眷獣を宿したホムンクルスになりまして。   作:黒色ぬーめん

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ストブラのソシャゲにアスタルテのスキンがあったらしく、気付かなかった。

ちくしょう!!!!!!!!!アスタルテ のバニー姿とか反則だろ!!!!


15話 例えば何かを台無しにしたいなら

 

 

アレクシア達がある部屋から脱出した数分後の出来事だった。

 

 

 

 

「何故だ……何故何故何故……!どいつもこいつも、僕の邪魔ばかりしやがって……」

 

 

アスタルテの一撃をくらい、男は地べたを這いずり回っている。

 

 

「くそ、クソクソクソ、クソォ……!!」

 

 

男は這い回りながら、ある装置へと手を伸ばす。

 

 

「まだ、試作品は使える……!ひ、ひひ……これがあれば、まだ研究は出来る……っ!」

 

 

そして装置を手にした瞬間——誰かに装置を奪われる。

 

 

「はぁ、あまり期待はしておらんかったが、この体たらくじゃったとはな」

 

 

美少年とも思える風貌と、その見た目からは似つかない年寄りのような口調の少年?が、装置を眺めながらため息を吐く。

 

 

「か、返してくれ……!そ、それは……僕、僕の……!」

 

 

足にしがみつく男を少年?は蹴り飛ばす。

 

 

「……こんな失敗作がそんなに恋しいか。それなら返してやるぞ。——貴様の身体にな」

 

 

蹴り飛ばした男の首を掴むと、その装置を押し付けて——中身を流し込んだ

 

 

「あ、がぁ……!ォアアアアアア!!!!」

 

 

男の肉体が黒く変色し、肉体が膨張を行い、そして——巨人のような怪物へと変貌した。

 

 

「ふむ……。不完全だが目眩しにはなるだろうな。さて、ワシは戻るとしようか。せいぜい役に立って見せろよ?……と言っても、もう聞こえておらんじゃろうな」

 

 

そう言って少年?は去っていく。その後、変貌した科学者っぽい男は咆哮に似た叫びをあげる。

 

 

「グゥオオオオオオオオオ!!!!!」

 

 

歯車は狂い始める。小さく、そして確実に。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、どうも。アスタルテになって……ってもういい加減この説明は飽きたか。

 

 

「投資、ね……。私、貴方のことずっと頭おかしいんじゃないかって思っていいたのよ——良かったわ。やっぱりおかしかったのね」

 

 

後ろでアレクシアが呆れ気味に言い放つ。

 

 

「どうでもいいさ、そんなことは。君の血さえあれば」

 

「どいつもこいつも血の話……。吸血鬼の研究でもしているのかしら?」

 

「君にとっては似たようなものかもしれないね」

 

 

……何か私を挟んで会話してるみたいですね。。——さて、どうしよ。今ならゼノンが隙だらけなんで瞬時に倒せるんだけど、アレクシア王女が出張ると困る。手負いだし、多分ゼノンには勝てない。

 

 

「……分かってると思うけど、貴方はもう終わりよ」

 

「終わり?一体私の何が終わるというんだ?」

 

 

ゼノンは変わらぬ笑みで問う。

 

 

「貴方の地位も名誉も剥奪、当然極刑。安心して、ギロチンの刃は私が落としてあげる」

 

「そうはならないさ。君は私と隠し通路から脱出する」

 

 

——わぁ、ロマンチック。吐き気がしそう。

 

 

「ロマンチックなお誘いだけど、私はアスタルテと同じく貴方のことが大嫌いなの」

 

 

うんうん。コイツは私も大嫌い——はて?

 

 

疑問(クエスチョン)。彼に対して嫌悪を露わにした記憶は皆無と弁明」

 

「——いや、先生気付いてないでしょうけど、ゼノンと居るときだけ『嫌いです』と言いたげなくらい嫌なオーラ発していたわよ」

 

「それについては私も同意しよう。——あからさま過ぎて、私も少し驚いたよ」

 

 

ゼノンにまで同意された。お前らこの野郎。それにしても……マジかぁ。そんなに漏れていたのか。アスタルテになり切ってたつもりだったのに。

 

 

「——とにかくそういうことだから貴方のお誘いは受け付けないわ」

 

「来てもらうさ。君の血と研究。それがあれば私はラウンズの第12席に内定する。剣術指南役などというくだらない地位ともおさらばだ」

 

 

へぇー。この人ラウンズに成りたかったんか。確か教団の中でめちゃくちゃ高い地位と名誉が貰えるとかいうやつ。

私には何が良いのか分からんけど。

 

 

「ラウンズ?狂人の集まりか何かかしら?」

 

 

そういえばアレクシアは教団について知らないんだっけ。……言っていいのかな。

 

 

「教団の選び抜かれた12人の騎士、ナイツ・オブ・ラウンズ。地位も名誉も富も、これまでとは比べ物にならないほど手に入る。既に実力は認められている。後は——実績だけだ。それも君の血と研究成果で満たされる」

 

 

大仰に手を広げてゼノンは笑う。

その様子を心底どうでも良さそうに眺めているアレクシアと私。

 

 

「どうでもいいけど、いい加減血の話はうんざり」

 

「本当はアイリス王女の方が良かったが、君で我慢しよう」

 

 

あ、お前何地雷踏んでんだ。そんなこと言ったら……

 

 

「ぶっ殺す」

 

 

ほらぁ、アレクシア王女怒っちゃったじゃん。この場面で怒らないで。冷静になってマジで。

 

 

「失礼、そういえば君は姉と比べられるのは嫌いだったね」

 

「……ッ!」

 

 

アレクシアの気迫の一撃が戦闘開始の合図——になることはなく、無論止めます。当たり前だよなぁ?

 

 

落ち着いて(クールイット)。今衝動的に戦うのは得策ではないと提言します」

 

「止めないでください先生!アイツのにやけズラをズタズタに——」

 

落ち着いて(クールイット)。冷静な判断を欲求。彼の口ぶりと魔力から、剣術指南での実力ではなく、その上だと推察します」

 

「そんなわけ——」

 

「おや、ネタばらしは感心しないなアスタルテ先生。……まぁ、君にはバレていたか。そうだ。私は今まで外部に一度も本気を出したことがない。君程度、出すまでもないからね」

 

 

ゼノンは私が押さえているアレクシアを見て憐れむような目で笑っている。——うーんムカつくね。

 

 

「そんなの、やってみなきゃ分からないでしょう!!」

 

 

私の制止を振り切って、ゼノンに本気でアレクシアは剣を振るう。

 

 

「いいや、剣術指南役の私が保証するよ。()()()()()()()()()()。折角だ、君に見せてあげようか。()()()()()()()()を」

 

 

彼女の本気の一撃。恐らくあの動きはアイリス王女の動き。魔力もそれに肉薄するレベルの一撃であろう。

 

——すごいな。私の魔力制御も取り入れてる。

 

何というか感心した。それだけ貪欲に剣を追い求める姿を何というかすごいなって思った。——けど、勝てるかどうかは別だ。

 

その一撃が、ゼノンの攻撃を上回ることなく、アレクシアが持っていた剣が弾かれた。

大気が震えるようなほどの魔力。アレクシアとは比べ物にならないほどの強大さ。

 

 

「え…………」

 

 

一瞬のことで、アレクシアは一瞬思考が止まっていた。

 

 

「——これで分かっただろう?君は凡人のままだ。私には勝てないよ」

 

 

その無防備になったアレクシアを蹴り飛ばそうとゼノンは蹴りを入れる——ことはなかった。

 

 

「『(ゆらぎ)よ』」

 

「なにっ!?」

 

 

ゼノンがアレクシアに注視していたせいで私の警戒を解いたので、とりあえず挨拶代わりに一撃叩き込む。

盛大に出口とは反対方向へ吹き飛んだ。

 

 

「お怪我は……?」

 

 

アレクシアに声をかける。茫然としてるような顔してますね。辛いよね。本気で行ったのにあっさり返し技されたら自信も失うよね。——けど

 

パシン!

 

 

「……ッ!?」

 

 

——とりあえず引っ叩く。

 

 

「辛いのは分かります。しかし、今すべきことは絶望ではなく、脱出することです」

 

 

彼女の頬を両手で覆うように掴み、しっかりと相手の目を見て訴える。いやほんとマジで頼むから。

 

 

「——……、……ごめんなさい先生。私、感情に任せて……」

 

 

なんかしおらしくなってる。

 

 

問題ありません(ノープログレム)。……なら、貴方は早く脱出を」

 

「……先生はどうするんですか?」

 

「彼の足止め」

 

「なっ、危険です先生!」

 

 

自分は考えなしに飛び込んだくせに。

 

 

「……彼がいる限り、恐らく追い付かれるのは時間の問題だと断定。それにゼノンがここにいるということは、この先が彼の言う脱出用の隠し通路だと推察します」

 

「でも……!」

 

 

うん。分かったから早く行こうか。……仕方ない。

 

 

「——彼女を任せます。それなら、貴方が先に行く理由になるかと」

 

 

背中に背負ってた少女をアレクシアに渡す。彼女を背負ってて巻き込めないから先に帰るって感じなら、ちょっとは罪悪感なく行けるでしょ。

 

 

「っ……本当に貴女はズルい人だわ……。……ああもう、いい!?絶対生きて帰ってきなさいよ!聞きたいことが山ほどあるんだから!」

 

 

そうしてアレクシア王女は、少女を抱えて出口へ走る。

 

——さて。

 

 

「……今の一撃は少し効いたよ。流石はアスタルテ先生。——いや、ホムンクルス」

 

 

ゼノンが何事もなく戻ってきた。うわピンピンしてる

 

 

「……解せないことが一つ。彼女の血に執着していた貴方が、わざわざ行かせる理由が皆無と判定。しかし、現状彼女を黙って行かせていますが」

 

「あぁ、その事か。理由は二つある。

一つは、『君』という存在だ。君は知らないだろうが、君そのものを連れ帰れば、ラウンズに昇格できるほどの実績になる。——君は教団から指名手配されているんだ。今は殆どが君が死んだと思っていたから動かなかったんだけど」

 

 

嘘だろ。私狙われてたんか。霧の龍とやり合ったことがバレたのかな。

とはいえ、それでもアレクシアを見逃す理由としては、まだ足りない。

その疑問を知ってか知らずか、自信満々の笑みを崩さないまま話を続けた。

 

 

「そしてもう一つは——君らが出口を目指すことは折り込み済みさ。今ごろ出口で騎士団に扮した私の部下が彼女を捕まえているだろうさ」

 

 

……あー、そういうことか。道理であっさりと見逃したわけだ。……これは時間をかけてられないな。

 

 

「……優先順位の変更。速やかにゼノンの制圧を最優先事項と判定」

 

「いい加減その喋り方も耳障りだな。いいだろう。君はアレクシア以下の凡人だが、稽古を付けてやる。ただし、実践形式のな!」

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

アレクシア視点

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……。ホント、ついてないわね……」

 

 

先生が私を先に行かせた。その直後に大きな魔力を感じ取り、あの人は本当に私を脱出させるために囮になったのだ。ただ——

 

 

「……そりゃそうよね。逃げ出す相手を逃すわけない、か……」

 

 

出口で待ち伏せしていた奴らに不意打ちを受ける。幸いにも抱えていた少女に怪我はないものの、私は受けた攻撃で剣を落としてしまった。

 

 

「……はぁ。ホント、嫌になるわ……」

 

 

これまでの出来事が走馬灯のように浮かび上がる。

姉様のこと。当てつけに付き合ったあの男のこと。そして——無表情なあの先生。

 

 

「…………ああもうっ!本当についてないわ……!」

 

 

痛む手を抑えながら、落とした剣を掴んで構える。

ジリジリと詰めてくる奴らに、せめて最後まで抗ってやるわよ!どうせ私には、それくらいしか出来ないけど!

 

 

「……来なさい。一人ずつ切り落とてやるわ……!」

 

 

倒れている少女を庇いながら、剣を構えた——その時だった。

 

 

「——ほう。大した胆力だ」

 

 

待ち伏せていた奴らが、瞬きする間も無く全て切り伏せられる。

断末魔も吐くことすらなく、あっさりと。

 

 

「え……一体……」

 

 

いきなりの出来事に脳が追いつかず、思わず辺りを見回す。と……

 

——漆黒のロングコートを纏った男がいた。全身に漆黒を纏い、フードを深く被っており、顔には奇術師のような仮面。

 

 

「…………」

 

 

男は私を一瞥すると、そのまま私が来た道を歩いていく。

 

 

「ま、待ちなさい……!貴方は一体……!」

 

「——シャドウ。陰に潜み、陰を狩る者」

 

 

それだけ言ってそのまま去っていく。

 

 

「待って!まだ話、は……」

 

 

そう思うも、力が入らない。身体も限界が来ていたのか、その場に倒れてしまう。薄れゆく意識の中で、もう一人漆黒に身を包んだ奴が現れた。

 

——そこで私は意識を手放してしまった。

 

 

 

 

 

『——後はシャドウ様に任せて、今は眠りなさい。アレクシア王女』

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今、クソみたいなイケメンを合法的に殴れる場面に居ます。さて、そのイケメンクソ野郎こと——ゼノン君はというと……

 

 

「さぁどうした!避けてばかりでは俺は倒せないぞ!」

 

 

大いに剣を振るって私に襲い掛かります。本気で来てます。でもアレですね。これなら素手で行けそうなくらい遅いです。やっぱりあの武神とかいうエルフは凄かったんだね。

とまあ、そんなこと考えながら剣の軌道を読みながら当たらないように避けてます。縦に切ってきたら横に半歩ずれて身を躱し、横に薙ぎ払うように降ってきたら半身を後ろに倒れるように避けて攻撃を受けないようにしてます。

 

 

「はぁ、はぁ……やるじゃないか……。流石にあちこち回っていただけはある……。だが、いつまでも私に構っていていいのかい?」

 

 

息を切らせながら、不敵に笑うゼノン。

 

——まぁその通りだな。

 

とはいえ太刀筋は何度か見かけたし、さっきの攻撃が本気だとするなら——もう底が知れた。後は放つだけ。

 

 

「……」

 

 

ゼノンが横へ薙ぎ払うように剣を振るった。それと同時に片足を屈伸させ、しゃがむようにして剣を避ける。そこから脚に魔力を込めて、流れるように足払いを放つ。

 

 

「な、なに……っ!?」

 

 

向こうが足払いをされると思わなかったのだろう。転びはしないものの、剣を振るった後に足への強い衝撃は、態勢を崩すのに充分だった。

 

——そして……

 

 

「『(ゆらぎ)よ』」

 

 

私が前世で何度も見た見様見真似の技を叩き込む。

確か呪力か霊力だったか。それを急速に込めて、掌に集中し、そのまま相手の装備越しから叩き込む。

 

——私の場合は魔力を反発させて内臓を軽くズタズタにするだけなんだけど。

 

 

「ぐぅあぁぁ!?!?」

 

 

まるで心臓を直接殴ったと思うくらいの内部破壊だと思うけど、流石はディアボロス教団。硬いね。

 

 

「ぐ、何だこの威力は……っ。最初のが可愛く見えるほどの一撃だ……。咄嗟に魔力で防がなかったら、死んでいたな……」

 

「……。」

 

「……あのジジイの言う通りだった……。侮ればこちらがやられる、か……」

 

 

フラフラになりながら、剣で体を支えるようにして立ち上がる。

 

 

「降伏を推奨。先の攻撃で内臓の大半に深刻な損傷を受けたと推察。これ以上の戦いは——」

 

「舐めてもらっては困るなホムンクルス……。私は次期ラウンズだ。貴様の攻撃程度で死ぬと思うな。それに、こちらにも切り札はある……。出来れば君相手に使うのは嫌だったんだが……!」

 

 

 

そう言うと、ゼノンは懐から赤い錠剤の入った瓶を取り出し、その錠剤を一気に飲み込む。——あ、一個余った。

 

 

「君もこちらの生まれなら知っているだろう……?この錠剤によって、人は人を超えた覚醒者となる。しかし常人ではその力を扱い切れず、やがて自滅し死に至る。だが——ラウンズは違う。その力を制御できるものだけが、ラウンズになる権利を得るのだ」

 

 

……なんか講釈垂れ流し出したんだが。

と思っていると、魔力が暴風となって吹き荒れた。一瞬にしてゼノンの傷が治る。筋肉は締まり、目は充血して毛細血管が浮き彫りになる。

 

 

「覚醒者3rd」

 

 

自信満々にそうゼノンが呟く。何と言うか、ゴツくなりましたね。

——というか、あれ魔力暴走じゃないのか?

 

 

「……目の充血、肌の変色。その他の身体的特徴から、『魔力暴走』に酷似しているものと推察」

 

 

……成る程。女性にしか発現しない【悪魔憑き】、もとい魔力暴走。それを擬似的に起こし、尚且つ制御することで自分の肉体を限界以上にまで高める。

……まぁ、科学者の立場だったらいいとは思うけど。

 

足元に転がった瓶を拾い上げ、残った一粒を眺める。

 

 

「——……。」

 

 

そしてこれが、疑似的に魔力暴走を起こす薬、と。

 

 

「……疑問を提唱」

 

 

正直、私には理解が出来ない。わざわざ魔力暴走を引き起こし、扱えるかどうかも分からない状態の中で力を望む。——そこまでして、何を得たいのか。

 

 

「何だ?命乞いか?」

 

「……そこまでして『ラウンズ』という称号は得る価値のあるものなのか、現状の判断として皆無と判定。よって、疑問を提唱。——そこまでして、得る価値のあるものなのか」

 

 

……その瞬間、空気が凍ったかのように静寂が二人を包む。

 

 

——なんか、言っちゃいけない事言っちゃいましたかね……、

 




感想、要望、誤字報告があったらよろしくお願いします。

章ごとに幕間と本編分けてるけど、分けない方がいいかな。(さっき確認したら言ってることがおかしかったのでアンケート訂正)

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  • ソノーマーマーデイーイー
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