アルビノ少女の異世界旅行記 ~私の旅は平穏無事にといかない~   作:影薄燕

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第61話 除霊大戦①

 

 時刻は早朝。

 私は今、神殿の礼拝堂で祈りを捧げる姿勢でいた。

 

「ほう。今日は一段と真摯に見える」

 

「うむうむ。熱心なようでなりよりじゃな」

 

「最初はステラ様に教わりながらしておりましたから、どこかぎこちなかったのですが。ここ数日で一気に慣れたようで安心です」

 

「見なされ。あの白いお姿で祈る聖女様に降り注ぐステンドグラスの輝きを。とても絵になると思いませんかな?」

 

「いやはや。おっしゃる通りで」

 

 基本礼拝堂には誰かしらいる。

 皆さんモノホンの信者さんだからね。それも大教会に所属している時点で高位の。メタボ卿みたいな問題ある老害だけじゃないのは安心できる。

 

 さて、元々聖女発表のあとからステラに早朝の祈りについて教わっていたけど、ここ数日は自分でもビックリなくらい完璧にできていると思う。

 

 

 

 全ては…………あのメガネの神に思いを届かせるため!

 

 

 

(何も無い所で無様に転べ何も無い所で無様に転べ何も無い所で無様に転べ何も無い所で無様に転べ。無様に、転んじまえっ!!)

 

 まさか真剣に祈っているように見える私が、心の中では神様に呪いの言葉を吐き続けているとは思うまい。

 詐欺ですね。見た目も含めて全部。テヘペロ。

 

 でも私にだって我慢できないことぐらいある。

 天山から逃げるようにして帰ってから、冷静になった時に【ヘルプ】で謎の声について聞いてみたんだ。

 

 例のメガネでしたね。ファッッック!!

 

 人生初の「ヤッホー」の思い出をぶち壊した罪は重い。

 なのでスキルを有効活用。毎朝真剣に呪ってるよ♪

 

 そんなここ最近の日課を終え、郷は何するかといえば――

 

「また呼び出しかよ」

 

 またもや重要な要件があるからって教皇さんに呼ばれた。

 

「……ステラは何か知っているみたいだね?」

 

「ええ、予想はついています。恐らく時期的にアレ(・・)のことでしょう」

 

 アレってどれやねん。

 

 そんなこんなで教皇さんの元に到着。

 早速話を聞くことに。おら、キリキリ吐けや。

 

「ユキナ様は“除霊大戦”をご存知でしょうか?」

 

「んー? 聞いたことはあるけど、具体的には……」

 

 噂話で出てきたワードだよな? 今期は大丈夫なのか~って。あ、もしかしてそれのことか。

 

「除霊大戦とは数年に1度、特殊な方法で大陸中から集められた瘴気が死霊系魔物として出現したところを、聖国だけでなく世界中から集められた腕に覚えのある信者たちの力を借りて討伐する戦いのことを指します。そして、今から10日後に今期の除霊大戦が始まるのです」

 

 さらに詳しく聞いてみれば、除霊大戦は聖女の存在と同じくらい聖国にとっては重要なんだそうだ。

 集まった瘴気から生まれた魔物を聖職者が退治するというのは他国へのアピールになる。そのため、除霊大戦のシステムができてからは聖国を代表する行事の1つにもなったとか。

 

「……大戦って、随分物騒な行事だな」

 

 あれか? 地球にある喧嘩祭りみたいなノリなのか?

 

「しかし、大事なことなのです。瘴気は人々の苦しみや怨嗟などから発生します。それを1か所に集めて数年に1度魔物という形で討伐することで、世界に瘴気が溜まることを防いでいるのです。私たちの世代は楽な方だと思いますよ? まだ戦争があった時代は、1年に1回の割合で除霊大戦が起こったそうですから」

 

 死霊系の魔物は瘴気から生まれる。だけどいざ戦闘になったとして、【炎系魔法】や【光系魔法】以外だと効果が薄いので地味に苦戦することになるそう。

 うん。火葬と浄化ってことっすね。

 そもそも生物学的にはもう死んでいたり、実体が無かったり、致命傷となる器官が無かったりするからね。そりゃ倒すのも面倒だ。

 

 だからこそ、そういうのが得意な人たちを集めて、有利な状況で一気に叩いちゃおうってことか。

 

「前回の除霊大戦は8年前。すでに象徴となる聖女がいない時でしたので、それはもういろいろと苦労したものです」

 

 教皇さんが当時のことを思い出したのか、大きなため息を吐く。

 

(ねえステラ、一体何があったんだってのさ)

 

(聖女は聖国の象徴ですからね。大戦前に皆の前に立って鼓舞するのも役目だったそうですが、前回はいませんでしたのでやる気の問題が……)

 

(あーなるほど。つまりは私にそれをやってほしいと)

 

 “えいえいおー!”とか言えばいいのか? ……ダメだな。

 

「どれくらいの強さの魔物が出るの?」

 

 私、死霊系魔物と戦ったことないんだけど……

 

「そこはご安心を。魔物として出現させる時には質よりも量を取っているので、上級の死霊系魔物が出ることはありません。下級から中級までです」

 

「それなら、まあ、安心かな?」

 

 最悪、後ろの方で旗でも振っていよう。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 早いもので10日後。ついに除霊大戦当日の朝になっていた。

 

 場所は聖国でも普通の人が行き来できないような山奥。いくつもの間所を通って着いたのが2日前。それからは人が集まるのを待っている状態。

 

 しっかしなー……

 

「挨拶するだけで疲れるよ。どんだけだ聖女」

 

「前回はいませんでしたから、この機会にと思う人たちも少なからずいるのです。戦闘に特化した聖職者たちとのお話は、ユキナ様にも得られるものがあったでしょう? 様々な方がいらっしゃっていますが、今日は背中を預け合う仲間。私たちもがんばりましょう!」

 

 この2日で大半の人と挨拶したけど半分が本当に聖職者か怪しい連中だぞ? 

 

 十字架が掘られたメリケンサック装備した熟女のシスターが来た時は、割と本気で命乞いすべきか、戦闘態勢はいるべきか悩んだし。だっておかしいじゃん? 何でアームレスリングのチャンピオンかってぐらい腕の筋肉発達してんねん。

 

 帽子にサングラススタイルの2丁拳銃みたいな武器持った人なんて、「クケケケケ!」とか「あぁ、早く殺させろおおおおおおおお!!」とか叫んでんだぞ? 危険人物じゃん。なのに周りの皆さんは平常運転だから、私がおかしいみたいだし。解せぬ。

 

「というかさぁ……ステラも戦うの?」

 

「はい! と言っても、後方支援がメインになるのですが」

 

 そうなんだよねー。何とビックリしたことにステラも一緒に戦うらしいんだ。何だかんだで見習い聖女というだけあって、死霊系魔物に対してなら前線に出ても問題ないぐらいには戦えるそうだ。

 

 ちなみに、ステラの武器は魔導書と呼ばれる本。

 私の杖みたいに魔法の補助に使うのには変わりないけど、こっちはページに書かれている魔法を使う時の効率が良くなったり、適性さえあれば本来使えない魔法でも魔力消費を倍増する代わりに使える便利魔道具らしい。

 

「それに、どうしてかは分かりませんが、このところ魔法の扱いがグンッと伸びたようで、早く実戦で試してみたいのですよ」

 

 フンスッ! と鼻息を荒げて両手を強く握りしめるステラ。

 

 う~ん、空回りしなきゃいいんだけど……大丈夫だよね?

 そういえば、ステラのステータスってどんなんだろ?

 

「皆さん! そろそろ時間が近づいてまいりましたので、移動します! 今期の除霊大戦ではついに現れた聖女ユキナ様も参戦いたしますので、前回以上に頑張っていただきたいと願います!」

 

 作戦指揮を担当している神官の声が辺りに響く。

 半分の聖職者は緊張しながらもやる気を出し、もう半分の聖職者(モドキ)は目をギラ付かせて手から骨の音を鳴らしたり、口を三日月のように歪めたり、武器を舌なめずりしている――ってちょっと待ってよもう!

 

「ねえステラ? あの人たち絶対聖職者じゃないよね? 合法的に大量の魔物と戦えること嬉しがっているバーサーカーだよね?」

 

「そ、そんなことは…………あるんでしょうか?」

 

 さすがのステラも否定できなくなってきたらしい。

 先行き不安すぎやしねぇか?

 




m9(; ・`д・´)犯人は雪菜、オマエだ!!

知ってた。
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