強いのは分かっていた
その方が、自分達の知る中での最強の人だと誰もが言っていた
戦闘民族サイヤ人でさえ従えて、数多の宙域からの最強の戦士達を差し出させ或いは滅ぼした星から自分に降るか死ぬかのどちらかを選ばせて屈服させて、従わせていたお方
そんなお方に、ギニュー隊長をはじめとした特戦隊の全員が、俺の様にフリーザ様に心酔して、給料は二の次に忠誠を誓っていた。
あの方は凄い、まさに帝王として生まれてきたお方なのだと、いつかの日に隊長が熱を帯びた声で話してくれたのを、俺も同じかそれ以上の熱量で同意してキャラキャラと笑い合った。
子供の時に一度だけあのお方に自分と幼馴染達は挑んで指一本で負けた時、矢張りこの方は凄いんだと、恐怖する事無く嬉しくて・・・・でもそれを話しても親父達は嬉しくないだろうから、今でも俺の中の内緒の宝物は・・・・本当に強すぎて・・・・俺の大切な者達が一人ずつ落とされていく
「天津飯!!ヤムチャ!!!」
「動くなよラディ!この檻はエネルギーを格子状にしている代物だ。」
「お前と俺達で考えたパワーゲージの技を応用した物だ・・・どの道フリーザ様が勝つなんてお前だって分かっていただろう!!??
どうして素直に従わなかったんだお前は!!」
数分、たった数分で状況は一変した。
見たことも無いフリーザ様のしなやかな体が静かにほんの少しだけ動いた途端に
何の前触れもなく音もなく、だが世界が確実にひっくり返された
酷い茶番を見せつけられているようだった
・・・・・・・・・・・・
遡った少し前
自分の側にいたほうがクリリンの危険度合いが増す
相手の目的は自分なのだから
少しだけ回復した体を引きずるように動いた、
「お師匠様お願いです、まだフリーザ様が本気を出さない内に、この場から引いてください・・・」
「・・・・儂等は邪魔か?」
「!!いいえ!!いいえ!この地球を侵攻してきた大半を止めてくださり、カカロット達がマトマ達だけに集中できたのは皆のお陰なのです!!・・・それでも・・・」
ここから先は-常人-では無理なのだ・・・
弱仙豆が無くなり気の回復も儘らなくなった弟妹弟子
中には手足を失った者達もいたが、弱仙豆のお陰で痛みもなく逃げる力がある内に
「せめてこの場から離れられるうちに離れてください・・・」
まだ双方対峙したまま・・・お互いの力量を見極められなくて攻めあぐねている事なんてなくて・・・きっと・・・
「ラディッツ。」
・・・ほら来た・・・
「五分待ちます、その間に気絶している私の部下達もきちんと遠くに連れて行かせなさい。」
・・・・きっと、それを聞かなければいけないのだろうな・・・
フリーザ様の今のお言葉を聞くのは吝かではない
自分だって隊長を始めとした、俺を探しに来てくれた人達を死なせるのは・・・などというのはきっと地球の人達にとって、目の前の弟妹弟子達にとっては許しがたい事だろうが・・・五体無事な弟妹弟子達が存外多く、一人で二人抱えていって戦場は直ぐに俺達だけになった。
ギニュー隊長とグルド様は若手サイヤ人の戦士が、ドドリア様とザーボン様は俺が連れて行き
「お師匠様、クリリンの事を頼みます。」
何故か・・・クリリンをあの場に残しておくことが酷くいけない気がした
あの場にいたらクリリンが死んでしまう・・・そんな漠然としたイメージが生まれたらもう駄目で、弱仙豆で回復したとはいえども体は疲弊したいるクリリンにそっと気を送り込んで意識を落として、大事な弟を大切なお師匠様に預けていこうとしたら・・・
「あ・・・兄様・・・俺達に!もっと力があれば!!」
「悔しい・・・悔しい!!!!」
「うぁぁぁぁっぁぁぁあ!!!!!」
・・・・絶望ではなくても、悔しさと遣る瀬無い声が響き渡る・・・・俺はこの地球に来る時はその中に絶望混ぜて呻いて・・・・故郷の星と同胞達の死を嘆き悲しんだ・・・
自分達の無力さで大切な何かを喪う事になる
ずっとそんな人達を生み出してきたのだ俺達は・・・本当なら、フリーザ様達ももうこんな事をしなくても生きていける程、自由を楽しめる程の力と巨大な帝国を築かれているのに・・・俺という災厄を抱え込んだために狙われた可哀そうな星と人達と・・・思うのは傲慢だろうか?
そんな思いをさせたくなくて、そうなっても共に逝けるように、ラディッツが静かに戦場に舞い戻った時が、戦いの再開の合図となった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
動けない自分の部下がいなくなった事で、フリーザは気分よく-運動-する気になれた
普通の部隊のもの達だけであれば巻き添えで殺そうが死なせようが知った事ではないが、ギニュー達と最側近二人と、そして自分達同様にあの子を慕って共に必死に探し続けてきた百八十五人の古参達を殺すには忍びなかったのだが・・・この地球にいる者達とラディッツの感性は似ているのだろうか?
自分の力に物を言わせたとはいえども素直に部下達も連れて行ってくれるとはフリーザだって驚いた
お人好しの住む星なのだろうかここは?
まぁいいでしょう
気になる事もなくなり、後は・・・・戻ってきた
何時もの様に音もなく、気が付いたら目の前にいる・・・・・それは昔からそう
自分が呼べばどこで誰と話していても必ず飛んで来た
跳ねた黒髪が視覚で認識した途端に自分の尻尾が瞬時に飛んできたあの子の腰をからめとってポッドの渕に座れせるのは当然の事だった・・・・筈なのに
今呼んでもきっと来る事は無いと思うと悔しくて、ラディッツ来なさいと口に出せない状況が苛ただしくて・・・あの子は私のもの・・・・
そんなフリーザの苛立ちを表すように、フリーザは右掌をバーダック達にかざして高密度のエネルギー波を撃ったのを合図にバーダック達もエネルギー弾を出して相殺させながらフリーザ達目掛けて突っ込んだ!
「マトマとリーキュを先に潰すぞ!!!」
バーダックは戦術的に、弱った敵から潰してフリーザ一人に集中しようとしたのだが
マトマとリーキュの動きの方が速かった!
「「ラディッツ!!!!」」
どうせ行き先などはばれるだろうから、二人は隠す事無くラディッツに突貫して・・・
「ごめんねぼく?」
・・・遠くのような近くのような場所からスーナが誰かに謝る声が聞こえて・・・
「ラディッツ!!!!!!」
スーナまでもが来た!!
スーナが来たという事は餃子!!??
一瞬・・・ほんの一瞬だった・・・
餃子の気配を探って、気絶だけさせられたのか生きている事を知った時にほっとしたのがいけなかった・・・
「ラディッツ・・・掴まえたぞ・・」
「・・・リーキュ?」
気が付けば、エネルギー波で出来た格子状の中に俺はいた・・・
その中は、酷く息苦しくて、外と遮断された気がして・・・・そうか・・・
昔、遠い昔にみんなの必殺技を考えた時、檻の中でエネルギー弾を撃って増幅させる技を考えて、リーキュ達は完成させたのか。
サイヤ人の気で出来た檻が、期せずして俺と地球との間を切断でもさせたのだろうか?
「あ・・・あぁぁ・・・」
俺自身の気はもうとっくに使い果たしたのだろうか?
力が抜けて、立つ事も儘らなくて・・・蹲るほかなくて・・・そんな俺をスーナは大丈夫かと心配してくれて・・・・そんなに心配なら檻を消してほしいのにそれは出来ないと泣きそうなスーナの姿の向こうに
「天津飯!!ヤムチャ!!!!」
見えた光景にラディッツは叫ばずにはいられなかった
目論見とは違いながらも、リーキュ達はフリーザの下を離れてラディッツを捕らえる事に成功した。
だが、リーキュ達ならばラディッツを傷つける事は絶対に無いと断言できるバーダックはフリーザへの攻撃の手を緩める事は無く
「リミット外し四倍だ!!!」
「鶴の舞・刺突!!!」
「狼牙風風拳・牙突!!!」
近接の大技を持つ悟空と天津飯とヤムチャが、バーダックとジュニアの気功弾の弾幕でフリーザの視界を奪いつつ、対処している間に大技を仕掛けたのだが・・・天津飯とヤムチャは無情にもフリーザの尾の一薙ぎで体を打ち据えられ、吹き飛んだ先にフリーザは容赦なくエネルギー弾の嵐を見舞い、物凄い怒気を振り巻いた悟空の蹴りを片腕で止め、蹴って来た足首を掴みバーダックに投げつけ足止めをした。
「足癖の悪い・・・・お前が本当にあの子の弟だとは思えない程の行儀の悪さですね・・・・」