俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

112 / 233
意外すぎる結末・・・

ここは・・・酷く心地が良い・・・

 

ラディッツの手刀で心臓を貫かれながらも、最早身体危機を知らせる為の痛覚も薄れ果てたセルは、倒そうとしながらも、年老い始めた自分の身を案じている奇妙な父の気配に抱かれている事に心地良さを覚える。

 

手刀は抜かれないながらも、自分がこのまま落下しないように背中に添えられている手から、自分の瞳を覗き込んでいる瞳から、なんならば全身から発せられている気配は妙に温かくて、羊水を模した自分を守ってくれていた筈の培養液よりも安心感を覚えさせてくれる・・・華々しい戦闘は本当に夢で終わってしまったが

 

「ふふ・・・こんな風に終わるのも悪く・・・ないものなのかもしれないな父君・・」

 

こんな風に死ぬというには、自分は自分の知識の中にある生命の摂理から反しているとセルは思う

 

造られた生命、故にこその人造人間

 

造られた物が者を主張するなぞセルの中の美意識的には烏滸がましく、仮に己を生命だと言い張りたい過去の人造人間がいるかもしれないが、自分はそうは思わない

 

仮初の、それもたった一つの思惑を果たす為に生み出された道具だから・・・

 

それでもそんな自分を憐れとも思わなかった

 

自己憐憫という感情がないかと言われれば知識としては備わっている、だがそれよりも知らずに芽生え根付いた戦闘民族サイヤ人として、強敵を用意されている事が嬉しいと、楽しみだという感情が上だっただけの話

 

 

「楽しかったぞ父君・・・・」

 

あぁ本当に心地良い・・・このまま、父の腕の中でに眠るのも悪くない・・・

 

そう思い目を閉じようとしたが・・・

 

 

「#%&=#!」

 

ズガアン!!

 

 

・・・・近頃馴染みながらも、相も変わらずに何を言っているのかさっぱりとわからない言葉を口にする女の声と、気功弾の着弾音が実に心地良い永眠を妨げられてしまった・・・・なぜあの女が此処に来た?

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

物凄く・・・・戦っている時も自分と話している時もどこかしら気取っていたセルの物凄くうんざりとした表情にも驚きだが、ラディッツとターレスは気功弾を撃ってきた者が発した言葉に驚いた!!

 

蒼い肌に尖った耳はどう見ても宇宙人だと一目で分かるがそれでも、あの女が使っているのは・・・

 

空中にとどまっていたラディッツは、気功弾の気配を感じた瞬間にシールドを張り何らのダメージもおっていなかったが表情を歪めた事に、セルは不思議そうに小首をかしげるのを見たラディッツはゆっくりと地面に降り

 

「・・・セル・・・手刀抜くがターレスに即座に殺されたくなければ何もするなよ?」

 

 

セルに警告を発しながら、ズルリと赤く染まった右手を抜いた瞬間上空に現れた者に近づいたラディッツは

 

「%$|*#&(落ち着いて話せ)」

「!!!!???」

 

興奮している相手の女性を刺激しないように、この宙域では絶対に使われない筈の-銀河公用語-でそっと話しかけ、話しかけられた者は、意識が目覚めて以来初めて自分が分かる言葉に眼を見開き

 

「△⓪#$%?(君は誰だ?)」

 

分かる言葉で問われた事に応えられない女は、ようやく言葉が通じる相手に出会えた事とラディッツが戦闘中であっても精一杯優しい気配を出している事に安堵し、そんな相手の望む答えが言えない事と・・・

 

「#・・・#$&#!(わ・・・わからない!)」

 

自分の名前も、己が何者である事も、何故自分があそこで戦いに敗れている男の下にいる羽目になったのかも全てがわからないと、辛うじて破けなかったラディッツの白い袍を掴みながら泣き叫ぶ。

 

分からない、記憶がないと言う女の答えに、言葉が分かるラディッツ達は唖然とした

 

記憶がないと言う奴が何故セルを助ける真似をしたのか・・・

 

「セル・・・・お前この女性どうした?」

 

銀河公用語を扱える女性の事に、ラディッツは物凄く思い当たる節があった

 

今から四年前、ターレス達の騒ぎですっかりと忘れていたが、ジングルベル村よりも北の土地にフリーザ軍の宇宙ポッドが墜落した騒ぎがあった・・・あの時の乗りては遂に見つからなかったがまさかと思い、四年前にこの女性を見つけたのかと真剣に問えば

 

「その通りだ、その女を見つける半月前に私は生まれ、大量の気を必要としていた私の餌にしようと連れ帰ってみたが、回復させれば戦闘力は一般人の十倍はあるとコンピューターの検査結果で判明したのだよ。」

 

其れならばある程度回復させて、自分の手に負えるうちに気を吸い取りまた回復させて摂取すれば、世間を騒がせる事無く便利だからと手元で飼っていたのだと悪びれずにいうセルに・・・こいつは本当にサイヤ人の相当なところだけを受け継いだ奴だと、実際のサイヤ人達を知る二人は物凄く納得しながらセルの話の続きを聞いた後、ラディッツは上空に留まってこちらの出方を伺っている女に警戒しなくともいいと両手を上げながらゆっくりと近づき、話を聞いてみる事にした。

 

 

(以降は銀河公用語)

 

「その・・・名前が分からないのでしたね・・・済まないが其れでは話が進み辛いので便宜上ですが・・・あぁ・・・これはこの星の女性名で・・ソラ・・・でいいかな?」

「ソ・・・ソラ?」

「まぁ君の肌から連想した名前で申し訳ないのだが其れよりもソラ、君は話を聞いているとあの男に囚われ酷い目に遭っていたようだが・・・何故あの男を助けに来た?」

「わ・・・私だって・・・」

「ん?」

「私だって!!あんな奴助けたくなってない!!でも! 何も覚えていない私の中にはあいつの子がいるんだ!!!」

「・・・・・・は?」

「あいつが死んだら!!あいつがいなくなったら私と私の中にいる子供はどうすればいいだよ!!???」

 

・・・・・気功弾を撃った相手の気を探った時、下腹部から別の気を感じたからまさかとは思ったが・・・・

 

「セル貴様!!!!!!」

 

 

ドゴン!!!!!!

 

 

ソラと仮名をつけた女性の答えを聞いたラディッツは、悪鬼羅刹も裸足で逃げだす般若の形相で、心臓と胸を回復させたセルの横っ面を思いっきりぶっ飛ばした!

 

自分を襲った事よりも、マーク達や弟の命を脅かした事も、祖父を巻き込んだ事も許せない上に、記憶の無い女性にした数々の事はラディッツの中では万死に値する所業であった。

 

「お前!!記憶亡くした婦女子を攫って無体をした上に!孕ませておいて自分は死にに来たのかこのど屑野郎が!!!」

 

回復したセルを経過して取り囲んでいた悟空達をも唖然とさせたラディッツの怒りの理由はこれであった。

 

妻や恋人が子を身籠っていても、普通に戦場に出るサイヤ人や軍の戦士達を見ていたラディッツは、そういう事もあるのだくらいラディッツだとて知っているが!これは違うだろう!!!

 

その形相にも言葉にも悪びれないセルに、ラディッツはお前どうしてそんなことしたと、セルの肩をゆすぶり始め、セルは観念したのかあっさりと理由というか馴れ初めというか・・・女性が聞いたらアウトな答えをどうという事もないとばかりに話した。

 

「四年もの間、私に屈する事無くそれどころか憎んで殺そうとした気の強さが気に入ってな、二ヶ月前に戯れに手を出したのだよ。」

 

人造人間であるが孫悟雲達男の武道家ばかりをベースにしたせいか、性別も生殖機能もそのままにされたらしく、ならば自分が勝っても負けても死ぬような戦いに挑む前に、良いなと思った女を身篭らせて自分の足跡でも残せないかと試してみたら

 

「一度で成功したらしくそいつは私の子を身籠ったのだよ。」

 

サイヤ人の遺伝子とは繫殖力も強いのかねという本当にあっけらかんとした言葉に、ラディッツがキレてもう一度顔面を殴ろうしたその時

 

ソラに全力で止められた!!

 

・・・被害者とも言える当人に、泣きながら止められた事でラディッツはどうしようも出来ず、何の茶番を見せられているんだとうんざりとしたターレスはラディッツに問うた

 

「・・・・これどうすんだよラディ坊ちゃんよ・・・」

 

ターレスも女の素性は本当に知らない。

 

とは言え銀河公用語を使えるという事はもしかしたらフリーザの息のかかった者が記憶喪失の振りをしているのかもしれないと言う不安材料がある女が、セルという紛い物のサイヤ人の子を身籠っている訳だが、セルとこいつ殺すか生かすかどうするんだと言う物凄く短い言葉に中にある様々な思惑の問いに、ラディッツだとて泣きたい・・・

 

 

周りを見れば、自分とソラの遣り取りを全くわからなかった事で不安そうな顔をしている弟達を見て、先ずはややこしい事態を説明し、セルもこのまま放っておけば老化現象が進んで早晩死ぬ事を告げれば

 

「父君の言う通りだな。」

 

急激な肉体成長と戦闘力と再生力に寿命を回した事で、後半年もつかもたない身体だと殴られて立ち上る力もなく座り込んだままのセルはどこか楽しそうに己の残りの寿命を告げれば、ジュニアとターレス以外の全員が困惑した。

 

そんな事を言われてしまっては本当に心情的に困る

 

元来が優しい彼等にとって敵の事情を知る事は何よりも毒にも等しく、クリリンなどは絆されまいと懸命にセルは酷い事をした敵ではないかと心で念じたのだが・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「敵の私を生かすと決めた貴方の行動は理解不能なのだが?」

 

山村の一番隅っこ薄暗い土地に設置されたカプセルハウスのベッドの上で、貴方の判断はおかしいと皮肉を存分にまぶされたセルの言葉に

 

「・・・・お前の為なんかじゃ絶対に無いぞ!!!!!」

 

寿命尽きるまでソラと仮名をつけたあの女性の為に生かすんだと言うラディッツの行動に、孫悟雲らしい結末だと安堵した者達が多数いたのは内緒であろうか・・・

 

老化現象を遅らせつつ、セルがソラにしたようほどほどに回復だけさせるにはどうすればいいか

 

 

「さっさと解決策を出してもらおうかドクターゲロ!!!」

 

セルの下に弟達を残し、ラディッツは一人で今回の騒動の元凶へと話を聞きに行った。

 

この元凶をどうすればいいのか物凄く頭を悩ませながら・・・・・




筆者もこの爺さん、今後どうすれば正解なのか悩みました・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。