懐かしさとは、きっとどれ程の月日が経とうとも容易には消えてはくれない
それに慕情が伴えば尚の事・・・我等がお慕いしたあの方を、きっと見つけ出すとフリーザ様が宣言なされてからは慕情は最早執着とも言えよう。
あの笑顔が見たい、フリーザ様達の無茶ぶりを共にされてさて困ったなと言いながらの笑い顔が見たい、我等の傷を心配され時に泣きそうで本当に泣かれた日の事が昨日のように思い出される。
時に一杯のお茶を手ずから淹れてくださる優しくて風変わりなお方
フリーザ様の兄君様が来てから発揮されるようになられた手作り料理は本当に美味しかった・・・いて下されるだけで良かったのだ
荒事・残虐非道な事は我ら全てがする故に、あのお方はフリーザ様の傍らに在られ風変わりなままでいてくださればそれで・・・・我等は幸せであった
あのお方の幼馴染様達もきっとあのお方に求めたのは我等と同じであったろう
今や文官・武官両面で最重要の位置に付き、親衛隊の方々は次代の特戦隊だと目され現特戦隊のギニュー隊長もその日が来るのを指折りにされておられる。
ポンジャの反乱以降、内政とあのお方探しで鍛錬している時間が思うように取れなくなったせいか、戦闘力が伸びる事は無くなられたが・・・・それはフリーザ軍全員に当て嵌まる。
誰というか・・・・ネズミがあちこちに巣でも作ったのか!きな臭い事だらけでフリーザ軍一同と、組み込まれているサイヤ人の部隊も駆り出さなければ収まりがつかない火種だらけで、あちらを消せば今度は別の場所から煙が上がる。
だが・・・消火をすればするほどにフリーザ様達の統治がしやすくなっていくのが不思議でならない。
変に煙をたてなければ、見逃されている様な小悪党や宇宙海賊・盗賊・人身売買のブローカーや果ては併呑しても生かしておくか飼い殺しにするかと面倒そうな奴等が、何を思ってか期待していたかは知らないが、手を結んで反乱もどきを起こしては一網打尽・・・・誰に誑かされた?
-誰-がこんな事で利を得る?
利を得るのはフリーザ様と我等ではあるのだが、さしものこの奇妙な出来事に利を得ている筈のフリーザ様も辟易とされていると下の者達の口の端に上るほどにおかしなことであろう。
だがそのせいで手に入れた場所が二度と逆らわないように統治する為に人手を取られるのは武官も文官も同様だ。
近頃の武官達の役割は・・・・何と言おうか・・・・・言いたくはないが宇宙パトロールと変わらん・・・・癪だが・・・
フリーザ様のご領地を荒らす馬鹿はいないか、フリーザ様のご領地で乱暴狼藉をする輩はいないか・・・・我等も変われば変わるもんだ・・・
好き勝手に侵略・侵攻・殺戮・蹂躙をしていた我等が、今やその行為を禁じているのだから、我等の所業を知っている悪党達からすればふざけんなであろうが・・・フリーザ様のご意向なのだから文句は言わせん。
その代りに給金が大幅に上がりその中で酒でも女でも何でも好きに出来るのだから文句は無かろう!!
それに、其の方があのお方は喜ばれよう
私は武官として働いていたが戦闘力も衰え武働きできなくなって遂に引退かと落ち込んでいた時、現場の下から隊長にまで伸びりつめ近々引退するような人はいないかという奇妙な募集が軍本部からされ思い切って応募してみれば
あのお方直々の募集だった
募集面接の為にフリーザ様のお側から離れたあのお方は、にこにこと笑って募集に応じてくれてありがとうと言ってくださった
自分とあのお方との身分差を考えれば無礼になるのは承知で、なぜこんな奇妙な募集をされたのかと問えば
「大規模遠征で一番困った事・・・・ぶっちゃけて言えば本部の奴らふざけんじゃねえと腹の立つほどの困り事や、反対にこんな事をされて物凄く助かったとか現場の生の声が欲しい。」
フリーザ様達や他の方達の事を忖度しているのか、本当の事を言って罰せられると怯えているのかごまをする為なのかおべんちゃらを言われて、本当の声が聴けなくて困るんだよと、苦笑していたのはあのお方が十歳であられた
聡明な方は優しくもあり、自分が軍に対して溜まっていた不平不満を聞いた時は本当に嬉しそうであった
「そうか!それならこうすればどうだろうか?」
「これを継続できれば現場は士気が高く、精神があれていなければ侵略先の惑星を荒らす事は減ると思うか?」
「こういう時にこんな補給がされたら嬉しいだろうか?」
「・・・・ここは予算を食いすぎる、現場から不満が出るだろうがカットして、その代りに・・・」
現場の叩き上げの部隊長如きに、現場の声を全て拾い上げ取捨選択されながら、相談される事が私の生甲斐にまでなった。
事が決まればあのお優しい顔に満面の笑みを浮かべられ、ふよふよと振られた尻尾のなんという愛らしさか
そのおかげがあのお方が居られた頃から、少しずつ亀の歩みのようだが確かにフリーザ軍は変わっていったのだ
己の心が充足していれば、あのお方の同族である戦闘民族サイヤ人でもない限り、死のギリギリの戦闘を楽しみ殺戮に耽る者が減ってきてはいたのだ
その戦闘民族サイヤ人も、惑星ベジータが滅んで古いサイヤ人達がいなくなったせいなのか何なのか、近頃では跳ねっかえりが見られない・・・・大人しくなったと言えばいいのだろうか?
あのサイヤ人共は信じられないと根強い声があり、真意は奈辺にあるのかは私にも分からない
だが事実として、宙域を荒らして隠れ続けていた厄介な者どもを討ち取りその武功をもって惑星を与えられたベジータ王子と、その王子付きの最側近の武官長・ナッパが我等とサイヤ人の若手の仲を取り持って、フリーザ軍文官長のゲンイン様と次期武官長と呼び声の高いマトマ様もその活動に力を入れられておられる。
・・・・意外だが親衛隊長を務めておられるリーキュ様ではなく、猪武者と思われる巌の如く体躯のマトマ様が次期武官長に押されているが悪くは無いのかもしれん
マトマ様は見た目と比例して力強くそして情深きところがあり、同族の娘を嫁に取られ、ご子息が生まれてからは一層あのお方を探す事に熱中されておられる
あいつに俺の息子を見せるんだ!きっと目が溶ける位に泣いて喜んでくる!!
戦士として立派になられても、マトマ様を初めスーナ様もガジャ様もそして一見冷静であのお方の事でも心を揺らさないと見られているリーキュ様も心中では早く見つけたいと願われているのが御側で使える私にはよく分かる。
時折憔悴されておられるので休みをとは差し出がまし過ぎて言えないが、あのお方が淹れてくれた同じお茶をお出しすれば、ほろりと一滴の涙を溢された時に零れおちた言葉に、私の心は震えた
あいつのお茶が飲みたい・・・
リーキュ様もあのお方に会いたいのだ・・・・あのお方の優しさに触れた我等は皆同じなのだと、勝手ながら共感させて頂いている・・・・お恥ずかしい・・・
探す範囲も狭まろうとした時・・・・あのお方がどことも知れぬところで瀕死になられたと知った時、フリーザ様達が怒り狂われたと・・・・私も其の事を共に知っていれば、同じように感情を星々にぶつけて爆発させていただろう!!ともに出来なくて実に無念だ!!!・・・だがそれよりも・・
どこだ・・・・どこの惑星だか種族だかがあのお方に危害を加えた・・・・
あのお方は心と比例されずに戦闘力がちょっと・・・物凄く-アレ-なのだ・・
しかしあのお方は文官なのだからそれはそれでいいだろう!
まぁ・・・・そこは生涯私の胸に秘めておこう・・・そうしよう
其れよりも、太陽系の地球・・・私同様にあのお方に見い出され順調に出世しているキュイが見つけたか・・・・私は本部付きのご意見番のようになっているから探索任務に立候補から最初から外されて・・・悔しくは無いぞ!私が見つけたかったのにとか!!幼稚な事は思わん・・・うん・・・
そこはいいとして、あのお方を見つけられたのは本当に僥倖だ・・・・生きている事は分かっていても・・・とうとうその日が
「フリーザ様!!お願いでございます!!!どうか地球に行く時には私もお連れください!!!」
それこそ宇宙船の整備班でも補給物資係でも何でもしますからと直訴すれば・・・
「・・・・貴方もですか・・・」
「は?」
「・・・・・周りを見てみなさい・・」
「は・・・え!!??貴殿は腕を吹き飛ばされたからとポンジャの反乱後に軍を引退した・・・」
「馬鹿者!!文官長補佐官様が見つかったという慶事に!おめおめと休んでなぞおられようか!!」
直訴しに行った場所には私と同じような者達がごろごろといて・・・・優に二百人近くはいた・・・・・
「全く、あの子は本当に慕われていますね~。」
嬉しいのですが、これどうやって選定すればいいんですかと呆れられているフリーザ様・・・内心の喜びようが隠せていませんよ?
移動ポットに左ひじをついて頬杖をついて周りを呆れたように睥睨されていますが、その左側の唇の端がピクピクとされているのはきっと全員全力で見ない振りしているのだ!
両側に常におられるザーボン様とドドリア様も嬉しいやら選定どうするやら悩まれていると
ドドリア様の横が定位置になられたゲンイン文官長様が全員でいけばいいのではと言ってくださった!!
「・・・・爺に千人連れて行くと言いましたが・・・」
「ここにいるのは全部で百八十五名です。最後に入って来たものを締め切りにして後は実戦で活躍している部隊を入れれば問題ないかと思います。」
八百十五名の実働部隊を連れて行けばいいのですから。
「・・・・特戦隊達と貴方達は外しての総数千名にしなさい。」
「畏まりました。」
フリーザ様が命令を発した事で、我等の地球同行は認められたと知った時我等は歓声をおさえることは出来ずに雄たけびを上げてしまい・・・
「五月蠅いですよ!!!無駄に騒いでいないで早く支度をして来なさいおバカさん達!!!!」
・・・・・フリーザ様に怒られてしまった・・・・エネルギー弾で消される事も無く怒鳴られてお仕舞にして頂けて・・・あのお方の事が絡めばフリーザ様もお優しくなられる・・・・・
あぁ早くお会いしたい
待っていてくださいラディッツ様
今我等一同でお迎えに上がります故に