俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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第二ラウンドのゴングが鳴った・・・

「ガキが大きくなるってのを近くで見ると存外面白いもんだな。」

「そうね〜、ラディの時は中級戦士用の保育室のカプセルだったから、実際に会えたのって三年後だったもんね〜。」

「戦闘力ニでも別にいいか・・・ラディは戦闘力があっても・・・なんでもいいか。」

 

とにかくこいつもあいつも大きく育ってくれりゃ〜よ

 

 

「これが俺の父ちゃんと母ちゃんなんか?」

「ふふ、親父が珍しく酔っ払ってカプセルの中のお前に話しかけていたのを盗み撮りしたんだ。」

 

ほら、親父と母さんが映っている映像の端っこに、カプセルに反射して映像撮ってる俺が映っているだろう?

 

悟天が生まれた時、自分の父母はどんな人なのだろうと気になった悟空が兄に尋ねた時、そろそろ見せるかと映像を見せてくれた。

 

そこには自分やターレスと同じ髪型で、表情はどちらかというと自分よりもターレスの方に似ている男が、カプセルの中で眠る自分の前で陣取り、傍に綺麗な女の人も同じ様に座って男の肩に頭をつけて幸せそうに笑っている不思議な映像であった。

 

自分達がいかに愛されているかが分かる映像であった。

 

 

そんな映像だけで知る男が、強敵をあっさりと吹き飛ばして落ちる兄を左腕一本で兄を抱き上げ

 

「俺のクソガキに触るんじゃねえ・・・・ぶっ殺すぞフリーザ!!!」

 

今まで聞いたこともない様な獣性を帯びた咆哮を上げ、ひたりと上空のフリーザを見上げて宣戦布告をし、されたフリーザの顔が歪んでいた。

 

本来ならここにいる筈のない男が、何故ここにこのタイミングでいるのだ!?

 

「・・・貴方はどうやってここに来れたのですかバーダックさん?」

「け!お前に答えてやる義理なんて俺は持ちあわせちゃいねえんだよ。」

「・・・ネズミ、ですか?」

 

太々しい態度で自分の質問に答えないバーダックに、それでもフリーザは追加の質問をした。

 

本来なら、ポンジャに軟禁状態にしてラディッツを無事に連れ帰ってから感動の対面をさせてあげようとフリーザは考えていた。

 

ラディッツは優しい

愛している両親に会えば、もう自分の下から離れるという考えはなくなる

 

まぁそれがなくとも二度と手元から離すつもりは毛頭なく、死ぬその時まで傍に置いておくがそれは兎も角、バーダック達の軟禁は選りすぐりの上級戦士達が見ておりセキュリティも完璧であったはずだが!逃げたという報告すら来ていない異常事態もいいところで、可能性は一つしかない。

 

また、ネズミが関わっている!

忌々しいネズミは!とことん自分の邪魔をする!!

自分が良いと思う事の邪魔を・・・

 

様々な意味で忌々しい表情を浮かべるフリーザに、バーダックはザマァみろと言いたくなる。

 

普段納まりかえった大嫌いな野郎が翻弄されている姿は堪らなく愉快だと見続けてやりたくなるが今は

 

「カカロット!」

「うわぉ!・・・あ!んな事より兄ちゃん!!クリリン!!!」

 

突如現れた映像の父に惚けた悟空の真横に来たバーダックに、悟空は驚いたがそのおかげで我にかえり兄と兄弟を自分の腕に奪い取り片膝をついて兄を横抱きにし、

 

「兄ちゃんこれ飲んでくれ!クリリンは大丈夫だから!!」

 

傷ついた内臓の回復に弱仙豆をより弱くした仙豆の粉を兄の口に入れ、ジュニアがすかさず桃のスムージー入りの吸い飲みを出して悟空に渡し

 

「あ・・・はぁ、は・・・ぁ」

 

飲み込めたラディッツは痛みが軽減し次第に荒い呼吸も落ち着いていくのを、悟空は泣きそうな顔で見守り、その間悟空と悟空の腕の中にいるラディッツをバーダックを中心に横並びになって守りの陣を自然と敷いていた。

 

ジュニア達も、悟空と共に二人の両親を見せてもらって知っているから。

 

この人は、兄を父を守る為に現れた事を確信して

 

その様子に、スーナ達が許せるはずもなかった!

 

「おじさん!!どうしてラディ捕まえる邪魔をしたんだよ!!!」

「もう少しでラディッツを取り返せたのに!!」

「・・・如何にバーダック小父さんといえども、明確な叛逆は許されませんよ?」

「へ!・・・だったらどうすんだガキども?」

「「「ッ!!!」」」

「俺達はどんなに飾ったところで侵略を稼業にしてきた戦闘民族サイヤ人だろ?

強い奴相手だって!気に食わなけりゃ喰らい尽くす一族だろうが!!」

 

それがバーダックの返答だった。

 

十八年の歳月を経てなお、フリーザが嫌いでクソガキを好き勝手にしようとする野郎の顔面をぶちのめす事しかバーダックにはフリーザに逆らう理由を持ち合わせては居なかった。

 

無論自分がここにいる時点でギネも共に連れ出してもらい、最愛の妻の安全の確保をした上での事だが、それ以上の事は全く考えていない。

 

帝王を倒して宇宙の平和をなんてマクロ単位でない

 

仲間の敵討でも無い

それをしてよかったたのは、トーマ達がぶち殺されたあの戦場でだけ。

他でトーマ達の敵討ちなどと言ったら、当のトーマ達に化けて出られて軽蔑されるだろう。

 

自分達は自分達の思い一つでフリーザ達を殺そうとした

 

戦士が自分で決めた戦う理由で戦場に立った時、それは無論返り討ちにあう事も覚悟の上

 

敵討ちを引き摺る事は、そんな戦士の覚悟に泥を塗る最低な行為だと少なくとも自分達は考えている。

 

殺そうとする癖に殺されたく無いなんて思うのはみっともなくて最低だ

そうだろトーマ、セリパ、パンプーキン、トテッポ

 

俺はお前達の死を理由には戦わんぞ

 

「俺は!フリーザの野郎が大嫌いだからブッ殺す、それだけの話だ!!」

 

どこまでも自分本位だと宣う言葉に、悟空の腕の中のラディッツがピクリと反応し

 

「馬鹿・・・言ってるなよ親父・・・」

「・・・起きたかクソガキ。」

「親父の声は割れ鐘みたいに頭に響く・・・五月蝿くて寝ても居られないんだよ。」

 

か細くも、悪態をつくクソガキに、バーダックは振り返る事はしないが顔に自然と笑みを浮かばせる。

 

本当に生意気なクソガキだ

 

だか、口先だけでラディは限界だと、バーダックは胸中が苦くなり忌々しさが込み上げるのを押さえつけ、わざと平板な声を押し出す。

 

「お前はそこで暫くくたばってろ。」

 

不器用で優しさを素直に出せないクソ親父の、精一杯の思いやりだと知っているラディッツは、きちんと父の労りを受け止め

 

「そうさせてもらうよ親父。」

 

応える息子の言葉にバーダックは自分で言っておきながら我知らず赤くなり、しかめ面するのを気配で感じたラディッツはおかしくなる。

 

本当に、誰も変わっていない

それがいい事なのか悪い事なのか分からないが、和むには戦場が許してくれない。

 

まだ戦いは続いていて、相手の温情で待ってもらっているだけなのだから

 

「カカロット、クリリンは俺が見てる。まだ、戦えるか?」

「!・・・ふぅん!おらはまだまだやれるぞ兄ちゃん」

「そうか・・・カカロット、あの人が・・・俺達の親父だ。」

 

うんと強い人だと笑うラディッツに、兄を置いて行きたくは無いが泣きそうになる瞳をグシャグシャと腕で擦り

 

「行ってくる!」

 

ラディッツとクリリンをそっと地面に下ろして立ち上がった悟空の顔は

 

 

「ほぉ、いい顔してるじゃねえかカカロット。」

「・・・そうけ?」

 

戦う戦士の顔をしており、バーダックの左隣に並び立てばバーダックに褒められ、そして頭をグシャグシャにかき混ぜられた。

 

・・・何かくすぐったい気持ちが悟空の中に湧き出した。

よく兄にもされるのに、兄よりも硬くて大きな手のひらに、初めてのはずなのに安心感を覚えて

 

「いけるかお前達?」

「・・・当然だ。」

「おらはまだ暴れられるぞ!!!」

「まだ力は残ってる!!」

「やれるさ!俺達なら!!!」

「・・・そうかよ。ターレス、うちのクソガキのお守りしてろよ?」

「・・・わぁったよ。」

 

とびきりの戦士の声掛けに、初対面の筈なのに全員が悟空の様に心が落ち着き再び火が灯った。

 

また抗うだけの熱量を伴って。

 

だが相手も伊達に十八年もたった一人の者を追う為に宇宙を当てもなく探し続けていたフリーザ軍では無い!!

 

「バーダック貴様!!」

 

両腕を焼かれ、満身創痍に近い筈のザーボンが立ち上がり、憤怒の形相で憎い奴を睨みつける。

後少し、ほんの僅かで愛しいラディッツをこの手にだけたのに!!

 

「・・ザーボンか、今のお前はいいな。」

「・・なんだと?貴様嫌味のつもりか?」

 

醜い姿を揶揄っているのかと、憎しみを更に燃え上がらせれば

 

「戦士として敬意を表するって言ってんだよ。」

「な・・・んだと?」

「勝つ為に、目的の為なら、なりふり構わずに手前の持てる力を出し切ってんだからな。」

 

それはバーダックのザーボンに対する本気の賞賛であった。

 

普段どれほどチャラついている様に見えても、己の好きな美を打ち捨てでも獲りにくる漢を、バーダックは称賛したのだが

 

「それがどうしたというのだ!!ほざいたまま地獄に堕ちろ!!!」

 

そんな言葉で本懐を邪魔された恨みが消えるはずもなく突っ込んでいき

 

「それもそうだな!手前が地獄に堕ちろやクソ野郎!!!」

 

奇しくも戦いの第二ラウンドの合図となったのだ。

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