アルビノ少女の異世界旅行記 ~私の旅は平穏無事にといかない~   作:影薄燕

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第4話 情けは人の為ならず

 

 うっわ~~~、最悪っすわ~。

 どうすんねんこの状況?

 

 森からの脱出に成功し、今度こそ第一村人発見を~て思ったとたん子供の悲鳴みたいのが聞こえたもんだから、急いで声のする方へ向かったんだけど……

 

 親子に襲う体勢でいるバカでけえクマがいた。

 森の中じゃないけどクマさんと出会っちまったぜ。

 

 ヤベぇのに遭遇しちまったと戦慄していたのに、気付いたら親子とクマの間に割り込むような形で体を滑り込ませていた。自分でも無謀すぎんだろって思うけど、やっちゃったもんは仕方ねえ。子供見捨てるとか無理っす。

 

 と、ここまでは良かったんだ。

 思いっきりクマ(?)に体を噛み付かれたけど、私ってば【防御力上昇(極大)】のスキルあるから、感触だけで痛くなかったし。

 問題は……私の持っている唯一の服が! クマ公の唾液やら血でベタベタになったという点だよ!!

 

 いつまでも離さないで「グルグル」唸ってるから、ほとんど反射で【炎系魔法】で作った剣で攻撃した。

 

 一撃でした。狂暴なクマさん真っ二つ。禄にイメージしていないのにこの威力。もしかしなくても【生存本能】で威力上がってるんじゃ?

 

 だがここで新たな問題!

 後ろの親子がこっちを凝視している!

 

 たぶん、これから行く予定だった村に住んでいる人なんだろうと思い、自分でもできるか心配になる笑顔を浮かべて振り返った。

 頭の中で考えまくって、ようやく出て来た言葉が「ケガは無い?」だけ。

 

 友好関係を築けるかは全てこの行動に掛かってる。唸れ私の脳細胞! ピンチなんだから再び助けて【生存本能】!

 

「は、はい。お陰様で……」

 

「お姉さん、助けてくれてありがとー!」

 

「おふっ」

 

 母親らしき人は私のこと感謝しつつも警戒している様子。

まあ分かるけどね? さっきまで恐いクマに襲われあわや命の危機ってところで、そのクマを一撃で倒しちゃう謎の少女が現れましたとさ。警戒して当たり前。別に気にしてませんって。

 

 問題は女の子の方。

 年はたぶん10歳ぐらいか? 日本人と違って外国の人って成長度合い違うから、見た目から年齢予測するの難しいんだよなー。

 あ、ここ異世界だった。成長度合いなんて当てになんねえ。

 

 で、めっちゃ純粋な目で感謝されたもんだから変に胸が熱くなる。

 やめてくれ。私ってば、感謝されるのに慣れてないねん。

 

「あー。とりあえず無事なら良かったわ。ところでさ、忘れているようだから聞くけど、向こうで倒れている男の人はいいの?」

 

 未だに呻き声上げているけど、旦那さんなんじゃ……

 

「!? あなた!」

 

「大変! お父さーん!」

 

 命の恩人置いて走って行きよった。

 いや、いいんですけどね。別にさみしくなんてないもん!

 

「うぅ……リサ? ……リリィ?」

 

「ああ、あなた。無事でよかった……」

 

「お父さん、ケガな―い? 血出てない?」

 

「あ、ああ。咄嗟に盾で受け止めたから。それでもとんでもない衝撃だったし、吹き飛ばされた時に頭を打ったらしくてね。少しクラクラするが、命に別状はないよ。……ハッ!? それより! ブラッディベアーは!? 2人が無事だってことは、どこかに行ったのかい?」

 

「いえ、それが……」

 

「あのお姉さんが倒したの! 真っ二つ!」

 

 うおう。指を向けないでリリィちゃんとやら。

 父親の人、めっちゃ私の方を見てますねん。

 

「………………」

 

 うおう。無表情になったと思ったら、私の方――正確に言うとブラッディベアーだっけか? それに近づいて何かを確認している。

 ……ところで、ブラッディベアーってどんだけ危険なん?

 

 

『〈ブラッディベアー〉……推定危険度Bの魔物。非常に好戦的かつ獰猛な性格で、常にエサとした生き物の返り血を浴びており、毛皮が黒ずんでいることからこの名が付いた。巨体に見合わない速度が危険視される』

 

 

 【ヘルプ】は今日だけでお仕事がんばってますね。

 スキルに労働基準法とかあるんかな? ……どうでもいっか!

 

「……間違いない。ブラッディベアーだ。Bランクの魔物が一撃で倒されている。しかも、それをしたのがこんなに若い……」

 

 マジマジ見ないでよ。その目嫌いやねん。

 

「まずは、感謝するべきなんだろうな。ありがとう。君のお陰でオレも……何より愛する妻と娘を失わずに済んだ。この礼は必ず!」

 

「あーもう。そんなかしこまらないでくださいよ。こっちは成り行きでしただけですから。……あ、でもお礼するって言いましたよね?」

 

「ああ、オレにできることなら……」

 

「だったら近くの村まで案内してくれません? ぶっちゃけ私ったら一文無しの状態で地理にも詳しくないというオマケ付き。村まで行ったあともどうするか、なーんも決めていなかったんですよねー。何が言いたいかと言うと……ぶっちゃけ、私の方こそ助けてください!!」

 

 自分で言うのもアレだけど、ぶっちゃけすぎだろ私。だが背に腹はかえられない。恩を感じてるんなら今すぐ返して!

 

「………………ぷっ」

 

 笑った!? コイツ笑ったぞ今! 我慢したけど無理だったみたいな!

 奥さんと子供の前だけど、しばいたろか!

 

「クッ……ハハハ。ゴメンゴメン。だって、ブラッディベアーを瞬殺するような子が一文無しで、逆に助けてくれって……」

 

 事実だからしゃーないやん。

 

「分かった。恩人の頼みだ。村まで案内するよ」

 

 よっしゃ! 交渉成立! やったぞ私!

 気分いいから、さっき笑ったのは不問にする。

 

「さて、じゃあ次はこのブラッディベアーの死骸をどうするか……」

 

「捨てるとか? もしくは焼却?」

 

 放っておくとエサとして他の魔物が寄ってくる~は常識だよね。ラノベなら。

 炎系魔法なら1発ですぜ? 今なら何と無料。

 

「焼却!? とんでもない! Bランクの魔物の素材は使い道が多いから、ギルドや商人に売れば一財産だぞ! 頭や胴体は真っ二つだから若干価値が下がるけど、それ以外は無傷だから十分金になる。魔石だって欲しい人は多いはずだ」

 

 なるほど宝の山ってわけだ。さすが剣と魔法のファンタジー。元の世界なら、高値で売れる宝石を手に入れたようなもんか。

 

「キミはお金が無いのだろ? これを売ればしばらくの間なら働かなくてもいいぐらいのお金が貰えるはずだ。問題はブラッディベアーが大きすぎて、全部の売れる部位を持って帰れない所だが……せめて、手足と魔石だけは確保したいな。焼却するのはそのあとになる。魔法の袋を持っていれば簡単に運べるんだが……」

 

 途中から私は話を聞いてなかった。

 

 ……そうだよ! 何を冷静になってんだ私!?

 見知らぬ土地で必要なのは金だ! もしくは食料!

 

 私が1人で倒したんだから、全部私のもんだよね?

 一口分でも獣畜生のエサにさせるか!

 

 

【取得可能スキルリスト】 〈所持SP:36(+3SP)〉

・闇系魔法LV.1 (必要SP:1)

・炎系魔法LV.7 (必要SP:50)

・アイテムボックス(中) (必要SP:1)

 

 

 1SP消費で【アイテムボックス(中)】を取得! そのまま2SP消費で【アイテムボックス(大)】を取得! これで勝つる!

 

「それじゃ少し待ってくれるかい? 何とか魔石と手の部分を解体して運ぶ準備をするから。その間、妻や娘とでも……」

 

「ふっふっふ、その必要はない」

 

 ビックリマジックの始まりだ。いざ収納!

 何と巨大クマが一瞬で消えました! はい拍手!

 

「な!? ブ、ブラッディベアーが消えた!? もしかして……【アイテムボックス】かい? それも上位の……?」

 

 さっき取得したのだよ。説明面倒だからしないけど。

 

「それならそうと言ってくれればいいのに。でも、これですぐ出発できるな。妻と娘にもアナタの事情を伝えますので」

 

 妻と娘? そういやさっきから離れた所でこっちの様子を見てたな。

 娘さんの方は私のこと見てそわそわしてるけど、どうしたん?

 

 で、少しして事情の説明が終わったっぽい。奥さんから警戒心みたいのが無くなっている。そんで私に小走りで近づく娘さん。

 

「お父さんから聞いたけど、お姉さんも村に来るの?」

 

「成り行きでね。ちょっとの間よろしく」

 

「よろしく! 私ね、リリィって名前なの。お姉さんのお名前は?」

 

 おっと、ここで自己紹介か。そういや名乗ってなかったなー。

 名字は言わなくてもいいか。名前だけで十分だよね?

 

「雪菜。これが私の名前だよ」

 

「ユキナ……。改めてよろしくね。ユキナお姉さん!」

 

 ぐふっ。お、お姉さん……だと……!

 




>ピンチなんだから再び助けて【生存本能】!
生存本能「無茶言うな」
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