アルビノ少女の異世界旅行記 ~私の旅は平穏無事にといかない~   作:影薄燕

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第11話 初依頼は苦い味

 

 えーと……何、これ?

 いや、私のステータスってのは分かるよ?

 

 この世界の仕様なのか、スキルにはレベルがあるけど、人や魔物にはそれが無い。ゲームみたいに攻撃力とか防御力なんかが数値化されていない。

 でも、書かれているスキルは間違いなく私のモノ。

 

 今まではヘルプの記憶補正で覚えていたけど、こうしてまとめられていると分かりやすい。種類別なのもいい。

 

 問題なのは称号と書かれている部分。

 3つもあるけど、私はどんな反応をするのが正解なん?

 

「ユキナさん? どうかされましたか? 何か不具合でも……」

 

「あー、そういうんじゃないんだけど……。ここにある称号って、何?」

 

 さっき設定上は本人にしか分からないってあったけど、身分証も兼ねてるんだったら分かるところには分かっちゃうってことでしょ?

 

 ……マズいやん!!

 どれもバレたら、クソめんどくせえことになるに決まってる!

 どこまで私を困らせる気だクソ神ぃいいいいいいいいいい!!

 

「ああ、ユキナさんは称号のことをご存じなかったのですか。……称号とは、何か特別な存在・地位・経験を持った人、あるいは為し遂げたことによって自然と世界から付けられるもので、効果が無いものがほとんどなのですが、中にはスキルとは違う特別な効果をもたらす称号もあるので、称号が多いというのは一種のステータスになるんです」

 

「そ、そうなんすか……」

 

 世界が勝手に付ける箔付けみたいに考えればいいのか?

 ヘルプ! 私の称号の説明を! 早う!

 

 

『〈称号:異世界転移者〉……異世界からやって来た者に与えられる』

 

 

『〈称号:神の加護を持つ者〉……神による加護を持つ者に与えられる。神たる存在だけが感じ取ることができる、特別な力の波動を有する』

 

 

『〈称号:永遠たる白の少女〉……永瀬雪菜にだけ与えられた特別な称号。その効果は■■■■、■■■。■■■■■■、■■■■■■。■■■■■、■■■■■。(これは私からのプレゼントだ。きっと役に立つ時が来る。by.メガネの神)』

 

 

「お、オマエが付けたんかああああああああああああああああああああああああぁいいいいいいいいいいっ!!

 

「ひゃあん!?」

 

 何なんだよこれ!? 最初の2つはまだ分かる。大問題なのは3つ目だ!

 

 どこまで私を困らせれば気が済むんだあのクソ神!?

 しかも肝心の効果が文字化けみたいになって読めねえじゃん!?

 

 え? この称号、もしかして一生私に付いて回るの?

 こんな中二病的なのが? こんな痛々しいのが?

 

「どうしたんですか、ユキナさん!? 私の声、聞こえます?」

 

「……エ~ミリ~さ~~~ん?」

 

「ヒッ! ななな何でしょう!?」

 

 何か呪われそうな声が聞こえたような気がするけど、気のせいだな。

 

「これって身分証の役割もあるって話だけど、どこまで個人情報見られるものなん? どこまで見せなくてもいいの? ねえ? ねえ?」

 

「はひっ! き、基本的に身分証の提示の際に閲覧を求められるのは名前・発行元・ランクの3つだけでしゅ! それ以外はご本人様が閲覧許可を出さない限り、どのような理由があっても見ることはできません! 例外は犯罪歴のある方だけですが、それも特別な魔道具で確認しなければなりません!」

 

「本当に? 本当だよね? スキルとか、称号とか、称号とか、あとは称号とか……私以外には分からんのだよね? ウソじゃないよ――」

 

「ウソじゃありません! 私にウソを言わせたら、大したものですって!」

 

「………………ふう。分かった」

 

 とりあえず称号は誰にもバレることがないっていうのが分かっただけ安心だ。

 

 

「……見たかよ、今の?」

 

「ああ。前に死霊系の魔物と出くわした時と同じもんを感じた」

 

「瞳孔開いてたな。女の子がしていい顔じゃなかったぞ」

 

「しっ! 聞こえたらどうすんだ!」

 

 

 スキル【聴覚強化】でバッチリ聞こえてます。

 今の気持ちは、うっせえよほっとけコンチクショー。

 

「それで、今日は依頼受けに来たんだけど……」

 

「え? あ、はい。もしかして昇格に必要な依頼でしょうか?」

 

「薬草採取系を2つほど」

 

「かしこまりました。それでは見繕わせてもらいます」

 

 1番最初ということもあり、依頼は子供でも達成できるものとなった。

 

 

『回復薬草の採取』

マラカの森に自生する回復薬草の採取を頼む。

※品質により報酬の低下あり。最低10束から。

 

 

『解毒草の採取』

マラカの森に自生する解毒草の採取を頼む。

※品質により報酬の低下あり。最低10束から。

 

 

 これぞファンタジーの依頼って感じだ。

 わざわざ王都を出てすぐの場所にある安全な森での採取をする依頼を持ってきてくれた。それに2つとも同じ森というおまけ。

 

 その後、ギルドの中にある資料室で薬草の絵を事前に買っておいた木の板に写す。さすがにどんな形かぐらいは調べますとも。

 

 これで準備オッケー!

 いざ行かん、待ってろマラカの森!

 

「あ! ユキナさん? 採取用のスコップ等はお持ちですか?」

 

 クルッと方向転換。売店でスコップを購入。

 

 ……忘れていませんよ? ホントっすよ?

 

 だからこっち見ないで!

 エミリーさんの苦笑いが! 売店のおばちゃんの笑顔が! 周りの冒険者たちの暖かい笑みが! 私の心にグサッと来るから!

 お願いだからそんな微笑ましいもの見る目をやめて!

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 やって来ましたマラカの森。

 私が最初にいた森とは雰囲気が違うな。

 

 まあ木の種類から違ったりするだろうし、当然と言えば当然なのかね? 暮らしている生き物だって森ごとに異なるだろうし。最初の森と違って人が頻繁に訪れているからか、草がほとんど生えていない道が出来ている。獣道って言うんだっけ?

 

 王都のすぐ近くにあるこの森では、浅くて危険がほぼ無い所で子供がお小遣い稼ぎに来たりすることもしばしばあるとか。

 

 まあそれはこの際どうでもいい。

 ついに探知スキルの出番だ。

 

「ふふふ、自分の力で地道に見つけ出すのもそれはそれでおもしろそうだけど、【探知】なんて便利スキルを手に入れたからにはそれを使う以外ないよな」

 

 それではさっそく使ってみましょう! 【探知】発動!

 

「お? おおおおおぉ……」

 

 スゲーな。本当にどこ何があるのか分かるぞ。

 薬草だけじゃなく、遠くにいる動物の位置まで分かる。

 

「フハハハハハ! これで私は勝ちぐ――ぐばあああああああっ!?

 

 「勝ち組だ!」と言おうとした瞬間だった。

 頭が割れるかと思うような激痛がしたのは。

 

 

 

――30分後。

 

 

 

 

『〈スキル:探知の注意点〉……【探知】は(小)なら何も問題は無いが、(中)になると頭の中に入ってくる情報量が多くなることで負担が出てくる。しかし、(中)になった辺りからしばらく使っているとスキル【演算処理】を自然に覚えるため(小)の時と同じように使えるようになる。これは(大)になっても同様。今回の場合、永瀬雪菜は【演算処理】を取得していない状態で【探知(中)】を取得して使用したので、脳に急激な負荷が掛かることとなった。早急に【演算処理】を取得するべし。でなければ冗談抜きに死にます』

 

 

 以上、ヘルプによる説明でした。

 

 あれから約30分が経った。

 ようやくまともな思考ができるようになり、ヘルプに聞いて納得。

 

「まさか【探知】に落とし穴があろうとは……」

 

 いつつ……。まだ頭痛がする。こりゃ参った。

 今日は早めに帰った方がよさそうだなこれは。

 

 ヘルプの忠告通りスキル【演算処理】を取ってから【探知】を発動してみたけど、最初のような奇怪な悲鳴を上げることにはならなかった。

 発動するだけですごい勇気が必要だったぞ……

 

 結局その日は依頼にある最低数だけを採取して帰ることにした。

 探知によると群生地もあったりしてめっちゃ行きたかったけど、どうにも頭痛が酷すぎてモチベーションが駄々下がり状態。

 

 依頼完了の報告と薬草の納品を済ませた時エミリーさんが心配してくれたけど、さっさと寝たかったから適当に切り上げた。

 

 カイルさん宅に戻ってリリィが心配してくれたけど、かまってあげる気力もなかった。本格的に眠気が襲ってくた。

 自室に着き、すぐ横になる。

 

 こうして、私の初依頼は微妙な結果で終わった。

 ちくせう!

 

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