大きくなりやがった・・・・
戦闘の第二ラウンドを高らかに謳いあげながら突撃するバーダックの脳裏に浮かんでいたのはクソガキとカカロットの成長具合だった。
クソガキ・ラディッツは十二歳になっても周りよりも小さく細く・・・成長を阻害されていたと自分とギネを逃がしたあの男から聞かされた時はフリーザ達ぶっ殺すを新たに誓った。
だが何の奇跡かラディの体は戦士としての体ではなかったが、きちんと大人の体をしていた事に、ラディの腕の中にいる小さな戦士共々左腕で抱き上げた時不覚にも涙が滲んだ・・・細くて頼りないこの体で・・・・化け物のようなフリーザからこの星を守ろうと懸命に闘っていたのかと思うと、どうして自分は囚われていたのか、どうしてずっとこいつの側で最初から戦ってやれていなかったのかと思うと悔しくて堪らなくて・・・半面ラディの気概が誇らしくて・・・
細い肉体が何だってんだ?立派な体躯を持ちながらも戦わずに命乞いをした奴等もいるんだぜ
戦闘力の高さがなんだというの?それだとて同じ話だ
こいつはどちらも無いというのに自分と周りだけが助かる事を良しとしなかった。
本当は戦う事が好きでは無いのに、手前の大事な者達の為に躊躇いもなく命を張って宣戦布告をしたこいつは、まごう事無き戦闘民族サイヤ人の誇り高き戦士だと、全宇宙の奴等に知らしめてやりたいほどの立派な漢になってくれていた。
そして初めて言葉を交わすカカロットも、ラディを案じて泣きそうな顔はギネによく似ていたが、戦いを決意した表情はキリっとした有望な若手戦士そのもので・・・嬉しくなる。
この戦いで万が一勝って俺もこいつ等も生きていたらその時は・・・酒を酌み交わしたい
大人の男同士として、そして戦士としてのこいつ等と共に・・・
だから二人共!!俺の目の前でくたばるんじゃねえぞ!!!
勝ってギネも迎えに行って!惑星ベジータの時の様に親子で暮らすぞお前達!!
・・・・・・・・・・・・・
「バーダック!!!!」
「へ!!俺の事が本当に嫌いだなお前は!!!さっき誉め言葉をくれてやったていうのによ!!!」
「当たり前だ!!貴様の如き性悪男からよくぞラディッツのような天使が生まれたと感心するぐらいに私は貴様の事が大嫌いなんだ!!!ラディッツがギネにだけ似ていて幸いだったな!!」
「・・・・・どいつもこいつも!!あのクソガキは俺にもきちんと似てんだよ馬鹿野郎!!!」
・・・・・いやそれ無いだろうと、ザーボンに放ったバーダックの言葉に、ラディッツをよく知っているこの場のフリーザ軍達はバーダックの言葉に秒で心の中で突っ込みを入れた・・・
戦場で悪鬼羅刹の如きバーダックの要素がラディッツのどこにあるんだ?
それにラディッツの敵に容赦ないところは、どちらかというとフリーザ様を教師にしたような面がある・・・・まぁそこは置いておこう・・(可哀そうだし・・・
第二ラウンドはジュニアがギニューと、クリリンはマトマと、悟空はリーキュとそしてバーダックはザーボンと激突した。
双方どちらにもエネルギーを撃つよりも、まるで申し合わせたように肉体戦での激突に、ぶつかり合った瞬間に大気が震え海が波立ち、崖下の洞窟に隠れていた蝙蝠すら飛んで逃げる程のぶつかり合いであった!
体躯のでかい者同士のジュニアとギニューは直ぐに地上を狭く感じて空中戦に移り
「爆裂閃光弾!!」
「なんと!!・・・ちぃ!!」
空中で大量の気功弾に包囲爆撃されたギニューは、ボロボロの体にこれ以上ダメージをくらわないように、体の全面だけエネルギーを固めてジュニアに向けて突貫した!
「攻撃は最大の防御だというが本当だな!!!」
「・・・だからって普通躊躇いも無く突っ込んでこないだろうが!!!」
爆裂閃光弾を撃っても怯まずに突撃してこられたジュニアは驚愕しながらギニューの乱打戦に乗せられた。
戦闘力だけで見れば、ジュニアの方が今のギニューを圧倒的に上回っているが、生死が掛かった時の場数はギニューの方が遥かに上であり、直ぐに即応された事には心底驚いたが
「ハァ!!!」
ジュニアは頭部の触覚から電撃を放ったが
「くだらん技を!!!」
ギニューにはすぐに見切られ後方に飛ばれて避けられたが、ジュニアは第二の爆裂閃光弾を放つと共に自身もギニューに突撃をした!
当然自分が背後から自身の技でダメージを負うなどという間抜けな事にならないようにシールドを張っての事だが、そんな自爆技にも等しく映るような攻撃を、されたことの無いギニューは虚を突かれジュニアの接近を許してしまった!!
ジュニアも、散々ターレス達を相手に幾度も本気の殺し合いの果てに得られた経験を余す事なく発揮して
・・・親父・・・・技借りるぞ!!
「振動・拳の型!!」
「な!!!あぁ・・・」
目論見通り接近を果たしたジュニアの右拳が、ギニューの顎下をとらえアッパーカットが決まった時、ギニューは通常の拳攻撃よりも何倍もの振動で顔面とそして脳を揺さぶられブラックアウトさせられた。
ジュニアもラディッツの振動を、この数年間ずっと修練してきたのだ。
ラディッツの様に熱を送り込む事はまだできないが、それでも強敵を沈める事は出来たようで、海に落ちる前にギニューを捕らえ、若手サイヤ人の居るところにそっと降ろした時、凄まじい殺気に身が竦んだ!!
ジュニアがギニューと決着がついた時に、フリーザの中の-遊びの時間-が終わりを告げてしまった瞬間でもあったのだ。
「ラディッツ・・・・」
ビクリ
そう・・・良い子ですね貴方は
きちんと、私の全てを覚えていて
私の怖さもちゃんと覚えていて
甘くて冷たいフリーザの呼ぶ声に、ラディッツの総毛が逆立ちゾッとした!
あの声は、全てを屠ると決めた時の・・・怖ろしい命令を下す時にだけ聞かされる、大好きなフリーザ様の中で唯一嫌いな声が・・・
「あ・・・・ぁ・・」
その声を聞いてしまったラディッツの表情に怯えが生まれ、微かに首を横に振る仕草がフリーザには堪らない。
私の嗜虐心を煽ってどうするつもりなのですかラディッツは?
本当に本当に可愛くて可愛くて堪らない・・・
怖れているのに恋焦がれている憧憬の眼差しを自分に向けるラディッツ・・・
自分が好きだと真っ直ぐに気持ちを向けて来るラディッツ
自分の言葉に動きに一喜一憂して・・・愛らしい・・・閉じ込めたいほどに!!
だから・・・
「存分に、ラディッツを堪能したでしょう地球の皆さんは?」
優しく話しかけながらポッドから出てゆっくりと地上に降りながら、最終形態へと姿を変えていった
ゆっくりと降りてくる中、体躯が倍以上大きくなって直ぐに小型のエイリアンの様になり、そして地表に音もなくひたりと降りたった姿は・・・・
「マトマ、リーキュ、一度戻りなさい。」
「「ハッ!!!」」
第四形態となって二人の親衛隊を静かに呼び寄せ、二人は瞬時に従いフリーザの前に盾となるべく並び立つのを、フリーザは優しく二人の肩に手をかけて左右にどくように指示を出した。
静かで、しかし圧倒的な何かを感じた悟空達も、すぐさまバーダックの横に集まり警戒心を剥き出しにしながら身構えた。
バーダックもポンジャでは住民をリーキュ達から預かり最終戦は不参加であり、フリーザの最終形態は見ておらず、スカウターにはスカウター同士で居所を察知される機能が付いており、フリーザに知られないように近づくために外しているが、バーダックの勘がフリーザの今の姿にヤバいと警報を鳴らしている・・・それも赤信号だとガンガンにサイレンを鳴らしながら・・・
十八年前に対峙した時にだって、こんな警報は無かったのに・・・
「ほっほ、そんなに怯えなくとも大丈夫ですよ。
貴方達は-あの子-の大切な人達なのですから。」
角も無くなり丸い白い体になったフリーザは、右手の人差し指を曲げて口に当ててコロコロとバーダック達の怯えを愉快そうに笑って宥める。
バーダック達は、ラディッツにとって-大切な人達-なのだから
「殺すなんてしませんから安心なさいな。
ただ無力化して捕えるだけですよ、-あの時-のように。」
その言葉に、古傷を抉られたようにバーダックのはらわたが煮えくり返りそうになり歯噛みをして挑発に乗って飛び出しそうになる自分をおさえるバーダックが愉快で堪らないとフリーザはさらにコロコロと嗤った。
先程時ならぬバーダックの出現に驚かせたことの意趣返しも出来た事ですし
「リーキュ、マトマ、私がこの者達の相手をしますので、貴方達はラディッツをおさえておきなさい。」
出来ますね?
その言葉は、ラディッツ達にとって地獄の蓋が開いた合図であった