OFF by BlueArchive 作:浄化された世界からこんにちは
出発の前に目的地…というか会う組織を答えたら当然ユメは聞いてきた。
「ゲマトリア?なんですかそれ」
「俺もアイツらの事についてはちょっとしか知らんし、数回程度取引した仲だが…神秘の探求者…裏ではキヴォトスの生徒にも手を出してるとかいう組織だな。カイザーのとこのスポンサーもしてるとか何とか」
「え…それ大丈夫なんですか?」
「大丈夫じゃないに決まってるだろ?」
既にユメの中でゲマトリアの不信度はMAXを越えて限界突破だ。だがもう答えを変えることは出来ない。
「不服だが、ここしか頼る場所がないからだ。ミレニアムに知り合いはいるがこんな道を手伝わせる訳にもいかない。ゲヘナは論外、トリニティは俺と相性最悪。クロノスは報道だから専門外。ヴァルキューレ?非合法医者だぞ?どうなるかなんて目に見えている。アリウスは個人的に関わりたくない。山海鉄道百鬼赤冬にはツテがほぼなし。本当に消去法でここしかない。」
そう言いながら自身の鞄から何かを探し出す闇医者。
「だが悪いこと企んでるから、情報が多いもんだ」
そして闇医者は鞄から取り出したお面をユメに投げ渡す。
「……なんですかこれ?」
「見てわからんか?お面だ」
「いやいや!そういう事じゃなくてですね!なんであなたペロロのお面を持ってるんですか!?」
そう、闇医者が取り出したのはモモフレンズの一体であるペロロのお面だったのである!
「この前のお祭りで依頼受けた時にお礼で貰った」
「え…えぇ…?」
「ほら、それ付けてさっさと行くぞ」
「え!?もっとマシなのありませんか!?」
「…あの〜ほんとにここにいるんですか?」
拠点から飛び出して既に半日、ゲマトリアらしき人物とは出会えず既に諦めモードのユメがそう言ってきた。
最初は名刺に書かれていた電話番号を闇医者が入力したが、もう既にその番号は使われていなかった。なので仕方なく足を使い広大なアビドスを彷徨っているのだ。
「…おかしいな、アイツの姿はキヴォトスじゃ見ない程特徴的だから一発で分かるもんだと思ったが…」
「早く見つけてください…このお面つけてから視線が痛いんです…」
見ると通りすがりのスケバンや明らかにカタギの雰囲気では無いオートマタ住民、何時もは敵の筈のヘルメット団の面々がこちらを見てヒソヒソと話している。ユメのメンタルはボロボロだ。
「仕方ない、あのカフェで休憩だな」
勿論人はいないので定員もいない椅子とテーブルだけがある空き家だが。
入口に最も近い椅子には既に人が座っておりその隣のテーブルを陣取る。
隣の人は何かに夢中なようでコチラの話は聞かれる事は無いだろう。
「はぁぁ……」
ついついため息が出てしまった。テーブルに肘をついて自身の母校であるアビドス高等学校の方に視線を向けてしまう。あの依頼を受けなければ自分は今頃いつものように学校にいただろうか…
「…はぁ、そもそも探してる人の特徴を私が知ってる筈もありませんでしたね…特徴言ってくださいよ」
またため息を吐いて闇医者に人物像を聞く。
「わかったわかった、スーツは黒色で…」
「スーツは黒…」
「顔はひび割れた感じの細身の男」
「ふむふむ…」
「……クククッ」
「そうだ、あと笑い方がクククッだった」
「それは中々強烈な人ですね」
「……なかなか出てきませんね…やはり孤独はキツイようで…」
「…すみません、ちょっと隣の人の独り言聞こえてるので注意してきます」
そう言って隣に目を向けると椅子の上で膝立ちをしながら双眼鏡で先程自分が見ていた方向…アビドス高等学校を見ていた黒色の不審者を目撃してしまった。
「…………?」
ユメは脳内の情報処理が追いつかなかった。今自分は何を見ていたのか理解したが理解したくなかった。
「………ん!?」
服は黒色、顔はひび割れたような細身の男。
「クククッ!」
そして笑い方が一致した。闇医者が探していた人物と完全に一致していた。
「…ククッ…ん?」
視線を感じたのか黒服の男がコチラと向き合う。2人の間に奇妙な時間が流れた。
「…あ、どうも」
「ククッ。はいどうも」
お互い会釈してそれぞれの席に戻る。黒い服の男はアビドス高にいる暁のホルスのバードウォッチングを再開し、ユメはペロロお面を闇医者に近づけて向き合った。
「すみません、電話貸してくれません?」
「ほらよ」
ユメは自身の携帯をビナーとの戦いでなくしてしまっており仕方なく闇医者の携帯を借りることになった。
プルプルプルプル…
「……あ、もしもしヴァルキューレ?」
「〜〜〜!!?」
黒い服の男が何かを喚きながら凄い勢いでコチラに来た。
「ククク…お久しぶりですね闇医者さん…あの時の返事を返しに来てくれたのですか?」
「確かに久しぶりだが俺はゲマトリアに入るつもりは無いぞ、今日は情報と取引をしに来たんだよ。クォッ…」
「黒服です。最近そう呼ばれ、気に入ったのでそう呼んで下さい」
「そうか、じゃあこれからはそれで」
「で、そちらの方は誰ですか?」
「あ、どうも…ユメです。アビドス校の…」
「!!アビドス校…!成程、そういう事ですか…ククククク…!」
「おい、なんか喜んでるとこ悪いが思考の海から帰ってこい黒服。俺が話したい内容はこの場で話すのはちと不味い、あと今起こっている出来事を擦り合わせたいんだ。お前達のアジトに案内してもらいたいんだが」
「ふむ…いいでしょう」
そう言って懐からオーパーツらしき物を取り出した黒服、そのまま手を出した。捕まれという事だろう。
ユメは闇医者と手を取り、闇医者が黒服の手を取る。一瞬の浮遊感から周りの景色は代わり何処かの室内になった。
「クククッ…ようこそ闇医者さん、ユメさん。ここが、ゲマトリアのアジトですよ」
「…殺風景だな」
「もうちょっと飾り気あった方がいいと思いますよね」
闇医者は部屋の内装を見て率直な感想を述べ、ユメはたまたま机の上に置いてあったお茶菓子を勝手に摘んで食べていた。
「…ククッ…貴方達ちょっと自由過ぎますね…」
少し顔のひび割れが増えたような気がする黒服に席に座れと促される。
対面に黒服が座りユメの隣に闇医者が座った。
「クク…さて、闇医者さん…名刺を渡してから私達と何度か交流をしてきた貴方が今回私達ゲマトリアに頼る…しかも情報の擦り合わせが目的と言いましたね?…隣にいるのがアビドス高のユメさん…この時点で話の概要はもう大体掴めていました。では言わせてもらいます、あなたは私達に何を対価に情報を得るのです?」
「え?対価?」
ユメは闇医者に「お金なんて持ってませんよ?」と言って困った顔をした。
「おや、闇医者さんも人が悪い。ユメさん、我々は依頼なら兎も角、基本的に個人とお金のやり取りはしません。そういうのは大企業とすればいいのですから。ですが、お金で取引しないからと言ってタダで協力などしませんよ?何せ我々は"悪い大人"なのですから。何かしら支払って…対価を頂くのです」
そう言って顔をユメに近づける黒服、ユメは思わず椅子ごと後ずさってしまう。
「あまりビビらすな。今回コイツの分を俺が支払う」
「おや、そうですか。では何を______」
「バーント」
「………ふむ」
「最近流行ってきているんだろう?俺のとこにもバーントになったキヴォトス人が来た」
「……あなたはアレが何か知っているので?」
「あのう、バーントってなんですか?」
大人二人の話が没頭しかけた所で何も知らぬユメが話しかけた。
「アビドス校…いや、キヴォトスで何処探してもバーントの詳細は知るわけがない。あれはキヴォトスの外で確認されていたものだからな」
「え!?」
「端的に言おう、あれは鬱病に近しいものだ」
バーント
キヴォトスの外で確認された人が狂暴的になる症状を持った奇病。
テンション値が極端に下がっている、所謂ストレスをとても感じている状態で発症する確率が高い。罹った者には分かり易く顔、身体を覆い尽くす程の黒い瘴気を噴き出す。
そして周りを見境なく襲い始める生きた悪霊と化す。暴れさせストレス解消等の消耗による解消は出来ず、基本的にバーントにかかっしまえば殺処分が当たり前。
死から遠いとされるキヴォトスの中で最も身近に死を与えられる症状____
「それが、バーント。この
「キヴォトスのバイオハザードが始まりますね、生徒だけではなく一般人も暴れるバーント、血で血を洗う世紀末に世紀末を重ねた個人戦争が始まりますね。それはいけません。キヴォトスが滅びる事は我々も望まぬ事なので」
「えぇ怖…私よくあの環境でバーントにならずにすみましたね…」
「今のお前は心配いらんだろう、バーントは条件さえ満たしていれば発症は極端に下がる。小さな幸せ、楽しみでもいい。少しでも幸福な出来事があれば発症する事は殆どない。ダメなのは自己肯定感が低く幸福な出来事が何も無いと思い込んだ場合だ。途端に呑まれるぞ」
「ヒェッ…」
「まぁそんな感じだ、どうだ黒服?満足したか?」
「………私別にその情報が欲しいなんて言ってませんよ?」
「…確かに」
「…ですが、私にとっても利益ある話が聞けました。今回は特別ですよ?」
「そうか、なら良かった」
「では、ご用件をどうぞ?」
「ここにいるユメ、表面上はどんな扱いにされている?」
「ふむ、少しお待ちを…」
そう言って端末を取り出した黒服はしばらく画面に顔を向けたままだ。
「そういや、お前の所に人形の仲間居た筈だよな?」
「マエストロの事ですか?彼は今野暮用で居ませんが」
「俺に義手を作ってくれないか頼もうとしたが、まぁいいか」
「いや良くないでしょう…貸1でいいのなら義手をウチで提供しますから」
「悪いね、何から何まで」
「いえいえ、マダムのお得意様となれば」
「赤豚ババァの事を今話すな、アイツはお得意様じゃない、お客様を神様だと当然のように思ってやがる精神異常者だ。お前達の所からも言ってやってくれ、ウチの薬を褒美のように与えるなちゃんと適量で与えろ、くたばる寸前まで無茶させんなって言っとけ。終いには更に効果が強い薬も要求するしお前ら今度は何を企んでやがる?」
「あれはベアトリーチェの管轄なので私は特に何も。出ましたよ闇医者さん」
端末をコチラに向ける。そこに映されたのは要約されたユメの依頼の内容とその後の事だった。
「ユメさんが受けた依頼ですが、ユメさんの他にも依頼のメールが届いた人がいるみたいですね。主に浮浪者や生活が危ない人を中心に発信されていたようです。そして現場管理として正規の兵も参加、ですが今回ビナーが現れた事によりユメさんは行方不明…いえ、実際にはビナーと戦闘し死亡…とした。カイザー側は勿論責任の追及をされました。ですがそれは不慮の事故という事で処理され、ビナーについての情報は秘匿。責任者は辞任。更にその場に参加した全員、正規兵も含めてクビにした…らしいですね」
「そ、そんな…」
「しっぽ切りか」
「つまりユメさんの今の境遇は不慮の事故で死んだアビドス生徒という立ち位置です。出ていけば寧ろカイザー側に非はなかったという証明になりますね」
「こ、これからどうしたら…!」
頭を抱え悩むユメ、自分は既に死んだ者扱いでアビドス校に戻れない。戻れば最悪今までの出来事を水に流され何も変わらなかった結果だけが残ってしまう。それだけは許せない。
「クククッ…所でユメさん、そんな貴方に耳寄りな情報が…」
そんな動揺しているユメに黒服は付け込んでくる。ユメにアビドスを救わせると思わせるために、その身1つ差し出すだけで大幅に借金は減るという話。
少しでも自身の目指す崇高を達成する為に、ユメという死んだ生徒を利用する為に。
自身の手元に置いておく為に…言葉巧みにゲマトリアへと引き込む為に。
「ククッ、どうです?後はあなたの意思で決めてください」
「私は、私…は…」
「待て、黒服」
「……どうしましたか?今はユメさんとの交渉です。あなたには関係ありませんが?」
「まぁ聞け、今そんなに言っても深く理解は出来んだろうさ、1度持ち帰らせればいいじゃあないか。期限は俺の義手が出来るまで。どうだ?」
「どうだと言われましても、あなたに口出しする権利はないですね…」
「す、すみません!もう少し考えてからでもいいですか…?」
「だとよ」
「………………………仕方ありませんね、分かりました」
黒服は渋々と言った感じだが了承した。
「それじゃ、要件も終わったし、お暇させていただくか。出来たらまたあのカフェで会おう。義手は何時くらいになる?」
「1週間ですね。はぁ…ゲマトリア加入の件といい、今回の件といい…やはりあなたは食えない方だ」
「そうか?お前さん程じゃないだろうが」
「お送りしますよ、メンバーでもない人物にアジトの場所を知られる訳にもいきません」
また同じオーパーツを取り出した黒服に掴まり、闇医者とユメはゲマトリアのアジトから黒服と出会ったカフェに戻って行った。
ゲマトリアメンバーで1番好きなのはデカルコマニーです。ゴルコンダ&デカルコマニーではなく単体でデカルコマニーが好きです。そういうこった。
先生の性別、どれがいい?
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男先生 アロナの落書きになりそう
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女先生 おっぱい大きいしだらしなさそう