鉄血のオルフェンズ 悪魔とニュータイプ   作:ボートマン

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第10話

鉄華団とタービンズの戦闘。

 

イサリビが敵艦とすれ違う際にMWで敵艦に直接乗り込んで、内部から制圧するというオルガのたてた作戦が成功したお陰で決裂した交渉を成立することができた。

 

といっても上手くいったからよかったが、失敗すればどうなっていたことかと聞いたレオンは内心冷や冷やしていた。

 

そうしてレオンは昭弘とイサリビに戻り、戻っていた三日月と一緒に食堂でアトラの料理を食べていた。

 

「相変わらず食うなぁ」

 

がつがつと食べる三日月と昭弘を横目にレオンはスープを飲んでいた。

 

「戦闘後は結構腹減るんだ」

 

「ああ」

 

「けど、無事良かった」

 

そこへアトラが牛乳のボトルを3つテーブルに置き、安堵の表情で三日月達に話しかける。

 

「教官と昭弘のお陰だよ」

 

「そうだな。初めての戦闘で格上の相手を抑えたんだからな」

 

「っぷはぁ……ボロボロにされちまったがな」

 

「俺のほうがよっぽど酷かった………」

 

三日月は先の戦闘で相手を墜とせなかったことを悔やんでいる様子だった。

 

「あの戦闘はあれでいいんだ」

 

「どういうこと?」

 

「今回は鉄華団の力をタービンズに見せて、どうにか交渉を成立させることが目的だ。だから、タービンズの誰かを傷つけたりしたら交渉どころじゃなくなったかもしれない」

 

レオンの説明を理解できなかったのか、三日月はよくわかっていない様子。

 

「あ~ざっくり言うと、もしタービンズの誰かを傷つけたりしたらオルガが凄く困ることになっていたってことだ」

 

「そうなんだ。ならよかった」

 

オルガを引き合いに出すとあっさりと理解した三日月。

 

「それでもやられたことを気にしているなら、次はやられないぐらい強くなればいい」

 

「次、か………」

 

「………」

 

やられたことを気にする二人はレオンの言葉を受け止めていた。

 

そして、食べ終わったは三日月は席を立つ。

 

「あれ?三日月、おかわりは?」

 

「いや、いいよ」

 

「え?まだいつもの半分くらいだよ」

 

「あ!三日月さん!」

 

席を立った三日月にタカキが食堂にやってきた。

 

「オルガさん達帰ってきましたよ。今ブリッジにいるそうです」

 

「俺、ハンガーでおやっさん手伝ってくる。そっちは任せるって言っといて」

 

「え、でも………」

 

「いいよタカキ、色々と思うところがあるんだ。今は好きにさせてくれ」

 

「わ、わかりました」

 

残っていたスープを一気に飲み干すと、レオンも席を立つ。

 

「さて、俺はいくよ。アトラ、ご馳走様」

 

「あ、ありがとうございます」

 

手を振りながらレオンは食堂を出るのであった。

 

 

 

食堂を出たレオンは自室からタブレットを持ち出し、展望室で宇宙を眺めながら操作していた。

 

「………どこの世界でも宇宙は同じなのかな」

 

この世界の宇宙と宇宙世紀の宇宙。

 

世界は違えど、どちらも同じように感じる。

 

「こうして見ていると、何もかも忘れそうだな」

 

意識を宇宙に向けて眺めていると、展望室に何やら悩んでいる様子のオルガとビスケットが入ってきた。

 

「ん?教官?」

 

「珍しいですね」

 

「んあ?ああ、二人か」

 

「どうしたんだ?そんなボーっとして」

 

「ちょっとね……。それより二人はどうしたんだ?何か困っている感じだけど」

 

「実は………」

 

ビスケット曰く、火星の運転資金が底をつきかけているとのこと。

 

これに関しては仕方ないと思っていた。

 

「あ~。遂にか……」

 

「もう少し持つと思ったんだがな」

 

「やっぱりギャラルホルンに目をつけられてたら、まともに商売なんてできないもんね。どうにかしないと」

 

大きな理由としてはギャラルホルンに目をつけられたことだ。

 

そんな組織と商売したいと思う企業はいないだろう。

 

「とりあえずは鹵獲したグレイズのリアクターを売るのはどうだ。特に俺が鹵獲した機体は結構状態いいし」

 

「売るにしても扱える業者を探さなきゃ」

 

「それなら紹介できる人がいるだろ」

 

「そうか、タービンズに紹介してもらえれば」

 

「まあ、紹介料は払う必要があるけどな」

 

「そこは四の五の言ってられないだろ。それで、教官の方は何を悩んでたんだ?」

 

ひとまず当座の運転資金の当てができたところで、今度はオルガがレオンの悩み事を尋ねた。

 

「ちょっと俺の機体のことでね」

 

「教官の機体がどうかしたのかよ?」

 

「ここ最近は戦闘が続いていたからさ。もし、本格的な整備ができるなら問題点をピックアップしとこうと思ってね」

 

これまでの連戦で機体への負担が大きかったのか。

 

関節部や装甲などで見過ごせない箇所はある。

 

「上手くいけばいいけどなぁ……」

 

何しろ量産型νガンダムは宇宙世紀の技術で造られた機体。

 

この世界の技術と上手く嚙み合うことを祈るばかりだ。

 

「そこんところも名瀬さんに相談しとこうか?」

 

「う~ん………そこまでしてもらうわけにはいかないよ。今すぐにわけじゃないから大丈夫だよ」

 

そうしてレオンは話を切り上げ、展望室を出て格納庫に向かう。

 

急いで鹵獲した機体をリストに上げなければいけないから。

 

 

 

 

 

「ああ~~!!また負けた~!」

 

タービンズの強襲装甲艦“ハンマーヘッド”の格納庫。

 

2機のMS“百錬”の内、1機のコックピットから1人の女性が悔しそうな声をあげながら出てくる。

 

「そう簡単にやられるわけにはいかないからな」

 

もう1機の百錬からはレオンが出てきた。

 

テイワズの本拠地“歳星”に向かう道中。

 

三日月と昭弘は連日ハンマーヘッドに訪れては、シミュレータでタービンズの女性陣にしごかれていた。

 

レオンもシミュレータで訓練に付き合ってもらおうと、三日月達に同行してきた。

 

そこでこのハンマーヘッドには代表の“名瀬・タービン”以外は女性しかおらず、その女性全員が名瀬の嫁さんだったということだ。

 

この事実にレオンは唖然としていまったものだ。

 

「レオン!もう一回!」

 

「勘弁してくれ。もう5回はやってるんだ」

 

「でもあんなのずるい!何なの、あの射撃!」

 

駄々をこねるのはタービンズのパイロット“ラフタ・フランクランド”。

 

前回の戦闘で三日月を翻弄したパイロットだ。

 

「そうは言ってもな。動きを予測して狙い撃ったんだけど」

 

「だからってあんな当てるなんておかしいでしょ!」

 

納得できないラフタにレオンは銀髪のパイロット“アジー・グルミン”に助けを求めるかのように見る。

 

「ラフタの気持ちはわからなくはないけど、レオンの射撃は結構命中率高いね」

 

こればっかりはかつての戦いの経験に加え、相手の動きを予知して狙い撃っているのが命中している。

 

「とりあえず休憩させてくれ」

 

そして、昭弘と代わってレオンは柵に寄りかかる。

 

「けどラフタとのシミュレータ見たら、姐さんとやり合えたのも頷けるね」

 

姐さんというのは名瀬の第一夫人である“アミダ・アルカ”のことだ。

 

「あのピンクの機体のパイロットさんか。確かに強かったなぁ」

 

「姐さんはうちらの中じゃ一番だからね」

 

「そうだな。俺が戦った中でかなり強かったな」

 

アミダの実力はかつての歴戦のパイロットに引けを取らない実力だ。

 

「それにしてもありがとな」

 

「何がだい?」

 

「三日月と昭弘だよ。わざわざシミュレータに付き合ってくれてさ」

 

「気にしなくていいよ。こっちとしてもいい経験になるからね」

 

「それでもだよ。あいつらにはもっと強くなってほしいからさ」

 

「だったらお礼として次はあたしの相手をお願いするよ」

 

「ああ、もちろんだ」

 

次の対戦が決まったころに昭弘が負けて絶叫するのであった。

 

 

 

 

 

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