アルビノ少女の異世界旅行記 ~私の旅は平穏無事にといかない~   作:影薄燕

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第75話 ユニコーン

 

「お! 1つ目みっけ!」

 

「これで残る材料は1つですね」

 

 聖獣の森を探索して約1時間。ようやく薬の材料となる内の1つである“月光花”という花を見つけ出した。

 その花をできるだけ傷つけないよう根っこも土ごと回収する。

 

 

『〈月光花〉……聖獣の森にだけ咲く花。月の光を浴びると光る性質があり、一定期間内ごとに月の光を浴びないと枯れてしまう』

 

 

「夜に見たら綺麗だったろうなー」

 

「ベルさんに渡す前、一晩ぐらいなら見てもいいのでは?」

 

「まあ急ぎじゃないし、そうしよっか」

 

 インテリアとしての価値も高そうだし、1度は見たい。

 

「それにしても疲れました。時間も思った以上に掛かったようですし」

 

「しゃーないよ。国の探索部隊の人と会うわけにもいかんし」

 

 最初から【探知】を使って探してたけど、運の悪いことに効果範囲に材料になる2つが無く、運任せで【探知】に引っかかるまで歩き続けることになった。

 希少な植物と言っても調べた限り高すぎるという程でもなかったから、森の奥に行かず浅い所で探し続けた甲斐があったよ。森の中を歩くのもしんどいけど、むしろ各国の探索部隊と鉢合わせにならないよう気を遣ったことの方が疲れた。

 

 具体的な探索部隊の詳細なんざ【ヘルプ】でも使わなきゃ分からないけど、1つだけ断言できるのが【探知】かそれに類するスキルを持っている奴が絶対に1人は部隊の中にいるということだ。

 【探知】は私だけのスキルじゃない。ユニークスキルというのもある。聖獣の森は地図上で“森”とはなっているけど、アマゾンも目じゃないレベルで広い。そんな広い森の中から目当ての聖獣や植物を探すのに、探知系統のスキルがないんじゃ話にならない。

 

 だから必ずいる。【探知】を持ってる奴が。

 

 他の人も私の【探知】と同じような使用法かは分からないけど、発動中、自分を中心に円形状に広がっている効果範囲に人の反応が出たら即反対方向に逃げ出すようにした。松風にもがんばってもらって2人プラス1匹で走った。

 

「だから非難の眼差しはやめようぜ、マイフレンド」

 

「………………」

 

 目を合わせてくれない松風さん。

 

 無視しないでよー。美味しい美味しいニンジンがあるよ? ほ~ら、た~んとお食べ~――って、こりゃ!? 1度口に咥えたニンジンを吐き出すな! しかも器用に私に当てるんやない! 傷つくぞ!? 私のピュア(?)な心が!!

 

「今更ですけどユキナ様。どうして松風も連れてきたんです?」

 

「……さすがに置いていくわけにも行かないでしょ?」

 

 理由はいくつかある。

 

 1つは単純に怪しまれないため。

 ギルドで依頼を受けたわけでもないのに2、3日外に出ているのが私とステラだけだったら、それも穴やら森の中にいるせいで目撃もされなかったら怪しまれる。少なくとも街の門を出るまでは松風にも一緒にいてもらわなきゃ困ってしまう。

 

 もう1つは安全面での問題から。

 私たちだけが聖獣の森に行くと、松風を置いていくことになる。最初は松風専用の小屋(要塞ver.)でも魔法で作ろうかと考え――すぐに却下した。

 この世界はどこで魔物と遭遇するか分かったもんじゃない。安全だと思ってても凶悪な魔物と出会うことだってあり得る。リリィと初めて会った時だってそうだった。あれは魔王教団の策の1つだったけど、自然に、運悪く、力の強い魔物が私たちの不在時に松風を襲わないなんて保証はない。もしそんなことになったら後悔し切れん。

 

 だから連れて行く。

 戦闘になっても実際に戦うのは私だけでいい。ステラには松風を護ってもらう。連れてきたからには絶対にケガはさせん。

 

「――と、そんな訳だから、よろしく頼むわ」

 

「そういうことでしたら。任せてください」

 

 ふんす!とやる気を見せるステラ。可愛い。

 

 と、そんなこと思ってたら松風が顔を覗き込んできた。

 その目はどこか私のことを探ろうとしているように、心配しているように見えなくもなかった。馬って意外と感情分かるものだな……

 

「万一のことがあっても無茶せんから、んな心配すんな」

 

 優しく撫でてあげれば一応は納得したのか、顔を離した松風。ただ、微妙に疑っているっぽいのだけは伝わってくる。

 

 

 ……さっきの“無茶しない”発言の前に、“できるだけ”って心の中で呟いたの気付いたのかな?

 

 

「それではユキナ様、2つ目の材料を探しましょうか」

 

「え? あ、うん。そうだな」

 

 2つ目の材料。それを手に入れれば後は帰るだけだ。

 ただ、その材料の入手法がな~……

 

「本当に大丈夫なのステラ?」

 

「お任せください! ここまで来たらもう迷いません!」

 

 さっきと同じように、ふんす!とやる気を見せてるけど……やっぱり心配だ。最悪、私がステラを庇わなきゃなー。

 

 だってさー、その2つ目の材料って――

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

「わーっ、立派な毛並みですねユキナ様!」

 

「ソウダネ。人なんか簡単に突き殺せそうな角だね」

 

「ブルルッ」

 

 あれから森の少し奥へ足を進めた私たちは、池――というより小さな湖がある非常に綺麗な場所でそれ(・・)を見つけた。

 

 遠くから見ても分かるほど立派な一本角、シルクかと思ってしまうような美しい白銀の毛、松風より一回り大きいその体。

 

 

 2大ファンタジー馬の1頭――ユニコーン。

 

 

 地球でも本でしか見たことのない生き物がそこにいた。

 




~次回予告!!~

 ついにユニコーンと出会うことができた雪菜たち。
 ステラのおかげで友好的な接触に成功したかに見えたが、
 突如! 雪菜が修羅になるのであった!
 やめろ雪菜! オマエが暴走したら異世界転移初日で起こった森林破壊の二の舞だ! このままじゃ不名誉な称号が付いてしまうぞ!?
 一体どうしたというんだ主人公!?

 次回
 第76話 ブチキレ☆魔法少女ユキナちゃん

 お楽しみに!
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