ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 ジョウト地方からパルデア地方に向かう途中、今までシンヤたちがどんな旅をしてきたのか聞きたいとリコたちが言い出したので、シンヤとリュウガとミコは、自分たちがシンオウとカロス地方でどんな冒険をしてきたかをリコたちに話した。それが終わると、シンヤとリュウガが《ヒスイ地方》でどんな冒険をしてきたのか聞きたいとドットが言い出した。


番外編3『レジェンドとの出会い!時を超えたヒスイ地方での冒険!』

 

 ブレイブアサギ号・ミーティングルーム

 

 

 シンヤ「ヒスイ地方での冒険?」

 ドット「うん!」

 

 オリオ「ヒスイ地方って…」

 モリー「大昔のシンオウ地方でしょ?」

 

 マードック「それをシンヤとリュウガが冒険したって、一体どういうことだ?」

 

 フリード「シンヤとリュウガは、《アルセウス》の力でタイムスリップしたことがあって、ヒスイ地方を冒険したことがあるらしい」

 

 オリオ・モリー・マードック「「「っ⁉︎」」」

 

 マードック「おいおい、アルセウスっていったら…」

 

 モリー「シンオウ地方の幻のポケモンで、全てを生み出した創造神って言われてるポケモンでしょ⁉︎」

 

 オリオ「2人とも、アルセウスと会ったことあるの⁉︎」

 

 リュウガ「ああ」

 

 シンヤ「俺がポケモンWCSに参加してた時に、故郷のシンオウでね」

 

 ランドウ「ほぉ、それはすごいの」

 

 ロイ「ねぇ、シンヤとリュウガは、アルセウスとどんなふうに出会って、ヒスイ地方でどんな冒険をしたの?」

 

 リコ「お願い、教えて!」

 

 シンヤ「そんなに食いつかなくても…」

 

 ミコ「私も聞きたいわね、アンタたちがヒスイ地方を冒険した話を」

 

 リュウガ「えっ?」

 

 ミコ「私を除け者にして、ヴィヴィアンさんやナナカマド博士や他の人に心配かけてまで、アンタたちがヒスイ地方で3週間もどんな冒険をしたのか、すごく興味があるわ」

 

 リュウガ「言い方に棘があるな」

 

 シンヤ「はぁ、わかったよ。そこまで言うなら話すよ」

 

 リコ・ロイ「「やったぁ!」」

 

 シンヤ「あれは、ガラル地方を冒険していた俺が、8個のジムバッジを集めてガラルリーグを優勝し、故郷のシンオウ地方に戻って数日経った頃のことだ」

 

 

 数ヶ月…

 

 

 シンオウ地方・シンオウリーグのバトルフィールド

 

 

 シンヤ「ボスゴドラ!『もろはのずつき』!」

 

 メガボスゴドラ「ゴォォォッ、ドォォォォォォッ‼︎」

 

 

 オーバ「ブーバーン!『かえんほうしゃ』!」

 

 ブーバーン「ブゥゥゥゥ、バァァァァァァッ‼︎」

 

 

 ドォォォォォォンッ‼︎

 

 

 ブーバーン「ブゥゥゥバァァッ⁉︎」

 

 オーバ「ブーバーン!」

 

 バタンッ!

 

 ブーバーン「ブゥゥ…バァァ…(@_@)」

 

 

 ドローンロトム『ブーバーン、戦闘不能!ボスゴドラの勝ち!よってこのバトル、シンヤ選手の勝ち!』

 

 

 シンヤ「よっしゃ!」

 ピカチュウ「ピィカァッ!」

 

 

 ガラルリーグを優勝してシンオウ地方に戻ったあと、世界一のポケモントレーナーを決める世界規模のポケモンバトル大会、《ポケモンWCS》の開催を知った俺は、世界一のポケモントレーナーになるため、ポケモンWCSにエントリーした。そして、ノーマルクラスから1回も負けることなく勝ち進んでいった俺は、あっという間にスーパークラスになり、すぐにハイパークラスになった。それから連戦を続けると、同じハイパークラスでシンオウ地方の四天王の1人でもある、ほのおタイプ使いの《オーバ》さんとシンオウリーグのバトルフィールドでバトルをすることになり、俺はオーバさんに勝ったんだ。

 

 

 ドローンロトム『今回のバトルの結果をもとに、ポケモンワールドチャンピオンシップスの、ランキング変動を行います』

 

 

 ピピッ(スマホロトムに通知される)

 

 

 シンヤ

 

 ハイパークラス50位→ハイパークラス30位

 

 

 オーバ

 

 ハイパークラス25位→ハイパークラス55位

 

 

 シンヤ「よし!あとちょっとで《マスターズエイト》だ!」

 

 ピカチュウ「ピカピカチュウ!」

 

 

 シンヤがエントリーしたポケモンWCSには、ノーマル、スーパー、ハイパー、マスターと呼ばれる4つのランクがあり、初めてエントリーしたトレーナーは今までのキャリアに関係なく、全員がノーマルクラスからのスタートとなり、対戦相手は同じクラス同士の者でしか行われず、バトルに勝利すればランキングが上がり、負ければランキングが下がってしまう。ランキングの高い者に勝利するか、あるいは連戦を続ければ、早い段階でランキングが上がってランクアップすることが可能なため、正に実力を持つ者しか勝ち上がれないという世界最強のポケモントレーナーを決めるに相応しいルールだった。ちなみに、互いのポケモンが同時に戦闘不能になって引き分けになった場合、ランキングに変動はなく、バトルに使うポケモンが1体の時もあれば、3対3というルールになる時もあり、メガシンカ、Zワザ、ダイマックスのどれか1つを選んでバトルするということもあれば、その3つのうちのどれか1つしか使えないルールになる時もあるのだ。

 

 

 マスタークラスにいる8人は、通称"マスターズエイト"と呼ばれ、世界最強のポケモントレーナーを決めるトーナメント、《マスターズトーナメント》と呼ばれるトーナメントに参加することができる。ただ、そのトーナメントが開催される時に、最後の入れ替えバトルというのが行われ、その入れ替えバトルが終了した時に、ランキング1〜8位に入っているマスターズエイトの8人だけが、マスターズトーナメントに参加できる資格を持つのだ。故に、たとえマスタークラスにいるとしても、最後の入れ替えバトルが終わるまで油断はできない。そして、マスターズトーナメントに優勝すれば、次のポケモンWCSが開催される時まで、世界最強のポケモントレーナーの称号を得ることができる。その称号を手に入れるために、ポケモンWCSに参加しているトレーナーたちは日夜努力を続けるのだ。

 

 

 オーバ「まさか、俺のブーバーンが倒されるとはな。シンヤくん、いいバトルだったぜ」

 

 シンヤ「ありがとうございます」

 

 オーバ「お互いに勝ち進めば、またバトルすることもあるだろう。その時は…」

 

 シンヤ「ええ。また全力でバトルしましょう」

 

 

 オーバに挨拶をして別れたシンヤは、モンスターボールから出したリザードンに乗ってシンオウリーグを後にすると、テンガン山の近くにある森の中にやってきた。

 

 

 テンガン山の近くにある森の中

 

 

 シンヤ(今のランキングは30位だから、あと2.3人に勝てば、マスターズエイトになれるな)…「……ピカチュウ、一度、家に帰ろうか?」

 

 ピカチュウ「ピィカッ?」

 

 

 ガラルからシンオウに戻ったあと、ポケモンWCSにエントリーしてここまで頑張ってランキングを上げてきたが、まだまだマスターズトーナメントが開催されるまで時間があり、シンオウに戻ってから一度も家に帰っていないため、少し休息をしたいと思ったシンヤは、ピカチュウにフタバタウンに戻ることを提案した。それに、ハイパークラスにいるトレーナーたちには、事前にスマホロトムに連絡が来て、次は誰とどの場所で戦うのかを知らされるので、家から通う方が都合がいいのだ。

 

 

 シンヤ「そうだ!フタバタウンに行く前にマサゴタウンに寄って、ナナカマド研究所にいるポケモンたちに会いに…ん?あれは!」

 

 ピカチュウ「ピカッ!」

 

 

 実家があるフタバタウンに向かおうと森の中を歩いて進んでいると、シンヤとピカチュウは体の大部分が白色の4足歩行ポケモンが両目を閉じて横たわっているのを見つけたので、そのポケモンの近くに駆け寄った。そのポケモンはかなりの大型で、非常に神々しい姿をしていた。そして、胸から腹、尻から尾にかけての下部や顔は灰色で、顔は後頭部から上部にツノ状に伸びており、体の中央には光や翼を思わせる金色のリングがついていて、そのリングには四つの翡翠のような宝石が埋め込まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルセウス『…』

 

 

 シンヤ「アルセウス⁉︎」

 

 ピカチュウ「ピィカッ⁉︎」

 

 

 シンヤが見つけたポケモン。それは、シンオウ地方の神話に描かれているポケモンで、宇宙や世界の全てを作り出したと言われている、そうぞうポケモンのアルセウスだった。

 

 

 リュウガとミコと一緒にシンオウ地方を旅して故郷のフタバタウンに戻ってきたあと、やりのはしらでゲットしたディアルガとパルキアのことを調べるため、シンヤはミオシティにある図書館に向かった。そこでアルセウスの存在を知り、アルセウスがどういうポケモンなのかを調べたから、アルセウスのことについては多少の知識があった。

 

 

 シンヤ「何でアルセウスがこんな所に?」

 

 

 アルセウスは幻のポケモンで、滅多に遭遇できない珍しいポケモンだ。そのアルセウスが目の前にいるのだから、シンヤはただ驚くばかりだった。すると、シンヤの近くにある草むらが揺れ始め、そこからある人物が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リュウガ「ったく、スマホロトムの充電が切れなきゃ道に迷わなか…ぉっ、シンヤ!ピカチュウ!」

 

 シンヤ「リュウガ!」

 

 ピカチュウ「ピィカァッ!」

 

 リュウガ「お前ら、シンオウ地方に戻って……って、アルセウスじゃねぇか⁉︎」

 

 シンヤ(そんなリアクションになるよな…)

 

 

 草むらの中から現れたのは、シンヤの幼馴染であり、ライバルでもあるリュウガだった。シンヤとリュウガがこうして会うのは、カロス地方でフレア団の野望を阻止し、シンオウに戻ったとき以来だった。なので、久しぶりの再会を互いに喜びたいところなのだが、シンヤとリュウガの意識は目の前に倒れているアルセウスに向かっていた。

 

 

 リュウガ「どうしてアルセウスが倒れてるんだ?もしかして、お前が?」

 

 シンヤ「いや、俺も今ここに来たばっかで、アルセウスを見つけた時にはこの状態だった」

 

 リュウガ「そうか。…でも、何でアルセウスが倒れてるんだ?」

 

 シンヤ「さぁ?…ん?あれは?」

 

 リュウガ「えっ?…あっ、あれは…」

 

 

 シンヤとリュウガはアルセウスが倒れている原因を調べるため、アルセウスの体を見て回ったが、アルセウスの体には傷ひとつなかった。それなのに、アルセウスがここに倒れている理由がわからなかった。すると、シンヤはここから少し遠く離れた所に、棺桶のような形状をした星のように光り輝いている不思議なものが地面に落ちているのを見つけたので、それがある場所に向かった。

 

 

 リュウガ「何だコレ?」

 

 シンヤ「これって、アルセウスの《プレート》じゃないか?」

 

 

 アルセウスのプレートとは、アルセウスの命の源と言われているプレートで、アルセウスが自身のタイプを変える時に使う不思議なプレートだ。

 

 

 アルセウスは、自身のタイプを好きに変えられる《マルチタイプ》という特性を持っており、使うプレートによって、自身のタイプを好きなタイプに変えられるのだ。プレートの数は、アルセウスのタイプであるノーマルタイプを除いて16枚あると言われていたが、最近17枚のプレートがあると判明したので、合計17枚のプレートが存在する。

 

 

 シンヤ「もしかして、アルセウスが倒れているのはプレートを落としたからか?」

 

 リュウガ「何でアルセウスがプレートが落とすんだ?これはアルセウスの一部みたいなものだぜ」

 

 シンヤ「それは俺にもわからない。けど、これをアルセウスの前に運べば何か起きるかも」

 

 リュウガ「…まぁ、試してみる価値はあるか…」

 

 

 シンヤとリュウガは、目の前に落ちているプレートを力を合わせて持ち上げると、それを持ってアルセウスの近くにやってきた。すると、シンヤとリュウガが持っていたプレートが空に浮かび上がり、アルセウスの体の中に吸い込まれるように入っていくと、さっきまで倒れていたアルセウスが両目を開けて起き上がった。

 

 

 アルセウス『…』

 

 シンヤ「やっぱり、アルセウスが倒れてたのはプレートを失ったのが原因だったか…」

 

 リュウガ「でも、何でアルセウスの持ってるプレートが1つだけなんだ」

 

 シンヤ「さぁ?」

 

 

 起き上がったアルセウスをよく見てみると、アルセウスの周りにはシンヤとリュウガが運んだプレートだけしか浮かんでいなかった。

 

 

 シンヤ「他のプレートもこの近くに落ちてんのかな?」

 

 リュウガ「探してみるか?」

 

 『…私を助けてくれたのは、あなたたちですか?』

 

 シンヤ・リュウガ「「っ⁉︎」」

 

 シンヤ「リュウガ、お前、今なんか言ったか?」

 

 リュウガ「俺の声なわけないだろ」

 

 シンヤ「だよな」

 

 

 シンヤとリュウガが周りを見渡すと、突然誰かが話しかけてきたので、驚いたシンヤとリュウガは互いに顔を見合わせると、周りに誰かいるのかを確認した。しかし、この場には自分たち以外の人間の気配はなく、野生のポケモンたちさえいなかった。となると、話しかけてきた人物は1人しかいないと思ったシンヤとリュウガは、ゆっくりとアルセウスに顔を向けた。

 

 

 アルセウス『?どうかしましたか?』

 

 シンヤ「…やっぱり…」

 

 リュウガ「アルセウスの声だったのか…」

 

 アルセウス『?』

 

 2人に話しかけてきた声の正体は、やはりアルセウスの声だったようだ。となると、考えられる答えは《テレパシー》以外にないので、目の前のアルセウスは人間と話せるテレパシーを使えるのだとシンヤとリュウガは納得した。

 

 アルセウス『もう一度聞きますが、私を助けてくれたのは、あなたたちですか?』

 

 リュウガ「あ、ああ…」

 

 アルセウス『そうでしたか。危ないところを助けてくれて、ありがとうございます』

 

 シンヤ「よかったな」

 

 アルセウス『私の命を助けてくれたあなたたちに、何かお礼がしたいのですが』

 

 シンヤ「あ、いや…」

 

 リュウガ「礼なんていらねぇよ」

 

 アルセウス『しかし…』

 

 シンヤ「いや、本当に気にしなくてい…」

 

 リュウガ「あっ‼︎」

 

 シンヤ「っ⁉︎」

 

 

 シンヤがアルセウスに『気にしなくていい』と伝えようとすると、スマホロトムを見たリュウガが大声を出したので、シンヤはびっくりしてしまう。

 

 

 シンヤ「お前、いきなり大きな声を出すなよ!心臓が止まるかと思ったろ!」

 

 リュウガ「悪い。明日、マサゴタウンで《シンオウフェス》が開催するのを思い出したんだ」

 

 シンヤ「シンオウフェス?」

 

 リュウガ「えっ?お前、ナナカマドの爺さんが送ったメールを見てないのか?」

 

 

 リュウガにそう言われると、シンヤは自分のスマホロトムをタッチし、シンオウリーグからテンガン山に移動していた時にナナカマド博士がメールを送ってきていたことに気づくと、ナナカマド博士が送ってきたメールの内容を確認した。

 

 

 『シンヤへ。明日マサゴタウンで、大昔のシンオウ地方の様子を再現した《シンオウフェス》という祭りが開催されるから、よかったら来てくれ。まだお前が見たことのないポケモンの情報もあるぞ』

 

 

 シンヤ「大昔のシンオウ地方を再現した祭りか」

 

 リュウガ「どうする?行くか?」

 

 シンヤ「当然!フタバタウンに戻る前に、ナナカマド博士に挨拶しにマサゴタウンに寄るつもりだったし」

 

 リュウガ「んじゃ、今日はここから近い《クロガネシティ》にあるポケモンセンターに泊まって、明日の朝に出発するか」

 

 シンヤ「そうするか」

 

 スチャ(シンヤとリュウガがモンスターボールを取り出す)

 

 ポーーン‼︎

 

 リザードン「リザァァァッ!」

 

 色違いアーマーガア「ガァァァマッ!」

 

 シンヤ「おっ、色違いのアーマーガアじゃん!」

 

 リュウガ「ヘヘっw、ガラル地方を旅した時に色違いの《ココガラ》をゲットして、アーマーガアまで育てたんだ」

 

 シンヤ「へぇ〜、あっ、アルセウス」

 

 アルセウス『ん?』

 

 シンヤ「俺たちそろそろ出発するから、お前も好きな所に行っていいぞ」

 

 

 シンヤはアルセウスにそう言うと、自分のリザードンの背に乗ってクロガネシティに飛んでいき、リュウガも自分のアーマーガアの背に乗ると、シンヤの後を追ってクロガネシティに向かった。その2人の姿を、アルセウスは後ろからジッと見ていた。

 

 

 アルセウス『…』

 

 

 アルセウスと別れたあと、クロガネシティのポケモンセンターにやってきたシンヤとリュウガは、クロガネシティのポケモンセンターに一晩泊まり、次の日の昼頃にマサゴタウンにやってきた。

 

 

 シンオウ地方・マサゴタウン

 

 

 シンヤ「おおっ」

 ピカチュウ「ピィカァッ」

 リュウガ「すげぇな…」

 

 

 目的地のマサゴタウンにやってきたシンヤとリュウガは、昨日ナナカマド博士に連絡した時に待ち合わせ場所に決めた所に向かっていたが、マサゴタウンタウンの様子が前と違うことに気づいた。その理由は、マサゴタウンの周りに以前にはなかった古い建物がいくつか建てられていて、出店と思われる屋台がたくさんあり、周りにいる人たちが着物を着用していたからだ。

 

 

 ナナカマド博士「おおっ、2人ともやっと来たか」

 

 リュウガ「よっ」

 

 シンヤ「お久しぶりです、ナナカマド博士」

 

 ピカチュウ「ピッカチュウ!」

 

 ナナカマド博士「リュウガ、シンヤ、ピカチュウ。みんな元気そうだな」

 

 ヒョコ(ナナカマド博士の後ろから現れる)

 

 ミコ「シンヤ、リュウガ、ピカチュウ、久しぶり!」

 

 シンヤ「ミコ!」

 

 ピカチュウ「ピカピィカッ!」

 

 リュウガ「お前も来てたのか」

 

 ミコ「ナナカマド博士から連絡をもらって、今日の朝にマサゴタウンに着いたの」

 

 リュウガ「そうか。ってか、なんだその格好は?」

 

 

 今ミコが着ている服はいつもと違って、頭に白いバンダナを巻き、首に赤いマフラーを羽織っていて、忍者のような防寒着を着ていた。

 

 

 ミコ「ふふん、似合うでしょ?昔のシンオウに住んでた人が着てた服なんだって」

 

 リュウガ「あっそ」

 

 シンヤ「それで、ナナカマド博士。まだ俺が見たことのないポケモンの情報って?」

 

 ナナカマド博士「相変わらずポケモンのことには好奇心が強いな」

 

 シンヤ「いけませんか?」

 

 ナナカマド博士「いや、お前のおかげで私たちの研究も早く進んでおるからな。それに、好奇心旺盛なのはいいことだ。ついてきなさい」

 

 

 ナナカマド博士はそう言って前に歩き出すと、シンヤとリュウガとミコをある建物の中に連れてきた。その建物の中には、シンヤたちが見たことのない道具に、ウォーグルやドレディアと姿が似ているポケモンたちや、シンヤが初めて見るポケモンの壁紙が貼られていた。

 

 

 シンヤ「ナナカマド博士、このポケモンたちは?」

 

 ナナカマド博士「ウムッ。このポケモンたちは、《ヒスイ地方》にいたと言われているポケモンたちでな」

 

 シンヤ「ヒスイ地方?」

 

 リュウガ「初めて聞くな」

 

 ミコ「どこにあるんですか、そのヒスイ地方って?」

 

 ナナカマド博士「ヒスイ地方は、大昔のシンオウ地方の名でな。このドレディアやウォーグルに似ているポケモンたちは、《ヒスイの姿》と呼ばれるポケモンだ」

 

 シンヤ「ヒスイの姿のポケモンたち…」

 

 リュウガ「シンオウ地方って、昔からシンオウ地方って呼ばれてたわけじゃないのか」

 

 ナナカマド博士「ああ。それに、ヒスイ地方に住んでる一部の人たちは、ポケモンを怖がっていたと言われていてな。ポケモンと関わろうとしなかった者もいるらしい」

 

 ミコ「そうなんだ」

 

 シンヤ「あの、こっちに描いてあるポケモンたちの名前は何ていうんですか?」

 

 ナナカマド博士「左から順に、《バサギリ》、《ガチグマ》、《イダイトウ》、《ハリーマン》、《アヤシシ》、《オオニューラ》というらしい」

 

 シンヤ「へぇ〜」

 

 リュウガ「初めて見るポケモンたちだな」

 

 ミコ「あれ?この冊子に、バサギリはストライク、ガチグマはリングマ、イダイトウはしろすじのバスラオ、ハリーマンはヒスイの姿のハリーセン、アヤシシはオドシシ、オオニューラはヒスイの姿のニューラの進化形って書いてある」

 

 シンヤ「えっ⁉︎」

 

 リュウガ「マジかよ⁉︎ほとんど俺らの知ってるポケモンたちの進化形じゃねぇか!」

 

 ナナカマド博士「その冊子は、ヒスイ地方で使っていたとされるポケモン図鑑だ」

 

 リュウガ「へぇ〜、昔のポケモン図鑑って冊子だったんだ」

 

 ミコ「ネットとかない時代だから、手書きだったのね」

 

 シンヤ「詳しい進化方法まで書いてある。ストライクをバサギリに進化させるには、“くろのきせき”が必要。リングマをガチグマに進化させるには、満月の夜に“ピートブロック”を使う」

 

 ミコ「くろのきせきにピートブロックって、ここに置いてあるコレのことですか?」

 

 ナナカマド博士「ああ。偶然テンガン山で見つかって、シンオウフェスが終わるまでの間、特別に展示されることになってな」

 

 シンヤ「おっ、こっちにはヒスイの姿の《ダイケンキ》と《バクフーン》までいるし、《ウインディ》と《ゾロアーク》のことまで載ってるぞ」

 

 リュウガ「すげぇ、こんなにヒスイの名がつくポケモンがいたのか」

 

 ミコ「…完全に博士の声が聞こえてませんね」

 

 ナナカマド博士「いや、ここまで喜んでくれるなら、お前たちをシンオウフェスに招待した甲斐があった」

 

 

 それからシンヤとリュウガは、本に書いてあるヒスイの姿と呼ばれるポケモンたちを全て調べ上げ、どんな方法で進化するのかを知ったあと、シンオウフェスにある出店を回って楽しむと、夕方には実家があるフタバタウンに帰って行った。

 

 

 シンヤの家・リビング

 

 

 シンヤ「ごちそうさま!」

 

 ピカチュウ「ピィカッチュ!」

 

 シンヤ「久しぶりに食べる母さんの手料理はやっぱうまいな」

 

 ヴィヴィアン「家に帰ってくるって早く連絡をくれれば、もっと食材を買ってきたのに」

 

 シンヤ「もう満腹だよ」

 

 ヴィヴィアン「それで、今回はいつまで家にいるの?」

 

 シンヤ「う〜ん、今は特に予定がないからな。次の対戦相手が決まるまで、当分は家にいるつもりだけど」

 

 ヴィヴィアン「その様子だと、順調に勝ってるみたいね」

 

 シンヤ「当然」

 

 

 リュウガと別れたシンヤとピカチュウが家に帰ってくると、シンヤの母親のヴィヴィアンは、久しぶりに帰ってくるシンヤとピカチュウを優しく出迎えてくれて、たくさんのご馳走を作ってくれた。そして1時間後、シンヤはピカチュウと一緒に風呂に入ると、自分の部屋に戻ってベッドの上で横になった。

 

 

 シンヤの家・シンヤの部屋

 

 

 シンヤ「ふぅ、さっぱりした」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 シンヤ「ドキドキやワクワクする冒険もいいけど、たまには家でのんびりするってもいいな。…ヒスイ地方か……もし行けるなら、ヒスイ地方で冒険してみたいな」

 

 

 などと、タイムスリップでもしなければ叶わないことを口走ると、シンヤはピカチュウと一緒に眠りについた。

 

 

 ???

 

 

 シンヤ「ん?……!何だここは⁉︎」

 

 ピカチュウ「ピィカッ⁉︎」

 

 

 ベッドの中で眠ってから数時間が経つと、眠っていたシンヤとピカチュウは目を覚ましたのだが、2人が目を覚ました場所は、周りが黒くて広いだけの何もない空間だった。

 

 

 シンヤ「俺たち、ベッドの上で寝てたはずだよな?」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」コクッ

 

 

 リュウガ「シンヤ!ピカチュウ!」

 

 

 シンヤ「リュウガ!」

 

 ピカチュウ「ピィカァッ!」

 

 リュウガ「ここ、どこなんだ?俺、ベッドの上で寝てたはずなのに」

 

 シンヤ「俺やピカチュウもそうだよ。ベッドの上で寝てたのに、目を覚ましたらここにいたんだ」

 

 

 自分の部屋のベッドの上で寝ていたはずなのに、目を覚ましたらこんな訳の分からない場所にいることにシンヤとリュウガとピカチュウが驚いていると、シンヤたちがいる黒い空間の一箇所に大きな金色の光が発生し、そこから1体のポケモンが姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルセウス『…』

 

 

 リュウガ「お前は!」

 

 シンヤ「アルセウス!」

 

 アルセウス『昨日はどうも。少しあなたたちとお話がしたくて』

 

 リュウガ「そうか。これはお前の仕業か?」

 

 アルセウス『ええ。今あなたたちは、私の夢の中にいるのです』

 

 シンヤ「それって、俺たちを自分の夢の中に連れてきたってことか?」

 

 アルセウス『はい』

 

 リュウガ「それで、俺たちの安眠を妨害してまで、お前の夢の中に案内した理由はなんなんだ?」

 

 シンヤ「おいおい、そんな喧嘩腰に話すなよ。相手は創造神だぞ」

 

 アルセウス『…実は、あなたたちにお願いがあるのです』

 

 シンヤ「ん?お願い?」

 

 アルセウス『ええ。私の命を助けてくれたあなたたち2人に、私の命の源であるプレートを、ヒスイ地方に行って見つけてきてほしいのです』

 

 シンヤ・リュウガ「「っ!」」

 

 シンヤ「プレートをヒスイ地方で見つける⁉︎」

 

 リュウガ「どういうことだ?」

 

 アルセウス『失礼だとは思ったのですが、テンガン山の近くで別れたあと、あなたたちのことを観察させてもらいました、あなたたち2人は、ヒスイ地方に行きたいようですね』

 

 シンヤ・リュウガ「「っ⁉︎」」

 

 アルセウス『私の力を使えば、あなたたちをヒスイ地方に連れて行くことが可能です』

 

 リュウガ「なるほど。その見返りに、俺たちにプレート集めをさせようってことか?」

 

 アルセウス『はい。ただ、誤解をしないでほしいのですが、私があなたたちにプレート探しを頼むのは、あなたたち2人が信用できると思ったからです』

 

 シンヤ「信用?」

 

 アルセウス『ええ。実は、私があなたたちと会った場所で倒れていたのは、私が異次元の空間を移動している時に出会った人間の持つポケモンに攻撃されたからなのです。そのポケモンの攻撃を受けたとき、1枚のプレートだけが私の体に残り、残る全てのプレートを異次元で落としてしまったのです。そのあと、なんとかあなたたちと出会った所にまでたどり着いたのですが…』

 

 リュウガ「最後の1枚のプレートを落とし、力尽きて倒れてたところに、偶然やってきた俺とシンヤがお前のプレートを運んだおかげで、お前は助かったってことか?」

 

 アルセウス『そうです。そして、異次元の空間に落とした私のプレートがどこに流れていったのかを調べた結果、私が異次元で落とした全てのプレートが、ヒスイ地方のどこかにあるとわかったのです』

 

 リュウガ「なるほど。それで俺たちの願いを叶えるのを条件に、自分のプレート集めをしてほしいってことか」

 

 シンヤ「なぁ、アルセウスを異次元で襲った奴って誰なんだ?」

 

 アルセウス『顔を隠していたから、私にもわかりません』

 

 シンヤ「そうか」

 

 アルセウス『どうですか?引き受けてもらえますか?』

 

 

 アルセウスにそう言われると、シンヤとリュウガはしばらく考えたが、2人の答えはすでに決まっていた。

 

 

 シンヤ「いいよ」

 

 リュウガ「ちゃんとヒスイ地方に連れてってくれるなら、プレート集めを手伝ってやるよ」

 

 アルセウス『ぁっ…ありがとうございます!』

 

 シンヤ「けど、ヒスイ地方は過去のシンオウ地方だろ。俺たちがヒスイ地方に行ったらタイムパラドックスが起きて、歴史に影響を与えてしまうんじゃないか?」

 

 アルセウス『そうですね。…そのことも含めて、ヒスイ地方に行った時の注意点なども考えておきますから、出発の準備ができたら、明日の昼頃、2人でテンガン山と呼ばれる山の頂上に来てください』

 

 シュン!(アルセウスが消える)

 

 パチッ(目を覚ます)

 

 シンヤ「ハッ!」

 

 ピカチュウ「ピカッ!」

 

 

 夢の中のアルセウスが消えると、シンヤとピカチュウは同時に目を覚ました。2人が目を覚ましたときには、時間は午前の7時になっていた。目を覚ましたシンヤはスマホロトムを手に取ると、さっき夢の中で見たことが本当かどうかを確かめるためにリュウガに連絡した。

 

 

 リュウガ『ああ、俺もアルセウスを見たぜ』

 

 シンヤ「やっぱり、あの夢は本当のことか。……ここからテンガン山までの距離を考えると、今から出発の準備をした方がいいか」

 

 リュウガ『いや、俺の《フーディン》の『テレポート』で行けば、やりのはしらまで1分もかからない。だから、午前11時30分に俺の家の前に来てくれ』

 

 シンヤ「わかった」

 

 

 シンヤはそう言って電話を切ると、ヒスイ地方に行く準備を始めた。まず、パジャマを脱いで私服に着替えると、リュックに持っていく荷物を急いでまとめて、どのポケモンをヒスイ地方に連れて行くかを決めると、午前11時にナナカマド博士に連絡をして手持ちポケモンを入れ替えると、すぐにリュウガの家に向かった。そして、リュウガがモンスターボールから出したフーディンが「テレポート」を発動すると、シンヤとリュウガはやりのはしらに向かった。

 

 

 テンガン山・やりのはしら

 

 

 シンヤ「ここに来るのは久しぶりだな」

 

 リュウガ「ああ」

 

 

 シンヤとリュウガがやりのはしらに来るのは、ギンガ団と世界の命運を賭けて戦ったとき以来なので、あの時の戦いのことを考えると、あれからあんなに時間が経つんだなと、シンヤとリュウガはそう思いながら考えに浸っていた。

 

 

 ♫♪♫♬

 

 

 シンヤ「ん?」

 

 リュウガ「何だ、この音色は?」

 

 

 ピカァァァァン‼︎

 

 

 シンヤ「うわっ⁉︎」

 ピカチュウ「ピカァァッ⁉︎」

 リュウガ「うっ!」

 

 

 シンヤとリュウガがやりのはしらにやってくると、どこかから不思議な音色が聞こえてきた。すると次の瞬間、やりのはしらに眩い光が発生し、上の方から光の粉が降り注いでくると、そこに透き通った色をしている光の階段が現れた。

 

 

 シンヤ「これは…」

 

 リュウガ「階段…だな…」

 

 

 アルセウス『シンヤ、リュウガ。その階段を登ってきてください』

 

 

 シンヤ「アルセウス!」

 

 リュウガ「よし、行くぞ」

 

 

 上の方にいるアルセウスに階段を登ってくるよう言われると、シンヤとリュウガはやりのはしらに現れた階段を登ってどんどん上へと進んだ。そして階段を登り切ると、そこにはシンヤとリュウガを待っていたアルセウスがいた。

 

 

 シンオウ地方・はじまりのま

 

 

 アルセウス『…』

 

 シンヤ「アルセウス」

 

 リュウガ「随分と神秘的な所に住んでるんだな」

 

 アルセウス『《はじまりのま》といいます。では、これからあなたたちをヒスイ地方に送りますが、私から気をつけてほしいことを伝えます』

 

 シンヤ・リュウガ「「…」」

 

 アルセウス『昨日シンヤが言ったように、過去に行って歴史を変えると未来が変わってしまい、この世界に影響を与えてしまうおそれがあるので、できる限り問題を起こさないようにしてください』

 

 シンヤ「ああ」

 

 リュウガ「わかってる」

 

 アルセウス『では…』

 

 リュウガ「ちょっと待ってくれ!」

 

 アルセウス『ん?』

 

 リュウガ「ヒスイ地方に行く前に、二つだけ聞いておきたいことがある」

 

 アルセウス『どうぞ』

 

 リュウガ「ヒスイ地方に行って、お前の全てのプレートを集めたあと、俺たちはどうやってここに帰ってくるんだ?」

 

 アルセウス『そうですね。……では、これを使ってあなたたちに連絡します』

 

 

 ピカァァァァン‼︎

 

 

 シンヤ「あっ」

 

 リュウガ「俺たちのスマホロトムが」

 

 

 アルセウスがシンヤとリュウガのズボンのポケットに目を向けると、そこから2人のスマホロトムが出てきて、スマホロトムが光を放った。すると、シンヤとリュウガのスマホロトムがアルセウスの姿を模した形に変わった。

 

 

 シンヤ「これは…」

 

 アルセウス『《アルセウスフォン》といって、ヒスイ地方に伝わる伝説の神器の一つと言われています。それがあれば、私からあなたたちに連絡することができ、ヒスイ地方のポケモンを詳しく調べることができます。さらに、充電というのが無くなることもなく、どこにいても使用可能になります』

 

 シンヤ「すげぇ〜!(✨∇✨)」

 

 リュウガ「それは有難いな」

 

 アルセウス『あなたたちがこっちの世界に戻ってくる時に、また元の形に戻しますから、ヒスイ地方にいる間はそれを使ってください。』

 

 シンヤ「わかった」

 

 リュウガ「じゃあ最後の質問だ。俺たちはこれからヒスイ地方に行くわけだが、そこにいるポケモンたちを好きに捕まえてもいいのか?それとも、ゲットしたらダメなのか?」

 

 アルセウス『ヒスイの姿をしているポケモンたちなら、いくらゲットしても歴史に影響はないから大丈夫ですよ』

 

 リュウガ「それで十分だ。俺たちがゲットしたいのは、ヒスイの姿をしているポケモンたちだからな」

 

 シンヤ「ああ。アルセウス、すぐに俺たちをヒスイ地方に連れて行ってくれ」

 

 アルセウス『わかりました。ですが、その前にこれを渡しておきます』

 

 

 アルセウスはそう言うと、自分の体の中から最後の1枚のプレートを出した。すると、棺桶と同じくらいの大きさだったプレートはどんどん小さくなっていき、手のひらに乗せられるサイズに変わるとシンヤとリュウガの目の前に浮いてきた。

 

 

 シンヤ「これは、《りゅうのプレート》!」

 

 アルセウス『ヒスイ地方で必要になると思いますから、あなたたちが持っててください』

 

 シンヤ「だけど、これがなかったらお前の命が…」

 

 アルセウス『少しの間なら、プレートがなくても大丈夫です。では、これからあなたたちをヒスイ地方に送ります』

 

 ピカァァァァァン‼︎(シンヤとリュウガとピカチュウの体が光る)

 

 シンヤ「おおっ!」

 

 ピカチュウ「ピィカァァッ!」

 

 リュウガ「まさか、時を超えた冒険が体験できるとはな」

 

 シンヤ「今度の舞台はヒスイ地方か」

 

 リュウガ「ああ。冒険の旅に出発だ!」

 

 ピカチュウ「ピカチュウッ!」

 

 シュン‼︎(シンヤとリュウガとピカチュウが消える)

 

 アルセウス『シンヤ、リュウガ……頼みましたよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シュン‼︎(シンヤとリュウガとピカチュウが現れる)

 

 シンヤ「おっ、ヒスイ地方に着いたのか?」

 

 リュウガ「みたいだな。しかし、ここは一体どこだ?」

 

 ピカチュウ「……ピッ⁉︎ピカピカッ‼︎」

 

 シンヤ「えっ?下を見ろって?」

 

 

 ピカチュウに下を見るよう言われると、シンヤとリュウガは目を下に向けた。すると、自分たちが雲より高い空の上にいることに気づき、シンヤとリュウガとピカチュウはそこから落下してしまう。

 

 

 シンヤ「うわぁ〜〜〜!?」

 

 ピカチュウ「ピィカァァッ〜〜〜!?」

 

 リュウガ「出だしからこれかよ!」

 

 スチャ(リュウガがモンスターボールを取り出す)

 

 リュウガ「イベルタル!」

 

 ポーーン‼︎

 

 イベルタル「ベェェェェルッ‼︎」

 

 シンヤ「お前、イベルタルを連れてきたのか⁉︎」

 

 リュウガ「タイムスリップするってわかってたんだから、戦力になるポケモンを連れてくるのは当然だろ。イベルタル!」

 

 イベルタル「ベェェェルッ!」

 

 

 リュウガの指示を受けたイベルタルは、落下しているシンヤたちを自分の背中に乗せると、近くの海岸に飛んで行ってシンヤたちを降ろした。

 

 

 ヒスイ地方・どこかの海岸

 

 

 シンヤ「サンキュー、イベルタル」

 

 ピカチュウ「ピィカッピカッ」

 

 イベルタル「ベェェェル」

 

 リュウガ「おかげで助かったぜ」

 

 シュルルーーン

 

 シンヤ「さて、これからどうする?」

 

 リュウガ「そうだな。プレート集めは当然するけど、シンオウに帰る前に、ヒスイの姿をしているポケモンをたくさん捕まえたいからな。けど、その前に寝床を見つけないとな」

 

 

 持ってきたリュックの中には、当分の食料と調理器具に、テントや寝袋など、生活に必要な物は入っているが、食料もいつ尽きるかわからないし、まだヒスイ地方がどんな世界なのかもわからないので、情報収集をしながらプレート集めをするしかない。そのため、今日中に寝る場所を見つけておきたかった。

 

 

 ???「あの〜」

 

 リュウガ「ん?」

 シンヤ「はい?」

 ピカチュウ「ピカッ?」

 

 

 シンヤとリュウガが海岸から移動しようとすると、2人の後ろから、顎下まで覆うタイプのラベンダー色のニット帽を被った男が話しかけてきた。

 

 

 ???「あの、その黄色いポケモンと、さっき空を飛んでいた赤いポケモンは、あなたたちのポケモンですか?」

 

 リュウガ「そうですけど」

 シンヤ「あの、あなたは?」

 

 ラベン博士「あっ、これは失礼しました。僕は《ラベン》といって、ポケモン博士をしています」

 

 シンヤ(この時代にもポケモン博士っていたんだ)…「…あ、俺はシンヤといいます」

 

 リュウガ「リュウガです」

 

 ラベン博士「シンヤくんにリュウガくんですね。あなたたちが《時空の裂け目》から落ちてきたのを見た時は驚きましたよ」

 

 シンヤ「時空の裂け目?」

 

 ラベン博士「あれですよ」

 

 

 ラベンがここから見える高い山の山頂の上に指を差すと、山頂の上空に部分的に亀裂が入ったところがあり、空が割れているように見えていた。

 

 

 ラベン博士「あの、その体が黄色いポケモンの名前と、さっきの赤いポケモンの名前は何ていうんですか?」

 

 シンヤ「この黄色いはポケモンはピカチュウで、さっきの赤いのはイベルタルっていいます」

 

 ラベン博士「ピカチュウにイベルタルですか…」

 

 シンヤ「?どうかしました?」

 

 ラベン博士「いえ、何とも言えない不思議な格好をしていると思って。……あの、あなたたちはどこから来たのですか?」

 

 シンヤ「あっ、それは…」

 

 

 『未来から来ました』と正直に言えるわけもなく、シンヤはなんて説明すればいいか必死に頭の中で考え始めた。しかし、なかなかいい答えが見つけられかったので、それを見かねたリュウガがシンヤとラベンの間に入った。

 

 

 リュウガ「すいません。俺たち先を急ぐんで、これで失礼します」

 

 シンヤ「えっ?」

 

 ガッ(シンヤの右肩に右腕を回して後ろをに振り向く)

 

 ボソッ(小声で話す)

 

 リュウガ『あんまり深く関わると、あとで面倒なことになるから、早くこの場を離れた方がいい』

 

 シンヤ『あっ、そっか』

 

 ラベン博士「あの〜」

 

 シンヤ「はい?」

 

 リュウガ「何ですか?」

 

 ラベン博士「答えられないなら、無理には聞きません。ただ、もしお急ぎでなければ、私と一緒に来てもらえませんか?さっきのあなたたちの話を聞かせてもらったのですが、今日の寝場所を探しているのでしょう?」

 

 シンヤ「えっと…」

 

 リュウガ「まぁ、そうですけど」

 

 ラベン博士「でしたら、当分の衣食住を手配することを約束しますので、僕と一緒に来てくれませんか!」

 

 リュウガ「……シンヤと2人で話して決めたいので、少し時間をもらっても?」

 

 ラベン博士「ぁっ、わかりました」

 

 

 衣食住を提供してもらえるのは有難いのだが、目の前にいるラベンを信用していいのかわからないリュウガは、これからどうするかをシンヤと話し合うために、自分たちの話し声がラベンに聞こえない場所にシンヤと移動した。

 

 

 リュウガ「どうする?」

 

 シンヤ「悪い人には見えないから、ついて行ってもいいんじゃないかな。それに、俺たちはこの世界のことについて何一つ知らないだろ。アルセウスのプレートを集めるためにも拠点を構える必要があるし、多くの情報を集める必要がある。それに、もし本当にあの人がポケモン博士なら、ヒスイの姿をしてるポケモンの生態とかに詳しいはずだからな」

 

 リュウガ「…そうだな」

 

 

 シンヤとリュウガは話し合った結果、ラベンの元に向かうと、今日の寝床を提供してくれるならついて行くことを伝えた。それを聞いたラベンは嬉しそうな顔をすると、シンヤとリュウガを連れて大きな門のある場所に向かった。その門の中を通ると、シンヤたちは大きな村の中にやってきた。

 

 

 コトブキムラ・裏門

 

 

 ラベン博士「ようこそ、《コトブキムラ》へ!」

 

 シンヤ「コトブキムラ…」

 

 リュウガ(大昔の《コトブキシティ》ってことか)

 

 ラベン博士「このコトブキムラは、《ギンガ団》のみんなのおかげで、ここまで発展したんです」

 

 シンヤ・リュウガ「「ギンガ団⁉︎」」

 

 ラベン博士「えっ?ギンガ団を知ってるんですか?」

 

 シンヤ「ぁっ…」

 リュウガ「えっと…」

 

 

 突然ラベンの口からギンガ団の名が出てくると、シンヤとリュウガは驚きを隠せずに動揺してしまう。

 

 

 ボソッ(小声で話す)

 

 リュウガ『おい、ギンガ団のおかげってどういうことだよ⁉︎それに、ギンガ団はアカギが作った組織のはずだろ?』

 

 シンヤ『俺にもわかんねぇよ』

 

 

 アカギがシンオウ地方で結成したはずのギンガ団が、どうしてこの時代から存在しているのかはわからないが、少なくともこの時代には、自分たちの知っているアカギたちギンガ団はいないので、この時代のギンガ団がどういう組織なのか、それは自分の目で見てから判断しようと決めると、シンヤとリュウガはラベンの後について行った。

 

 

 コトブキムラ・ミオ通り

 

 

 ラベン博士「今、僕たちが歩いている場所は《ミオ通り》という所で、あの奥にそびえる建物がギンガ団の本部です」

 

 シンヤ・リュウガ「「…」」

 

 ラベン博士「ん?どうしました?」

 

 シンヤ「えっと…」

 

 リュウガ「周りの人の視線が…」

 

 

 ボソッ(周りの人が小声で話す)

 

 『誰あの子たち?』

 

 『見ない顔だし、見たことのない服を着てるわね』

 

 『ギンガ団の新人か?』

 

 

 シンヤたちがミオ通りを歩いてギンガ団の本部である建物に向かっていると、ミオ通りの周りにいる人たちがシンヤとリュウガに目を向けてヒソヒソと話し始めた

 

 

 ラベン博士「ああ、君たちが見たことのない服を着ているから、みんな珍しいと思っているんですよ」

 

 シンヤ「…あとでこの時代の服に着替えた方が良さそうだな」

 

 リュウガ「ああ」

 

 

 今のシンヤの服装は、赤の長袖のシャツの上に、黒の長袖のフード付きジャケットを羽織っており、紺色の長ズボンを穿いていて、黒い靴下と黒と白のスニーカーを履いていた。そしてリュウガは、白いシャツの上に黒いパーカーを着ていて、青藍色のジーンズを穿いていて、赤と白のスニーカーを履いていた。どちらもこの時代にまだない服なので、そんな服を着ていれば村の人の視線を集めるのは仕方ないだろう。そして、シンヤたちはミオ通りを抜けると、屋根の上に2匹の水色のコイキングの像と、ガラルマタドガスを思わせる形状の煙突が据え付けられており、アカギたちギンガ団のトレードマークである、Gと似たようなマークが描かれているギンガ団の本部の前にやってきた。

 

 

 ギンガ団の本部の前

 

 

 シンヤ「ここが…」

 

 リュウガ「ギンガ団の本部か…」

 

 ラベン博士「ええ。この中に、《シマボシ》というギンガ団の隊長がいますから、まずは隊長に挨拶をしましょう。僕が先に行って、隊長に話を通してきますから、少しここで待っててください」

 

 

 ラベンはそう言うと、シンヤとリュウガを置いてギンガ団の本部の中に入って行った。

 

 

 リュウガ「…なんでこの時代にギンガ団があるんだ?」

 

 シンヤ「さぁ?あとで聞けばいいだろ」

 

 

 ???「あなたたち、何者なんですか?」

 

 

 シンヤ「ん?…⁉︎」

 ピカチュウ「ピッ?…⁉︎」

 リュウガ「はっ?…⁉︎」

 

 ???「何ですか?」

 

 

 シンヤとリュウガとピカチュウは近くの地面に腰を下ろすと、ラベンが来るのを待っていた。すると、シンヤたちの目の前に、頭に白いバンダナを巻き、首に赤いマフラーを羽織っていて、忍者のような防寒着を着ている1人の女の子が歩いてきた。その女の子の両袖には、ギンガ団の本部に描かれている同じマークがあるため、おそらくギンガ団の人間だと思われるが、その女の子の顔を見た時、シンヤとリュウガとピカチュウはギョッとした顔をした。

 

 

 シンヤ「あの…」

 

 リュウガ「君は?」

 

 ショウ「私はギンガ団に所属する調査隊の一員で、《ショウ》といいます」

 

 シンヤ(この子…)

 

 リュウガ(間違いねぇ…)

 

 シンヤ(絶対に…)

 

 リュウガ(ぜってぇ…)

 

 シンヤ・リュウガ((ミコの先祖だぁぁ〜〜!))

 

 

 そう。シンヤとリュウガにショウと名乗った女の子の顔は、自分たちの幼馴染であるミコとそっくりな顔をしていた。それを見たシンヤとリュウガは、ショウと名乗った女の子がミコの先祖なのだと悟った。

 

 

 ショウ「あの、そんな薄着で大丈夫ですか?ポケモンに襲われたら大怪我をしますよ」

 

 シンヤ「えっ?…あ、ああ、大丈夫だけど」

 

 ショウ「ところで、あなたたちは誰なんですか?門番さんが通したってことは、村の誰かの関係者なのかしら?それに、その黄色いポケモンは…」

 

 

 ラベン「その2人は僕が連れてきたんですよ。ギンガ団の調査隊の一員になってもらうために。そして、そのポケモンはシンヤさんのピカチュウです」

 

 

 ショウ「ラベン博士!」

 

 シンヤ「あっ、やっと来た…⁉︎」

 

 リュウガ「ん?どうし…⁉︎」

 

 

 ショウの質問にギンガ団の本部の建物から出てきたラベンが答えると、ラベンの方に顔を向けたシンヤが再びギョッとした顔をしたので、リュウガはシンヤが見ている方に顔を向けた。すると、それを見たリュウガもギョッとした顔をしたが、そうなるのは仕方なかった。その理由は、ラベンの後ろにギンガ団のボスであるアカギと似たような顔をしている女性がいたからだ。

 

 

 シンヤ「ラベン博士…その人は?」

 

 ラベン博士「ああ、この人がギンガ団の隊長の…」

 

 

 シマボシ「シマボシだ」

 

 

 ショウ「シマボシ隊長⁉︎」

 

 シンヤ(…この人…多分…)

 

 リュウガ(…アカギの先祖だな)

 

 シンヤ「……ん?ラベン博士、ギンガ団の調査員になってもらうってどういうことですか?」

 

 

 いろいろツッコミどころ満載なところがあるが、これ以上は体と気力が持たないため、シンヤとリュウガは敢えて何も言わないことにしようと思ったが、さっきラベンが言った『ギンガ団の調査隊の一員になってもらう』という言葉が引っかかったので、その言葉の意味をすぐにラベンに聞いた。

 

 

 ラベン「言葉の通りですよ。シンヤくんとリュウガくんにはギンガ団の調査員になってもらって、僕が作った《ポケモン図鑑》の完成を手伝ってほしいのです」

 

 シンヤ・リュウガ「「ポケモン図鑑⁉︎」」

 

 ラベン博士「おや?2人はポケモン図鑑を知っているのですか?」

 

 リュウガ「あ、いや…」

 

 シンヤ(あっ、この時代のポケモン図鑑って、もしかして…)…「ポケモン図鑑って、ポケモンのことを記録する冊子のことですか?」

 

 ラベン「ええ。僕の夢は、この地方のポケモン図鑑を完成させることなのです。ですから、それをシンヤくんとリュウガくんに手伝っていただきたくて」

 

 リュウガ「それがギンガ団になることと、一体どんな関係が?」

 

 ショウ「そうですよ。それに、シマボシ隊長の許可なく隊員にするなんて…」

 

 シマボシ「認めよう」

 

 ショウ「シマボシ隊長⁉︎」

 

 シマボシ「さっきラベン博士から、君たちと出会った時のことや、君たちが珍しいポケモンをゲットしていることを聞いた。見たところ、ショウと同じ10歳ぐらいだな。であれば、大人と同じ扱いになるから、働くのは当然だ。だが、素性がわからない人間をおいそれと雇うわけにはいかない。そこで明日、2人には入団試験を受けてもらい、合格すればギンガ団の一員と認めよう」

 

 ラベン博士「なるほど!それはいい考えですね!」

 

 シンヤ「ちょ、ちょっと!」

 

 リュウガ「勝手に話を進められたら困ります。第一、俺たちギンガ団になるなんて一言も言ってませんし、ポケモン図鑑の完成を手伝うなんて言ってませんよ!」

 

 シマボシ「ん?ラベン博士、どういうことだ?こちらが衣食住を提供する代わりに、彼らはポケモン図鑑の完成を手伝うのではなかったのか?」

 

 ラベン博士「あ、すいません。2人とも僕についてきてくれたから、ギンガ団に入団することに納得してくれたと思ってました」

 

 シンヤ「当分の衣食住を提供してくれると言うからついてきただけで、ギンガ団に入団するとか、ポケモン図鑑の完成を手伝うなんて一言も言ってませんよ」

 

 ラベン博士「す、すいません。しかし、シンヤくん、リュウガくん。君たち2人が空から現れたことには、きっと何か意味があると僕は思うのです。君たちが生活に不自由しないようにちゃんと協力しますから、ギンガ団に入団してポケモン図鑑の完成を手伝ってください!」

 

 ペコッ(ラベンが頭を下げる)

 

 シンヤ「……はぁ、わかりました」

 

 リュウガ「お、おい!」

 

 シンヤ「まぁいいじゃん。飯を提供してくれるって言ってるんだから。それに、いろいろ聞きたいこともあるからな」

 

 リュウガ「…はぁ、わかったよ」

 

 ラベン博士「ぁ、じゃあ…」

 

 シンヤ「ええ、ギンガ団の入団試験を受けますよ。その代わり、衣食住の提供はお願いしますよ」

 

 ラベン博士「ぁっ、はい!」

 

 シマボシ「では、今日はそこにある宿舎を使うといい。今は誰も使っていないし、明日の入団試験に合格すれば、あの宿舎が君たちの家になる。だが、試験に落ちればコトブキムラからは出て行ってもらう。そうなれば、最悪、野垂れ死にだな」

 

 シンヤ「わかりました」

 

 ラベン博士「では、これからそこの《イモヅル亭》で夕食にしましょう。《イモモチ》と《コトブキマフィン》と《ちまき》が絶品なんですよ」

 

 シンヤ「でも、俺たちお金がなくて…」

 

 ラベン博士「私が奢りますよ。ショウくんと隊長もどうですか?シンヤくんとリュウガくんと話したいことがあるでしょう?」

 

 ショウ「そうですね」

 

 シマボシ「私は仕事があるので遠慮する」

 

 ラベン博士「わかりました。では、シンヤくん、リュウガくん、ショウくん、行きましょう」

 

 

 こうして、ギンガ団の入団試験を受けることになったシンヤとリュウガは、ラベンとショウと一緒にイモヅル亭へと向かうと、そこで夕食を食べながら、ギンガ団がどうやってできたのかをラベンに聞いた。ラベンが言うには、ギンガ団を結成したのは、シマボシより偉い《デンボク》というギンガ団の団長らしく、そのデンボクは暴れ狂うポケモンによって故郷を失ったため、別の地方からこのヒスイ地方へとやってきたらしい。そして、恐ろしいポケモンに脅かされない土地を作ろうとしてギンガ団を結成し、2年前にこのコトブキムラを作ったようだ。それを聞いたシンヤとリュウガは、この時代のギンガ団は自分たちの知っている悪党の集まりではないとわかったので、少しホッとした。しかし、どうしてヒスイ地方時代のギンガ団が、未来の世界では悪党に成り果てて悪事に手を染めたのか、シマボシの子孫と思われるアカギは、なぜ自分の組織をギンガ団と名付けたのか、そこだけが強く疑問に残った。

 

 

 それから少しラベンと話をしたシンヤとリュウガは、夕食をご馳走してもらったお礼をラベンに伝えると、宿舎へと向かって寝る準備をした。

 

 

 宿舎・夜

 

 

 シンヤ「当分の衣食住の心配がいらなくなってよかったな。ラベン博士の話じゃ、ギンガ団に入団すれば給料も出るってことだったし」

 

 リュウガ「ギンガ団に入団するってのが気に入らねぇがな」

 

 シンヤ「いいじゃん別に。俺たちの知ってるギンガ団とは違うみたいだし。ふわぁぁ〜〜(-o-)」

 

 リュウガ「明日から忙しくなりそうだし、今日は寝るか」

 

 シンヤ「そうだな。お休み」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 シンヤ・リュウガ・ピカチュウ「「「zzz〜zzz〜(ー ー;)」」」

 

 

 タイムスリップして知らない世界に来た時は、大抵はパニックになって焦るものだが、今まで困難な冒険をしてきたシンヤとリュウガには、この程度のことは大したことがなかった。

 

 

 明日から本当の意味でヒスイ地方での冒険が始まるので、シンヤとリュウガは明日に備えて早く眠りについた。

 

 

 シンヤとリュウガとピカチュウが眠った頃と同時刻、ヒスイ地方のある場所で異変が起きていた。

 

 

 シュゥゥゥゥ(上空の光が一箇所に集まる)

 

 

 ドッ、カァァァァァン‼︎

 

 

 「ギィィィィィィィリッ⁉︎」

 

 

 ギンガ団の本部・1階

 

 

 ショウ「シマボシ隊長、シンヤさんとリュウガさんを連れてきました」

 

 シマボシ「許可する。入れ」

 

 翌朝、宿舎で一晩明かしたシンヤとリュウガは、未来から持ってきた食料を使って簡単な朝食を作って食べると、宿舎に来たショウと一緒にギンガ団の本部にいるシマボシのいる部屋に向かい、シマボシから入団試験の内容を聞かされた。

 

 シマボシ「では、入団試験の内容を説明する。その内容とは、《ムックル》、《ビッパ》、《コリンク》という3種類のポケモンを、《黒曜の原野》で捕まえてくること。それが試験に合格する条件だ」

 

 シンヤ「…えっ?」

 

 リュウガ「たったそれだけですか?」

 

 ショウ「ちょっと待ってください」

 

 シマボシ「ん?」

 

 ショウ「私を含めたギンガ団の調査員である皆さんも、3種類ものポケモンを捕まえるなんて成功したことないですよ。それなのに、こんな難しい条件を出すなんて」

 

 シマボシ「ラベン博士が言うには、彼らはムックルたちより強そうなポケモンを持っているとのことだ。それが事実ならば、この程度のことは容易なはずだ」

 

 ショウ「でも…」

 

 シマボシ「私たちギンガ団にはタダ飯を食わせる余裕はない。それに、彼らがギンガ団にとって役に立つ人間だとみんなに納得させるなら、この方法が一番早いだろう」

 

 ショウ「…」

 

 シンヤ「いいですよ、それで」

 

 ショウ「えっ?」

 

 リュウガ「俺たちにとっては、そんな難しいことでもないし」

 

 シマボシ「決まりだな。では君たちに、この調査隊専用のポーチを貸与しておく」

 

 シンヤ「ありがとうございます」

 

 リュウガ「どうも」

 

 シマボシ「そのポーチには、道具やきのみ、《クラフト》に使う材料を収納できる。クラフトのことは、ラベン博士から聞いていると思うが」

 

 シンヤ「ええ。昨日イモヅル亭で夕食を食べてる時に聞きました」

 

 シマボシ「そうか。では、外で待ってるラベン博士と一緒に行きたまえ」

 

 シンヤ「はい」

 

 リュウガ「行くか」

 

 ショウ「私も一緒に行きます。シンヤさんとリュウガさんの先輩として!」

 

 

 シンヤとリュウガはショウと共にギンガ団の本部から出ると、建物の外で待ってるラベン博士と合流し、黒曜の原野に向かうためにコトブキムラの裏門へと向かった。

 

 

 コトブキムラ・裏門の前

 

 

 シンヤ「よし、すぐに黒曜の原野に出発だ!」

 

 ラベン博士「ちょっと待ってください。黒曜の原野に行く前に、試験用のモンスターボールを渡しておきます」

 

 

 ラベンはそう言うと、白衣のポケットから3つのモンスターボールを取り出し、それをシンヤに渡した。

 

 

 シンヤ(ホントにこれが、ヒスイ地方で使われてたモンスターボールなんだ)

 

 シンオウフェスに行った時、ヒスイ地方で使われていたモンスターボールが展示されているのを見たが、ラベンがシンヤに渡した3つのモンスターボールは、シンヤとリュウガがシンオウフェスで見たのと同じ、木製のようなモンスターボールだった。

 

 

 リュウガ「本当にこれでポケモンがゲットできるんですか?」

 

 ラベン博士「ええ。性能は確認済みですから、大丈夫ですよ」

 

 ショウ「では、入団試験の場に行きましょう」

 

 

 ???「そこのお二人、キテレツな身なりをしていますね」

 

 

 シンヤ・リュウガ「「えっ?」」

 

 

 ラベンから3つのモンスターボールを受けとったシンヤとリュウガが裏門を通ろうとすると、2人の目の前に、金髪の長い髪で左目を隠している細身の男性が後ろから歩いてきて、シンヤとリュウガに声をかけてきた。

 

 

 ウォロ「いきなり声をかけてすいません。自分はイチョウ商会の者で、《ウォロ》といいます」

 

 シンヤ「はぁ、初めまして。シンヤといいます」

 

 リュウガ「…リュウガです」

 

 ウォロ「アナタたちの話は聞いてますよ。空から落ちてきたとか、珍しいポケモンを持っているとか。良ければ、そのポケモンたちを見せてもらいたいのですが」

 

 シンヤ「えっ…」

 

 ショウ「すいません。シンヤさんとリュウガさんは、これからギンガ団の入団試験を受けに行くので」

 

 ウォロ「そうでしたか。なら仕方ありませんね。では、またお会いした時に」

 

 

 ウォロはシンヤとリュウガにそう言い残すと、裏門を通ってどこかに行ってしまった。

 

 

 シンヤ「何だあの人?」

 

 リュウガ「あの人、なんか《シロナ》さんに似てたな」

 

 シンヤ「あっ、そういえば確かに」

 

 ショウ「シンヤさーん!リュウガさーん!行きますよー!」

 

 シンヤ「あっ」

 

 リュウガ「とりあえず、今は試験に合格することを考えよう」

 

 シンヤ「ああ」

 

 

 謎の人物であるウォロの正体が気になったシンヤとリュウガだったが、今は入団試験に合格することだけを考えると、黒曜の原野にあるベースキャンプに向かった。

 

 

 黒曜の原野・原野ベース

 

 

 ショウ「では、私とラベン博士はここで待っていますので、ムックルとビッパとコリンクを捕まえたら、すぐにここに戻ってきてください」

 

 ラベン博士「期限は今から3時間です。1分でも時間が過ぎたら試験に落ちてしまうので、気をつけてください」

 

 シンヤ「はい」

 

 リュウガ「じゃあ行くか」

 

 

 ベースキャンプに到着すると、早速ギンガ団に入団するための入団試験が始まったので、シンヤとリュウガは指定されたムックルたちをゲットするためにベースキャンプを出発した。そして、それからすぐに指定されたムックルとビッパとコリンクを見つけると、その3体をラベンから渡された木製のモンスターボールを使ってあっという間に捕まえた。

 

 

 黒曜の原野・大志坂

 

 

 シンヤ「試験開始から5分で終わったな」

 

 リュウガ「この時代ではポケモンをゲットすることが難しいと言われてても、俺たちからすれば簡単なことだからな。…なぁ、試験が早く終わって時間が余ったんだから、プレートやヒスイ姿のポケモンを探しに行こうぜ」

 

 シンヤ「そうだな。じゃあ手分けして探そう」

 

 リュウガ「わかった。俺は地上を見て回るから、お前は空から探してくれ」

 

 シンヤ「OK」

 

 ポーーン‼︎

 

 リザードン「リザァァァッ!」

 

 色違いアーマーガア「ガァァァァマッ!」

 

 シンヤ「じゃあ…」

 

 リュウガ「ヒスイ地方での冒険を楽しもうぜ」

 

 

 シンヤとリュウガはそれぞれのボールから出したライドポケモンのリザードンとアーマーガアの背に乗ると、待ちにまったヒスイ地方での冒険を始めた。リュウガはアーマーガアになるべく低く飛んでもらい、シンヤはリザードンに空高く飛んでもらうと、どこかにヒスイの姿をしたポケモンがいないか、アルセウスのプレートが落ちてないか探し始めた。

 

 

 黒曜の原野・上空

 

 

 シンヤ「うーん、どこにもヒスイの姿をしたポケモンはいないし、プレートも落ちてないな。…おっ、あそこに湖があるぞ!あそこって、もしかして《シンジ湖》なんじゃ?もしかして、この場所は過去のマサゴタウ…」

 

 

 「ギィィィィィィィリッ‼︎」

 

 

 シンヤ「ッ⁉︎」

 

 

 シンヤがリザードンに乗って上空からヒスイの姿をしたポケモンや、アルセウスのプレートを探していると、今まで聞いたことのないポケモンの鳴き声が聞こえてきたので、シンヤはリザードンにどこか近くのところに降りるよう頼んだ。

 

 

 黒曜の原野・巨木の戦場

 

 

 シンヤ「さっきのポケモンの鳴き声は、ここから聞こえてきたと思ったんだだが…」

 

 

 ポーーン‼︎

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 シンヤ「ピカチュウ!」

 

 ピカチュウ「ピィィィカァァァッ…」

 

 

 ドドドドドドドッ‼︎

 

 

 シンヤ「何か来る!」

 

 

 モンスターボールにリザードンを戻したシンヤが大きな鳴き声を上げたポケモンを見つけようと森の中を進んでいると、大きな木が立っている場所にやってきた。すると、突然ピカチュウがモンスターボールから出てきて威嚇を始めると、ピカチュウが威嚇した場所から体の全身が金色で斧のような両手をしているポケモンが走ってきた。

 

 

 ???「ギィィィィィィリッ‼︎」

 

 

 シンヤ「な、なんだ、このポケモンは⁉︎」

 

 ピカチュウ「ピィィカァァッ…」

 

 

 今まで見たことのないポケモンが目の前に現れると、シンヤは動揺を隠せなかった。相手の正体がわからない以上、何が起こるかわからないので、シンヤはモンスターボールを取り出してバトルを始められる準備をした。すると、シンヤと同じように大きな鳴き声を聞きつけたリュウガがアーマーガアに乗って上空からやってきた。

 

 

 リュウガ「シンヤ!」

 

 色違いアーマーガア「ガァァァァッ!」

 

 

 シンヤ「リュウガ!」

 

 リュウガ「な、何だ⁉︎このポケモン⁉︎」

 

 シンヤ「俺にもわかんねぇよ」…(…ぁ!まさか!)…「あのポケモン、バサギリなんじゃ…」

 

 リュウガ「えっ⁉︎でも、バサギリの体の色は金色じゃないはずだ」

 

 シンヤ「でも、両手が斧のポケモンなんて、俺たちの知る中ではバサギリしかいないだろう」

 

 リュウガ「確かにそうだが、じゃあなんで、バサギリの体の色が金色になってるんだ」

 

 シンヤ「それは俺にもわからない。けど、一つだけ確かなのは…」

 

 

 金色のバサギリ「ギィィィィィィリッ‼︎」

 

 

 シンヤ「このバサギリを倒さなきゃならないってことだ!」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 シンヤ「頼むぜ、ゲッコウガ!」

 

 ポーーン‼︎

 

 ゲッコウガ「コォォォォウガッ‼︎」

 

 リュウガ「しょうがねぇ。アーマーガア!」

 

 色違いアーマーガア「ガァァァァッ‼︎」

 

 

 金色のバサギリ「ギィィィィリッ‼︎」

 

 

 シンヤがモンスターボールからゲッコウガを出したの隣に、リュウガを背中から下ろしたアーマーガアがやってくると、金色のバサギリは素早くジャンプしながらゲッコウガとアーマーガアに突撃してきたので、アーマーガアはゲッコウガを背中に乗せて上空に飛んで行った。

 

 

 金色のバサギリ「ギィィィィバァァァァァッ‼︎」

 

 

 ドォォォォォォン‼︎

 

 

 アーマーガアが空高く飛ぶと、金色のバサギリは両手の斧を振り上げて力を溜め始めた。そして、力を溜めた金色のバサギリが両手の斧を一気に振り下ろして地面に叩きつけると、金色のバサギリの目の前に岩の塊が出現し、岩の塊から小さな岩がマシンガンのように勢いよく出てくると、上空にいるアーマーガアに向かって飛んでいった。アーマーガアはその攻撃を避けようとスピードを上げて素早く移動するが、全ての攻撃を避けきれそうにないと悟ったゲッコウガは「みずしゅりけん」を発動すると、水の手裏剣を投げ飛ばしてアーマーガアに飛んできた全ての岩を粉砕した。

 

 

 リュウガ「今の技って…」

 

 シンヤ「冊子に書いてあった『がんせきアックス』って技だろうな」

 

 リュウガ「意外と厄介な技だな」

 

 シンヤ「ああ。それに、あのバサギリは何かおかしい。早く勝負をつけた方がよさそうだ」

 

 リュウガ「そうみたいだな。アーマーガア!『アイアンヘッド』だ!」

 

 色違いアーマーガア「ガァァァァ、マァァァァッ‼︎」

 

 

 ドォォォォォン‼︎

 

 

 金色のバサギリ「ギリィィィィッ⁉︎」

 

 

 シンヤ「ゲッコウガ!連続で『みずしゅりけん』!」

 

 ゲッコウガ「コォォォォォウ、ガァァ!ガァァ!ガァァ!ガァァ!」

 

 

 ドン!ドン!ドン!ドン!

 

 

 金色のバサギリ「ギィィィィリッ⁉︎」

 

 

 もう少しバサギリとのバトルを楽しみたかったが、明らかに目の前のバサギリの様子が異常だと見抜いたシンヤとリュウガは、早々にバトルを終わらせようとアーマーガアとゲッコウガに技を指示した。すると、ゲッコウガはアーマーガアの背中から高くジャンプし、「アイアンヘッド」を発動したアーマーガアが頭から金色のバサギリに突撃すると、攻撃を受けた金色のバサギリは「アイアンヘッド」の追加効果で怯んで動かなくなった。その隙に「みずしゅりけん」を発動したゲッコウガが連続で水の手裏剣を投げて攻撃すると、金色のバサギリに大ダメージを与えた。

 

 

 シンヤ「これでラストだ!ゲッコウガ!トドメの『ハイドロカノン』!」

 

 ゲッコウガ「コォォォォウ、ガァァァァァァァッ‼︎」

 

 リュウガ「アーマーガア!『ゴッドバード』!」

 

 色違いアーマーガア「ガァァァァァァ、マァァァァァッ‼︎」

 

 

 ドォォォォォォン‼︎

 

 

 金色のバサギリ「ギィィィィィィリッ!?」

 

 

 ゲッコウガがみずタイプ最強の技である「ハイドロカノン」を発動して金色のバサギリに発射すると、金色のバサギリは大ダメージを受けて後ろに吹き飛ばされた。そこに「ゴッドバード」を発動したアーマーガアが突っ込むと、ダメージを受けた金色のバサギリはその場に倒れてしまう。

 

 シンヤ「…やったのか?」

 

 リュウガ「…多分」

 

 シュゥゥゥゥゥッ

 

 シンヤ・リュウガ「「えっ?」」

 

 

 ゲッコウガとアーマーガアの攻撃を受けて倒れた金色のバサギリが意識を失うと、金色のバサギリの体から金色の光が消えていき、金色のバサギリは元のバサギリの姿に戻った。

 

 

 バサギリ「…」

 

 シンヤ「元に戻ったのか?」

 リュウガ「何がどうなってんだ?」

 

 

 パチッ(バサギリが目を覚ます)

 

 バサギリ「ギィィィリッ」

 

 

 ゲッコウガ「コォォォウガッ!」

 

 アーマーガア「アァァァマッ!」

 

 

 倒れたバサギリは目を覚ますと、その場から立ち上がってシンヤとリュウガの近くに歩いてきたので、ゲッコウガとアーマーガアはシンヤとリュウガを守ろうとバサギリの前に立ち塞がった。

 

 

 バサギリ「ギィィリッ」

 

 シンヤ「あっ、それって…」

 

 

 バサギリはある物を取り出して自分の右手の斧の上に乗せると、それをシンヤとリュウガの前に差し出した。

 

 

 (たまむしプレート)

 

 シンヤ「《たまむしプレート》!」

 

 リュウガ「何⁉︎」

 

 バサギリ「ギィィリッ!」

 

 シンヤ「もしかして、俺たちにくれるのか?」

 

 バサギリ「ギリッ」コクッ

 

 シンヤ「ありがとう!」

 

 

 どうしてバサギリが、アルセウスのプレートの1つのたまむしプレートを持っているのかはわからないが、ずっと探していたアルセウスのプレートが見つかったので、シンヤはバサギリにお礼を言うと、バサギリが斧に乗せているたまむしプレートを受け取った。

 

 

 バサギリ「ギィィィリッ」

 

 

 シンヤがたまむしプレートを受け取ると、バサギリはその場から走ってどこかに行ってしまった。

 

 

 シンヤ「これで、2枚目のプレートをゲットだな」

 

 リュウガ「けど、なんでバサギリの体が光ってたんだ?」

 

 シンヤ「それは俺にもわからない。とにかく、一度ベースキャンプに戻ろう」

 

 

 バサギリの体の色が金色になっていた理由はわからないが、今はギンガ団の入団試験を受けている途中なので、シンヤとリュウガはアーマーガアの背に乗ると、ラベンとショウが待っているベースキャンプに急いだ。

 

 

 黒曜の原野・原野ベース

 

 

 ムックル「ムックゥゥッ!」

 ピッパ「ピッパァァッ!」

 コリンク「リンクリンクッ!」

 

 ラベン博士「ムックルにピッパにコリンク。指定されたポケモンたちを見事に捕まえましたね」

 

 ショウ「では、すぐにギンガ団の本部に戻って、シマボシ隊長にこのことを報告しましょう」

 

 

 バサギリとのバトルで時間を食ってしまったが、まだ試験終了まで30分はあるので、アーマーガアにベースキャンプから歩いて10分くらいかかる場所に降ろしてもらうと、シンヤとリュウガはそこから歩いてベースキャンプに向かった。そして、ゲットしたムックルとピッパとコリンクの3体をラベンとショウに見せると、入団試験に合格したことをシマボシに伝えるためにコトブキムラに戻り、そのままギンガ団の本部に向かった。

 

 

 ギンガ団の本部・1階

 

 

 ショウ「シマボシ隊長。戻りま…あっ…」

 

 

 ギンガ団の本部である建物の中に入ると、シンヤとリュウガがギンガ団の入団試験に合格したことを知らせるために、普段シマボシが働いている部屋に向かうと、ゴルダックの柄の袂の無い着物にファー付きコートを羽織った格好をしている男と、紺色の髪のところどころが緑がかっており、後ろを縄で縛ってまとめている長身の美丈夫の若い男と、金髪に萌黄色のメッシュが入ったショートヘアーの髪に大きな赤色のカチューシャをつけており、チューブトップにショートパンツという肌の露出が多い衣服を着ている可愛らしい女の子がシマボシと一緒にいた。

 

 

 ラベン博士「《デンボク団長》!」

 

 ショウ「《セキさん》に《カイさん》まで!」

 

 デンボク「ラベンか。久しぶりだな」

 

 セキ「よぉ!ショウ!」

 カイ「お久しぶりです!」

 

 シンヤ「誰だ?」

 

 リュウガ「さぁ?…けど…」

 

 シンヤ「うん」

 

 リュウガ(あのデンボクって人…)

 

 シンヤ(ナナカマド博士にそっくりだから…)

 

 リュウガ(絶対に…)

 

 シンヤ(ナナカマド博士の先祖だな…)

 

 シマボシ「シンヤ、リュウガ、戻ったか」

 

 デンボク「そうか。その2人が時空の裂け目から現れたというシンヤとリュウガか…」

 

 セキ「へぇ〜、あんたらが。俺は《コンゴウ団》のリーダーをしてる《セキ》だ。よろしくな」

 

 カイ「私は《カイ》。《シンジュ団》の長をしている」

 

 デンボク「そして私が、ギンガ団の団長《デンボク》であるっ!」

 

 シンヤ「は、はぁ…初めまして」

 

 リュウガ「…どうも」

 

 デンボク「礼儀はわきまえているようだな。お前たちが時空の裂け目から落ちてきたことは、ラベンやシマボシから聞いている。そして、お前たちがギンガ団の入団試験を受けたこともな。ショウ、ラベン、試験の結果はどうだった?」

 

 ショウ「試験が始まった3時間以内に、ムックルとピッパとコリンクをゲットしたボールを持ってきたのを確認しました」

 

 ラベン博士「ですから、試験は合格ということになりました」

 

 シマボシ「そうか。シンヤ、そしてリュウガよ。空から現れたお前たちのことを不気味だと思う者は、この村にはたくさんいるだろう。一部の者たちは、お前たちが災いを招くと思っているかもしれん。私とて、お前たちを信用していいか迷っている。しかし、お前たちは入団試験に見事合格した。お前たちが面妖な者たちでも、コトブキムラの仲間として認めよう」

 

 シンヤ「あ、ありがとうございます」

 

 デンボク「ウムッ。ギンガ団の仕事に忠勤し、ポケモン図鑑を完成させるのだ。シマボシ、あとで調査隊の証である服を2人に渡せ」

 

 シマボシ「わかりました」

 

 セキ「それよりデンボクの旦那、あの《金色バサギリ》はどうするんだい?」

 

 シンヤ「えっ?金色のバサギリのことを知ってるんですか?」

 

 セキ「ああ。《シンオウさま》に仕えていたポケモンの子孫だからな」

 

 シンヤ「シンオウ様?」

 

 セキ「宇宙の時間を司るシンオウさまのことだ」

 

 カイ「なにが時間を司るシンオウさまよ!空間を生み出した私たちシンジュ団のシンオウさまこそ、本物のシンオウさまなの!」

 

 セキ「時間を司る俺たちのシンオウさまこそ、本物のシンオウさまだ!」

 

 シンヤ(時間と空間を司るって…)

 

 リュウガ(《ディアルガ》と《パルキア》のことだろうな)

 

 デンボク「2人とも、くだらん喧嘩を止めんか。今はバサギリを鎮めることが先決だろう」

 

 シンヤ「あの〜、そのシンオウ様が何なのかはわかりませんが…」

 

 リュウガ「金色のバサギリなら、さっき俺たちが倒したときに元のバサギリに戻りましたよ」

 

 ショウ・ラベン博士・シマボシ・デンボク・セキ・カイ「「「「「「っ!?」」」」」」

 

 セキ「はっ!?」

 

 カイ「あの金色のバサギリを倒した!?」

 

 デンボク「一体どういうことだ!?」

 

 シンヤ「えっと、それはですね…」

 

 

 リュウガが金色のバサギリを倒したと伝えると、そのことに驚いたデンボクたちに詰め寄られたので、シンヤは金色のバサギリとどう出会ったのかを説明し、金色のバサギリとバトルしたあとに起こったことを全て説明した。…バサギリからたまむしプレートを貰ったということを除いては。

 

 

 デンボク「そうか、そんなことが。…実はな…」

 

 

 シンヤから金色のバサギリとバトルした話を聞くと、デンボクはシンヤとリュウガがバトルしたバサギリのことを話し始めた。なんでもあのバサギリは、かつてシンオウさまに力を授かり、ヒスイの英雄と共に戦った10匹のポケモンたちの末裔らしく、♂のポケモンはキング、♀はクイーンと呼ばれており、ヒスイ地方のある場所を縄張りとしているらしい。そのキング・クイーンと呼ばれるポケモンたちは、コンゴウ団とシンジュ団の《キャプテン》と呼ばれる人物たちが世話をしているのだが、時空の裂け目から落ちた雷に打たれたことで、他のエリアにいる全てのキング・クイーンの体の色が金色になって暴走状態になったらしいのだ。しかも、暴走状態となったキング・クイーンはバトルで倒しても完全に止めることができないので、キャプテンたちがキング・クイーンの好物を調合して作った《シズメダマ》という物を当てて鎮める必要があるらしい。

 

 デンボク「ところがお前たちは、シズメダマを使わずにバサギリを鎮めた。これはどういうことなのだ?」

 

 シンヤ「それは…」

 

 リュウガ「俺たちにもわかりません」

 

 デンボク「そうか。……シンヤ、リュウガ、バサギリを鎮めたお前たちに頼みがある。他のエリアで荒ぶっている、キング・クイーンを調査してきてくれぬか?」

 

 リュウガ「それは、他のエリアにいる全てのキング・クイーンを鎮めてこいってことですか?」

 

 デンボク「そうなるな」

 

 カイ「裂け目から落ちてきたというこの怪しい新入りに、キング・クイーンの調査をさせるのですか?」

 

 セキ「いいじゃねぇか。俺たちがどうにもできなかったバサギリを鎮めてくれたんだからよ。デンボクの旦那。俺はアンタの話に乗ったぜ」

 

 デンボク「ウムッ。シンヤ、リュウガ。お前たち2人が、キング・クイーンを鎮めれば、お前たちを認めてくれる者が増えるだろう。多くの者に信用を得るために、粉骨砕身で働くのだ」

 

 シンヤ「はぁ、わかりました…」

 

 リュウガ(なんかめんどくさいことになりそうだな…)

 

 

 ギンガ団の入団試験に合格する話から、勝手にどんどん話を進められた結果、シンヤとリュウガはギンガ団の調査隊の一員になったが、同時にキング・クイーンを調査し、それらのポケモンを鎮める羽目になってしまった。しかし、キングであるバサギリがアルセウスのプレートを持っていたのだから、他のキング・クイーンもプレートを持っている可能性があるので、シンヤとリュウガは、キング・クイーンのいるエリアを冒険しながら回ることに決めると、キング・クイーンがプレートを持っているのか確認しようとした。

 

 

 コトブキムラ・ソノオ通り

 

 

 シンヤ「あ〜、うまかった」

 

 リュウガ「ああ。やっぱイモヅル亭のイモモチは美味いな」

 

 

 ギンガ団の団長であるデンボクから、他の荒ぶるキング・クイーンの調査を頼まれたあと、コンゴウの長であるセキから“カミナギのふえ”という特別なポケモンを呼ぶことのできる真っ白で細い筒のような笛を貰ったシンヤとリュウガは、試験に合格してギンガ団の一員になった祝いに、ラベンからイモヅル亭のイモモチをご馳走してもらった。そしてそのあと、今日から自分たちの寝床となった宿舎に戻ろうとしていたのだが、表門の方からイチョウ商会のウォロが歩いてきて、シンヤとリュウガに声をかけてきた。

 

 

 ウォロ「シンヤさん、リュウガさん、お久しぶりです」

 

 リュウガ「あっ…」

 

 シンヤ「ウォロさん」

 

 ウォロ「聞きましたよ。キングであるバサギリを鎮めたよう……ん?シンヤさん、アナタが右手に持ってるのは“プレート”ですか!?」

 

 リュウガ「っ!」

 

 シンヤ「?そうですけど」

 

 ウォロ「ちょっとお借りしても?」

 

 シンヤ「え?…ええ、構いませんけど」

 

 スッ(ウォロにたまむしプレートを渡す)

 

 ウォロ「これをどこで?」

 

 シンヤ「えっと…」

 

 リュウガ「落ちてたのを拾ったんです」

 

 シンヤ(えっ?リュウガ?)

 

 ウォロ「そうでしたか。裏側に文字が刻まれていますね。神話の一部でしょうか?…これは私の推測ですが、これと似たようなプレートがヒスイ地方の各地に散らばっているかもしれません。その全てのプレートを集めて文字を読み解けば、アナタたちが時空の裂け目から落ちてきた謎がわかるかもしれません。歴史の謎!そして神話!好奇心がそそられます!」

 

 

 ウォロはそう言ったあとにシンヤにたまむしプレートを返すと、どこかに去って行った。

 

 

 シンヤ「リュウガ、何でプレートを拾ったなんて嘘を言ったんだ?」

 

 リュウガ「お前、何か気づかなかったのか?」

 

 シンヤ「これをプレートってウォロさんが知ってたことか?」

 

 リュウガ「気づいてたんじゃねぇか」

 

 シンヤ「このプレートは昔からあったものなんだから、ウォロさんが知っててもおかしくないだろう」

 

 リュウガ「それはそうだが。このプレート見た時のあの人の反応、なんか怪しいと思ったんだよな」

 

 シンヤ「そうか?」

 

 

 そして次の日から、シンヤとリュウガは他のキング・クイーンがいるエリアである、《紅蓮の湿地》、《群青の海外》、《天冠の山麓》《純白の凍土》という所に行くと、バサギリと同じように暴走していた、《ヒスイの姿のドレディア》、《ヒスイの姿のウインディ》、《ヒスイの姿のマルマイン》、《ヒスイの姿のクレベース》に出会うと、自分の手持ちポケモンたちの力を借りて、キング・クイーンを弱らせると、彼らをコンゴウ団とシンジュ団から貰ったシズメダマを使って鎮めていった。

 

 

 ブレイブアサギ号・ミーティングルーム

 

 

 シンヤ「こうやって、俺とリュウガは全てのキング・クイーンを鎮めながら、ヒスイ地方のあっちこちを冒険して、今のシンオウ地方にない景色を見て回り、知り合いの先祖と思われるたくさんの人たちに出会ったんだ」

 

 リコ「へぇ〜」

 

 モリー「にしても、ミコやナナカマド博士の先祖に会うなんてね」

 

 ミコ「キタカミの里にいた時、そのショウって人が写った写真を見せてもらったけど、ホントに私とそっくりだったわ」

 

 オリオ「マジ?」

 

 フリード「ヒスイ地方は大昔のシンオウなんだから、知り合いの先祖と会うなんてこともあるだろうな」

 

 マードック「シンヤとリュウガは、自分たちの先祖とは会わなかったのか?」

 

 シンヤ「ああ」

 リュウガ「会ってないな」

 

 ロイ「イモモチにコトブキマフィンか、食べてみたいな」

 

 ドット「ホント食いしん坊だな」

 

 リコ「アチゲータみたいw」

 

 シンヤ「そういや、そろそろおやつの時間だな」

 

 リュウガ「じゃあ、ロイのリクエストにお応えして、おやつにイモモチとコトブキマフィンを作るとするか」

 

 ロイ「ホントに!」

 

 リコ「2人とも、イモモチとコトブキマフィンを作れるの?」

 

 シンヤ「ああ。シンオウに帰ってくる時にレシピを教えてもらったからな。ちまきも作れるけど、あれは広いとこじゃなきゃ無理だから、今は作れないけど」

 

 ミコ「ヒスイ地方にある特別な材料を使ったりとかしないの?」

 

 リュウガ「特別な材料なんか使ってないし、今この時代にあるもので簡単に作れる」

 

 マードック「俺も手伝おうか?」

 

 シンヤ「いや、大丈夫」

 

 リュウガ「俺たち2人で十分だ」

 

 

 シンヤとリュウガはそう言うと、調理場に歩いて行った。そして、イモヅル亭で食べたイモモチとコトブキマフィンを作ると、料理が乗った皿を持ってミーティングルームに戻ってきた。

 

 

 パクッ…モグモグ( イモモチとコトブキマフィンを食べる)

 

 ロイ「美味しい!」

 

 ランドウ「うむ。この味付け、なかなかいけるの」

 

 リコ「うん!シンヤ、リュウガ、美味しいよ!」

 

 ミコ「ホント!」

 

 シンヤ「そうか」

 

 リュウガ「そりゃよかったな」

 

 マードック「今度、レシピを教えてくれよ」

 

 シンヤ「ああ」

 

 オリオ「このイモモチ、すごく美味しい!」

 

 モリー「うん」

 

 フリード「コトブキマフィンもいけるぞ」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカッ!」

 

 

 今リコたちが食べてるイモモチとコトブキマフィンは、シンヤとリュウガがヒスイ地方で食べた味と同じだった。それを食べて喜んでいるリコたちを見ると、イモモチやコトブキマフィンの作り方を教えておいてもらってよかったと、シンヤとリュウガは心の中でそう思った。

 

 

 N「それで、全てのキング・クイーンを鎮めたあと、君たちはどうしたんだい?」

 

 シンヤ「ああ、そこから話が途中だったな」

 

 

 時は再びヒスイ地方へと戻る

 

 

 宿舎・夜

 

 

 シンヤ「やっと16枚目のプレートを手に入れることができたな」

 

 リュウガ「ああ。これで残りは1つだな」

 

 

 シンヤとリュウガは、ヒスイ地方の5つのエリアである、黒曜の原野、紅蓮の湿地、群青の海外、天冠の山麓、純白の凍土をセキから貰ったカミナギのふえを使って呼び出した、アヤシシ、ガチグマ、イダイトウ、オオニューラ、ヒスイウォーグルの力を借りて冒険していき、そのエリアにいるキング・クイーンを鎮めていくと、アルセウスのプレートを順調に集めていった。その結果、《もののけのプレート》のプレート以外の全てのプレートを集めることができ、このヒスイ地方にしかない“くろのきせき”や“ピートブロック”を手に入れ、シンヤは色違いのバサギリにヒスイの姿のヌメルゴン、リュウガは色違いのヒスイの姿のダイケンキとゾロアークをゲットし、《ラブトロス》という謎のポケモンをゲットした。1つのエリアを回ってキング・クイーンを鎮めるのに4日もかかってしまい、ヒスイの姿のポケモンをゲットするのに夢中になりすぎて、気がつけばヒスイ地方に来て19日も経っていた。

 

 

 シンヤ「さて、そろそろ寝るか」

 

 リュウガ「ああ」

 

 

 ラブトロスをゲットした紅蓮の湿地からコトブキムラに戻ると、もう夜になっていたので、シンヤとリュウガは宿舎に向かうと眠りについた。そして次の日の朝、シンヤとリュウガはギンガ団の本部に行くために宿舎を出ると、空が赤く染まっていることに気づいた。

 

 

 コトブキムラ・宿舎の前

 

 

 シンヤ「これは…」

 

 リュウガ「まるで、世界の終わりみたいな空だな」

 

 

 ショウ「シンヤさん!リュウガさん!」

 

 

 シンヤ「ぁっ」

 

 リュウガ「ショウ」

 

 ショウ「2人とも、デンボク団長がすぐに本部に来てくれと!」

 

 シンヤ「えっ?」

 

 リュウガ「団長が?」

 

 

 宿舎の前に走ってきたショウがシンヤとリュウガにそう伝えると、2人はショウと一緒にギンガ団の本部にいるデンボクの元に向かった。

 

 

 ギンガ団の本部・デンボクの部屋

 

 

 デンボク「禍々しい空の色だな」

 

 セキ「デンボクの旦那。そんなことを言うために、俺たちをここに呼んだのか?」

 

 

 ギンガ団の本部にやってくると、シンヤとリュウガは階段を登ってデンボクの部屋にやってきた。部屋の中には、ギンガ団の調査隊隊長であるシマボシと、コンゴウ団の長であるセキ、シンジュ団の長であるカイ。そして、窓から空を見ているデンボクがいた。

 

 

 カイ「キング・クイーンを鎮めたあとの話し合いをするために、私たちを呼んだのでしょう?」

 

 デンボク「それよりも、確認をしなければならないことができたのでな」

 

 セキ「確認しなきゃいけないこと?」

 

 デンボク「ウムッ。シンヤとリュウガが落ちてきたその夜に、あの時空の裂け目から雷が落ちてバサギリたちは荒ぶりだした。となれば、なにかしらの関連を疑うのは当然だろう。シンヤ、リュウガよ。お前たちは何者なのだ!?時空の裂け目から落ちてきたお前たちは、荒ぶるキングたちと何か繋がりがあるのか?キング・クイーンを鎮めることで、私たちの信用を得ようとしていたのか?して今度は、何を企んでおるのだ?」

 

 シンヤ「何も企んでませんよ」

 

 リュウガ「それに、俺とシンヤがギンガ団に入ったのは、ラベン博士から頼まれたからだし、自分から入団させてくれと頼んだ覚えはないですよ」

 

 シンヤ「それに、他の人から信用を得るために、キング・クイーンを鎮めろと俺たちに言ったのは、デンボクさんじゃないですか」

 

 セキ「シンヤの言う通りだぜ、デンボクの旦那」

 

 カイ「それに、空が赤くなっている理由がシンヤさんとリュウガさんと繋がっている証拠もないんですから、2人を犯人扱いするのは失礼だと思います」

 

 デンボク「時空の裂け目から落ちてきた2人が潔白だと証明できるのか?素性がわからないこの2人が安全だと誰が保証できる?」

 

 カイ「そんな証明は誰にもできませんよ!」

 

 セキ「じゃあデンボクの旦那は、どうやったら2人が安全だって納得できるんだよ?」

 

 

 セキがそう言うと、デンボクは両手を閉じて顎に右手を乗せると何かを考え始めた。そしてしばらくすると、両手を開けてシンヤとリュウガの方を向いた。

 

 

 デンボク「シンヤ、リュウガ。お前たち2人に調査の機会を与える」

 

 シンヤ「調査?」

 

 デンボク「そうだ。お前たち2人にはギンガ団を退団してもらい、急に空の色が赤く染まったのかを調べてもらう。異変の理由が判明するまで…いや、事態を解決して身の潔白を証明できるまで、コトブキムラに入ることは許さぬ!」

 

 シンヤ・リュウガ「「っ!」」

 

 セキ「おい!デンボクの旦那!」

 

 カイ「キング・クイーンを鎮めてくれた2人に対してなんて無情な!」

 

 デンボク「庇い立て無用!ギンガ団の団長である私の決定は絶対だ!シマボシもよいな?」

 

 シマボシ「……はい」

 

 デンボク「これまでのお前たちの功績は認めている。それゆえに、お前たちを捕らえず自由にさせているのだ。しかし、時空の裂け目から落ちてきたお前たちのことをまだ怪しんでいる者がいるということも事実だ」

 

 

 コトブキムラ・ギンガ団の本部の前

 

 

 ショウ「シンヤさんとリュウガさんが…」

 

 ラベン博士「追放…ですか?」

 

 シマボシ「ああ」

 

 

 シンヤとリュウガがギンガ団を退団することになったとシマボシからショウとラベンに伝えられると、2人は信じられないという顔をしていた。そして、コトブキムラにいる周りの人たちは、異端者を見るような目をしてシンヤとリュウガを見ており、近くにいる者どうしでヒソヒソと話をしていた。

 

 

 ショウ「シンヤさんとリュウガさんは、団長の命令でキング・クイーンを鎮めただけなのに…」

 

 ラベン博士「すいません。僕がギンガ団に入ってくれなんて頼んだから…」

 

 シンヤ「ああ、いえ」

 

 リュウガ「別に気にしてませんよ」

 

 

 最初の頃は、勝手に自分たちをギンガ団に入団させようとしたラベンに少し腹を立てていたシンヤとリュウガだったが、ギンガ団に入団したおかげで多くのプレートを集めることができ、ヒスイの姿のポケモンをたくさんゲットすることができたので、今となってはラベンに感謝していた。

 

 

 ラベン博士「それで、2人はこれからどうするつもりですか?」

 

 シンヤ「とりあえず、空がこうなった原因を調べようと思います」

 

 

 とは言ったものの、空がこんなに禍々しくなった理由はシンヤとリュウガにはわからないので、どうやって調べようかと考えた。すると、シンヤはある事に気がつく。

 

 

 シンヤ「あの裂け目がある場所って、確か、天冠の山麓の山頂の真上だったような…」

 

 ラベン博士「ええ。あの裂け目がある真下には、天冠の山麓の山頂に建てられている《シンオウ神殿》がありますからね」

 

 シンヤ「シンオウ神殿」…(カイさんとセキさんがシンオウさまって言ってたディアルガとパルキアと同じ名前の神殿。……まさか!)…「俺たち、今からシンオウ神殿に行ってきます」

 

 ショウ「えっ?」

 

 シマボシ「どうしてシンオウ神殿に?」

 

 シンヤ「真上に裂け目があるシンオウ神殿に行けば、空が赤く染まった原因がわかるかもしれません。だから行きたいんです」

 

 シマボシ「……わかった。お前たちはもうギンガ団の人間ではないのだから、私にはどうこう言う権利はない。ただ、野垂れ死にだけはするな」

 

 シンヤ「はい」

 

 リュウガ「じゃあ、俺たちはこれで」

 

 

 シンヤとリュウガはそう言うと、表門を通って天冠の山麓の山頂にあるシンオウ神殿へと向かった。そして、ヒスイウォーグルの力を借りてシンオウ神殿に通じる道である《笠雲の切り通し》という洞窟の近くにまで向かうと、そこからは歩いて山頂を目指した。洞窟を抜けて天冠の山麓の山頂に辿り着くと、2人の目の前に、神殿を彷彿とさせる外観が特徴の建物が建てられていた。

 

 

 シンヤ「あれが、シンオウ神殿か…」

 

 

 天冠の山麓・シンオウ神殿

 

 

 リュウガ「やりのはしらにそっくりだな」

 

 シンヤ「ああ。…ん?あれは…」

 

 

 シンオウ神殿の内部は、いくつもの石柱が屋根を支えていて、各地のキング・クイーンやライドポケモンの先祖の像が、奥の道に続く通路を挟んで立てられていた。その道を進んで行くと、真上にはアルセウスの輪っかと似たようなものが取り付けられていた。

 

 

 シンヤ(やっぱり、ここは過去のやりのはしらなんだ)

 

 

 ウォロ「やはりここに来ましたか」

 

 

 シンヤ・リュウガ「「っ!」」

 

 

 シンヤとリュウガがシンオウ神殿の奥にやってくると、2人の後ろからイチョウ商会のウォロが現れた。

 

 シンヤ「ウォロさん」

 

 リュウガ「…」

 

 ウォロ「お二人がギンガ団を退団したと聞いて、心配でここまで来たのですが、何かわかりましたか?」

 

 シンヤ「いえ…」

 

 ウォロ「そうですか。……いえ、ここまで来たら、もう隠すこともないでしょう。ワタクシ、ウォロの目的をお話しすべきですかね」

 

 シンヤ「えっ?」

 

 ウォロ「アナタたちは、《アルセウス》のことを知っていますか?」

 

 シンヤ・リュウガ「「っ!」」

 

 シンヤ「なぜ、あなたがアルセウスのことを⁉︎」

 

 ウォロ「やはり、アナタたちはアルセウスのことを知っていたのですね。歴史の謎に興味を持ったワタクシは、神話のことを調べているうちに、アルセウスの存在を知りました。最初はアルセウスが存在するということに半信半疑でしたが、アルセウスが存在すると確信した時から、どうすればアルセウスに会えるのか、それだけを考えて生きてきました。そして、神話の謎を深く調べた結果、ある壁画を見つけました。その壁画には、神たるアルセウスの持つ17枚の欠片、つまり、17枚のプレートを全て集めれば、アルセウスに会うことができると描いてあったのです。そのために、ワタクシはアルセウスに挑もうとしている《ギラティナ》を探しだし、時空の裂け目を開けさせたのです」

 

 シンヤ「なっ⁉︎」

 

 リュウガ「ギラティナだと⁉︎」

 

 シンヤ「じゃあ、キング・クイーンと呼ばれるポケモンたちが荒ぶり始めたのも、この空の異変も…」

 

 ウォロ「ええ、私とギラティナがやったのです。アナタたちに神の欠片であるプレート集めさせるためにね。アナタたちの持つ欠片は16枚。では、あとの1枚は?」

 

 シンヤ「…ぁっ、まさか!」

 

 ウォロ「ええ、ここに在ります」

 

 スッ(ウォロが懐からもののけプレートを出す)

 

 ウォロ「さぁ、アナタたちの集めたプレートを全て渡しなさい。全てのプレートを集めたこのワタクシが、アルセウスに会う権利を得る。ワタクシには、アルセウスに会いたいという好奇心を抑えることができない!そして、アルセウスに会い、さらに従わせることができた時、よりよい世界を創造することができるかを試す!もっともその時は、ヒスイ地方は一瞬にして無となるでしょう。そうなれば、アナタたちの知る人やポケモンたちは存在しなかったことになる。それを阻止したければ、今この場でワタクシと戦え!」

 

 

 シンヤとリュウガにそう言ったウォロがイチョウ商会の制服を勢いよく脱ぎ捨てると、アルセウスを模した髪型と衣装を身に纏い、目からハイライトが消えているウォロが現れた。

 

 

 ウォロ「アナタたちに戦う気がなければ、プレートは力づくでいただくことにします」

 

 

 ウォロは6つのモンスターボールを取り出すと、シンヤとリュウガの持ってるプレートを奪うために、モンスターボールを宙に投げて6体のポケモンを繰り出した。

 

 

 ミカルゲ「カカカカカッ!」

 ガブリアス「ガァァァァブッ!」

 ロズレイド「ロォォォズッ!」

 ルカリオ「ガァァァァウッ!」

 トゲキッス「トォォォゲェキッ!」

 ウインディ(ヒスイの姿)「ウィィィンッ!」

 

 シンヤ「なっ⁉︎」

 

 リュウガ「あのポケモンたちは!」

 

 

 ウォロが投げたモンスターボールから出てきたポケモンたちを見ると、シンヤとリュウガは絶句した。なぜなら、ウォロが出したポケモンたちは、ヒスイウインディを除けば、シンオウ地方のチャンピオンであるシロナの手持ちと酷似していたからだ。

 

 

 ウォロ「ワタクシがポケモンを持っていることがそんなに意外ですか?ですが、そんなことで驚いてもらっては困りますよ。ギラティナ!」

 

 

 ゴゴゴゴゴゴゴッ‼︎

 

 

 ウォロがギラティナの名を呼ぶと、突然シンオウ神殿に地震が起こった。すると、ウォロの後ろに黒いモヤのようなものが発生し、そこから禍々しい姿をした伝説のドラゴンポケモン、ギラティナが現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギラティナ「ギラァァァァァッ‼︎」

 

 

 シンヤ「ギラティナ!」

 

 リュウガ「マジかよ!」

 

 ウォロ「ギラティナ、打破せよ!」

 

 シンヤ「くっ!」

 

 リュウガ「こうなったらやるしかねぇ!」

 

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ‼︎

 

 

 シンヤ「うおっ!」

 

 リュウガ「またか!」

 

 ウォロ「これは!」

 

 シンヤとリュウガがウォロとギラティナと戦うために、未来から持ってきたモンスターボールを取り出そうとすると、再びシンオウ神殿の周りに地震が起こった。すると、シンヤとリュウガの後ろに2つの空間の歪みが発生し、そこからギラティナと対をなす神と呼ばれし2体のポケモンが現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディアルガ「ディアァァァァァッ‼︎」

 

 パルキア「パァァァァァルルルルッ‼︎」

 

 

 リュウガ「あれは!」

 

 シンヤ「ディアルガにパルキア!」

 

 

 ウォロ「ギラティナと同格であり、アルセウスと同じ、神と呼ばれし2体のポケモン。その2体が、どうしてここに?」

 

 

 ディアルガ「ディァァァァァァッ‼︎」

 

 パルキア「パァァァァァルルルルッ‼︎」

 

 

 ドォォォォォォォン‼︎

 

 

 この場にディアルガとパルキアがいきなり現れたことにシンヤとリュウガとウォロが混乱していると、ディアルガは胸部の中心にあるダイヤモンドの様な形状の核に、パルキアは右肩の真珠にエネルギーを集め始めた。そして、エネルギーを溜め終わったディアルガは口から藍色の光線を放ち、パルキアは右手を思いっきり振り下ろしてピンク色の斬撃の刃を飛ばした。その二つの攻撃がウォロのポケモンとギラティナに向かって行くと、ギラティナは「シャドーダイブ」を発動し、自身の姿を隠してディアルガとパルキアの攻撃をかわしたが、フェアリータイプであるトゲキッス以外のポケモンにディアルガとパルキアの攻撃が直撃すると、トゲキッス以外のウォロのポケモンたちはその場に倒れた。

 

 

 シンヤ「『ときのほうこう』に『あくうせつだん』か」

 

 リュウガ(なんて威力だ。あのディアルガとパルキア、シンヤのディアルガとパルキアに負けてねぇぞ)

 

 ウォロ「くっ!舐めたマネをしてくれますね!トゲキッス!」

 

 トゲキッス「トォォォォ…」

 

 ディアルガ「ディァァァァッ!」

 

 

 ウォロがトゲキッスに技の指示を出そうとすると、それより早く野生のディアルガが発動した「ラスターカノン」がトゲキッスに命中し、ディアルガの「ラスターカノン」を受けたトゲキッスは倒れてしまう。

 

 

 ウォロ「私のポケモンたちが全滅するとは……しかし、どうしてディアルガとパルキアが私の邪魔をするのだ?」

 

 シンヤ「この世界を守るためだ」

 

 ウォロ「?世界を守るため?」

 

 リュウガ「あんたがアルセウスに会いたいって思う気持ちはいい。けど、あんたはアルセウスを従えたあと、この世界を消そうとしている。それを阻止するために、ディアルガとパルキアは戦ってるんだ。実際、ディアルガとパルキアは俺たちに攻撃をしていない。それがなによりの証拠だ」

 

 ウォロ「…なるほど。世界を守るためですか。……ならば、このギラティナを倒してみせるがいい!」

 

 ギラティナ「ギラァァァァァッ‼︎」

 

 

 ギラティナが咆哮を上げると、ギラティナの足元にある黒いモヤが広がっていき、ギラティナの体を包み始めた。すると、黒いモヤの中から赤い両目を光らせたギラティナが姿を変えて現れた。

 

 

 ギラティナ(オリジンフォルム)「ギラァァァァァァァッ‼︎」

 

 

 シンヤ「なぁ⁉︎」

 

 リュウガ「嘘だろ⁉︎」

 

 

 黒いモヤの中から現れたギラティナを見ると、シンヤとリュウガは驚きを隠せなかった。その理由は、黒いモヤの中から現れたギラティナの姿が《オリジンフォルム》になっていたからだ。

 

 

 シンヤ(本来、ギラティナがオリジンフォルムになるには、《やぶれたせかい》にいるか、《はっきんだま》が必要なはず。だけど、“はっきんだま”を持たせていれば、バトルが始まる前からオリジンフォルムになっているはずだ。なのに、なんでバトル中に姿を変えられるんだ?)

 

 ウォロ「これこそギラティナの本当の姿。この姿のギラティナならば、ディアルガとパルキアなど敵ではない!」

 

 ギラティナ(オリジンフォルム)「ギラァァァァァァァッ‼︎」

 

 

 アナザーフォルムのギラティナなら、ディアルガとパルキアに勝ち目があったが、本来の姿であるオリジンフォルムに変わったことで、ギラティナはディアルガとパルキアに匹敵するほどの力を得てしまった。このままではディアルガとパルキアが危ないので、シンヤとリュウガはモンスターボールを取り出し、ディアルガとパルキアに加勢しようとした。するとその時!

 

 

 ディアルガ「ディァァァァァァッ‼︎」

 

 パルキア「パァァァァァルルルルッ‼︎」

 

 ピカァァァァァァン‼︎

 

 

 シンヤ「えっ?」

 

 リュウガ「これは?」

 

 ウォロ「ぁっ…」

 

 オリジンフォルムになったギラティナがディアルガとパルキアに向かって行くと、ディアルガとパルキアは同時に咆哮を上げた。すると、ディアルガとパルキアの体が金色の光に包まれ始め、次の瞬間、強い衝撃が神殿に起こった。それにより、神殿の屋根や建物が全て消し飛ばされてしまい、周りが柱だらけになった。そして、ディアルガとパルキアを包んでいた金色の光が消えると、ディアルガとパルキアはシンヤとリュウガが今まで見たことのない姿となって現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディアルガ(オリジンフォルム)「ディァァァァァァッ‼︎」

 

 パルキア(オリジンフォルム)「パァァァァルルルルッ‼︎」

 

 

 シンヤ「なんだ、あのディアルガとパルキアの姿は?」

 

 リュウガ「一体、何が起こったんだ?」

 

 

 ディアルガ(オリジンフォルム)「ディァァァァァァァァッ‼︎」

 

 パルキア(オリジンフォルム)「パァァァァァァルルルルッ‼︎」

 

 

 ドォォォォォォォォォン‼︎

 

 

 ギラティナ(オリジンフォルム)「ギラァァァァァァァッ!?」

 

 

 姿を変えたディアルガとパルキアは、再び「ときのほうこう」と「あくうせつだん」を放とうと、互いに首部分に移動したダイヤモンドの核と真珠にエネルギーを集め始めた。そして、エネルギーが溜まったディアルガとパルキアが同時に技を放つと、ギラティナは「りゅうのはどう」を発動して迎撃したが、ディアルガの「ときのほうこう」とパルキアの「あくうせつだん」が竜の形をした衝撃波を粉砕すると、二つの技はギラティナに命中し、ディアルガとパルキアの攻撃を受けたギラティナは倒れ始め、オリジンフォルムからアナザーフォルムに姿を変えた。すると、さっきまで赤く染まっていたヒスイ地方の空がいつもの青空に戻っていき、大きくなっていた時空の裂け目が閉じていった。

 

 

 ギラティナ「ギラァァァ…ァァ…」

 

 

 倒れたギラティナはしばらくすると立ち上がったが、ディアルガとパルキアに勝てないことを悟ると黒いモヤを発生させ、逃げるようにモヤの中に姿を消した。すると、ディアルガとパルキアは異次元に通じる道を作り出し、一瞬シンヤとリュウガの方を見ると、別々の道を通って姿を消した。

 

 

 ウォロ「逃げるとは、なんと不甲斐ない。お前がアルセウスに挑むというから力を貸してやったのに!創造神であるアルセウスを引きずり出すために、時空の裂け目を開けるきっかけを作ってやったというのに!……アルセウス、古代シンオウ人の血を引くワタクシのなにがダメだというのだ?……シンヤさん、リュウガさん、アナタたちには叶えたい夢があるか?」

 

 

 シンヤ「えっ?」

 

 リュウガ「何でそんなことを聞く?」

 

 ウォロ「ちょっとした好奇心です」

 

 シンヤ「……あるぜ。どうしても叶えたい夢が」

 

 リュウガ「ああ、俺もだ」

 

 ウォロ「そうか、あるのか。…ワタクシはポケモンを使い、アナタたちはポケモンと共に戦うもの。だからこそ、ワタクシとアナタたちの夢は相容れないでしょう。結局、ワタクシは最後まで一人だった。ですが、アナタたちは違う。きっと、ポケモンたちと共に夢を叶えるのでしょう」

 

 

 ウォロはシンヤとリュウガにそう言うと、2人の近くに歩いてきた。そして、懐からもののけプレートを取り出すと、それをシンヤとリュウガの前に差し出した。

 

 

 シンヤ「えっ?」

 

 ウォロ「ワタクシの物語の始まりとなったこのプレートを、アナタたちにくれてやりますよ。ワタクシの物語は、アナタたちに敗北したことで終わったのですから」

 

 シンヤ「それは違う。あなたは俺たちに負けたんじゃない。この世界を守ろうとしたポケモンたちに負けたんだ」

 

 

 シンヤはウォロの目を見てそう言うと、ウォロからもののけプレートを受け取った。

 

 

 ウォロ「ポケモンに負けた、ですか。…フッw、これで、ヒスイの地にある全てのプレートが集いましたね」

 

 

 ピカァァァァァン‼︎

 

 

 ウォロ「ぁっ」

 

 リュウガ「あっ」

 

 シンヤ「セキさんから貰った“カミナギの笛”が!」

 

 

 ウォロからもののけプレートを受けると、シンヤがシマボシから預かったポーチの中に入っているカミナギのふえがひとりでに出てきて宙に浮き始めた。すると、急にカミナギのふえが光り始め、笛の指穴の部分が楕円形に膨らんでおり、縦笛になったオカリナのような見た目に変わると、胴体の表面には4本のパイプのような大きな突起があり、側面にもX字を描くように斜めにパイプ型の大きな突起が4本生えている笛に形を変えた。

 

 

 ウォロ「それは、まさか、まさか、アルセウスを呼ぶことができる《てんかいのふえ》…アルセウスは、アナタたちに会うことを選んだというのか。そのために、アナタたちをここに招いたのか?クッ!見たくもないですよ、アナタたちとアルセウスの邂逅する所など。ましてや、アナタたちがアルセウスに勝利するところなど、絶対に見たくもない!」

 

 

 デンボク「ならば、牢獄で一生を過ごすがよい!」

 

 

 シンヤ・リュウガ・ウォロ「「「っ!」」」

 

 

 どこかからデンボクの言葉が聞こえてくると、シンヤとリュウガとウォロは後ろを振り向いた。するとそこには、鎧に身を包んでいるデンボクと、コンゴウ団の長であるセキ、シンジュ団の長であるカイ。そして、ショウの4人が一緒にいた。

 

 

 シンヤ「セキさんにカイさん!」

 

 リュウガ「それにショウやデンボクさんまで」

 

 シンヤ「どうしてここに?」

 

 セキ「ここは元々、俺たちが崇拝するシンオウさまが降臨する大切な場所だからな。お前たちがここに向かったってショウから聞いて、急いで来たんだ」

 

 リュウガ「いつからここに?」

 

 ショウ「ウォロさんが2人に話しかけた時からです」

 

 シンヤ「ってことは…」

 

 カイ「ええ。この人がギラティナってポケモンと一緒に、この騒ぎを引き起こしたことを聞きましたし、シンヤさんとリュウガさんが、シンオウさまと一緒にこの地を守ってくれてるところを見てました」

 

 リュウガ「そうですか」

 

 デンボク「シンヤ、リュウガ、このヒスイ地方に生きる、全ての人間とポケモンたちを守ってくれたこと、心より感謝する。それと、お前たち2人が異変の原因だと疑ったことを忠心より詫びよう」

 

 

 デンボクはシンヤとリュウガにそう言うと、正座をして頭を深々と下げた。

 

 

 シンヤ「…だったら、一つお願いがあります」

 

 デンボク「ん?願い?」

 

 シンヤ「俺たちに悪いと思ってるなら、この人を捕まえるのをやめてほしいんです」

 

 デンボク「なっ!?」

 カイ「えっ!?」

 セキ「シンヤ!?」

 

 ショウ「どうしてですか⁉︎ウォロさんは、キング・クイーンを荒ぶらさせて、この騒ぎを作り出した張本人なんですよ!」

 

 デンボク「そうだ。そのせいでお前たちは…」

 

 シンヤ「それとは関係ありませんよ。ウォロさんを捕まえられると、俺たちにとって都合が悪くなることがあるんです」

 

 

 ウォロの手持ちポケモンがシロナと酷似していたため、ウォロはシロナの先祖だと確信したシンヤには、ある一つの考えが浮かんでいた。それは、ウォロが誰と添い遂げるかということだ。おそらくその人物は、ラブトロスのゲットに協力してくれた《コギト》という人物だとシンヤは思った。なぜなら、コギトの容姿は髪の色が白だということを除けばシロナと瓜二つだからだ。

 

 

 もしウォロがこの場で捕まれば、コギトと結ばれなくなる可能性があるため、未来の歴史が変わってシロナが産まれなくなるだろう。だからこそ、シンヤとしてはウォロを捕まえられたら困るのだ。

 

 

 セキ「…わかった。事情はよくわからねぇが、シンヤ、お前にはワガママを言う権利がある。お前がコイツをこのまま逃がせって言うなら、コイツを捕まえるのはやめる」

 

 カイ「えっ?」

 ショウ「セキ、さん?」

 

 セキ「デンボクの旦那、あんたはシンヤとリュウガが騒ぎの原因だって勝手に決めつけて、2人をギンガ団から退団させたんだ。それなのに、シンヤとリュウガはヒスイ地方に生きる人間やポケモンたちを救うために、コイツやギラティナと戦おうとしてくれた。それに、何もしなかった俺たちと違って、コイツやギラティナが暴走させたキング・クイーンを鎮めてくれたんだ。だからこそ、俺たちには何もいう権利はねぇし、コイツをどうこうする権利がシンヤとリュウガにはあるんだから、旦那も文句ねぇよな?」

 

 デンボク「……わかった。…ただし、二度とウォロがコトブキムラに立ち入ることは許さぬ。シンヤ、お前もそれでいいな?」

 

 シンヤ「ええ。この人を捕まえないでくれれば、それでいいです」

 

 ウォロ「私に恩を着せるつもりですか?無駄ですよ。私は改心などしません。いつの日か、ヒスイ地方の神話の謎を解き明かし、必ずアルセウスに会ってみせる!いや、従えてみせる‼︎何年、何十年、何百年かかったとしても‼︎」

 

 

 ウォロはそう言い残すと、シンヤたちの横を通ってシンオウ神殿を去っていった。ウォロがいなくなると、シンヤとリュウガはデンボクから再び土下座をされ、一緒にコトブキムラに戻って行った。そのあとデンボクから、時空の裂け目ができた原因がシンヤとリュウガのせいではなかったとコトブキムラのみんなに伝えられると、シンヤとリュウガは村のみんなに謝罪された。

 

 

 時空の裂け目を開けたのは、ウォロとギラティナだとコトブキムラにいるみんなに話そうとしたデンボクだったが、シンヤにそのことは言わないでほしいと頼まれたので、このことはシンオウ神殿にいた自分たちだけの秘密にすることにした。

 

 

 宿舎・夜

 

 

 シンヤ「今日は大変だったな」

 

 リュウガ「ああ。だけど、アルセウスのプレートは全て集まったし、ヒスイの姿のポケモンもたくさんゲットできた。これで、全ての目的は達成できたな。…シンヤ、今日の夜にここを出よう」

 

 シンヤ「ああ、俺もそう思ってた」

 

 

 シンヤとリュウガがコトブキムラに戻ると、デンボクやコトブキムラのみんなが、シンヤとリュウガがヒスイ地方を救ってくれた宴を開いてくれて、2人さえ良ければここに残ってほしいと言ってきた。しかし、アルセウスのプレートを全て集めた以上、シンヤとリュウガにはここに残る理由はなかった。それに、未来から来た自分たちがここに残れば、過去に影響を与えて未来が変わりかねないので、シンヤとリュウガはみんなが寝静まった真夜中にここを発とうと決めた。そして真夜中になると、布団を綺麗に畳み、布団の上にさっき洗濯したギンガ団の服とシマボシから預かったポーチ。そして、自分たちが書いた手紙と余った給与が入ってる封筒を置くと、リュウガがモンスターボールから出したフーディンの「テレポート」でシンオウ神殿に向かった。

 

 

 天冠の山麓・シンオウ神殿

 

 

 シンヤ「できれば、ちゃんとお別れをしたかったな」

 

 ピカチュウ「ピィカァッ」コクッ

 

 リュウガ「歴史を変えないためには仕方ないだろ。本当なら書き置きだってまずいのに」

 

 シンヤ「そうだな。じゃあ、アルセウスに会って帰るか」

 

 

 ウォロの言ってた言葉の通りなら、てんかいのふえを吹けばアルセウスに会うことができるかもしれないので、シンヤはリュックの中から取り出したてんかいのふえを吹いた。すると、てんかいのふえから綺麗な音色が鳴り響き、シンオウ神殿に眩しい光が発生すると、2人の目の前に光の階段が現れたので、シンヤとリュウガは階段を登って行った。

 

 

 ???

 

 

 シンヤ「ここは…」

 

 リュウガ「はじまりのまと似てるな」

 

 ピカチュウ「ピィカァッ」

 

 

 光の階段を登ってしばらくすると、シンヤとリュウガは不思議な空間にやってきた。そこは、足元に大きな魔法陣のようなものが描かれていて、空にはたくさんの星が輝いているため、宇宙に見えるような場所だった。

 

 

 アルセウス『シンヤ、リュウガ』

 

 

 シンヤ「ぁっ」

 

 リュウガ「アルセウス」

 

 ピカチュウ「ピィカァッ」

 

 

 シンヤとリュウガとピカチュウが辺りを見渡していると、後ろからアルセウスが声をかけてきたので、シンヤとリュウガとピカチュウが後ろに振り向くと、そこには自分たちをヒスイ地方に送ってくれたアルセウスがいた。

 

 

 アルセウス『あなたたちがヒスイ地方でどんな冒険をしていたのか、ずっとここで見させてもらいました』

 

 リュウガ「そうか。…あっ、俺、ヒスイの姿のポケモンじゃないラブトロスを捕まえちゃったんだが…」

 

 アルセウス『構いませんよ。そのポケモンはシンオウ地方にいないポケモンですから、あまり歴史に影響を与えないと思います』

 

 リュウガ「そうか」

 

 シンヤ「アルセウス、約束のものを見つけてきたぜ」

 

 カチャ(リュックの中を開く)

 

 アルセウス『ありがとうございます』

 

 

 アルセウスがシンヤとリュウガにプレートを見つけてきてくれたお礼を言うと、シンヤのリュックの中にある全てのプレートが宙に浮かんで棺桶のような形状に変わると、アルセウスの体の中に吸い込まれるように入っていった。すると、アルセウスの体の中から17枚のプレートが出てきて、アルセウスを囲むように浮いていた。

 

 

 リュウガ「これが、アルセウスの本当の姿なのか」

 

 シンヤ「まさに創造神だな」

 

 ピカチュウ「ピィカァァッ」

 

 アルセウス『では、そろそろあなたたちを未来の世界に送りますね』

 

 シンヤ「ああ」

 

 リュウガ「頼む」

 

 アルセウス『危険を顧みず、私の命でもあるプレートを集めてきてくれて、本当にありがとうございました』

 

 リュウガ「いや…」

 

 シンヤ「俺たちの方こそ、ヒスイ地方を冒険させてくれたことに礼を言うよ。おかげで、ヒスイ地方で新しい仲間をゲットできたし」

 

 アルセウス『フフッw、いつの日か、またどこかでお会いしましょう』

 

 ピカァァァァァァン‼︎(シンヤたちの体が光る)

 

 シンヤ「ぁっ…」

 

 リュウガ「これで、ヒスイ地方での冒険は終わったな」

 

 シンヤ「ああ」

 

 ピカチュウ「ピィカァッ」

 

 

 ヒスイ地方に来たばかりの頃は大変で、いろいろとトラブル続きだったが、もう二度と行くことのできないヒスイ地方と、もう会うことのできないラベンやショウたちとお別れだと思うと、シンヤとリュウガは寂しい気持ちになり、アルセウスが自分たちを元の時代に送ろうとすると、ヒスイ地方とそこで出会った人間とポケモンたちに、心の中で別れを告げたのだった。

 

 

 テンガン山・やりのはしら

 

 

 パチッ(目を開ける)

 

 シンヤ「ここは…」

 

 リュウガ「やりのはしら……俺たち、帰ってきたんだな」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 

 アルセウスが送ってくれた場所に倒れていたシンヤとリュウガは目を開けると、その場から立ち上がって周りを見渡した。すると、自分たちがいる場所がやりのはしらだと気づき、自分たちがヒスイ地方の未来の世界であるシンオウ地方に帰ってきたのだと理解すると、アルセウスフォンが元のスマホロトムに戻っていることに気づいた。

 

 

 リュウガ「おっ、ポケモン図鑑にヒスイの姿のポケモンのデータが残ってるし、シンオウ神殿で見たディアルガとパルキアの新しい姿のことまで追加されて詳しく載ってるぞ」

 

 シンヤ「アルセウスからのお礼だろうな。…あっ、ミコや母さんにナナカマド博士からたくさんの通話がきてるし、3週間分のメールが届いてる」

 

 リュウガ「まだスマホロトムのないヒスイ地方に行ってたんだから、電話やメールが届かないのは当然だろうな」

 

 シンヤ「俺たちが未来に帰ってきたことで、3週間分の送られなかった通話の履歴やメールが今になって送られてきたってことか。『今どこにいるの?』、『なんでメールを返信しないの?』って、すごい連絡が来てるな。後でちゃんと事情を説明しない……あっ!俺のポケモンWCSの順位が100位になってる⁉︎」

 

 

 シンヤ

 

 

 スーパークラス100位

 

 

 リュウガ「3週間ヒスイ地方に行っててバトルしてないから、そのツケが回って100位になったんだな」

 

 シンヤ「マジかよ〜〜(~_~lll)」

 

 

 To be continued

 

 

 次回予告

 

 

 シンヤとリュウガがヒスイ地方でどんな冒険をしてきたのかを話すと、どうやってシンヤが世界最強のポケモントレーナーであるダンデを倒したのかロイが聞きたいと言ってきたので、シンヤはダンデと戦ったときのことを話し始めた。

 

 

 次回「番外編4『シンヤVSダンデ!世界最強のポケモントレーナー誕生!』」

 





 シンオウフェスで登場する古い建物は、レジェンドアルセウスのコトブキムラにある建物や宿舎と同じだと思ってください。

 最後の番外編4は、書く日が決まったら知らせます。
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