ある日あなたはウマトレなる概念を受信した   作:シマキ

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 今さらですが、これは百合ものですということで初投稿です。

 


ある日あなたはLOVEだっちを見た

 

 X月XX日

 

 季節もすっかりジメジメとした夏になった。

 前回の日記が春頃に書いたやつだからだいぶ放置していた。最近はテストやら手伝いやらで忙しかったからね、仕方ないね。

 

 やっと一息ついたのでペンを取り、近況を書こうと思う。

 といっても、やることは変わらずずっとカフェさんの練習の手伝いやトレーナーさんの手伝いに、自分の練習の繰り返しの日々。せいぜい練習でプールを使ったくらいだ、変わったことといえば。

 

 繰り返しの日々だったけど、外の暑さにカフェさんが倒れないように気を配りながらやるのが結構大変だった。彼女は身体が弱いらしいし、自分でもわからないくらい消耗してたりするのでそれをすぐ隣で見てあげられるのはかなり大事だ。

 

 特に、カフェさんはもうすぐメイクデビューなので怪我などしないように慎重にならなきゃいけない時期だしね。

 

 あ、併走で最近ほんのちょっぴりだけカフェさんとの差が縮まった気がしないでもなかったのは変わったことかな。ほんのちょっぴりだけど。

 

 

 あー、それにしても熱い熱い。この時期は熱くてあんまり好きじゃないんだよね。

 どっちかというと冬のが好きかな私は、ホットミルクや豚まんが美味しい時期だし。私はホットミルクと豚まんが好物なんだよね。

 

 走ってたら余計熱くなるから、ずっとプールで練習していたいなぁ。

 

 

 

 X月XX日

 

 明日は彼女のメイクデビューの日。今日は練習も休みだ。私は通院だ。

 お医者さんから脳に強い負荷がどうこう言われた。正直よくわかんなかった。

 

 

 X月XX日

 

 カフェさんのメイクデビューは無事何事もなく終わった。

 私には見えなかったが、お友だちもとても楽しそうに圧倒的なスピードで走ってたらしい。

 お友だちに追い付くために頑張っていこうと、横に並んで遠くの方を向き決意を抱くカフェさんとトレーナーさんがめちゃくちゃ絵になっててエモかったです、ぐへへぇ。

 

 

 X月XX日

 

 お昼頃、薬をまた切らしたので、タキオンさんのもとへ向かい新しいのを貰いに行った。

 

 データが増えるのはいいけど、あまり服用しすぎないよう呆れながら注意を受けた。

 クスリも扱いを間違えるとリスクになるからあまり服用しすぎない方がいいってのは、以前チョコレートの香りが漂う彼女のトレーナーを見ているのでわかってはいるけど、私にはこれが必要だ。

 

 今は実験中だというので、それが終わるまで少し待つことになった。

 あの砂糖ジャリジャリの紅茶をさりげなく要求しつつ、薬を貰えるまでくつろいでいるとタキオンが美味しそうなお弁当を取り出しているのを見た。

 

 色合い、ごはんとおかずのバランスに、栄養も考えられていると思われる。

 

 タキオンさん料理できたんだ意外、カフェテリアに行かないで、わざわざお弁当で済ませるのは珍しいと思いつつぼけーっと眺めていたら、青白く発光した彼女のトレーナーさんがやってきた。

 

 何事かと焦ったけどタキオンさんは構わず実験を続けており、トレーナーさんは彼女の弁当を持ち、あーんして食べさせていた……と思う。   

 

 あまりに突然の出来事で、あの時の私は何の準備もできておらず、トレーナーさんの発光のせいでほとんど何も見えなかったのだ。

 すぐ側に!良さげな光景があったのに!!

 光ってる最中なんとか見ようと頑張ったけど、目が痛くなるだけで終わってしまった。会話からなんとなくあーんしてたのだけは伝わっていた。

 

 今のは何事かと訪ねると、実験中に両手を煩わせずに効率よく食べる方法がうんたらかんたら言っていた。

 

 ふーむ、あーんというのもあるのか、ぐへへ。今日は新しい扉を開けそうだ。

 

 X月XX日

 

 昨日見た光景をカフェさんとトレーナーで見たいために色々策を巡らせていたんだけど、これがなかなか上手くいかない。

 まだそこまで至るほどは仲良くなさそうだしなぁ、2人とも。

 

 そして1日かけて、とりあえず作戦がまとまったのでここにそれを記す。

 

 まず私がお弁当を作りだす→それをトレーナーさんにご馳走する→トレーナーさんは喜ぶ→それをカフェさんが見る→トレーナーさんと仲良くなったカフェさんが自分もお弁当を作り出す→カフェさんがトレーナーさんにお弁当を差し出す最中、私がうっかりトレーナーさんの箸を落としてしまう→箸は1つしかないので、カフェさんがあーんをする。

 

 まだ細かいところは考えてないけど、ほぼほぼ完璧な計画なのではないかと自画自賛してる。

 これからは策士のキィと名乗ってもいいかもしれない。

 

 さて、まず私が料理できるようになるところから頑張らないと。

 

 X月XX日

 

 少し前までめちゃくちゃ暑かったのに、今度はもうめちゃくちゃ寒くなってきた。

 早いものでもう雪まで降っている地域もあるらしいが、ここら辺ではまだまだ先の話になりそうだ。

 

 今日はカフェさんとトレーナーさんに、私が作ったお弁当を食べて貰った。

 まぁ、作ったのなんて初めてだし一応味見はしたが、多少は酷評されても仕方ない覚悟で事前に忌憚のない意見を頼んだけど、意外にも好評だった。

 

 トレーナーさんは唐揚げを特に気に入ってくれていた。唐揚げを頑張って作ったかいがあるもんだ。

 ああも褒められるとは思わなかったので、結構嬉しかった。

 

 

 X月XX日

 

 最近巷で流行りのLOVEだっちって言うドラマを見た。

 ウマ娘達の青春ドラマものでよく話題にはなってたものの、あんまり興味ない内容だったし、その時間は他の番組を見ていたから今まで見る機会がなかったが、ユキノちゃんが録画していたので、私とカフェさんとユキノさん3人で見た。

 

 内容としては結構過激な表現もあって驚いたけど、それなりに面白かった。食わず嫌いはダメだね。

 ただ青春ドラマっていうか全体的に百合要素が強かったのは少し合わなかったかなぁ。あんまり百合は刺さらないんだよね私は。

 まぁ、尻尾ハグの場面は見ててちょっと恥ずかしくなったけども。

 これが人間とウマ娘ならまた話は違ってきたりするんだけど、基本的に異性の恋愛が好きかな。

   

 少しだけ意外と言ったら失礼かもだけど、カフェさんはLOVEだっちがかなり面白かったようで、現在放送された範囲まで見終わると積極的に感想を述べて、ユキノさんと盛り上がっていた。

 私にも感想を求められて、少し困ってしまいとりあえず無難な感想を返しといた。

 

 

 X月XX日

 

 なんだかんだでもう年末になってしまった。今年はそれなりに充実した1年を過ごせたんじゃないかな。

 私は今、年末のほんの少し間だけ実家へ帰省するための準備を終えたところだ。

 途中、キャリーバッグがどこかへ消えたり、事前に買っておいたお土産が空へ飛んだりする怪奇現象に襲われたがカフェさんやトレーナーさんの手伝いもあって無事に終えられた。

 飛行機でも2時間くらいかかるから、なかなか実家に帰ってあげたられてないし、こういった機会は大切にしたい。

 普段ならそのまま年越しもあっちでダラダラ過ごして、このままトレセン学園に戻りたくないなぁってグダグダやるところだけど、今年は年越しまでには戻るつもりだ。

 

 X月XX日

 

 大晦日、トレーナー室でこたつをだして、鍋とコーヒーに囲まれながら贅沢な年越しを過ごした。

 つい先日、レースで1着を取ったカフェさんへのお祝いをこめた鍋でもあった。

 途中で電気が消えて鍋の中身が減る事件が起きたが、これはお友だちの仕業らしい。

 

 おのれー、私のお肉が!と少し怒ったが、お友だちは楽しそうにしているから許して欲しいといったカフェさんに免じて許そう。

 

 カフェさんも最近は体調が良いらしく、ほんの少し明るい表情を見れたので私も嬉しい。 

 

 来年も頑張ろう。

 

 ※

 

 

 寮の自室で、ユキノさんとキィさんと共に見たLOVEだっちというドラマを見た。

 あまり見たことのないタイプのお話だったけど、なんとなく共感できるような場面もあってかなり面白かった。

 これはユキノさんたちにも人気が出るのは、わかる気がした。

 ただ、ちょっと刺激が強い場面もあって、尻尾ハグの場面は見てて恥ずかしくなった。ユキノさんも大人だべと顔を赤面し、キィさんもへぇーと言いながらほんの少し頬を染めていた。

 

 その日の夜も、ユキノさんとドラマについて語った。

 話題に、尻尾ハグのことが上がるといつかそういうことをする相手が出来るのだろうかといった話になった。

 少なくとも、そういった相手はいないと言おうと思ったその時に、ふと金髪の彼女の姿を思い浮かび、言い淀んでしまった。

 

 「カフェさんは、もしかしてそういうことをしたいと思える人がいるンですか!?」

 

 目をキラキラとさせるユキノさんに困りつつも、どうだろうと改めて考える。

 彼女と出会って、そろそろ1年になろうとしている。お互いにそれまで面識はあっても、交流する機会はなかったが、ちょっとしたキッカケから始まって、一緒にお出かけしたり、旧理科準備室で一緒にコーヒーを飲んだり、一緒に練習したりと、ほとんど他人だった去年まで考えられないくらい親密になった……と思う。

 

 私は彼女のことが好きなのだろうか、それが特別な意味をもつものなのか友情なのか、複雑でわからない。

 それに、彼女は私のことどう思っているんだろう、良いふうに思ってくれていることはわかっているんだけど。

 

 例えば私が尻尾ハグに誘ったら、彼女がどう反応するのかわからない。

 笑いながら軽くOKと言ってやってくれるのだろうか──それはそれで何とも思われてなさそうで複雑だけど。

 困った顔をして断られるのだろうか、わからない。

 

 LOVEだっちでも、そういえば似たような場面があったなぁて思い出す。

 彼女は答えをだせていたけど、自分はだせるのだろうか。

 

 「……難しいですね、本当に」

 

 





 たくさんのお気に入り、感想、評価ありがとうございます。これからも頑張って書き続けていきたいです。

 すいません、私の判断で一部内容を削除しました。
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