背中から生えた異質な腕で、アスタルテは霧の龍を攻撃せんと距離を詰める。普段ならどのような攻撃なのかと敢えて観察するが、あの腕を警戒する以上、馬鹿正直に待つほど、霧の龍も慢心はしていない。
「真正面から来るか……。笑止!」
霧の龍は己の魔力を口元から練り上げ、ブレスのようにして放つ。しかしその魔力は一直線に飛ぶのではなく、拡散し、個々がアスタルテを狙うかのように四方八方から襲い掛かる。
「……」
対するアスタルテは、飛んでくる魔力を時に躱し、時にはその半透明の異質な腕で防ぎつつ、距離を詰めていく。
防がれた腕は傷一つ付くことなく、綺麗なままのようだ。
——これでは決定打にならぬか。
もう一度魔力を練らんとするが、アスタルテは眼前まで距離を詰めており、その半透明の拳が、龍の身体に放たれる。
「ぬ、ぐぅぅぅぅ……!?」
久しく感じる痛みに、霧の龍がわずかに悶える。目の前の少女からは考えられないような破壊力の拳に驚きながら、またも龍は吹き飛ばされる。
だが、その吹き飛ばされた衝撃を利用し、上空へ飛翔し、魔力を練ってから、また攻撃を始める。
今度は拡散させるのではなく、魔力を収束させて、アスタルテという一点を狙い、ブレスのようにしてを放つ。対するアスタルテは、半透明の両腕を掲げ、そのブレスを防ぐ。
「これでも効かぬか。中々に手強い相手。……しかし、妙な違和感——ッ!?」
突如として、霧の龍は自身の肉体かれ力が抜けてゆく感覚に襲われる。そう、まるで魔力を失っていくような感覚に。
そしてその倦怠感による隙を突かれたのか、アスタルテが大木を投擲する。
そのダメージはないものの、倦怠感と不意を突かれたことにより、霧の龍は飛行を維持出来ず、地上へ落とされる。
「馬鹿な……。わしの魔力が無くなるじゃと……?それに、彼奴の周りだけ霧が無い……?何故だ。……いや、まさか……」
その結論を出す前に、アスタルテが追撃とばかりに攻撃を仕掛ける。咄嗟に防御耐性を取って攻撃を防ぐものの、殴られる度に魔力を吸い取られる感覚が微弱ながら強まっていく。
「ぐっ、ぐぁぁぁ!!!」
己の爪でアスタルテを振り払う。その攻撃を躱すように飛び退き、距離を取るアスタルテ。
「……成る程。貴様のその腕、魔力を吸い取るようだな。……いや、吸い取るのは魔力だけではないな?」
龍の問いに、アスタルテは「肯定」とだけ答える。
「魔力だけを吸い取るのなら、貴様の周りだけ霧が晴れている理由に説明が付かん。その霧を吸い取って魔力に変換し、己の力として蓄える。だからわしの霧の影響を受けることなく戦えるということか。……流石だな、アスタルテとやら。その腕……アーティファクトの類でもない。似たようなものはこの世に存在するのだろうが、貴様のは似て非なるもの。……このような強者に出会えるとは思わなんだ」
「……」
アスタルテは答えない。一貫してその表情に変化は無く、感情というものを感じさせぬような顔で龍を見据えるだけ。
「……答えぬか。だが良い。わしも言葉より戦いで語る方が好きだぞ。……だがここまでだ。魔力を吸われれば長期戦はこちらが不利。だからこそ、この一撃で貴様を葬ろう……!!!」
龍は咆哮し、また魔力を練らんとする。
アスタルテはそれを阻止せんと、龍の元までまた走る。
が、その足が竜の元へ届くことはなかった。
アスタルテが持つ腕。
これは眷獣と呼ばれる使い魔であり、個体名は『薔薇の指先』。
自らの血の中に使い魔を宿し、使用者の魔力を使って顕現する。その戦力は、言ってしまえば下級の眷獣でさえ戦車並の力を持つと言われるほど。
本来その力は、吸血鬼や不老不死と呼ばれるような存在にしか使えない。
何故なら、『実体化の代償として宿主の寿命を喰らう』からだ。吸血鬼、若しくは不老不死に準ずる者以外が召喚すれば、たちまち生命力を吸い尽くされて死に至る。それは——
「かはっ……!?」
——ホムンクルスであるアスタルテも例外ではない。
魔力を食らう能力は、眷獣の能力を上げる以上に使い手の延命措置も兼ねたものである。が、それでも限界というものは存在しており、そもそも3度も薔薇の指先を使用したのだから、本来ならここに来る前に事切れていてもおかしくはない。
つまるところ、アスタルテの肉体への負荷が限界に到達した。
加えて、彼女にとってより最悪な事態が訪れる。
「ッ……!!」
「——どうやら貴様の肉体が限界を迎えたようだな。いや、その手足の腐りよう、魔力暴走を起こしているのか」
このタイミングで、アスタルテの身体が魔力暴走を起こし、自身の手足が腐り始めたのだ。
「……何とも呆気ない幕引きだったな。……せめてもの情けだ。わしが引導を渡そう」
龍は魔力を練るのをやめず、確実にアスタルテを倒し切るほど魔力を練っていく。
肉体が腐るスピードが早まってきたのか、もう立つことも出来ずにいるアスタルテが、初めて焦燥に満ちた表情で龍を睨む。
「――さらばだ。我を倒せし者よ」
その言葉と共に、龍の口からブレスのような魔力が放たれる。まるでレーザーのように放たれた魔力によって辺りが大爆発を起こし、一時的に霧が晴れるものの、また光を遮るように霧が立ち込める。同じように、辺りには先ほどの攻撃によって土煙が舞い、どうなったのか目視できないほどまで視界が悪くなっていく。
土煙が薄れ、アスタルテが居たであろう場所には……
虹色に煌めく、顔のない人形の存在。
それは先ほどの腕とは比較にならぬほどの濃密な魔力を龍は感じ取る。
「何だと……あれを喰らってまだ生きてるだけではなく、奥の手もあったとは……。一体、それは何だ……!?」
驚愕する龍を他所に、アスタルテは自身の行動を復唱するように呟いた。
「……【
オリ主「Zzz」
陰の実力者になりたい原作主人公「僕の出番まだかな?」
シドくんの出番、まだまだ先です。
感想、要望等お待ちしております。
アスタルテ以外にストブラのキャラを出すべきか否か
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出せ
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出さないで
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古城くんを出せ
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姫柊雪菜を出せ
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なつきちゃんを出せ