ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 釣り船屋のマモルから、前に船に乗せた釣り人がエンテイを見たと聞いたシンヤたちは、次の日の朝、マモルの言っていた釣り人を訪ねてエンテイの話を聞いた。そのあと、他にもエンテイを見た人がいないか港で探し回った結果、ほとんどの人がエンテイを港で目撃したということがわかった。



第88話『エンテイとゼロ!伝説大バトル‼︎』

 

 ブレイブアサギ号・ミーティングルーム

 

 

 フリード「これが、エンテイが目撃された場所だ」

 

 

 エンテイのことを聞いて回ったあと、シンヤたちはブレイブアサギ号に戻り、釣り人や港にいた人たちがエンテイを目撃した場所をミーティングルームに備え付けられているスクリーンで確認した。ミーティングルームに備え付けられているスクリーンには、アサギシティの沖合にある群島の海図が映っており、どこでエンテイが目撃されたのかわかりやすいように赤と青の➕が映っていた。

 

 

 マードック「こんなにエンテイを見た人がいたんだな」

 

 オリオ「でも、この印のどこにエンテイがいるかわからないから、捜すのは大変かもね」

 

 ドット「それは大丈夫。最近エンテイが目撃された場所を分けておいたから」

 

 

 海図に映っている赤と青の➕は、エンテイが目撃された日をドットが日付別で分けてくれていたもので、青い➕が映っている所がだいぶ前にエンテイが目撃された場所で、赤い➕が映っている所が最近エンテイが目撃された場所のようだ。

 

 

 ミコ「エンテイが島のあっちこっちに移動していることがわかるわね」

 

 リュウガ「もしかしたら、エンテイが目撃された場所の近くに火山島があるのかもな」

 

 リコ「火山島?」

 

 シンヤ「ああ。エンテイが吠えると、世界のどこかの火山が噴火すると言われていることから、エンテイは火山と何か深い関わりがあるポケモンだって言われてるんだ」

 

 ロイ「じゃあ、もしかしてエンテイは…」

 

 フリード「ああ。火山島のどこかにいるかもしれない」

 

 

 シンヤとリュウガが口に出した言葉と、今までエンテイが目撃された情報をまとめた結果、エンテイはアサギシティの沖合にある火山島のどこかにいる可能性が高いということがわかったので、早速シンヤたちはブレイブアサギ号で火山島に向かった。

 

 

 火山島の砂浜

 

 

 ロイ「エンテイいないね」

 リュウガ「いや、エンテイどころか…」

 ミコ「うん…」

 

 

 火山島にやってきたシンヤたちは、オリオとNを残してブレイブアサギ号を降りると、この島のどこかにいるエンテイを探しにきたのだが、島にはエンテイどころか野生のポケモンの姿がどこにもなかった。

 

 

 ドット「火山が噴火することを感じて、この島から逃げ出したのか…」

 

 リコ「えっ⁉︎」

 ロイ「噴火するの⁉︎」

 

 ドット「いや、まだ噴火するとは決まってないけど」

 

 リュウガ「もしくは、エンテイが来ることを感じ取って、野生のポケモンが逃げ出したのかもな」

 

 ミコ「その可能性もあるわね」

 

 

 シンヤ「ピカチュウ!『アイアンテール』!」

 

 ピカチュウ「チュゥゥゥッ、ピッカァァァッ‼︎」

 

 

 バァァァァン!(島に落ちていた石を割る)

 

 

 フリード「お見事」

 

 リコ「2人とも、何やってるの?」

 

 シンヤ「噴火が起きるかどうか、石の状態を見て調べてるんだ」

 

 リュウガ「石を見ただけでわかるのか?」

 

 フリード「ああ。もし火山島が噴火するなら、溶岩や火山灰の跡が石や地層に残っているはずだ。だが、この石の状態を見る限り、噴火の心配はないだろう」

 

 ロイ「じゃあ、ここにはエンテイがいないってこと?」

 

 シンヤ「そういうことだな」

 

 

 もしエンテイが近くにいるなら、シンヤたちのいるこの火山島はとっくに活動して噴火を起こしているだろう。それに、さっきフリードの言った通り、もし火山が噴火するなら、溶岩や火山灰の跡が石や地層に残るはずだ。それがないということは、エンテイがここにいないということを物語っている。

 

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…(スマホロトムに着信が入る)

 

 ピッ(電話に出る)

 

 マードック『フリード!』

 

 フリード「マードック、どうした?」

 

 マードック『すぐにこっちに来てくれ!じっちゃんが珍しいポケモンを見つけた!』

 

 フリード「珍しいポケモン?」

 

 

 別の砂浜

 

 

 ハンテール「ハァァァァッ‼︎」

 

 シンヤ「っ!《ハンテール》!」

 

 

 マードックから連絡を受けたシンヤたちは、マードックたちのいる所に向かった。そこでは、ランドウが見つけたハンテールをモリーが治療していた。

 

 

 リコ「ハンテール?」スッ(スマホロトムを取り出す)

 

 

 ハンテール しんかいポケモン みずタイプ

 

 深海に生息している。ハンテールが浜に打ち上がると、不吉なことが起こるという言い伝えがある。

 

 

 リコ「へぇ〜、ハンテールって深海に住んでるポケモンなんだ」

 

 シンヤ「ああ。だけど、深海にいるはずのハンテールがなんで砂浜に?」

 

 ランドウ「そこに打ち上げられていたのを、ワシが見つけたんじゃ」

 

 マードック「それより、不吉なことって、何が起こるんだ?」

 

 モリー「ただの言い伝えでしょ?」

 

 リュウガ「でも、深海に住んでいるハンテールが、こんな浅瀬に来ていたとなると…」

 

 ミコ「ええ。この子たちが住んでいる深海で、何か起きてるってことじゃない?」

 

 フリード「ぁっ!そうか!」

 

 マードック「フリード、どうしたんだ?」

 

 フリード「みんな、ブレイブアサギ号に乗ってくれ。これからある場所に行くぞ」

 

 フリード以外の全員「「「えっ?」」」

 

 

 深海にいるはずのハンテールが浅瀬に来ていた理由を考えていたフリードは、リュウガとミコの言葉でその答えに辿り着いた。そして、モリーが治療していたハンテールをラッキーが海に帰すと、フリードはシンヤたちをブレイブアサギ号に乗せて海のある場所に向かった。その場所の近くにやってくると、操舵室にいるフリードは海を指差した。フリードが指を差した場所をよく見てみると、その場所だけ海の色が濃くなっていることにシンヤたちは気づいた。

 

 

 ブレイブアサギ号・操舵室

 

 

 リコ「あそこだけ色が違う」

 

 リュウガ「それだけ、あそこは深いってことだろう」

 

 ロイ「ハンテールはあそこから来たのかな?」

 

 ミコ「多分」

 

 ドット「エンテイが多く目撃されたのも、ちょうどこの群島あたりだ。しかも、どれも最近の情報だよ」

 

 ロイ「じゃあ、あそこに何かがあるってこと?」

 

 シンヤ「ぁっ!もしかして、あそこに《海底火山》があるのか!」

 

 フリード「さすがだな、シンヤ」

 

 リコ「えっ?海の中に火山があるの?」

 

 シンヤ「ああ。海に浮かんでいる島のほとんどは、大きな島から分離して出来たものか、あるいは、海底火山が噴火してできた新しい島のどっちかなんだ。海底火山が活動を始める時は、マグマと海水が必ず接触するから、水が水蒸気に変わって急激に膨張すると、爆発的な噴火が起こることがある。おそらくさっきのハンテールは、それを本能で感じ取って浅瀬にまで上がってきたんだろう」

 

 リュウガ「ポケモンの危機察知は、人間より高いからな」

 

 シンヤ「ああ。そして、おそらく近いうちに…」

 

 リコ「っ!ここにエンテイが来る!」

 

 シンヤ「ああ。海底火山でも、火山であることに違いはないからな」

 

 フリード「ああ。ここで待ってれば、きっとエンテイがやって来るだろう」

 

 マードック「なら、交代で見張ろう」

 

 リコ「やっとエンテイに会えるんだ!」

 ロイ「楽しみ!」

 

 

 こうしてシンヤたちは、いずれここにやって来るエンテイを見つけるためにしばらくここに滞在することに決めると、交代で見張りをすることになった。そしてその夜…

 

 

 ブレイブアサギ号・操舵室

 

 

 シンヤ・フリード「「ふわぁぁ〜〜(-o-)」」

 

 ピカチュウ・キャプテンピカチュウ「「ピィィカァ〜〜(-o-)」」

 

 シンヤ「待ってるだけってのも退屈だな」

 

 

 海底火山がある群島に船が到着してから数時間後、外はもう夜になっていた。今はシンヤとフリード、ピカチュウとキャップが操舵室で見張りをしているのだが、エンテイがやって来る気配はなかった。

 

 

 ガチャ(操舵室のドアが開く音)

 

 マードック「2人とも、お疲れさん」

 

 リュウガ「差し入れを持ってきてやったぜ」

 

 

 操舵室のドアが開くと、そこからマードックとリュウガがやってきて、眠気覚ましにマホイップのクリームがたっぷり入っているコーヒーと、夜食に作ってくれたサンドイッチを持ってきてくれたので、シンヤとフリードは少し休憩することにして、コーヒーを飲みながらサンドイッチを食べ始めた。

 

 

 リュウガ「エンテイは出てきそうか?」

 

 シンヤ「どうだろうな。相手は伝説のポケモンだし」

 

 フリード「気長に待つさ」

 

 

 「ガァァァァァァッ‼︎」

 

 

 シンヤ・リュウガ・フリード・マードック「「「「!?」」」」

 

 

 シンヤとフリードがコーヒーを飲みながらサンドイッチを食べていると、突然どこかから、何かの大きな雄叫びのような声が聞こえてきた。

 

 

 フリード「この声は…」

 リュウガ「もしかして!」

 シンヤ「ああ、間違いない!」

 

 

 バァン(操舵室のドアが勢いよく開く)

 

 

 リコ「シンヤ!」

 ロイ「フリード!」

 

 シンヤ「お前ら」

 

 

 雄叫びのような声を操舵室にいるシンヤたちが聞き取ってから少しすると、自分の部屋で寝ていたリコたちが寝巻き姿で操舵室にやってきた。どうやら、リコたちもさっきの雄叫びを聞いたようだ。

 

 

 ドット「何があったの?」

 

 シンヤ「あったというより、これから起こるってのが正しいかな」

 

 リコ・ロイ・ドット「「「えっ?」」」

 

 

 シンヤがそう言うと、リコたちはフリードたちがずっと見張っていた海底火山がある場所を見た。するとそこから、コイキングやランターンなどのみずタイプのポケモンたちが逃げるように現れた。するとその直後に、深海が赤く染まり始めた。

 

 

 シンヤ「っ!フリード!すぐにここから離れた方がいい!」

 

 フリード「ああ!」

 

 

 深海が赤く染まったの見たシンヤは、海底火山が噴火するということを察すると、すぐにここから離れるようにフリードに伝えた。さすがにフリードもここにいては危ないとわかったようで、すぐに海底火山がある場所から少し離れた所に船を飛ばした。すると、海底火山が噴火を起こして溶岩が出てきたが、その溶岩を海水が冷やしていくと、溶岩が固まって新しい島が誕生した。

 

 

 リュウガ「すげぇ…」

 

 シンヤ「まさか、海底火山が噴火するところを見られるとはな」

 

 

 海底火山の噴火で新しい島が誕生するところを見たシンヤたちは、その恐ろしくも美しい光景を見られたことに少し感動していた。

 

 

 ミコ「これって、エンテイが吠えたからできた島なの?」

 

 シンヤ「さぁな?けど、さっきの雄叫びは間違いなくエンテイの声だ」

 

 リコ「じゃあこの近くに…」

 

 シンヤ「ああ。きっとエンテイがいるはずだ」

 

 フリード「マードック、火口近くにある島に船を下ろしてくれ」

 

 マードック「任せろ!」

 

 フリード「リコ、シンヤ、ロイ、ドット、リュウガ、ミコ、N、お前たちはすぐに上陸準備をしてくれ」

 

 リコ・ロイ・ドット「「「うん!」」」

 

 N「わかりました」

 

 フリード「他のみんなは船で待機。オリオは万が一に備えて、いつでも船が出せるようにしておいてくれ」

 

 オリオ「OK!」

 

 シンヤ「行くとするか」

 リュウガ「おう」

 ミコ「うん」

 

 

 上陸準備を済ませたシンヤたちは、新しく誕生した島の隣にブレイブアサギ号が着陸すると、フリードと一緒に島に降りて新しく誕生した島を眺めていた。

 

 

 シンヤ「すげぇー」

 ドット「溶岩が溢れてる」

 リュウガ「グラードンがいたりしてなw」

 シンヤ「マツブサだけので十分だ」

 

 

 「ガァァァァッ‼︎」

 

 

 全員「「「っ⁉︎」」」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカッ!」

 ピカチュウ「ピィカッピカッ!」

 

 

 シンヤたちが島に上陸してから少し進むと、船にいた時に聞こえた雄叫びが聞こえてきた。すると、ピカチュウとキャップが後ろから何かの気配を感じ取ったので、シンヤたちは後ろを振り向いた。そこにいたのは、光のような速さで山をよじ登っていくポケモンだった。そのポケモンが一番高い山に辿り着くと、月明かりでポケモンの正体を確かめることができた。

 

 

 リコ「あれって…」

 シンヤ「ああw」

 フリード「ついに見つけたぜ!」

 

 テラパゴス「パゴパゴッ!」

 

 

 月明かりに照らされているポケモンは、全身が茶色の毛に覆われている四足歩行で、獅子の様な風格をしており、威厳のある姿をしたポケモンだった。その正体は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エンテイ「ガァァァァァァッ‼︎」

 

 

 全員「「「《エンテイ》‼︎」」」

 

 

 シンヤたちの目の前に現れたポケモン。それは、ジョウト地方の三犬と呼ばれている伝説のポケモン。かざんポケモンの《エンテイ》だった。

 

 

 シンヤ「ここまで来るのにかなり苦労したが…」

 

 フリード「ああ。エンテイを仲間にできれば、あとは黒いレックウザだけだ」

 

 リコ「エンテイ!六英雄のあなたの力が必要なの!だから、私たちと一緒にラクアへ…」

 

 

 エンテイ「ガァァァァァァッ‼︎」

 

 

 ロイ「ぅっ!」

 

 シンヤ「やはり、そう簡単にOKはくれないか」

 

 

 今まで出会った六英雄のパターンでわかりきっていたことではあるが、一緒にラクアに行くためには、やはり六英雄とのバトルは避けて通れそうになく、バトルして勝つことで認めてもらうしかないようだ。

 

 

 リュウガ「シンヤ、俺たちもバトルしていいんだろ?」

 

 シンヤ「当然!」

 

 

 ザザァァァァッ‼︎

 

 

 リュウガ「ん?」

 

 シンヤ「っ!あれは!」

 

 

 六英雄のエンテイとバトルするために、シンヤたちがポケモンをモンスターボールから出そうとすると、海の向こうからシンヤたちのいる島に向かって、何かが水飛沫を飛ばしながら近づいてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 色違いのエンペルト「ペェェェェルッ‼︎」

 

 

 

 フリード「色違いのエンペルト⁉︎」

 

 シンヤ(ってことは、やっぱり!)

 

 

 水飛沫を飛ばしていた正体は、色違いのエンペルトだった。そのエンペルトの背中には、フリードと同じ白髪だが、右側が少し赤く染まっていて、左の眉に切り傷がある男が乗っていた。そして、海を泳いでいる色違いのエンペルトが海から思いっきりジャンプすると、色違いのエンペルトと白髪の男は一緒にシンヤたちのいる島まで飛んできて、自分たちの近くにシンヤがいることに気づいた。

 

 色違いのエンペルト「ペルッ?」

 

 ???「ほぅ、どっかで見た顔だと思えば、俺に負けた負け犬か」

 

 

 シンヤ「随分な口ぶりだな…」

 

 ドット「シンヤのことを負け犬って…」

 

 ロイ「シンヤの知り合いなの?」

 

 シンヤ「前にシンオウ地方でバトルしただけさ」

 

 リュウガ「っ!じゃあもしかして、コイツが…」

 

 シンヤ「ああ。シンオウ地方での旅が終わった時にフルバトルして、俺が負けたトレーナーだよ」

 

 リコ「えっ⁉︎じゃあこの人が、シンヤに勝ったトレーナーなの⁉︎」

 

 リュウガ(コイツが…)

 

 

 シンヤたちの目の前に、色違いのエンペルトと共にやってきた人物。それは、以前シンヤがナッペ山でリコに話したポケモントレーナーだった。

 

 

 ???「シンオウリーグで優勝したにも関わらず、俺のポケモンを1体も倒せなかった『無様なトレーナー』ってのが抜けてるがな」

 

 リコ「っ!ちょっと待ってください!」

 

 ???「ん?」

 

 リコ「あなた!いきなり現れて何なんですか!シンヤに失礼じゃないですか‼︎」

 

 

 目の前の男がシンヤをバカにする発言をすると、リコは目の前の男に大声で怒鳴り始めた。シンヤが負けたのが事実だとしても、自分の彼氏でもあるシンヤがバカにされるのは我慢ならなかったのだろう。

 

 

 シンヤ「いいよリコ、そいつの言ってることは事実だし」

 

 リコ「でも!」

 

 シンヤ「お前のその気持ちだけで十分だ。ありがとな」

 

 リコ「シンヤ…」

 

 シンヤ「そういや、まだお前の名前を聞いてなかったな。バトルのあとに聞こうと思ったんだが、バトルが終わったらさっさと行っちまったし。今後お前を呼ぶ時に不便だから、名前を教えてくれよ」

 

 ???「負け犬に名乗る名はないんだがな」

 

 シンヤ「じゃあ口の悪いトレーナーとでも言おうか?」

 

 ゼロ「ちっ(舌打ち)……《ゼロ》だ」

 

 シンヤ「ゼロ。それがお前の名前か?」

 

 ゼロ「そうだ。それより、お前たちもそのエンテイを狙っているのか?」

 

 シンヤ「だとしたら?」

 

 ゼロ「そのエンテイは俺の獲物だ。俺に譲ってもらおうか」

 

 シンヤ「それは無理な相談だ。第一、このエンテイは俺たちが先に見つけたんだから、俺たちが先にバトルする権利がある」

 

 ゼロ「…なら、俺とフルバトルをして決めるか?お前だってリベンジしたいだろ?もっとも、俺に勝つことなど不可能だがな」

 

 シンヤ「…」

 

 

 ゼロのその言葉に、シンヤの心は少し揺らいでしまう。リコは知っていることだが、シンヤはゼロに負けたその日から、ポケモントレーナーとして強くなろうと決意し、次にゼロに会った時は勝つつもりでいた。そして、今そのゼロが目の前にいて、シンヤとフルバトルをしようと言い出した。エンテイはシンヤたちが先に見つけたのだから、ゼロの言葉を無視することもできる。しかし、今のシンヤの気持ちは、ゼロとバトルしたいという欲求に駆られていた。だが、もしゼロとのバトルに負けて、六英雄のエンテイをゲットされるようなことになれば、テラパゴスをラクアに連れて行くという目的を叶えられなくなるため、シンヤも簡単にはバトルしようなどと言えなかった。

 

 

 シンヤ「スゥゥゥ、ハァァ〜〜」

 

 

 シンヤは心を落ち着かせるために深呼吸をすると、閉じていた口を開けてゼロにこう言った。

 

 

 シンヤ「悪いが、エンテイはどうしても必要なんでね。先に俺たちがバトルさせてもらう」

 

 リコ「シンヤ…」

 

 ゼロ「逃げるのか?」

 

 シンヤ「どうとでも言え。俺たちの目的を達成させるには、どうしてもそのエンテイが必要なんだ」

 

 

 シンヤは、悩んだ末にゼロとのバトルを断ると、エンテイとバトルする方を選んだ。

 

 

 リコ「シンヤ……いいの?」

 

 シンヤ「いいんだ。負けるとは思ってないが、俺たちが今やらなきゃならないのは、六英雄のエンテイに一緒に来てもらうことだからな」

 

 リコ「シンヤ…」

 

 シンヤ「さぁ、早くバトルをやろうぜ」

 

 リコ「うん!」

 

 

 シンヤがゼロの誘いを断り、エンテイに一緒に来てもらうことを優先してくれたので、リコはシンヤの気持ちに応えるために、エンテイとのバトルを頑張ろうと気合を入れた。…するとその時!

 

 

 ザバァァァンッ‼︎

 

 

 アメモース「アァァメッ‼︎」

 トドゼルガ「トドォォォォッ‼︎」

 ドククラゲ「ドォォォクッ‼︎」

 

 

 シンヤ「なっ!」

 ロイ「コイツらって!」

 ドット「昨日のトドゼルガたちだ!」

 

 

 「ハハハハッ!」

 

 

 シンヤ「っ!この声は…」

 

 バッ(顔を上に向ける)

 

 

 リコたちがエンテイとバトルしようとすると、シンヤたちの目の前に、昨日うずまき島で遭遇した、アメモース、トドゼルガ、ドククラゲの3体が現れた。すると、シンヤたちのいる真上から誰かの笑い声が聞こえてきたので、シンヤたちは顔を上に向けた。そこにいたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アオギリ「久しぶりだな、シンヤ!」

 

 クロバット「クロバッ!」

 

 

 リコ「あっ!」

 フリード「アイツは!」

 シンヤ「アオギリ!」

 

 

 上空からシンヤたちの前に現れたのは、こうもりポケモンの《クロバット》と、自分のクロバットの両足を右手で掴んでいるアオギリだった。そして、アオギリはクロバットの両足を掴んでいた右手を離すと、シンヤたちの目の前に飛び降りてきた。

 

 シンヤ「ゴルバットが進化したのか。それに、やはりそのトドゼルガたちは…」

 

 アオギリ「ああ、3体とも俺のポケモンだ」

 

 リコ・ロイ・ドット「「「えっ!」」」

 

 シンヤ「やはりそうだったか。そのトドゼルガたちの動きとパワーは、明らかに野生のレベルを超えてたからな。みずタイプじゃないアメモースがいたから、てっきり野生のポケモンかもと思ったが。よく考えれば、アメモースの進化前のアメタマはみずタイプだ。アメモースに進化すれば、みずタイプが消えてひこうタイプになるけど、一応みずタイプだったことに変わりはないからな」

 

 アオギリ「よく気付いたじゃねえか」

 

 シンヤ「っで、お前がここに来た目的は?」

 

 アオギリ「いちいち言わなきゃわかんねぇか?」

 

 シンヤ「俺とバトルをするためか?」

 

 アオギリ「ああ。もしバトルを断るなら、俺のカイオーガの力でお前らの船をこの島ごと沈めてやるよ」

 

 シンヤ「っ!」

 

 リコ・ロイ・フリード・リュウガ・ミコ「「「「「っ⁉︎」」」」」

 

 ゼロ(ほぅ〜、あの男、カイオーガを持っているのか)

 

 

 アオギリのカイオーガの力は、前に2度バトルした時に確認済みなので、やろうと思えば、ブレイブアサギ号とこの島は簡単に海の藻屑になるだろう。となると、シンヤが出す答えは決まっていた。

 

 

 シンヤ「いいだろう。リコたちやブレイブアサギ号に手を出さないなら、お前の挑戦を受けてやるよ」

 

 リコ・ロイ・フリード・リュウガ・ミコ「「「「「っ⁉︎」」」」」 

 

 アオギリ「フッw」

 

 シンヤ「ただし、戦う場所は変えさせてもらうぞ。お前のカイオーガと戦うにはここはちょっと狭すぎるし、これからリコたちはエンテイとバトルするからな」

 

 アオギリ「いいだろう。トドゼルガ、ドククラゲ、アメモース、戻れ」

 

 シュルルーーン

 

 

 アオギリのカイオーガとここでバトルすれば、バトルの衝撃でこの島が沈むこともあり得るため、シンヤはここからアオギリを引き離すために、アオギリにバトルする場所を変える提案をした。アオギリはシンヤがバトルを受けるなら異存ないようで、シンヤの提案を受け入れた。

 

 

 シンヤ「よし、ついてこい」

 

 リコ「ちょっ、シンヤ!」

 

 シンヤ「ん?」

 

 リコ「なんでアオギリとバトルするって勝手に決めるの!」

 

 シンヤ「なんでって、バトルを受けなきゃカイオーガでここを沈めるって言うんだから、嫌でもバトルを受けるしかないだろ」

 

 リコ「それは…そうだけど」

 

 

 シンヤの的確すぎる言葉を聞いたリコは、反論する言葉が見つからずに黙ってしまう。

 

 

 シンヤ「リコ、お前は俺が負けると思ってるのか?」

 

 リコ「そ、それは…」

 

 

 リコにとって、シンヤは自分の大切な彼氏であり、自分の知る限りでは最強のポケモントレーナーだ。そのシンヤが負けるところを見たことがないリコは、シンヤが負けるなど絶対にあり得ないと思っていた。…そう思っているのだが。シンヤの身に万が一の事があったらと思うと、リコは気が気ではなかった。

 

 

 シンヤ「…はぁ、しょうがないな」

 

 リコ「えっ?」

 

 ちゅっ(リコにキスをする)

 

 リコ「んっ⁉︎///」

 

 

 シンヤはリコの目の前に歩いて行くと、右手をリコの後ろ頭に回し、左手をリコの背中に回して抱きしめると、リコの唇に自分の唇を重ね合わせた。

 

 

 シンヤ「…」

 リコ「んっ⁉︎///」

 

 

 リコの唇に自分の唇を重ねたシンヤは、しばらくすると、自分の舌をリコの口の中にある舌に絡ませてディープキスをした。すると、リコの顔はだんだん真っ赤になっていく。

 

 

 リコ「ん〜っ⁉︎///んん〜っ⁉︎///ん〜っ⁉︎///んんん〜ん〜っ⁉︎///」

 

 シンヤ「…」

 

 

 リコはシンヤにディープキスをされている状態ではあるが、必死に何かを言おうとした。しかし、シンヤに舌を絡ませられているため、何も言うことができなかった。

 

 

 シンヤのピカチュウ「ピィカッピカッ…」

 リュウガ「ぁぁっ…」

 

 キャプテンピカチュウ「ピィカッ…」

 フリード「おいおい…」

 ロイ「ぁっ…」

 

 ミコ「ちょっ…///」

 ドット「おっ…///」

 

 N「ぁっ…」

 

 ゼロ「♫♫(口笛)」

 

 

 アオギリ「あっ?」

 

 

 シンヤがリコにディープキスをすると、ミコとドットは顔を赤くし、フリードたち男組はその様子を唖然とした顔で見ており、シンヤのピカチュウとキャップは呆れた顔をしていた。シンヤとリコがイチャイチャするところなど、ロイたちは船で何度も見たことはある。しかし、さすがに2人がキスするところは見たことがなかったので、普段絶対に見ることのできない2人の新鮮な光景にリュウガたちは見入っていた。

 

 

 シンヤ「ふぅ」

 リコ「ぁ…ぁっ…ぁっ…ぁ…」

 

 

 リコとディープキスをして数分経つと、シンヤはリコの唇から自分の唇を離した。すると、リコはワナワナと震え出し、頭から湯気を噴き出していた。

 

 

 シンヤ「ん?どうした?」

 

 リコ「どうした?じゃないよ!なんでいきなりキスしたの‼︎しかもフリードたちが見てる前で‼︎」

 

 シンヤ「いやぁ〜、これからアオギリとバトルするから、その前に勝利の女神の祝福ってことで、リコにキスという祝福を貰おうかと」

 

 ミコ「だったら、リコからキスしてもらわなきゃ意味ないでしょ」

 

 シンヤ「あっ、そっか。リコ、今度はお前からしてくれよ」

 

 リコ「もぉ〜〜〜〜〜〜〜っっ‼︎///シンヤのバカァァァァァッ〜〜〜〜///」

 

 

 シンヤの能天気な発言に我慢できなくなったリコは、その場で怒鳴り声を上げてシンヤにそう叫んだ。しかし、フリードたちが見てる目の前でいきなりディープキスされたリコの気持ちを考えれば、シンヤに怒鳴りたくなるのも当然だった。

 

 

 リコ「バカバカバカバカバカバカ‼︎///シンヤのバカァッ‼︎///」

 

 

 リコは顔を真っ赤にすると、渦巻き状になった目に涙を浮かべてシンヤの胸を両手でぽかぽか叩き始めた。しかし、リコの腕力ではシンヤに大したダメージを与えられなかった。

 

 

 シンヤ「…リコ」

 リコ「っ!…な、なに?」

 

 

 シンヤに名前を呼ばれたリコは、体が少しビクッとなって硬直してしまい、シンヤを叩いてる手を止めると、顔を上にあげてシンヤの顔を見た。

 

 

 シンヤ「お前って…」

 リコ「っ…」

 

 シンヤ「…黙ってればすげぇ可愛い高嶺の花って感じの女の子なのに、パニクると面白い顔になるから、そんなイメージをすぐに壊すよなw」

 

 リコ「それ今言うことーー⁉︎(涙)///」

 

 アオギリ「おい!今のテメェに、女とイチャイチャしてる余裕があるのか!」

 

 シンヤ「おっと、そうだった」

 

 

 痺れを切らしたアオギリに怒鳴られたシンヤは、戦う場所を変えるためにリザードンをモンスターボールから出すと、アオギリを連れてここから離れようとした。

 

 

 シンヤ「じゃあ、俺がアオギリの相手をしてる間に、お前たちはエンテイとバトルして、一緒に来てもらえるように話をつけろ」

 

 リュウガ「待て、だったら俺も一緒に…」

 

 シンヤ「いや、お前はリコたちを手伝ってやってくれ」

 

 ミコ「でも、誰か一緒に行った方が…」

 

 N「だったら、僕が一緒に行こう」

 

 シンヤ「N」…(レシラムをここで戦わせるわけにはいかないし、来てもらうならNの方がいいか)

 

 アオギリ「N?…そうか。ゲーチスの言ってたNってのはお前のことだったのか」

 

 N「っ、父さんを知っているのか?」

 

 アオギリ「ああ。一緒に牢獄から脱獄したからな」

 

 N「…」

 

 

 ずっと行方を探していたゲーチスのことがアオギリの口から出ると、Nはアオギリを睨むように見ていた。すると、ずっと黙っていたゼロがシンヤに話しかけてきた。

 

 

 ゼロ「おい」

 

 シンヤ「ん?」

 

 ゼロ「その男がカイオーガを持ってるってのは本当か?」

 

 シンヤ「ああ」

 

 ゼロ「そうか。…なら、その男とのバトルを俺に譲れ」

 

 シンヤ「何⁉︎」

 

 ゼロ「本当はエンテイを捕まえるつもりだったが、カイオーガほどの大物がいるなら、そっちを潰す方が俺のレベルアップに繋がるんでね」

 

 アオギリ「あ゙あっ?テメェ、今なんつった‼︎(ꐦ≖̀д̿≖́)」

 

 シンヤ「残念ながら、それは無理だな」

 

 ゼロ「?」

 

 シンヤ「だって、カイオーガは俺が倒しちまうからな」

 

 アオギリ「っ‼︎」

 

 

 カイオーガに勝つという自分の勝利宣言をゼロがすると、アオギリの顔に血管が浮き出てきた。そして、『カイオーガは俺が倒す』というシンヤの言葉でアオギリの怒りが頂点に達すると、アオギリの顔に浮き出た血管が切れてしまう。

 

 

 アオギリ「テメェら!さっきから黙って聞いてやってれば、言いたい放題抜かしやがって!」

 

 ゼロ「じゃあお前が負けたら、俺がカイオーガと戦わせてもらうぜ」

 

 シンヤ「どうぞご勝手に」

 

 ミコ「うわぁ〜〜…」

 

 リュウガ「完全にバンダナのおっさんを無視してやがる…」

 

 アオギリ「テメェらいい度胸だ。無事に帰れると思うなよ」

 

 シンヤ「それはこっちのセリフだ。もう一度お前をぶっ倒して、牢獄送りにしてやるよ」

 

 アオギリ「っ!このクソガキが‼︎」

 

 シンヤ「ヘッw、じゃあフリード、あとは頼むわ」

 

 フリード「ぁ…はぁ〜、ったく、リコとキスしたと思ったら、勝手にどんどん話を進めやがって…N、シンヤが無茶をしないようちゃんと見といてくれ」

 

 N「わかりました」

 

 スチャ(モンスターボールを取り出す)

 

 ポーーン‼︎

 

 レシラム「クォォォォォンッ‼︎」

 

 

 ゼロ「ほぉぅw、あのNという男、レシラムを持っているのか」

 

 シンヤ「ゼロ」

 

 ゼロ「ん?」

 

 シンヤ「お前が俺たちについてきて、俺とアオギリのバトルの見学をするのも、俺が負けたあとにアオギリと戦うのも自由だ。だが、お前の安全は一切保証できねぇぞ」

 

 ゼロ「フッw、忠告ありがとよ。だが、自分の身ぐらい自分で守れる」

 

 ポーーン‼︎

 

 ファイヤー「ファァァァァッ‼︎」

 

 

 シンヤ以外の全員「「「「っ!」」」」

 

 アオギリ「そのポケモンは!」

 

 フリード「ファイヤー!」

 

 リコ「えっ?じゃあ、あれが普通のファイヤーなの?」

 

 リュウガ「なるほど。前にシンヤを負かしただけはあるな」

 

 

 ゼロがモンスターボールの中から、カントー地方の三鳥の1体である《ファイヤー》を出すと、リコたちは驚いていた。しかし、シンヤは以前あのファイヤーと戦ったことがあったので、リコたちほど驚きはせず、自分のリザードンの背中に乗り込んだ。

 

 

 シンヤ「リザードン、頼むぜ」

 

 リザードン「グオオオオッ!」

 

 リコ「シンヤ!」

 

 シンヤ「ん?」

 

 リコ「無事に帰って来てね!」

 

 シンヤ「ぉっ…」

 

 

 みんなが見てる前でシンヤがディープキスしたことに対してさっきまで怒っていたのに、いざシンヤが危ない目にあうとなると、リコはシンヤの事が心配でたまらないようだ。

 

 

 シンヤ「フッw、そこはさ、『ちゃんと私の所に帰ってきてね』って、涙目で言ってくれよ」

 

 リコ「っ⁉︎も〜〜〜う‼︎///シンヤァァァァッ‼︎///」

 

 シンヤ「フッw、じゃあ行ってくる」

 

 

 シンヤは最後にリコを揶揄うと、リザードンと一緒に空に飛んで行った。すると、レシラムに乗ったN、ファイヤーに乗ったゼロ、クロバットの両足を右手で掴んだアオギリは、そのままシンヤの後を追って行った。

 

 

 ロイ「なんか、さっきは凄いものを見ちゃったね…」

 

 ドット「いや、見てはいけないようなものだったような気が…」

 

 リコ「忘れて!///全部忘れて‼︎///」

 

 ミコ「いや、忘れてって言われても…」

 

 リコ「うぅ〜〜///」

 

 

 テレビや恋愛映画などでのキスシーンなら、ミコも何度か見たことはあるが、一緒に旅をしている友達があんな間近でディープキスをしたのだから、それを簡単に忘れることなど出来るはずがなかった。

 

 

 エンテイ「グォォォォゥッ‼︎」

 

 

 リコ・ロイ・ドット「「「あっ…」」」

 

 

 リコたちがごちゃごちゃ言い合っていると、エンテイはいい加減にしろとでも言うように雄叫びをして、リコたちの目の前に飛び降りてきた。

 

 

 フリード「お前ら、エンテイとのバトルに集中しろよ」

 

 リコ・ロイ・ドット「「「は、はい…」」」

 

 リュウガ「ミコ、お前もだぞ」

 

 ミコ「ご、ごめん…じゃあ改めて」

 

 

 これから六英雄のエンテイとバトルするのだから、悪ふざけをしてる場合じゃないので、リコたちは真剣な顔つきになると、それぞれモンスターボールを構えてポケモンたちを繰り出した。

 

 

 ポーーン‼︎

 

 ニャローテ「ニャァァァロオッ‼︎」

 アチゲータ「アァァゲッ‼︎」

 ウェルカモ「ウェェルゥゥッ‼︎

 ミロカロス「ミィィロォォッ‼︎」

 

 ロイ「ミロカロスだ!」

 

 リコ「ミコ、ミロカロスを持ってたんだ」

 

 ミコ「うん。ほのおタイプを相手にするなら、やっぱりみずタイプが一番だからね」

 

 フリード「俺はキャップでバトルするが、リュウガはギャラドスか?」

 

 リュウガ「いや、俺は前にジョウト地方でゲットしたコイツを使う」

 

 スチャ(モンスターボールを取り出す)

 

 リュウガ「本当はシンヤとのフルバトルの時に出そうと思ってたんたが、このエンテイを相手に使うのも面白そうだからな」

 

 ミコ「ちょっと、遊び心なんか出さないでよ。このエンテイに一緒に来てもらわないと、私たちはラクアに行けないんだからね」

 

 リュウガ「わかってるよ。いけ!」

 

 ポーーン‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 色違いエンテイ「ガァァァァァァッ‼︎」

 

 パチ…パチパチ(リコたちが瞬きをする)

 

 リコ・ロイ・ドット・ミコ・フリード「「「「「えぇ〜〜っ!?」」」」」

 

 

 リコたちがエンテイとのバトルに選んだポケモンたちは、自分のパートナーであるポケモンたちで、ミコがモンスターボールから出したのは、エンテイに有利なみずタイプを持っているミロカロスだった。そしてリュウガが出したのは、エンテイに有利なタイプを持っているポケモンではなく、目の前にいるエンテイの色違いだった。

 

 

 上空

 

 

 シンヤ「リザードン、あそこに降ろしてくれ」

 

 リザードン「リザァァァッ!」

 

 

 リュウガたちがエンテイとバトルを始めようとしている頃、それぞれのライドポケモンに乗っているシンヤたちは、エンテイが現れた島から遠く離れた所にある岩場にやってきた。そこには海から突き出ている岩が沢山あるので、カイオーガとバトルするにはここが打ってつけだと判断したシンヤは、近くの岩礁に降ろしてくれるようリザードンに頼んだ。

 

 

 岩礁

 

 

 シンヤ「戻れリザードン」

 

 シュルルーーン

 

 シンヤ「ここまで来れば、リコたちが巻き込まれることはないだろう」

 

 

 バッ(アオギリが岩礁の上に降りる)

 

 アオギリ「戻れクロバット」

 

 シュルルーーン

 

 スチャ(カイオーガの入ってるボールを取り出す)

 

 アオギリ「さて、さっそく始めるとするか」

 

 ポーーン‼︎

 

 ピンク色カイオーガ「カァァァァァイッ‼︎」

 

 

 シンヤ「早くもお出ましか」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 

 岩礁に降りたシンヤとアオギリが早速バトルを始めようとしていると、Nとゼロはカイオーガの攻撃に巻き込まれないように、それぞれのライドポケモンに乗って上空からシンヤとアオギリのバトルを見学していた。

 

 

 上空

 

 

 ゼロ「ほぉ〜、あの男、ホントにカイオーガを持ってたのか」

 

 N「シンヤ、どのポケモンで戦うつもりなんだ?」

 

 

 アオギリ「テメェは何を出すつもりだ?ゼクロムはゲーチスのキュレムに吸収されたから、今は手持ちにいないんだったよな。となると、ディアルガかパルキアか?タイプ相性を考えるなら、ミライドンかタケルライコってポケモンてのもアリだな」

 

 

 ゼロ「っ!」

 

 

 シンヤ「いや、カイオーガと戦うポケモンはもう決めてある」

 

 スチャ(モンスターボールを取り出す)

 

 シンヤ「頼むぜ」

 

 ポーーン‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジュカイン「ジュゥゥゥゥッ‼︎」

 

 

 アオギリ「なっ⁉︎ジュカインだと⁉︎」

 

 

 シンヤ「そうさ。コイツでカイオーガを倒す」

 

 

 シンヤがカイオーガと戦うために選んだポケモンは、カイオーガに有利なくさタイプを持っているジュカインだった。相性で言えばシンヤの方が有利に思えるが、相手は伝説のポケモンであるカイオーガなので油断はできない。

 

 

 アオギリ「ゼクロムでさえカイオーガを倒せなかったのに、ジュカイン如きで俺のカイオーガに勝つつもりか?」

 

 

 シンヤ「あの時はレックウザがいたからカイオーガを倒せなかっただけだ。それに、邪魔の入らないサシの勝負なら、俺は絶対に負けないんでね」

 

 

 アオギリ「口の減らないガキが」

 

 スッ(あいいろの玉を取り出す)

 

 

 シンヤ「いきなりそれを使うか」

 

 

 アオギリ「フッw」

 

 

 アオギリが懐から取り出したあいいろの玉をカイオーガに向かって投げると、カイオーガは青色の大きな石に身を包みこんだ。すると、カイオーガを包み込んだ青色の大きな石にαの紋章が浮き出てきて、カイオーガを包んでいた青い石が崩れ落ちると、中からゲンシカイキしたカイオーガが姿を現した。すると、シンヤたちのいる上空に大量の雨雲が広がり、そこから大量の雨が降ってきた。

 

 

 黒色ゲンシカイオーガ「カァァァァァァァイッ‼︎」

 

 

 ザァァァァァァ‼︎(大雨が降る)

 

 

 シンヤ「《はじまりのうみ》の効果か。いきなり《ゲンシカイオーガ》とバトルする事になるとはな」

 

 ピカチュウ「ピィカッ…」

 

 シンヤ「なら、こっちも最初から本気でやった方が良さそうだな」

 

 スッ(メガリングを取り出す)

 

 シンヤ「行くぞ、ジュカイン!」

 

 ジュカイン「ジュゥゥゥゥッ‼︎」

 

 

 シンヤは右ポケットに入っているメガリングを取り出して左手首にかけると、メガリングに埋め込まれているキーストーンに触れた。すると、ジュカインの首に巻かれているスカーフに付いてるジュカインナイトが輝き出し、二つの石から光の糸が出現した。二つの糸が結びつくと、ジュカインは虹色の光に身を包み込まれて姿を変え始めた。頭部や両腕の葉は虫食い葉っぱを思わせるような鋭い形状に変わっていて、胸には背中までX字状に広がる草のアーマーが追加されており、大型化した尻尾の先は針葉樹のような形に変化していた。

 

 

 メガジュカイン「ジュカァァァァァァァッ‼︎」

 

 

 アオギリ「メガシンカしたところで、俺のカイオーガは倒せねぇよ」

 

 

 シンヤ「御託はお前が勝ったあとでいくらでも聞いてやる。時間が惜しい。さっさと始めようぜ」

 

 

 アオギリ「ほざいてろ!やれぇカイオーガ!」

 

 黒色ゲンシカイオーガ「カァァァァイッ‼︎」

 

 

 シンヤ「今度は三度目の正直にさせてもらうぜ!行けジュカイン!」

 

 メガジュカイン「ジュカァァァァァッ‼︎」

 

 

 シンヤとアオギリがバトルを始めた頃、バトルするポケモンたちを繰り出したリコたちもエンテイとバトルを始めようとしたのだが、リュウガが色違いのエンテイを繰り出したことに驚いていて、バトルするどころではなかった。

 

 

 色違いエンテイ「ガァァァァァァッ‼︎」

 

 リュウガ「フッw」

 

 リコ「ぁ…」

 ロイ「あ、あれって…」

 フリード「色違いのエンテイだな」

 

 ドット「すごい!同じ伝説のポケモンである2体のエンテイがこの場に居合わせて、1体は色違いなんて!」

 

 

 エンテイ「ガァァァァァァッ‼︎」

 

 

 リコ・ロイ・ドット「「「あっ!」」」

 

 

 色違いエンテイ「テェェェィィィッ‼︎」

 

 

 バァァァァン‼︎

 

 

 

 ドットたちがリュウガの色違いのエンテイに見とれていると、野生のエンテイが「せいなるほのお」を放って攻撃してきた。すると、リュウガのエンテイも「せいなるほのお」を放ち、野生のエンテイの攻撃を相殺した。

 

 

 リュウガ「もうあっちは我慢できないみたいだから、そろそろバトルを始めた方が良さそうだな」

 

 ミコ「うん。シンヤのことも気になるし、早く決着をつけないとね」

 

 リコ「あっ、そうだった」

 

 ドット「目的を見失って感激してる場合じゃないか」

 

 ロイ「うん!」

 

 ミロカロス「ミロォォォォォッ‼︎」

 ニャローテ「ニャァァァッ‼︎」

 ウェルカモ「ウェェルゥッ‼︎

 アチゲータ「アゲッアゲッ‼︎」

 

 

 リコたちが目の前のエンテイに意識を集中させると、それがニャローテたちにも伝わったようで、リコたちはようやくエンテイとバトルを始めようとした。

 

 

 フリード「よし、行くぞみんな!」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカッピカッ!」

 

 

 エンテイ「ガァァァァァァッ‼︎」

 

 

 ミコ「ミロカロス!『ハイドロポンプ』!」

 リコ「ニャローテ!『マジカルリーフ』!」

 ドット「ウェルカモ!『みずでっぽう』!」

 ロイ「アチゲータ『じだんだ』!」

 フリード「キャップ!『かみなりパンチ』!」

 

 ミロカロス「ミィィィロォォォッ‼︎」

 ニャローテ「ニャァァァロォォォッ‼︎」

 ウェルカモ「ウェェェルゥゥーーッ‼︎」

 アチゲータ「アゲアゲアゲアゲ、アァァ〜ゲェェッ‼︎」

 キャプテンピカチュウ「カァァァチュッ‼︎」

 

 

 エンテイ「ガァァァァァァッ‼︎」

 

 

 バァァァァァン‼︎

 

 

 ミロカロス「ミロォォォッ⁉︎」

 ニャローテ「ニャァァァッ⁉︎」

 ウェルカモ「ウェェェルッ⁉︎」

 アチゲータ「アァァゲッ⁉︎」

 キャプテンピカチュウ「ピカァァァッ⁉︎」

 

 

 エンテイ「ガァァァァァッ‼︎」

 

 色違いエンテイ「グォォォォォッ‼︎」

 

 

 ニャローテたちがそれぞれ技を放ってエンテイを攻撃すると、エンテイは「しんそく」を発動してニャローテたちの攻撃をかわした。そして、そのままニャローテたちに突撃してダメージを与えると、体に炎を纏ってリュウガのエンテイに正面から突っ込んできた。

 

 

 リュウガ「っ!『フレアドライブ』か!エンテイ!『あなをほる』でかわせ!」

 

 色違いエンテイ「ガァァァァッ!」

 

 エンテイ「ティッ⁉︎」

 

 

 ドォォォォン‼︎

 

 

 エンテイ「ティィィッ!?」

 

 

 リュウガのエンテイは「あなをほる」を発動して地面に潜ると、野生のエンテイの「フレアドライブ」をかわした。そして、野生のエンテイが狼狽えている隙に地面から飛び出し、野生のエンテイを攻撃してダメージを与えた。

 

 

 リュウガ「よし!」

 

 フリード「『あなをほる』はじめんタイプの技!エンテイには効果抜群だ!」

 

 リュウガ「まだまだいくぜ!『あまごい』!」

 

 リコ「えっ?」

 

 ロイ「『あまごい』?」

 

 色違いエンテイ「テェェェェイッ‼︎」

 

 

 リュウガのエンテイが空に向かって雄叫びを上げると、リコたちのいる上空に雨雲が発生して雨が降ってきた。しかし、どうしてこのタイミングで「あまごい」を発動させたのか、リコとロイにはそれがさっぱりわからなかった。

 

 

 リコ「どうして『あまごい』を使ったの?」

 

 リュウガ「『あまごい』は、みずタイプの技の威力を上げる効果と、ほのおタイプの技の威力を弱める効果がある。これを使えば、エンテイのほのおタイプの技の威力を下げることができるからな」

 

 ロイ「でもそれは、リュウガのエンテイと僕のアチゲータも同じでしょ?」

 

 ミコ「ううん。これでいいんだよ」

 リコ「えっ?」

 ロイ「どういうこと?」

 

 ミコ「ほのおタイプのポケモンにほのおタイプの技をぶつけても、大したダメージにはならないからね」

 

 リュウガ「ああ。同じタイプの技を食らって効果抜群になるのは、ドラゴンタイプとゴーストタイプだけだ。けど、俺のエンテイとロイのアチゲータは、ほのおタイプに有効なじめんタイプの技を覚えてるし、この『あまごい』の効果で、ミロカロスとウェルカモのみずタイプの技の威力は上がる」

 

 ロイ「あっ、そっか!」

 

 リコ「そこまで考えて『あまごい』を使ったの⁉︎」

 

 リュウガ「先の事を見据えて手を打っておくのも、ポケモンバトルの一つだからな」

 

 ミコ「じゃあこの『あまごい』の力、存分に使わせてもらうわ。ミロカロス!『ハイドロポンプ』!」

 

 ドット「ウェルカモ!『みずでっぽう』!」

 

 ミロカロス「ミィィィロォォォッ…」

 ウェルカモ「ウェェェルゥゥッ…」

 

 エンテイ「ガァァァァァッ!」

 

 

 フリード「まずい!エンテイの『じんつうりき』だ!」

 

 ミロカロス「ミロォッ⁉︎」

 ウェルカモ「ウェルッ⁉︎」

 

 

 ミロカロスとウェルカモが技を放つ前に、野生のエンテイが「じんつうりき」を発動すると、エンテイに睨まれたミロカロスとウェルカモは体の自由を奪われて身動きが取れなくなってしまう。

 

 

 エンテイ「テェェェェイッ‼︎」

 

 

 「じんつうりき」を発動したエンテイはミロカロスたちの動きを止めると、空に向かって雄叫びを上げた。すると、空に広がっていた雨雲が消えて日差しが強くなった。

 

 

 リュウガ「マジかよ…」

 

 色違いエンテイ「テェェイッ…」

 

 

 岩礁

 

 

 アオギリ「カイオーガ!『こんげんのはどう』!」

 

 黒色ゲンシカイオーガ「カァァァァァァイッ‼︎」

 

 

 シンヤ「ジュカイン!『リーフブレード』で切り裂け!」

 

 メガジュカイン「ジュウゥゥゥゥッ‼︎」

 

 

 リュウガたちがエンテイとバトルをしている頃、互いにポケモンを強化させたシンヤとアオギリもバトルをしていた。「こんげんのはどう」を発動したゲンシカイオーガが攻撃してくると、メガジュカインは両腕の葉を鋭く変化させた。そして、その場から動かずに水のビームを両腕の葉で全て切り裂くと、ゲンシカイオーガの攻撃を無傷で防いだ。

 

 

 アオギリ「チッ、『めいそう』だ!」

 

 黒色ゲンシカイオーガ「カァァァァァァイッ‼︎」

 

 

 シンヤ「『つるぎのまい』!」

 

 メガジュカイン「ジュゥゥゥゥッ!」

 

 

 アオギリ「カイオーガ!『れいとうビーム』だ!」

 

 黒色ゲンシカイオーガ「カァァァァイッ‼︎」

 

 

 シンヤ「ジュカイン!『ドラゴンクロー』!」

 

 メガジュカイン「ジュゥゥゥゥゥ、カァァァァッ‼︎」

 

 

 バァァァァァァン‼︎

 

 

 「めいそう」を発動したゲンシカイオーガは、自分の特攻と特防を1段階上げると、口から冷たい冷気のビームをメガジュカインに撃ち出して攻撃した。それに対し、メガジュカインは鋭く尖らせた両腕の爪を巨大化させると、両腕を振り下ろしてゲンシカイオーガが放った「れいとうビーム」を切り裂いた。

 

 

 ゲンシカイオーガの放った「れいとうビーム」は「めいそう」でパワーアップしているし、相性では「ドラゴンクロー」に有利だ。しかし、ジュカインはメガシンカするとドラゴンタイプが追加される。それにより、ドラゴンタイプの技である「ドラゴンクロー」の威力が多少上がっており、さらに「つるぎのまい」を発動したことで、メガジュカインの攻撃力は2段階上がっていた。だからこそ、メガジュカインは難なくゲンシカイオーガの「れいとうビーム」を防ぐことができたのだ。

 

 

 シンヤ「ジュカイン!カイオーガの頭に飛び移れ!」

 

 メガジュカイン「ジュゥゥゥッ!」

 

 バッ(岩礁からジャンプする)

 

 ドンッ(カイオーガの頭に着地する)

 

 アオギリ「なっ!?」

 

 黒色ゲンシカイオーガ「カァァイッ!?」

 

 

 シンヤ「今だ!『リーフブレード』!」

 

 メガジュカイン「ジュゥゥゥゥカァァァァッ‼︎」

 

 

 ザァァァァァンッ‼︎

 

 

 黒色ゲンシカイオーガ「カァァァァァァイッ!?」

 

 

 「れいとうビーム」を切り裂いたメガジュカインは、岩礁からジャンプしてゲンシカイオーガの頭に飛び移ると、「リーフブレード」を発動してゲンシカイオーガの頭を切りつけた。ゲンシカイオーガはメガジュカインを振り払おうと必死に暴れるが、メガジュカインは尻尾をゲンシカイオーガの体に突き刺し、両腕でゲンシカイオーガの頭を掴んで必死にしがみついていた。

 

 

 黒色ゲンシカイオーガ「カァァァァイッ!」

 

 

 シンヤ「っ!ジュカイン!カイオーガから離れろ!」

 

 メガジュカイン「ジュゥゥゥッ!」

 

 

 ゲンシカイオーガが海に潜ろうとしたので、メガジュカインはゲンシカイオーガの頭を強く蹴り飛ばして勢いよくジャンプすると、近くの岩礁に着地した。

 

 

 シンヤ「危ねぇ。もう少しで海の中に引きずり込まれるところだったぜ」

 

 

 アオギリ「チッ、ちょこまかちょこまかと動き回りやがって」

 

 

 シンヤ「さすがに水の中ではカイオーガを倒せないんでな。少しずつカイオーガの体力を削らせてもらうぜ」

 

 

 シンヤのメガジュカインは、ゲンシカイオーガを相手に互角以上の勝負をしていて、確実にアオギリとゲンシカイオーガを追い詰めていた。その様子を、ゼロとNは上空から見ていた。

 

 

 上空

 

 

 ゼロ「ほぅ〜、あのジュカイン、ゲンシカイオーガを相手に先制を取ったばかりか、まだ無傷とはな。意外にやるな、アイツ」

 

 N「…」

 

 

 アオギリ「…フッw」

 

 

 シンヤ「ん?」

 ピカチュウ「ピカッ?」

 

 

 アオギリ「さすがだな、シンヤ。マツブサのグラードンをゲッコウガで倒したばかりか、俺のカイオーガを相手に、メガジュカインでここまでやるとは。褒めてやるぜ。…だが、そろそろお遊びは終わりだ!見せてやるぜ!俺の新しい力を‼︎」

 

 

 シンヤ「新しい力だと!」

 

 

 アオギリ「フッw」

 

 スチャ(あるものを取り出す)

 

 

 シンヤ「っ!それは!」

 

 

 アオギリはシンヤとの決着をつけるために右手を服の内側に突っ込むと、懐からある物を取り出した。それは、以前ゲーチスやダークトリニティが使っていた《カオスオーブ》だった。しかし、アオギリが右手に持っているカオスオーブはゲーチスやダークトリニティが持っていたとの違って、全体的に赤黒い色をしており、赤い稲妻のような模様が入っていた。それを見たシンヤは、カオスオーブから何か邪悪な力を感じ取った。

 

 

 シンヤ(なんだ?この嫌な感じは…)

 

 

 アオギリ「これが何かはもう知ってるよな?」

 

 

 シンヤ「ああ、よく知ってるさ。ポケモンを好きなタイプにテラスタルさせられるカオスオーブだろ?だが、ゲーチスやダークトリニティが使っていたカオスオーブは白と黒のツートンカラーで、そんな色はしてなかったはずだ」

 

 

 アオギリ「ああ。確かにお前の言う通り、前のカオスオーブは白と黒の二色だった。だがこれは、ゲーチスとフラダリが改良したカオスオーブをハデスがさらに強化したものなんだよ」

 

 

 シンヤ「何っ⁉︎強化されたカオスオーブだと⁉︎」

 

 

 アオギリ「喜べシンヤ。強化されたこのカオスオーブと、カオスオーブによって強化されるカイオーガの最初の獲物になれるってことを!」

 

 

 シンヤ「っ!」

 

 

 アオギリ「今見せてやるぜ、このカオスオーブの真の力をな‼︎」

 

 

 アオギリがカオスオーブを構えると、カオスオーブの赤い稲妻の模様が鼓動するように光り出し、赤黒いエネルギーを集め始めた。それを見たシンヤとピカチュウとメガジュカインは、背中に寒気が走った。

 

 

 アオギリ「いくぜ!」

 

 

 カオスオーブにエネルギーがチャージされると、アオギリはゲンシカイオーガの頭上に向かってカオスオーブを投げ飛ばした。すると、海の中から無数の赤黒い結晶石が出てきて、ゲンシカイオーガは赤黒い結晶石に身を包み込んだ。そして、結晶石が砕け散ってゲンシカイオーガが出てくると…シンヤとゼロとNはギョッとした。その理由は、結晶石の中から現れたゲンシカイオーガのボディが赤と黒の二色に変わってクリスタル化していたからだ。さらに、頭には黒色の噴水の王冠を被っていて、両目と両方のヒレの先の部分は赤色に変化していた。

 

 

 ???ゲンシカイオーガ(みずテラスタイプ)「カァァァァァァァァァァイッ‼︎」

 

 

 シンヤ「っ⁉︎何だよ!?そのカイオーガの姿は!?それに、そのテラスタルの王冠の色は!?」

 

 

 アオギリ「さあな、俺にもわかんねぇよ。ただ一つわかっているのは、ゲンシカイオーガは《ダークポケモン》になったってことだな」

 

 

 シンヤ「っ!ダークポケモンだと!?」

 

 

 アオギリ「今のカイオーガの姿を名付けるなら…そうだな。《ダークゲンシカイオーガ》とでも名付けるか」

 

 

 ダークゲンシカイオーガ(みずテラスタイプ)「カァァァァァァァァァァイッ‼︎」

 

 

 カオスーブを使ってダークポケモンになったゲンシカイオーガを、アオギリは“ダークゲンシカイオーガ”と名付けた。ダークゲンシカイオーガは、ゲンシカイオーガだった時の神々しい姿から一変して、とても禍々しい姿になっていた。

 

 シンヤ「アオギリ!」

 

 

 アオギリ「あん?」

 

 

 シンヤ「ゲンシカイオーガが“ダークポケモン”になったというのはどういうことだ!答えろ!」

 

 

 アオギリ「ああ、その事か。カオスオーブを強化したハデスが言うには、このカオスオーブを使ったポケモンはテラスタル化すると同時に、ダークポケモンっていうのになって何倍も強くなるらしいぜ」

 

 

 シンヤ「っ!テラスタル化と同時にダークポケモンになるだと!?」

 

 

 アオギリ「《ルギア》を捕まえてくることを条件に、ハデスから試作品のコイツを貰ったんだが、お前を相手に試すなら丁度いいだろ」

 

 

 シンヤ「ルギアだと?…そうか。ルギアが発見される場所は、この近くにあるうずまき島が多い。だからお前がここに来たってことか」

 

 

 アオギリ「ああ。前にゲットしたトドゼルガたちに小型カメラを取り付けて、うずまき島のどこかにいるルギアを捜させていたんだが、お前を見つけた時はラッキーだと思ったぜ。ルギアはまだ発見できてねぇが、俺の狙いはお前なんでな。それに、カオスオーブの力でダークポケモンになったカイオーガがどれほど強くなったのか、俺もこの目で確認しておきたかったからな」

 

 

 シンヤ「ダークポケモン……けど、今カイオーガが頭に被っている王冠は、みずテラスタイプになっているポケモンが被っている王冠と同じもの。ってことは、どれだけ見た目が変わったとしても、カイオーガがみずタイプであることに変わりはない。だったら、特に問題はないはずだ」

 

 

 アオギリ「それはどうかな?」

 

 

 シンヤ「なに?」

 

 

 アオギリ「さっき言ったはずだ。カオスオーブを使ったポケモンは、ダークポケモンになって何倍にも強くなると。その証拠を見せてやる!カイオーガ!『こんげんのはどう』だ!」

 

 ダークゲンシカイオーガ(みずテラスタイプ)「カァァァァァァイッ‼︎」

 

 

 ドォォォォォォォンッ‼︎

 

 

 メガジュカイン「ジュカァァァァッ⁉︎」

 

 

 ダークゲンシカイオーガが大きな雄叫びを上げると、噴水の王冠が邪悪な輝きを放った。すると、ダークゲンシカイオーガは両方のヒレの先の部分の周りに赤黒い色をした小さい球体をいくつか作り出すと、そこからドス黒い色をした水を放ってメガジュカインに攻撃してきた。メガジュカインは「リーフブレード」を発動すると、さっきと同じように「こんげんのはどう」を切ろうとした。しかし、ダークゲンシカイオーガの放った「こんげんのはどう」のパワーとスピードがさっきとは桁違いなほど上がっていたため、メガジュカインは攻撃を防ぎきれずにダメージを受けてしまう。

 

 

 メガジュカイン「ジュゥゥゥッ…」

 

 シンヤ「ジュカイン、大丈夫か!」

 

 メガジュカイン「ジュカァァァァッ…」

 

 シンヤ「たった一撃で、メガジュカインにこれほどのダメージを与えるとは、なんてパワーだ…」

 

 

 アオギリ「フッw」

 

 

 カオスオーブをゲンシカイオーガに使ったことで、ゲンシカイオーガはダークポケモンになり、ダークゲンシカイオーガという邪悪な姿へと変貌した。果たしてシンヤとジュカインは、このダークゲンシカイオーガを倒すことができるのか?

 

 

 …そして、場所は再びリコたちのいる所に戻る。

 

 

 エンテイ「ガァァァァァァッ‼︎」

 

 

 リュウガ「『にほんばれ』を発動して、『あまごい』の効果を消したか」

 

 ミコ「これじゃ、みずタイプの技の威力が下がっちゃう」

 

 

 エンテイ「テェェェェイッ‼︎」

 

 

 フリード「っ!まずい!エンテイは『ふんか』を使う気だ!」

 

 ロイ「『ふんか』?」

 

 ミコ「自分の体力が高いほど、相手に大きなダメージを与える技よ」

 

 リュウガ「俺たちのポケモンは、あまりエンテイにダメージを与えていないから、今の『ふんか』のパワーは最高と言っていいだろう。おまけに、『にほんばれ』の効果で威力も上がってるから、さっき使った『せいなるほのお』の比じゃないだろうな」

 

 リコ「そんな!」

 

 ドット「どうしよう⁉︎」

 

 ミコ「任せて!ミロカロス!『ミラーコート』!」

 

 ミロカロス「ミィィィロォォォッ‼︎」

 

 

 エンテイ「ガァァァァァァァァッ‼︎」

 

 

 ドォォォォォォンッ‼︎

 

 

 野生のエンテイは体中のエネルギーを口に集めると、高火力の炎を口から撃ち出してニャローテたちを攻撃してきたが、「ミラーコート」を発動したミロカロスがニャローテたちの盾になったことで、ニャローテたちは無事だった。しかし、エンテイの放った「ふんか」の威力は凄まじく、ミロカロスは少しずつ後ろに押され始めた。

 

 

 ミロカロス「ミィィィロォォォッ…」

 

 ミコ「ミロカロス!頑張って!」

 

 ミロカロス「ミィィィィッ、ロォォォォォッ‼︎」

 

 

 バァァァァァァンッ‼︎

 

 

 エンテイ「ガァァァァァァッ!?」

 

 

 リュウガ「よし!」

 

 フリード「『ミラーコート』は、受けた特殊技のダメージを2倍にして相手に与えるカウンター技だ。さっきエンテイが放った『ふんか』のパワーは相当なものだったはず。その2倍のダメージを正面からまともに食らったんだ。さすがのエンテイでも、これはかなり効いたはずだ!」

 

 リコ「じゃあ!」

 

 リュウガ「ああ。あと少しで勝てるぞ!」

 

 

 カッ(エンテイが目を見開く)

 

 エンテイ「テェェェェェェイッ‼︎」

 

 

 全員「「「っ!?」」」

 

 リュウガ「おいおい、まだ元気そうじゃねぇか」

 

 ミロカロスの「ミラーコート」によって、エンテイがかなりのダメージを受けたことは間違いなかった。しかし、エンテイはまだまだやれると言うかのように大きな雄叫びを上げた。

 

 リュウガ「ミコ、ミロカロスは?」

 

 ミコ「それが、今の一撃がかなり効いたみたいで、『じこさいせい』も使えない状態なの」

 

 ミロカロス「ミロォォッ…」

 

 

 いくら「にほんばれ」でパワーが上がっているとはいえ、みずタイプのミロカロスにほのおタイプの技の「ふんか」は効果がいまひとつのはずだ。だというのに、今の一撃でミコのミロカロスを戦闘不能にまで追い込んだのだから、目の前のエンテイのパワーは計り知れなかった。しかし、ミロカロスが「ミラーコート」で与えたダメージが効いているのも確かなので、決して悪い状況というわけではない。

 

 

 スッ(リュウガがテラスタルオーブを取り出す)

 

 リュウガ「リコ、ロイ、ドット、フリード。ミコのミロカロスがここまでしてくれたんだ。次で決めるぞ!」

 

 スッ(リコ、ロイ、ドットがテラスタルオーブを取り出す)

 

 リコ・ロイ・ドット「「「うん!」」」

 

 フリード「おう!」

 

 リコ「ニャローテ!満開に輝いて!」

 ロイ「輝け、夢の結晶!」

 ドット「ウェルカモ!映えてバズって、輝いちゃえ!」

 リュウガ「吼えろエンテイ!燃え盛る炎のように!」

 

 

 リュウガとリコとロイとドットは、野生のエンテイとの勝負をつけるために、取り出したテラスタルオーブを構えた。すると、リュウガたちの持ってるテラスタルオーブにエネルギーがチャージされていき、4つのテラスタルオーブにエネルギーがチャージされると、リコたちはテラスタルオーブをニャローテたちの頭上に向かって投げ飛ばした。テラスタルオーブのエネルギーが解放されると、色違いのエンテイ、ニャローテ、アチゲータ、ウェルカモは、無数の結晶石に身を包み込んだ。そして、ニャローテたちを包んでいた結晶石が弾け飛ぶと、そこには全身がクリスタル化し、頭に花束を模した王冠を被るニャローテと、シャンデリアを模した王冠を被る色違いのエンテイとアチゲータ。そして、噴水を模した王冠を被るウェルカモが現れた。

 

 

 ニャローテ(くさテラスタイプ)「ニャァァァァロォォーーッ‼︎」

 

 アチゲータ(ほのおテラスタイプ)「アァァァチィーーゲェーーーッ‼︎」

 

 ウェルカモ(みずテラスタイプ)「ウェェェーールゥゥーーッ‼︎」

 

 色違いエンテイ(ほのおテラスタイプ)「ガァァァァァァァッ‼︎」

 

 

 リュウガ「いくぜ!エンテイ!こっちも『ふんか』だ!」

 

 リコ「ニャローテ!『マジカルリーフ』!」

 ロイ「アチゲータ!『かえんほうしゃ』!」

 ドット「ウェルカモ!『みずでっぽう』!」

 フリード「キャップ!『ボルテッカー』!」

 

 色違いエンテイ(ほのおテラスタイプ)「ガァァァァァァァァッ‼︎」

 

 ニャローテ(くさテラスタイプ)「ニャァァァァッロォォォォォォッ‼︎」

 

 アチゲータ(ほのおテラスタイプ)「アァァァチッゲェェェェェッ‼︎」

 

 ウェルカモ(みずテラスタイプ)「ウェェェェェルゥゥーーッ‼︎」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカピカピカピカー、ピカピッカーーッ‼︎」

 

 

 ドォォォォォォォンッ‼︎

 

 

 エンテイ「ガァァァァァァッ!?」

 

 

 ニャローテたちはテラスタルすると、それぞれ自分の覚えている技の中で一番威力の高い技を使って野生のエンテイに攻撃した。すると、野生のエンテイは「せいなるほのお」を放って反撃してきたが、ニャローテたちの攻撃が「せいなるほのお」を粉砕し、そのまま野生のエンテイにダメージを与えると、最後に「ボルテッカー」を発動したキャップがエンテイに突撃してダメージを与えた。さすがにこれだけダメージを与えれば、野生のエンテイを倒せたかに思えたが…

 

 

 エンテイ「…」

 

 

 リコ「嘘⁉︎」

 

 リュウガ「あれだけの攻撃を受けたのに、全然ダメージを受けてないのか…」

 

 

 ミロカロスの「ミラーコート」によるダメージ、テラスタルしたニャローテたちのフルパワーの攻撃。そして、キャップの最後の「ボルテッカー」。その三つの攻撃をまともに受けたというのに、野生のエンテイはリュウガたちの前に堂々とした姿で立っていた。

 

 

 フリード「さすがルシアスの六英雄だな」

 ロイ「でも、僕たちだって負けてないよ!」

 ドット「うん!次で決めよう!」

 

 ミコ「待って!」

 

 リコ「どうしたの?」

 

 ミコ「エンテイを見て」

 

 

 ミコにそう言われると、リコたちはエンテイを見た。するとリコたちは、ニャローテたちに攻撃の指示をするのをやめた。その理由は、目の前にいる野生のエンテイが静かに自分たちを見ていて、何もしようとしなかったからだった。

 

 

 エンテイ「…」

 

 

 リコ「エンテイ…」

 

 

 …そして、場所は再びシンヤのいる所に戻る。

 

 

 アオギリ「カイオーガ!『れいとうビーム』だ!」

 

 ダークゲンシカイオーガ(みずテラスタイプ)「カァァァァァァイッ‼︎」

 

 

 シンヤ「かわせ!」

 

 メガジュカイン「ジュウゥゥッ!」

 

 

 アオギリ「防戦一方とは情けねぇな!さっきの勢いはどうした!」

 

 

 シンヤ「クッ!」

 

 

 カオスオーブによって、ゲンシカイオーガがダークゲンシカイオーガになると、さっきまでシンヤとメガジュカインが有利だった状況が一変し、ダークゲンシカイオーガの圧倒的な力に押されっぱなしだった。しかし、このままではメガジュカインがやられてしまうのは時間の問題なので、シンヤはこの状況を打開できる方法が何かないかと考えていた。

 

 

 N「シンヤ…」

 

 ゼロ(あのバケモノみたいなカイオーガの力、とんでもなくヤバいな。さて、この状況をどうやってひっくり返すのか。ゆっくり拝ませてもらうぞ)

 

 

 シンヤ(どうすれば、あのダークゲンシカイオーガを倒せる⁉︎考えるんだ、その方法を!)

 

 カランッ(テラスタルオーブが落ちる)

 

 シンヤ「ぁ、テラスタルオーブ…」

 

 

 ダークゲンシカイオーガを倒す方法を考えていると、シンヤのジャケットのポケットに入っていたテラスタルオーブが地面に落ちてしまい、シンヤの足元に転がってきた。すると、それを見たシンヤはある事を思いついた。

 

 

 シンヤ(そういえば、マツブサのグラードンを倒した時、キズナゲッコウガにテラスタルオーブを使ったな。…っ!そうか!メガジュカインをテラスタルさせられれば!)

 

 

 アオギリ「あァん?」

 

 

 シンヤ(奴がゲンシカイキしたカイオーガにカオスオーブを使ったように、俺もメガジュカインにテラスタルオーブを使えばいいんだ!そうすれば、メガジュカインはテラスタルして、今よりもっと強くなるはずだ!)

 

 

 2種類のタイプを持つポケモンがテラスタルした場合、1つのタイプになることがわかっているから、くさ・ドラゴンタイプを持つメガジュカインにもテラスタルオーブを使うことはできる。しかし、メガシンカしたポケモンにテラスタルオーブを使用したという実例は一回もないため、メガシンカしたポケモンにテラスタルオーブを使ってもテラスタルさせられるかはわからない。もちろん、それはシンヤも知っていることだ。しかし、ダークゲンシカイオーガに勝つには、テラスタルオーブを使うという選択肢しかなかった。

 

 

 シンヤ「ジュカイン」

 

 メガジュカイン「ジュッ?」

 

 スチャ(テラスタルオーブを構える)

 

 シンヤ「この状況を打開するには、メガシンカしたお前にテラスタルオーブを使うという方法しかない。だけど、メガシンカしたお前にテラスタルオーブを使ったらどうなるのか、それは俺にもわからない。だけど、このまま何もしなければ、俺たちが奴に敗北するのは間違いない。このまま負けるか、これを使ってミラクルを起こすか。お前はどうしたい?」

 

 メガジュカイン「…」

 

 

 シンヤの言葉を聞いたメガジュカインは前を向くと、目を閉じてどうするか考え始めた。今の自分の力では、ダークゲンシカイオーガに勝てない。アオギリがゲンシカイキしたカイオーガにカオスオーブを使ったように、自分もテラスタルオーブを使ってパワーアップするべきだと。

 

 

 しかし、メガシンカしたポケモンにテラスタルオーブを使った場合、そのあとどうなるかは未知数だ。テラスタルするのか。それともしないのか。パワーが上がるのか。それとも下がるのか。自分は一体どうなるのか。メガジュカインはそんな事ばかり考えていた…しかし、このまま何にもせずに負けるというのは、メガジュカインのプライドが許さなかった。なにより、自分を信じてくれているシンヤの期待に応えたいと思ったメガジュカインは、迷いを吹っ切って閉じていた目を開けた。

 

 

 メガジュカイン「ジュゥゥゥッ‼︎」

 

 

 メガジュカインは覚悟を決めた目をしてシンヤの方に振り向くと、自分にテラスタルオーブを使えとシンヤに叫んだ。

 

 

 シンヤ「ぁっ……フッw、そうだよな。このまま負けるぐらいなら、勝つ可能性に賭けるよな!」

 

 メガジュカイン「ジュカァァァァァッ‼︎」

 

 シンヤ「見せてやろうぜ!俺たちの新たな可能性を!」

 

 ジュカイン「ジュゥゥゥゥゥゥッ‼︎」

 

 

 シンヤがテラスタルオーブを構えると、テラスタルオーブにエネルギーが蓄積されていき、チャージが満タンになると、シンヤはメガジュカインに向かってテラスタルオーブを投げ飛ばした。テラスタルオーブはメガジュカインの頭上でエネルギーを解放すると、メガジュカインは結晶石に身を包み込んだ。そして、結晶石が弾け飛ぶと、そこには全身がクリスタル化し、頭に花の王冠を被るメガジュカインがいた。

 

 

 メガジュカイン(くさテラスタイプ)「ジュウゥゥゥゥゥゥゥゥッ‼︎」

 

 

 ゼロ「ぁっ…!」

 

 N「これは…⁉︎」

 

 

 シンヤ「ぁっ…メガジュカインが、テラスタルした……ハハッw、やった!やったぜ!メガシンカでのテラスタルが成功したんだ!」

 

 ピカチュウ「ピィカァッw!」

 

 

 メガジュカインにテラスタルオーブを使った結果、メガジュカインはテラスタルし、メガシンカとテラスタルの力を重ね合わせた、今まで誰も見た事がない新たな姿となり、シンヤたちの前に姿を現した。

 

 

 アオギリ「メガジュカインが…テラスタルしただと…」

 

 

 シンヤ「別に驚くことはないだろう。お前がゲンシカイオーガをカオスオーブでテラスタルしたのと同じで、メガジュカインにテラスタルオーブを使っただけなんだから」

 

 

 アオギリ「クッ!」

 

 

 シンヤ「メガシンカとテラスタルを合わせた力。この力を名付けるなら…そう、《メガテラスタル》だ!」

 

 

 アオギリ「メガテラスタルだと⁉︎」

 

 

 N「メガテラスタル…」

 

 ゼロ「……フッw、フフッw、ハハハッw、アイツ、面白いことをするじゃねぇか!」

 

 

 シンヤ「行くぜジュカイン!『リーフブレード』!」

 

 メガジュカイン(くさテラスタイプ)「ジュカァァァァァァッ‼︎」

 

 

 テラスタルしたメガジュカインが「リーフブレード」を発動し、両腕の葉を鋭く変化させると、両腕の葉はさっきと違って、より長くより鋭く変化した。

 

 

 アオギリ「カイオーガ!『こんげんのはどう』!」

 

 ダークゲンシカイオーガ(みずテラスタイプ)「カァァァァァァイッ‼︎」

 

 メガジュカイン(くさテラスタイプ)「ジュカァァァァァァッ‼︎」

 

 

 ザァァァァァンッ‼︎

 

 

 ダークゲンシカイオーガ(みずテラスタイプ)「カァァァァァァイッ!?」

 

 アオギリ「なっ!?」

 

 

 シンヤ「よし!」

 

 

 メガジュカインが岩から飛び降りてダークゲンシカイオーガに突っ込んで行くと、ダークゲンシカイオーガは「こんげんのはどう」を放って迎撃してきた。だが、メガジュカインが黒い水のビームを両腕の葉で全て切り裂くと、今後はダークゲンシカイオーガを切りつけてダメージを与えた。

 

 

 シンヤ「パワーもスピードも大きく上がってる。これが、メガシンカとテラスタル合わせた力なのか…」

 

 

 アオギリ「カイオーガ!お前の力はこんなもんじゃねぇはずだ!」

 

 ダークゲンシカイオーガ(みずテラスタイプ)「カァァァァァァイッ‼︎」

 

 

 シンヤ「ジュカイン!『つるぎのまい』!」

 

 メガジュカイン(くさテラスタイプ)「ジュゥゥゥゥゥッ!」

 

 

 アオギリ「カイオーガ!『しおふき』だ!」

 

 ダークゲンシカイオーガ(みずテラスタイプ)「カァァァァァァイッ‼︎」

 

 

 シンヤ「『リーフストーム』で吹き飛ばせ!」

 

 メガジュカイン(くさテラスタイプ)「ジュゥゥゥッ、カァァァァァァッ‼︎」

 

 

 「つるぎのまい」を発動したメガジュカインがパワーを溜めていると、ダークゲンシカイオーガは海から飛び上がり、ジュカインに大量の黒いしおみずを噴き出した。そのしおみずが雨のように降り注いでくると、メガジュカインは巨大化した尻尾を切り離し、木の葉を纏った尻尾を黒いしおみずに向かって撃ち出した。

 

 

 ドォォォォォォンッ‼︎

 

 

 ダークゲンシカイオーガ(みずテラスタイプ)「カァァァァァァッ!?」

 

 

 大量の木の葉を纏っていたメガジュカインの尻尾が黒いしおみずを全て吹き飛ばすと、海から飛んできたダークゲンシカイオーガに直撃し、メガジュカインの尻尾がダークゲンシカイオーガの体を抉りながらダメージを与えると、そのままダークゲンシカイオーガを空に打ち上げた。

 

 

 アオギリ「カイオーガ!」

 

 

 シンヤ「これで終わりだ!ジュカイン!トドメの『リーフブレード』!」

 

 メガジュカイン(くさテラスタイプ)「ジュウゥゥゥゥゥゥッ、カァァァァァァッ‼︎」

 

 

 ザァァァァァァァンッ‼︎

 

 

 ダークゲンシカイオーガ(みずテラスタイプ)「カァァァァァァァァッ!?」

 

 

 メガジュカインが再び尻尾を切り離して発射すると、尻尾はブーメランのようにメガジュカインの所に戻ってきた。その尻尾にメガジュカインがタイミングよくジャンプして飛び移ると、上空にいるダークゲンシカイオーガに向かって飛んで行った。そして、メガジュカインは「つるぎのまい」で攻撃力が上がっている「リーフブレード」を発動し、両腕を振り下ろしてダークゲンシカイオーガを切り裂くと、シンヤとピカチュウのいる場所に降りてきた。

 

 

 ドォォォォォォォォンッ‼︎

 

 

 アオギリ「…バカな」

 

 

 メガジュカインに切られたダークゲンシカイオーガは海に落ちると、ひっくり返った状態で海の中から浮かんできた。そして、ダークゲンシカイオーガのテラスタル化が解除されると、ダークゲンシカイオーガは元のゲンシカイオーガに姿を変えた。

 

 

 N「ぁぁ…」

 

 ゼロ「あの化け物みたいなカイオーガに、勝っちまいやがった…」

 

 

 シンヤ「……ハ、ハハッw、やったぜジュカイン!」

 

 ピカチュウ「ピカァァッw!」

 

 メガジュカイン(くさテラスタイプ)「ジュゥゥゥッ‼︎」

 

 

 ダークゲンシカイオーガが倒れると、メガジュカインのテラスタル化が解除され、メガジュカインは元のジュカインへと姿を戻した。

 

 

 シンヤ「凄かったぜ、ジュカイン」

 

 ピカチュウ「ピカァッ!」

 

 ジュカイン「ジュゥゥゥッ!」

 

 

 アオギリ「バカな!この俺が…ダークゲンシカイオーガが……ジュカイン如きに負けただと…」

 

 

 シンヤ「どんなポケモンも、トレーナーの育てかた次第で、伝説のポケモンだって倒せるほど強くなれるんだよ」

 

 

 アオギリ「クッ!」

 

 

 「ついに見つけたぞ!アオギリ!」

 

 

 アオギリ「っ!」

 

 

 シンヤ「この声って…」

 

 

 ゼロ「まさか…」

 

 

 N「っ、あれは!」

 

 

 シンヤとアオギリのバトルに決着がつくと、突然海の向こうからアオギリの名を呼ぶ声が聞こえてきたので、シンヤたちは声が聞こえてきた方に顔を向けた。そこにいたのは、シンヤがよく知っている人物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワタル「…」

 

 カイリュー「バゥゥーーン‼︎」

 

 

 シンヤ「ワタルさん!」

 

 

 ゼロ「何でここに、カントーとジョウトのチャンピオンが⁉︎」

 

 

 アオギリの名を呼んだ声の主の正体は、シンヤの思った通り、以前うずまき島で出会ったワタルだった。

 

 

 ワタル「ファイヤーにレシラム。これほど凄いポケモンをこんな間近で見られるとは」

 

 

 シンヤ「ワタルさん」

 

 

 ワタル「シンヤくん、話はあとだ」

 

 

 ワタルは一瞬、伝説のポケモンであるレシラムとファイヤーに目を向けるが、ポケモンGメンとしての仕事をするため、すぐにアオギリの方に顔を向けた。

 

 

 アオギリ「ポケモンGメンのワタルか…」

 

 

 ワタル「アオギリ、この場でお前を捕える!」

 

 

 アオギリ「悪いが、ここで捕まる気はねぇよ。戻れカイオーガ」

 

 シュルルーーン

 

 アオギリ「…シンヤ」

 

 

 シンヤ「ん?」

 

 

 アオギリ「今回は俺の負けにしといてやる。…だが忘れるな。俺は再びお前の前に現れる。その時こそ、お前の最後だ」

 

 

 シンヤ「っ」

 

 

 ワタル「残念だが、お前がシンヤくんの前に現れることは永遠にない。なぜなら、俺がこの場でお前を捕まえるからだ。行けカイリュー!」

 

 カイリュー「バゥゥーーンッ‼︎」

 

 

 アオギリ「フッw、じゃあな!」

 

 バッ(飛び降りる)

 

 

 シンヤ「なっ!」

 

 

 ワタル「何っ!?」

 

 

 アオギリ「出てこい!」

 

 ポーーン‼︎

 

 サメハダー「サァァメッ‼︎」

 

 

 ワタルはポケモンGメンの名にかけて、脱獄したアオギリを捕まえようとした。ワタルのカイリューが迫ってくると、アオギリは懐から酸素ボンベと一つのモンスターボールを取り出し、岩の上から海に向かって飛び込んだ。すると、懐から取り出した小型の酸素ボンベを口に咥えたアオギリは、モンスターボールからサメハダーを繰り出した。そして、サメハダーのヒレを掴んだアオギリは、そのまま海の中に潜って姿を消してしまう。

 

 

 ワタル「逃すものか!」

 

 ポーーン‼︎

 

 赤いギャラドス「ギャァァァァッ‼︎」

 

 ワタル「シンヤくん、俺はアオギリを追うから、また時間が出来たらゆっくり話そう」

 

 

 シンヤ「えっ?あ、はい!」

 

 

 ワタル「うん。じゃあまた!」

 

 

 ワタルはシンヤにそう言い残すと、モンスターボールから出した《赤いギャラドス》と一緒に、海の中に逃げていったアオギリの追跡を始めた。すると、上空にいたレシラムがシンヤの近くにやってきた。

 

 

 N「シンヤ、怪我は?」

 

 シンヤ「いや、大丈夫だ」

 

 

 アオギリがいなくなると、シンヤはてらす池で自分のディアルガが話してくれたハデスの目的を思い出していた。

 

 

 ハデスは、DPP、通称《ダークポケモンプロジェクト》といって、ポケモンの心を完全に消し、戦うだけの戦闘マシーンとして改造するということをやろうとしていて、最強のダークポケモンを作り出し、全てのポケモンをダークポケモンにするという野望を持っていた。心が消えたポケモンは、ダークポケモンという別の存在になると聞いたが、まさかカオスオーブによってダークポケモンになるとは思ってもいなかったので、さすがのシンヤも驚きを隠せず動揺していた。

 

 

 シンヤ(ゲーチスにダークトリニティ。それに、アオギリまでカオスオーブを持っているとなると、マツブサやフラダリも持っていることも考えられる。いや、開発者であるハデスも持ってる可能性…)

 

 N「シンヤ」

 

 シンヤ「ん?」

 

 N「あの男との決着をつけたのなら、リュウガたちのいる所に戻った方がよくないかな?」

 

 シンヤ「え?……あっ!そうだった!」

 

 

 Nの言葉を聞いたシンヤは自分がここに来た目的を思い出すと、エンテイと戦っているリコたちの加勢に向かおうとした。

 

 

 ポーーン‼︎

 

 リザードン「リザァァァァッ!」

 

 シンヤ「リザードン。俺をリコたちのいる所に連れて行ってくれ」

 

 リザードン「リザァァァッ!」

 

 

 シンヤはモンスターボールから出したリザードンに乗ると、レシラムに乗ったNと一緒にリコたちの所に戻って行った。

 

 

 シンヤ「…」

 

 

 メガジュカインにテラスタルオーブを使った時はどうなるかと思ったが、メガジュカインにテラスタルオーブを使ったことで、シンヤは《メガテラスタル》という新たな戦い方を得ることができて、アオギリのダークゲンシカイオーガを倒すことができた。しかし、シンヤはまだメガテラスタルを完全にものにしたわけではない。

 

 

 メガテラスタルは、エクスプローラーズと戦う時に再び使う時が来るだろうと思ったシンヤは、その時までにメガテラスタルを必ずものにしようと、そう強く決意するのだった。

 

 

 ゼロ「……ファイヤー、俺たちも行くぞ」

 

 ファイヤー「ファァァァッ!」

 

 

 …そして、その頃リコたちは…

 

 

 エンテイ「…」

 

 

 リコ「エンテイ?」

 

 

 テラスタルしたニャローテたちの攻撃を受けたあとから、エンテイは何もしようとせずに、静かにリコたちやニャローテたちを観察していた。

 

 

 エンテイ「…ガウッ」

 

 

 リュウガ「どうやら、やっと話を聞いてくれる気になったみたいだな」

 

 ロイ「じゃあ、僕たちを認めてくれたってこと?」

 ミコ「そうかもね」

 ドット「よかった」

 

 もうエンテイにもう戦う気がないことがわかると、身構えていたリコたちの体から力が抜けていき、ニャローテたちのテラスタル化が解除された。

 

 フリード「リコ」

 

 リコ「ぁ、うん。エンテイ!」

 

 エンテイ「ガウッ?」

 

 リコ「私たち、ルシアスとの約束を果たすために、パゴゴとラクアを目指してるの。レックウザ以外の六英雄のみんなも一緒」

 

 エンテイ「…」

 

 リコ「エンテイ、私たちと一緒に来てほしい。パゴゴの力になってあげて」

 

 テラパゴス「パァァゴッ、パァァッ」

 

 エンテイ「…」

 

 リコ「エンテイ?」

 

 テラパゴスと一緒にエンテイの目の前にやってきたリコは、六英雄のラプラスに出会った時のように、六英雄であるエンテイに一緒に来てほしいと頼んだ。しかし、リコの言葉を聞いたエンテイは、さっきからずっと黙ったままだった。それを見ていたミコは、一つの疑問を口にした。

 

 ミコ「もしかして、このエンテイ、六英雄のエンテイじゃないのかも」

 

 リコ「えっ?」

 

 ミコ「ほら、前に六英雄のバサギリと会った時は、パゴゴと共鳴して光ってたでしょ?だけど、今回パゴゴは光ってないし」

 

 

 ミコにそう言われたリコたちは、六英雄のオリーヴァたちと出会った時のことを思い出していた。六英雄のオリーヴァとガラルファイヤーに出会った時、まだテラパゴスはペンダントから目覚めていなかったが、ペンダントの状態だったテラパゴスは、六英雄のオリーヴァとガラルファイヤーに確かに共鳴していた。ペンダントから目覚めたテラパゴスが、六英雄のラプラスやバサギリと出会った時だって、テラパゴスは共鳴して光っていた。しかし今は、テラパゴスとエンテイは共鳴していないし、他の六英雄たちが入っているボールもエンテイと共鳴していない。ということは、ミコの言う通り、今リコたちの目の前にいるエンテイは、六英雄のエンテイではないということだ。

 

 

 エンテイ「ガウッ!」

 

 テラパゴス「パァァゴッ!」

 

 全員「「「ん?」」」

 

 

 ゴロゴロッ……ドォォォンッ‼︎⚡️

 

 

 エンテイとテラパゴスが海底火山の噴火で誕生した島に顔を向けると、急に島の上空に雨雲が発生し、そこから落雷が落ちてきた。すると、落雷が落ちた衝撃で舞った煙の中から、あるポケモンが雄叫びを上げながら姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライコウ「ラァァァァァイッ‼︎」

 

 

 ロイ「あれって!」

 

 フリード「ライコウだ!」

 

 煙の中から姿を現したポケモン。それは、エンテイと同じジョウト地方の伝説のポケモンで、エンテイと同じ三犬の1体でもある、いかずちポケモンの《ライコウ》だった。

 

 

 「クゥゥゥーーーン!」

 

 

 リコ「えっ?」

 

 

 突然ライコウが現れたことにリコたちが驚いてると、どこかから、ライコウとは違うポケモンの雄叫びが聞こえてきた。すると、ブレイブアサギ号が停泊している空の上空に"オーロラ"が発生し、オーロラの中から1体のポケモンが現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スイクン「ファァァァァァッ‼︎」

 

 

 ドット「あれは!」

 

 リュウガ「スイクンだ!」

 

 

 オーロラから現れたポケモンは、エンテイ、ライコウに並ぶジョウト地方の伝説のポケモンであり、エンテイ、ライコウと同じ三犬と呼ばれている《スイクン》だった。オーロラの中から現れたスイクンは海に降りてくると、海の上をジャンプしてライコウがいる島に降り立った。すると、リコたちの目の前にいたエンテイはその場から思いっきりジャンプをして、ライコウとスイクンがいる島に飛んで行った。

 

 

 エンテイ「ガァァァァァッ‼︎」

 ライコウ「ラァァァァイッ‼︎」

 スイクン「クゥゥゥゥンッ‼︎」

 

 

 ドット「エンテイ、ライコウ。それにスイクンまで揃うなんて」

 

 リュウガ「ああ。あの伝説の三犬が一緒にいる光景なんて、滅多に見られないぞ」

 

 

 「そうか?俺は《エンジュシティ》で3体が揃ったところを見たことあるけど」

 

 ピカチュウ「ピッカッ!」

 

 

 全員「「「えっ?」」」

 

 

 1体だけでも遭遇する確率はものすごく低いのに、ジョウト地方の伝説の三犬、エンテイ、ライコウ、スイクンが一堂に集まった所を見たリコたちは、その光景に見入っていた。すると、後ろから聞き覚えのある声をした人物が声をかけてきたので、リコたちは後ろを振り向いた。そこにいたのは、リコたちの思っていた人物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンヤ「よっ」

 ピカチュウ「ピッカッ!」

 

 N「戻りました」

 

 

 リコ「シンヤ!

 フリード「N!」

 

 

 シンヤ「ただいま」

 

 

 エンテイ「ガァァァァァッ‼︎」

 ライコウ「ラァァァァイッ‼︎」

 スイクン「クゥゥゥゥンッ‼︎」

 

 

 全員「「「あっ!」」」

 

 

 シンヤがリコたちにただいまと声をかけると、エンテイ、ライコウ、スイクンは揃って遠吠えをして、3体の遠吠えと共に朝日が登ってくると、エンテイ、ライコウ、スイクンはどこかへと消えていった。……そのあとシンヤたちは、互いにさっきあったことを報告した。

 

 

 リュウガ「へぇ〜、じゃあテラスタルしたメガジュカインで、ダークゲンシカイオーガってのを倒したのか?」

 

 シンヤ「ギリギリだったけどな。つかお前、色違いのエンテイをゲットしてたのかよ」

 

 リュウガ「ああ。ホントはお前とのフルバトルに使う気だったんだが、エリアゼロから逃げる時にダメージを受けちまってな」

 

 色違いエンテイ「テェェイッ」

 

 シンヤ「そっか。…それで、さっきのエンテイが六英雄じゃなかったってのはホントか?」

 

 リコ「うん。パゴゴも古のモンスターボールも反応しなかったから」

 

 シンヤ「そっか」

 

 

 シンヤたちが出会ったエンテイは六英雄のエンテイではなかったため、また最初からエンテイの情報を集めて捜すしかない。しかし、伝説のポケモンであるエンテイと遭遇できる確率はかなり低い。それを考えると、六英雄のエンテイを捜すのは至難の業なので、リコたちは少し気落ちしていた。

 

 

 フリード「とりあえず、今後どうするかは船に戻ってから話し合おう」

 

 リコ「うん」

 シンヤ「そうだな」

 

 

 ゼロ「おい!」

 

 

 シンヤ「ん?」

 

 

 六英雄のエンテイがいない以上、もうここに留まる理由はないので、シンヤたちはブレイブアサギ号に戻ろうとした。すると、いつの間にかシンヤたちの後ろにゼロがいて、シンヤに声をかけてきた。

 

 

 シンヤ「何だ?あのエンテイは俺たちが捜してたエンテイじゃないから、ゲットしてい…」

 

 ゼロ「俺とフルバトルしろ!」

 

 シンヤ「……はっ?」

 

 シンヤとゼロ以外の全員「「「えっ?」」」

 

 

 いきなりのゼロの『フルバトルしろ』という言葉に、シンヤは上手く返事ができず、頭の上にクエスチョンマークが浮かんだ。しかし、それはリュウガたちも同じだった。

 

 

 シンヤ「いきなりフルバトルしろって、一体どういうことだよ?」

 

 ゼロ「前にお前と戦って勝った時は、そんな大したレベルじゃないから興味がなかった。だが、さっきの化け物みたいなカイオーガを倒すところを見て、お前に興味が湧いたよ。それにお前、ディアルガやパルキアを持ってるんだろ?」

 

 シンヤ「だったら?」

 

 ゼロ「伝説のポケモンを持ってるトレーナーなんてそういないからな。それに、さっき言ったように、お前だって俺にリベンジしたいだろ?だったら俺とのバトルを受けろよ」

 

 シンヤ「…」

 

 ゼロ「どうした?まさか断るなんて言うつもりじゃないだろうな?」

 

 シンヤ「…そうだな。俺もずっとお前にリベンジしたいと思ってたし、あの時の借りをこの場で返すのもいいかもな」

 

 ゼロ「じゃあ早速…」

 

 シンヤ「…けど、やめとくわ」

 

 

 ゼロ「…はっ?」

 

 シンヤ「今の俺にはやるべきことがある。だからお前とのバトルはまた今度だ」

 

 

 今シンヤがやるべきこと。それは、テラパゴスをラクアに連れて行くというリコとの約束を守る事だ。そのために、六英雄のレックウザとエンテイを早く見つける必要があるので、シンヤはゼロからのバトルの誘いを断った。

 

 

 シンヤ「それに、さっきのダークゲンシカイオーガとのバトルで、俺もジュカインもクタクタなんでな。バトルするにしても、少し休む必要がある」

 

 

 肉体に外傷はないが、シンヤはさっきのダークゲンシカイオーガとのバトルでかなりの疲労が溜まっていた。それに、昨日から一睡も睡眠していないので、今この場に立っているのも限界だった。

 

 

 シンヤ「お前だって、俺が万全の状態でバトルしたいだろ?」

 

 ゼロ「…いいだろう。お前とバトルするのは、次に会った時だ。それまでに、あのメガテラスタルとかいう力をものにしておくんだな」

 

 

 ゼロはシンヤにそう言い残すと、ファイヤーに乗ってこの場を去って行った。

 

 

 シンヤ「…」

 

 リコ「シンヤ、よかったの?」

 

 

 ナッペ山でゼロとの因縁をシンヤから聞いたリコは、シンヤがどれほどゼロとバトルしたがっていたのかを知っているため、シンヤがゼロとバトルしたければバトルしてもいいと思っていた。だが、シンヤはゼロとのバトルを断り、六英雄を捜すことを優先してくれた。そう思うと、リコはシンヤに申し訳ない気持ちになっていた。

 

 

 シンヤ「いいんだ。確かにリベンジしたいけど、今は俺も疲れてる。今の状態でバトルしても、ポケモンにまともな指示ができるわけないしな。…それに、六英雄のエンテイのことで、少し思い出したことがあるからな」

 

 リコ「エンテイのことで?」

 

 シンヤ「ああ」

 

 リュウガ「何を思い出したんだ?」

 

 シンヤ「詳しいことはウイングデッキで話すよ。だから、先にウイングデッキに行っててくれ。…あっ、リュウガ」

 

 リュウガ「ん?」

 

 シンヤ「ウイングデッキに着いたら、エンテイをボールから出しといてくれ」

 

 リュウガ「えっ?エンテイを?」

 

 

 リコたちはブレイブアサギ号に戻ると、船に残っていたモリーたちに、さっき出会ったエンテイが六英雄でないことを伝えると、シンヤに言われた通りウイングデッキにやってきた。そしてしばらくすると、シンヤがウイングデッキにやってきた。

 

 

 ウイングデッキ

 

 

 シンヤ「待たせたな」

 

 リュウガ「何なんだよ?エンテイで気になったことって?」

 

 シンヤ「…俺さ、ダークストーンから目覚めたゼクロムが六英雄のレックウザとバトルした時、急に頭痛がしてさ、その時にルシアスの六英雄を見たんだ。けど、エンテイの姿だけが朧げで、“ウガツホムラ”に似てたのをさっき思い出したんだよね」

 

 リコ「えっ!?」

 ミコ「それ本当なの!?」

 

 シンヤ「ああ。それでもしかしたら、ルシアスのゲットした六英雄のエンテイって、ウガツホムラなんじゃないかって思ったんだ。それに、ディアルガがてらす池で、リュウセイがウガツホムラとタケルライコのことを、エンテイとライコウって呼んでたって言ってたろ。だからもしかしたら、ルシアスの六英雄のエンテイは、リュウセイの七竜と同じウガツホムラなんじゃないかな?」

 

 リュウガ「けど、それが真実かどうか誰にもわからな…あっ!」

 

 シンヤ「そっ。ディアルガからルシアスのエンテイのことを聞けばいいんだ。俺が前にゲットしたウガツホムラと同じなのかを」

 

 

 シンヤのディアルガは、かつてルシアスたちと共にラクアを目指して冒険をしていた。ということは、ルシアスの六英雄と顔見知りで、ルシアスの六英雄がエンテイかウガツホムラのどっちなのか知ってるはずだ。

 

 

 もしシンヤの言う通り、ルシアスの六英雄がウガツホムラなのだとしたら、これからシンヤたちが行くべき場所が決まるだろう。

 

 

 シンヤ「さっきウイングデッキに来る前に、ナナカマド博士に連絡してディアルガを転送してもらったから、早速ディアルガに聞いてみようぜ」

 

 リュウガ「けど、もしルシアスの六英雄がウガツホムラじゃなかったら?」

 

 シンヤ「その時は、六英雄のエンテイを頑張って捜すしかないだろ」

 

 

 シンヤはそう言いながらディアルガの入っている取り出すと、ボールの中に入っているディアルガを繰り出した。

 

 

 ポーーン‼︎

 

 ディアルガ『何だ?せっかくボールの中で気持ちよく寝ていたのに。それに、ラクアに着くまで何も言わないと、前にそう言ったはずだが』

 

 シンヤ「いや、今回お前に聞きたいのは、ルシアスの六英雄のエンテイのことだ」

 

 ディアルガ『ん?ルシアスのエンテイ?』

 

 シンヤ「ああ。お前は、ルシアスの六英雄のポケモンたちのことは知ってるよな?」

 

 ディアルガ『当たり前だ。一緒に旅をしていたんだからな』

 

 シンヤ「じゃあ聞くけど、ルシアスの六英雄のエンテイは、俺が前にゲットしたエンテイに似ているウガツホムラなのか?それとも、リュウガのゲットしたこのエンテイなのか、一体どっちなんだ?」

 

 ディアルガ『ん?』

 

 チラッ(リュウガのエンテイを見る)

 

 色違いエンテイ「ティッ?」

 

 ディアルガ『…ルシアスの六英雄のエンテイは、リュウセイの七竜と同じエンテイだぞ』

 

 ・・・・・

 

 シンヤとN以外の全員「「「ええ〜〜〜っ!?」」」

 

 シンヤ「やっぱりか…」

 リュウガ「…ってことは」

 フリード「…そうなるな」

 

 

 ディアルガからの証言により、ルシアスの最後の六英雄のエンテイは、リュウセイの七竜と同じ“ウガツホムラ”であることが明らかになった。となると、これからシンヤたちが向かう場所は、リュウセイの七竜であるウガツホムラと出会ったあの場所しかないだろう。

 

 

 シンヤ「《エリアゼロ》に行くしかないか」

 

 

 To be continued

 

 

 次回予告

 

 

 パルデアにやってきたシンヤたちは、エリアゼロに行く許可を貰うため、パルデア地方のポケモンリーグチャンピオンである《オモダカ》に会いに行った。シンヤたちからエリアゼロに行きたい理由を聞いたオモダカは、自分が出した条件のポケモンバトルでシンヤが勝てば、エリアゼロに行くことを許可すると言ってきた。しかし、オモダカがシンヤに提案した条件は、かなり厳しいものだった。

 

 

 次回「シンヤVSオモダカ!3対3の変則バトル‼︎」

 





 バトルの話が少し長くなるため、前半は少し省略しました。

 リュウガのエンテイと区別をつけるため、野生のエンテイと書きました。

 本当は日曜日に番外編と一緒に投稿するつもりでしたが、セグレイブのレイドがなかなか勝てずに何度もやっていたために、時間を食ってしまったので、88話を先に投稿することにしました。

 次の番外編の話はところどころ端折る所があったり、ポケットモンスター THE ORIGINのような説明するところがありますので、予めご了承ください。
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