鉄血のオルフェンズ 悪魔とニュータイプ   作:ボートマン

3 / 10
第3話

「っと、まだ敵はいるんだった」

 

グレイズを叩き潰したガンダムを今は見ているわけにはいかず、レオンは出てきたガンダムと通信する。

 

「そのガンダムに乗ってるのは三日月?」

 

「え?その声って教官?」

 

「そうだ。にしても派手に潰したな」

 

三日月が叩き潰したグレイズの胸部は拉げて大きく歪んでいる。

 

あれでは中のパイロットの生存は絶望的だろう。

 

「ここで諦めてはくれないか」

 

残った二機は撤退せず、こちらに向かって進行してきている。

 

「三日月、すまないが足止め頼めるか?その間にこっちは武器を調達する」

 

「ん、わかった」

 

三日月はあっさり了承すると、スラスターを噴かせてある場所に向かう。

 

「うわ~えげつないな」

 

三日月のガンダムは撤退しているギャラルホルンのMW隊に破壊しながら着地する。

 

『貴様!MW隊を狙うとは卑怯な!』

 

「よくいうよ」

 

三日月が叩き潰したグレイズからアックスとライフルを回収したレオンは、グレイズのパイロットの言葉にどの口が言うんだと思った。

 

戦場に卑怯なんて言うなら出てくるな。

 

そう思いながらレオンは戦況を見る。

 

三日月のガンダムとグレイズが互いの得物で鍔迫り合っている中、片腕を失ったグレイズがライフルを撃って援護していた。

 

「お前は大人しくして……いろ!」

 

レオンの量産型νガンダムは回収したライフルを構え、片腕のないグレイズを狙う。

 

引き金を引いて発射した弾丸はグレイズの左足に命中して破壊した。

 

足を失ったことで態勢を崩したグレイズを三日月のガンダムが叩こうとした瞬間、スラスターが動かくなったのだ。

 

「あちゃ~おやっさん、推進剤補給してなかったのか」

 

これを好機と見たもう一機のグレイズは動けないグレイズを抱えて戦場から撤退し始める。

 

「三日月、あいつらは追わなくていい」

 

「だけど、ここで逃がしたら」

 

「その機体はガス欠だし、無理に追う必要はないよ」

 

「けど……」

 

「まあ、こう話している間に逃げたけどね」

 

レオンの言う通り、すでにグレイズ二機は戦場から撤退していた。

 

また、敵のMW隊もすでに安全圏に移動していた。

 

「俺達も戻ろう」

 

「うん、わか……った……」

 

「三日月?おい!三日月!」

 

三日月が気を失ったことでガンダムも機能を停止した。

 

そして、三日月とガンダムをCGS敷地内に運び、片膝をついてコックピットを開けて外に出る。

 

「本当に教官だ!」

 

「スゲ~!こんなMS持ってたのかよ!」

 

レオンが姿を見せたことに少年達が驚きながらも尊敬のまなざしを向ける。

 

「はいはい、色々と聞きたいこともあるかもしれないけど今は負傷者の救助とかやることがたくさんあるよ」

 

苦笑しながら少年達に指示を出し、少年達も指示に従って救助活動とMWの回収作業に入る。

 

「教官!」

 

「おう、オルガ。すまんな連絡もせずに色々と指示してて」

 

「いやそれは別にいいさ。むしろ教官の指示のお陰でこっちが助かったんだからよ」

 

「そうか。………オルガ、何人……死んだんだ?」

 

レオンの問いにオルガは表情を暗くして顔をそむける。

 

「……わかっているだけで18人だ」

 

「………そうか」

 

レオンは視線を負傷者の救助活動とMWの回収作業を行う少年達に向ける。

 

そこには痛みに呻く声と亡くなった者を悲しむ声が聞こえる。

 

あのギャラルホルンに対して生き残ることができたのだ。

 

もし、レオンがいなかったら、三日月のガンダムが来るのが遅かったら。

 

さらに多くの死傷者を出していたのかもしれない。

 

「(駄目だな。ついこうしたらああしたらなんて考えてしまう)」

 

ギャラルホルンは今回の襲撃にMSを三機投入したが、もしCGSにMSがあることを知ったら三機どころか増えていた可能性もある。

 

「教官、オルガ。壱軍の生き残った連中が帰ってきたぜ」

 

昭弘の声に視線を向ければ、しぶとく生き残った壱軍のMWが敷地内入ってきた。

 

 

 

それからオルガ達がハエダ達壱軍の連中に呼び出されていた。

 

レオンは呼ばれてないが付いてきていた。

 

「てめえ!」

 

早々にハエダがオルガの顔を殴りつけた。

 

「よくも俺達をコケにしてくれたな!」

 

「コケにするも何も、あれは事故だったからしょうがないだろ」

 

「ああ!レオン、それはどういうことだ!」

 

「あの時、あんたらのMWに偶然装備してた信号弾の発射装置が何故か誤作動を起こしたんだよ」

 

レオンはオルガとハエダの間に立ち、何事もないように話し出す。

 

「それを見た敵があんたらを攻撃しただけだ。だから不幸な事故だったんだよ」

 

「ふざけてんのか!」

 

怒りに震えるハエダは力強くレオンを殴りつける。

 

「がぁっ!」

 

「教官!」

 

倒れたレオンに駆け寄ろうとしたオルガ達を手で制し、痛みに耐えながら立ち上がる。

 

「それでもオルガ達に問題があるというなら、それは教官である俺の監督責任だ。俺が責任をとる」

 

「な!待ってく」

 

「オルガは黙ってろ」

 

何かを言おうとしたが、レオンはオルガを黙らせる。

 

こうしなければ矛先はオルガ達に向いてしまうはずだ。

 

「そうかよ……」

 

怒りで額に血管を浮き出していたハエダ達はしばらくの間、レオンを殴り蹴るなどリンチを受けた。

 

「ふん!あとで今回の損害を調べてもってこい!」

 

そして、気が収まったのかハエダ達は倒れたレオンに見向きもせずに部屋を出た。

 

「大丈夫か教官!」

 

ハエダ達がいなくなると、オルガ達はレオンに駆け寄り心配してくれる。

 

「どうにか……ね……」

 

痛む体を起こし、口の中に溜まった血を吐き出す。

 

「ったく、あんまり無茶すんなよ」

 

「俺がああしなかったらオルガがやられただろ」

 

「まあ、そうだけどよ」

 

恥ずかしそうに頭を掻くオルガにレオンは苦笑する。

 

「それにしても壱軍の奴ら許せねえ!」

 

「そうだな。このまま許すわけにはいかねえな」

 

壱軍への怒りを露わにするシノの言葉にオルガは同調する。

 

その眼には何か企んでいるのが見えた。

 

「いつつ、とりあえず俺は休むよ」

 

立ち上がったレオンは痛む体を擦りながら部屋を出る。

 

そして、量産型νガンダムの所まで行くと機体に搭乗する。

 

「とりあえずはここで休むか。オルガのことだから何をするか予想はつくな」

 

おそらくはこのCGSを乗っ取る計画をビスケット達と話しているはずだ。

 

そう思いながらレオンはコックピットの中でひと眠りすることにした。

 

次に目を覚ました時は目障りな奴らはいなくなっていると思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。