俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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逃げなかったその先

セルがゲームを仕掛けてから数十分経った超人大会会場で、ラディッツは片膝をついて両腕をセルに向かって突き出し、背後に数十の弟妹弟子達とマークを庇いながら肩で息をしている。

 

体は無傷だが荒い呼吸に今にも瞑りそうな眼から、ラディッツの限界が伺える。

 

「父君達はよくやった・・・・私が言っても皮肉に聞こえるかもしれんが本心だぞ。」

 

ジュニアの様に出した外套をはためかせながら、セルはラディッツとその背の向こうにいる者達を本気で称賛した

 

制約を課した中にあっても、ラディッツに攻撃は届かずにひたすらにスタミナを削る以外の策を見出させなかったのは見事としか言いようがなく、彼我の戦力差を理解しながらも自分の前に立ちふさがった者達は見事であったと

 

だがもうラディッツも鶴仙流の弟子達もマークも限界だ。

 

自身の気の総量を推し量りながら戦うも、回復手段も-供給-も出来ないとあっては最早ラディッツに抗う術はない・・・・・先程の様にマークの言葉によってに勇気を得た弟妹弟子達が盾になろうとしてもだ

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

悟空達をカプセルコーポレーションに行かせた後、セルが直ぐに攻撃を仕掛けた。

 

「死んでもらおうか父君!!!」

「俺の息子はジュニア一人だ!!!」

 

ヤムチャの操気弾付きの狼牙風風拳と共に突っ込んできたセルを、ラディッツは気功弾を風切羽を散らして相殺させ突っ込んでくるセルの攻撃を受けずに流すか避けるかをして捌いた。

 

自前の気の総量が本当に分からず、ともすれば自身の膨れ上がった気で自家中毒の如くになってしまう厄介な体を気にかけながら長期戦うにはそれしかなかった。

 

気を振りまいて相手の動きを知り受け流し避けながら、それでも掌をどこかに触れさせることが出来れば、相手の体を瞬時に振動させた気を送り込むか、或いは時間をかけて掌に集めた気に熱を帯びさせ掴むことが出来れば・・・・だがこれはどちらもセルの目論見によって潰えた。

 

ラディッツが避けて背後ないし自身の体の何処かを大きめに触ろうと知れば瞬時に距離を取られる。

 

今のラディッツの戦略は二つしかないのを、コンピューターの情報学習で知っているから

 

地球の気とやらを使えれば、恐らく気の大半をシールドに回して突っ込んでくるか、大量の気を使った風切羽で自分を切り刻みながら自身はシールドで体を守って乱打戦に持ち込んでくることもできたであろう。

 

学習して同じ技を使えるにしても、矢張りそこはまだ練度不足な感じを否めないセルとしては、父と戯れに呼んでいるラディッツと自分のシールでは威力が半減ないしそれに近いくらいの差があると考えている。

 

だから裏社会の科学者を脅して封じの腕輪を作らせた

 

世界の有能な科学者はドクターゲロとカプセルコーポレーションの面々だけではなく、中には裏社会に身を置くものがいる。

 

昨今気で取り締まりをされている裏社会が何の対応策を打たない訳がない。

 

彼等の気を封じる研究も行われており、良い所までいっているのを嗅ぎ付けたセルが、内からの気を封じるのではなく外から気を受け取ることは出来ないかと脅しながら研究をさせて拵えた、謂わば父への贈り物

 

その腕輪は試作品ではあるが良い仕事をしており、ラディッツが腕輪を破壊しようとすれば爆弾を爆発させると警告をしてからはラディッツは自分の気のみで状況を打開するかだけに考えを巡らせながら戦う中、気功の達人である亀仙人と鶴仙人とその弟子達は、セルの規格外の気の運行に戦慄を奔らせる。

 

一体どうすれば気功弾一つから辺り一面を焼き滅ぼせそうな気を詰めることが出来るのか・・・気を操ることが出来るだけに、セルと自分達との実力の差が否が応でも分からされてしまった。

 

まるで蛇に睨まれた蛙の如く、ラディッツを助けに行きたいのに体が動いてくれないではないか!!

 

そしてそれは悟雲を友だと言うマークも同様であった。

 

気の凄まじさはわからない・・・・だが、セルとそしてラディッツこと悟雲と自分の生物としての格の違いを分からされてしまった!

 

双方の動き一つを目で追う事も、カリン様の修行で得た五感で感じるという事も出来ずに、悟雲がセルの気功弾を相殺する余波のエネルギーの振動の凄まじさにマークの心は慄いた・・・・なんだこれは・・・・・これは・・・人間が入れる余地のある戦いなのか・・・・怖ろしいと体は竦み上がり足が震えて立つのがやっとな有様であった。

 

しかしマークは-普通-の人間なのだ

 

鶴・亀仙流の弟子でもましてや地球外生命体でもなく、ごく一般的な武道を修めている普通の格闘家が、この場面から逃げないだけでも相当な覚悟がいる。

 

逃げればいいと、自分の手に負えない事だと心の中で何度も浮かぶ言葉・・・・きっと悟雲だとて気を扱う事すらできない自分がいない方が楽だろうと・・・逃げ道は幾らでもマークにはあった。

 

現に鶴仙流の弟子達の何人かが、マークに外に行くべきだと、退路はきちんと確保してあると言われたがそれでも・・

 

 

彼は駆けた・・・・己が親友だと心に定めた男の下に

 

「悟雲!!!!!!」

 

 

気の操作を間違い、膨れ上がった気で自家中毒を起こしかけぐらつく身体をセルの蹴りによって吹き飛ばされ、ジュニアの爆裂閃光弾の嵐をシールドで耐えつくしたが、体が傾いだ其の時、セルの拳が腹に来ることを察知しながらも避けられない・・・ならばその部分に気を回そうとしたら、自分の体は横に飛んでいて

 

「・・・・・マーク?・・・・!!!!!」

 

ラディッツの思考は一瞬だけ呆け、そしてあり得ない者の姿を視認して思考が一気に冷えた!!

 

 

「馬鹿マーク!!!お前なんでまだいるんだ!!!!」

 

とっくに弟妹弟子の誰かが!力づくでもこの場においては一般人と変わらないマークを連れ出しているだろうと考えていたラディッツは、自分を抱えているマークの姿に物凄い焦りを覚えながら突き飛ばそうとした。

 

これは戦いの邪魔になるものだから、眼路の限りより失せさせろと!ついでにお前達も邪魔でお師匠様達もろともに遠くに行けと・・・だが・・・

 

「し・・し・・・・親友を・・・置いて行けるかよ馬鹿野郎!!!!!!!!」

 

マークの雷渇にも似た怒声がその場を支配した。

 

分かってる・・・俺なんかがいても、きっと悟雲にとっては何の助けにもならない事なんて

 

分かってる・・・目の前のセルという奴は俺がいても攻撃してこないのは、蟻を見逃す事と大差なく、もう悟雲の力が残っていないからこその余裕なのだと・・・

 

だからって!!だからって!!!

 

「お・・・・俺は!!俺はチャンピオンなんだ!!戦う奴なんだ!!!

そんな俺が!!親友を置いて逃げるなんてカッコ悪い事が出来るかよ!!!

お前をこうして一・二度くらいは攻撃から・・カ・・カッコ悪くても逃がしてやれるんだぞ!!」

「・・・ッカ・・・・野郎・・・・」

 

全身が震えているくせに、何なら腰だって砕けそうな程怯えているお前の顔、涙と鼻水が出てぼろ泣きしてやがるじゃないかよと、ラディッツはマークの言葉と行動の有様に泣きだしそうになる。

 

勇ましい事を言いながらも、少し小市民的なところがあるマーク

お調子者で大きな事を言いながらも時折ドジって怪我をこさえては、ミゲルに泣かれてトニーに嫌味を言われながら手当てを受けるマーク

 

今だって本当は逃げたいだろうにありったけの勇気を自分に見せてくれるマーク

 

弱った自分を抱えてくれるマークを、セルは感嘆した目を向けそしておもむろに手を上げマークに向けて小さな気功弾を放った時

 

「ピューリを中心に!全員気を張れ!!!」

 

豹一族の黒が指示を出しその場にいる鶴仙流の弟子達全員でシールドを張った

 

「お前達!!!」

「指示は聞きませんよ兄弟子様!!言っておきますがこれは俺達の反乱です!!!」

 

自分達よりも先に飛び出しそうになったお師匠様と武天老師様の意識刈り取って外に逃がしているから後で一緒に謝ってくださいと言う同じく豹一族の白の言葉に、ラディッツは唖然とした

 

何故逃げてくれない?

 

だがそんな疑問を、何時までもセルは持たせてくれる筈も無かった。

 

邪魔だとばかりに自分達の間の障害を蹴り飛ばし殴り飛ばして排除する・・・それでも

 

「どどん波!!!」

「操気弾!!!!!」

 

圧倒的な力を見せつけられダメージを著しく負おうとも、彼等は健気に残り持てる力を振り絞って兄弟子を守らんと必死に抵抗を示す。

 

セルにとっては何のダメージにもならないその攻撃とも呼べない代物を、セルは嘲笑う事無くすべて拳で受け止め或いは弾き返す、攻防にも似た状況が数分続いた。

 

五分もすれば気を使いつくした弟妹弟子達と緊張で強張っているマークをラディッツは背後に置いた。

 

「・・・・全員そこを動くなよ・・・・・」

 

動けば俺はわざとセルの攻撃を受けるぞと脅されては、誰も動けなくなった・・・狡い手だとラディッツ自身が一番己の言葉に嫌悪している。

 

相手の真心を利用している最低な手段だと・・・それでも・・・・生きていてほしいのだ彼等には!!!

 

背に庇っての攻防の果てに、終わりが見えてもラディッツ自身は満足な心持であった

 

彼等を本気で称賛するセルであるのならば・・・・もしかしたら彼等を見逃してくれるのではないかという淡い希望が生まれた事が、ラディッツの心を落ち着かせてしまったのだ・・・・闘争心が欠如したサイヤ人・・・・幼馴染が心配した事が今現実のものになろうとしてる。

 

大切な者の為であれば何でもしてしまうだろうと危惧した通り、大切な者達が助かるかも知れない道が見えてしまった事で不覚にも力が抜けかけた時

 

 

「兄ちゃん!!!!!!!!」

 

凄まじい怒声と暴力的な赤黒い気が、ラディッツを包み込みセルから放たれた爆裂閃光弾を霧散させた。

 

爆弾処理を終えた悟空は誰よりも早く兄の下に戻り、限界間近の兄を全身で包んで守ったのだ

 

「・・・・カカ・・・・ロット・・・」

「へへ・・・・間に合った・・・・」

 

何時もの様にへりゃりと甘えるように笑いなが自分を抱きしめてつつも、物凄い気を迸らせている弟にラディッツは驚く。

 

自分の知る限り弟は戦いながらも穏やかな気であった筈だが、この気の攻撃的な感じは何だと・・・・

 

そんな悟空とラディッツのやり取りを、セルは憎々しげに見遣る

 

「・・・・邪魔をするか孫悟空・・」

「おめぇ・・・兄ちゃんとマーク達をこんな目に遭わせたんだから無事で済むと思ってねよな?」

 

双方怒りに満ち溢れた気で互いを睨み合うセルと悟空

 

見合うだけで大気を震わせる程に迸る気のぶつけ合いに、マークは慄きながらも悟空に近寄り

 

「悟雲を下がらせていいか?」

「・・・・兄ちゃんを頼む・・」

 

真っ先に兄を受け取りに来てくれたマークに悟空は大切な兄を託して全員をうんと遠くに下がらせた。

 

 

暴れて藻掻くラディッツを黒と白も加勢して遠くに行くのを見届けた悟空は己の中の力に集中した

 

「おめぇは!泣いても許さねえ!!!!」

 

かつてない程の気を爆発させ、叫びながら突進した悟空の拳はセルの顔面をぶちのめして吹き飛ばし、それに満足せずに吹き飛ぶセルの腹に踵を落とし地面に撃つとする前から気功弾を嵐のようにぶち当てた!!

 

なんだあの凄まじい気はと、長年弟の成長を側で見守っていたラディッツの額に汗を浮かばせるほどの膨大な気を繰り出しながら悟空の攻撃は怒声と共に続いている!

 

「まだまだだ!!!」

 

リミット外し!二段階から三段階外しだ!!!!

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