うーん、カオス。
そして、今回は霧の龍視点です。
書き溜めはここまでになるので、今後は投稿頻度が落ちます。悪しからず。
強大な魔力を一瞬感じた。存在を消すかの如く蔓延るこの霧の中で、一際目立つ魔力の奔流を。——いや、奔流とは違う。魔力という塊をそのまま動かしたようなもの。今まで一度も感じたことがない、初めての感覚であった。
この胸騒ぎとも言える鼓動の早さに導かれるまま、魔力反応があったその場所までわしは向かっていった。
「ここがあの反応があった場所か……」
魔力があった場所は既にもぬけの殻であった。しかし……
「……僅かだが、残穢が残っている。まだ遠くに行っていないようだな……」
それに、これは人間の魔力ではない。これはまるで——
そう考えていた時であった。我の近くから人間が生えてきた。青い髪色に、ターコイズのような瞳と、幼さの見える顔立ちであるが、まるで無機質とも言える表情をしている人間が、じっと此方を見つめていた。
しかし、我がその人間に対して感じ取ったのはそれだけではない。……あの異質な魔力と似たものが、この人間から……。否、正確にはあの人間が掘ったであろう穴から感じられる。恐らくコイツがあの魔力の正体だと確信したいところだが、アレほどまでに感じた強大さが一切無く、不気味であれど、見た限りでは脅威とは思えないほど、あの魔力の反応が薄い。だが……
「……ここに足を踏み入れた以上、霧と共に消えるがいい」
わしは当たり前のごとくその人間の前まで飛び、己の爪で引き裂かんと腕を振り下ろそうとした。——そして、わしの疑念は確信に変わったのだった。
「【
——
人間のつぶやきが聞こえた次の瞬間、あの時感じた強大な魔力が現れたと同時に、わしはいつの間にか何かに掴まれ投げ飛ばされた。
――何が起きた?
そうして体勢を立て直したわしの目に見えたのは、正に異質と言えるものだ。
あの人間の背から生えているのは、あの人間が包めるほどの、虹色に煌めく半透明の巨大な腕。
――分からぬ。アレが何なのか、何の力なのか。われが幾千も生きた中でも分からぬ謎の腕。しかし、その中でハッキリと分かるのは、
――アレは、世界に呪われた己を殺し得る腕である——ということだ。
「……面白い。久方ぶりにわしが恐れるとはな。——その異様な腕を持つ者よ。貴様の名を聞こう」
人間の表情は変わらない。しかし、それに応えるように、相手もわれに名乗った。
「——アスタルテ」
「……その名、覚えておこう。永く時を過ごした中で、わしを殺し得る者の名としてな……ッ!!!」
その言葉と共に、己の気を引き締めるかのように咆哮する。
——これより先は、わしも死を覚悟せよ、と。
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