さて、本題……
べ、便利屋まさかの二度目のイベントだと…!!
やはりアウトローはやることが一味違うぜ!
今回アルちゃん白目差分ないの、シリアスな予感かと少し警戒中
いずれにせよ、続報を乞う
P.S.
一番刺さったのはスーツ姿のハルカです(実装見込みェ…)
「ああもう!敵が多過ぎるわよ!」
砂に埋もれた街の一部、アビドス高校の本校舎が埋まっているとされている場所にて少女の悲鳴と銃声が響き渡る。
便利屋68社長の陸八魔アルは叫びつつ自身の狙撃銃ワインレッド・アドマイアーで的確にカイザーPMCの兵士の頭を撃ち抜いていく。
それに呼応するように便利屋68のメンバーも縦横無尽に大暴れするが、多勢に無勢。徐々に弾薬が底を見えつつある危機的状況に陥りつつあった。
「社長、アビドスの連中もそろそろ目的に辿り着くだろうしそろそろ撤退の準備も…」
「くふふふ。ムツキちゃんはまだまだいけるよ〜? メガネっ娘ちゃん傷つけた礼はこんなんじゃすまないからね!」
「あ、アル様の命令であればアイツら全員ぶっ潰して見せます!」
カヨコの進言に賛成しようとする前にすかさずムツキとハルカが追い討ちを打診してきたことにより、アルはほんの僅かな時間で判断を迫られる。
アルとしてはカヨコの言う通り、目的は達したし最低限の義理も済ませた。なにより弾薬が心許ないので撤退にはいいラインであろう。だが本心としてはムツキやハルカのようにここまで舐められて引き下がるのを良しとしない自分がいることも確かだ。
どうするか建物に隠れて弾倉交換をしていると、自身の後方より何やらモーターの音が聞こえた気がしたので振り返ってみる。
そこには後方からこちらに物凄い勢いでエンジンを吹かしながら装甲車3台が見え、思わず目を見開く。
突如現れた装甲車はアルを無視して突っ切り、前線で暴れていたムツキとハルカから射線を遮るように横付けで停車した。
呆気に取られた便利屋68の面々の前に装甲車からヘルメットを被った集団が一斉に降車し、それと同時にカイザーPMCに射撃を加える。先程までの数の優位性が現れた装甲車から出てきたヘルメットの集団の前に覆され、今度はカイザーの方がジリジリと後退を始めた。
唖然とする便利屋68の前に装甲車の助手席から降り立った1人の少女が近寄ってくる。
「久しぶりだな便利屋ァ!!」
「あ、アナタは……カタカタヘルメット団?!」
肩にショットガンを背負いながらバイザーを上げ、便利屋に獰猛な笑顔を見せるカタカタヘルメット団の団長にアルは目を見開く。
「な、なんで?! アナタたちはブラックマーケットのヤツに攫われてったんじゃ…!」
「残念だったな…司法取引だよ。てかブラックマーケットのヤツって誰だよ」
「それより、なんでこんなところに」
「さっきも言ったろ。司法取引だよ」
ガッシャンコと団長がショットガンに銃弾を装填し、振り返って一発銃弾をPMCにお見舞いする。
便利屋と団長が話している間にも情勢が動いたのか、周りにいたヘルメット団員たちはすでに全員装甲車から身を乗り出しより前線に移動していた。
「ちょっとばかし癪だが、お前らに協力しろって命令が出た。まぁこれが済んだら釈放されるから我慢するが……お前らに弾使いたかったぜ」
んじゃな!っと言い残し、団長も装甲車を乗り越えて最前線へと突撃していく。
その様子を眺めながら、アルは不敵な笑みを浮かべた。
「ふふ、これとない好機ね……ハルカ!」
「はいアル様!」
カイザーPMCの後方で派手に爆発が起こる。
本来であれば撤退のための目眩しのための爆弾であったが、今は正面から押されて後退しつつあるPMCの退路を吹き飛ばす一撃となった。
この一撃でカイザーは組織的な動きができなくなったことを察知し、アルは便利屋のメンバーに指示を出す。
「さあ、今こそ便利屋68の力を見せるときよ!みんな、やっておしまい!」
「なんか三流悪役っぽいよ社長」
「あっはー!アウトローしてるねアルちゃん」
「は、はい!全て消しさってやります!!」
目の前で派手に衝突するPMCに、便利屋の獰猛な笑みが向けられつつあった。
▼
「理事、お怪我を…!」
「ぐ、うう……おのれアビドスめ!」
アビドス砂漠を3台の車が走り抜ける。
車にはカイザーのエンブレムが記されており、先頭と後方は装甲車、真ん中にジープの陣形で砂に埋もれつつある車道を走行している。
その中央のジープにて、カイザーPMC理事が治療を受けていた。
「許さんぞ……何としても、どんな手を使っても目にもの見せてくれる……!!」
怒りで手に握っていたスマートフォンが砕け散る。
先程本社に応援を要請したが、帰ってきた言葉が「こちらは何も関与していない。それゆえに応援など論外だ」である。
会社のために貢献した自身に対する仕打ちに怒りで震えが止まらなくなるが、今はまず本社に帰って最低限の損切りをしなければならない。
根回しが遅れれば左遷は愚か全責任を押し付けられヴァルキューレに引渡しになるかもしれない案件である。本社に対する怒りは何としてもここで収めなければなるまい。
何度も息を吸い、大きく吐き出して気を落ち着ける。
ようやく精神が正常に戻ってきた後にはほんの少しだけ余裕ができ、対策が脳内に浮かびつつあった。
「本社に戻り次第、各自各部署に連絡をするように。特に連邦生徒会の協力者は抜かるなよ。あそこさえ上手く話を持っていけば最悪投獄はなくなる。まずは、そうだな…おい、人材資源室に繋げ。私が話をする」
治療を受けつつ部下の1人からスマートフォンを預かり電話番号を入力しようとすると、ふと視界の端で何かが光ったような気がした。
次の瞬間、
---ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!---
眩い光と共に先頭の装甲車が爆炎に包まれた。
慌てて理事が乗っているジープがブレーキを踏むも、爆炎で吹き飛び転がった装甲車を避けることができず、急停車も虚しく装甲車に追突する。
後方の装甲車が停車し慌てて理事を避難させようと装甲車から降りると、そのうちの兵士1人が瞬く間に頭を撃ち抜かれて地面に倒れ伏す。装甲車から降りそびれた兵士が手鏡で慎重に外を覗くと、小高い丘の上からキラリと何かが光ったと同時に鏡が衝撃と共に粉砕した。
「クソッ! スナイパーだ!!」
牽制射撃を行いながらさらに2名ほど狙撃の餌食になりつつも全員降車に成功するも、今度は背後より射撃音が響き渡る。
先ほどより近いその射撃音に慌てて振り返ると、おおよそ100mほどの距離に砂漠用のギリースーツを纏った部隊が展開されていた。
前面の小隊、後方の狙撃部隊にPMCが混乱して装甲車に釘付けにされている中、さらに遠くからローター音が聞こえる。
今度は何かと兵士がその方向に視線を向けると、
「おい、嘘だろ……」
目に映るはこちらに高速で近づく青い巨大な塊。
それが視界にハッキリと映るようになったとき、先程まで前方後方から鳴り響いていた銃撃音が止まったことをようやく認識した。
それほどまでに、目の前の空に浮かぶ青い塊が放つ爆音は辺り一体を支配するものとして絶大なものであった。
バラバラバラとローター音が響き渡り砂塵を巻き上げる中でウィーンと機械音が鳴り響きジャキンと重々しい金属音が響く。
カイザーPMC兵士はその大きな塊、攻撃ヘリコプターを呆然と眺めつつ、その運転席にいる少女とふと目があった。
運転席のメガネの少女はキョトンとした顔を一瞬見せたがすぐに恍惚な表情を浮かべ何かのボタンを押した。
『もう、我慢できない!!』
PMC兵士は読唇でなんとなくそんなこと言ったのかな…と頭の中で他愛のないことを考えつつ、その身体はヘリから発射されたミサイルにより他のPMCや理事が乗っていたジープと一緒にはるか遠くに吹き飛ばされていった。
▼
『foxよりKへ、こちら目標を確保した。想定以上の負傷をしているが、まあなんとかなるだろう』
『モエ!やりすぎだ!想定では後方の装甲車だけ吹き飛ばして後は先輩たちに対象を確保してもらう予定だったろ!』
『ええ、だってこんなにまとまってて吹っ飛ばし甲斐があったんだもんしょうがないじゃーん』
『……2人とも、まだ作戦中だぞ』
「ふふ、お疲れ様でした。順次帰投してください」
後輩とのやり取りを聞き思わず笑みが溢れるが特にそれを抑える気もなく楽しげにカヤは指示を出す。
目標の一つであるカイザーPMCの撃破と理事の確保が成功した。
そしてもう一つの目標は視線の遥か先で笑顔を浮かべていた。
「『ただいま』っと言ってますね」
「ええ、そうですね」
双眼鏡越しに対象を確認する安谷レオと遥か先の光景を裸眼に焼き付ける不知火カヤ。防衛室長と公安局の次期エースの0はアビドス本校から2kmほど離れた廃墟でとある集団を見守っていた。
2人の視線の先には桃色の髪の少女を取り囲むように覗く4人の少女が抱きしめていた。
「ひとまず一件落着ってとこですかね」
「ええ、後は私たちの出番です」
問題のカイザーPMC理事はSRT経由で内密に確保することができた。ここからは防衛室が秘密裏に捜査を執り行うこととなる。今回の事件に伴い、上手くいけば芋蔓式にカイザーの不正の実態を手に入れることもできるであろうが、実際はそこまで上手くいかないであろう。だが、あくまでこちらが理事を確保しているということが一つのメリットである。カイザーも尻尾切りを行うには『理事』という立場は大き過ぎる筈だ。今後のカイザーとの交渉に大いに役立つだろう。
さらに今回の活躍から得たもの…というより、カイザーにダメージを与えたものはカイザーの信頼である。方面部隊とはいえ、カイザーの肝煎りのPMCを廃校寸前の高校が再三にわたり撃破した。その事実は今後の民間軍事会社としての信頼度に大きく関わるであろう。
いずれにせよ、これらを上手く活かすには今後のカイザーとの交渉次第である。下手を打つと存在が危ういSRTに要人誘拐をさせたとして却ってこちらが不利になる可能性があるが、これは交渉者の腕次第である。
「この日のためにずっと待ち続けてきたんです。準備は万端ですよ」
その言葉に安谷はカヤへと視線を向けるが、チラッと一瞥し、目を逸らす。
その顔には眉間に深い皺が刻まれ薄らと開く瞼からは恐ろしいまでの鋭い光が宿っていた。
ふと、安谷は公安局に伝わるカヤと防衛室の逸話が脳内に蘇ってくる。
『不知火防衛室長が一年生だったときが防衛室の全盛期だった』
『実働の防衛室長、実務の防衛次長、そして切込隊長の防衛次期室長なんて呼ばれてたんだって』
『その防衛室長が例の汚職に関わって引責辞任した後から防衛室の雰囲気が変わったんだってな』
『繰り上げで室長になったあの人の時代は本当生きた心地がしなかったよ。
『不知火防衛室長になってからは相変わらず仕事は忙しいけどやりがいあって良いよね』
『ねー』
防衛室の不祥事、それは安谷がヴァルキューレに入学するより2年ほど前の話であり、当時の事情を実際に知っている者ほど口を噤む禁忌。
その一端を安谷はいま、カヤの目から理解することができた。
その目からは、見えるはずのない炎のようなものが見えた気がした。
きっと、殺意というものが可視化されればこのような薄らと、しかしながら認識せざるを得ない揺るぎない炎が見えた気がした。
▼
視線を逸らし双眼鏡から齧り付くように目を離さない安谷を尻目にカヤは抱きしめ合うアビドス高校の生徒たちを眺める。
それはかつて自分では成し遂げられなかったこと。
『なぁヌイヌイ!アビドスって知ってるか?あそこすげぇんだぞマジで砂漠しかねぇんだぜ!』
今でも思い浮かぶ
『だってよぉこの間アビドス行ってさ、ヌイヌイとおんなじくらい小さい生徒いたからつい嬉しくなっちゃってさぁ。それに、アビドスは砂しかねぇけどアイツは良い奴だしいつか連れて行きたくってさ』
かつて迷惑をずっとかけられ続けた一人の先輩を
『クソッ! なんで、なんで連邦生徒会は許可してくれねえんだ! こうしてる間にもアイツらは助けを求めているのに…こんなに、アイツらの『助けて』って手紙が届いているのに…!』
その先輩の苦悩を
『不知火、今からアビドスに行くからついて来い。…悪いな、初めてのアビドスがこんなカタチになって』
あの先輩の顔を
『門前払いだったな…。まぁ仕方ねえか。ウチは……結局、間に合わなかったんだから、さ……』
桃色の髪の少女に遮られ、最期の別れすら許されなかった彼女の独白を
『何が防衛室長だよ… 自分のダチ一人救えない、聞こえていたはずの声を、届いたはずの手を……ウチは、掴めなかった……!!』
勇気と自信満々に全てが上手くいくと常に皆に笑顔を振り撒いていた笑顔が、その大きな手で遮がきれないほどの涙で溢れていたことを
その大きな背中が小さく見えるほど弱々しく見えたあの日を
友だちを救えなかった一人の少女の姿を
カヤは、その一つ一つを覚えている。
だからその目に焼き付ける。
目の前の光景を
遥か遠くに映る、桃色の髪の少女を抱きしめる少女たちを
彼女たちが握りしめるその手を
彼女たちの目に浮かぶ、2年前と違う涙の色を
彼女たちが手放さなかったものを
彼女たちが掴み取ったものを
ただ、その目に焼き付ける。
「ナツメ先輩、アサミ先輩」
かつて自分を導いてくれた2人に呟くべきはどのような言葉か、カヤはわからない。
ただ、目の前のみんなが笑い合っている光景を見ていると無意識に彼女たちの名前を呟いていた。
あの笑顔は、かつての私たちの姿。
高笑いしながら暴走して次長にゲンコツをもらって涙目になりつつもニヤニヤが止められないナツメ先輩に、それを怒りながら嗜めつつも最後は笑顔になるアサミ先輩、その2人の間に挟まれオロオロと困惑するもその光景がおかしくて吹き出してしまう自分。
彼女だけでなく、私自身が手放してしまったもの。
それがいま、失ってしまった光景が、遥か先の光景と重なって見えた。
「2人が守りたかったもの、私も手伝うことができましたかね」
カヤの呟きに返事はない。彼女たちの笑顔をみて無意識に手を伸ばして握りしめたがかえってくるものもない。
だが、カヤはその問いに対する明確な答えを、涙を流しながら笑顔で抱きしめ合う彼女たちに見出せた気がした。
アビドス編は次回で最終話の予定
そして多分、この小説も次回で最終話の予定
今後のお好みのストーリー展開は?(あくまで参考)
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原作ルート路線(メインストリート追従)
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オリジナル路線(イベストみたいな感じ)