眷獣を宿したホムンクルスになりまして。   作:黒色ぬーめん

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カゲマス、イベントやってますね。
ウィクトーリアって意外と良識とかあるんだなって感じました。


21話 張り巡らされるTRAP&HATE

 

助手視点

 

 

陽が落ち、月が夜の空を登らんとする時刻。彼女──ミリアは裏路地を探索していた。

 

 

「……ここも収穫なし、と。」

 

 

アレクシア王女と共に、最近噂になっている人斬りの調査をすることとなった。本来なら騎士団の仕事なのだが、腕利きの騎士団の数人も被害に遭っているとの報告もあった。

 

 

「……そしてシャドウガーデンと名乗る存在、か」

 

 

ため息を吐きつつ、裏路地を進んで行く。

──シャドウガーデン。その名を聞いて思い出すのは、あの事件で出くわしたエルフ。

仮面と羽織っていたローブのフードで素顔ははっきりと見えなかったが、金色の髪と、仮面越しから見えた碧眼。

そして何より、ただ立っていただけなのに隙の無かった佇まい。

あの時もし戦いになっていたら、万全な状態なのを差し引いても勝てる見込みが薄かった。

 

 

「……あれほどの存在が、わざわざ意味もなく辻斬りを行うのものなのだろうか……」

 

 

なんて考えていた時だった。

何処かで大きな魔力の流れがあったのか、それを感じ取った。

 

 

「!!今のは……」

 

 

その魔力を感じ取った私は、即座にその場を後にして発生源へと足早に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

アレクシア視点

 

 

 

 

「諦めなさい。貴方に勝ち目は無いわ」

 

 

目の前の黒尽くめの剣士に私はそう告げる。

黒い外套は切り裂かれ、血痕が石畳を染めている。もう一押しあれば、私が彼を斬ることは容易いだろう。

 

 

「なぜ罪もない人を殺めるの?これが貴方たちの戦いなの?」

 

「我らは『シャドウガーデン』……」

 

「さっきからそればっかり。それが貴方の組織の意思なの?」

 

「我らは『シャドウガーデン』……」

 

 

……先ほどから同じことを機械のように繰り返すだけ。そして、そう呟きながら、相手は攻撃を放たんとする。

無論、アスタルテ先生との特訓をこなした私とって、そんな攻撃は届かない。攻撃に合わせてカウンターの如くこちらも剣を振るい、相手の剣を弾き飛ばした。

 

 

「──終わりよ」

 

 

とどめと言わんばかりに次の攻撃に入ろうとした時だった。

 

 

「……ッ!」

 

 

突如背後から繰り出された斬撃を、私は咄嗟に転がって避けた。

更なる追撃を防ぎながら、相手の腹部を蹴り飛ばして距離を取った。

 

 

「参ったわね……」

 

 

同じ黒い外套の魔剣士が新たに2人。

形勢逆転。数の利によって、こちらが不利に回った。更に、最初の男が剣を拾ったことで更に状況は悪化する。

これで相手は3人。いずれもアスタルテ先生やアイツほどではないが実力者だ。

 

 

「か弱い乙女に3対1だなんて酷いわ」

 

 

会話に付き合ってくれることを心の中で祈りつつ、剣を構えながら牽制する。

 

 

「そうだ。1対1を3回やりましょうよ。ダメ?」

 

 

立ち位置をずらしながら、背後を取られないように動く。

 

 

「ほら後ろを見て、お月様があんなに綺麗」

 

 

背後に回ろうとする男を視線だけで牽制する。剣を細やかに動かし、互い探り合う。その最中、私はチラリと、ある人物の特徴的な青髪が目に入る。

 

 

「あら見ないの?連れないわね。でも、斬るなら早くしたほうがいいわ」

 

 

悟られないよう、牽制しつつこちらに引き付ける。後は……

 

 

「──怖い怖い、私の先生が直ぐそこに来ているもの」

 

 

──その人物が懐に入るのを待つだけ。

 

 

「──(ゆらぎ)よ」

 

 

その呟きと共に、背後に回らんとしていた男が、腹部に爆弾でも食らったかのように吹き飛ばされる。

その光景に、他の2人の男は呆気に取られ、大きく隙が出来た。

 

 

『死ね』

 

 

その隙を逃さず、心の中で嗤う。

黒い外套を斬り、鮮血が舞う。しかし、まだ浅かった。

 

そして、隙を晒したのは自分でもあり、もう1人の男が私に攻撃を仕掛けた。

 

──その攻撃は届くことなく、アスタルテ先生が背後から先の技を放ち、その衝撃でまた吹き飛ばされる。

 

 

「……油断大敵、と忠告」

 

「ご忠告どうも──」

 

 

淡々と私を注意するアスタルテ先生。

残るはトドメを刺し損ねた最後の一人。

 

 

「……」

 

 

戦力的に不利と悟ったのか、逃走を図る黒い外套の男。だが、予期せぬ相手が更に現れる。

 

 

「──」

 

 

同じく黒い外套に身を包んだ女性が現れ、逃げた相手を容赦なく屠った。

 

 

「新手……ではなさそうね」

 

 

黒いローブに身を包み、仮面を付けていて素顔は分からないが、背丈と内に秘めた魔力から見るに、相当の剣士だと感じとった。何より、さっきあの男を屠った一撃は、私でも目視できなかった。

 

 

「……シャドウガーデン」

 

 

アスタルテ先生がそう呟く。そこで納得した。コイツが、本当の『シャドウガーデン』だと。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

アスタルテ視点

 

 

 

 

どうも、何か巻き込まれたアスタルテです。

アレクシアの気配があったので様子を見に来たら、人のことを怖い先生だとか言ってました。悲しい。

 

とはいえ襲い掛かってきた黒い奴らは無力化したんだけど、なんか新しいやつが来た。

 

 

「先程斬り捨てた者も『シャドウガーデン』と自称していました。簡潔に問います。これは『シャドウ』の意思ですか?」

 

 

斬り捨てたやつを見据えて、私は一歩だけ前に出る。一人なら大したことないんだけど、アレクシアを守りながら戦うってなるとかなり難しくなってくる。……さて、どう出るか。

 

 

「……貴女になら話しても大丈夫でしょう。『いいえ』、と答えておきます」

 

 

……ふむ、やはりシャドウの仕業ではないのか。

 

 

「そう。けど、それを『はいそうですか』なんて言って信じると思う?シャドウガーデンさん?」

 

 

アレクシアが剣を構えたまま警戒している。適度に相手を煽りつつも、一切目を離さずに捉えている。

それに対して相手はそれを意に介さず、淡々と告げる。

 

 

「──ご自由に。それと、この男達は貰っていきます。貴重な情報源ですので」

 

 

近くで伸びている男の一人を雑に掴んで運ばんとする。

 

 

「ちょっと、待ちなさい!」

 

止まって(ストップ)。こちらの目的は彼女を追うことではありません。それに──下手に追えば、こちらも無傷では済まなくなります」

 

 

去っていく本物のシャドウガーデンの一人を追おうとするアレクシアを制止する。

 

 

「それにMs.アレクシア。貴女も理解はしているはずです。『相手はかなりの手練れ』だと」

 

 

その言葉に、アレクシアは言葉を詰まらせる。

……やれやれ、せっかく甘い物を買ったのに酷く疲れたよ。帰ったら一つ食べるか。

 

──そこで私は忘れていたことがあった。

 

 

「……購入品の紛失(ロスト)

 

 

あの戦いでチョコやらクッキーやら、どっかにやってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

視点無し

 

 

 

 

 

とある廃墟。

甲冑に身を包んだ痩剣士と、赤いバンダナが特徴的な男性──ネームレスチルドレンの一人、レックスと……一分の教団の構成員が集まっていた。

 

 

「……やはり、あの程度では話にならんか」

 

「あっけなくやられちまったらしいな。応援に来た奴らも大半な」

 

 

痩剣士の呟きに、レックスは軽口で答える。

 

 

「で?どうすんだアイツ。真正面からやり合ったらオレでも難しいんだが……」

 

 

笑みを消し、真剣な眼差しで痩剣士を見る。

 

 

「問題ない。多少誤差はあるが、計画に変更はない。計画の始動と同時に、最優先で奴を無力化してもらう」

 

 

その視線に対して意に介さず、淡々と話す。

 

 

「悪いが、相手が相手なんでな。手加減せず殺しちまうぜぇ?」

 

「構わん。最悪死体でも、持ち帰れば手柄にはなる」

 

 

その言葉に、レックスはニヤリと笑みをこぼしたのだった。

 

章ごとに幕間と本編分けてるけど、分けない方がいいかな。(さっき確認したら言ってることがおかしかったのでアンケート訂正)

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