シド君のキャラとか把握してたら物凄く時間が掛かりました。
君動かすの難しいな。他の人はどうやって彼をキャラ崩壊せずに書いてるのか。ホントすごいわ。
あと感想ください。
番外編 在りし日の記憶
きっかけが何だったのか憶えていない。何せ物心ついた時には憧れていたからだ。
――陰の実力者に。
大したことじゃないけど、僕は一度転生している。前世から陰の実力者に憧れていた僕は、その為に色んなことをしたし、普段は目立たないモブAに徹して過ごして、陰ながら実力を高めたりしていた。みんなそれを否定したり笑ったりもしたけど、僕は諦められなかった。
けど、どうしても限界というものはやってくる。どれだけ鍛えようと、チンピラ数人も居たら僕も危うくなる。仮にチンピラ数人を倒せたとしよう。けど……どうしても核には敵わない。核に負けるようなら、陰の実力者とは言えないんだ。だから僕は目指したんだ。核にも負けないように。核にも勝てるように。
言い訳のように聞こえるかもしれないが、あの時はまだ核に勝つための手段を模索していた時だったし、まだ身体も今より出来上がっていなかった頃だった。今もう一度戦ったら……どうだろう。負けないかもしれないけど、僕も本気でやらないとまずいかな、とは思う。
――それくらい、僕にとって衝撃的だったし、大きな糧になった。
僕は彼女に2回会ったことがある。
最初に彼女の存在を知ったのは、まだ僕が未熟な頃。盗賊という名の金のなる木を狩りまくって、金銭と特訓を重ねていた時だった。盗賊にしては目立ち過ぎる青い髪に、感情を何処かに置いてきたようにしか感じられないような冷たい瞳。まるで精巧な人形が、その場に立っているかのように見えるくらい、無表情でこちらを見ていた。
見られちゃったし、まぁ感情は読み取れないけど、底知れぬ何かはあった。だからまぁ、見られたからにはってことで戦うことにしたんだ。
それが、彼女との最初のコンタクトかな。
「すごいね、今のも防ぐんだ」
少しだけ紅く染まった剣を振るって血を払い落としながら、僕は何処か楽しそうに、相対する存在に向けて僕は称賛する
今日は相対する女の子は、斬られた腕を抑えながら、無表情で僕を見据えるだけ。
「……」
成る程、言葉で語らないってタイプか。僕もそういう相手は大好きだし、その方が強者感が出てカッコよく見える。この女の子、美学が分かってるじゃないか。
しかしそうも言っていられない。僕の方が技量もフィジカルも上。なのに相手に致命的な一撃を与えることも出来ず、かと言って向こうも僕を攻めるだけの攻撃が出来るわけでもなく、相手の防戦一方な戦いが続いており、さっきの僕の一撃で剣も折れたようだ。
「けど、——これで終わりだ」
相手の間合いに踏み込み、剣が届く距離まで懐に潜り込んだ。あまりこの子に時間をかけていると、他の
なんて心の中で応援しながら、せめて苦しまないように一撃で終わらせるために、横薙ぎに一閃した。
それを、紙一重で避けられた。
……へぇ、今の一撃、ちょっと本気でやったんだけど、綺麗に避けたね。
しかもあの避け方。正しく僕の目指す「影の実力者っぽい」避け方だよ。思わず僕も感嘆の声を漏らすほどかっこいい避け方をした。
横に一閃、寸分の狂いもなく首を刎ねるように放った斬撃は、後ろに倒れるようして回避し、彼女の目と鼻の先——切っ先が靡いた前髪を僅かに切っただけ。
参った。これに関しては僕の負けだ。初めて僕が読み間違えた。いや、そう読まされたのかもしれない。人間は心臓を止められるか首を刎ねられると死ぬ。だから急所を狙ってくると読まれた場合、その攻撃は避けやすい。
凄いなこの子。多分首を狙うって確信してこの攻撃を避けたんだ。それにこの避け方、もし正確に心臓を狙っても避けれるように、後ろに倒れる形で避けた。
もしかして、今までの攻防で僕の間合いと攻撃を図っていて、この攻撃を誘発するまで待っていたんだろうね。
——うん、この子。めちゃくちゃ戦闘慣れしてるよ。
間合いを図られないように動いてたし、油断したつもりはなかった。けど、それこそが僕にとって油断を招いていたんだ。
この駆け引きで負けたとなったら僕も認めるしかない。——けど……。
倒れかかっているせいか隙だらけだ。もう一本スライムソードを作り上げて、今度は縦に、断つようにして切り裂こうと一閃放とうとした。仮に何か仕掛けてこようとも、僕が斬る速度の方が早いから、そのまま行けると確信した。
このとき、僕は僅かに彼女の呟く声を聞き逃さなかった。
「エクスキュート、ロドダクテュロス」
その意味が何だったのかは分からない。多分、何か仕掛ける合図だったんだろうか。それとも単にかっこいいからだろうか。ともかく、その言葉と共に現れたのは、すんごく大きな半透明の腕。
見たこともないソレに目を奪われかけた。相手もその隙を逃さなかったのか、その腕がギュっと手を握り締めて拳を作り出すと、凄いスピードで僕に襲い掛かる。
——成る程。ソレがあの子の奥の手って訳か。けど残念。それが来るって分かれば、僕にその拳は届かないよ。
スライムソードで拳の軌道を逸らすようにして防御し、攻撃を難なく回避する。……と、ここまでは僕も予想通りだった。ただ、彼女の手札は、さらに上手だった。
もう一つ、あの半透明の拳が飛んできた。回避し終えた直後に。
かと言って、こういうことを想定してなかったわけじゃない。回避出来そうにないけど、剣を作るのに使っているスライムを防御に回せば防げる。あの威力ならそれくらいで防げると僕は踏んだ。そうして防御した時だった。
拳がスライムに触れた瞬間、込めた魔力が制御下を離れるかのように一気に霧散した。一瞬のことで、僕も思考が一瞬止まった。——そして、その拳を、防ぐ間もなく直撃した。
――なんてことを、これから入学するミドガル魔剣士学園に向かう最中で思い出す。アルファ達が僕の遊びに付き合いきれなくなって離れたことを思い出したりもして、「そういえばアルファ達に会う前にそんなことがあったな」なんて思い出し、感傷に浸る。
こうして思い詰めたように何かに浸るような感じに外を眺めるのも、陰の実力者っぽくて良いものだ。
そういえばあの青い子、どうやらあの霧の龍が管理していた城にも一時居たらしく、霧の龍本人が『死を覚悟した』なんて言っていたという。あとベガルタ帝国にもその姿を目撃したって、アルファから聞いたなぁ。
ホントあの青い髪の子、一体何なんだろ。今にして思えば身なりはそこそこ綺麗だったし、何なら後々にちょっと強い盗賊やその辺の盗賊やら犯罪者より遥かに強かった。
あの少女との戦いで強烈な一撃を受けたものの、肉体を改造してたおかげか腕の骨の何本か折れた程度で済んだ。済んだのだが、思い切り吹き飛ばされて、体勢を整えて戻った時にはあの子の姿は居なかった。
不思議なことに僕への追撃ではなく撤退を選んだのは、アレでは勝てないと思ったのだろうか。それとも手加減されたのだろうか。それは本人に聞いてみないと分からない。
……もしかして、彼女が表の実力者という可能性が?
なんて考えて、その考えを即座に僕は否定する。
いやぁ昨今の主役界隈で女性を主人公に添えるっていうのは多くなってきてるけどさ。いたいけな少女が主役のやつって大概重くてどんよりしてるやつじゃん。
それは僕が求めてる物じゃないような気がするんだよねぇ。それに少なくとも主役は夜中に僕に出くわすようなことはないだろうし。
「……ま、いいか」
なんて一人ごちるように呟く。
そうだ。彼女の強さとか色々気になるが、もう会えないものに縋っても仕方ない。僕は過去を振り返らない。常に先を見て行動する。それが僕の陰の実力者になる為の美学だ。
——とは言ったものの、『世の中は広いようで狭い』という言葉があるように、思いがけない場面で再会するなんてことがあるものなのだ。
生き別れた兄弟が戦場で再会する様に。
脱走したと思ったペットのわんこが急に見つかる様に。
失くしたと思ったものが忘れた頃に見つかるように。
「——というわけで、今日の授業では臨時でアスタルテ先生にも来てもらっている」
そう。あの時僕と死闘を繰り広げた青髪の女の子と、偶然にもミドガル魔剣士学園で再会したのであった。
そう、これが2度目のコントタクトである。
……いやラブコメかよ。
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番外編、どれから書くべきか。
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