アルビノ少女の異世界旅行記 ~私の旅は平穏無事にといかない~   作:影薄燕

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第1話 飛んで飛んで飛んで~♪

 

 拝啓、母様&父様。

 あなた方の娘は現在、異世界の空を飛んでおります。

 今日の天気は晴れ。清々しいほどの青空と雲が広がっております。風を感じながらの飛行は実に快適で、そのまま風になってしまいそうです。

 

 

 以上、現実逃避終わり。

 

 

 改めて私の置かれた状況を確認しよう。

 ……このままじゃ死ぬ!!

 

 

「にょわああああああああああああああああっ!?」

 

 

 自分の口から14年間生きてきて初めて出すような声が出ているけど、それどころじゃねえ! 自分の意思で飛んでいるんじゃなくて、爆発(?)の衝撃で吹き飛んでるんだよ!

 

 てか本当にどうなってるのさ? 異世界転移してすぐに山賊と遭遇したと思ったら、1時間しないうちに命の危機に瀕しているとか!?

 異世界転移者の転移後から死亡までの最短記録更新しちゃうよ! 表彰渡すのは誰だ!? あのクソ神か!? いらねえ!

 

 ――って思っている間にどんどん高度が落ちてってるううううううう! 地面に激突するまで10秒もなさそうだぞ!

 

「こんな時だからこそ落ち着け私! きっと『親方、空から女の子が!?』的な展開で華麗に助けてくれる男の子が現れるはず!」

 

 さあ、カモン!!

 今ならお礼に、頬へのチュウをサービス!

 

 ――地面激突カウント3

 

「ほらほら~、空からピッチピチの女の子が降って――正確には吹き飛んでくるぞ~。男の子ならカッコよくキャッチしなきゃね~」

 

 ――地面激突カウント2

 

「この際、女の子でもOKだぞ~。レズ展開は勘弁願いたいけど、美しい友情から甲斐甲斐しくお世話するよ~?」

 

 ――地面激突カウント1

 

「ねえ待って。マジで待って!? 本当に誰も助けてくれないの!? このままじゃ本当に私死んじゃうんですけど!!」

 

 ――地面激突カウント……0

 

「……あの神、絶対呪ってya――」

 

 

――ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

 

 

 

 ……う~ん?

 アレ? 真っ暗で何も見えねえ。

 確か……あーそうそう。思い出してきた。ここが死後の世界ってやつか?

 息が苦しいし、口の中がジャリジャリして土を食ってるみたいだし――って、待てよ? これってもしかしなくても埋まってる?

 私、生きてるのか?

 

「んぎぎぎぎぎ~~~!」

 

 クソ、うまく声も出せん。感覚からして、ひじ辺りまで埋まってるのか? 足は空気に触れてるし自由に動くっぽいな。

 

 とりあえず、ジタバタジタバタ。

 

 で、数分後――

 

「抜けたーーー!」

 

 私は自由だーーー! 生きてるーーー!

 ぷっはー空気がうまいぜ! 別に味せんけども。

 まずは口の中の土をぺっぺっ、と。人生初となる何の変哲もない土の味は何とも言えない味だった。ぶっちゃけ不味い。

 

 あ~あ、制服が土まみれ。

 クリーニング出さないと無理かな? ……ここ異世界だったわ。クリーニング屋なんてあるわけねえ。コインランドリーのコの字もねえ。

 

「随分吹き飛ばされたみたいだけど、何がどうなってるやら……」

 

 普通ならここで途方に暮れちゃうんだろうなー。

 

「でも問題ない! 私には【ヘルプ】という頼もしいチートがあるのだ! というわけで、何で私が無傷で生きているのか教えて!」

 

 さあ、私の脳内に響け音声。

 

 

『〈ユニークスキル:防御力上昇(極大)〉……自身の防御力が周囲からドン引きされるレベルで高くなる。身体ほどではないが服にも影響あり。これで男性なら変態と言われずに、女性なら痴女と言われずにすむ……かもしれない』

 

 

 なーる。確かにドン引きしましたよ。私が。

 よくよく考えたら服が土まみれだけで済んでいるのも、このスキルのお陰っぽいな。最近のマンガだと敵からのダメージを服の破れ具合で表現したがるし、女の私も犠牲になる所だったよ。私だって最低限の恥じらいはあるから、マジ助かる。

 

「あ、でも異世界だから制服のままだと目立ちそうだな。下着も含めて最低でも2、3着分ぐらいはほしいし」

 

 この世界の服関連の技術レベルってどうなんだろ?

 今の所であったのがさっきの山賊どもしかいないからあてにならねえしなあ……。さすがにアレがこの世界の基準でないことを祈る。

 

「そうだよ! 山賊! 結局私ってば何でこんなことになったのさ!?」

 

 助けてヘルプえも~ん!

 

 

『〈何でこんなことになったか〉……【炎系魔法 LV.6】はこの世界では一握りの天才だけが到達できる。普通はLV.4まで習得すれば、その魔法は一人前。そんな【炎系魔法 LV.6】でギリギリ行使可能な魔法を明確なイメージによって安定させる。加えて、危機的な状況にあったとして【固有スキル:生存本能】の効果により威力が数倍に。これによって森全体の1割が焦土と化す悲劇となった。ついでに、自分の放った魔法の余波で吹き飛んで地面に激突する喜劇となった』

 

 

「ブフッ!?」

 

 気が付けば四つん這いの格好に。

 え、ええぇ……マジっすか? 私のせいで森の1割が焦土? この森結構広いよね。その1割って言ったら、大分被害が大きいんですけど。

 

 ヤベー、賠償いくら掛かるん?

 胸張ることじゃないけど、私ってば無一文だよ?

 

 ………………

 

「よし、忘れよう!」

 

 バレねえ、バレねえ。なんくるないさー。

 きちんと理由もあるし、気にすることないよな。

 

 そういや山賊はどうなったん?

 

 

『〈山賊の末路〉……魔法の直撃を受け、塵も残さず消滅』

 

 

「ゴフッ!?」

 

 再び四つん這い! 雪菜に9999ダメージ!!

 

「うぇえええ? 私的にはブルーにするつもりだったのに、ウェルダンすら通り越しちゃいましたみたいな?」

 

 つーか、私ってば……人を……殺したの?

 思い浮かぶのは下心丸見えな顔をした山賊の頭。それに追従するはモブ山賊約5名。転移直後から追いかけまわされた記憶。

 

 ………………アレ?

 

「自分でもビックリするぐらい罪悪感無いぞ?」

 

 何というか、いまいち実感がわかない。

 たぶんだけど、相手が思いっきり悪人で正当防衛だから仕方ないと思っているのが1つ。直接死んだ所を見たわけでもなく、魔法でほぼ即死したらしいというのが1つ。で、最大の理由が爆発で吹き飛んだり地面に激突したりと、精神的にも物理的にも衝撃が大きすぎて山賊どものことが記憶に埋もれている。

 

 すまんな山賊ども。オマエらのことは明日あたりまでなら覚えておくよ。明後日からは? 私はいつまでも過去を顧みないのさ。

 

 区切りがついたところで、自分の頬を軽く叩いとく。

 

「さて、現状確認しつつ森を抜けるか」

 

 まだまだ私の物語は始まったばかりだからな。

 いつまでも止まるわけにもいかない。

 




雪菜が意識を取り戻すまで思っている以上に時間が掛かっています。
原因は魔力の大量消費のため。
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