皆でピクニックに行った翌日、朝食の席に現れなかったセル
その理由をジュニアが教えてくれた時、俺は否定しようと何かを言おうとしては失敗した・・・
ジュニアが嘘を言うはずがない・・・・嘘を言う理由もない!
何故・・・どうしてそんな事をしたんだセル!!
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ピクニックの翌日は前日と違って未明から大雨が降り、遠くで雷も鳴っている。
「春の嵐だべか・・・・悟空さ達、今日は家にいてけろ?」
「チチ、流石に外で修行するとは言わないから安心しろ。」
「修行は何も外で体を動かす事だけじゃなくて、瞑想して気を練ったり頭の中で戦い合ったりする事も出来るんだ。」
「そうなんですね~。クリリンさんから修行の仕方を聞くの初めてかもしれません。」
「お爺ちゃんも若い時は修行三昧だったの?」
「そうじゃのう、武天老師様の下で牛魔王と修行に明け暮れていた日が懐かしいのう。」
「悟飯さんは修行になると、鬼よりもおっがなかったな~。」
降りしきる雨の中、一番に起きたチチが朝食の支度をしているとモンブラン、悟空、ブルマと次々に起きて来て、ソラが悟白を抱っこしながら姿を現すころになってもラディッツとジュニアとセルの姿は表れなかった。
「兄ちゃんが寝坊するなんて珍しいな。」
「ジュニアも来ないし・・・」
「ソラ、セルはどうしたの?」
「・・・・あいつ何故か朝からいないんだ・・・」
「キュイはターレス達と酒盛りさせられて潰れてるのは知ってるけど・・」
キュイ・・・・意外と酒に弱い事が知られたせいで蟒蛇達に潰され現在も目を回して永眠寸前・・・其の方が誰にとっても良かろうのでお労しさを感じねえな・・・うん
だが、ラディッツとジュニアの事はまた別問題
早く起きては自己鍛錬を欠かさない二人が、嵐が来ているからと言って起きてこない理由にはならない。
もうとっくに起きて来て、朝食づくりの手伝いをしている筈なのに
そのラディッツとジュニアの内、ラディッツは本当に寝坊をしていた。
昨晩おかしな夢とも現(うつつ)とも知れない奇妙な出来事のせいで
・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・ぎみ・・・父君・・・」
「んぅ?・・・・セル?」
妹達や周りに呆れらるほど夕食をお腹に詰め込んだラディッツ達
お腹が苦しいが幸せであった
美味しい夕食に、お腹がはちきれそうになっている自分達を見て笑い転げていた家族達
フリーザ様達の事を何とか出来たら、またこうやってバカ騒ぎをして笑って楽しい日々を送りたいと、歯を磨いて寝床に入ったラディッツは微睡みながら願った。
来年の今頃ならば、-まだ-祖父もセルも存命であろう・・・・自分の生命力を分け与えてせめて悟白が三つになるまでセルに生きていてほしい・・・
自分を殺す為だけに作られ、出会った当初は最も許せない相手であったというのに、近頃は本当に自分の息子で家族になったセル・・・
常に気取った話し方を崩さず、己の心の内を用意に見せずにひらりひらりと言葉を操る伊達男・・・
それが気障ったらしいとターレスは嫌っているが、言葉をあそこまで優雅に操るセルは凄いと思うんだがな。
そのセルに敬意を込めて父君と呼ばれるのが近頃は本当に心地良くて、ソラも悟白も可愛くて仕方がない。
あぁ本当に・・・セルの寿命を延ばしてやる方法はないかとうつらうつらとしながら考えて寝たせいか、セルの声が後ろから聞こえてきた。
横を向いて寝ていたらギシリとベッドが軋んだ音がして、気が付いたらセルにすっぽりと覆いかぶされてた・・・
「・・・・どうしたセル?」
時折日中に不安を覚えては甘えて来る事もあるが、深夜に寝床に潜り込んでこられたのは初だが、矢張り寿命が迫る中で途轍もない危機が家族を襲うと言われては不安が増すのだろう。
そう考えたラディッツは、後ろから抱き着いて来たセルのまわされた腕と手を優しく叩いて握りしめ
「セル、俺は兎も角ジュニアも悟空もクリリンも周りの皆も強いぞ。」
いざとなったら俺も全てを賭して戦うが
「それでも駄目なら、俺も一緒に死ぬ。」
生きるも死ぬも一緒だから、何も怖くない。
きっと自分とセルは確実に地獄に行くのだから、ターレス達も一緒に珍道中の如く賑やかさで地獄に行けば怖くないぞと、慰めにもなっていないがラディッツにとってはそれが真実であった。
人の生死と己の生死の境を何度も見てきたラディッツにとっての、当たり前の考え
どうしたって生き物は生まれれば死ぬのだから
愛する者が理不尽な死を迎えて喜ぶ者などおらず、自分も其の時は全力をもって、それ以上に生命と魂を使い切ってでも抗うが、それでも無理な時は確かにあるのを知っている。
だから、其の時は自分も共に逝くから怖くないとラディッツは常に周りに言い続けているのをセルも知っており、何とも父君らしいと言って、ラディッツの頭に顔を埋めてクスクスと笑い始めたのを、ラディッツもクスリと笑う。
「怖い夢でも見たか?」
まるで小さな子供をあやすように優しい言葉をかける父に、セルは怖い夢はもう消えましたぞと、いつもの気取った話し方で答えた。
「私が怖ろしいのは、こんな時に父君とソラと悟白に何もしてやれずに朽ちていくだけの己の身が呪わしい事だけ・・・」
「セル・・・それは・・」
「分かっておりますよ。あの時の事に自分は後悔は無いのですが・・・・近頃は悟白を見ていると後悔したくなる・・・」
己の寿命を戦闘力に変換した事を後悔しそうになる日が来るとはと苦笑するセルに、ラディッツは頷いた
「セル、それはお前が本当に悟白の父親になったからだ。」
「?私は元々悟白の父親でしょう?」
謎かけの様な父の言葉に、セルは首を傾げるが
「違うよセル、親というのは子供がいるから親になれるんじゃないと俺は思う。」
親として子供を守りたい、愛して包んでやりたいと本気で思う子を持つ事が親への第一歩だと
「だからな・・・・近頃はお前の事を俺は本当の息子だと思ってるんだよ。」
自分を殺そうとした人造人間などという得体のしれない者であった筈なのに、-孫ジュニア-は自分の息子でソラは娘で悟白は俺の孫で
「絶対に・・・お前達の事も・・守り・・・切りたいんだよ・・・セ・・ル・・」
「父君・・・・」
セルの身長はジュニアと同じくらいにあり、そのセルにすっぽりと覆われているラディッツは心地良くて再び微睡み始めるのを、これでは子供と一緒ではないですかとセルは苦笑する。
昼間沢山遊んで沢山食べて、お腹がくちて温まれば眠ってしまう可愛い父君
細い体の中には、ひょっとしたらジュニア以上の力を持っているとは思えない程だ
「父君・・・・子が親よりも先に死ぬ事が一番の不幸だと知識では知っていましたが。」
貴方を置いて行くのは確定していた事であり、少し早く逝ってしまう事をお許しください
許しを請いながら、ラディッツの頬にセルはそっと口付けを落とし、眠るラディッツの右手を持ち上げて甲にも優しく落とし、そして髪をそっとすくい上げて口付けをする。
「頬は親愛を、手の甲は尊敬を、髪は愛しさを・・・・まぁ、父君はご存知ないかもしれんが・・・・」
親愛と尊敬と愛しさを込めた口付けを初めて父に贈る
眠っていて父はきっと終生知らないだろうが・・・・-兄君-が覚えていてくれるだろう
・・・・・・・・・・・・・・・
夢とも現ともわからない奇妙な深夜の出来事のせいで、すっかりと朝寝坊をしてしまたラディッツは、起きて時計を見てびっくりして慌ててベッドから降りて朝の身支度をして朝食の席に着いた時には、自分とセル以外の全員が食べ終えた後だった。
「おはよう兄ちゃん!眠かったんか?」
「お兄ちゃんが寝坊するなんて珍しいわね。」
「眠かったらもう少しゆっくりと-セル-と寝ていても良かったのじゃぞ?」
「・・・セルと?」
「?あいつ父さんの寝床に行ったんじゃないの?」
昨夜から姿が見えないからてっきり父さんに甘えに言ったのかと思っていたのにというソラの言葉に、ラディッツは何か嫌な予感がした。
胸騒ぎともいえるようなものを覚えた時・・・-其れ-が告げられた。
「親父・・・・皆も聞いてくれ・・・・」
片付けを手伝い、朝食の席にあったもの全てを仕舞い終えたジュニアが苦しそうに全員に座るように促した。
セルの事を何か知っているのだろう・・・・・だが、ラディッツは何故か聞きたくなかった・・・・それほどまでにジュニアの顔は辛そうであり、苦渋の決断をした物も表情を浮かべている
そして案の定ジュニアの話はセルの事であり
「セルは、俺と同化をした。」
たった一言を言う為に、ジュニアは多大な精神とエネルギーを擁した。
近頃の父はセルをどうすれば長生きさせてやれるかをドクターゲロと真剣に話し合って模索するほどにセルを愛し始めたから・・・
宇宙からの途轍もない侵略者達の対応に追われて寝食を削る日すらあっても、それでもセルの生命力を上げる方法はないかと必死になっていたのを傍らで見て手伝いもしていたのでよく知っているから・・・其の自分と同化したと言った時の父の顔は・・・
「ジュ・・・・ニア?」
ラディッツは言われた意味が解らないと言いかけたが、頭の冷えている部分は其れを否定した!
同化の意味をスラッグ騒動できちんと知っているだろう、何を知らない振りをしようとしているのだと・・・・だが!知っているからとて納得できるわけがない!!
「ジュニア!!!」
「兄ちゃん!!???」
「何故止めなかったジュニア!!!あいつは悟白の父親なんだぞ!!??」
ソラが嫌っていたとしても!悟白にとっては唯一の父を!!何故取り込んだ!!
ジュニアがこの世界に生を受けて初めて、ラディッツはジュニアに怒りをぶつけた。
それが理不尽な事だと一番分かっていても、俯くジュニアの胸倉を握りしめギリギリと締め上げずにはおれなかった・・・・
あいつも!お前と同じく俺の愛している息子なんだ!!!
「放さぬか悟雲!!!」
「やめてお兄ちゃん!!なんだかわからないけど!ジュニアを放してあげてよ!!」
「兄ちゃん!!」
「悟雲兄さん!!!・・・・ソラ?」
「!!・・・悟雲兄様!!ソラさんが・・・ソラさんが泣いてますよ!!!」
その言葉に、祖父と師の制止すら無視していたラディッツが弾かれたようにジュニアを放してソラを見てみれば、
「ジュニア・・・・同化って、お前がスラッグという同族をお前の中に取り込んだあれか?」
ソラもまた、スラッグとジュニアがどうかした事で得られた能力で記憶を辿れるかもしれないと具体的に教わった一人であり、結果はソラには失敗したと伝えたが、ソラはきちんと同化の事を覚えていたのだ・・・
セルが・・・あいつと同化したって・・・・
「・・・・父さん・・・ジュニアの話聞きたい・・・」
「ソラ・・・」
「私!!あいつがどうしてそんな事をしたのかきちんと聞きたいんだ!!」
「ソラ・・・・分かった・・・・・あいつが何故俺と同化したのか・・」
それはセル自身がソラと悟白と親父を守りたかったからだ
それは今から二か月前にセルから奇妙な事を聞かれたのが発端であった
「・・・・お前と悟白が、俺とスラッグの様に同化できないかだと?」
「然様、-兄君-は同族のスラッグと同化できたように、人造人間の私の血を受け継いだ悟白と私で同化できないかを考えたのだよ。」
同化というのはどうやらナメック星人の能力であり、そのナメック星人の遺伝子を持ち再生もできるし手足も伸ばす事が切る自分と、同じ遺伝子を継いだかもしれない息子の悟白と自分はどうかできないだろうかという言葉に、話があると言われたジュニアは本気で呆れた。
「お前は頭がいいようでいて馬鹿か?
いいか、お前は親父の遺伝子や他の者達のも有している混ざりものだ。」
人造人間だろうと言う言葉を臆面も無くズバリと言うところが実にジュニアらしく
「その上で悟白はソラの遺伝子も混ざって、お前と同じようにナメック星人の遺伝子を継いでいるとは限らんだろう。」
十中八九はサイヤ人と母方の遺伝子の方が上回っている可能性の方が高い。
第一に、悟白はまだ自我の無い赤子であり、万が一同化できたとしても残るのはセルの人格であろう。
「・・・・まさかとは思うが・・・・息子を使って若返ろうっていうんじゃないだろうな・・・」
同化で悟白の寿命をと、考え至ったジュニアは即座に臨戦態勢に入った!
悟白は気に食わないこいつの血も入っているが!紛れもなく親父の遺伝子を受け継いだ正真正銘親父の孫で!祖父にとっての可愛い玄孫!!
そして・・・ソラの大切な可愛い子供を!己の戦闘力を取り戻す為の手段にするつもりなら即座に殺してやる!!
たとえその事で父が嘆き悲しもうとだ!!
そんなジュニアの決意を感じ取ったセルはクスクスと笑い、右手を上げて制止し
「誤解だよ兄君。」
「・・・・誤解だと?・・どういう事だ・・それと俺を兄君と呼ぶな・・」
「貴方も私と同じく父の猶子で兄君でしょう。」
まあそこはどうでもいいのですが
「同化して残したいのは悟白の方だ。」
「・・・・何?」
「私はな兄君、きっと今年の冬を越すことが出来ずに秋口辺りまでもてばいい方だろう。」
「お前・・・もうそこまで・・・」
セルの告白に、そこまでもう死期が近いのかとジュニアは驚く。
こうして面と向かって話していてもしっかりとしているのは、最後まで自分達に弱みを晒す事を良しとしないからだろうか、兎に角そんな雰囲気を微塵も感じさせないセルは真剣な面持ちになった。
「まだ戦闘力が幾ばくか残っている私の力と大人の体を悟白に渡し、未来を切り開く力を与えてやりたいのだ。」
そこからジュニアとセルは長い話をした
悟白はまだ物心も付いていない赤子であり、仮に同化できたとしても残るのはセルの人格である事
そうでなくとも、セルの気持ちもわからなくはないが
「力と体が大人になって、知識がついたって赤子は赤子だ。」
戦えとしてもそれは歪な-ナニカ-を生じさせたに過ぎず、戦いに勝利で来たとしても悟白が幸せになれるとはとても思えない事を・・・
「分かってるんだよそんな事は!!!」
それを聞いたセルは突如叫んでジュニアに掴み掛かり言葉を遮った
そんな事は自分も検討した!!それでも!!
「私がソラと悟白と父君にしてやれることは其れしかないんだ!!!!」
もしかしたらすべてジュニアの言う通り、悟白の人格が残ったとしても歪な大人でも子供でもない者にしてしまうかもしれない!それでも!!
「・・・・あの子に生きる道を残したいのだ・・・・もう戦えない私にはそれしか方法が分からない・・・」
生きていればいつかは悟白の歪みは解ける可能性があるが!死んでしまってはそんな道すら無くなるのだ!!
誰もが・・・父ラディッツの様に共に死ぬからと達観できるわけではない!!
どんな方法を使ってでも!外道で外法であっても!!あの子を生かしてやりたいのだ!
激高しジュニアに掴みかかったセルは、話す内に途方に暮れながらズルズルとジュニアに縋るようにしながら崩れ落ちていく。
愛も知らずに生み出された人造人間が、唯一家族と呼べる人達をいなくなる自分が守り抜く方法を・・・これしか思いつかなくて・・・・・思いつけなくて・・・
「・・・・セル・・・」
その姿に、気配に、ジュニアは知ってしまった
セルが本当に父とソラと悟白を深く愛している事を・・・・それはもしかしたら父達程ではなくとも自分達の事もと・・・
知識があるのに本当の意味で知らない不器用で子供なところは・・・本当に父に似ていて・・・・
だから・・・
「セル・・・・同化は俺とでは駄目か?」
自然とセルに言ってしまったのかもしれない
・・・・・・・・・・・・・・・・
雨が降っている・・・・外も自分の心の中にも・・・・・
ジュニアはセルとの同化の事を話した後、ラディッツとソラにセルから預かった手紙を渡し、ラディッツは纏まらない思考の中で辛うじて手紙を受け取りフラフラと自室に戻った。
その痛々しい姿に、誰も何も言えずに止めずそっとしておこうと目配せしあっていたのを全く知らずに・・・
-父君へ
この手紙を読んでいるという事は、私は-無事-に兄君と同化できたのでしょう。
きっと貴方の事だから、寿命が迫った私を何故反意させなかったのだと兄君を叱るかも知れないがこれは私の望みであり、ソラと悟白の残すことが出来る唯一の事なので許してほしい。
只貴方を殺す為だけに造られた私が、心が強く炎の如き気性伴った美しいソラと出会った事で心が生じたのでしょう。
あのソラだからこそ、貴方を殺す事だけを考えて成長だけをしていた私はソラといる日々を楽しいと感じ、優しくしたい、笑って欲しい、喜んでほしいと生まれる筈も無かった感情が芽生えて幾ばくか心と呼べるものが生じて遂には私の子供を産んでほしいとねがうまでにいたり・・・・もしかせずともソラにとっては傍迷惑な事であったかもしれないが悟白を産んだソラは実に嬉しそうでありそれを見られて私も満足であった。
だが、愛とは厄介ですな
愛を知ればもっと相手に喜んでほしい、笑って欲しい、自分も・・・愛してほしいと次から次へとああしたい、こうして欲しいと・・・・もっと長く生きてソラと悟白の笑顔を見たいと望みが底なしになるのですから。
それでも、愛した事を後悔なぞしていないので誤解無きように。
私はソラと悟白とそして父君、貴方の事を愛せるまでになった自分を褒めてやりたいくらいに良き日々を送れたのですから。
造り物の紛い物が、者になれて死ぬことが出来る程に温かい心とやらをきちんと知れた事を私は嬉しいのですから。
兄君に私の残りの全てを託します。
きっと兄君なればさらに強さを飛躍させ、私の愛した人々を守ってくれるでしょう。
父君、あの日貴方を殺そうとした私を本当の息子に迎えてくれた事を嬉しく思う。
だからどうか、自分の力が足りないから私が犠牲になったとは思わないでほしい。
父君が愛している人達を守りたいように、私もまた守りたいと思ったからこその行動であり決断であるのですから。
その想いをどうか否定しないでほしい
貴方の息子からの最後の我儘をどうかお許しください。
貴方の息子・孫セルより-
「・・・・・ッカ・・息子が・・・・・親よりも死ぬ事が決まっていたからって!」
手紙を読み進めていくうちに、ジュニアが話していた事が漸く頭の中に入って来たラディッツはベッドの上に蹲って泣き伏す。
俺も、お前の事を愛し始めていたというのに・・・・愛しい息子なのに!
・・・・・同化した魂はジュニアの中にいるのだろうか?
其れともいつかあの世の、セルが行くであろう地獄に行くのだろうか?
もしも奇跡の様に地獄で再会できたならば、馬鹿息子がと大声で叱りながら抱きついえ向こう一年は離してやらないんだと決意をしたラディッツは顔を上げ寝室から出た。
セルの思いを無駄にする駄目で愚かな父になりたくなくて
居間に戻れば自分と同じく手紙を渡されたソラが、チチとブルマに抱きしめられながら泣いている。
戻った自分を見た悟空達も泣いている・・・・セルは確かに、孫家の家族であったのだ・・
爺様もほろほろと泣いて・・・・家の中にも雨が降っている。
ふと見れば、ソラが落とした手紙を見つけて拾って悪いと思いながら見た手紙には
すまない
セルが書いたソラへの手紙はその一文のみであった・・・・
何がすまないのだろう?
四年も無体をした挙句に子を産んでもらいながらも勝手にジュニアと同化した事かそれとも・・・・
わからない
セルが何を思ってこの一文のみをソラに残したのか・・・・唯一つ分かっている事は、セルの言いたい事がソラに伝わったのか、ソラが泣いてセルの名前を呼んでいる
外の雷鳴にも雨音にも負けない程の慕情を伴った大粒の涙を流しながら・・・
そしてソラに新たな生命が宿ったのが三か月後に分かり、あらゆる意味でラディッツがジュニアの中にいるであろうセルにブチギレたのはまた別のお話・・・・