転生カヤちゃん奮闘記   作:ゴロー小五郎

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祝ブルアカアニメ!!
まさかの今年、しかも4月開始でビビった 早くない?(嬉しい誤算)
ブルアカマジ感謝!





正直、公式コスプレイヤーにカヤがいないかなぁと期待してしまったの、ワイ以外に読者の中にもいるんでない?


9.便利屋さんこれからも御贔屓に…え?ダメ?

 

 

 

「金さえもらえれば何でもする……なんでも屋よ」

 

カタカタヘルメット団の最後の一人が崩れ落ち、辺りには意識を失ったヘルメット団員が倒れ伏している。

その光景を眺めながら便利屋68社長、陸八魔アルは口角を上げた。

 

「アル様終わりました!」

「これで全員だね、ひとまず依頼の一つは完了ってところかな」

 

伊草ハルカと鬼方カヨコがヘルメット団員を拘束し一箇所に纏める。浅黄ムツキは積み上げられた団員の上に座り、クスクスと笑い声をあげていた。

 

「それにしても前金で50万とは随分景気良いよね〜。まあアルちゃんの方針で受け取らなかったけど、これなら依頼達成した時の報酬はもっと期待できそう!」

「…だといいけど、報酬に上乗せさせられる『カイザーの情報』っていうのが曖昧すぎ。そこはあまり期待しない方がいいかも」

 

便利屋68のメンバーが依頼を受けた内容は二つ。

一つは依頼主はカイザーコーポレーション。内容は『カタカタヘルメット団の排除及びアビドス高校の制圧』である。こちらは武器弾薬援助と依頼完了とともに1000万が入金される予定である。

二つ目が特定回線による匿名の依頼。内容は『カイザーコーポレーションの内偵とカイザーの支援物資の横流し』である。依頼としてはこちらの方が先に来ていたがまるで後からカイザーから依頼が来るのでそれを利用する旨の内容であったためカヨコはアルに受けないよう打診した。

本来であればこのような怪しい内容はきちんと精査するが、念の為指定されたコインロッカーに赴くと仕事の依頼内容と約束の前金50万円が入っており、少なくとも今回の依頼主は前回と違い報酬を出し渋ることがないのを確認できた。前金こそ受け取らなかったが支払いの意思を確認して気分を良くした社長が即決で依頼を受ける旨を連絡してしまい、カヨコだけこれから始まるであろう難行に頭を抱えてしまっていたが。

 

「さすがですね、便利屋68様」

 

背後からの声に便利屋68の全員が一斉にその方向に銃口を構える。

そこには一人の少女と思しき人間が立っていた。

頭部を全て覆うフルフェイスヘルメットに、全身を覆い隠す茶色のロングコート。身長はムツキよりは大きく、ハルカよりは低いくらいか。

いつからそこにいたのか。戦闘が終わったとはいえ気を緩めた覚えがない。だがそこにいたのが当たり前かのように、その少女は佇んでいた。

 

「そう目くじらを立てないでください。私は今回の報酬をお渡しに来ただけですよ」

 

徐ろに少女はコートの懐に手を伸ばす。ハルカが引き金を引き絞るがアルが手で静止を促す。

 

「追加報酬です。」

 

懐から現れたのは、以前コインロッカーで見つけたものと同じ封筒である。その封筒を右手に持ちながら少女はアルに歩み寄る。お互いに手が届く範囲まで近寄り、封筒をアルの目前に差し出す。

しばらく待つもアルが封筒を受け取らないことに少女は小首を傾げる。

 

「どうしました?」

「これはなんの報奨金かしら。私たちはまだアナタの依頼をこなしていないわよ」

 

追加報酬の内容はカイザーの情報の売買と支援物資の横流しである。現時点ではカイザーから支援物資はもらっていないし、情報などもっての外である。現状遂行した仕事はヘルメット団の排除だが、それはカイザーからの依頼でありカイザーは追加報酬などない。

一体何の件の追加報酬なのか。依頼前の前金と言い、金払いが異様に良過ぎる。今までの依頼の経験上最初から至れり尽くせりは後に一気に回収してくるか、もしくは言えないような何かを生業にしているか…

自然と右手に握りしめる愛銃に視線が映る。

 

「ああ、そういうことですか」

 

ヘルメット越しに人差し指を頬に当てながら少女は小さく笑う。

大したことがなさそうに、明るく、はっきりと聞こえる声で告げる。

 

「なんてことはありません。ソコの子一人につき1万、ただそれだけですよ」

 

その言葉とともに便利屋の面々に寒気がよぎる。少女が被っているヘルメットの視線は一箇所にまとめられたカタカタヘルメット団員に向けられており、便利屋68のことを見ていない。それなのに背中に冷たい汗が流れ落ちるのを嫌というほど感じた。

 

「…この子たちをどうするつもり」

 

アルは表情を変えずに目の前の少女に一歩踏み出す。胸の前に差し出された封筒が押し戻され、少女は少し困惑した雰囲気を醸し出す。

 

「いえいえ、大したことはしませんよ。ただ、ほんの少しウチの労働に従事してもらう(・・・・・・・・・・)だけですから」

 

その答えとともに距離を取るようにスナイパーライフルの銃口を突きつける。

だが、押し倒すつもりで突き立てた銃口に対して少女は封筒は落としたがそれ以外は微動だにせず、むしろ突き立てた反動でアルが10歩ほど後退りした。

自分より華奢な体躯の少女が全く動かないことに困惑するもの、それ以上に高まる感情に意思を任せてアルは声を上げる。

 

「金で動く便利屋だけれども、それでも目の前の人身売買を見逃せないわ!」

 

アルの声とともに便利屋のメンバーの獲物の引き金が引き絞られる。

それとともに

 

「待機」

 

コツンと便利屋の後頭部に冷たい何かが当たる。

そして理解する。何かが背後にいる。それも一人や二人ではない。

アルも自身の胴の部分に赤い点が複数灯っているのをその時認識した。

レーザーポインターだ。

その時点でようやく気づく。何者かに囲まれていることを。

 

「やれやれ、ウチの護衛も気が早いですね。たかだか銃を突きつけられただけなのにこんなに過剰に反応しなくても良いでしょうに」

 

目の前の少女がやれやれと首を振る。その様子に便利屋は動けない。後頭部の銃口と赤く灯る点を意識し、どう足掻こうとも逃げられないことを理解する。

それでもアルは無表情で少女を見つめる。その様子に少女は感心したように小さく息を吐く。

 

「とりあえずまずは誤解を解きましょう。便利屋の皆様とは今後も良い関係を築いていきたいですしね」

 

少女が左手を挙げると背後の気配と赤い点が瞬時に消える。便利屋のメンバーはその統一された動きに驚異を覚えるが目の前の少女から目を逸らさない。

 

「一応言っておきますが、彼女たちには本当に私の仕事を手伝ってもらうだけです。普段からウチは人手が足りないので、今まで暴れ回っていたその力を活かしてもらいたいだけなのですよ。あ、もちろん合法的にですよ?」

 

人差し指をくるくると回しながら戯けたような声色で話す少女に便利屋は沈黙している。その様子に「うーん」と一つ唸り声を上げ、ぽんと手を鳴らす。

 

「いわばアナタたちと同じです。こちらは少しでも人手が欲しい。そしてここに今し方お役御免となった武装組織がある。私たちは手が増えるし、この子たちも食い扶持が確保できるしでWin-Winではないですか! まあ、今までの損失をこれから補填していただく予定なので正確には雇用でなく奉仕作業という扱いになりますが」

 

どうでしょう?と少女は改めて便利屋の顔色を伺うも、全く変化はない。依然として怪訝な表情を浮かべるのみだ。

やがて少女は諦めたのかため息を吐きながら足元に落ちた封筒を拾い直す。

 

「いずれにせよ、アナタたちは私の目論見通りに動いてくれました。こちらはそれに対する報酬であり…」

 

自身の顔の前で封筒をひらひらと揺らす。とても緩慢な動きでありながら何故か神経を苛立たせるような動きにアルの緊張が高まる。

 

「うっ」

 

不意に後方から聞こえたヘルメット団員のうめき声に一瞬気がとられる。視線は向けない、ただ瞬きを一つしただけだ。

 

「…期待、なんですから」

 

目の前から声がした。

認識した時にはすでにアルの左手は封筒を握っていた。いや、握らされていた。

アルの目が限界まで広がる。大袈裟に後ずさったのもあるが、先ほどまで少女の全身を視野に入れるほどの距離が空いていたが、瞬きの合間に視界を大部分をヘルメットが占めるほどに詰められていた。

その驚愕の表情に満足したのか少女はふふっと小さく微笑んでから背を向ける。

 

「では吉報をお待ちしていますよ、便利屋68様」

 

背を向けて建物から去る少女に付き従うように黒で統一された服装の集団が現れる。そのうち4人は少女に付き従い、さらに4人が便利屋68を警戒するように出入り口を固め、残りの8名が倒れたヘルメット団員を回収する。

この狭い空間にどこにそれほど人がいたのかと思うほどの人数が現れ、そしてあっという間にヘルメット団の全員を回収して消えていく。

 

「社長、面倒なことに首突っ込んじゃったね」

「…くふふ 舐めたことしてくれるじゃない」

「あ、あの…どうします? いまからでも爆破しますか?!」

 

(………ど、どどどどどどど、どうしよう!!!!!)

 

各々の反応を見せる便利屋68、そして握らされた厚みのある封筒を手に、アルはただ白目を剥いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、どうしましょう」

 

暑苦しいフルフェイスヘルメットとコートを脱ぎ捨てカヤは眉間を指で揉みほぐす。

現在運転はSRT生に任せて、後部座席で資料を眺めながら隣から渡される軽食を摘んでいた。

 

「ありがとうございます。うん、ニコのお稲荷さんは最高ですね」

 

外した覆面からはみ出る明るい桃色のショートボブの女子生徒、SRT特殊学園FOX小隊のニコが微笑みながらもう一つカヤにいなり寿司が入ったタッパーを手渡す。

ニコの隣に座る七度ユキノはカヤに先ほどの話の内容の続きを促した。

 

「どうかなさったのですか」

「いえ、便利屋があのように敵愾心を表すとは少々予想外でして。お金さえ手に入れば何でもやるというイメージだったので報奨金を渡して少しでもイメージアップしようと思ったのですが」

 

正直今回の報奨金は予定にない出費であった。便利屋が資金不足であり、さらには用意した前金に手をつけなかったとの報告があった。このままでは金欠による士気低下で任務失敗とか、ほんの少しでも便利屋の好感度を高めるためと思って無理矢理理由をつけてお金を渡そうと思ったのだが…予想していたものと真逆の反応をされたので困惑してしまった。

少しでも好感度を高めて暴走阻止、うまくいけばこれからも定期的に依頼という体で行政の手が届きづらい案件を処理してもらおうと思ったのだが…。

 

「何事も思い通りにはいきませんね」

「全くです」

 

隣でユキノとニコがウンウンと頷く。助手席のオトギはアハハと笑い、運転手のクルミはフンと小さく鼻を鳴らした。

 

「それで、この捕虜はいつものコースかしら」

 

運転席でクルミが不機嫌そうにカヤに言葉を投げかける。ユキノが注意しようとするがすかさずカヤはまあまあと宥めた。

 

「ええ、いつも通りの研修コースでお願いします。ある程度目処が立ったら…そうですね、今回はトリニティ方面に配置しますか」

「全く、私たちはSRT特殊学園生であって、半グレの傭兵育成機関じゃないんだけど」

「クルミ、我々が今SRTとしていられるのは防衛室長の」

「大丈夫ですよユキノ。クルミの言う通り、本来はSRTの仕事ではないのですから」

 

現在SRTは強大な武力を持つ反面、実働行動に厳しい制約がなされている。だが、だからといってそのノウハウをそのままにしておくには勿体無い。

それに対して、ヘルメット団は拠点も持たずに各学園に点在している。大方問題を起こせば各学園の治安維持組織に収監されるか矯正局に送られる。そんな彼女たちをただ収監しているほどの余裕はない。

弱みを握り鞭を叩きつつ飴を見せびらかして懐柔する。まあそんな言い方をせず簡単に言えば、犯罪行為の反省として防衛室の仕事を手伝ってもらい上手くいったら衣食住の確保や場合によっては復学or転校の口利きをしているに過ぎない。

SRTにはその復学の一環である最低限の軍事訓練と一般的な規律を教え込んでもらい防衛室の荒事に対応できる体力+復学時に風紀委員会などでやっていけるような規律を身につけられるようある意味不良の更生施設の教官的役割を担ってもらっている。

 

それ矯正局でも良くない?と思われなくもないが、どのような理由であれヘルメット団という「暴力を振り翳せば思い通りになると知ってしまった子たち」はそれ以上の暴力で分からせるしかない。もちろん、SRTの訓練という過酷極まる試練(尚本来のSRTの訓練は地獄)を乗り越えた先に衣食住と復学という飴があるのだから概ねの生徒は概ね好感触である。

 

一部の例外は…まあ、機会があったらお話ししよう。

 

こらそこ洗脳教育とかスパイ育成とか言わない。違いますから、あくまで復学支援ですから、他意はありませんから。

 

 

そんなわけで本来の仕事とは無関係な仕事を押し付けられている現状を嘆いているクルミのようなSRT生は少なくない筈だ。

 

「ごめんなさいね。でもいずれなんらかの形で報いますから」

 

将来的には各学園に防衛室の息のかかった生徒を紛れ込ませ、その生徒たちが活躍して軍事訓練と称して各学園に必要な存在になればSRTは各学園の武力組織のハブ(hub)となりなくてはならない存在として連邦生徒会も認めざるを得なくなるだろう。

ハブとして各学園の情報を司り、場合によっては本来の領域越えの即応能力を活かして軍事介入しその学園が手の出せない案件を解決する。なんならそのような危機に陥る前に各学園が相互監視というなの協力をして助け合える環境を作れるのではと、そんな甘いことを考えているが現実的には無理であろう。

いずれにせよ、今は種まきの期間である。芽が出るのはしばらく時間がかかるが決して無駄なことではない。はずだ…

 

そんなことを思いながらクルミに謝ると、「私たちがSRTってこと忘れないでよね!」と怒っていたため「ええ、いつも助かってますよ。ありがとう」と労うと再びフンと鼻を鳴らす。ただし、ルームミラーに映る彼女の口角は少々緩んでいるが。

 

うーむ、かわいいなこの子。

というより、SRT生は割とみんな面倒かわいい。

SRT生はプライドが高いがその分褒めてあげればこのように良い反応をしてくれるのだ。

ふむ、実に可愛い。臨時でなく本当に防衛室の直下組織にしたいぐらいだ。

尚、それに伴い抱え込む苦労により正気に戻るのだが。

 

「いずれにせよ、これで便利屋とアビドスが接触するでしょう」

「防衛室長、我々はどうしますか?」

「しばらくはカイザーの情報が出るまで静観ですね。『0』が危うい目に遭いかけたのでしばらく積極的な接触は控えましょう。それに」

 

カヤは膝下に置いた資料に視線を移す。

 

「今はコレが最優先です」

 

資料の表紙、そこに刻まれた情報は連邦生徒会とトリニティ総合学園とゲヘナ学園のエンブレムと、『極秘情報』から始まる表題。

連邦生徒会長が失踪し何か手がかりがないかと必死になって探した最中に見つけた連邦生徒会長の置き土産。

最初はほんの数ページしかなく、内容も大雑把な概要とできたら良いなぁという希望的観測しか書かれていなかったメモ紙のようなもの。これを手にしたカヤは水面下でゲヘナとトリニティに接触しつつ、ようやく土台まで固め上げた。

お互いの組織の長に何度も何度も電話をかけ、場合によっては目立たぬように秘密裏に足を運びプレゼンテーションを行い、トドメには将を射るには何とやらと言わんばかりに今まで培った根回し力をこれでもかとぶつけることにより、ようやく妥協と好感触を得て遂に実現の可能性が見えてきたこの試み。

初めはトリニティとゲヘナのエンブレムだけだったが、ここに連邦生徒会のエンブレムを入れることができたのはカヤの小さな誇りでもある。

カヤはその書類の表題の文字を指でなぞった。

 

 

 

 

 

『エデン条約』

 

 

 

 

 

 




短文乱文のこの小説が定期的にランキングに上がる理由全く分からんし正直怖いけど滅茶苦茶嬉しいマジ嬉しい


理由はやっぱり……みんなカヤちゃん大好きなんすね!!激しくわかります
定期的にカヤスレでカヤ愛補充しつつ、無数に供給されるカヤスレでみんなカヤちゃんを愛していることを実感して嬉しくなる。
スレでみるほのぼの世界線のカヤちゃん好きだし、スレ民の考えるIFカヤちゃんも好き。何よりも、原作カヤちゃんのカルバノグ一章までの有能カヤちゃんやその後の転落カヤちゃんにこれから更生するのかそれとも反骨精神貫き通すのか将来性が無限に広がるカヤちゃんが大好き。
皆さんはカヤちゃん更生する派?しない派?ワイは絶対しない派(断固たる意思)

少しでもカヤちゃんの良いところ書けたらいいなぁ


P.S.
誤字訂正機能、こんなに便利やったんや…(報告を元に手動修正するものだと思ってた)

ハーメルン本当小説書きやすくてヤバイ誤字訂正ニキネキと運営に圧倒的感謝ッッッ!!誤字訂正遅くなってすまぬッッッ!!

今後のお好みのストーリー展開は?(あくまで参考)

  • 原作ルート路線(メインストリート追従)
  • オリジナル路線(イベストみたいな感じ)
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