すいません、どうしても書き足したいことがあったので再投稿しました。
再投稿前のを読んでくれた方には、大変ご迷惑をおかけします。
X月XX日
フランスに着いていくと決めた私は、フランス語の勉強を少しずつ始めた。
フランス語を必要になる時がくるなんて、全く思っていなかったので全く勉強していないので、0からのスタートだ。
まぁ、幸いなことに私は自分の頭がそこまで悪いとは思ってないので、次の春までにはなんとか日常会話ぐらいはこなせるようになっているでしょう、多分。
X月XX日
今日はバレンタインの日、私は手作りのチョコレートをカフェさんとトレーナーさんの分を用意してこの日を迎えた。
もうそれなりに長い付き合いなので、2人の好みの把握はバッチリで、それぞれの好みにあったものを出せたと思う。
カフェさんは、バレンタインだからと以前買った猫のマグカップにチョコを溶かしたオリジナルブレンドコーヒーをご馳走してくれた。
とても温かくとても甘くて、コーヒーというよりココアのような味で、甘党の私にはとても飲みやすいものだったが、隣でじーーーーっと飲んでいる姿を彼女に見られていたので別の意味で飲みづらく、うっかりごくごく飲んでしまったので、舌をやけどしかけた。
それを見たカフェさんは楽しそうにクスリと笑った。
隣で私のチョコを食べていたカフェさんが冗談めかして、卒業後は実家の喫茶店に働きにこないかと言われたときは、内心ドギマギしながら笑ってごまかした。
X月XX日
気づけば、日記も最後の1ページとなってしまった。
毎日つけるわけじゃなくて、わりと適当に付けたいと思ったときに付けてきたけど、結構区切りが良いときに最後のページを消費することになったかもしれない。
先日の春の天皇賞も無事走り抜けたカフェさんは、体調は良好で、これなら海外へ行っても大丈夫と判断された。
そして私達は明日から無事予定通り、フランスへ行くことになる。
正直こんな展開になるなんて全く予想してなかった。
私としてはひたすら自分のやりたいようにやって、ひたすら空回りしていただけなのに。
結局カフェさんとトレーナーさんが恋に堕ちるどころか、私が逆にカフェさんに堕ちかけてしまった。ほんと、なんでこうなっちゃったんだろう。
やっぱり上手くいかないなぁと思いつつ、逆にこれも私らしいのかもしれないな。
最後に、無事にカフェさんが、海外のレースで走りきるよう願って、この日記を終える。
※
「……こんなこと、あったなぁ」
静かに喫茶店のカウンターの席に座りながら、私はかつて付けていた日記帳をペラペラと読んでいた。
この日記は、私がフランスへ行くまで常日頃持ち歩いていたものであり、あちこちボロボロになっていて、所々私の血が滲んでしまったところがある。
私の血と汗と涙の結晶と言ってもいいかもしれない。汚いだけかもしれないけど。
ちょうどフランスへ行く前に埋め尽くしてしまったので、そのまま日本に置いてきたのだが、つい最近まで部屋を掃除しているときに見つけるまで、この日記帳のことをすっかり忘れてしまっていた。
色々忙しかったからね、仕方ないね。
もうちょっと過去に想いを馳せてもいいかもしれないけど、そろそろ時間のようだ。
私は日記帳を仕舞うと、エプロンを身に付け、カウンター内に戻った。
「おや、私達が一番乗りかい」
「よぉー!遊びにきたぜぇ」
「いらっしゃい、2人とも」
一番乗りでやってきたのは、タキオンさんとポケットさんだ。私は2人に手を振った。
「おや、まだ君1人かい?」
「うん、2人ともまだ戻ってきてないよ。最近引っ張りだこだからね、まだかかるんじゃないかな」
「んだよ、ならもうちょい暇潰してからこればよかったぜ」
2人はテーブル席に座ると、それぞれくつろぎだす。
「何か飲む?」
「俺はまだいいや、後で頼むわ」
「私はいつもの、で頼むよ」
「はいはい」
いつものね、いつもの。
私は慣れた手付きで、水を沸かし、茶葉を入れ、湯を注ぎ、蒸らし、温めた別のティーポットに茶葉を濾しながら移し替え、紅茶を注ぐ。
そして、トッピングに砂糖を10粒くらいドバッと紅茶が溢れないように注意しながら入れて、それを数回かき混ぜてさらにもう何個か砂糖を入れてかき混ぜてそれを渡す。
タキオンさんは、待ってましたと言わんばかりに、私が出した砂糖たっぷりの紅茶を味わった。
「うーん、やはりこれだねぇ」
「お前それマジかよ……うわぁ……」
「いいかい、ポッケくん。砂糖入りの紅茶はポリフェノールの抗酸化作用と糖分のエネルギーを兼ね備えたエナジードリンクなのだよ。そして、これは溶解度を越えた砂糖が入っており、まさに究極のエナジードリンクといっても過言ではない」
「お気に召したようで何よりだよ」
私は紅茶のお供に、クッキーを2人にだす。2人は美味しそうに食べている。
私もテーブル席に座って、主役の2人が帰ってくるまで、2人と軽い雑談を交えた。
2人ともこうやって会話をかわすのは何か久しぶりのように思える。
「君もずいぶんとここの従業員として板がついたねぇ」
「ありがとう、まぁ従業員じゃなくてただのバイトだけどね」
「でも、卒業後はここで働くんだろ?カフェの親父さんにはぜひここで働いてくれって言われたんだろ」
「なんで知ってるのそれ」
「カフェから聞いた」
「ちなみに、私も聞いたよ」
言いふらしたのか……と心のなかでつぶやく。
別に困ることじゃないけど、なんとなく逃げ道を塞がれたような気がする。
多分逃げ癖のある私を囲んだってことだろう。
まぁ、そんなことしなくてもいいのに。
だって私は、彼女と一生どころか死んでも側にいてやることを覚悟したんだから。
そんなことを考えていると、喫茶店の外が騒がしくなってきた。
そして、聞きなれた2人の足音も、近づいてくる。
どうやら、今日の主役の2人が帰ってきたようだ。私は立ち上がり、喫茶店のドアを開く。
「おかえり、カフェ」
「……えぇ、ただいま……。キィ、ごめんね……遅くなっちゃった」
「大丈夫大丈夫、そんなに待ってないし。トレーナーさんもおかえりなさい」
「うん、ただいま」
私は2人を店内に招き入れ、席に座らせる。
そして用意していたジュースを6人分配り、喫茶店の中央に立った。
それぞれがジュースを持つのを確認する。1つだけ浮いているのがすごいシュールだ。
「それじゃあ、私が音頭を取らせてもらうよ」
私はジュースを持った方の腕を空高くあげ、大きな声で祝杯をあげた。
「カフェ、凱旋門賞1着おめでとうー!!!!」
『おめでとうー!!!』
「……みんな、ありがとう……」
そういって私の大好きな彼女は、とても嬉しそうに笑顔を浮かべた。
※
「はい、どうぞ」
「……ありがとう」
カフェの凱旋門賞おつかれさんパーティーは無事に終わり、それぞれが帰宅して喫茶店には私と彼女だけになった。
私はいつものようにカフェのためにコーヒーを淹れる。コップは彼女が愛用している猫のマークのマグカップだ。
そして、隣に座った。
「……まだ、馴れないかな」
「なにが?
「……色々と。こういう風に、あなたに喋るのも、まだ少し気恥ずかしさがあるかな……」
「あはは」
私とカフェは、あれから距離感がだいぶ縮まった。やっぱり共にフランスへ行くことになったのがきっかけかな。
私も彼女のことを呼び捨てにするようになり、カフェは多少砕けた感じで私と接するようになった。
私も、少し恥ずかしさはある。けど、それより、嬉しさがあった。
「……あ」
「どうしたの?」
「……雪が、降ってきた」
私は喫茶店の窓の外を見る。カフェの言う通り、雪がしんしんと降り始めていた。今日の天気予報では、雪が降るって言ってたっけなぁ。
「……寒くなってきたね」
「ねー」
そろそろ帰るし、暖房なんてつけてないから少し寒い。
息が白くなりそうだ。
「……」
私はそっと、隣に座る彼女の尻尾の先を絡めた。
「……どうしたの?」
「いや、寒いなぁって」
「そうだね」
最初は先のほうだけだったが、徐々にに絡める範囲を広げていき、最後には尻尾全体で絡まる、
「……温かい」
「ねー」
私達は、口数が少なくなり、ただ尻尾を絡み合う。お互いに温めあうために。
「そろそろ、私達も帰ろうか」
「うん」
私は先に立ち上がり、彼女に手を指し伸ばした。
カフェは私の手を掴み、ぎゅっと握りしめる。
私達はそのまま、雪がふる帰り道を歩き出した。
お気に入り、感想、評価、ありがとうございます
これで、本編は終わりです。今まで読んでくれて、ありがとうございました。
今後は、別のウマ娘キャラのルートや、本編の番外編を書いていくので、まだまだよろしくお願いします。