12話です。
「わざわざお時間をいただき、ありがとうございますっ」
「……」
愛想良く笑みを見せながら、カフェテリアの席に座るように彼女を促しつつ自分も席に着く。
何気なく立ち寄ったように見せたが、この店はガンマが経営しているミツゴシ系列のカフェであり、現時点で店員含め、この店にいる人員は目の前にいる彼女を除いて、全てシャドウガーデンのメンバーで固めている。
何故かと聞かれれば、これから行うことに対して『最悪の展開になった場合に備えて』と答えるしかない。
無論、何事もなく終わるならそれでいいが、相手は霧の龍をその身一つで倒したと言われいる強敵だ。私を含め、七陰全員で彼女と相対する場合なら勝ち目はあるのだろう。
だが、七陰全員を動かすとなると必ず目立ってしまう上に、このミドガル一帯を戦地にしかねないし、現状で動かせる人員の中に私たちは含まれていない。それに、仮に七陰全員で相対した場合、このミドガル国一帯が戦地になってしまう。なので、こうして彼女との話し合いの場を設けることにした。
――全く。こういう話し合いならガンマが適任でしょうに。
心の中で一人、愚痴をこぼす。だが、私が適任なのは自分でも納得している。仮に彼女が足を運んだとして、ここまで来るのにボロを出さないかが心配になる。それに最悪の展開の時、ガンマが目の前の彼女を止められるかは分からない。私でも止められるかは分からないが、彼女よりはマシだろうと。
話を戻しますが、我々シャドウガーデンが彼女に接触した理由は二つ。
一つは、シャドウガーデンへの同盟。
彼女の力は言わずもがな、知略に関しても我々に引けを取らないレベルでもあり、ディアボロス教団に素性が知られているにも関わらず、たった一人で今までその身を捕らえられたことなく五体満足で生きている。私にそれが出来るかと言われれば、無理と首を横に振る。
その手腕と、霧の竜を倒すほどの力が多少のリスク有りとはいえ得られるなら、交渉しない手はない。
もう一つは、『この件に関して手を引いてほしい』こと。
本来ならこの上ない戦力となる可能性のある人だが、今回に限っては余りに目立ち過ぎる。どういうわけか彼女はディアボロス教団から狙われており、裏の筋ではかなりの有名人になっている。
それを知ってか知らずか、こともあろうに彼女は堂々とあの王女と主人様が居た場所を辿るように何かを探しているというので、こちらの計画の妨げにならぬように釘を刺すという形で提案する。
の、だが……
「……」
——向こうが一切喋らない。こちらを警戒しているのか、眉一つ動かすことなく、こちらをじっと見つめている。私の出方を伺っているのだろうか。
彼女の視線は邪なものではないものの、何処となく目を背けたくなる。感情の起伏が一切伝わらず、まるで人形と顔を合わせているか、というくらいにその目からは感情が読めない。
「……っ」
落ち着きなさい、ベータ。相手が手練れとはいえ人間のはず。こちらを警戒するのなら、まずはその警戒を解すのが先。交渉に必要なのは、相手と自分が如何にメリットとデメリットの擦り合わせを行えるかどうかだ。
「そうですね。貴女に取材する前に、私から二つ提案があります」
「……。」
返答はない。恐らく続けろということだろうか。
「私とここで会ったことは他言無用でお願いいたします。私は色々と多忙の身のため、ここに居たことを知られると面倒になるので。
それともう一つ。……今後とも、こちらに取材の協力をしてくれることをお約束してください」
……少し攻め過ぎただろうか。少なくとも必要なのは前者の方。こちらは彼女の知りたい情報を可能な限り提示し、その見返りとして彼女の見聞を聞くという形で情報を探ること。それ以上は向こうが不利になる。さて、どう出るか。
「……
……言葉の意味は分からないが、了承したということだろうか。
何にせよ、一先ず情報の探り合いの土俵作りは出来た。問題はここからだ。
「……了承してくださり、ありがとうございます。では——取材、させていただきますね」
そう、取材。そう言うだけの、腹の探り合いだ。
「……ふぅ。何とか終わりましたね」
彼女——アスタルテさんとの話を終え、カフェテリアの紅茶を一口飲み、一息つく。
霧の龍を倒したことは、元より嘘では無いと確信していたため、改めて聞くことはなかった。問題はその後の交渉についてだ。
彼女の居場所について大まかな検討はついているため、見つけるのは容易い。だが、アスタルテさんは教団でも度々話に上がるほどの重要人物であるらしく、彼女の行動は警戒していたのは、教団の支部を潰して知った。
「……一先ず、これで彼女をこの件から遠ざけることはできそうね」
「……ベータ様。差し出がましいことを言うことをお許しください。彼女がこちらの要求を呑むでしょうか」
部下の一人が、怪訝そうに問う。
「……難しいわね。けど、彼女も私たちと戦う意志は無いと感じるわ。念のため数人で彼女を監視しているけど、アスタルテ医師が言葉通り『平穏』を望んでいるのなら、騒ぎは起こさないでしょうね」
「——教団から彼女に接触する可能性は」
「それこそあり得ないわね。彼等が自ら自分たちのことを曝け出す真似をするとは思えないわ。それに、真偽はどうあれ、あの龍が『死を覚悟した』と言わしめる相手に接触を図るのは、よほど実力の差を知らない大馬鹿だけよ」
私はそう結論付け、席を立つ。
「私はこれからシャドウ様のもとにむかうわ。貴方たちは手筈通りにことを運びなさい」
部下たちが「はっ!」と言う掛け声と共に、私も含めてスライムスーツに身を包んでいく。
懸念すべき問題はこれで無くなった。後はシャドウ様の号令を待つだけ。
——あぁ、シャドウ様。ようやく会えるのですね……!
その時の私は、シャドウ様に会えることに頭がいっぱいで考えもしなかった。いや、今にしては思えば予想外としか言い表せない。
何せ……。
ディアボロス教団は、私たちが考えるよりも『よほど実力の差を知らない大馬鹿』だったというのだから。
はい皆さんこんにちは。アスタルテ(inオリ主)です。
銀髪の胸でっかいエルフに『お茶でもどう?』と誘われた私は、まるで甘い匂いに釣られたカブトムシみたいに……って、違う違うそうじゃない。そこで色々私についての取材と……まぁ、取引を持ちかけられました。
要件は2つ。
・向こうが提供する情報に応じ、こちらも何かしらの協力をすること
・今回の王女誘拐の事件について関与しないこと
と。
……何で?と私は感じましたが、いかんせん私はディアボロス教団から悪目立ちしているので、下手に動かないでほしいとのこと。
まぁ、それが狙いで動いたんだけど、そのナツメという人曰く「ディアボロス教団はそんなに単純で馬鹿な相手ではない」ということなのです。だからそういう行動は慎めということです。……まぁ迂闊だったのは認めます。はい。
って感じで話は終わってからお店を後にして、首を長くして待っている助手のお土産を買いつつ学園に戻ろうと、人気のない場所を通りかかった時でした。
皆さんは伏線やフラグって言葉が本当だと思いますか?私は思いませんでした。
「……貴様がミドガル学院の女医、アスタルテか」
——目の前に、ナツメさんが言う
何か黒尽くめの、いかにもな奴が来た。しかも複数。
……うん、まぁそこまで馬鹿じゃないと思いたいんですけど、こういう時って嫌な予感は必ず当たるんですよね。
「肯定。其方の接触の仕方と魔力の性質から、ディアボロス教団と推定」
「やはりこちらのことは知っていたか。ならば、こちらの用は一つ。——抵抗してくれるなよ?、
黒尽くめ奴らの一人がニヤリと笑うと、こちらに武器を構えてにじり寄る。
何というか、どうしてこうも噛ませワンコみたいな台詞を吐けるのだろうか。台本でもあるのかな。色々と言いたいことはあるけど、一つだけ。
話が違うじゃねえかあの銀髪エルフぅぅぅぅぅぅぅ!!!!
感想、要望お待ちしております
章ごとに幕間と本編分けてるけど、分けない方がいいかな。(さっき確認したら言ってることがおかしかったのでアンケート訂正)
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分けずに投稿しまくれ
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ソノーマーマーデイーイー