女神「貴方は貧血になります」おれ「え?」 作:白い魔王
転生者。
転生というのは仏教なんかで当たり前に信じられているものだ。現代では、前世の記憶を保持する者を刺すだろう。
おれもその一人。
女神に転生特典をもらい………別に望んでないから押し付けられた上に勝手に転生させられた。なんの事前知識もないのに。
力は、まあ強い。強いからか、副作用もつけられた。そう、付けられた。わざわざこれにしましょうと追加されたのだ。
なら使わねえと心に決めるも、クソ女神は「必ず巻き込まれます。引っ越そうと巻き込まれます。主人公のごとく巻き込まれます。でも鍛えないと死にます、そこは主人公補正ないので」と笑顔で宣いやがる。
ちなみに本神「曰く、私は副作用で苦しむ貴方を見て苦しむ女の子が見たいんです。でも私は善神なので命を奪ったりはしません」らしい。善ってなんだろう?据えてあるやつ?
「そして善を司るからこそ、私には解かるのです。貴方は子供の為に命を懸けられると」
つまり子供が危険な目に遭う世界に連れて行かれるらしい。何なのこの女神、邪神の類だろ。
「人の苦しむ姿に傷つくのは善意を持つ者の特権なのです。私は近年では中々見れないあの美しい顔をみたい」
なるほど悪神の類だな。
そんな会話をしていると、おれは転生させられた。
ちょうど事故死していた一家がいたらしく、本来ならグチャグチャになって死んでたはずの少年の体に………。
神様ってば何でもありだね畜生めが。
などと悪態をついても意味はなく、おれは現代風異世界に転生したわけだ。
女神曰く魔法少女達が戦う世界らしい。あらかわいい。敵はきっと悪いことするワルイーゾとか人を堕落させるジタラークとかそのへんなんだろ。
そして幼稚園。
公園の幽霊女を自宅に送り届けて懐かれたり、夜の一族とかいう奴等と戦って懐かれたり、懐いてきた女2人が知らん女と喧嘩してるのを見かけてこれはいけないと止めて何か3人に懐かれたり………。
ははん、この三人が魔法少女だな? たぶん最初は幽霊女ことナノハがピンク、狂犬女ことアリサがオレンジ、夜の一族(笑)に狙われていたすずかは青になるに違いない。髪の色が違う? 変身したら変わるだろんなもん。
で、人を鬱にさせて闇のエネルギーとか集めるウツビョーズと戦うのだろう。後二人はだれだろう?
図書館であった車椅子少女は追加戦士枠かな? はやてとか早そうな名前してたし、緑かも?
いや、追加戦士はすずかか? 夜の一族とか闇側っぽい設定持ってるし。
悪神の言う巻き込まれ体質のせいで、自分に関わる相手全員が魔法少女ものの登場人物に思えてしまうな。
ものによっては結構ボロボロにされるからなあ魔法少女もの。死にはしないけど、だからって子供が危険な目に遭うのは………癪だが、悪神の言うように放っておけない。
まあ魔法少女ものはだいたい中学生だから、それまでに能力を使いこなせるよう自己鍛錬を続ける。幸いマニュアルは頭の中にある。後はそれを活かせる体を作るだけだ。
そう思っていたのに、なのはが変な生き物を拾った。フェレットっぽいが気の流れがおかしい。たぶん魔法生物とかだな。
なのはいわく声が聞こえたらしい。おれには何も聞こえない。アリサやすずかも聞こえてないらしいが、この二人は魔法少女にならないのか?
その夜、頭の中に響く声に導かれたなのはは怪物と出くわした。
フェレットもいた。なんか喋るし、変なじゅもんを唱えさせられた。何を言ってるのか? そんなの自分が聞きたい。
「グルアアアアア!」
『Protection』
杖が発動した障壁に阻まれ、バラバラに吹き飛ぶ怪物は、しかし再生する。
思念体と言うらしく、封印しなくてはならないらしい。
「よくわからないけど、どうすれば?」
「さっきみたいに、攻撃や防御は念じるだけで使えます。より大きな力を行使するには、呪文が必要なんです」
呪文は頭に浮かんでくるらしい。その呪文について頭に思い浮かべようとすると、先程の怪物がやってくる。
触手を伸ばしなのはへと襲い掛かり──なのはの前に人影が現れ触手をはらう。
触手は氷付き砕けた。
「…………え」
「だ、誰?」
「なのは………余計なお世話だったか?」
やってきた人影は、銀色の光を放つ少年………なのはの幼馴染、銀城
「え? え? あっくん? い、今何して……後ろ!!」
「ブオオオオオオオ!!」
と、怒り狂った怪物が襲いかかる。
「凍れ」
淳也が触手の槍の雨を掻い潜り怪物に手を向けた瞬間、怪物は一瞬で砕ける。
「爆ぜろ」
パリィンと氷像が砕け散り風が吹き荒れる。フェレットの体を霜が覆い、なのはの着ている服も凍り付いていく。
「………あ」
「へ?」
パリパリと凍り付いた部分が砕けていく。素っ裸とまでは言わないが、小学生がするにはだいぶパンクなファッション。
「うにゃ〜!?」
なのは手に持っていた杖で淳也の頭をぶん殴った。杖は氷付き砕け、赤い球体がコロコロ地面を転がった。
「いやすまん。加減を間違えた」
「うにゅ〜」
サイレンの音が聞こえ、取り敢えず離れた二人だがなのはは涙目で蹲る。
「あ、淳也君はどうしてここに………その光は?」
「ああ、これは銀気といって………その前に解くか。弱めているとは言え、そのフェレットがどんどん白くなってる」
「おおおいおき、おきになさささ」
「すごい震えてる!?」
ガチガチと震えるフェレット。淳也はそれを見て銀の光を抑える。逆立っていた髪が垂れ………
「………?」
ポタリと、水滴が落ちるような音が聞こえたが……気の所為だろうか?
銀城淳也
ラグナクリムゾンの銀気闘法の使い手。マニュアル(知識)とマシン(使える体)だけ与えられ、全部自分で使えるようになった努力の人。
正面戦闘でなら第7位階とまでなら互角にやり合える程度。
ちなみに過剰仕様は普通に全身の血管が千切れたり筋肉が断裂したりする。
髪の色を一時的に白髪にする代わりにラグナの戦闘経験をインストールできる。
女神
人の善意が大好きな善を司る女神。
人の善意は、自分に尽くしてくれる者に罪悪感を抱く時にこそ輝くと思ってる。
アリサ
友達
すずか
助けてもらったことがある。血を吐いて咳き込む(血が気道に入った)淳也を目撃してる現状唯一の子。
目や耳からも流れる血を見て、飲みたくなったのはココだけの話。
淳也のためなら何でもできる想いが重い子。
なのは
曇る準備は十分か?