世界を救ったヒーローの元レッドですが、働く場所がありません。   作:仮乃英

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めちゃくちゃ文字数多くなってしまいました.....
できるだけ地の文は削ったんですが、それでも9000字強.....

できるだけわかるように頑張って書いているつもりですが、一応対応表を書いておきます。

名前 :一人称・口調
青森始:僕  ・シゴデキ、ちょっと柔らかい
黄海環:あーし・ギャルっぽい
緑山創:俺  ・生意気、それ以外は普通の男
桃星輪:私  ・基本的に敬語、仲間のことはさん付け

そして、特殊タグにて『色付き文字』を使っていますが、ちゃんと発色できていなかったらすみません。

それでは四話目です。よろしくお願いします。


世界を救ったヒーローの元レッドですが、シン人類と戦うそうです。

 

「───力を貸してほしい、だと?」

 

 カイルと赤司が正眼に構える。

 二人の間には歪な空気が流れており、見る人が見れば空間が捻じ曲がって見えるほどだった。

 

「あの頃のオレはもう居ねえ。今じゃこうして誰に世話されてるかも分からねえモーロクオヤジだ。そんなオレにゃあ人を助けるどころか、変身すらできやしねえよ」

『そんな事はない。まだキミの魂は腐りきっていない。私が保証する』

 

 カイルの言葉に、赤司は揺れる。しかし赤司はカイルに反論する。

 

「それに、助けを求める声に応えるのがヒーローだ。だが、今のオレに助けを求める声がどこにあるってんだ?」

『キミがあの娘を助けた時も、そうだったのかい?キミは、彼女が助けを求めていたから助けたのかい?それにキミは昔から、人が助けを求める前に突っ走っていたじゃないか』

 

 また、赤司は揺れる。確かにそうだ。誰かの助けを聞いてからじゃ遅い、赤司はいつもそれより早く動いていた。

 

「でもな、イヴを助けてる時、周りの奴らにも言われたんだよ。『こんなやつに助けられるくらいなら、死んだ方がマシだった!』ってな。オレぁ何が正義か、わかんなくなっちまったんだよ。

 源ちゃんの店であーだこーだ言ってんのも、自分の正義ってのがわかんねえから喚き散らしてるだけにすぎねえ。所詮はガキの駄々と変わりゃしねえんだ」

『そんな事はないさ。キミのヒーロー像はまさしく人々が求めるものだよ』

「そもそもヒーローなんてガラじゃなかったんだよ。親のカネ使って酒にタバコにパチンコやってるのが身の丈にあってたんだ。背伸びしてヒーローごっこして、みんなを騙くらかしてた。そんなオレにもついに年貢の納め時が来たってわけだ」

『それはキミの、本心からの言葉かな?』

「......なに?」

『確かに人は愚かだ。目に見えているものばかりを信じ、大きな声をあげるものほど事をなす。しかし、キミはそんな者のためにヒーローをしていたのかい?キミがしていたのはそんな『ヒーローごっこ』だったのかい?』

「それは.....」

『今、この時にも助けを求めているたちはいるよ。キミが聞こうとしないだけで、キミの助けを求める声は、確かにある』

 

 そこまで言われ、赤司は折れた。

 

「......ああもう!やめだやめだ!なんだ、随分見ねえうちにえらく口が達者になったじゃねえか、おやっさん」

『ふふふ、私は元からこうだよ。さあ、まずは仲間のと........』

 

 カイルがそう言っている間に、赤司はスリッパを履いたまま部屋を歩き、カイルへと手を伸ばした。

 

「───あるんだろ、テンメイチェンジャー」

『ああ、もちろんここに......』

 

 カイルはモヤの中から『テンメイチェンジャー』を取り出し、赤司に示す。

 赤司はそれをひったくるようにモヤから引っこ抜き、そのまま部屋の外へと駆け出した。

 

「行ってくる。悪いなおやっさん、色々と世話かける!」

『それは構わないが、って天生!ちょっとま───」

「テンメイチェンジ!......そんで、来てくれ相棒『セイレイスカイ』!」

 

 カイルの制止も虚しく、赤司は異空間から突如として現れた、機体は真紅に染まり、そしてこの広大な空を悠々と駆ける愛機『セイレイスカイ』へと乗り込んだ。

 一連の動作は、七年のブランクなど微塵も感じさせないほど洗練されており、もはや美しささえまとっていた。

 

 が、そんなことに呆けている場合ではない。カイルは頭を抱えていた。まあ、抱える頭も手もないが。

 

「......はあ、まだシン人類がどこにいるかも伝えてないのに。それに、あの子たちになんて言おうか。胃が痛いな、まったく。いや、胃はないんだがね』

 

 

◆◇◆

 

 時を同じくして、一方『Adam's』では、かつてのテンメイジャーと源田、そして黒闇とが一堂に会していた。

 

 だが、その中で戦いの火蓋が今にも切られようとしていた。

 

「なんでジブンがここにおんねん」

「自分......?知らないわ、そんなこと。あなたがここのマスターだからじゃないの?」

「あのね、福音代表。関西弁でジブンは『オマエ』とか『アンタ』とかの二人称を指す言葉なんだよ」

「あら、そうなの?不便な言語ね、カンサイベンって」

「おう、喧嘩売ってるんやったら買うで?」

「ヒィッ!う、嘘です!カンサイベン最高!ビバ、カンサイベン!」

「なんやねんコイツホンマ......なんや調子狂うわ───ってちゃうわ!なんで始くんがコイツと一緒におんねん!」

 

 源田のもっともなツッコミに、青森は腰を折り極めて真面目な様子で返す。

 

「源さん、隠しててすみません。実はこの人、僕の上司なんです」

「ジョー○ン?なんや、阪○勝ったんか?」

「理解のキャパ越えたからって急にアホにならないでください。上司ですよ、じ ょ う し !」

 

 青森の発言に少しのラグを置いて、源田はその体躯に見合わないほどの俊敏さで飛び上がり、危うく天井を突き破りそうになった。

 

 その光景をスケッチブック片手に眺めているのは、漫画家『仜口一』、黄海環であった。

 そしてその他のメンバーも、

 

「あそこでやってんの何?コント?次の話のネタになるかな、桃ちゃん?」

「さあ、どうでしょう?というより、本当にリーダーさんは来るんでしょうか......?監督さんに無理を言って今日はドラマの撮影をお休みしたのですが......なにか知りませんか?緑山さん」

「ごめん、桃星。今取り込み中。.......なかなかやるな、コイツ。もしかして野良のプロ引いたか?」

 

 と、実に自由気ままなものだった。

 その様子を見て、ショックから立ち直った源田が吠える。

 

「だ い た い!なんでみんなはコイツがおるのになんも気にしてへんの!?コイツイヴなんちゃうん!?」

「うん、そうだよー」

「いや返事軽いな環ちゃん!」

「別に、コイツがもう人類の脅威じゃないの知ってるし、俺たち」

「は、はあ?」

 

 ますます源田はわからなくなる。なぜ彼らがそう言い切れるのか、甚だ理解できなかった。赤司の言葉を信じるならば、確かに彼女は人類には危害を加えていないのだろう。

 しかし、テンメイジャーである彼らとなれば話は別のはずだ。彼らはずっと戦ってきた犬猿の仲のはず、いわば宿敵同士のはずなのだ。

 

「テレビじゃ音声まで拾えないけど、あーしら戦闘中に結構コイツと喋ってたし。そんで『あれ、コイツ他のシン人類と違くね?』ってなったワケ」

「それに、七年前のイヴ......福音さんは人に裁かれるために姿を現したんです。自分、いや、シン人類が犯した罪を償うために」

「えぇ、そうやったん!?知らんかったわ......」

 

 彼らから語られる、七年前の衝撃の事実に源田は目を白黒させた。あまりにも雑誌等のメディアが書いてることと違ったためだ。

 イヴである福音が、裁かれるために人々の前に出たなどと書く記者は、その頃たったのひとりすらいなかった。源田は情報に踊らされていた自分を恥じた。思っていたよりもずっと、自分は何も知らなかったのだと。

 

 そして、情報を付け加えるように黒闇が言を継いだ。当時を思い浮かべ、目尻に涙すら浮かべながら。

 

「そこで、『お前は生きろ。生きて償うんだ、その罪を』って天生様が耳元で囁いてくださったの。ヒーローの信念の証である、マスクまで脱いで......」

「相っ変わらず美化され過ぎな気はするけど、それで福音代表は僕のところに来たんだ。リーダーが『困ったらブルーを頼れ』って言ったらしくてね!」

 

 しんみりしている自分の上司をほったらかして、勝ち誇ったように青森は高らかに告げる。それは、自分が一番頼られているのだと言っているかのように。

 その態度にいの一番に喰ってかかったのは、黄海だった。

 

「はん!適材適所ってだけだしぃ?そんくらいで誇ってんじゃねえよインテリむっつりメガネ!」

「はい、調子乗りました!大変申し訳ございませんでした環様ぁ!」

 

 始くん、ずいぶん元気やな。と源田が思ったのも束の間。黄海の言葉によって、青森はとんでもない勢いで三つ指をつき、地面に頭をこすりつけ始めた。 

 黄海の言葉の何が琴線に触れたのかわからなかったが、青森の土下座は見事な黄金比を描いていた。この域に達したのは二十代後半のことだったろうかと、源田は組にいた時代を思い出し、少し懐かしくなった。

 

 しかし、源田が感傷に浸っている間にも会話は進む。めくるめく変わる状況に、源田は次第についていけなくなりながらも、必死に頭を回転させる。若い子の会話は早過ぎて、源田ほどになるとなかなか苦労するようだ。

 

 そこで、一度、話を自分の方に戻すために源田は問う。先ほどの黒闇の発言に引っ掛かることがあったのだ。

 

「気になったんやけど、天生()?しかもこの前とえっらいキャラ変わってへん?」

「ああ、彼女はあれ以来うちのリーダーのシンパなんだよ。気にしないでやってくれ、源さん。あとほら、代表」

「この前は失礼を働いて大変申し訳ございませんでした......あれ、全部演技だったんです......」

 

 依然として床から聞こえてくる青森の声、そしてこの前とは一転してしおらしい姿を見せる黒闇に、ついに源田の脳みそは限界を迎えようとしていた。

 

「もうおっさんには何がなんやらようわからへんわ......」

 

 

 そんなところで、ドアベルが鳴った。しかし扉は開いておらず、代わりに扉の前には塩で白く染まったモヤがあった。 

 

『えっほん!待たせたね、みんな』

「お帰りなさい、カイルさん!えーと、リーダーさんは?」

 

 桃星の問いに、カイルは粉を噴きながらうんうんと唸る。しかし意を結したのか、重々しくその口を開いた。口はないが。

 

『それがだね......すまないみんな、天生を行かせてしまった』

『───はぁ!?』

 

 その場にいた全員の声が揃う。前もってカイルから聞いていた予定とは違ったからだ。

 

『ちょっと元気づけるぐらいのつもりだったんだが、思いのほか熱が入ってしまった。申し訳ない』

「おいおい、今日はリーダーは顔合わせオンリーで、出撃は俺たちだけって話だろ?」

 

 そう、カイルが言った『力を貸してほしい』は、言い換えれば『あの子達を激励してやってほしい』であって、戦いに行けというわけではない。

 にも関わらず、カイルはかつてテンメイジャーをやっていた時のように赤司を奮い立たせてしまった。本来であれば、人前に出るということもなく黒闇や源田とともに『Adam's』で待機のはずだったのにも関わらず、だ。

 

『そう、なんだがね。ははは!いやはや、これも聖霊の導きというやつかな』

「出たよその便利な言い訳ワード......つか、そういうことならあーしらも早く行こ。あの量は流石のリーダーでも一人じゃキツいっしょ」

「案外、無理とも言いきれないのが怖いとこだよね」

「まったくだ。強過ぎんだよあの人。ゲーム弱いくせに」

「まあまあ皆さん、そのくらいで......とりあえず行きましょう、リーダーさんのところに!」

 

 

◇◆◇

 

「ちぃっ!おやっさんにどこか聞くの忘れたぁ〜!!!シン人類どこだ!?」

 

 赤司の疑問に答えるかのように『セイレイスカイ』が唸る。そして、コックピットのサイドモニターには地上の名礫(なざれ)市の駅前広場の様子が映っていた。

 

「そっちか!サンキュースカイ。やっぱお前は、最高だっ!!!」

 

 中継ヘリを避け、赤司は広場へと降り立つ。すると、上空のヘリからニュースキャスターと思われる声が、拡声器を通して放たれていた。

 

『中継です。現在、名礫市の駅前に約七年ぶりとなるシン人類の出現が確認されました。市民の方々は大変混乱しており───あれはっ!?見てください!!!テンメイレッド、テンメイレッドが駅前広場に現れました!!!市民の味方か、はたまたシン人類の味方か!?果たして彼がどう動くのか、緊張の一瞬です!!!』

 

 その声を若干鬱陶しく思いながら、目の前のシン人類へと赤司は歩みを進める。そして、一際禍々しさを放っているシン人類の一人が、赤司へと語りかける。

 

『ほう、貴様がテンメイレッドか』

「なんだぁ、てめえ?」

『罪の大七将が一人。傲慢担当『プライデス』だ。冥土の土産に覚えておけ、テンメイレッド』

「冥土だぁ?上等じゃねえか。オレは......テンメイレッドだ」

『ふむ......『アベン』様から聞いていた話とは随分と違うようだ。端役同然の貴様がテンメイレッドとはな』

「うるせえ、勝ってから言いな!そういう事はよ!」

 

 赤司はプライデスへと飛びかかったが、しかし.......

 

『───ヌルいッ!』

「うおあ!」

 

 赤司の攻撃はいとも容易く防がれ、そしてプライデスは大剣を振り回し投げるように赤司を吹き飛ばす。

 しかし赤司もそれでは終わらない。多数のシン人類を『ジュウジカリバー』で切り結びながら、プライデスへと再び駆け抜ける。しかし、赤司は視界の端にあるものを見つけた。

 

 それは、二人の女性。一人は崩落した瓦礫の下敷きになっている女性。そしてもう一人は、それをどうにかして救おうと、ピクリともしない瓦礫を必死に持ち上げようとしている健気な女の子だった。

 

 赤司は方向を急転換し、その二人の元へと走る。

 そして「ちょっとどいてな」と少女を下がらせ、女性を救出した。

 

 そしてその女性は、痛みゆえか憎しみゆえか、苦悶の表情で赤司へと語りかける。

 

「あなたに一度ならず二度までも......」

 

 赤司は覚悟した。たとえどんな言葉が浴びせられようが、それを受け止める覚悟を。

 

「───本当にっ、ありがとうございます!!!」

「えっ、その......どうも?」

「八年前、まだお腹の子にいたこの子をあなたに救われて以来、どんなことがあろうと応援し続けると決めました!世間がなんと言おうが、私は.......あなたに感謝を忘れた日はありません!!!」

 

 我が子を抱きしめながら感涙に咽び泣く彼女の手首には、テンメイジャーのシンボルが描かれた赤色のリストバンドがされていた。この、反レッドが蔓延る世の中にも関わらず。

 それを見た時赤司は気付いた。世の中の人間全てが自分を敵視しているわけではないと。自分たちのやってきたことを正しく認めてくれる人たちがいることを。

 

「あかいおじさん!ありがとう!」

「........っ!あかい、おじさん」

「こら、由美!レッドさん、すいません!!!」

「ああいやいや、気にしなくていいんすよ。それに!こっちこそ、ありがとうな嬢ちゃん、それにお母さん!勇気もらったわ!」

 

 赤司はマスク越しに、二人に笑顔を向けていた。そして今、確かに赤司の身にはある変化があった。

 どんどんと力が漲ってくる実感が、それに呼応して高揚感と全能感が溢れ出してくるではないか。

 

 それは魂の煌めきこそが、このテンメイスーツを纏うにあたって力の源となるからである。

 つまり、彼女たちがくれた『勇気』!それこそが、先ほどまで赤司の動きを鈍くしていた悪しきものを取り払ったのだ!

 

『よそ見をするなぁ、テンメイレッド!』

 

 そこに、プライデスの光線が放たれる。が、今の赤司......いや、『テンメイレッド』がそんなものを通すわけがなかった。

 ジュウジカリバーの(きっさき)をプライデスに向け、シン人類がいない方へと親子に避難を促す。

 

「足は痛えだろうが、逃げてくれ!コイツはオレがぶっ飛ばしとくからよ!」

『オマエに何が出来る?せいぜい地面に這いつくばっていろ、テンメイレッドォ!』

「うるせえっ!!!今のオレは、さっきまでとは一味も、二味も、三味もちげえんだよぉ!!!」

 

 そうして、第二ラウンドが始まった。

 

 しかし、ああ啖呵を切ったはいいものの、赤司には護るものが多すぎた。建物や土地、そして何より人間。後ろにそれらを抱えながら、目の前の幹部も大勢の下っ端も相手をしなければならない。

 むしろこれでまともに戦えているのが異常だった。一人で全てに気を使いながら戦い抜くという偉業を、赤司は成し遂げていた。

 

 しかし、それも長くは続かない。一時の気の緩みが命取りとなるのだ。

 

『───破ァッ!』

「がっ......!」

 

 プライデスの持つ大剣から放たれた横殴りの剣戟が赤司をまともに捉えた。ノーガードとまではいかなかったが、思わず赤司は後方へ吹き飛ばされる。

 しかし残酷なことに、時の流れは止まらない。そのわずかな隙にもシン人類は人々の元へと進行を続けていくのだ。

 

「やべえ、街の人が!!!」

 

 赤司は、届くはずもない手を伸ばす。それは、星を掴まんとする幼子の如く。

 当然、かけ離れた場所にいるものに対しては、手の打ちようがない。赤司はそれを眺めていることしかできない。

 

 今にもその凶刃が人々に降りかかろうとした時......

 

 

 

 青、黄、緑、桃。それぞれの色を纏った銃弾が、人々からシン人類を跳ね除けた。

 

「───水臭いな、バカリーダー。まさか一人で行くなんてね」

 

 声がした方へと視線をやると、そこには惑星(ほし)に選ばれし、四人の戦士が立っていた。かつて共に戦い、そして共に時を過ごした、最強で最高の仲間たちが。

 

「お前ら......なんでここに」

「なんでって、そもそもリーダーがあーしらに言ったんじゃん『俺たちは、五人揃って戦隊だっ!!!!』ってさ」

「いや、でも」

「リーダーさん!私たちはずっと、リーダーさんの味方です!また一緒に戦いましょう!」

「つーかボロボロじゃん、不利ポジでばっか戦うからそうなるんだよ。疲れてるみたいだし、なんならもう休んでたっていいよ?残りは俺たちがぶっ飛ばしとくから」

「あ、グリーンテメェ!......いやでも、ありがとう。みんな」

 

 仲間に手を引かれ、赤司は立ち上がる。そして五人は慣れた足取りで綺麗な横一文字に整列した。

 

 こうして七年の時を経て、ついに!再びテンメイジャーが揃ったのだ!!!

 

「......名乗り、忘れてねえよな?」

「愚問だね」

「モチ!」

「大丈夫です!」

「そういうリーダーが忘れてんじゃねーの」

「オレが!忘れるわけ!ねえだろ!!!名乗りはヒーローの花形だ。最初(ハナ)っからクライマックスでいくためのな!」

 

 いくぞ。と赤司が小声で呟く。そしてその肺いっぱいに息を吸い込み、この戦火に燃える駅の広場で叫んだ。

 夜の闇すらも晴らしてしまいそうな、鼓膜がはち切れんばかりの大声がこの惑星(ほし)に轟く。これこそが、テンメイジャーの名乗りの合図に他ならない。

 

「よぉ〜〜〜く、聞けぇ〜〜〜!!!我らの名をぉ〜〜〜!!!!!」

 

 

「天の使徒、テンメイレッド!」

 

「植物の使徒、テンメイブルー!」

 

「海の使徒、テンメイイエロー!」

 

「大地の使徒、テンメイグリーン!」

 

「星の使徒、テンメイピンク!」

 

 

 

天あるところに正義あり!正義は我らの元にあり!そう、我ら五人こそ

 

 

 

 

━━━創世戦隊テンメイジャー!!!

 

 

 

直後、天を突くほどの轟音。

背後から、五人の名乗りを祝福する色とりどりの爆炎が舞い上がり、その溢れんばかりの息吹が彼らの背中を押した。

 

っしゃあ!気合い入れて、ぶっちぎる!

 

 赤司の決め台詞を皮切りに、祝福の風に乗るように、彼ら一同は駆け出した。

 

 互いの長所を活かした巧みなコンビネーションで、シン人類を一人、また一人と次々に討ち倒していく。

 そして変わる代わるプライデスへと攻撃を与えていき、先ほどまでとは攻勢は一転。人々の近くにもうシン人類の姿はなく、残すところもう十ほども敵はいなかった。

 

 その様はまるで、テンメイジャーとシン人類からなる一つの舞台。その浮世離れした絢爛さは次第に人々を魅了していき、そして熱狂させた。

 

「す、すげぇ」

「あれが、テンメイジャー......!」

「がんばれ〜!あかいおじさ〜ん!!!」

「そうだ、やっちまえ!!!俺たちの命を託した!負けんじゃねーぞ!!!」

『頑張れ!テンメイジャー!!!負けるな!テンメイジャー!!!』

 

 市民たちのテンメイジャーを応援する声が、名礫市の澄んだ夜空に響き渡る。

 少なくとも、ここ名礫市で彼らを批判するものは、ただ一人としていなかった。

 

「聞こえるかい、バカリーダー。みんなの声が、魂の喝采が」

「ああ、聞こえる。今なら、いける!!!

 

 ───みんな!()()、やるぞ!」

「よっ、待ってました!」

「ようやく、か」

「やっちゃいましょう!」

 

 赤司の掛け声を聞き、青森、黄海、緑山、桃星の四人が駆けつける。各々が専用の武器を持ち合わせ、それを一点に集めた。するとそれは、一つの大きな弓へと姿を変え、赤司の手に収まる。

 四人は赤司の背中を支え、力を赤司へと流す。赤司は自らのジュウジカリバーを弓に装填し、そして弦を力一杯に引き延ばしながら、赤司は吼えた。

 

「これが戦隊の!オレたち五人の力だぁ!!!」

 

 

 

『テンメイフィニッシュ!!!創世一閃・セイレイアロー!!!!!』

 

 

 放たれた矢は虹の尾を描きプライデスへと一直線に突き進む。

 そして、風を切り裂きながら残りのシン人類を巻き込み、ついにプライデスへと至る。

 

『いいだろう、受けて立つぞ!テンメイジャー!!!』

 

 それをプライデスは、真正面から受け止めた。こんなもので、我が身が滅ぶわけがないという傲慢さから。

 

『グググ、ぉぉぉおお!!!負けん、我は負けんぞぉ!!!ブランクありのテンメイジャーなんぞに、我が、敗れるわけが......!』

 

 

「いいから受け取っときな!話は楽園で聞いてやるよ!」

 

 

『おのれぇぇぇぇえ!テンメイジャー!!!』

 

 ついにその矢は見事にプライデスを突き破った。

 突き抜けた矢は天へと昇る。そして星々の間を縫って彗星のように宙を駆け、大きな虹の橋を架けたのだ。

 

 その光景に、人々は言葉を失った。その光景の美しさに、テンメイジャーの再来に。しかしそれは、いわば嵐の前の静けさのようなものだった。

 

「う......」

『うおおおおおおおおおおお!!!!』

 

 赤司の名乗りと同じ程、まさしく天を突くほどの嵐のような人々の雄叫びが、名礫市を包み込んでいた。

 人は口々に「ずっと信じてたぞ!」「よくやった!オマエらやっぱりヒーローだ!」「勝った!勝った!夕飯はドン勝だ!!」「見た!来た!勝った!!!」と白星を上げたテンメイジャーに言葉を投げかけている。

 

「好き勝手言ってくれるね、全く」

「ホントそれな!ってか、今回は()()()*1ないの?」

「無いなら無いでいいじゃないですか、イエローさん!七年ぶりの初陣での勝利を喜びましょう!」

「よぉーし!ってことは......」

「そうだね、グリーン。僕も同じこと考えてたよ」

 

「今夜は!!!焼肉っしょ━━━━━━!!!!!」

 

「お、おー?」

 

 四人のノリについていけず、先ほどの大声とは打って変わって赤司は微妙な声をあげることしかできなかった。やはり赤司もまた、立派なオヂサンなのである。

 

 ワイワイと盛り上がる彼らに、若干の疎外感を感じながら赤司はある事を思い出した。

 

「......そうだ、オマエら!」

「『帰るまでが戦隊だ。帰るまで変身は解くな!』でしょ?僕たちみんなわかってるさ」

「え、あ、そう?わかってるならいいんだよ、わかってるな───」

 

 皆は、もう一つのお約束を忘れていた。

 それは『敵を倒せば大きな爆発とともに散る』ということだ。

 

『リーダー!!!!』

 

 四人の声が揃う。そして皆一様に、視線は赤司へと向けられていた。

 プライデスの死に際に放った光線が

 

 

 ───赤司の胸を、貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
敵の巨大化





今回はキョウリュウジャーのOPをヘビロテしながら、私の中の『男の子ってこういうの好きなんでしょ?』を最大限に頭から引っ張り出しながら書きました。
そして、最上のリスペクトをこめて名乗りや技名、敵の名前等の設定、そして掛け合いを描いたつもりですが、うまく再現できていますでしょうか。

あと、赤司さんは今まで散々介護されていたんで、これくらいはしてもいいかなと思ってます。

今回と前回は前書きと後書きで自我を出しすぎたので、しばらく後書きには備考を書き連ねることにします。
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