七海建人は暇がない 作:七海さんの腕時計が欲しい
感想、誤字脱字方向ありがとうございます。
本編が進まないので、閑話を挟みます。
「新しい収入源の確保?」
「はい、【ロキ・ファミリア】の
それは少年――ベル・クラネルが強くなる理由を知り、七海に助けられた運命の日。
七海は機嫌良く『
しかし書類整理が思いのほか早く片付いてしまったため、暇を持て余した七海はファミリアの財政悪化を立て直すための計画を考えた。
そして―――悪魔的閃きが舞い降りた。
「なになに? 面白そうな話してるやん。ウチも混ぜてぇな〜」
「新しい収入源か……そう簡単に思いつくものでもないが、ナナミからの提案だ。聞く価値はあるだろう」
「儂も聞いておこうかのぉ。今回の『遠征』の赤字は馬鹿にできんし、次の『遠征』のための資金も集めんといかん」
執務室にはフィン、ロキ、リヴェリア、ガレスのファミリアを指揮するトップ勢が集まった。
七海は軽くスーツのネクタイを整え、一般企業で鍛えられた
「では結論を述べます。私たちの新しい収入源、それは『観光業』です」
「『観光業』、か。主に、オラリオの外から来た観光客を対象とした市場活動。ギルドが主導となって
「流石は【
「褒めても何も出ないよ」
「ほーん、それで? 『観光業』なんて、
ロキはそう言うが、その瞳は「面白そうだ」と言葉に出さずとも伝わってくるほど爛々と輝いている。
神々は『未知』に飢えている。初めての試みというのは、
「それは誤りです。というより、私たち【ロキ・ファミリア】の
「それは知っている。しかし、それだけで金を請求するのか? 外から見物する分には、金銭など払わなくていいだろう。なにより、そんなことで金を取っていては、こちらの品格にも差し障る」
リヴェリアは問題点を淡々と述べる。
確かに、門の外から建物を見ているだけで「金払え」と言われても、「なんで?」となるだけだろう。そんな横暴は下界で罷り通らない。
「えぇ、リヴェリアさんの言う通り、それだけで『
「ふむ、随分と前置きが長いな。つまり、どうやって儂らはその『観光業』で利益を得るのだ?」
「それは―――」
◼️
ここは『黄昏の館』。オラリオの有名な観光地であり、最強のファミリアの一角である【ロキ・ファミリア】の本拠。
その人気は凄まじく、都市内外を問わず多くの
そこには現在―――とんでもない行列が出来ていた。
「ぁぁ……あんなに可愛い顔して、商人より何倍も早く書類仕事してるフィン様の横顔、カッコ可愛い……」
「り、リヴェリア様と同じ空間に……! ここが桃源郷、というものでしょうか?」
「ほ、本物のアイズ・ヴァレンシュタイン! その鍛錬が見れるなんて、最高かよぉ!」
現在、『黄昏の館』には
それは七海が提案した『観光業』―――その名も、【ドキッ! 憧れのあの人に会える!? 『黄昏の館』ツアー!】。※命名ロキ
「外から眺めるのは
「私たちは『観光業』を直接運営する必要はありません。そこまでの労力を使うよりも、どこかと
「契約先の候補としては、【セベク・ファミリア】。ここは信用と実績、そして『観光業』の
「というわけで、本格的に始めるかどうかのテストをしたいと思います。用意はできていますので、早速今日から始めます」
そんな仕事が早すぎる男が始め、即日即断に定評のある
それは凄まじい金を生んだ。
特に人気のあるツアーは、やはり【
次に人気なのは【
「ガッハッハッハー! おもろい程儲かるやんけー! 『観光業』、ばんざーい!!」
「既に私の試算結果を上回るほどの収益……凄まじい人気ですね、流石は【ロキ・ファミリア】」
「ナナミィ〜、これは最高の
意気揚々と出かけるロキ。ただ酒を飲みたいだけでしょう、と七海は考えているがそれは当たっている。
その後も順調に客が訪れ、【ロキ・ファミリア】の財政は潤い、まさにうはうは状態の絶好調―――
―――だったのだが……
「団長をイヤらしい目で見てんじゃねェッ! この
「グルルルルルッ………ガァァァアアアアアアッ!!」
「あの
「アイズさん親衛隊、ファイヤアアアアアァァァッ!!」
それがまさかの急転直下!
多すぎる煽りを受けまくり、言葉による罵倒ではなく手が出る
一瞬にして、『黄昏の館』はカオスになる!
「なぜ……なぜ、彼らは大人しくできないのですか……ッ!」
「ははっ、それが【
「笑っている場合かッ! あの騒動を止めるぞ、お前たち!」
「やれやれ、そう上手くはいかんのぉ……」
七海、フィン、リヴェリア、ガレスが騒動の鎮圧に駆り出され、収まったのは日が沈んだ夕方だった。
七海は今回の費用と収益を算出し、黒字だったことに安堵を覚える。
しかし、ロキが高値で大量に買ってきた
「次はアイズさんやレフィーヤさんをプロデュースして
七海は諦めない。
その生真面目さが故に、自身が担当している
この時、微かにフィンの親指が疼いた。
「嫌な予感がする……どうか、杞憂であって欲しいね」
オラリオ初