤが教えてくれたんだ」

 

 ドット「そうだったんだ」

 

 ミコ「それで、そのともっことかマシマシラっていうのは?」

 

 シンヤ「ああ、それはな…」

 

 このキタカミの里で冒険した時のことは、シンヤにとってあまり話したくないことなのだが、さすがにこの状況では話さないわけにはいかないので、シンヤは以前リコに話した時と同じことをリュウガたちに話した。

 

 リュウガ「お前とスグリにそんなことがあったのか」

 

 ロイ「それで、スグリはシンヤにあんな態度をとってたんだ…」

 

 スグリ「う、うん…」

 

 オレンジアカデミーでシンヤに謝罪するまで、自分がとっていた態度はあまりいいものではないとスグリも分かっているため、前に自分がしていたことを思い出すと、スグリは心の中で反省していた。

 

 シンヤ「その件はもう済んだことだから蒸し返さなくていい。今はそれより、ゼイユがなんでああなったのかを考えないと」

 

 リュウガ「まあ、そうだよな」

 

 ドット「でも、それを調べようにも、何の手がかりもないし…」

 

 シンヤ「いや、一つだけ手がかりがある」

 ドット「えっ?」

 

 リコ「その手がかりって?」

 シンヤ「…《ともっこ》さ」

 

 全員「「「ともっこ!?」」」

 

 シンヤ「ああ」

 

 スグリ「でも、俺がともっこの仕業かなって言ったら、犯人はアイツらじゃないって、さっきシンヤそう言ってなかったか?」

 

 シンヤ「ああ、ゼイユをあんなふうにしたのは、ともっこじゃないと俺は思ってる。けど、ゼイユがああなったのには、ともっこが絡んでいるんじゃないかって、そう強く感じるんだ。…それにアイツらは、墓から生き返った不思議なポケモンだ。何か妙な力を持っていてもおかしくない」

 

 ゼイユがあんなふうになったことと、ともっこが関係あるかはシンヤにも分からない。しかし、シンヤのポケモントレーナーとしての勘が、今回の件にはともっこが関係していると、そう強く訴えてくるのだ。

 

 リュウガ「じゃあ、いったんそれぞれバラバラになって、そのともっこってポケモンたちを探すか?」

 

 ミコ「そうね。他に手がかりもないんじゃ、そうする方が得策かも」

 

 ドット「でも、そのともっこってポケモンたちの顔、僕たち知らないんだけど」

 

 シンヤ「それは大丈夫。俺のポケモン図鑑に、3体のともっこの顔が載ってるから」

 

 シンヤはそう言うと、スマホロトムの図鑑機能を開き、3体のともっこの顔写真をリュウガたちに見せた」

 

 

 ポケモン図鑑・イイネイヌ・マシマシラ・キチチギス

 

 

 ミコ「これが、ともっこって呼ばれるポケモンたち?」

 シンヤ「ああ」

 

 リュウガ「どう見ても悪人面じゃねぇか」

 シンヤ「お前だって怖そうな悪人面をしてるじゃん」

 

 リュウガ「どういう意味だぁっ‼︎ (╬ `^´)」

 

 シンヤ「そういうとこだよ…」

 

 ミコ「それで、ともっこを探すメンバーはどうするの?」

 

 シンヤ「パワーバランスを考えれば、俺とリュウガとミコはバラバラのペアになるのが1番いい。っでその中に、リコとロイとドットとスグリを入れるけど、それはこれで決めよう」

 

 スッ(割り箸を出す)

 

 ロイ「えっ?」

 リコ「割り箸?」

 

 シンヤ「この4つ割り箸には、青いテープ、赤いテープ、緑のテープがそれぞれ巻いてある。青いのを引いたら俺と、赤はリュウガと、緑はミコとペアを組むことにする。全員それでいいか?」

 

 全員「「「うん!」」」

 

 シンヤ「じゃ、くじを引いてくれ」

 

 

 そして、くじ引きの結果…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンヤのチーム

 

 シンヤ「これで決まったな」

 

 リコ・スグリ「「うん」」

 

 

 リュウガのチーム

 

 ロイ「リュウガ、よろしくね」

 リュウガ「ああ」

 

 

 ミコのチーム

 

 ミコ「なんか、男女ペアになっちゃったね」

 ドット「うん」

 

 こうして、リコとスグリはシンヤと、ロイはリュウガと、ドットはミコのチームに決まり、それぞれ自分たちのライドポケモンに乗ると、ともっこたちを探すために、ロイとリュウガは《フジの池》に、ドットとミコは鬼が山の《ひやみず洞》に、リコとスグリとシンヤは、キタカミの里の北西にある《楽土の荒地》に向かうことになった。

 

 シンヤ「…ん?」

 

 楽土の荒地に向かう途中、シンヤたちはスイリョクタウンにある、桃沢商店という駄菓子屋に通った。しかし、そこでシンヤはあることに気がつく。

 

 シンヤ「スグリ」

 スグリ「何?」

 

 シンヤ「そこの駄菓子屋のおばさんがいなくなってるけど、何かあったのか?」

 

 スグリ「ううん。桃沢のばっちゃん、偶にいなくなる時があるんだ」

 

 シンヤ「そうなのか?」

 

 駄菓子屋のお婆さんがいなくなったのには、何か理由があると思ったシンヤだったが、どうやらただの勘違いだったようだ。

 

 グウウウウ~〜(シンヤの腹の虫の音)

 

 リコ・スグリ「「えっ?」」

 

 シンヤ「…ちょっと小腹が空いてきたな」

 

 スグリ「だったら、ばっちゃんのお店のお菓子でも買っていけば?」

 

 シンヤ「えっ?」

 

 リコ「でも、勝手にお菓子を買ったりしたらまずいんじゃ?」

 

 スグリ「大丈夫。ばっちゃんが店にいない時は、みんなそうしってから」

 

 リコ「えっ!?そうなの?」

 

 シンヤ「それ、お婆さんも納得してるのか?」

 スグリ「うん」

 

 普通どこかに出かけるなら、店の鍵を閉めて出かけるものだ。しかし、店の主人であるお婆さんが店も閉めずに出かけるということは、町にいるみんなが泥棒などするわけがないと信頼している証だろう。

 

 桃沢商店

 

 シンヤ「じゃあ、お金は置いてくから、少しお菓子を買っていこうかな。…ん?」

 

 リコ「どうしたの?」

 シンヤ「なんだコレ?」

 

 この町の住人でもあるスグリが一緒なら、お金はちゃんと払ったと証言してもらえるため、シンヤは店に置いてあるお菓子を少し買っていこうとした。すると、ご自由にどうぞと書いてある紙がテーブルに置いてあるのを見つけて、見つけた紙の隣には、中央が凹んだ形状をしている紫色の何かが、10個ほど皿に盛りつけられていた。

 

 リコ「これって…」

 スグリ「多分…お餅だと思う」

 

 シンヤ「なんか、変な色をした餅だな。…もしかして、腐ってるんじゃないか?」

 

 リコ「でも、いい匂いがするから、多分、腐ってはいないと思うよ」

 

 スグリ「うん。なんか甘い匂いがする」

 

 シンヤ「けど、さすがに食べる気はしないな」

 

 リコとスグリの言う通り、紫の餅からはいい匂いがするので腐ってはいないと思うが、見た目が不気味なのでシンヤは食べようとしなかった。

 

 シンヤ(何だろう。この餅を絶対に食べてはいけないと、俺の本能がそう叫んでる)…「ん?」

 

 スグリ「今度はどうしたの?」

 シンヤ「…桃の置きものがなくなってる」

 スグリ「えっ?桃の置きもの?」

 

 シンヤ「ほら、そこの座布団の上に置いてあった、甘い匂いがする《桃の形》をした置きものだよ」

 

 スグリ「そう言えば、そんなのが置いてあったな」

 

 ピカチュウ「ピィカッピカチュウ」

 シンヤ「ピカチュウも覚えてるよな?」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」コクッ

 

 シンヤ「その皿に乗ってる餅と同じで、甘い匂いがしてたから覚えてたんだけど」

 

 スグリ「ばっちゃんなら、何か知ってるかも知れないけど。今、ばっちゃん居ないしな」

 

 以前リコたちとここに来た時は、桃の形をした置きものが座布団の上に置いてあったのだが、今はその置きものがない。たったそれだけのことなのに、何故かシンヤは、桃の形をした置きものの行方が気になっていた。

 

 リコ「シンヤ、スグリ。ロイやドットたちは出発したんだから、私たちも行こうよ」

 

 スグリ「うん」

 

 シンヤ「ああ」…(まぁ、置きもののことは、お婆さんが戻ってきた時に聞けばいいか)

 

 スッ(財布を取り出す)

 

 シンヤはポケットから財布を取り出すと、買ったお菓子の合計金額のお金をテーブルの上に置き、リコたちと一緒に楽土の荒地に向かった。……そして、シンヤたちがスイリョクタウンから居なくなると、物陰からシンヤたちの様子を観察していた3体のポケモンが現れた。

 

 

 物陰

 

 「ヌゥゥンダフル」

 「マァシシシッ」

 「キィーチチチ」

 

 

 楽土の荒地

 

 シンヤ「…いないか」

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 リコ「シンヤ。どうしてここに来たの?」

 

 シンヤ「ここに、イイネイヌがいると思ってな」

 

 リコ「イイネイヌって、さっきシンヤが見せてくれたともっこの一体だよね?何でここに居ると思ったの?」

 

 シンヤ「それは、俺たちがこの場所でイイネイヌと戦って、オーガポンの《いしずえのめん》を取り戻した場所だからな」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 そう。かつてシンヤは、この場所でイイネイヌとバトルして、奪われた《いしずえのめん》を取り戻したのだ。そして、ロイとリュウガが向かったフジの池では、マシマシラとバトルして《いどのめん》を取り返し。そして最後に、ドットとミコが向かった鬼が山の《ひやみず洞》という洞窟を出た所でキチキギスとバトルし、勝利して《かまどのめん》を取り返したのだ。

 

 スグリ「…」

 

 シンヤ「スグリ。さっきからずっと黙ってるけど、どうした?」

 

 スグリ「ぁ…えっと、シンヤと初めてここに来た時の事を思い出してたんだ」

 

 シンヤ「ああ、二つ目の看板を探しにきた時のことか?」

 

 スグリ「うん」

 

 リコ「それって、シンヤとスグリがペアになって、オリエンテーリングを受けた時の話だよね?」

 

 シンヤ「そうそう。そこにある看板を探しに来たんだ」

 リコ「えっ?」

 

 シンヤが後ろに指を向けると、リコは後ろに大きな看板が設置されているのに気づいたので、その看板の前に移動すると、書かれている文字を読み始めた。

 

 リコ「怖いことが書いてあるけど、ここに書いてあるのって…」

 

 シンヤ「ああ、全部嘘だ。お前も知っての通り、オーガポンは魂を抜くようなポケモンじゃないからな」

 

 リコ「それは分かってるけど、何でこんな事が書いてあるんだろ?」

 

 シンヤ「さあ?スグリなら知ってるんじゃないか?」

 

 スグリ「俺にも分からないよ」

 リコ「そっか。……あれ?」

 

 シンヤ「どうした?」

 リコ「この看板に描いてある絵、何か変だよ」

 

 シンヤ・スグリ「「えっ?」」

 

 リコがそう言うと、シンヤとスグリはリコが見ている看板の目の前に歩いて行き、看板に描いてある絵を観察し始めた。しかし、シンヤとスグリには、絵が変というリコの言葉の意味が全く分からなかった。

 

 シンヤ「リコ、この絵の何が変なんだ?」

 スグリ「何も変なところはないと思うけど」

 

 リコ「この看板の左に描いてある絵って、オーガポンだよね?」

 

 スグリ「うん」

 

 リコ「っで、右に描いてある絵が、オーガポンを追いかけてるともっこでしょ?」

 

 スグリ「そうだよ」

 

 シンヤ「それのどこが変なんだ?ともっこがオーガポンを追いかけてる絵が描いてあるだけだろ?」

 

 リコ「だって、さっきシンヤが見せてくれた図鑑に載ってたともっこの中には、人の姿をしたともっこはいなかったでしょ?だけど、この看板に描いてあるともっこの中に、人の姿をした絵が混じってるよ」

 

 シンヤ・スグリ「「えっ!?」」

 

 シンヤとスグリは、看板に描いてあるともっこの絵をもう一度よく観察した。確かに看板の絵には、オーガポンを追いかけているともっこの姿が描かれており、一番右に描いてある絵には、人の姿をした絵が描いてあった。

 

 スグリ「ホントだ!」

 

 シンヤ「今まで気づかなかった…ッ!そうか!そういうことだったのか!」

 

 スグリ「えっ?」

 リコ「シンヤ、どうしたの?」

 

 ガシッ(リコの両肩を掴む)

 

 リコ「えっ!?////」

 

 シンヤ「リコ、お前のお陰で分かったぞ!」

 リコ「えっ?」

 

 スグリ「何が分かったの?」

 シンヤ「ゼイユをあんなふうにしたヤツの正体だよ!」

 

 リコ・スグリ「「えっ!?」」

 

 看板に描いてある絵を見たリコの言葉が大きなヒントになったことで、シンヤはある仮説に行き当たり、何故ゼイユが奇妙な踊りを踊り出したのか、シンヤはその答えに辿り着いた。もちろん、その答えが正しいのか分からないし、確たる証拠もない。しかし、ある根拠がシンヤにはあった。

 

 スグリ「じゃあ、姉ちゃんがあんなふうになったのは、呪いとかじゃなくて…」

 

 シンヤ「ああ。俺やリュウガやミコの思った通り、あれはポケモンの仕業だ。呪いなんかじゃない。リコのお陰で、やっとその正体が分かった」

 

 リコ・スグリ「「ッ!」」

 

 シンヤ「俺の推理通りなら、ゼイユがああなったのには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …4体目のともっこが絡んでる筈だ」

 

 リコ・スグリ「「……えぇーーーっ!?」」

 

 スグリ「4体目の…」

 リコ「ともっこ!?」

 

 シンヤ「それ以外の理由が考えられない」

 

 リコの言葉からヒントを得て、シンヤが辿り着いた仮説。それは、4体目のともっこが存在するというものだった。

 

 スグリ「ちょ、ちょっと待って!シンヤ」

 シンヤ「ん?」

 

 スグリ「4体目のともっこがいるなんて変だよ!ともっこは全部で、イイネイヌ、マシマシラ、キチキギスの3体だけの筈だ!もし4体目のともっこがいたなら、イイネイヌたちと同じような扱いを受けていて、このキタカミの里では有名になってる筈だよ!」

 

 シンヤ「ああ、正しい歴史が伝えられていて、間違った歴史が伝えられていなければ、4体目のともっこも、イイネイヌたちと同じように、このキタカミの里で英雄扱いされていただろうな」

 

 スグリ「えっ?」

 リコ「間違った歴史?」

 

 シンヤ「歴史っていうのは、何もそこに書かれていることが全てじゃない。それはあくまで、過去の人たちが見てきて書き記したもの。だけど、実際に見てきたものが間違っていて、それが後世に伝えられているなんて話はよくあるんだ。例えば、スグリがよく知ってるオーガポンだって、お前が誤解を解くまでは、村のみんなから悪者扱いされてただろ?」

 

 スグリ「ッ!」

 

 シンヤ「パゴゴに関してもそうだ」

 リコ「えっ?パゴゴが?」

 

 シンヤ「ああ。昨日リスタルさんに会うまで、俺たち全員、パゴゴがルシアスのポケモンだって思ってただろ?」

 

 リコ「ッ!」

 

 シンヤの言葉に、リコとスグリはハッとなると、それぞれ何か思う所があったのか、言葉を詰まらせて何も言わなくなってしまう。

 

 シンヤ「まぁだからと言って、4体目のともっこがいる確証はな…」

 

 きゅるるる(お腹の音が鳴る音)

 

 シンヤ「えっ?」

 ピカチュウ「ピィカッ?」

 スグリ「…今のって…」

 

 チラッ(リコを見る)

 

 リコ「ごっ、ごめんなさい!///」

 

 シンヤが話をしていると、誰かの腹の虫の音が聞こえてきたので、シンヤとスグリは音が聞こえてきた方に顔を向けた。すると案の定、さっきのお腹の音はリコから聞こえてきたものだった。

 

 シンヤ「…腹、減ったのか?」

 リコ「う…うん///」

 

 腹の虫の音をシンヤに聞かれたのがよほど恥ずかしかったのか、リコは顔を下に向けていた。

 

 シンヤ「さっき買った菓子は食っちまったし、他に食べるものは持ってきてないからな。…あっ、そうだ!これからキタカミセンターに行こうぜ」

 

 リコ「えっ?」

 スグリ「キタカミセンターに?」

 

 シンヤ「確か、焼きそばとリンゴ飴の屋台なら、一年中やってるって聞いたんだけど」

 

 リコ「えっ?そうなの?」

 

 スグリ「うん。他の屋台もたまにやってる時とかあるけど、焼きそばとリンゴ飴の屋台だけは毎日やってるよ」

 

 シンヤ「だったら、そこで何か買って食べればいい。それに、船にいるフリードたちのお土産ように、リンゴ飴も買えばいいしな」

 

 リコ「うん!そうだね!」

 

 

 イイネイヌがいなければ、ここに留まる理由がないので、シンヤたちは食べ物を買うためにキタカミセンターに向かった。

 

 

 キタカミセンター

 

 シンヤ「リコ、腹一杯になったか?」

 リコ「うん。焼きそばを食べたらお腹一杯になったよ」

 

 シンヤ「そっか。フリードたちのお土産も買えたし、後はともっこを探すだけだな」

 

 スグリ「でも、一体どこにいるんだろ?」

 

 「おや、スグリにシンヤ君じゃないか?」

 

 シンヤ「えっ?」

 スグリ「あっ、じーちゃん」

 

 キタカミセンターにやってきたシンヤたちは、焼きそばとリンゴ飴を購入すると、キタカミセンターに行く途中にある《舞出山道》という階段の近くにやってきた。そこでリコが焼きそばを食べた後、シンヤたちは再びともっこを探しに行こうとしたのだが、そこで偶然スグリの祖父に出会った。

 

 シンヤ「どうも」

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 スグリ「じーちゃん、なんでここに?ねーちゃんは大丈夫なの?」

 

 スグリの祖父「ゼイユは踊り疲れたのか、部屋でぐっすり寝ておるよ」

 

 スグリ「そっか、よかった…」

 

 シンヤ「でも、どうしてお爺さんがここに?家でゼイユを見てたはずじゃ?」

 

 スグリの祖父「ゼイユはキタカミ焼きそばが大好きだから、大好きなキタカミ焼きそばを食べれば、ゼイユが元に戻るかと思ってな。それで、ばーさんがあの子を見てくれている間に、ワシがキタカミ焼きそばを買いにきたんじゃ」

 

 シンヤ「そうでしたか」

 

 スグリの祖父「…おや?そっちの女の子は?」

 

 リコ「あ、初めまして!リコです!」

 シンヤ「今、俺が一緒に旅をしている子なんです」

 

 スグリの祖父「そうじゃったか」

 

 シンヤ「あっ、そうだ。スグリのお爺さん、ここら辺でともっこを見ませんでしたか?」

 

 スグリの祖父「ともっこを?…いや、見ておらんが。…そう言えば、さっきスイリョクタウンで、君と同じくらいの男の子と女の子にも、同じことを聞かれたな」

 

 シンヤ「それって、もしかしてこの2人ですか?」

 

 スッ(リュウガとミコの写真を見せる)

 

 スグリの祖父「おおっ、この2人じゃよ。…そう言えば、ここに来る途中、ばーさんがこの2人と何か話しておるのを見たな」

 

 シンヤ「えっ?」

 スグリ「ばーちゃんが?」

 

 スグリの祖父「ああ」

 

 シンヤ「…」

 

 ???「…オジーサン」

 

 シンヤ・リコ・スグリ・スグリの祖父「「「「えっ?」」」」

 

 リュウガとミコとスグリの祖母にはなんの接点もない。なのに、一体何の話していたのか、シンヤにはそれが気になっていた。すると、いつの間にかシンヤたちの後ろに誰かが立っていて、スグリの祖父に声をかけてきた。

 

 スグリの祖母「…」

 

 スグリの祖父「おおっ、ばーさん!」

 シンヤ「えっ?」

 

 スグリの祖父に声をかけてきた人物の正体は、スグリとゼイユの祖母だった。

 

 スグリ「ばーちゃん」

 リコ「は、初めまして!」

 

 スグリの祖母「…」

 

 リコ「えっ?」

 

 スグリ「ばーちゃん、何でここに?家で姉ちゃんを見てたんじゃ?」

 

 スグリの祖母「…」

 

 スグリの祖父「ばーさん、さっきの2人と何を話しておったんじゃ?」

 

 スグリの祖母「…」

 

 スグリの祖父「ばーさん?」

 シンヤ「…」

 

 スグリの祖母「…」

 

 スッ(スグリの祖母がある物を取り出す)

 

 シンヤ「ぁ、それは…」

 

 リコとスグリが話しかけたり、リュウガたちと何を話していたのかをスグリの祖父が聞いても、スグリの祖母は黙ったままだった。…しかししばらくすると、スグリの祖母は皿に盛りつけられているある物を取り出した。それは、さっき駄菓子屋に置いてあった紫色の餅だった。

 

 スグリの祖母「おジーさん、おモち、ドうゾ」

 スグリの祖父「え?…いや、今お餅はいらないから」

 

 スッ(スグリの祖母の目が開く)

 

 ズイッ(皿を前に突き出す)

 

 スグリの祖母「おジー…ささん、も、ち……お…もち…た…べ……テテ」

 

 スグリ「ばーちゃん?」

 リコ「なんか、様子が変じゃない?」

 シンヤ「ああ」

 

 スグリの祖母が強引に餅を食べさせようとしている所を見ると、シンヤとリコは妙な違和感を覚えた。

 

 スグリの祖父「分かった。食べればいいんじゃろ?」

 

 スッ(餅を手に取る)

 

 パクッ…モグモグッ(餅を食べる)

 

 シンヤ「あっ」

 

 スグリの祖父は、スグリの祖母に餅を食べるよう強引に勧められると、皿に載っている紫色の餅を一つ手に取って食べてしまう。

 

 スグリの祖父「ほら、餅を食べたぞ。これでいいんだろう。……ん?」

 

 スグリ「じーちゃん?…どうしたの?」

 

 スグリの祖父「……」

 

 紫色の餅を食べてから少し経つと、スグリの祖父は目を閉じてしまう。……しかし、しばらくすると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スグリの祖父「キビキビーー‼︎」

 

 シンヤ・リコ・スグリ「「「ええっ〜〜!?」」」

 

 紫色の餅を食べてからしばらくすると、スグリの祖父の体から紫の靄が発生した。するとすぐその後に、スグリの祖父はゼイユと同じように突然キビキビーーと言い出し始めると、両手を上下に上げ下げしながら奇妙な踊りを踊り始めた。

 

 スグリ「な、何でじーちゃんまで!?」

 シンヤ「あの紫色の餅を食ったからだ!」

 

 リコ「じゃあもしかして、ゼイユがああなったのは!」

 

 シンヤ「ああ、恐らくゼイユも、どこかであの餅を食ったんだ!」

 

 スグリの祖父・スグリの祖母「「キビキビーー‼︎」」

 

 スグリ「じーちゃん、ばーあちゃん…」

 

 ズイッ(皿を前に突き出す)

 

 スグリの祖母「アな…タ…タち…も…」

 

 スグリの祖父「も、ち……お…モちを…た…べ……ナ…さい」

 

 シンヤ「ッ!リコ!スグリ!絶対、あの餅を食べるなよ!」

 

 リコ「う、うん!」

 スグリ「…」

 

 スグリの祖父は、紫色の餅を食べるまでは普通だった。しかし、餅を食べた後にスグリの祖父はおかしくなった。ということは、紫色の餅を食べたらどうなるのか分かりきっているので、シンヤたちは絶対に紫色の餅を食べようとしなかった。だが、スグリの祖母とスグリの祖父は、シンヤたちに餅を食べさせようとジリジリと近づいてきた。

 

 ピカチュウ「ピィカッ、チューーーウ‼︎」

 

 スグリの祖父・スグリの祖母「「キビィィィーー!?」」

 

 リコ「えっ!?」

 シンヤ「ピ、ピカチュウ!?」

 

 スグリの祖母と祖父がシンヤたちに近づいてくると、ピカチュウはシンヤたちを守ろうと、スグリの祖母と祖父に「10まんボルト」を放った。

 

 スグリの祖母「モちを…た…べ……ナ…さい」

 スグリの祖父「キビ…キビ……」

 

 ピカチュウの「10まんボルト」を喰らった後にそう言い残すと、スグリの祖母と祖父は立ったまま動かなくなってしまった。

 

 リコ「だ、大丈夫…かな?」

 

 シンヤ「黒焦げになってないし、倒れもしないから、多分、大丈夫だと思う…」

 

 人間がポケモンの技を喰らえば、怪我だけでは済まない場合もある。しかし、さっきピカチュウが放った「10まんボルト」は、明らかに威力が弱かった。恐らく、ピカチュウも2人を本気で攻撃してはまずいと思い、「10まんボルト」の威力を抑えていたのだろう。

 

 スグリ「うぅ…ああ……じーちゃんとばーちゃんまでおかしく……なっちまった」

 

 シンヤ「スグリ…」

 リコ「ッ…」

 

 スグリ「きっと、次は俺だ。俺がおかしくなっちまうんだぁ‼︎」

 

 自分の祖父と祖母がおかしくなったのが余程ショックだったのか、スグリは目の前の現実を受け入れられず、錯乱状態になってしまう。

 

 シンヤ「落ち着けスグリ!あの紫色の餅を食べなければ、おかしくはならない!」

 

 リコ「シンヤの言う通りだよ!紫色のお餅を食べなければいいんだから、気をしっかり持って!」

 

 スグリ「シンヤ、リコ。…ありがとう。俺、少し弱気になってた」

 

 シンヤ「お前がパニクるのも分かる。けどまずは、あの紫色の餅を誰が作ったのかを調べないと」

 

 リコ「確かに。あれを食べてから、スグリのお祖父さんはおかしくなっちゃったんだもんね」

 

 スグリ「でも、あんな餅を作る人、このキタカミの里には…」

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…

 

 シンヤ「あっ、少し待ってくれ」

 

 ピッ

 

 リコやスグリと話をしていると、スマホロトムに着信が入ったので、シンヤはスマホロトムを手に取って画面をタッチした。すると、画面にリュウガの顔が映し出された。

 

 リュウガ『シンヤ!そっちは無事か!?』

 シンヤ「えっ?無事って?」

 

 リュウガ『その様子だと、お前たちは無事みたいだな』

 

 シンヤ「お前たちはって…そっちでは何かあったのか?」

 

 リュウガ『ああ。フジの池に行った後、俺とミコはスイリョクタウンに戻ってきたんだ。そしたら、村中のみんながキビキビーって言いながら踊ると、いきなり俺たちを襲ってきたんだ』

 

 リコ「えっ!?」

 スグリ「村のみんなが!?」

 シンヤ「…マジかよ」

 

 リュウガ『今、俺とミコは、桃沢商店っていう駄菓子屋の前にいるんだが…』

 

 ミコ『リュウガ!』

 リュウガ『んっ?』

 

 ???『モモワーーイ‼︎』

 

 リュウガ「ッ!《モモワロウ》!?」

 

 シンヤ「はっ!?モモワロウ!?」

 

 モモワロウ『モモワァーーイ‼︎』

 

 リュウガ・ミコ『『うわぁぁ〜〜〜⁉︎』』

 

 ブツッ…ツー…ツー

 

 スグリ「おーい!2人とも!大丈夫!?」

 

 リコ「リュウガ!ミコ!」

 

 リュウガが何か言おうとした次の瞬間、今までシンヤが聞いたことのないポケモンの鳴き声が聞こえてくると、リュウガはそのポケモンのことをモモワロウと呼んだ。それは、シンヤが初めて聞くポケモンの名前だった。そして、モモワロウが次に大きな声を出すと、スマホロトムの通話が切れてしまう。

 

 シンヤ「リコ!スグリ!すぐに桃沢商店に行くぞ!」

 ピカチュウ「ピィカッ!

 

 リコ「うん!」

 

 スグリ「じーちゃん、ばーちゃん、ここで待っててくれ」

 

 さっきのリュウガの様子から察するに、尋常じゃない事態なのは間違いないので、最悪の事態になる前に、シンヤたちはライドポケモンに乗って桃沢商店に急いだ。

 

 桃沢商店・夜

 

 シンヤ「リュウガ〜!ミコ〜!」

 リコ「ドット〜!ロ〜イ!」

 スグリ「いたら返事をしてくれ〜!」

 

 シンヤたちがスイリョクタウンにやってくる頃には、日は沈んで夜になっていたのだが、そんなことなど関係なしに、シンヤたちはリュウガたちの名を呼び続けた。だが、リュウガたちから返事は返ってこなかった。

 

 シンヤ「…」

 リコ「シンヤ、どうしたの?」

 

 シンヤ「さっきから、人の気配が全くしない」

 リコ「えっ?」

 

 スグリ「そう言われてみれば、まだ午後の7時なのに、さっきから人の姿がない」

 

 シンヤ「ああ、まるでゴーストタウンだ…」

 

 ブライア先生に会うためにキタカミの里に来た時も、人の気配は全くなかった。しかし、今とあの時と違うのは、何か妙な気配がスイリョクタウンに漂っていて、リュウガが電話で言っていたことが原因だろう。

 

 シンヤ(襲われたとか言ってたけど。アイツら、無事なんだろうな?)

 

 「リザァァァッ!」

 「ボォォォーマァァッ!」

 「ウィィーーンッ!」

 「アァーーケッ!」

 

 シンヤ「ん?

 リコ「この鳴き声…もしかして?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リザードン「リザァァァッ!」

 ボーマンダ「ボォォォーマァァッ!」

 ウインディ「ウィィーーンッ!」

 アーケオス「アァーーケッ!」

 

 フリード「お〜〜い!」

 シンイチ「やっと見つけたぜ!」

 ダイアナ「どうやら無事みたいだね」

 N「ええ」

 

 オリオ「よかった」

 マードック「何かあったんじゃないかって思ったぞ」

 モリー「でも、シンヤとリコしかいないみたいだけど」

 

 リコ「おばあちゃん⁉︎」

 シンヤ「父さんにN、それにフリードたちまで⁉︎」

 

 シンヤがリュウガたちの無事を祈っていると、4つの大きな鳴き声が聞こえてきたので、シンヤとリコとスグリは鳴き声が聞こえてきた方に顔を向けた。するとそこには、ライドポケモンに乗って桃沢商店に向かってくるフリードたちの姿が見えた。

 

 シンヤ「おおっ、ボーマンダ!久しぶりだな!」

 ボーマンダ「ボォォマッ!」

 

 リコ「このボーマンダって、シンヤのお父さんのポケモンなんですか?」

 

 シンイチ「ああ、そうだよ」

 

 シンヤ「ん?何で父さんたちがここにいるの?」

 

 シンイチ「何度も電話したのに、お前たちが電話に出ないから心配になって、みんなでお前たちを捜しにきたんだ」

 

 シンヤ「えっ?」

 リコ「電話?」

 

 スッ(スマホロトムを手に取る)

 

 シンヤ「あっ…」

 リコ「ホントだ。何件も電話やメールが来てる」

 

 フリード「おっ、スグリも一緒だったのか?」

 スグリ「はい」

 

 オリオ「フリード、この子のことを知ってるの?」

 

 フリード「ああ。ゼイユの弟のスグリだ」

 

 マードック「スグリって、朝シンヤに電話してきた子か?」

 

 シンヤ「そうそう。スグリ、紹介するよ。俺の父さんと、リコの祖母のダイアナさんに、帽子を被ってるのがN。後は、俺が一緒に旅をしている、ライジングボルテッカーズのみんなだ」

 

 スグリ「ぁ、どうも」ペコッ(頭を下げる)

 

 マードック「よろしくな。それより、ドットたちはどうしたんだ?」

 

 シンヤ「そうだった!のんびり挨拶してる場合じゃない!」

 

 フリードたちが来てくれたのは心強いが、状況が悪いのは変わらない。しかし、今は味方が1人でも多い方がいいので、シンヤはフリードたちに、今キタカミの里で起こっていることを話そうとした。

 

 ???「…シンヤ、リコ」

 

 シンヤ「ん?」

 リコ「えっ?」

 

 シンヤがフリードたちに状況を説明しようとすると、シンヤたちの後ろに4人の男女がいつの間にか立っていて、シンヤとリコに声をかけてきた。その人物の正体は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リュウガ・ミコ・ロイ・ドット「「「「……」」」」

 

 スグリ「うわっ!?」

 シンヤ「リュウガ!ミコ!」

 リコ「ロイにドットまで!」

 

 シンヤたちの後ろから現れた4人の男女の正体は、リュウガとミコとロイとドットだった。

 

 リュウガ・ミコ・ロイ・ドット「「「「……」」」」

 

 シンヤ(4人の目の色がおかしい…)

 

 さっきスマホロトムでリュウガと話した時、シンヤはリュウガから、『村中のみんながキビキビーって言いながら踊ると、いきなり俺たちを襲ってきたんだ』と焦る様子で話していたのを聞いていた。なのに、今のリュウガは焦る様子がないので、シンヤは何か変だと思い、4人の様子が明らかにおかしいと気づいていた。

 

 シンヤ「…お前ら、無事だったのか?」

 

 フリード「えっ?」

 モリー「無事って?」

 

 ロイ・ドット「「…」」

 

 スッ(餅がのっている皿を2人が取り出す)

 

 シンヤ「げっ!?」

 リコ「そ、それって…」

 スグリ「ぁ…」

 

 ロイ「みん…ナ…」

 ドット「も、ち……オ…もち…た…べ……テ」

 

 シンヤ「ッ、みんな!すぐにリュウガたちから離れろ!」

 

 フリード・マードック・オリオ・モリー・ダイアナ・シンイチ・N「「「「「「「えっ?」」」」」」」

 

 ロイとドットが皿に載っている紫色の餅を前に出すと、それが何を意味しているかもう分かっている。もちろん、それを食べればどうなるのかは、スグリの祖父を見ていたから言うまでもない。だからこそ、シンヤはフリードたちをリュウガたちに近づけさせようとしなかった。

 

 オリオ「シンヤ、一体どうしたの?」

 

 マードック「そうだ。せっかくドットが俺たちに、食べてって言ってくれてるんだぞ!」

 

 シンヤ「あれを食べたらダメなんだって!」

 モリー「何で?あれってただの餅でしょ?」

 

 リコ「違うの!あれを食べたら…」

 

 「モモワァーーイ!」

 

 シンヤ「ッ!この鳴き声は!」

 

 シンヤがフリードたちの前に立って通せんぼをしていると、どこからか、リュウガがモモワロウと呼んでいたポケモンの鳴き声が聞こえてきた。

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 シンヤ「上か!」

 

 バッ(上を見る)

 

 ピカチュウが上に指を差すと、シンヤたちは桃沢商店の屋根の上を見た。するとそこには、桃の実のような形をしているドローンのようなものが浮いており、中心が黒く、その他は毒々しい色をしていた。

 

 ???「…」

 

 フリード「なんだ、アレ?ポケモンか?」

 キャプテンピカチュウ「ピカッ…」

 

 シンヤ「まさか、あれが《モモワロウ》か!?」

 

 パカッ(殻が割れる)

 

 モモワロウ「モモワーーイ‼︎」

 

 バババッ(餅を射出する)

 

 シンヤ「なっ!?」

 リコ「あれって!」

 スグリ「ばーちゃんやロイたちが持ってた餅だ!」

 

 空中に浮いているドローンのようなものが真っ二つに割れると、中から体が小さいポケモンが現れ、紫色の餅をシンヤたちに射出してきた。それを見たシンヤとリコとスグリは、ゼイユやリュウガたちがおかしくなった原因は、モモワロウのせいなのだと確信した。

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 キャプテンピカチュウ「チューーウッ!」

 ウィンディ「ウィィーーンッ!」

 リザードン「リザァァァッ!」

 アーケオス「アァーーケッ!」

 ボーマンダ「ボォォォーマァァッ!」

 

 バァァァァン(餅を弾く)

 

 シンヤ「サンキューピカチュウ、助かったぜ」

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 リコ「ありがとう、キャップ」

 キャプテンピカチュウ「ピカチューウ!」

 

 シンヤたちの口の中にモモワロウが射出した餅が入りそうになると、ピカチュウたちが手や足を体を使って、シンヤたちの口の中に餅が入るのを防いでくれた。そのお陰で、シンヤとリコ、ダイアナにフリード、Nとシンイチは無事だったが、マードックとオリオとモリーの口の中に、モモワロウが射出した紫色の餅が入ってしまう。…ちなみに、スグリの口の中に餅が入らなかったのは、避けようとしたスグリのデコに餅が当たったからだった。

 

 パクッ…モグモグッ(餅を食べる)

 

 マードック「ん?これって、ドットやロイが持ってた皿にのってた餅か?」

 

 オリオ「ほのかな甘みがあって、結構イケるかも」

 モリー「うん。味は悪くないね」

 

 スグリ「それは食べたらダメです!」

 シンヤ「3人とも、すぐにその餅を吐き出せ!」

 

 フリード「シンヤ、さっきからどうしたんだ?」

 

 シンイチ「そうだぞ。第一、女性に吐けなんて言葉を使うもんじゃ…」

 

 シンヤ「そんなことを言ってる場合じゃないんだって!あれを食べると…」

 

 マードック「うおっ!?」

 オリオ「何これ!?」

 モリー「ぁ…ぁ…」

 

 シンヤ「おい、大丈夫か?」

 

 マードック「キ…キ……」

 オリオ「ビ……ビ…」

 モリー「ィ……ィィ…」

 

 クルッ(マードックとモリーとオリオがシンヤたちの方を向く)

 

 マードックとオリオとモリーがモモワロウの射出した餅を食べると、3人の手から紫の靄が発生した。そして、紫の靄がマードックたちの体に広がっていくと、スグリの祖父に起こったことと同じことが起きた。

 

 

 

 

 

 

 マードック・オリオ・モリー「「「キビキビーー‼︎」」」

 

 フリード「はっ!?」

 キャプテンピカチュウ「ピカァッ!?」

 ダイアナ「ど、どうしたんだい?」

 シンイチ「こ、これは…」

 N「ぁ…」

 

 言わずもがなだが、マードックとオリオとモリーが紫色の餅を食べてからしばらくすると、スグリの祖父の時と同じように紫の靄を発生させた後、3人はキビキビーーと言いながら、両手を上下に上げ下げするという踊りを踊り始めた。

 

 マードック「キ……キビキビ」

 

 スグリ「あれ?マードックさん、ちょっと照れてない?いや、それより…」

 

 シンヤ「ああ、これでハッキリした。ゼイユやスグリのお祖父さん、ロイやドットがおかしくなった原因の餅。それを作っていたのは、あのモモワロウだったんだ!」

 

 モモワロウ「モモワァーーイ!」

 

 リュウガ・ミコ・ロイ・ドット・マードック・オリオ・モリー「「「「「「「キビキビーー‼︎」」」」」」」

 

 シンヤ「あっ!」

 スグリ「アイツ!ロイたちを盾にしてる!」

 

 モモワロウが発射した餅は、桃沢商店に置いてあった餅や、スグリの祖母が持っていた餅と全く同じものだった。そして、マードック、オリオ、モリーの3人は、モモワロウが発射した餅を食べて踊り出した。ということは、今キタカミの里で起きている不可解な現象は、目の前にいるモモワロウが引き起こしたということが明白なので、シンヤたちはモモワロウを倒そうとした。しかし、モモワロウが声を上げると、ロイたちはモモワロウを守ろうとしてシンヤたちの前に立ち塞がった。

 

 シンヤ「しょうがない。ピカチュウ!さっきと同じように頼む!」

 

 ピカチュウ「ピッカァッ!」

 

 バッ(シンヤの肩からジャンプする)

 

 ロイたちを攻撃するのは気が引けるが、このままでは永遠にロイたちを救うことはできないので、シンヤはロイたちに「10まんボルト」を放つようピカチュウに指示した。

 

 ピカチュウ「ピカァァッ、チューーーウ‼︎」

 

 リュウガ・ミコ・ロイ・ドット・マードック・オリオ・モリー「「「「「「「キビィィィーー!?」」」」」」」

 

 ピカチュウの「10まんボルト」を浴びせれば、少しの間だけ動かなくなるということがスグリの祖父と祖母で実証されているので、ピカチュウは威力を弱めた「10まんボルト」をロイたちに放った。

 

 リュウガ・ミコ・ロイ・ドット・マードック・オリオ・モリー「「「「「「「キィィ…ィィ…」」」」」」」

 

 シンヤ「止まったか…」

 リコ「よかった」

 

 スグリ「次は…お前だ!」

 

 モモワロウ「モッ!?(・_・٥)……モモモーー!」ピューーーウッ!

 

 ピカチュウの電撃を喰らったロイたちが動かなくなると、モモワロウはそそくさとロイたちの元から離れていた。その事にスグリが気づくと、モモワロウは全速力でこの場を去った。

 

 スグリ「あっ、待てーー!」ダッ

 シンヤ「おい!スグリ!」

 

 リコ「シンヤ、どうするの?」

 シンヤ「もちろん…」

 

 スチャ(ボールを取り出す)

 

 ポーーン

 

 ミライドン「アギャアアッ!」

 

 シンヤ「追うに決まってんだろ!リコ、ミライドンに乗れ!」

 

 リコ「うん!」

 

 フリード「おい!2人ともどこに行く気だ⁉︎」

 

 シンヤ「事情は後でちゃんと説明するから、フリードたちはロイたちを見といてくれ!」

 

 スグリの実力はシンヤも知っているが、相手は今まで見たことのない未知のポケモンで、人を操るという厄介な能力を持っている。そんなポケモンをスグリ1人に任せるわけにはいかないので、シンヤとリコはミライドンに乗ると、すぐにスグリの後を追いかけた。

 

 ともっこプラザ

 

 シンヤ「スグリ、どこに行った?」

 ピカチュウ「ピィカッ?」

 

 ミライドンに乗ってスグリの後を追いかけてきたシンヤたちは、スイリョクタウンから少し離れた場所にある《ともっこプラザ》という所にやってきた。

 

 リコ「「シンヤ!あそこを見て!」

 シンヤ「えっ?…あっ!」

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 シンヤがスグリを捜していると、リコが前の方を指差したので、シンヤはそこに目を向けた。

 

 スグリ「ぅ…」

 モモワロウ「モモワァーーイ!」

 

 「ヌゥゥンダフルw」

 「マァシシシッw」

 「キィーチチチw」

 

 シンヤ「ッ!アイツらは!」

 

 リコが指を差した場所は、以前ともっこたちが復活した時に壊れてしまった、ともっこを祀る墓があった場所だった。そこにスグリとモモワロウはいたのだが、スグリとモモワロウの他に、イヌ、サル、キジに似ている3体のポケモンがいて、その3体のポケモンの体には、マゼンタ色の2つの突起がある輪が付いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イイネイヌ「ヌゥゥンダフル」

 マシマシラ「マァシシシッ」

 キチキギス「キィーチチチ」

 

 シンヤ「イイネイヌ!マシマシラ!キチキギス!」

 

 イヌ、サル、キジに似ている3体のポケモンの正体。それは、かつてオーガポンから仮面を奪おうとした、ともっこと呼ばれる3体のポケモンたちだった。

 

 ポーーン

 

 オーガポン「ぽにおっ‼︎」

 

 リコ「えっ?」

 シンヤ「オーガポン!?」

 ピカチュウ「ピィカッ!?」

 

 シンヤたちがスグリたちのいる所にやってくると、シンヤの腰についているモンスターボールが勝手に開き、中からオーガポンが現れた。

 

 オーガポン「がおうっ‼︎」

 

 スグリ「ッ、鬼さま!?」

 

 モモワロウ「モモッ!?」

 イイネイヌ「ヌンダフッ!?」

 マシマシラ「マシッ!?」

 キチキギス「キチッ!?」

 

 オーガポンはボールから出てくると、その場でいきなり大きな声を上げた。その声がスグリやモモワロウたちにも聞こえると、全員の視線がオーガポンに集まる。

 

 

 

 To be continued

 

 次回予告

 

 リュウガやロイたちを助けるため、キタカミの里のみんなを救うために、シンヤたちはモモワロウたちにバトルを挑んだ。果たしてシンヤたちは、モモワロウたちを倒し、リュウガたちを助け出すことができるのだろうか?

 

 次回「因縁の対決!オーガポンvsモモワロウ‼︎」

 





 スローイングさん、星9評価ありがとうございます。

 出来ればゴールデンウィーク中に、エンテイが出るところまで書くつもりでしたが、託された未来、この世界の輝き編や、モモワロウの話を書いていて間に合いませんでした。

 結構アニメから離されているので、86話から少しペースを上げていきます。
 
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