眷獣を宿したホムンクルスになりまして。   作:黒色ぬーめん

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14話。やっと物語が動く……かも?
本当は二つに分けて投稿するつもりだったけど、文字数が少なかったので一括に投稿しました。なのでそこそこ長いです。

あと途中で書いてて「キャラ崩壊してないか……?」ってなったのでご注意お願いします。


14話 時には間に受けてみてもいい

 

さて、みなさん引き続きこんばんは。アスタルテの中身です。

今はなんと、この下水道みたいな場所にいますー。何でって?ここにアレクシア王女が居るんだって。さっきディアボロス教団の下っ端と『オハナシ♪』して教えてもらったから。

とはいえこうも広いと見つけるのは骨が折れそうだなあ。なんて考えながら歩いていると……。

 

 

「はっはっはっはっ……!こ、殺される……!皆殺しにされる……!くそっ……!」

 

 

いかにもマッドサイエンティストな顔の奴が走ってきた。やがて私の横を通り、脇目も振らずに走り去っていった。――何だあれ。

 

 

『——彼から僅かに第二王女の魔力残滓を確認。尾行を推奨』

 

 

……まぁ、なんか怪しいから後をつけてみるか。どうせ手がかりが無いし。よし、レッツゴー。

 

……あ、変装するの忘れてた。フード被れば何とかなるだろ。

と、私が今着ているフード付きのローブのフードを被ってから、血走った男の後をつけていった。

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

アレクシア視点

 

 

 

「……外が慌ただしいわね」

 

 

建物全体が揺れるような喧騒で、数時間ぶりに目を開ける。

ここに拘束され、血を抜かれての繰り返しをしてから何日が経過しただろうか。ここに拘束されている間、私——アレクシア=ミドガルが出来ることと言ったら眠ることくらいだ。

この喧騒の中で助けがくることを期待しながら、皮肉気味に呟いた

 

 

「……いっそ派手に壁でも壊して、この拘束具を壊してくれないかしらね」

 

 

なんて言いながら、拘束具をガチャガチャと鳴らす。我ながら相当ストレスが溜まっていたのだろうか。こんなことをしても意味が無いというのに。

 

そんなことをしていたら、隣人が顔を上げる。——隣人と言っても、化け物だけど。

 

 

「ごめんなさい。起こしてしまったわね。でも起きていた方がいいわ。きっと楽しいことが起こるもの」

 

 

何て、返ってくることもない会話をしていた時だった。

 

 

「……くそ、くそくそ……!」

 

 

勢いよく扉が開かれる。人に散々なことしてくれた男が、慌ただしい面持ちで入ってきた。

 

 

「ごきげんよう」

 

 

私の言葉を無視して、男は独り言のようにつぶやいていた。

 

 

「や、奴らが来やがった……!!お、おしまいだ!!もうおしまいだ……」

 

「諦めなさい抵抗は無駄よ。私の拘束を解いてくれれば、貴方の命は助けてもらうように頼んであげるわ」

 

 

――頼むだけだけど、と心の中で呟く

 

 

「あ、アイツらが見逃すものか!み、皆殺し……!皆殺しだ!!」

 

「騎士団が無用な殺生をしないわ。抵抗さえしなければ命までは取らないはずよ」

 

「騎士団!?騎士団なんてどうでもいい!や、奴らは、奴らは皆殺しなんだぁ!!」

 

「騎士団じゃない?」

 

 

錯乱しているのか、それとも騎士団とは別の組織が存在するのか。

 

 

「どちらにせよ諦めなさい。もう終わりよ」

 

「嫌だっ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!あ、アレさえ完成すれば!!」

 

頭を掻きむしりながら、血走った目で化け物を見つめる。——錯乱しきっていたのか、扉が開く音に気付かないまま。

 

 

「試作品は完成した……!こ、これなら出来損ないのお前でも役に立つ……!」

 

 

そう言って針の付いた装置を化け物の腕に押し付ける。

 

 

「やめておいた方がいいわ。嫌な予感がするもの。それに——後ろに気を付けた方がいいわ」

 

「さぁ見せてみろ!ディアボロスの――は……?後ろだって……?」

 

 

私の言葉に少し冷静さを取り戻したのか、男が後ろを振り向く。彼が振り向いた先には——白いローブに身を包み、フードを被った小柄の存在が男の前に立っている。

 

 

「お、お前は……お前は!!ア――」

 

 

その言葉が言い終わる前に、白いローブ姿の存在が男の胸元部分に手を触れる。そして——

 

 

「『(ゆらぎ)よ』」

 

 

それと同時に男が、爆風に巻き込まれたかのように吹き飛ばされ、「ぐぇあ!?!?」という声と共に壁に激突して倒れる。

 

 

「……アレクシア=ミドガルの生存を確認。加えて重度の魔力暴走状態の患者を確認。——最優先事項として、アレクシア王女の拘束の解除を開始」

 

 

そう言って私の拘束を解いてから、化け物の方に向かっていく。

 

——この独特喋り方と抑揚の無い声。そしてちょくちょくローブの隙間から見えるメイド服。まさか——

 

 

「……」

 

 

何かを終えると、ローブ姿の人物はこちらへ戻ってくる。ふと後ろを見ると、さっきまで化け物がいたであろう場所には少女が倒れている。

 

 

「!!……これはどういうことかしら……。後で色々と説明してもらえるんですよね?——アスタルテ先生」

 

「……前向きに検討」

 

「それ……絶対に言うつもりがない時の発言ですよね……?」

 

「……」

 

 

目を逸らした。図星だったみたいね……。

 

 

「……分かりました。なら貴方が話せる限りでいいです。けど——あの化け物……だった子についてははぐらかさないでくださいよ。」

 

「……善処」

 

 

本当に分かっているのかしら、この人は。……なんて思った時、妙に力が抜けてしまった。——あれ、どうして……。

 

 

「……」

 

 

アスタルテ先生は無言のまま、力が抜けた私を受け止めた。

 

 

彼女は何も言わない。表情も変わらない。けど、この人は私の気持ちを何故か察していたのかもしれない。

 

そして――そっと頭を撫でてきた。

 

 

「——ちょ、先生……!?そんな子供扱いは……」

 

 

急に撫でられて驚きつつも、どこか心が少し安らいでゆく。こんな小柄で、無表情で、何を考えているか全くわからない。私がずっと苦手意識を持っていた相手。そのはずなのに――。

 

 

「………………ッッ」

 

 

 

思えば急に拐われて、気付けばこんなところで拘束され、血を抜き取られたりと酷い目にあった。寧ろ、今まで平常心を保ててたのが不思議なくらいだった。

ストレスによるものなのかは分からないが、自分の心の中で何かが決壊したのだろうか。気付けば私は、この人に抱きついていた。

 

 

「……心配しないで(ノープログレム)。」

 

 

抱きついてきた私を受け止めながら、ほんの少しだけ優しい声が私の耳に届いた。

その言葉で遂に我慢していた感情が溢れてしまった。——怖かった。もう助からないのかと思った。そんな思いが溢れて止まらなかった。

彼女に抱きつきながら、彼女のローブを濡らしてしまったのは、私だけの秘密にしたい。

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

アスタルテ視点

 

 

 

 

あ、どうも。他人の涙で濡れたアスタルテです。

内心、『誠に遺憾です。バキバキアスタルテです』ってテンション上がっちゃったよ全く。前世でハマってたとある動画のノリがこんな時に出てくるなんてね。アレクシア王女が泣き出してしまったけど、まぁ未成年がこんな目に遭えば泣きたくもなるよね。

よしよし、怖かったねぇ。もう大丈夫だよ。アスタルテお姉さんが連れて行ってあげますよ〜。

なんて数分時間が過ぎたら……

 

 

「……あの、先生。もう、大丈夫です……」

 

 

流石に恥ずかしくなったのか離れていった。年頃の女の子ってこういう感じなのか。お勉強になりました。

 

——と、ふざけている場合じゃない。

 

とりあえずアレクシア王女の肉体に触れ、骨や内臓、筋肉に損傷が無いかを確かめる。

 

 

「っ……!くすぐったいですよ先生」

 

申し訳ありません(アポロジャイズ)、アレクシア王女」

 

 

まぁベタベタ触るものじゃないね。——とりあえず動けるか。

 

 

「——栄養失調による一時的な運動能力の低下を確認。許容範囲と認定。……追従を要求」

 

 

とりあえず気絶したままの女の子を抱えて、ここから脱出するための準備をする。

 

 

「……それとアレクシア王女。これを」

 

 

腰に下げていた剣を彼女に渡す。まぁ両手塞がっているから、腰にある剣を彼女に持たせただけだけどね。

 

 

「え、あの……私が使っていいんですか?」

 

「肯定。剣術に関しては私より貴方の方が技量は上と認識。よって貴女が所持していた方が適任と判断しました。それと、私は彼女を抱えた状態になるため、酷な要求を承知の上で、戦闘の際にはある程度の自衛を要求します」

 

「……仕方ないですね。流石にその子を放ってはおけませんし」

 

 

ちょっと不服そうだが、納得してくれたようで何より。さて、一旦ここから避難しますか。

 

私とアレクシア王女は、この血生臭い場所を一旦後にした。

 

 

——この時、完全に忘れてた。そこで気絶してたマッドサイエンティストみたいな風貌の男のことを。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

とりあえず案内して走っているけど、やっぱり遠いな。私は大丈夫だけど、アレクシア王女は大丈夫だろうか。

チラリと後ろを振り向くと、なんとか付いていけているという感じだ。とはいえあんな状態からいきなりこうして走るのはキツそうだな。魔力のおかげであまり気にはならないんだろうけど。

 

 

「——この先の曲がり角が脱出用の通路です。突入する際に通った箇所のため、後は道に沿って進めば脱出を——」

 

 

 

 

と、言い終わる前になんかの気配に気付く。……ははーん近くにいるなこれは。私は道の曲がり角を睨む。

 

 

「アスタルテ先生?何してるんですか?」

 

 

アレクシア問いかける。すると、その問いに答えるかのようにある人物の声が響く。

 

 

「勝手に逃げられては困るな」

 

 

そして曲がり角から見知った顔が出てきた。金髪の髪に矯正な顔立ち。そして自身に満ち溢れた笑み。

私はまぁ予想通りといった感想。だが、アレクシア王女は……

 

 

「あ、あなたがどうして……」

 

 

ひどく驚いていた。

 

 

「何故って?ここが僕の施設だからさ。私があの男に投資した。それだけの話さ」

 

 

あの剣術指南役であり、私が見た目を嫌うアイツ——金髪を揺らし、自信満々の笑みを浮かべたゼノン・グリフィだった。

 

 

 




感想、要望、誤字報告などお待ちしております

章ごとに幕間と本編分けてるけど、分けない方がいいかな。(さっき確認したら言ってることがおかしかったのでアンケート訂正)

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