動くか・・・・
どこかの誰かがぽつりと言った
今の自分なればあれを倒せようと、試してみたいと思いて・・・
エイジ757 五月七日 第一回超人大会会場
「ではこれより!第一回超人大会の決勝戦を行わせていただきます!!」
うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
五月七日の武道会に雨は無し
少なくとも開始される時には降っていた雨もやむ程に、天下一武道会の本選で雨が降ったことが無かった
そしてそれは今日の第一回という超人大会と銘打たれた新たな大会を寿ぐ様な晴天の中、勝ち進んできた超人達がいよいよ雌雄を決っしようとしていた。
第一回超人大会決勝戦に駒を進めたのは孫悟空と天津飯、謂わば亀仙流対鶴仙流の雌雄を決するかという構図に、会場も名物になったプロ司会者も盛り上がりに持ち上がって会場は爆発せんばかりの熱気の渦が巻く。
「悟空!!俺の分まで頼む!!でも天津飯さんも頑張ってください!!!」
「悟空!!!天君が相手でもやっちゃいなさい!!!」
「天さん頑張って!!!」
「二人とも頑張れよ!!!」
「天津飯さん!ヤムチャ様の分までお願いします!!」
「悟空!天津飯!!どっちも頑張れ!!!」
外は相変わらずに双方の応援合戦!悟空も天津飯も大切な仲間で兄弟分で、微笑ましい応援合戦はこの大会の名物化されている中
「天津飯!!鶴仙流の意地を見せてやれ!!!」
「悟空よ!!今回こそ優勝してしまえ!!!!」
・・・・お師匠様の方が大人気ないと言おうか年甲斐もなく張り合い応援してんのどうなんだろう・・・・
とは言え鶴・亀仙流ともに弟子達を超人大会の決勝戦に駒を進めて決勝戦もおおむね予定通りともいう。
テレキネシスという気で防ぐのが難しい餃子は先年の大会優勝で出場は無くなり、優勝候補であったヤムチャは新技は無いが新狼牙風風拳の威力と精度を上げて悟空に挑んだが、道着の下の重り付きインナーとリストバンドを外して身軽になり、ヤムチャを上回る速度でヤムチャの脳天を蹴り飛ばしてノックダウンさせての決勝戦進出を果たし、天津飯もクリリンとの激闘を制しての決勝戦となった。
・・・・クリリンだってまさかターレスの腕を危うくぶった切りかけた光輪を使う訳にもいかないので封じての負けなので結構いい線を言っていたかもしれないが、二人の決勝戦ならば文句はないので双方を応援する超いい奴であった。
そして応援席には悟空とクリリンの親友ズ、言わずと知れたマーク・ミゲル・トニーも来ていて、無論彼等は悟空の応援一択である。
ちなみにモンブランには刺激が強すぎるので、もうじき一歳になる悟天と共に家でお留守番をしてるチチと、娘と孫をこよなく愛する牛魔王と一緒に家でテレビで観戦をしている。
「クリリンさは惜しかっただな。」
「はい・・・でも大した怪我が無くてよかったとほっとしてしまいましたが・・」
武道家の妻としてこれでいいのかとモンブランは少ししょげてしまう。
なにせチチと違ってモンブランは本当に武道とは無縁であり、文字通り箱に入れられて育てられてきた真正のお姫様
荒事なんて遠くのお話にだってなかったが、これからは警察官でそして亀仙流の武道家として生きる夫を支える妻としてそれはどうなのだろうかとしょげてしまうのを、眠っている悟天を父に預けたチチが優しく頭を撫で
「おらだって悟空さが大怪我をしたら泣いちまうべ。
んでもな、悟空さはそうなんねえように毎日毎日、雨の日だって風の日だって修行して強くなってんだ。」
撮影シーンが終われば自由時間という約束だって、自分のシーンの前後で何かが起きればそれに合わせて自身の出番の仕方が変わったりなど俳優業で忙しい中でも悟空はへこたれずに修行を欠かさない・・・・自分の事も愛している事も欠かしていないがそれは兎も角!!
「朝の早い時間の修行はクリリンさだって一緒だべ?だからクリリンさだってそっだら大怪我しちまうことは殆どねぇって信じてやってみてけろ。」
それでも大怪我をしてしまったら、自分達がずっとついて看病しようなというチチの言葉に、モンブランの心は少しだけ軽くなった。
同じ武道家を夫に持つ仲良しのチチがいる事が本当にモンブランにとっての救いであり、それはチチも同様であった。
モンブランよりも繊細な心を持つチチは、映画という華やかな世界で仕事をする悟空が外で綺麗なお姉さん方に言い寄られないか内心不安になる時はモンブランとお茶をして相談に乗ってもらう。
その度に
「あら、チチさんの綺麗な黒髪の人なんてそうそういないわよ?」
「華やか・・・・そしたらこのサテンのチャイナドレス着て今日帰ってくる悟空さんだけに見せてあげちゃえばいちころよ!」
「新作のコスメでも今度一緒に見に行って!うんとお洒落して二人であの人達をまた惚れさせちゃいましょうよ!!」
天真爛漫でどこまでも前向きで自分と同じくらいの熱量で夫を愛するモンブランに、何度も助けられている。
その二人が手を取り合って決勝戦が間もなく始まるというテレビを見ている時、テレビの向こうで特別実況席で座っているジュニアは物凄い形相をしそうになる自分を落ち着けている。
悟空と天津飯が戦うのは順当だと思う。
自分も気功を使えるとは言え地球人の中では規格外になりつつあり、今の悟空と天津飯を同時に相手をしてようやくという位置にいる為、今回の出場は辞退した。
三年後にはもしかしたら誰かが追い付きその時には腕試しもかねて出場する予定ではあるが、問題はそこではない。
気功弾も通さないシールドがきちんと起動して、悟空がヤムチャに放って蹴り返されたかめはめ波も難なく防いで観客席は何事も無く無事であり、ならばなにがジュニアの心を苛立たせているかというと、父がいないのだ朝からずっと
少し出て来るという言葉を残し、自分がいなくとも今日の大会を成功させてほしいという言葉を聞いた時は、馬鹿な事を言っていないで出掛ける支度をというその前に、舞空術という名の魔法を使われてしまっては追いようが無かった・・・最早ラディッツの舞空術は本当に魔法の範囲内である・・・少なくとも気功が使える自分達にとっても
飛び立ったという認識すらできずに、空を見てもどこを見ても姿すら視認できない程の速度を溜めなく気の放出も無くしているのだ・・・・
そして何よりも父は最早気を外に放出できないという事実に、気を感知して探すという事が出来ない以上、父達が必死になって今日に漕ぎつけた大会を成功させる以外手はないと嘆息をつきながら大会関係者一同には父に緊急の仕事が入ったと誤魔化し、お師匠様達と天津飯達には本当の事を言って嘆き合ってとうとう決勝戦まで来てしまった。
「さあここにいる観客の皆様のみならず!テレビでご覧になっている皆様にも長らくお待たせいたしました!!
これより超人大会の決勝戦を・・・・・」
ちょっと待ってもらおうか!!!
プロ司会者の言葉は、どこからともなく大音声によって妨げられた!
何事だと舞台上に出ようとしていた悟空と天津飯も舞台に飛び出し、ジュニア達瞬時に経過心を露わにして不穏な気配が無いかを探りながら辺りを見回す中、突然舞台中央にどさりと何かが投げつけられ・・・それは・・・
「兄ちゃん!!!!」
「兄者!!!!!!」
鶴仙流唯一の白い袍をボロボロにされ意識が無いのか眼をつぶっているラディッツがであった。
悟空と天津飯はもとより、ジュニア達も直ぐ様舞台に上がろうとしたが
「部外者は邪魔をしないでもらおうか。」
体をくの字に曲げて倒れ込んでいるラディッツに近寄る事を拒む様に、数十の気功弾が宙を舞い、近づく者達を感知して爆発を起こして悟空達全員を吹き飛ばし、追撃も放たれようとしたその時
「う・・・・く・・・・止せ!!!お前の狙いは俺だろう!!!弟達に手を出すな!!!」
爆発の音に意識が戻ったのか、ラディッツは力の入りづらい体を必死になって起こして腕で支え、上空にいる全身を外套で覆っている者を制止した。
今朝から地球の気がおかしくなっていた事に気が付いたラディッツは、大会の当日に息子や弟達に心配をかけまいと言葉少なく出ていった後、何が原因でおかしいと感じるのかを知る為に、最初に気の流れが乱れたと思しき場所を探っていた時に数十の気功弾に囲まれた。
ここまではラディッツが意識を失うような事態ではなかった。
気が放出できないと言いつつも、近頃は常に微量な気の粒子をラディッツは放出している。
そうしなければ近頃地球の意思なのか、時折り自分に気を分け与えようとしてくれて気が満ち溢れすぎる時があるのでパンクしない様に粒子状の気にして周りにばらまいている。
これをしてから弟達や息子と組み手をしても動きが分かり、分かるのであれば持ち前の舞空術の動きの応用で体を動かして避ける事も先手を採る事も容易になり、負ける事が無くなっている。
それが功を奏して近づかれる前から察知していたラディッツは飛んで来た気功弾を避けて反撃しようとしたのだが、ラディッツにとって運が悪かった。
襲われた場所が町の近くであり、自分が避けた気功弾の先は走っていた大型トレーラーが丁度走って来たところであった!
間に合え!!
粒子状に撒いていた気を固めてトレーラーをガードさせて事なきを得たが、ある意味防御機構の無くなったラディッツに、気功弾の嵐が襲い避けながら再び気の粒子を巻いた時には内側に入られた後であり
「甘いからこんな目に遭うのだよ、孫悟雲?」
自分を小馬鹿にしたように名を呼ぶ者の拳が腹に入った後であった・・・
あんな虫けらなぞ、放っておけばよかったのだよと聞こえたのが最後で、そして目が覚めれば弟達が吹き飛ばされていた!!
駄目だ・・・・駄目だ駄目だ駄目だ!!!
「弟達に手を出すな!!お前の目当ては俺なんだろう!!???」
体を起こすのも儘ならくともそれでも心が折れる事無く吠え上げるラディッツを、フード付きの外套で体を覆っている者は高らかに笑い声をあげる。
「可笑しな奴だ!死にかけているのはお前かも知れないのによくもまぁそんな形になっても弟達を守ろうとするものだな!!・・・・・虫唾が走ると言わせて頂こうか・・・・」
ドウン!!!!
「貴様!!!何者だ!!!!」
甘い声音に冷たい色と嘲笑する色を含んだゾッとする声を発した者を、ジュニアは飛びあがって両手に気を凝縮して放ち誰何する!
あの程度の攻撃でどうにかなる相手ではない事は、先程まで隠していた気を解放したであろう相手から十全にジュニアにも伝わるが、それでも外套を焼き正体を晒す事には成功したが、晒された者の姿を見て、ラディッツをして唖然とさせる姿であった・・・
「お・・・お前は・・・」
「あ・・・・なん・・・で・・・」
「そんな・・・あれは!!」
「馬鹿な・・・・」
ラディッツの様にはねちった黒髪の長髪に、前髪も跳ねているのは別段どこにでもいる。
黒のベストの下には何も着ておらずに露出している肌から見える筋肉質で鍛えられた体も武道家として大勢いる・・・・だが・・・・
長く茶色の尻尾が生えているのは地球では、ラディッツと弟のカカロットとその息子の悟天と同胞のサイヤ人ターレスのみであるはずが・・・
「どうした?私の尻尾が珍しいのか?」
自身の尻尾を驚く者達に見せつける様に降っている男の顔は、どことなくラディッツを思わせるような顔をしている事も、ラディッツを慕う全員が驚きを現した一因であった。
気のいい孫悟雲を、邪悪に染め上げればあのような酷く歪んだ笑みを浮かべてしまうのだろうか、そう思わせてしまう顔を持つ男は愉快気に宣言した。
「この超人大会は今から私と孫悟雲の地球戦士最強決定戦にさせてもらおう。」
それはまるで決定事項だという態度の男は、宣言後にまるで開始ゴングを鳴らすように気功弾をあたりにばらまき、呆けたラディッツの意識を強制的に元に戻らせシールドを張らせた。
観客席の前で両手を張り出し戸惑う仲にも怒りの感情をこみ上げさせるラディッツの顔が面白いとばかりに男は手を叩いて自分と戦う事を笑って促す
「いいぞ、さっさと私と戦い合う気になれ。
呆けている場合じゃないだろう孫悟雲?」
さっさとやる気を出さねば、大勢が死んでしまうのだから・・・・