自分達はそれぞれの星々を様々な理由で宇宙の外に出た
星の寿命で出ざるを得なかった者、星の異常気象によって避難した者、諍いを起こしてしまって追放されてしまった者、中には冒険や一攫千金を狙って飛び出したものと様々な者達が集いながら、数百年して大所帯になった。
時には他の宙域の者と生存競争の果てにぶつかり合った事もあった。
そんな日々の中
「今や宇宙の大半を己の掌中に収めんとする者がいる。
そ奴等にとっては、はぐれ者とはいえども数千人の群れを成していた我等が目障りであったのかもしれない・・・」
人が住まない惑星を移動宇宙船に改造して星々の間を移動しながら、他の惑星と食料の取引や鉱物の採掘をして生活をしていたが、ある日突然軍隊に襲われ、大半の仲間が殺され・・・
「我等だけが此処に辿り着けたという訳なのだよ・・・・」
スラッグと名乗った老人は、自分達の素性とこれまでの経緯を話してそう結んだのを、スラッグの前に座っているジェネラル大将が、壮大で途方もなさ過ぎて頭が痛くなっていた。
ジュニアを老人にしたような背の高いスラッグが、同胞に会えるとはと呟いた後驚くジュニアの手を握ろうとした時、ラディッツがお疲れのようなので少し休まれませんかと双方の間にそっと割って入り、ホイポイカプセルを取り出して少し遠くに投げ、一軒家を二つ足した広さのカプセルハウスを出現させ提案をした。
長い話になりそうであり、様々な目に遭った後ならば都の喧騒から離れたこの場所で少し休まれていくといいと言うジェネラル大将も勧め、ならばお言葉に甘えさせて頂こうとこの中のリーダーらしいスラッグが応じ、他の者達も無言でうなずいた。
双方この時は銀河公用語で話し、カプセルハウスに入る前にジェネラル大将の補佐官マーチも銀河公用語に堪能で通訳を介さずに翻訳機のセットをジュニアと同族かも知れない(断定するには情報が無さすぎる・・)スラッグと、それぞれ緑色のガラスのヘルメットをしたままのアンギラと、背が高いドロダボと、小男のメダマッチャに、翻訳機器セットを渡して説明し、取り付けてもらい互いに自由に意思の疎通が出来るとスラッグ達を驚かせ、そしてカプセルハウスに入った。
「貴方がジュニアと同じ種族の方ならば、水の類がいいでしょうか?」
「済まんがそうしてくれるかな?アンギラとドロダボとメダマッチャは何でも飲食できるが、私はそうもいかなくてな。」
「構いません、ジュニアと同じであるのならばそれが当然かと。」
ジェネラル大将を交渉席に据えて、ラディッツは完全にお付きの人の様に振舞って・・・いるといいたいが、こいつ普通におもてなしがしたいだけになってる気がする。
普段ジュニアに出しているパオズ山の深層水の中にレモンの薄切りを入れ、味が水に溶けだす間に他の三人にはコーヒーと紅茶とココアを用意し、それぞれ試してもらい、三人は意外とココアが気に入ったようなので鼻歌を歌いながら支度し始めやがって・・・・緊張感がまるでねえのである・・・・大丈夫かこいつ?
そんな駄目父の様子に頭を痛めながら、ジュニアは小声でもっと緊張感持ってくれと苦言を呈するのを、いいからいいからと言って聞かないラディッツに、ジュニアはさらに溜息をつくのをスラッグがじっと見つめている事に気が付いてすらいないようであった・・・・
「ではスラッグ殿にはこちらの地球で美味しいと自信のある水を、他の方々にはココアをどうぞ。
ジェネラル大将は紅茶でマーチ中将はコーヒーのブラックを、では俺はまた後ろに控えています。」
お盆を持って完全にどこのボーイだとジュニアに叱られるのを、ジェネラル大将はしょうがない奴だとジュニアの様に溜息をつき
「あれでもこの地球ではそこそこ強い者なのだが・・・如何せん変わっているが悪い奴では無いのです。」
「水に工夫をしてくれる良い青年かと・・・ただ、もう少し行動に責任を伴わせるのがよろしい様に・・・」
「全くですな・・・」
ラディッツを出汁にして会話が始まり、落ち着いたところスラッグ達が何故地球のある太陽系で救難信号出したのかの話になった。
スラッグ達もここまで来たが半ば諦めていたのだが、まさか応えてくれる生命のある惑星があるとは思ってもみず、まさに僥倖であったとしきりに感謝され、ジェネラル大将達は助けられてよかったですと他愛もない話に切り替わり、日も暮れ本格的な話は明日する事になった。
今日はラディッツ達を世話係に置いて行きますとジェネラル達は一度国王や関係各所に報告する為に、ある程度の人員を置いて都へと戻っていった。
「さて、今夜の夕飯は何をお出ししましょうか?」
残ったのはラディッツ・ジュニア・天津飯の三人が中に残り、兵士達は外で待機と交代で休む者達が決められ、休む者達はそれぞれのカプセルハウスで休憩をする事になり、スラッグ達の食事の用意を当然の様に始めるラディッツに、スラッグ達は笑みを浮かべてまたお言葉に甘えましょうとなったのだった。
「成る程・・・スラッグさんとジュニアはナメック星人というのですね・・・」
「私が幼い頃、故郷は天変地異に見舞われ私と数名だけが星の外に逃がされたのですが・・・この地球に逃げてきた同胞がいたのですね・・・今ここに来られた者は?」
「・・・・俺の生み主は世界中をフラフラとしている・・・・そもそもあいつは何かの衝撃を受けたのか何のなのかは知らないが、自分の種族さえ覚えていない・・」
「なんと!!・・・其れでは貴方はご自分の事を何もご存知ないと?」
「あぁ・・・・別に不自由はないが・・・・」
最初は肉まんじゅうとサラダと先程と同じレモン水の食事をしながらラディッツとスラッグが二人で喋っていたが、ジュニアとスラッグの種族の話が出たあたりからは、ジュニアとスラッグだけの会話になり、ラディッツが入ろうとするとジュニアが少し黙っていてくれというつれない態度に、ラディッツはシュンとしてしまい洗い物をしている天津飯の側に行ってしまった。
「・・・・あの方も一緒に・・」
「いや・・・俺はもっとあんたの事を知りたい・・・」
「成る程、正確に言えばナメック星人について?」
「・・・・そう思ってもらっても構わない・・・」
「ふむ・・・私達は本来はあまり睡眠を必要としない。」
あの者達が寝静まってからゆっくりと語らい合おうと言うスラッグの言葉に、ジュニアは首を縦に振って答えた。
一方のラディッツは、飲み物をだした時にヘルメットをとっていたアンギラ達に、襲って来たという軍隊に何か心当たりはないかと聞いたが返事は芳しくなかった。
宇宙を席巻しようとしている事だけは知っているが、その軍の総称も軍から送られてきた一軍の事も詳細は分からないと言われてはラディッツだとてお手上げである。
話を聞いていると異星人の混成部隊ではなく一種族の軍隊であったと言われては、もしかして百万が一のフリーザ様の軍かと考えたのだが様子が違う。
フリーザ軍は混成部隊がもっぱらで(過去の話・・・)、そもそもが自分の知っているフリーザ様は統治範囲を広める事にさして興味なく、惑星ベジータを中心にしたあの宙域で好き勝手にされているのを好まれていて・・・・誰だ?どこだ?最終的にはフリーザ様達とぶつかって自滅しようとしている輩どもは?
誰だかどこの組織か国が宇宙を掌中に収めようとするならば、最終的にはそうなる
宇宙全面戦争を地球の側ではしないでほしいと切実に願いたいとラディッツは真剣に祈る事にしたがそれは兎も角として、他に目新しい事が聞けないかと知った途端にラディッツが欠伸をし、天津飯が兄者はそろそろ休んでくださいと促されたので寝室に行く事にし
「ジュニアは寝ないのか?」
「・・・・先に寝ててくれ・・」
「う・・・・分かった・・・・」
矢張りつれないジュニアに、ラディッツは少し寂しそうにスラッグ達に暇乞いをしてカプセルハウスを天津飯と共に出た。
「・・・・あの御仁が嫌いかな?」
「そうじゃない・・・・だが・・・」
「自分と違う?」
「・・・・其れもわからん・・・」
ラディッツ達が出て行って程なくして、ジュニアの隣に座ったスラッグはラディッツが嫌いか問うのをジュニアは曖昧に答える。
その答えがスラッグにどう捉えられたかは分からないが、スラッグはジュニアの手にそっと手を重ね、ジュニアに手を振りほどかれる前に-力-を使った。
「あ・・・・緑色の・・・空?高い木・・・川も湖も緑色!!??・・・これは・・」
「突然で驚いただろうが、これは私の記憶だ。」
「・・・あんたの?」
「そう、ナメック星人同士だけかどうかは知らないし試した事も無いが、私はこうして自分が見たものを共有する事も、やろうと思えば相手の過去を見る事も出来る。」
「・・・・それもナメック星人としての力なのか?」
「そうだ、ナメック星人には龍族と呼ばれるドラゴンボールを製作し、子孫を生み増やすことが出来る種族と、その龍族を守る戦士のタイプのどちらかに分かれる。」
ごく稀に両方を兼ね備えて生まれる天才児もいるが、自分は戦士タイプだというスラッグの言葉を、ジュニアは興味深く聞き入った。
ナメック星人は水だけで生きていけるが時には果物を嗜好品の様に摂取し、アジッサという気を育てる事で良い水を生み出し育てていたという。
「私が外に出されてからは一度として故郷に戻らず好きにフラフラとしていてな、現在のナメック星がどうなっているのかは分からんが、私の知るナメック星はこんなものだな。」
「・・・・帰りたいとは思わんのか?」
「ん?」
「あんた達には帰る術があるのだろう?」
「ふむ・・・お前はナメック星に行きたいのか?」
ジュニアの言葉に答えずに、スラッグは質問を質問で返したがジュニアは怒りだす事は無かった・・・行ってみたいのかと言われ、それはないと即答できなかったからだ。
あの父が長期間地球を離れようとする筈も無く、ならば父の側を離れないと誓った自分ではあるが・・・
「行こうではないか。」
「・・・・なに?」
「私達と共に行ってみないか?」
「・・・・俺は地球を離れんぞ?」
様々な理由でいかない事を選んだジュニアに、スラッグがさらに距離を詰めてきた
「何を怖れる?」
「・・・なんだと?」
「たかだか同胞に会いに行くだけだ・・・もしかしたら、お前を生んだ者も、実は自分の出生を知りたくて世界にヒントが散らばっていないかを探しているのかもしれんぞ?」
「は!!・・・あいつがそんな柔な者か。」
フラフラとしてしるのはお気に入りのピラフがそう望んであちこち行っているからだが・・・・其れとてもしかしたらと、其の時不覚にもジュニアは己の今の心情とピッコロ大魔王の心情を重ねてしまって動揺した
もしもスラッグの言葉が正しければ・・・・あいつも・・・寂しさを埋める為に・・
ヒントが地球に無い事なぞあちらの方が知っている
だが、その代償行為の様にピラフを愛で動いているのであれば・・・それはなんと・・・寂しい事ではないかと思考が一瞬・・・・ほんの僅かだけの隙が生まれしまった!
同胞と言われても、興味深い話をされても決して緩めなかった隙を作ったジュニアの胸元ににスラッグの腕が伸びた時・・・・ジュニアが気が付いた時には避けられずにひたりと手があたりそして・・・・
ザン!!!!!!
「スラッグ様!!!」
「おめぇ達の相手はおら達だよ!!!」
「手前等!!帰ったんじゃねえのかよ?」
「しかも誰だ手前は!!!」
「おらはジュニアの兄貴の孫悟空ってんだよ!!!!」
「名乗っていなかったが、ジュニアの友人の天津飯!」
「お初だが、天津飯と同じくのヤムチャだ!!」
ジュニアの胸に手を当てたスラッグの腕が肘下から突如として斬られ、何事だとヘルメットをとったままのアンギラ達の前に、如意棒を構えた悟空と天津飯達が姿を現し、スラッグとの間を分断し
「・・・・・うちの子供に手を出すんじゃない・・」
スラッグの腕が切られると同時にジュニアを腕の中に回収して距離を取った鬼の形相のラディッツと
「俺の大事な家族に触んなよ・・・」
ラディッツとジュニアの横に殺気立ちながら光輪でスラッグの腕をぶった斬ったクリリンが陣取った。
「・・・・・かあぁ!!!」
ズルリ!!!!
「・・・・ナメック星人の再生能力か・・」
大汗をかきながらも腕を再生したスラッグは、突如として現れたラディッツ達に鋭い視線で睨みつけ問いかけた。
「お前はそこのジュニアに嫌われていたのではなかったのか?」
その質問に、ラディッツはニヤリと笑って答えた。
「俺がジュニアに嫌われたように見えたのは其れは芝居だ。」
お前の事を調べる為の時間稼ぎを、ジュニアがしやすいように
・・・・・・・・・・・・・・・・・
遡ったスラッグ達が到着して直ぐの念話にて
「・・・・親父がいつも以上に人のよさそうな間抜け物の演技をするって・・・」
何だそれはと戸惑うジュニアに
「どうやら相手のリーダー格はお前を同胞として興味を持ったみたいだからな。」
あんな風にしおらし気にしているが、あいつ等はまともなもんじゃないと数多の善人や犯罪者を見てきたラディッツの勘が告げている。
態度の端々から、声音から、笑っているように見えても胡散臭く、そして-自分達と同類-の匂いがする。
「俺の勘が外れている事を祈っていてくれよ。」
ジュニアに念話で話す前にジェネラル大将の許可をとある。
だが調べる為には写真入手が必須であり、ならば席を自然と立っても怪しまれない接待役に徹し、様々の飲み物を用意する合間に無音ポケット型カメラで瞬時に一枚ずつ取り、頃合いを見すましてターレス達に転送した。
飲み物を出したのは写真を撮る為にヘルメットを自然と取ってもらう為に、試飲させたのはその後写真を撮るのに距離を自然に取れるように選ばれた飲み物を淹れるのを口実にする為であったのだ。
ターレス達への依頼報酬は言わずと知れた美味い酒と飯であり・・・今回は追加で仙桃を要求された・・・・あれはアンニン様に頂いている貴重な品だが依頼内容が内容だけに十個つける事にして、調べてもらった結果
「お前達は生命が住んでいる星を自分達のクルーザーにしてはその星の資源を食いつぶして移動し、駄目になったらまた同じことを繰り返す事で、銀河パトロールが正式に指名手配している犯罪者集団だという事が先程知らせが届いている。
お前達が救難信号を太陽系に発信したのは生命が住んでいる星がどこかを探る為か?」
ラディッツが欠伸をしたのは、通信機器が振動してターレス達からの返信だと言う天津飯とジュニアへの合図であり、そして手はず通り外にいき返信内容を見て急いで弟達と共に中に取って返したのだ!
「ふ・・・・ふっふっふっふ!!あっはっはっはっはっは!!!やるではないか小僧!!!
いかにも!追われているのではなく常のクルーザーで移動していたのであれば生命探知など造作もなかったのだが・・・生憎と調べる機器も時間もなくてな。
業腹だが救難信号を上げ、ついでに弱った善良な者を演じてみたのだがな~。」
こんな銀河の端っこの辺境の星に住んでいる者に、反対に騙されしてやられたわとスラッグは顔を歪めて嗤った。
気の良さそうであった顔はみるみるうちに険しく鋭くなり、嗤いから漏れる気はどす黒い。
「・・・・・それが貴様の本質か・・・・・」
悪の気と呼んで差支えの無いどす黒い気に、最初であった時のターレスと確かに同じであった・・