今回最後の場面がすんごく悩んだ末、彼女が接触しました。はてさて、この先どうなることやら。
はい、皆さんこんにちはこんばんは。アスタルテin私です。
シド・カゲノーとかいう生徒が騎士団に連れて行かれてたんですが、何かアレクシア王女の誘拐事件の犯人の可能性があるとかで捕まったんだって。
何でも、彼が捕まる前日、アレクシア王女はシド・カゲノーと一緒だったという。それで容疑者として彼を捕まえたわけだが、どうにも嘘くさいなぁって。
アレクシア王女がシドを恋人に選んだ理由はゼノンへの『嫌がらせ』らしく、そして偶然にもそれに適した存在が居たから恋人にしたというのが、シド=カゲノーとアレクシアの恋幕の始まりだそうだ。あ、これ本人から聞いたのは内緒ね。
さてまぁ話を戻してと。シドが彼女を攫うために狙っていたとして、そんなモブみたいな見た目でアレクシアを落とせると本気で思っちゃいないだろう。だからまぁ、明らかにアイツらが関わっている可能性が高い。だが、情報が無い以上こちらとしても動きようがない。どうしたものか——と、そんなことを考えながら、医務関連の資料を提出しようと思い、アレクシア王女の姉、アイリス・ミドガル第一王女の居る執務室へ向かっていた時であった。
「あの子は無実です!」
……わーぉ。扉の向こう側で叫ぶ声が聞こえるなぁ。あの声から察するに、クレア・カゲノーだろう。この学園を主席で入学したエリートであり、シド・カゲノーの実の姉らしい。
……正直、入りづらいなぁ。
何というか、怒声というか叫ぶ人ってのはいくつになっても苦手である。耳に響くし、何より叫ぶほど精神に余裕が無いから、何かのきっかけでこちらに飛び火するのが怖い。こっちは資料を提出しに来ただけだってのに。
嫌だなぁ、怖いなぁ……。
何て、どっかの怪談話をするおじさんみたいな気持ちになりつつ、扉に手をかけ、「失礼します」と、扉を開け——ようとして、内側から思い切り開かれる。
「離して!シドは無実です!!アンタたちシドに何かしたら許さないんだから!!」
「いい加減にしたまえ!これ以上暴れるなら君も独房へ連れて行くことになるんだぞ!!」
たまたま後ろにいた私と、何か取っ組み合いのような光景になっているゼノン・グリフィとクレア・カゲノー。……いい加減イラついてきたな。先ほども説明したと思うけど、キンキンうるさい声は前世の頃から本当に苦手である。
なので先生、怒っちゃうぞ!
「……
「!?」
「!!」
全員が驚いたのか、こちらを向く。……アスタルテの口でスランプ英語を放つのって嫌なことだけど、止めるにはこうするしかない。ごめんなさいアスタルテ。
肉体はアスタルテ本人であるためか、感情を顔に出すことは出来ないものの、この時の私はめちゃくちゃ怒気が漂っていたらしい。というか内心怒ってるからね!
「……それで、どのようなご用件でしょうか?アスタルテ先生」
というわけで真面目タイム。
因みにクレア・カゲノーとゼノン・グリフィは退室した。あれだけ騒がしかったクレア・カゲノーは、帰る時はめちゃくちゃ静かになった。なぜだろうか。
ゼノン・グリフィはクレア・カゲノーを寮に送り届けるという理由で同じく退室した。
「医務室にて使用する器具や薬剤に関しての書類と物品の提出書です」
そう言って私は、手に持っていた資料をアイリス王女に渡す。
書いてあることは何の変哲もない、医務室での薬剤の使用頻度と、その取り寄せ発注依頼書とか。まぁ、助手に任せてた事務仕事の書類を出しに来ただけです。はい。
「あぁ、わざわざすみません……。本当なら、こちらから出向いて受け取るべきなのでしょうが、今はそれどころではありませんから……」
「……アレクシア=ミドガルの件、と推察しますが」
「……まぁ、アスタルテさんも察していましたよね。あの子が行方不明になって、手掛かり一つ掴めない状況なのです。そして唯一の手掛かりが、彼女とご友人だった——」
「シド・カゲノー」
「……はい。現状、彼が最も疑わしい容疑者として拘束させていますが、未だ証拠となるものが出ず……」
どうやら事件が難航しているのか、手がかりが全く見当たらないという。
「……魔力探知での捜索は」
「既にやっています。ですが、彼女の足取りは掴めないまま、空振りに終わってしまっています……」
うーん、手詰まり。
……なんてことはないんだろうけど、相手は巧妙に証拠を隠してる。身代金目当てではないだろうし、そんな相手程度に遅れをとるほど、アレクシア王女も弱くはない。
となると……。……これは、アイツら確定だな。
「……質問を要求」
「?何でしょうか、アスタルテ先生」
……目上に先生と呼ばれるのはむず痒く感じるけど、我慢。
「彼女がシド・カゲノーと最後に会っていた場所についての情報を要求」
「場所、ですか。詳しいことは分かりませんが、確かシド・カゲノー君の帰路に近い場所だと聞いています。それが何か……?」
「……情報提供、感謝します」
疑問に思うアイリス王女を気にせず、執務室を後にする。
……さて、向こうがどうでるか分からない以上、私も最大限警戒して行くかな。
というわけで数時間が経ちました。あの後、午後の仕事を助手に任せ、私はアレクシア王女の帰路を起点に手掛かりを探ってみました。
まぁ、帰路と言っても彼女は特待生なので、学園の寮までの道のりの何処かに手掛かりがあるだろうと思い、色々と魔力の残穢やらをみて回っていました。
結果は、うん。収穫ゼロ!
いやぁ、流石に向こうも中々尻尾は出さないかぁ。まぁ地道に探したところで向こうは証拠を残さないことは分かっている。しかし、こちらがアレクシア王女を攫った現場をウロウロすれば、向こうが勝手に出てくるだろうと思ったのだが、当てが外れましたよ。トホホ……。
仕方ないので学園に戻りますか。助手に仕事を押し付けてしまったし、ついでに美味しいお菓子でも買って帰りますか。
と、私が学園に帰ろうと踵を返した時だった。
「すみません、少々お時間よろしいでしょうか」
背後から誰かに呼ばれたので足を止める。
さて、どうしよう。声からして女性なのは分かったけど、いかんせん私には助手と武神のエルフ以外に女性の知り合いが居ない。そして、この声はどちらの声でもないので、本当に知らない人の声だ。
……となると。
「そんなにお時間は取らせません。ただ、少し取材をさせてもらえませんか?——アスタルテさん」
「…………。」
……あ、やべ。無意識に魔力練って戦闘体勢に入りかけた。しかし本当に誰だろうか。ちょっとふざけるのはここまでにして、ゆっくりと相手の方へ向き直る。
こちらから見て右に三つ編みがされた綺麗な銀色のショートヘアに、青い瞳。そして何より特徴的なのが、尖った耳。そう、エルフだ。何とも可愛らしさと、絶対に裏がありそうなあざとさを兼ね備えた銀髪のエルフ。
「…………。」
「あ、申し遅れました。私、本の執筆を生業としている者で、貴女のご活躍は聞き及んでおります。特に――」
警戒しているこちらをよそに、笑顔で話す銀髪エルフ。そして、最後の方だけ、私にしか聞こえないほどの声量でこう答えた。
「――太古の都市に住まう龍を倒した貴女には、とてもご興味がありまして」
その言葉に思わず目を見開く。それを口外した覚えはない。というか、あの場所に関しては常人が行ける場所じゃない。
……どうする。
「……そう警戒しないでください。こちらに敵意はありませんから。それに、其方にとっても悪いお話ではないと思いますよ」
相手は笑みを崩さない。これが強者の余裕という奴だろうか。こっちは心臓バクバクだってのに。
「……
「勿論ありますよ。——貴女が今捜索してる、第二王女の居場所について、とか」
……確信した。コイツ、ディアボロス教団の関係者か。なら今すぐ叩き潰す……と言いたいけど、何故コイツはその情報をこちらに流す?目的は何だ?と、いくら考えても答えは出ないまま。
……今は乗るしかないか。このビッグウェーブに。
「……
「……えぇ、それで構いません。私のことはどうぞ、ナツメと呼んでください」
こうして、この銀髪エルフこと、ナツメとかいう女性の取材を受けることになった。
……あと胸でっかいな。
「……」
……何かすんごく軽蔑してるような視線を感じたけど、気のせいだと思いたい。
感想、要望お待ちしております。
章ごとに幕間と本編分けてるけど、分けない方がいいかな。(さっき確認したら言ってることがおかしかったのでアンケート訂正)
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分けずに投稿しまくれ
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ソノーマーマーデイーイー