ねぇバーダック、ギネもさ、あんた達-あれ-でいいの?
あん?藪から棒になんだよセリパ
いやさ、ラディッツ坊やをフリーザの良いようにされっぱなしでいいのかって聞いてんのよ
・・・・うるせぇよ・・
俺もそう思う、ラディッツはサイヤ人でお前とギネの子共だろう?
ほら、今もああやってフリーザの傍らで見世物にされて・・・気に食わねぇ
・・・・・いつか・・・な・・・
トンミの後にバーダックと腐れ縁になったセリパ・トテッポ・パンブーギン・トーマは、ラディッツは自分達の子供同然だととらえている節がある事に、それはそれで鬱陶しいとは思うバーダックだが、フリーザ軍施設内では-当たり前-になりつつある光景を見せつけられる方が我慢ならなかった。
「フリーザ様、コンソールをまたお借りします・・・サイヤ人は本当によく食べますね。食料現地調達にしたらあっという間に資源尽きそうなので、きちんと足りる様に再調整しますね。」
「ラディッツ、貴方は本当に優秀で私達は助かりますよ。」
「そんな・・・まだまだですが頑張ります!」
自分の-クソガキ-が、宇宙で一番自分にとって憎らしい男の横に侍るように座らせられているのも頓着せずに、仕事をしながら時折りフリーザに向ける笑顔を見る度に、腹の底から怒りがこみ上げその瞬間にフリーザに飛び掛かりそうになるのを辛うじて理性で抑え込む。
それはバーダックの腐れ縁仲間全員が感じている怒り
「トテッポさん、重い物を持ってきてくださってありがとうございます。」
「セリパさんの料理美味しいです。え?それは・・・母さんのが一番ですが・・」
「トーマおじさん!また組手してください!」
「パンブーキンさん、カレーの試作を丁度作ったので味見してくれますか?」
フリーザ軍において押しも押されぬ高い地位に居ながらも、驕ったところが微塵もない腐れ縁のバーダックの息子は、純度百%ギネさんで、バーダック要素ゼロだろうとは仲間内での定番である。
皆バーダックの頼もしさに惹かれて次第に本当の仲間になったように、ラディッツに惹かれている。
あの屈託のない笑顔が眩しくて、自分達が大好きだと誰憚る事無く表してくれる可愛い子。
だからこそ許せない
仲間の息子であり大好きな子供を独占するかの如く見せびらかしているフリーザが、ラディッツを知るまでは自分達を一番良く使ってくれると喜んでいたパンブーキンをして眉をひそめさせる。
ラディッツへの扱いについても、自分達大人のサイヤ人と子供のサイヤ人との扱いの差がどんどんと広がり、それは隠さなくなったように支給品も旧式ばかり。
馬鹿でない限り気が付く・・・いや、それすらも織り込み済みなのだろうあちらは
気が付き怒り狂った自分達を・・・
▲▲▲
「私達ってフリーザ軍の中で高評価されてたんだね~。」
「パンブーキン・・・大猿化して敵倒すのは良いんだが、俺達の事も忘れないでくれよ。」
「悪い悪い、いやぁ~でも半分は俺が潰したからそれでいいだろう?」
「まったく、おいトーマ!バーダック!!何難しい顔してんだよ。ギネまで暗い顔してよ。」
「・・・・お前等なぁ~・・・・少しは俺の気持ち考えてくれよ。俺達のリーダー様は全部サブの俺に丸投げするひっどい奴なんだぞ?この後どうしたもんか・・」
フリーザ軍の星制圧オーダーによってカナッサ星に来てみれば、待っていたのはフリーザ軍の中級戦士。
サイヤ人と違って一万からが中級戦士なのだから、層の厚さを見ていかにフリーザ率いるフリーザ軍が怖ろしいかは推して知るべしだろうが、バーダック以下セリパ達にとっては其れはどうでもいい。
もう返り討ちにして死体になった相手に何の感慨が湧くでもない。
問題は、今日ベジータ王が蜂起する事をサイヤ人の安酒場ネットワークで知ったトーマがバーダックに便乗しないかと計画を持ち掛けた。
遅かれ早かれ自分達は滅ぼされる、黙って殺されるくらいならば一か八かに活路を見出すべきだというトーマに意見に、生き残る事にかけて超一流であるバーダックの勘も今動かなければ不味いと告げていたので二つ返事で決行になった。
当然トーマとバーダックが決めたことに、ギネ達に否やはない。
勝てば、自分達の未来とラディッツをはじめとした子供達を守れるのだから・・・サイヤ人らしくないギネとラディッツの甘さは、バーダックを経由して四人にも感染してしまったのだから仕方がない・・・無いのだが、刺客がいたという事は計画が漏れていることを意味していると、サイヤ人にしては慎重なトーマとギネが悩まし気にするのを単純明快ごとが大好きなトテッポが、今更悩んでも忌ねぇだろうという言葉にバーダックは頷き決断を下す。
「どうせもう後はねぇんだ。ぶっ殺しに行くぞフリーザの野郎を。」
▲▲▲
刺客を返り討ちにして早々に宇宙ポットに乗り込み惑星ベジータに着艦し、自分達を制止しようとした兵士達を無言で倒して宇宙に上がり、閃光が明滅する場所にフリーザの母船があるとバーダック達は一丸となって飛んでいく。
その様は彗星の様であり
「フリーザ!!!!!!」
大音声と共に兵士の命を平らげていく様は隕石の如きである。
破竹の勢い極まれり
誰もがこの集団に怖れをなした。
ベジータ王によって一度は乱された戦列を、今度は上級戦士達で埋め尽くしたにもかかわらず、憤怒の形相を浮かべたサイヤ人達はそれらをものともにせずに止まる事無く立ち塞がる兵士達を殺している。
戦闘力が低いギネでも二万・・・バーダックに至っては五万であり、このまままたもやフリーザ様の下に行かせてしまっては、二度の失態でこの場にいる全員が処されるだろうと脳裏に怖ろしい考えがよぎる。
もしもラディッツがいればまた状況は違い、次に挽回せよという言葉で済ましてもらえるかもしれないがそのラディッツがいないこの時に、本来は冷酷無比な主が甘い事を言うはずがない!!
「止めろ!!何をしても絶対にフリーザ様の下へと行かせるな!!!」
「ラディッツ様の親とて容赦をするな!!殺せ!!!」
失態を犯した時の凄惨なる未来が来ぬように、兵士達は奮戦する。
だが
「うるせぇ!!!他人様のクソガキを手前等が馴れ馴れしく呼ぶんじゃねぇよ!!!
ぶっ殺すぞ手前等!!!!!」
怒りの火に油どころかガソリンを放り込んだ馬鹿者どもを、バーダックは容赦なく手刀で腸をぶち破り、続くセリパ達も次々と気功弾をどてっぱらに放ち顔面を握りつぶしては投げ捨てて殺して進んでいく。
誰もが止められないと兵士達が絶望したその時
パープルコメットクラッシュ!!!
紫の気功弾が、集団の中でやや突出し始めたバーダックと後続五人を分断する。
「バーダック!!」
「おっと!よそ見してる暇はねぇぜラディッツのお母さんよ!!」
「そんなんじゃぁ直ぐに死んじまうぜ?」
「バータにジース!」
バータと共に合体業であるパープルコメットクラッシュを撃ったジースとバータは、攻撃を避けながらバーダックの下に行こうとするギネを揶揄うかのように近づき、三日前に遠征したと事前情報を得ていたと思っていたトーマは臍を嚙む。
「お前達特戦隊は遠征に行ったのはガセか!!!」
「ピンポーン!正解者は商品として地獄への超特急便に乗せてやるぜ!」
リクームキック!!
正解に辿り着いたトーマの腹に、するりと近づいていたリクームが膝撃りを繰り出す。
スカウターは先の襲撃で全て壊され、近づく者の気配を感知するにはあまりにも戦いの気配が空間を満たしつくし、普段でありば避けられないまでも防御して次の手にいけるはずの攻撃がトーマにもろに入りかけた時
「汚い足で私の仲間に触んじゃねぇよ屑が!!!」
「殺すぞおら!!!」
怒声を帯びた啖呵を切りながら、セリパとトテッポが割って入り、漂うデブリの塊をパンブーキンは手に取りありったけの力を込めてジースとバータに投げつける。
それはジースたちにとっては子供の児戯にも等しい攻撃にもならないお粗末な事であり、嘲笑を浮かべながら蹴り返そうとしたのが仇になった。
「俺の仲間を舐めるなよ!!!」
リクームの蹴りから逃れたトーマは、パンブーギンの投げたデブリの上にとりつき、残っている全ての気を気功弾に変えてデブリごと特戦隊の二人を狙い撃ち、弾幕を張って叫びあげる。
「行けギネ!!バーダックと一緒にフリーザの野郎をぶっ殺せ!!!」
特戦隊の四人が此処にいるという事は、当然隊長格であるギニューもいる。
自分達ではどうあっても勝ち目がない・・・それでも、一縷の望みをギネとバーダックに賭けようと叫んだその言葉は・・・・儚くも散った
「逃がさんよ、ラディッツの母君殿?」
「か・・・はぁ・・・」
人を小馬鹿にしたような声音でギネに背後から声をかけた男は、トーマ達すらも目に映らないスピードでギネの首筋に手刀を打ち付け当て落とし、何も反応が出来なかったギネはそのまま意識を落とす。
空間に浮いたギネをそっと持ち上げたその男は
「ギネ!!!」
「畜生!!ギネを返せギニュー!!!」
戦闘力十二万の、トーマ達にとっては逆立ちをしても勝ち目のないギニューは笑みを浮かべて残りの特戦隊達に告げる。
「この女以外に用はない、殺せ。」
ギネを捉えた後は羽虫を見る目つきをトーマ達に向けたギニューは、もう用がないとばかりにフリーザのいる母船とは違う、惑星ベジータの裏側に止めているもう一つの宇宙船に向かう。
ラディッツの知らない特戦隊の本来の顔と本性を晒し嗤うジース達に、黙って殺されてやるかと抗いセリパが先陣を切って激突の音が宇宙空間を震撼させる。
デブリは粉みじんとなり、近くにいた兵士達は互いの攻撃の巻き添えに合って驚愕の中死んでいく。
サイヤ人を殺すのに此処まで手こずるとは想定していなかった特戦隊であったが、リクームなぞは嗤ってでかいトテッポの腕や足を蹴りで破壊し、セリパとパンブーギンをグルドが金縛りで一瞬止めジースとバータが無防備になった二人を蹴り上げ、エネルギー弾で跡形もなく二人を消した。
「け!ラディッツのようにフリーザ様に従ってればいいものを・・」
「まったくだ、馬鹿な奴等だぜ。」
リクームの方を見れば、全身がぐちゃぐちゃになって息絶えたトテッポを持つリクームが、にたりと嗤って手を放して同じようにエネルギー波でトテッポの遺体を消し去り、頭の中は全く別の事を考えている。
早くラディッツの作った新作パフェ食いてぇな
ラディッツの愛した人を手にかけたその直後にだ・・・
其の為にも、残りのサルも消して仕事を早く終わらせラディッツを迎えに行くかとまじめに仕事をしようとしたが、残りの一人トーマの姿がなかった。
「あいつ・・・まぁいいか!俺達きちんと働いたしな!!」
「どうせ行く先には死だけが待ってんだ良いだろ。」
良い笑顔でトーマの末路を笑い合う。
行った先はきっとバーダックの援護、ならばバーダック諸共に死ぬだけなのだから
「フリーザ!!!!」
ギネ達と引き離されたバーダックであったが、どの道フリーザを殺さなければ自分を含めてこの場にいるサイヤ人は全員死ぬ事を分かり切っているバーダックは、後ろを振り返る事無く真っ直ぐ進む。
身勝手と言いたい奴は言えばいい
薄情だと罵ればいい!自分達は只ここに
「殺してやるから出て来いフリーザ!!!!!!」
数多の上級戦士を殺しながら叫ぶその言葉だけが、自分達が此処に来たたった一つの理由
己の矜恃?違う
戦闘民族サイヤ人の誇り?違う
自分のクソガキを!いいように騙して食い物にしている憎いゴミ屑野郎を殺す為、たったそれだけの理由は、バーダックにとっては命を懸けるに値する
「ほっほっほ、私を殺しに来ましたかバーダックさん。」
「・・・・フリーザ・・・手前だけか?」
バーダックの言葉に応じる様に、宇宙船から静かに出てきたフリーザはポットに乗ったまま応対する。
珍しくザーボンとドドリアを連れていない事を口にしたバーダックに、フリーザは喋りかける。
「残念ながら、今の貴方相手では戦闘力ではあの二人は負けてしまいますからね。
ベジータ王なぞ問題にもならない戦闘力と其の胆力、失うには惜しいのでどうです?
ラディッツ共々私の下で働きませんか?貴方の奥方もサイヤ人とは思えない程に優しい心を持っているのです。
私の下で息子であるラディッツと働ければ嬉しいでしょう?」
きっとあの子も喜びますよ。
暗に自分には勝てないからさっさと尻尾を振って投降しろという言葉だけでも腹に据えかねるというのに
「手前が!!!ラディッツを我が物顔で呼ぶんじゃね!!!!」
あのぶちのめしてやりたくなる言葉を放ったフリーザの言葉に、バーダックは激昂し両掌にありったけの気を練り込む。
突如の怖ろしい主の出現に、固まったフリーザ軍の兵士達は二人の遣り取りを見ているほかなく、フリーザもバーダックの攻撃を止める気がないのか黙って見ているのを、バーダックは薄っすらと笑身を浮かべて腹の中で吠え上げる
俺の攻撃を、喰らってもなんともないという余裕の中で死んで行け馬鹿が!
「これですべてが変わる・・・・俺のは無理でも・・・ラディッツとカカロットの運命が・・・・」
自分の生命全てをかけてのエネルギー波を放てば、よしんばフリーザを殺せたとしても、余力の無くなった自分をギニューが殺すのが目に浮かぶ
それでも、ラディッツが二度とこの憎い奴に好き勝手にされないだけで自分は気分がいい・・・だからいい!!
「俺の全てを!!!」
「・・・・甘いですねぇサイヤ人とは・・・」
「な・・・・」
バーダック!!!!
渾身の、それこそ生命も魂も注ぎ込んだと言ってもいいその一撃は、放つ前にフリーザの馬鹿にしたような声と共に放たれた一筋の光で手元で爆発させられ、自爆同然の攻撃で両腕と全身が焼かれる凄絶な痛みが脳を駆けあがる前に見えた二撃目に、自分の死を見たバーダックを、庇う者があった
ジュン
何かがほんの少しだけ焼かれるような音は、自分を庇った頼りになる-親友-と呼べるトーマの心臓を、過たずに撃ち抜いた。
「ト・・・トーマ!!!なんで!!どうして!!!」
死ぬのは自分だったはずだ!心臓撃ち抜かれても!!フリーザの喉笛を食い破る気でいたのを・・・
心臓を撃ち抜かれ、無重力の中飛ぶ力が切れたトーマ、受けた衝撃のままにバーダックの下へと自然と向かいながら倒れゆき、遂には自然と両腕を広げたバーダックの腕中に納まる。
眼はもうかすみ、口を利くエネルギーがなくてもそれでも・・
「ラ・・ディッツ・・・・カカ・・・・あのこたちを・・・・」
「トーマ?・・・・・トーマ!!トーマ!!!なんだよ!!!何が言いたいんだよ!!わっかんねえよ!!!きちんと言えよ馬鹿野郎!!!!」
バーダックにとって、仲間の死は常の事。
それでもどこか、ギネとトーマ達とならばずっとと、どこかで思っていた未来が崩れ去るのが許せなくて力尽きたトーマを揺さぶるのを嗤い声が邪魔をする。
「ほっほっほ!驚きです!!まさかラディッツやあの子供達以外にも仲間を思いやるサイヤ人がいるとは・・・・とはいえ貴方方は脅威となりえそうなので生かしておけなかった事には変わりありませんが。」
「手前!!!殺してやる!!!!!」
仲間の、それも親友を死しても嗤うフリーザにバーダックは何もかもが許せずに文字通り口だけでフリーザの喉笛を食い破ろうとしたが、ギニューによって止められた。
ズタボロになった体を押さえ込まれたバーダックが怒りでもがこうとも小揺らぎもせずに余裕のギニューにフリーザは機嫌良く話しかける。
「おやギニューさん、頼んでおいたお仕事は終わったのですか?」
「は!ラディッツの母親ギネは、-無事-にあの子供達のいる船内に案内しました。」
畏まって答えるギニューはフリーザの問いにどこか愉快気に話すのを、バーダックは聞き捨てならない言葉に気力を振り絞って振りほどこうとしながら叫びあげる。
「ギネをどうしやがったってんだ!!セリパやパンブーギン!トテッポは!!」
「安心しなさい、ギネもそして貴方にも、役目を与えるので死んでもらっては困りますので、殺していませんよ。もっとも、他の方達は要らないので始末しましたが。」
「んな!」
ギニューではなく、意外な答えをいうフリーザに、敵対したものは殲滅以外ない情の無い怪物が何を言っているというバーダックの驚きに返答された内容は、残酷な回答であった。
「貴方方がいれば、ラディッツは私の下でこれまで以上に頑張って働いてくれるでしょう。」
惑星ベジータはこれから-隕石-の衝突で滅びる
飛来したのに気が付いた時にはもう遅く、-サイヤ人の子供達-を逃がすのに精一杯で、この時ばかりは大人のサイヤ人も惑星ベジータと隕石衝突の自国を遅らせる為に-全員-が宇宙に上がって食い止めようとしたが-一部-を除いて大人達は全滅し、惑星ベジータも子供達を逃がして遠のくと同時に消滅をしてしまった。
「しかし隕石襲来の時偶々仕事を早く終えて惑星ベジータに帰還し、隕石を止めに行ったが-満身創痍-になった貴方は辛うじて生きて私に助けられ、ギネさんは子供達を纏める為に、宇宙船に乗って助かった・・・・まぁシナリオとしてはこんなところでしょう。
これから貴方の体は-ある程度-は治しますが、あぁ右腕だけでもなくなっていないと不自然ですね。」
「なぁ・・・・!!!」
「ほう、耐えますかこの痛みに。ふふ、あのベジータ王に貴方の爪の垢でも煎じて飲ませたい所ですが生憎死んでましたね。」
「て・・・めぇ・・・」
フリーザは自分が計画しているシナリオに不自然が無いように、たったそれだけの理由でバーダックの右腕を無造作にねじ切るが、バーダックは意地で痛みの叫び声を呑み込むのを、それすらも楽しいとフリーザはうっとりと笑い、バーダックに続きを話す。
「貴方達サイヤ人の生命力は脅威ですが、貴方の腕は二度と生えないように腕の細胞周りを壊死させます。
それこそ義手も接続できない程に神経を殺し、あの子が医療チームに懇願をしても手が付けられない程の猛毒を使いますよ。」
「ま・・・さ・・・か・・」
此処まで言われたバーダックは、フリーザの意図を見抜き、即座に舌を噛もうとしたが冷徹な声が降り注ぐ
「もし貴方が自死するのなら、あの子の弟とやらを殺しますよ。」
その言葉に、バーダックは全てが凍り付いた。
バーダックが守りたかったのはラディッツだけではない。
まだ目も開かず、抱き上げた事のないカカロットも同様で、それをフリーザは
「貴方には一生あの子の枷になるという役目を与えて上げましょう。
-其れなりに動けて-日常生活を送れるでしょうがもう戦士としては使い物にならず、一家の大黒柱が働けなければあの子は必死になって働くでしょう。
其れこそ、あの子が嫌っている-汚れた仕事-を拒む事なぞ出来ないでしょうし。」
「な・・・あいつが!そんな事!!!」
「だってバーダックさん、貴方達サイヤ人は帰る場所を失い根なし草になってしまうんですよ?
そして生涯私に衣食住の一切を頼らなければならないのは分かっているでしょう?」
にたりと嗤う、フリーザの言葉は頭が切れるバーダックには十分通じた・・・・通じてしまった!
この宙域においてフリーザ軍と自分達は怖れられ、善良な者達からは蛇蝎の如くに嫌われている。根無し草になったサイヤ人を子供だからと言って受け入れてくれる所なぞある訳がない。
では似たような犯罪集団に身を置こうにも、残ったのは襤褸切れ同然の自分とギネと子供達だけで、悲惨な末路しかない!
第一このフリーザが、自分達を逃がす筈も無く、そして息子の、ラディッツの事を考えれば全てがフリーザの思惑通りにしかならない・・・動けなくなった自分の代わりに、母と弟とそして残された同僚と子供達の為に・・・きっと・・・・あいつは・・
「・・・っくしょう・・・」
自分が穢れてもそれでもと、心を殺しながらフリーザの命令を拒む事無く・・・・
そしてきっと、フリーザが引き起こしたこの悲劇の真実をはなせばフリーザは躊躇いもなくラディッツを殺すだろう
自分の手を噛むペットを、ゴミの様に捨てるかの如く
「ちくしょうが!!!!!!!」
優しい、優しすぎる息子の枷にしかならなくなった己が、それでも死のうとすればカカロットの命を質にされ、息子達も愛した女も仲間も守れずに無様に生き永らえさせられる自分と、醜い運命を強要する目の前の男が、呪わしく悔しく血涙を滴らせて泣き叫ぶバーダックの姿を、フリーザはその叫びすらが心地良いと嗤って見下ろす。
勝つのは当然とばかりに敗者を嗤って見下ろす様は、まさしく悪の帝王と呼ばれるのに相応しい姿であった