鉄血のオルフェンズ 悪魔とニュータイプ   作:ボートマン

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第5話

オルガ達がCGSを乗っ取った翌日。

 

社長室ではレオンと残ってもらったデクスター・キュラスターと共に退職する壱番組の退職金の計算を行っていた。

 

「とりあえずは30%はカット」

 

「全員ですか?」

 

「全員だ。デクスターさんも知ってるでしょう?あいつらが真面目に仕事してる姿何て見たことないでしょ。本来なら40%どころか50%カットにしてやりたいぐらいなんですから」

 

退職する壱番組への退職金を減額することは決定して、退職金の計算を済ませる。

 

大体壱番組は些細な理由で参番組の少年達に暴力を振るってばかりだ。

 

そんな奴らに退職金をもらえるだけでもありがたく思えとレオンは考えていた。

 

そうしていたらユージンがオルガに壱番組に退職金を支払うことに文句を言ってきた。

 

ユージンの気持ちがわからないでもないが、オルガが説明した後に会社に残ったトドの仲裁で話は有耶無耶になっておわった。

 

けど、トドのあの顔は何か企んでるようで見てすぐにわかる。

 

退職金の計算を終えて外に出たレオンは、整備中のバルバドスの傍で一服している雪之丞に近づく。

 

「おう、どうしたレオン?」

 

「いや、残ってくれるおやっさんに挨拶をしとこうと思って」

 

「おいおい、急にどうしたよ?」

 

「おやっさんにはいつも世話になってたしね。それに頼れる人が残ってくれるのは嬉しいからさ」

 

「そうかよ。けど、お前さんだって随分頼られてるじゃねえか」

 

「そうだとしても1人でも頼りなる人がいるのは心強いからさ」

 

「それならこっちも頼りにさせてもらおうじゃねえか。特にMSの整備に関してはな」

 

「ははは……そうだな、出来る限り手伝うよ」

 

それからレオンはバルバトスの整備をタカキとヤマギに教えながら作業をしていると、施設に警報が鳴り響きだす。

 

「警報!?」

 

「まさかまたギャラルホルンが!?って教官!」

 

慌てる二人をおいてレオンは急いで量産型νガンダムの下に走る。

 

「やっぱりまた来たか。そう簡単には諦めてくれないよな」

 

機体に搭乗したレオンは何時でも動けるように準備する。

 

『監視班から報告!ギャラルホルンのMSが1機!え~赤い布を持って、こっちに向かってる!』

 

報告通りに1機のMSが赤い布を持ってこの場所へ接近していた。

 

そして、ある程度の距離をとりつつ停止した。

 

「敵は1機か。陽動か、はたまた単機で勝つ自信があるのか」

 

それから相手の出方がわからないため、レオンは機体の中で様子を窺う。

 

『私はギャラルホルン実働部隊所属、クランク・ゼント!そちらの代表との一対一の勝負を望む!』

 

相手のパイロットはMSのスピーカーでこちらに決闘を申し込んできた。

 

「決闘とはどういう考えのつもりかね」

 

わざわざ決闘を申し込んできたクランクの行動を訝しみながら続きを聞く。

 

『私が勝利した場合、そちらに鹵獲されたグレイズとクーデリア・藍那・バーンスタインの身柄を引き渡してもらう!』

 

「だと思った」

 

今のギャラルホルンからすればクーデリアの身柄はもちろん、鹵獲されたMSはどうしても取り返したいのだろう。

 

『勝負がつき、グレイズとクーデリアの引き渡しが無事に済めば、そこから先は全て私が預かる。ギャラルホルンとCGSの因縁はこの場で断ち切ると約束する!』

 

「………何言ってんだあいつ」

 

クランクの言葉にレオンは理解できず、顔をしかめながら頭をかく。

 

こちら側にとって有利な条件に聞こえるが、そこまでの権限を一士官であるクランクが持っているとは思えなかった。

 

「独断専行か……」

 

おそらくクランクの行っていることは本来命令されてないはず。

 

なぜこんな行動をするのかはわからないが、今はこの決闘を受けるかどうかだ。

 

「教官」

 

「おう。何だオルガ?」

 

通信機からオルガの声が聞こえて応答する。

 

「頼めるか?」

 

「ふっ……了解」

 

機体を起動してバトルアックスを手に取る。

 

「あ、オルガ」

 

「何だ教官?」

 

「こっちが勝った時の条件は決めてあるか?」

 

「いや。まだ決めえてねえ」

 

「それなら条件は俺が決めていいか?」

 

「あん?まあ、いいけど」

 

「ありがと。そんじゃ行ってくるよ」

 

「ああ。頼むぜ、教官!」

 

オルガ達の応援を受け、量産型νガンダムはグレイズの前に立ち対峙する。

 

『決闘を受けてくれて感謝する』

 

「そんな感謝しなくてもいい。それよりこっちが勝った時だが、あんたの機体と命を貰う」

 

『何?私の命はともかく、この機体は………』

 

「でなければ他の奴は納得しないぜ。何かしらの取得物が必要だ」

 

『………わかった。そちらが勝利した場合、私の命とこの機体を譲ろう』

 

レオンが提示した条件をクランクは受け入れ、互いに武器を構える。

 

『ギャラルホルン火星支部、実働部隊クランク・ゼント!』

 

「CGS参番組教官、レオン・フォークス」

 

『参る!』

 

両機はスラスターを噴かして距離を詰めると、持っているバトルアックスを振るいぶつかり合う。

 

『一つ問いたい!何故あんな子供が戦っているんだ!』

 

「何故だと?」

 

量産型νガンダムのバトルアックスをシールドで防ぎながらいなすと、反撃にとバトルアックスを振り下ろす。

 

振り下ろされたバトルアックスをギリギリで回避する。

 

『そうだ!子供が銃を持って戦っていいわけがない!』

 

「あんたの言う通りかもしれないが、銃を持って戦わないと生きていけない子供がいるんだよ!」

 

火星に蔓延する差別や貧困。

 

そうして生活できないから銃を持って戦うしか生きていけない子供が大勢いるのだ。

 

そのせいで行き場のない孤児は“ヒューマンデブリ”と呼ばれ、安値で人身売買されているのだ。

 

『だとすればこそ!これ以上子供が犠牲にならないようにしなければいけないのだ!』

 

「あんたの気持ちをは嬉しいよ。けどあいつらにはあいつらの選ぶ生き方があるんだ、よ!」

 

量産型νガンダムは一度距離をとると、バトルアックスを大きく振りかぶって投げつける。

 

グレイズは投げつけられたバトルアックスをシールドで受け止めて弾く。

 

その間に量産型νガンダムはスラスターを噴かしながら跳躍。

 

グレイズ目掛けてとびかかる中、右側にマウントしてあるビームサーベルの柄を掴む。

 

「でやぁぁぁぁ!!」

 

刀身を形成してグレイズの持つバトルアックスに狙いをつけて斬りかかる。

 

『び、ビーム兵器だと!』

 

ナノラミネートアーマーと呼ばれるMSの装甲は、ビーム兵器に対して高い耐性を有している。

 

そのため今ではビーム兵器は見ることがなかった。

 

だが、宇宙世紀の世界ではビーム兵器は一般的に装備されおり、このビームサーベルは量産型νガンダムが持つ残った武器の1つだ。

 

バトルアックスをビームサーベルで溶断すると、刀身の形成を解いてグレイズへとタックルする。

 

『ぬうおっ!?』

 

グレイズを地面に押し倒すと、ビームサーベルの柄をコックピットに突きつける。

 

「どうする?このまま続けるか?」

 

『………いや、俺の負けだ。条件通り、好きにしろ』

 

「そうかい。ならまずやることは……」

 

機体を立ち上がらせ、オルガ達へ振り向くと右腕あげて勝ったことを示す。

 

「勝ったぞーー!」

 

その姿と声に決闘を見守っていた者達は大きな歓声をあげる。

 

そして、オルガが組織名をCGSから鉄華団と改めることをレオンは後に知るのでった。

 

 

 

 

 

 

 

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