楽園をすごいリピートしていたので、初投稿です。
「……早く、来すぎてしまいました……」
キィさんとのおでかけの日、待ち合わせ場所で時間を確認しながら、私はため息をついた。
現在の時刻は9時、待ち合わせ時間まで後30分もある。
急に決まったおでかけだったけど楽しみにしすぎて、ちょっと早く着いてしまった。
「……」
ふと、自分の姿が映っている鏡に目がいく。
そこに映っている私は、微笑を浮かべていてとても穏やかな顔をしていた。
次に目がいくのは、ブラウスとロングスカート。私服の中でも、私が1番好きな組み合わせだ。
季節も春になってきた今頃だと、これを着ていても寒くないのがいい。
ただ、せっかくのおでかけなのだし、もっと違う服着てこれば良かっただろうか。
あまり、自分の服装のセンスがいいのか他人と比べたこともないし気にしたこともなかったから、よくわからない。
同室のユキノさんがよく、ゴールドシチーというファッションモデルについて語っていたし、相談すれば良かったかなと後悔してくる。
そうなると髪も気になってきた。特になにかするという発想がなかったため、普段通りなのだが、少し切ったりした方が良かったのかな。
前髪を弄りながら考える。
1度考え出したら、止まらずあれこれ気になってきた。早く待ち合わせ場所に来る前にもっと、色々やれることがあったんじゃないかと後悔してくる。
だから、後ろからこっそりやってくる彼女の気配に気づかなかった。
「……わぁっ!」
「きゃ!」
背後からパンと大きな音と声が耳に届き、思わず高い声が出て尻尾もビーンと伸びる。
振り向くと、そこにはキィさんがニヤニヤと笑いながらそこに立っていた。
「……そういうのは、やめてください……!」
「あはは、なんかビックリするくらい隙だらけだったからついつい」
「……つい、じゃありません……」
「ごめんごめん。それにしても、早いねカフェさん。私も遅れるのが嫌で10分前には着こうと思ってたのにもういるとは思わなかったよ」
「……楽しみに……してましたから。今日のおでかけ」
「ほんと?私も楽しみにしてたよ」
キィさんはそういうと、じーっと頭からつま先まで私を見つめてきた。
なんだろう、こそばゆい感覚になり、顔が少し熱くなる。
「カフェさん、私服初めて見たけどかわいいね。普段の雰囲気とは違う感じだけどすごい似合ってると思うよ!」
「……えっと、どうも……。お世辞でも、嬉しいです……」
「いやいや、お世辞なんかじゃないよ。フリルもいいし、ベルトの肉球マークもチョーかわいい!それに………」
「わ、わかりましたら……もう、やめてください……」
「照れてるのかわいいー」
まだ待ち合わせの段階なのに、この人は相変わらず私の情緒を狂わせてくる。
このままじゃ、また彼女にペースを取られぱなしだ。
「……早く行きましょう……。……今日は、たくさん付き合ってもらいますから……」
「あ、ちょ、ちょっと、カフェさん?!めっちゃ力強く引っ張るじゃん!?」
散々振り回された彼女を逆に振り回すつもりで、私は顔を隠しながら、彼女の手を引っ張って歩きだした。
※
商店街に新しくできた猫カフェというものには、以前から来たかった。
猫自体好きだったし、ここのコーヒーはとても美味しいと評判も聞いていた。
まずは、香りを楽しむ。ハーブを連想させるような華やかな香りがする。
1口飲む。
この爽やかな酸味と強いコクにモカ独特の風味はモカハラーだろうか。とても良いコーヒーです。
コーヒーを堪能しながら、にゃーにゃーととても可愛らしい鳴き声がする方へ顔を向ける。
机にうなだれている金髪の頭を抱き枕代わりにしているのか、とても気持ち良さそうにあくびしている黒猫にとても癒される。
こんなに癒される気持ちになるのなら、もっと早く来るべきだったのかもしれない。
「お、重い……」
「あ……今動いたら黒猫さんが落ちちゃいますよ……」
「うぅ……」
キィさんが弱々しい声を出しながら、黒猫さんが落ちないよう姿勢を保ち続けている。
普段は元気溌剌な彼女の、弱々しい姿は珍しく、さっきゲームセンターでキィさんと勝負して圧勝したせいだろうか。
「まさか、カフェさんがあんなにレースゲームやクレーンゲームが得意なんて……。ほんとに初心者?」
「はい。……あまり、ああいう場所にはそもそも来たことなかったので……」
「うっそぉ……。めちゃくちゃセンスあるじゃん」
私が得意というより、彼女がそんなに上手じゃなかっただけだと思ったけど口には出さなかった。
ただ、そんなに負けたのが悔しかったのか結構引きずっている。
正直こんなに落ち込むとは思わなかった。あまり、落ち込みを引きずるタイプの人に見えなかったし。
普段も模擬レースで負けて悔しがる様子は見たことなかった。
「……そんなに落ち込むことでしょうか」
「自分でも結構驚いてるよ、初心者に負けるのって結構堪えるものがあるね……財布にもクるものがあったし」
「……なるほど」
うげーとうめき声をだしながら、黒猫さんが落ちないよう気をつけている。
また彼女の知らなかった1面が見えたようで面白かった。
「この黒猫全然降りてくれないけど、寝てたりしてないよね?」
「……とても気持ち良さそうにあくびしていますよ」
「えぇ、そんな気持ちいいのかな私の頭は。……なんか、尻尾にも違和感ある。ごめん、カフェさんちょっと見てくれない?」
キィさんが動けないから代わりに、私が彼女の尻尾を確認する。
そこには、2匹の猫さんが尻尾をふとん代わりにしているようで、くつろいでいた。
「2匹の猫さんが尻尾を布団代わりに、していますね……」
「増えたぁ……」
その後も続々とたくさんの猫さんが彼女の尻尾や、背中に集まってきた。さすがに可哀想なので猫さんには悪いが退いてもらうとしたのだが、なかなかキィさんから離れてくれない。
どうやらとても猫さんに好かれやすいようようだ。
余計身動きできなくなってキィさんは弱々しくうなだれている。
……そんなに気持ちがいいのだろうか、彼女の身体は。
猫さん達がごろごろ気持ちよさげなので、そう思ったとき以前彼女にお姫様抱っこをやられたときのことを思い出す。
あまり、恥ずかしくて思い出したくないが、とても心地よいものだった。
あれはまるで、フワフワの布団に包まれていたようで。
あと、ちょっとかすかに良い香りもしてたような……。
そこまで考えて、少し恥ずかしくなってきた私は、手にもっていた猫じゃらしを膝元の猫から彼女の頭にぽかぽかと当てた。
「え、なんで?」
「なんでもです……」
※
X月XX日
今日はカフェさんとのおでかけの日、天気も晴れ晴れしていてとても良かったかな。
特になにかやろうとかは考えてなかったが、とりあえずカラオケ行ったり、ゲームセンターでレースゲームで勝負したり見つけたカフェさんのぱかプチを取ったり、猫カフェで猫と戯れた後にコーヒーを飲んだり……日記を見返してる時も思ったけどいつもコーヒー飲んでるな私、好きなのは事実だし別にいいけど。
ゲームセンターでは私が小学生のころよくやってたレースゲームを見かけてとても懐かしい気持ちになりやりたくなった。
カフェさんはやったこともない初心者だというので、ここは近所で風のキィとまで呼ばれた私の実力を見せてやろうと思ったのだが、5回やっても勝てなかった。めちゃくちゃ悔しかったです。
まぁでも彼女が楽しそうだったから良かったのかな。
クレーンゲームもたまたまカフェさんのぱかプチを見つけたのでそれを取ってみようと20回挑戦しても、取れなかったのにカフェさんは2、3回で8個取っていた。1つの人形に3、4体もなんであんなにくっついてるんだよおかしくない……?
カラオケは、私も1人のウマ娘なのでそれなりに自信があったのだので、自分のレパートリーをガンガン歌い、カフェさんも数曲だけだが歌ってくれた。
最後はデュエットでうまぴょいを歌い、それなりに盛り上がった。
ちょうど2人で分けられる個数なのでカフェさんが4体も私に恵んでくれた、優しい。
猫カフェは、コーヒーを飲みながらケーキを舌鼓しながら猫と戯れるはずだったのに、猫のベッドになってた記憶しかない。
わりと1匹1匹重かったので背中がまだ痛い。
あと、帰る間際に良さげな部屋着になりそうなのを見つけたので、それも買った。
黒い半袖のTシャツで『猛娘注意』と書かれてるイカれたセンスだけどなぜか、私の頭のなかにキラリと感じたものがあった。
カフェさんにもどうかと勧めたらすごい微妙そうな顔で断られた。
今日は、カフェさんが楽しげな表情を多くしていたのでおでかけは成功かな。
前日の失態は取り戻せただろう。
さて、カフェさんからもらったぱかプチどうしようかな。あんま置くとこないんだよな。棚とかもないし。
……とりあえずベッドの枕付近に4体とも並べておいとこ。なんかご利益あったりしないかな。
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