古本屋の錬金術師   作:吾妻原昌孝

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どうも、吾妻原です。この度、三次創作を行うことといたしました。
「ボルメテウスさん」様の「歌姫と錬金術とライダー」のスピンオフ、開幕です。


第1話 邂逅

「ん?」

 それは、蔵の整理をしていた時のことだった。

 奇妙な木箱を見つけたのだ。

「なんだこれは・・・。今までに見たことのない物だな」

 和服の青年──飛渡瀬秋月は、蔵の外に出てじっくりと箱を検める。

「ふむ・・・・・・、装飾は見当たらない。直方体・・・は当たり前か。Switchをいくつか積んで入れられそうだな。・・・そんなもの、うちにはないけど」

 箱には、鍵や蝶番はついていなかった。ちょうちょ結びの紐で、蓋が開かないようにされているだけで、誰でも簡単に開けられる。

「父さんに聞いていないぞ、こんなものがあるなんて・・・・・・」

 亡くなった彼の父、飛渡瀬津久茂。彼の自宅と一体となっている古本屋、江田島庵の創業者だ。店も蔵も、彼から相続したものだ。

「・・・・・・。よし。開けてみるか」

 好奇心は猫を殺す。それを忘れてか、もしくは自分は猫のように殺されないと思ったのか、紐をほどき、箱を開けた。

「・・・・・・なんだこれは・・・・・・」

 そこには、カードと謎の箱のようなものが入っていた。カードには、ジェット機とツバメが融合したような何かの絵が描かれていた。

『ジェーット!』

「うわっなんだ!?」

 突如、そのカードが叫び声をあげた。

『ジェット、ジェット、ジェーット!』

「何? 何を言いたいのか、まったくわからないぞ・・・」

 意思疎通は、図れそうにない。どうすればいいのだろう。そう思っていると。

『ノイズが現れました。速やかに避難してください』

「これは・・・・・・!」

 ノイズ。認定特異災害。それはまさに、人間だけを殺す存在である。人間に触れると、自らもろとも炭化する。対処する術は、自壊を待つか、位相差障壁を破って攻撃を当てるかのみである。

『ジェット・・・・・・』

 カードが、しゅんとしたように見えた。

「どうした?」

『ジェット・・・・・・』

 カードは、謎の箱を示した。

「お前とこれに、何か関係があるっていうのか?」

『ジェット!』

 そして、これは神のいたずらか。3人の女が、こちらにやってくるのが見えた。

「・・・・・・? 誰だ? いや、なぜこちらに来る?」

『ジェット・・・・・・? ジェーット!』

「! いたでアリマス!」

「みつけたゼ、ケミー!」

「まさかこんなところにいるとはね・・・・・・。お姉さん驚きだわ」

 一人は、グラマラスで長髪。一人は、ワンピースにマントを羽織り、派手なメッシュが入っている。一人は、最も幼い印象で、毛先が白く、獣耳だ。

「あんたたち、なにをやっているんだ!? 死にたがりなのか!?」

「そんなわけないでしょ。私たちは、ケミーを蒐集しなければならないの」

「ケミー?」

『ジェット!』

「あー! そいつだゼ!」

「ビンゴでアリマス!」

「・・・・・・? そこにあるのは・・・・・・」

「あれか?」

 長髪の女は、謎の箱を凝視した。見覚えのあるようだ。

「あれってもしかして・・・・・・。ガッチャードライバー!? なぜこんなところに!?」

「これのことか?」

 秋月は、それ──ガッチャードライバーを手に取った。

「そう、それ! いくら探しても見つからないと思ったら、こんなところに・・・」

「って、ノイズ!」

 そう、彼らを察知し、ノイズの群れが襲ってきたのだ。触れれば死ぬ、死の化身。

「蔵に!」

「いいえ、もしかしたら、あなたが・・・・・・」

「は?」

 長髪の女は、ドライバーをひったくると、秋月の腰に当てた。

「うおっ!?」

 すると、ドライバーからベルトが生成された。

「やっぱり。ケミーが警戒しないということは、あなたには素質があるということ」

「ですが、2体のケミーがいなければ、それは・・・・・・」

「イチかバチかだゼ!」

「! ミラアルクちゃん、それは!」

「ええおいちょっと、なんだっての!?」

 ミラアルクと呼ばれた少女は、秋月からカードを奪い、ベルトのスロットに元から持っていたカードとともに差し込んだ。

『スタッグバイン!』

『ジェットスワロー!』

 軽快な音楽が、ベルトから再生され始める。

「詳しい話は後にしてくれだゼ。これなら、多くの人間が生き延びる・・・・・・ッ!」

 そう言って、両端のレバーを引いた。

『ガッチャーンコ! ジェットスタッグ!』

 すると、秋月は、白のインナーに、赤い鎧をまとった姿となった。

「な、これは一体・・・」

「グレイム。そのベルトは、グレイムに変身するためのものでアリマス」

「グレイム・・・」

「そして、その力は、ノイズをも殺せる!」

「ああもうわかった! とりあえず、やる!」

 秋月──グレイムは、ノイズの群れに向かっていった。

「であッ!」

 前腕のガントレットでノイズを殴ると、簡単に消滅した。

「本当だ・・・・・・!」

 さらに、鳥の足のような脚部で、ノイズを蹴り飛ばす。

「それにしても、この前腕・・・」

 ノイズをさばきながら、ガントレットの内側をのぞき込む。ジェットエンジンのようになっているのが判った。

「これなら!」

 そういうと、グレイムは両腕のガントレットをノイズに向けた。

「神砂嵐!」

 螺旋! 砂嵐の小宇宙! 無意識に脚の爪で踏ん張ったため、自身が飛ばされる事は無かった。ノイズたちは、ガントレットより放たれる風によって擂り潰され、跡形もなく消滅した。

「おぉー、始めてなのにすごいでアリマス」

「まさか、本当にできるなんて・・・・・・」

「ウチも予想外だったゼ・・・・・・」

「・・・・・・こうすればいいのか?」

 グレイムは、レバーを引き、変身を解除した。

「さて」

 秋月は、3人に向き直った。

 3人は、少し顔が青ざめた。何故なら、秋月は笑っていたからだ。ただし、表情のみ。目は、笑っていなかった。

「どういうことか、洗いざらい話してもらおうか」

「・・・・・・はい」

 代表して、グラマラスな女が答えた。

 

***

 

 3人は、それぞれグラマラスな女はヴァネッサ、ミニスカートとマントの少女はミラアルク、獣耳の少女はエルザと名乗った。

 彼女らは、自らの来歴を、包み隠さず話した。本来、一般人に秘匿されるべきであろうそれはしかし、秋月には通らない。なぜなら、錬金術の産物を見、使いこなしてしまったからだ。

「・・・・・・なるほど? 人には言えないような組織で人には言えないような実験を受けて人には言えないような体になってしまったからケミーを集めて、それで元の体に戻ろうとその組織から脱出し、ここまで来た、と。そんな現実味のない話を信じろ、と言うのかい」

「酷い反応だゼ」

「ですが、仕方ないのでアリマス。私たちだって、こんな体にでもならなければ、錬金術なんて信じていなかったでしょう」

「当事者にしかわからない、か・・・・・・」

 江田島庵は、カウンターを最奥に、地方都市の市立図書館ほどの面積の中に大量の本棚が設置されている。今日は定休日なのもあり、人には聞かれたくない話をするのにはうってつけである。ちなみに、このカウンターは自宅に直通である。

「さて、だ。要点はこうか?

①組織から逃げてきたため、住居がない。

②元の体に戻るためにも、ケミーを集めなければならない。

③自分たちの体では、臨機応変に戦うことができない。

・・・・・・だいたいこの三つだと思うが、これであっているかい?」

「ええ、そうね」

 ヴァネッサ、首肯。こう続ける。

「特に、拠点がないのはかなり辛いわね。できれば、部屋を貸してくれるとありがたいのだけど・・・・・・」

「・・・・・・そう来るとは思ってたよ。ついでに言えば、『ケミーを集めるのを手伝ってくれ』と言ってくるんじゃないかとも思ってる」

「う・・・・・・お見通しとは、参ったゼ」

 ミラアルクは、やれやれと頭を掻く。

「まあ、それはやぶさかではないんだが」

「何か、条件が?」

「そう。・・・・・・いや、正確には交換条件。まあ、同じようなものだけど、これが必要になる」

「そうよね。私たちが一方的によくしてもらっているだけだもの」

 秋月は、顎に右手を当てる。考え事をする時、彼はこのポーズを取るのが癖になっているのだ。

「よし、決めた」

「何を要求するつもり? ことと次第によっては・・・・・・」

 ヴァネッサは、露骨に警戒を露わにする。エルザ、ミラアルクに水商売などやらせものならば、即座に全身の火器を眼前の男に叩き込む用意はできている。

「そう警戒しなさんな。私が要求するのは、二つ。まずは、この店を手伝ってもらう。二つ目は、完全無給でそれをやってもらう。これさえ受け入れてくれれば、衣食住は保障しよう。・・・・・・財政の範囲内で」

「!? それだけでいいでアリマスか!?」

 エルザは、驚愕した。彼女の脳内では、水商売、奴隷同然の扱いをされる、また条件を呑んでも踏み倒される、という景色が浮かんでいた。

「まあ、受けるかどうかはあんたら次第だ。どうする?」

「・・・・・・やるわ」

 ヴァネッサ、承諾。

「ウチも同意するゼ」

「私もでアリマス!」

 満場一致で、可決。

「よーしわかった。ギヴアンドテイク、契約成立だ。それじゃあ早速、うちの仕事を覚えてもらおうかね・・・」

 秋月は、江田島庵の仕事をレクチャーした。

①本棚の掃除

②本の買取

③本の販売

④依頼解決

 これらが、江田島庵の仕事である。

 ④は、先代から続いており、法に触れなければさまざまな依頼を引き受けることになっている。稀に、カタギではなさそうな人間からの依頼を受けることもある。

「覚えたな? それじゃあ、明日からよろしく頼む」

「りょーかいだゼ!」

「わかったでアリマス!」

「よろしく頼むわね」

 こうして、飛渡瀬秋月とノーブルレッドの奇妙な日常は幕を開けたのであった。




いかがでしたか?
飛渡瀬秋月の出自は、「歌姫と錬金術師とライダー」の募集に私が投稿したのが始まりです。初期設定、つまり投稿時の設定で書いておりますので、本編とはかなりの違いが見受けられるかもしれません。
さて、何を話しましょうか。
・・・・・・そうだ、名前の由来を・・・・・・。
飛渡瀬と秋月、そして津久茂は、すべて江田島市の地名です。名前どうしようかなーとGoogleマップを見ていたら、「おっこれええやん」と選び、父親たる津久茂も同じ経緯です。
仮面ライダーグレイムに変身するわけですが、その由来は、「グリム」のもじりです。後付けでいいのなら、「グリム」+「フレイム」。
本編に採用されました「マンティスバンバ」は、「イナズマン」の「ミュータントロボット」の命名法則「〇〇バンバラ」を元に、「メカニカリュード」は「メカニ・コング」を元にしております。
・・・・・・古い? 気にしないでください。
正直、スピンオフは初めてで、何をどうすればいいか手探りです。
今のところは、街の人からの依頼を解決+ケミー蒐集、というフォーマットにしようかと考えています。
そのあたりは、本編ときちんと整合するように努力いたします。
感想・評価・間違いの指摘等ありましたら、どうぞお願いします。
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