俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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舞台は整い・・

エイジ758 十二月二十四日 地球

 

その日は冬特有の蒼天の空であった

 

その蒼天の空の下、細長い長身に白い袍に身を包んだ姿は良く映えており、穏やかな笑みとゆったりとした声音が実に様になっている。

 

何百という兵士に囲まれながらも、男の態度が崩れる事はなかった

 

「本当にいい天気だな。」

「・・・・・・」

「お前達もそう思うだろう?」

 

天気がいいと、地球の空はこうして青空を覗かせる美しいところなんだよ

 

「大気も空も海も水も何もかもが澄んでいる良いところなんだ。」

 

こんなところでドンパチするなんて野暮だな~

 

「ラ・・・ラディッツ様・・・それでも・・・・・我等はどうしても・・・」

 

あぁ・・・こんなに綺麗な空の下で・・・・本当に・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

エイジ758の地球の十二月は珍しく世界中が晴れか曇りの日が続いていた

 

北の都やジングルベル村でも十二月初旬に降っていた雪はピタリとやみ、今日まで粉雪すら降らなかったのだ・・・・まるで、人々がきちんと逃げられるようにと願う様に

 

「神様は気象を操ることが出来るんですか?」

 

あまりにも奇跡的な事過ぎて思わず尋ねに行ってしまったラディッツを、神様とポポはラディッツの無邪気さに笑ってしまった。

 

神様だからできるのではと思っているのがよく分かるから。

 

しかし

 

「儂にも歴代の神にもそんな過干渉なことは出来ぬよ。」

 

惑星が壊れる程の異常気象の時にようやく干渉できるルールがきちんと明確化されており、人間の文明が興廃するくらいは些事だと言われた。

 

雪が降らないのは暖冬かと思い直したラディッツは、本命の頼みごとをしてみた。

 

「ピッコロ大魔王を説得して、ピラフ共々こちらに避難させられないでしょうか?」

 

いざとなったら実力行使でも何でもしてひっくくってでも連れてきますからという言葉に、こ奴なら本当やるのだろうなと苦笑しながら、神様は避難許可をラディッツに出し、喜んだラディッツはその足でピッコロ大魔王とピラフの下に向かった。

 

「何の用だ・・・」

「久しぶりに会うなピラフ。

幾つか用があるが先ずは一つ、マイが-来年-結婚する事になった。」

「マイが!・・・・そうか・・・相手はヤムチャか?」

「九年越しのプロボーズが実ったと、決まったその日の夜しこたま酒を呑んで潰れる程悦んでいたぞ。」

「そうか・・・・あいつは本当にマイの事を・・・来年・・・・勝てるのか貴様等は?」

 

あちこちをフラフラとさまよい、基本文明の外にいるピラフと大魔王だが、ピラフはそういう情報を逃す事無く、故に侵略者達の襲来も承知している。

 

その上で問うた

 

来年の話をするくらいの自信があるのかと

 

ピラフの問いに、ラディッツは真剣な面持ちで答えた

 

「分からない。」

「・・・・は?」

 

真剣な顔をしたラディッツを見て、こいつ余程自信があるのかと思ったピラフは肩透かしを食ってポカンとしたが、大魔王は然もあらんという顔で笑いながら、ポカンとしてしまったピラフを抱き上げ頭を撫でて落ち着かせるのを見ながら、ラディッツは答えの続きを語った。

 

「俺も皆も国の人達も市民の人達も全力を尽くせたと言えるほどに備えた。」

 

死にそうな特訓を血反吐を吐きながらも止めなかった弟達と息子と弟妹弟子達

 

勝つためにまた死なない為に様々な装置を開発してくれた民間の人々

 

自分達が勝つと信じて様々なサポートを申し出てくれた市井の人々の支えもある

 

「・・・・・それだけの事があれば普通勝つと言わんか?」

「・・・・ここが物語の中で、俺が英雄の位置にいればそうだろうがな。」

 

心を一つにした我等は負けないと言い切れるのだろうが、残念ながらここは現実で、自分は自分こそがフリーザ様とその周辺の怖ろしさをいやというほど知っている。

 

「勝てるとしたら万に一つだろうな。」

「・・・・敵はそこまでの奴なのか・・・」

「すまんな、勝てると言ってやれなくて。」

「・・・・与太を聞かされるよりは余程いい・・」

「そうか。」

 

ピラフが自分の話を少しは聞き入れるようになってくれて嬉しいと思いながら、ラディッツは本題に入った。」

 

「襲来当日神殿にいて欲しい。」

「・・・・避難する気は・・」

「嫌だと言ったら俺に力づくされるがどうする?」

「な!!??」

「・・・多少でも縁の出来たお前達だし、何よりもピラフ、お前が死んだのを知ったらマイとシュウが悲しむ。」

 

シュウは一昨年に同じ犬獣人族の娘さんを嫁に貰って、その際ピラフと大魔王はこっそりとお祝いに駆け付けた。

 

其の時は察したラディッツが会場からシュウを引っさらって強引にピラフと再会をさせたのだが、マイも自分も会いたかったと怒られるという顛末付きになった。

 

そのシュウは奥さんが一度に三つ子を生んで、一男二女のお父さん。

 

そしてピラフにまだ再会できていないマイも、ピラフが死んでしまったらきっと悲しむ

 

「その芽を摘む為なら謗られても強引な手を使うぞ。」

「・・・分かった・・・・それでよろしいですか大魔王様?」

 

地球の危機をきちんとこの目に焼き付けようかとピラフは考えていただけに、しかしかつての仲間を持ち出されては弱い・・・

 

ラディッツの提案を受け入れても良いかと伺いをたてられた大魔王は何時もの通り

 

「お前が進みたき道を行けば良い。」

 

儂はその後をついていくだけだと笑って答える。

 

この辺りは何年、何十年経ってもきっと変わらないのだろう

 

最早ピッコロ大魔王を突き動かしているのはピラフの想いのみであろう・・・・ピラフが亡くなった時はどうなるのだろうか?

 

・・・いや、そこまで考えるのは考えるだけでも失礼だとラディッツは頭を一つ振り、避難した方が良い日にまた声を掛けに来ることを約束した上で、ピラフに一つ頼みごとをして、ピラフを驚かせたがマイとシュウが世話になっている礼だとラディッツの頼みごとを聞き届けた。

 

それから日が経ちターレスがネズミからの情報で五日後の襲来を知らされ手はず通りに国王陛下に知らせ、順次避難開始となり

 

 

「誰もいないべな~。」

「私達以外の人達がきちんと避難出来た証拠ね。」

「そんな時にピクニックんなんてしていいのでしょうか?」

「いいんだよ!辛気臭くしていようが陽気にしていようが、勝つときは勝つし負ける時は負けんだからよ!」

 

今日はパァ~っとやろうぜと金の髪のランチの陽気な音頭と共に、再び集まった孫ファミリーはセルと最後に来た湖畔で昼食をとる。

 

「じっちゃん寒くねえか?」

「あったかいスープたくさん飲んでくれよ?」

「お師匠様・・・ビールもってきてらしたんですね・・」

「あ!桃師兄!!ウィスキーは流石に今日はやめておきましょうよ!!」

 

セルと過ごした最後のあの日と同じく、賑やかな昼食であった。

 

何が起きるのか分かっていても、変わらずにいる大人達には悲壮感はなかった。

 

生きるも死ぬもきっと一緒だから

 

そんな中、明日何が起こるのかまだ幼くて分からない悟天が無邪気に遊びまわり、時に寝ている悟白を抱っこしてご満悦となり、そんな子供達を大人達は目を細めて焼き付ける様にじっと見つめる。

 

「兄ちゃん・・・・明日勝とう・・・」

 

何をしても、どんな事になっても、血塗れになって泥を啜るような事になっても・・

 

家族を、愛する者達を守りたいと、守りたいと、守らなければならないと悟空は我が子を見て兄に告げるのを

 

「あぁ、勝とうな。」

 

弟を抱き寄せラディッツも真剣に答える。

 

勝てるかどうかわからない、それでも勝ちに行くのだと・・・・

 

 

そして次の日、ラディッツ達は東の切り立った崖の上に布陣を敷いた。

 

そこは陸地もあり海もあり、人々の避難場所がない土地であった。

 

自分達をというよりは、ラディッツ自身が餌である。

 

その証拠に、ラディッツはたった一人だけ仲間から離れた海上の上で静かに佇んでいる。

 

気負いもなく周りを探るでもなく、鶴仙流唯一の白い袍に身を包んで静かにそこに在った

 

成長しようとも顔立ちは然程変わらず、長い黒髪と何よりもサイヤ人の尻尾を胴に巻かずに

 

 

ラディッツはここにいると

 

 

それから一時間後

 

「・・・・来たか・・・」

 

ラディッツが瞑っていた目を開き

 

「久しいなお前達。」

 

かつてのフリーザ軍文官長補佐官として声をかけたのだ

 

 

 

こんないい日和にかつての同胞達と闘い血が流れる事を本気で惜しみながら

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