転生カヤちゃん奮闘記   作:ゴロー小五郎

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新年あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします

今回は短め+オリキャラ複数出ますのでご注意を


アビドス廃校対策委員会編
6.砂漠はきちんと対策しましょう


 

 

「なぁヌイヌイ!アビドスって知ってるか?あそこすげぇんだぞマジで砂漠しかねぇんだぜ!」

 

デスクにて次長より頼まれていた事務作業を行なっていると不意に背後から抱きしめられ頭上から声が響く。

濃紺色と薄い水色の混ざった長髪が視界を覆う中でその女性の笑顔が見える。

 

「防衛室長、不知火さんには発議書の書き方を教えている最中なのです。後にしてください」

 

グイっと青髪の少女が引っ張られカヤの視界が開ける。後ろを振り返ると青髪の長身の生徒が頭一個分背の低い赤と黒の短髪の少女に怒られて背を縮こませていた。

 

「だってよぉこの間アビドス行ってさ、ヌイヌイとおんなじくらい小さい生徒いたからつい嬉しくなっちゃってさぁ。それに、アビドスは砂しかねぇけどアイツは良い奴だしいつか連れて行きたくってさ」

「そんなことより仕事してください仕事を。判子と名前押すだけまでやったんですからそれぐらいは早くやってください。私たち下の仕事が滞ります」

「んげぇええ!また書類増えてる!もう判子渡すからやっといてよ!」

「まずそれ自体論外ですが、百歩譲って押印したとしても直筆サインは無理ですよ」

 

ギャーギャーと青髪の生徒、防衛室長と赤髪短髪の防衛室次長が言い合いをする中でカヤはふと気になったことがある。

 

「ナツメ先輩、そのアビドスですか?お話の限りだと砂しかないようなイメージですが、随分とお気に召しているのですね」

 

カヤの発言に防衛室長、宇賀ナツメは好奇心旺盛な猫のような目を輝かせてカヤに振り返る。その背後で次長は手で顔を覆っていた。

 

「よくぞ聞いてくれたヌイヌイ!アビドスはなぁ今は砂しかねえんだが昔はすごかったんだ!だが私に言わせればアビドスは今こそがとってもすげえんだぞ!」

 

フンスフンスと鼻息を荒げてカヤに詰め寄る防衛室長。次長はそんな彼女を無視して防衛室長の机から室長印を取り出して書類の山に判子を押し始めていた。

室長の机、鍵かかってないのかな?

 

「新しく入った新入生がべらぼうに強えらしくってな!その点もヌイヌイに合うと思うんだが、一番はアビドスの生徒会長さ。メッッッチャ良いやつなんだよ!明るくておもしれーし、なにより美人!」

 

だらしなく鼻の下を伸ばしているナツメ先輩の顔を無視して書類作業に移る。『ヌイヌイ無視しないでぇ…』との声が聞こえるが気のせいだろう。

それより書類の内容は…ん?

 

「アビドス高等学校の救援要請に対する支援計画書?」

 

発議書を読み上げると先ほどまでこちらに向いていたナツメ先輩の顔がぐるんと次長の方へ向かう。

次長はこちらを一切見ずにお餅をついているかの如く凄まじい速さで書類に判子を押していた。

私が入って1ヶ月も経っていないが、ずっと付き纏ってくるこの防衛室長が書類を作成しているところは見たことがない。彼女はいつも「〇〇をやりたい!」と言葉に出すが、実際にそれを書類にして立法まで行うのは次長である彼女が行なっている。勿論、申請書を作るのは次長であるため室長の思いつきの発言はおおよそは無視され、必要な案件だけ書類にされるのであり、一学園に対する支援という贔屓とも取られかねない室長の思いつきを発議書にすることは普段はないはずのだが…

 

「アサミ、お前…!」

 

ナツメ先輩が次長、菅原アサミ先輩にウルウルと瞳を潤わせながら近寄る。それでも彼女は表情も変えず、視線をナツメ先輩に向けようとすらしない。

 

「アビドス高等学校は元々キヴォトスを代表するような偉大な学園です。その支援は連邦生徒会として当然であり、否定するものではないかと」

 

書類に目線を固定したままタンタンと押印する音が響く。顔は下を向いているので表情は分からない。

だけど次長、短髪から覗く耳がその髪色と同じように赤く染まっていることは隠せていませんよ?

 

「んおおおおおおおおお!!!アーたんんんんん!!!好きだああああ!!!」

 

書類作業をしていることなんかお構いなしにナツメ先輩がタックルまがいの抱きつきを目の前で披露する。

目の前で椅子と一緒に吹き飛ぶアサミ先輩と机の上の大量の書類たち。

『うごああああ!せっかくまとめ上げた書類がああああ!ナツメッアナタ何するですか!!』と悲鳴が聞こえるがナツメ先輩はお構いなしに頬擦りをしている。

ナツメ先輩の羊のような巻角がグリグリと刺さり、アサミ先輩が自身の手と羽をバシバシと叩きつけているが無駄な抵抗であろう。

 

1ヶ月で室長が事務作業がからきしなのを知ったのと同時に、この次長も存外身内には甘々であることも覚えた。

 

まあそんなことより今はこの書類をさっさと作り上げるとしよう。

他にもアサミ先輩からは今日だけでも後20枚ほど発議書を作成してほしいと言われているのだ。

…これ、初心者に頼む量として正解なのだろうか?

 

遠くから『不知火さん、このバカ何とかしてください!』と言う声が聞こえたがしないでもないが、聞こえない聞こえない。

何せ次長様からの命令なのだから早々に作り上げねばなるまい。いつ防衛出動があるかも分からないわけだし。

 

それにしても、このアビドス高等学校というところはどんなところなんだろうか。

前世で砂漠といえばエジプトのイメージだ。ナイル川を中心とした独自の死生観や神の体系など割と面白かったと記憶している。

こちらの世界ではどのように発展して、どんな人たちが住んでいるんだろう。

 

『アーたんすきすきチュー』

『ギャアアア!し、不知火さん早く!早く助けてぇ!』

 

私は騒がしい防衛室内で微笑ましいやり取りを眺めながらまだ見ぬ学園へと思いを馳せていた。

 

 

 

 

 

「…懐かしい夢を見ましたね」

 

目が覚める。

ここは防衛室長官室。かつてここで室長と次長のドタバタを眺めながらよく仕事をしていたものだ。そんな自分が今は室長の椅子に座っている。

机にはほんの少しの書類と飲みかけのコーヒー、そしてディスプレイがついたままのノートパソコンが置いてある。スリープモードになっていないと言うことは、そこまで寝ていたわけではなさそうだ。

 

それにしても、あの頃の夢を見るのは久しぶりだ。

最近は滅多に見なくなった、人生で一番楽しかったときの思い出。

なぜ今思い出したのか。それはやはり

 

「アビドス、か」

 

ノートパソコンのメールには安谷より「先生はいまだにアビドス砂漠にて遭難中」とのあっさりとした報告が上がっている。

 

確か昨日の昼頃シャーレを出たとの報告があったはずだから、かれこれ10時間以上は迷走しているのだろうか。

 

いずれにせよ、まだアビドス高等学校に到着していないのであれば好都合だ。

スマートフォンからとある連絡先に電話を入れる。

 

『はい、こちら矯正局長官です。どうなさいました防衛室長』

「夜遅くにすみませんね。少し生徒を見繕っていただきたくて」

 

しばらく会話をした後にとある条件で恩赦を約束して数名を解放し、車と武装を用意してとある場所に護送するように指示を出す。

護送されている囚人は確かあそこ付近の団員だったはずだ。せいぜい上手く働いてもらうとしよう。

 

「明日には到着する頃ですかね。それまで一休みしましょうか」

 

時計の針は3時を少し過ぎたばかりだ。後2時間ほど寝ても問題ないであろう。

ノートパソコンを閉じ、室長机の引き出しに室長印鑑をしまう。

室長印鑑を入れる際に机の中にある写真立てを手に取る。しばらく無言で眺めた後、写真立てを引き出しに入れ直し鍵をかけた。

 

「寝ますかね」

 

室長室にあるソファに横になり、タイマーを2時間に設定する。最近は自宅に戻れていないどころか日課のラジオ体操や牛乳が飲めてないことに体が悲鳴をあげている気がしないでもないが、これも仕方ない。

全てはキヴォトスの治安維持のためだ。

いずれにせよ、明日になれば進展はあるだろう。

そう思いながらゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『定時報告。対象未だ砂漠にて遭難中。…あの、防衛室長、いかがいたしましょう?』

「ええ…」

 

時刻は15:00。本日5回目の公安局の次期エースからの定時報告に、間の抜けた返事しかできなかった。




大晦日に酒をかっこみながら旧TwitterでコミケのTLをグヘグヘしながら眺めてる最中に「ヤベェ明日月曜日じゃん」と気づく
この戯けめ!

今後のお好みのストーリー展開は?(あくまで参考)

  • 原作ルート路線(メインストリート追従)
  • オリジナル路線(イベストみたいな感じ)
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