転生カヤちゃん奮闘記   作:ゴロー小五郎

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誤字報告いつもアザッス!感謝のキワミ!

近況
マコト実装ビビった
絶対セクシーFOXだと思ったもん

イブキまじていい子。てか万魔殿思ったよりみんなまともで意外だなぁ推せるッッッ!!!



P.S.
例の新システムが『ヒナが如く』って言われててクスリときた


10.いやー、話が合う仲間とは素晴らしいものですね!

 

 

 

エデン条約

 

連邦生徒会長が発案したトリニティ総合学園とゲヘナ学園が手を取り合い、相互の紛争事案を解決に導くための防衛の条約機構であり、犬猿の仲の両校に対する友好条約でもある。

 

現在はその発案者であり、積極的に活動していた連邦生徒会長が失踪したことにより条約はおろかサンクトゥムタワーの停止により連邦生徒会の行政機能が喪失したため計画は凍結。緊急事態により過労死者が出かねないほど対応に追われていた行政委員会から忘れ去られた存在であった。

 

だが、先生が連邦捜査部シャーレに就任したことによりサンクトゥムタワーが再稼働しこれまでがむしゃらに働き続けてきた行政委員会にひとまずの休憩の目処がたったことにより、その計画は解凍されつつあった。

一人の少女の活躍により。

 

 

 

その少女は連邦生徒会長のエデン条約に深い感銘を得た。だが現実も理解していた。ゲヘナと和解の道を目指すということがどういうことか、親しい幼馴染が身近にいることによりそれは一層思い知っていた。

連邦生徒会長が失踪したことにより、かの条約は人々から忘れ去られつつあった。だがそれでも少女は諦めなかった。

彼女は自分の学園の中でも極秘裏に話を進め、一定以上の賛同を得て足場を固めた。

そして連邦生徒会が新たに連邦生徒会長代行を選出し、ごく一部だが行政機能に回復の目処がたったことにより、機は熟したとばかりに高鳴る胸を抑えながら連邦生徒会に乗り込んだ。

 

だが、結果は無惨なものだった。

新たに連邦生徒会長の席に着いた連邦生徒会長代理はこちらを睨みつけているかのような鋭い目つきで眺めながら相槌も打たずに話を聞く。

芳しく無い反応に背筋に嫌な汗が流れるが表情には出さず、少女はこの期間で集めた資料をもとにこの条約がトリニティとゲヘナ、そして連邦生徒会に及ぼす恵みを説明する。

一通り説明が終わり、大きく息を吐き精神を落ち着かせつつ連邦生徒会の代理を伺う。

ほんの数刻だが生徒会長室を沈黙が支配する。

そして

 

「申し訳ありませんが、それは受け入れられません」

 

回答は素っ気ないものだった。

連邦生徒会長代理から語られる内容としては、現在連邦生徒会は連邦生徒会長を捜索することに注力しておりそこまでの余裕はない。今の連邦生徒会ではゲヘナとトリニティの関係調整をできるほどの執行力は無いに等しいと、身も蓋もない話であった。

 

少女は呆然としつつも、どこかで納得している自分がいることに気づいた。

それはそうだ。自身もこの条約がいかに理想的であり、壮大であり、それゆえに夢物語であるかを理解していた。

それが叶うのは、かの完璧超人たる連邦生徒会長が提案したからである。

現在の連邦生徒会も各学園から生徒を集めただけはあるエリート集団であることは理解していたがこの部屋に来るまでに書類を片手に走りまわる彼女たちを見て過渡期を越えたとはいえ今だに余裕がないことを実感したばかりだ。

現状、連邦生徒会は役に立たない。

 

そう実感してしまうと、別の感情が心を占めてくる。

それは連邦生徒会長が失踪した後から常日頃、自身の心の隅に浮かんでいた心。

シャーレの先生が赴任し、行政機能が回復したことにより頼れる手段が増えたことにより心の隅から消えかかったこと。

そして今、連邦生徒会を頼れないと知り湧き上がった心

 

そうだ、全て自分がやればいいのではないか

 

誰かを頼ろう。誰かに音頭を取ってもらおう。間違えたら誰かに教えてもらおう。そう思うからできないのだ。

全て自分でやろう。

身内の反対派の封じ込めも、不倶戴天の相手であるゲヘナとの調整も、そして大好きな幼馴染の説得も。

もう間違えてはいけないのだ。

彼女を喪ったあの日から、毎日思い続けている。失ったものは戻らない。

ならせめて、この無邪気で暖かい笑顔だけでも守らなければ。

それを守れるのであれば、なんでもできる。

なんでもやらなければならない。

自分がやることは自分で責任を持つ。

全ての責任は自分で負えば…

 

 

「面白そうなお話をしていますね」

 

 

思考の海に沈んでいると、ふと背後より声が聞こえた。

振り返るとそこには自身の鼻の位置ほどに頭がくるほどの小柄な少女が立っていた。

和かな笑顔を浮かべているが服装は純白の連邦生徒会制服にところどころ砂埃が付着しており硝煙と機械油が混じった独特な匂いがほんのりと香り、その少女のアンバランスさを認識させる。

異様な少女の薄く開いた目蓋から覗く横長の瞳孔と目が合っただけで何故か手先の感覚が鈍くなり、無意識に乾いた口内の僅かな唾液を飲み込んでしまう。

 

「戻りましたか防衛室長」

「ええ、ただいま戻りました。首席行政官」

 

高価そうなブーツに反して足音を一切立てずに防衛室長と呼ばれた少女は連邦生徒会長代理に歩み寄り、手にした資料を手渡す。

代理はそれを受け取り一瞥したのち「受理しました」と一言伝え別の書類に視線を向ける。

 

「ええ…せっかく苦労して作り上げた書類なのですからもっとじっくり見てくださいよ」

「作成したのはアナタのところの次長ですよね。それに今未決裁の書類がこれほどあるのだから後にして下さい」

 

防衛室長はむむむと小さく呟いたのちに改めて少女に振り返る。

 

「失礼しました。私は連邦生徒会の防衛室で室長を務めさせていただいております。不知火カヤ、と申します」

 

小さくお辞儀をし防衛室長、不知火カヤは少女に微笑む。その笑顔は先ほどの寒気を覚えるような笑顔とは違い、少女に安心感を与えていた。

 

「それにしても、盗み聞きをして申し訳ないのですが…先ほどはとても素晴らしいことを話されておりましたね。よろしければ、もう一度説明していただけませんか?」

 

ニコリと微笑むカヤに対して代理が「はぁぁぁ…」と大きくため息を吐く。その様子に「客人に対して失礼ですよ!」とカヤがプリプリと怒りながら嗜める様子を眺めていると、ふと自分が先ほどまで何を考えていたか忘れていることに気づいた。

 

「あ、そういえばお名前を伺っておりませんでしたね。んー、その制服とその顔立ち。おおよそ当たっているとは思うのですが…失礼ですが、念の為お名前をお伺いしてよろしいでしょうか?」

 

カヤの声かけでハッと自分が名乗っていないことに気づく。

自分でもいうのは何だが、この学園都市キヴォトスの中でも1、2を争う有数の学園を代表する立場として連邦生徒会役員が知らないものはいないと自負しているが、そもそも初対面で名乗らないのはマナー違反である。

改めて少女はカヤに向き直り笑顔を向ける。

その笑顔には、さきほどの思い詰めた暗い表情はまるで見てとれなかった。

 

「初めまして、トリニティ総合学園でティーパーティに所属してます。私はーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「桐藤さん、お待たせしました」

 

トリニティ総合学園の生徒会であるティーパーティ、そのティーパーティが所有するテラスにて一人の少女の来訪を微笑みながらティーパーティホスト、実質的なトリニティ総合学園の生徒会長である桐藤ナギサは歓迎した。

 

「いえいえ、不知火さんもお忙しい中お越しいただきありがとうございます」

 

桐藤ナギサの対面に座る防衛室長不知火カヤに、すぐさま紅茶が用意される。

それを受け取りカヤはほんの少し口に含む。本心はコーヒー飲みたいなぁと思いつつもそんな様子はおくびに出ずに。

 

その後も他愛のない会話を数分ほど交えつつ、ナギサはティーカップを置きカヤに向き直る。

 

「あの時は一度頓挫しそうになったエデン条約ですが、ついにここまできました。これも不知火さんのおかげです」

「いいえ、桐藤さんが連邦生徒会に話を持ちかけていただけたから実現したことですよ。それにその後のトリニティ内で積極的に働きかけてくださったからここまで漕ぎ着けたのです。充分誇るべきことですよ」

「正直、ゲヘナと直接交渉するのは気が重かったので助かりました」

「ゲヘナの風紀委員会には個人的な親交がありますので。それに万魔殿の方々もよくお話をすれば理解ってくださる方ですよ。むしろ私はトリニティの正義実現委員会ぐらいしか伝がなかったので今回の件をもとにティーパーティだけでなくシスターフッドや救護騎士団などの方々と個人的に親交を深めることができたのでとても実りのある訪問になりました。もしエデン条約が成立すれば、今度は公に訪問したいですね」

「私たちも連邦生徒会とより一層連携をとることができて治安の向上やゲヘナへの意識改革が進みました。本当、少し前まで悩んでいたことがこんなに上手くいくなんて」

 

和かに微笑みながら話すナギサはほんの少し疲れが見えるがそれでも暗い表情は見てとれない。

以前連邦生徒会を訪れた彼女は目元にクマが浮かんだ血の気の薄い顔色でリン代理にプレゼンしていたことをカヤは覚えている。

対するリンも連邦生徒会長代理に就任したばかりで慣れない業務に忙殺され、寝不足による不機嫌さと眼精疲労による殺人的目つきで連邦生徒会長室を訪れる者全てを射殺すばかりの眼光を浴びせていたのは記憶に懐かしい。

余程の緊急案件以外は軒並み封殺していたあの頃にたまたま自分が立ち会うことができたのは奇跡的という他ならない。

ヴァルキューレが各地で戦闘中、戦力不在で最終兵器出動とばかりに室長自らD.U.学区中5区ほどで暴れ回る不良生徒どもを単騎で制圧した後に疲労困憊でサボろうと思ったがなんとか奮起(次長に尻叩かれた)して報告書を届けに行った甲斐があったというものだ。

 

しばらく笑顔で会話をしていたが、ふとナギサが表情に影を落としたことに気づき、続きを促す。

 

「実は、トリニティで裏切り者がいる可能性が浮上しているのです。ある程度は絞り込めましたが、それでもまだ疑いにすぎません。どう対処すべきかお恥ずかしながら決断ができず…」

 

ナギサが申し訳なさそうに話す内容にカヤはふむと顎をさする。

トリニティは総合学園という名の通り元は様々な学校が合併して誕生した学園である。長い歴史の中で形を変え、今は3派ほどに落ち着いたが、それでもその派閥間でも各々の思惑が存在する。

ナギサはその派閥に対してありとあらゆるアプローチをかけて交渉し、エデン条約の実現まで漕ぎ着けたが、それをよく思わない生徒が存在するのは確かだ。

 

ちなみに、ゲヘナは却って読みやすいまである。

大半の生徒はトリニティを毛嫌いしているがそもそも政治に興味自体ない。そしてそんなゲヘナでも政治をしているのは万魔殿の議長、羽沼マコトだけであり、ようはそこを注視していればゲヘナの対応は問題ない。それに過去の実績を踏まえると、彼女は肝心なところでポカミスをやらかす。下手すると注視する必要すらないかもしれない。念のため公安局に監視の指示は出しておいたが。(なお、カンナにクドクド苦言を呈された模様)

 

いずれにせよ、暗躍や権力闘争などの権謀術数はトリニティならではといえる。現在エデン条約に集中しているナギサには気苦労が大きかろう。

カヤは役に立つかは分からないが提案をしてみることとした。

 

「では助けてもらおうではないですか」

「はい?」

 

紅茶に伸ばした手を止め、いまいち理解できないと表情に出しながらナギサの気の抜けた声が響く。

ある程度付き合ってみて分かったが、彼女しっかりとはしているが気が抜けるとかわいい仕草が随所に見て取れる。うーむ、かわいい。

 

「最近キヴォトスにて生徒のために東奔西走しているお方がいらっしゃるじゃないですか。生徒の悩みです。きっと助けてくれますよ。…そうですねぇ。例えば、『私がプロデュースする一大事業があるのですが、それをよく思わない生徒がいるのです。ある程度リストアップは済んでいるので先生の方でも確認していただけませんか?一世一代のプロジェクトなので何としても成功させたいのです』とかいかがです?」

 

カヤの発言を受けてしばらく目を閉じて考える様子を見せるナギサ。しばらくし、「参考にさせていただきます」と笑顔で返事をする様子をみて「これは脈なしかなぁ」と思いつつ笑顔で返した。

 

「おっと、そろそろ時間ですね」

 

時刻は14:55である。この後は防衛室に意見陳情にくる各学園の生徒との対面の予定である。遅れるわけにはいかない。

席を辞する前にカヤは思い出したかのようにナギサに振り返る。

 

「そういえば、何やら先生はあのアビドス高校でいまご活動をされているとか。アビドスといえば、カイザーが前々から土地を買い占めているとかで…ああそうそう、トリニティでも確かカイザーが一部の老舗の店舗をおいやっているとか」

 

ピクリとナギサが小さく反応する。先ほどの穏やかな雰囲気とは違った笑顔がナギサに浮かび上がる。

 

「ええ、ここ最近カイザーはトリニティにも出店していますね。何名かの生徒からカイザー製の品を薦められることがあります。老舗の方にはお世話になっておりますがカイザーの利便性は何とも言い難いものがありますね」

 

「なるほど、トリニティも大変ですね。まぁ私たち連邦生徒会にとってカイザーはお得意様なので彼らの商品とサービスの有り難みは大いに実感しております。私個人としてはカイザーに特に何か意見があるわけではないのです。ただ、先生は(・・・)カイザーをどう思われるか、私には想像もつきませんね」

 

ふふふとお互い微笑みながらもどこか空気が重くなっていく錯覚を感じ、給仕のティーパーティ生が交互にナギサとカヤに視線を向ける。

うっすら目を開けてカヤはナギサを視界に収める。視界に入ったナギサはただこちらに笑顔を浮かべながら、それでもしっかりとカヤの瞳から目を逸らさずにいた。

その姿にカヤの笑顔はより一層深まる。

なぜかいつもより口角が上がっていることをカヤは自覚していた。

 

「ふふふふふふふ…ふぅ、そうですね。では耳寄りな情報を一つ。ゲヘナ生(・・・・)がカイザーに雇われたとの情報が上がりました」

「!!」

「それも金をもらえれば何でもやる便利屋とのことで。噂によればゲヘナの風紀委員会に追われて各地を転々としているとか。先生も大変ですよね…。ゲヘナ生がアビドスを襲う側についているし、それを追って更にゲヘナ生がアビドスに侵攻してくるかもしれない。空崎委員長に限って他校の領域侵犯などという蛮行をするとは考えられませんが末端まで統制がとれているか…」

 

ゲヘナの生徒がアビドスを襲い、それを追いかけて風紀委員会が越権行為を行う。もしそのような事態になれば、先生のゲヘナに対する感情はどうなるだろう。

そして、それを諌める立場にトリニティが立てば、エデン条約でトリニティが優位に立てるのは容易に想像できる。

後はナギサの選択次第だ。

このままこの情報を活かし、先生に対してゲヘナより優位に立つか、それとも…

 

「…ふふ、なるほど。確かにそれは大変です。ですがゲヘナが悪ではないと先生には知っていただきたいですね。まあそれは我が校に先生がいらっしゃった際にお伝えしましょう。私たちはこれから一緒に(・・・)歩んでいかねばならないのですから」

 

カヤはほんの少し目を開く。

ナギサはもう一つの選択肢をとった。

カヤの内心では選ばないであろう答えであり、カヤの本心では望んでいた答え。

 

この情報を元にゲヘナを追い落とし立場的に優位性を持つのではなく、この情報を元にゲヘナをフォローすることで、ゲヘナに貸しをつくりエデン条約締結に手を尽くすことを選んだのだ。

 

「ふふふ…是非ともお願いします。なにせ、トリニティとゲヘナ間の条約機構です。先生もあなた(トリニティ)からゲヘナの良いところをお伝えしていただければ、桐藤さんのエデン条約への意気込みを理解していただけるでしょう」

「ええ、是非とも先生には我がトリニティにお越しいただかねば。ではそのために掃除をしなければなりませんね。先生に見苦しいものをお見せするわけにはいきませんから」

 

ナギサがテラスから外を眺める。その視線の先にはトリニティの街並みと、一際目立つカイザーコーポレーションの電子掲示板。

ナギサの思惑を理解したカヤはより一層口角を高めた。

 

「くっ…ふふふふふふふふふ…」

「ふふふ…」

 

二人の少女の笑い声がテラスにこだまする。

ただ一人、給仕のティーパーティ生のみがその不気味な笑みを理解できず、自身が持っているティーポットを落とさないようにすることに必死になっていた。

 

 




ナギサ様みたいな敬語キャラマジで頭抱える難し
ナギちゃんはきちんと相談できる相手がいれば中々食わせ者なキャラになるじゃんね!!

話は全く変わるけど、SEED FREEDAM エグかった…
最高すぎて脳破壊された。後半の怒涛のシーンだけでもあと3周は見返したい

今後のお好みのストーリー展開は?(あくまで参考)

  • 原作ルート路線(メインストリート追従)
  • オリジナル路線(イベストみたいな感じ)
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